2013年9月13日金曜日

【スタチン不耐性】あきらめるな

Treatment strategies in patients with statin intolerance: The Cleveland Clinic experience.
Mampuya WM, Frid D, et. al.
Am Heart J. 2013 Sep;166(3):597-603. doi: 10.1016/j.ahj.2013.06.004. 
Epub 2013 Aug 5.


【背景】スタチン治療は高脂血症治療有効。だが、スタチン耐用困難な例が多い。この研究では、スタチン治療非耐用患者の治療戦略レビューし、間欠的スタチン投与にフォーカスを当てた研究。

【メソッド・結果】
カルテ1605名の後顧的解析( Cleveland Clinic Preventive Cardiology Section 、スタチン非耐用、1995年1月から20103月、最低6ヶ月フォローアップ患者)
脂質特性、LDLコレステロール達成、スタチン耐性度を分析
スタチン不耐性経験の72.5%は、31ヶ月フォローアップ中央期間にてスタチン耐用可能。
間欠的スタチン投与患者(n=149)では、連日投与群に比べ、LDLコレステロール低値 (n = 1,014; 21.3% ± 4.0% vs 27.7% ± 1.4%, P < .04)
しかし、スタチン中断群(n=442)に比べ、有意にLDL-C減少率高い (21.3% ± 4.0% vs 8.3 ± 2.2%, P < .001)、そしてLDL-CATPIII目標達成比率高い  (61% vs 44%, P < .05)
連日・間欠スタチン投与群では、8年時点での全原因死亡率減少傾向 (P = .08)

【結論】
スタチン非耐用の多くの患者では、スタチン継続可能となり得る。間欠的スタチン投与戦略で有効なオプションとなる患者がいて、LDL-C減少をもたらし、目標達成率も高率。

老人機能障害予防ケアプログラム ・・・ 効果証明できず

すばらしいお題目でも、それは、効果を保証する訳ではない。


 "Prevention of Care” (PoC) approachは、テーラーメイドプラント、定期的評価・フォローアップを含む多次元的評価と学際的なケア

要するに、日本の介護制度の予防給付みたいなもの

Effectiveness of interdisciplinary primary care approach to reduce disability in community dwelling frail older people: cluster randomised controlled trial
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5264 (Published 10 September 2013)


プライマリアウトカムを障害の程度としてGroningen Act
ivity Restriction Scaleで評価
セカンダリアウトカムをうつ症状、社会的サポート介入、転倒不安、社会参加


介入群 193、対照群 153

多変量解析にて、障害の程度に関するアウトカム、セカンダリアウトカムに有意差認めず


日本の介護制度は、官僚に都合良いように、牛耳り、hard scienceや科学的分析などまったく近づけさせない、いんちき制度・・・予防給付を打ち切るならその根拠をみせてほしいものだが・・・その気も無いのだろう・・・給付じり貧で、保険料だけ徴収する介護保険制度

経口避妊薬の種類と、静脈血栓リスク




Different combined oral contraceptives and the risk of venous thrombosis: systematic review and network meta-analysis
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5298 (Published 12 September 2013)

観察研究、プライマリアウトカムは、致死的・非致死的静脈血栓症(深部静脈血栓、肺塞栓)、少なくとも10イベントを含む出版報告のnetwork meta-analysis

出版 3110から、25記事、26研究、
非使用者の静脈血栓症イベント数 1万人年あたり 1.9、3.7で、以前の報告では 1-6で一致。
経口避妊薬使用組み合わせでは、静脈血栓リスクは、非使用者に比較して増加(relative risk 3.5, 95% 信頼区間 2.9 to 4.3).

含有成分経口避妊薬の静脈血栓相対リスクは、  ethinylestradiol 30-35 µg 、gestodene、desogestrel、cyproterone acetate、 drospirenoneで同様で、levonorgestrel組み合わせより50−80%ほど高い。

含有ethinylestradiolの用量依存性が、gestodene、desogestrel、levonorgestrel組み合わせでみられ、特に高用量ほど血栓症リスクが高い。





http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/guideline01feb2006.pdf
OC使用によってVTEリスクは3~5倍増加するが、エチニルエストラジオール(EE)の用量との関連は不明である。デソゲストレル含有OCはノルエチステロンまたはレボノルゲストレル含有OCより VTEリスクが約2倍高値である。
プロゲストーゲンの種類とVTEリスクとの関連を指摘する研究もあ るが、バイアスによって生じた可能性を否定できない。リスクを相対的数値で示すと、絶対的 数値で示すよりも不安を抱かせることになる。
OC非服用者の絶対的VTEリスクは低値である(女性10 万人当たり年間5例)。 
レボノルゲストレルおよびノルエチステロン含有OCの使用でVTEリスクは女 性10万人当たり年間15例まで増加し、デソゲストレルOCでは女性10万人当たり年間25例まで増加
VTEは生殖年齢の女性では稀であり、OCの使用によってVTEのリスクは5倍まで増加するという ものの絶対危険度は低い。妊娠時のVTEリスクは女性10万人当たり年間60例である。

