2018年6月12日火曜日

安定期心不全でのビタミンB12値の意味I

安定期心不全患者において、ビタミンB12高値の評価は、直接ビリルビン値とともに解釈しましょう
ひょっとしたら、cardiohepatic syndromeを示唆しているに過ぎない可能性があるから・・・


Elevated levels of vitamin B12 in chronic stable heart failure: a marker for subclinical liver damage and impaired prognosis
Therapeutics and Clinical Risk Management  2018:14 Pages 1067—1073
DOI https://doi.org/10.2147/TCRM.S164200

心不全129名連続患者と対照 50名比較

ベースラインビタミンB12値は右心不全有無にかかわらず有意に対照より高値
(心不全有り・右心不全無し 311 vs 心不全有り・右心不全無し 235 vs 対照 198 pg/mL)

葉酸は両群同様

単変量解析にて、年齢、駆出率、左房サイズ、推定GFR、直接・関節ビリルビン濃度は有意にビタミンB12濃度と相関

多変量解析にて、ビタミンB12値と独立相関因子は直接ビリルビン (R 0.51 , p < 0.01、年齢 R 0.19 P < 0.028)

ビタミンB12中央値はその後生存比較で死亡者では高値
葉酸では差を認めない




ROC解析にて ビタミンB12値 270 pg/mL以上で全死亡率推定感度 80%、特異度 58% (曲線下面積 0.67, 95% CI 0.562-0.781 p=0.003)

しかし、Cox回帰分析にて、左房径、直接ビリルビン、abdominaojugular reflexの存在のみが死亡予測要素



結論:ビタミンB12増加は心不全安定期患者において、右心不全に基づく直接ビリルビン増加と相関し、cardiohepatic syndromeを示唆する。しかし、ビタミンB12値も葉酸値も死亡と関連せず




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