2013年6月26日水曜日

医療費高コスト上位10分位患者:コスト削減介入には限界あり

日本でも医療報酬に関する電子請求システム完成したわけだからこのような解析されることだろう。
The Need for Access to Medicare Fee-for-Service Claims DataJAMA. 2013;():1-2.

Centers for Medicare & Medicaid Services (CMS)  の解析
http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/BILLS-111hr3590enr/pdf/BILLS-111hr3590enr.pdf

 財務省や為政者にだけ都合の良いデータ解析されないよう生データに近い部分の公表を願いたい。

高コストメディケア患者の医療コスト傾向を調査し、削減効果の可能性を探った報告。

Contribution of Preventable Acute Care Spending to Total Spending for High-Cost Medicare Patients
Karen E. Joynt, et. al.
JAMA. 2013;309(24):2572-2578. doi:10.1001/jama.2013.7103. 

序文  少数の患者が米国医療費の大部分をしめる、このコホート間での医療費消費パターンの理解が医療費節約にとってクリティカル。これらの患者で消費される急性ケアサービスをある程度回避可能かどうかは確実なところは不明。

目的  高コストメディケア患者において急性期医療サービス定量的予防効果判定

デザイン・セッティング・被験者
2009-2010年の各年横断的、標準5%メディケアファイルに含まれる、各入院患者及び外来患者の標準化コスト要約
2010年のトップ10分位を高コスト患者と定義し、2009と2010年のトップ10分位を持続的高コスト患者と定義する
ED受診・急性医療入院を予防する標準アルゴリズムを使用
114,469名のメディケア支払い受取人65歳以上

主要アウトカム・測定  高コスト患者中の予防可能とされる急性医療病院・EDコスト比率

結果  高コスト群のメディケア患者10%は、高コストでない患者に比べ、高齢、男性比率多く、多くは黒人、より合併症が多い。
2010年、総救急受診部門コスト32.9%(95% CI, 32.9%-32.9%)は高コスト患者で占めている。
validated algorithmに基づくと、高コスト患者中のコストの41.0%(95% CI, 40.9%-41.0%)、非高コスト患者での42.6%(95% CI, 42.6%-42.6%)は予防可能なもの
入院コストの79.0%(95% CI, 79.0%-79.0%)、 予防可能な入院によるものは9.6%(95% CI, 9.6%-9.6%)、非高コスト患者群内の16.8%(95% CI, 16.8%-16.8%)は主に入院回避可能
高コスト維持状態患者において救急受診部門医療費比率比較で 43.3%(95% CI, 43.3%-43.3%)、入院部門医療費比較で 13.5%( 95% CI, 13.5%-13.5%)は防止可能。
プライマリケア高度な供給がある地域では、高コスト患者の医療費を高度に抑制可能。

結論と知見  2010年のメディケア支出トップ10分位の患者サンプルのうち、救急受診・入院予防に関わるコストの比率は小さい。外来ケア最良化による、これらの患者の低コストの可能性は限定的。

日本の医療施策上参考になる手法と思う。 日本では、専門家と言われる人たちが口々に、「医療費のほとんどが、少数 の患者により消費されている」と、この一定の一群を悪口をいうことだけに終わることが多いと思う。この患者たちへ限定した保険報酬削減や医療アクセス制限 が歴史的にも医療費削減目的で繰り返し行われているが、真に、入院コスト削減されたか、外来コスト削減されたかなど本格的検討されてないと思う。
また、 プライマリケアや検診が、真に医療コスト削減的に機能するかも、私は疑問視している。無症状のものをその医療費やアウトカム評価することなく、「検診=医療費 節約」という刷り込みだけに懸命な医療専門家たちの意見も目立つ。

上記であきらかになったことは、高コスト状態にある患者には

アスピリン直腸結腸がん予防効果はBRAF無遺伝子変異腫瘍限定的

アスピリンは、BRAF遺伝変異を認めないwild-type腫瘍限定的に直腸結腸がん予防効果

 Nurses Health Studyと Health Professionals Follow-Up Studyという 127 865名、 3 165 985 人年の観察研究のデータから、定期的アスピリン投与は、結腸直腸がんリスク有意減少

しかし、wild-type BRAF sequenceを含む場合にのみ限定的で、補正ハザード比 0.73 (95% CI, 0.64-0.83

BRAF遺伝子変異を含む場合の直腸結腸がんではアスピリン使用と非使用者で有意差認めず(補正HR  1.03 , 95% CI, 0.76-1.38)


Aspirin Use and Risk of Colorectal Cancer According to BRAF Mutation Status
Reiko Nishihara,  et. al.
JAMA. 2013;309(24):2563-2571. doi:10.1001/jama.2013.6599.

不整脈:コーラ飲料大量摂取や、蜂蜜毒

Cola and Honey: Exploring food riddles in rhythm disturbances
Topics: Arrhythmias
Date: 25 Jun 2013
http://www.escardio.org/about/press/press-releases/pr-13/Pages/cola-honey-food-riddles-rhythm-disturbances.aspx?hit=dontmiss

コーラやシャクナゲ蜂蜜の過剰摂取により、湿疹や不整脈を生じる
EHRA EUROPACE 2013 meetingで症例報告された。

31歳女性外傷性意識消失で入院。突然死家族歴・消化器症状・代謝・内分泌異常認めず
K濃度 2.4 mmol/Lと低下、QTc 610mSec

15歳からのコーラ飲料水を摂取歴
医学アドバイスにより4.1 mmol/Lと回復し、TQcは430 msecとなった。

文献上6つのコーラ過剰摂取報告あり、横紋筋融解、不整脈の他、TdTの1例死亡。
高濃度のフルクトースコーンシロップは腸管からの水吸収を抑制し、下痢を生じ、体内へのカリウムを排泄させること。加えてコーラ中カフェインが腎臓のへンレの係蹄へ影響を与え、再吸収によるK吸収を減少させることが考えられた。




2つめの要約では、88歳父親と、27歳の息子が嘔吐、dizzinessで同時救急受診。
心電図にて完全房室ブロックと心房粗動で心室rate低下を示した。

3日連続朝トルコ黒海沿岸の蜂蜜を大量摂取。”mad honey poisoning”を疑った。
 グラヤノトキシン(grayanotoxin)は、ロードデンドロン類のponticumやluteumの果汁に含まれる。グラヤノトキシンは神経毒で、細胞膜のNaチャンネル結合性で、興奮と脱分極継続性に働く。(日本でもホツヅキ由来蜂蜜の食中毒が問題になる)


”mad honey poisoning”は一般的に24時間症状継続はなく、めまい、脱力、吐気、嘔吐、多汗、大量唾液、異常知覚を含む軽症症状。より重症例は失神、痙攣、完全房室ブロック、致死的頻拍性不整脈(粗動)。
特異的解毒剤は存在しないが、アトロピンや選択的M2ムスカリニック受容体拮抗剤で対処。一時的ペースメーカーや昇圧剤対処が重症例では必要となる。


noteへ実験的移行

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