2015年11月3日火曜日

DPP-4阻害剤の懸念心血管アウトカム:観察研究ではSU剤に比べ低下

DPP-4阻害剤も、(降圧剤使用としての)ARB同様なんだか もやもやする存在である


SGLG2阻害剤に先超されてる格好だが・・・
EMPA-REG OUTCOME:SGLT2による重大心血管アウトカム改善効果 
http://kaigyoi.blogspot.com/2015/08/empa-reg-outcomesglt2.html


(日本以外では標準治療開始薬)メトフォルミン治療されているものに、add-onとして、DPP4阻害剤追加が、SU剤追加に比べ重大心血管アウトカムリスク低いとのこと




Effects on Clinical Outcomes of Adding Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors Versus Sulfonylureas to Metformin Therapy in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus
Shuo-Ming Ou, et. al.
Ann Intern Med. 2015;163(9):663-672. doi:10.7326/M15-0308

背景: 2型糖尿病に関しては、DPP-4阻害剤が血糖コントロールに寄与するが、心不全リスクへの懸念が持ち上がっている。しかし、(わざと執拗に書くが日本以外のスタンダード治療開始薬である)メトホルミンに、DPP-4阻害剤を追加するか、SU剤を追加するかで心血管アウトカムへの大規模はいまだ稀。
目的:2型糖尿病患者メトホルミン治療にDPP-4阻害剤追加vsSU剤追加における臨床的アウトカム比較
デザイン: Nationwide study using Taiwan's National Health Insurance Research Database.
セッティング: Taiwan.
被験者: 2型糖尿病20歳以上、2009-2012年。10089名の propensity score-matched pair、DPP-4阻害剤 vs SU剤の検証
測定: SU剤とDPP-4阻害剤暴露期間変数Cox モデルで、アウトカム比較。
アウトカムは、全原因死亡、重大心血管アウトカム(MACEs, 虚血性卒中、心筋梗塞)、心不全入院、低血糖。死亡もしくは2013年12月31日までフォロー
結果: メトフォルミン追加薬剤としてSU剤比較DPP-4 i阻害剤使用は、以下リスク低下と相関
全原因死亡 (hazard ratio [HR], 0.63 [95% CI, 0.55 to 0.72])
MACEs (HR, 0.68 [CI, 0.55 to 0.83])
虚血性卒中(HR, 0.64 [CI, 0.51 to 0.81])
低血糖 (HR, 0.43 [CI, 0.33 to 0.56])

心筋梗塞・心不全入院とリスク影響認めず

研究の問題点: 観察研究デザイン

結論:メトホルミン治療のadd-onとして、SU剤に比べ、DPP-4阻害剤は全原因死亡、MACE、虚血性卒中、低血糖リスク低下と関連。


これって、観察研究での知見にすぎないし、DPP-4阻害剤も悪者かもしれないが、SU剤ほど悪者ではないと示されているに過ぎない

Obesity Paradoxが解けたなんて・・・ほど遠いと思う

Obesity Paradox Doesn’t Hold Up
Posted on: October 9, 2015
http://www.bu.edu/sph/2015/10/09/obesity-paradox-doesnt-hold-up/


 米国国民調査レベルで「obesity paradox」パズルを解いたという主張なのだが・・・

心血管疾患罹患者において、


Smoking and reverse causation create an obesity paradox in cardiovascular disease
Andrew Stokes, et. al.
Obesity (2015),DOI: 10.1002/oby.21239 
Article first published online: 30 SEP 2015


心血管疾患を有する35歳以上の米国住民の体重状況と死亡率の相関研究
National Health and Nutrition Examination Survey(1988-2010年)データ、2011年までの死亡率調査リンク
 疾患による体重減少バイアス最小化のため正常体重維持症例群を含むカテゴリーを参照カテゴリーとして用いる。年齢標準化死亡率とCoxモデルを推定、過体重/肥満 (BMI 25以上)から正常(18.5-24.9)



パラドックスは存在;調査時過体重/肥満で、ハザード比(HR) 0.89 ; 95% 信頼区間 (CI) 0.78 - 1.01)

しかし、参照カテゴリを正常体重維持群 に限定すると、パラドックスは消失   (HR = 1.16; 95% CI 0.95-1.41)

解析を非喫煙者限定すると、死亡リスクは過体重/肥満群で有意に高値 (HR = 1.51; 95% CI 1.07-2.15; P = 0.021)




パラドックスの信頼区間(p=0.076)も、正常体重維持群を含む信頼区間も1.00をまたいでる! 非喫煙者限定で、過体重・肥満者死亡リスク増加が示されているだけの作文と斜めから読んでしまう。

”肥満→正常体重 ”が疾患による影響なのか、減量のためなのかもはっきりしないため、パズルが解けたなんていえるような報告とは思えない。

そして、喫煙者では太ってた方が良いという誤ったメッセージを強化してしまうのでは?



noteへ実験的移行

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