「飲水奨励」する軽薄な米国ファーストレディ

テレビを見れば、まるで、熱中症予防の主体が飲水であるかのような情報の垂れ流し・・・ ローカルニュースであったが、運動会練習で中学生熱中症発症多数例だした、ある市の教育委員会「教師に対して、生徒が休み時間中に飲水したことを確認するよう指示をだした」という。熱中症予防の主眼は、熱順応であるべきで、「熱中症≠脱水」。

米国・労働省職業安全衛生局にみる熱中症予防キャンペーン 「熱順応」重視、教育・相互監視重視 ・・・ 日本では軽視されてるのでは? H23/07/19 

日本・厚労省に大いに問題がある。日本の教育の現場にも米国・労働省のようなまともな対策が望まれる


熱中症対策の話ではないが、米国大統領夫人も、へんなアピールしているらしい。

「Drink Up program」というらしいが・・・

First lady's push to drink more water draws criticism
http://www.usatoday.com/story/theoval/2013/09/12/obama-michelle-drink-water-project-politico/2803417/

科学的データとして存在せず、hard scienceに基づかない迷信・妄想であると専門家のコメント。そして、公衆衛生上に悪影響を与える懸念。
"There really isn't data to support this," said Stanley Goldfarb, a professor of medicine at the University of Pennsylvania. "I think, unfortunately, frankly, they're not basing this on really hard science. It's not a very scientific approach they've taken. ... To make it a major public health effort, I think I would say it's bizarre." 
Goldfarb also told Politico: "The idea drinking water increases energy, the word I've used to describe it is: quixotic," he said. "We're designed to drink when we're thirsty. ... There's no need to have more than that."



ファーストレディーが、いんちき水商売を促進しかねないメッセージ発信をすることに対する非難、それが、メディア発信されている。米国メディアの健全性を評価したい。


“水”商売屋さんたちが、この軽薄なファーストレディの妄言を利用しなければ良いのだが・・・


今日も、テレビ・ラジオ・新聞で 妄想的メッセージが垂れ流される日本。


日本でも、何代か前のファーストレディも宇宙人という妄想を流して多様な気もするので、米国の悪口は言えないが・・・

うつに対する運動効果 ・・・ 現時点で、確立エビデンス認めず

“うつ→身体活動性低下”ということは想定されるが、“運動活動性増加目的介入→うつ改善”は証明されてない。

Exercise for depression
Gary M Cooney , et. al.
Editorial Group: Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Group
Published Online: 12 SEP 2013
2013 The Cochrane Collaboration.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD004366.pub6/abstract

参照クライテリア合致 39トライアル、2326名。37のメタアナリシスデータ
多くのトライアルでバイアス多くの源あり、ランダム化適切なのは14研究、ITT 15、 盲目化評価12 
無治療あるいは対照群介入比較 35トライアル、1356名
うつプライマリエンドポイント、差標準化平均:standardised mean difference (SMD)は、 -0.62 (95% 信頼区間 (CI) -0.81 to -0.42)で、臨床的効果としては中等度
heterogeneity中等度  (I² = 63%)

適切な割り付け目隠しの6トライアル、464名、ITT解析、盲験化アウトカム評価では、pooled SMDは統計学的に有意ではない  (-0.18, 95% CI -0.47 to 0.11)

8トライアルプール化データ、377名では、気分に関する長期フォローアップでは運動に良好な効果軽度 (SMD -0.33, 95% CI -0.63 to -0.03)

受容性報告 29トライアル、ドロップアウト数評価で、リスク比 1.00(95% CI 0.97-1.04)
3つのトライアルでQOL報告、コスト報告無し、6つで有害事象報告

心理療法併用6トライアル、189名にて、有意差認めず (SMD -0.03, 95% CI -0.32 to 0.26)

薬物治療併用運動療法4トライアル、300名では、有意な差を認めず (SMD -0.11, -0.34, 0.12)

運動は、光線療法より有効という報告1つ  (n = 18) (MD -6.40, 95% CI -10.20 to -2.60)



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