2013年4月30日火曜日

【英国】インフルエンザAでは喘息患者の方が重度アウトカム比率少ない;吸入ステロイド使用、早期入院対策されるため

“季節型”インフルエンザでは、高齢、5歳未満若年、妊娠とともに、さらに心疾患・糖尿病・腎疾患等ともに、喘息は高リスク群の代表(http://www.cdc.gov/flu/about/disease/high_risk.htm)。

だが、喘息患者ではむしろアウトカム悪化が少ないという矛盾が知られている。それはなぜか・・・


75UKの病院、1520名の後顧的検討
インフルエンザA/H1N1確認例で、多変量モデルを用いて、喘息と重度アウトカムの関連性の理由付け研究。

喘息状態では、非喘息状態に比べ、重度アウトカムとなる場合すくない
(11.2% vs 19.8%, 非補正OR 0.51, 95% CI 0.36-0.72
しかしながら、入院時酸素必要率は多く( (36.4% vs 26%, 非補正 OR 1.63))、肺炎率は同程度(17.1% vs 16.6% , 非補正オッズ比 1.04)

多変量ロジスティック回帰の結果、喘息における良好なアウトカムとの相関(補正 OR 0.62, 95% CI 0.36–1.05; p=0.075)は、入院前吸入ステロイド(補正 OR 0.34, 95% CI 0.18–0.66) 及び入院の早期化 (≤4 days from symptom onset) (補正 OR 0.60, 95% CI 0.38–0.94)により良好な結果となったと思われる。
喘息患者において、全身性ステロイドは重度アウトカム尤度減少と関連(補正 OR 0.36, 95% CI 01.8-0.72)



Differences between asthmatics and nonasthmatics hospitalised with influenza A infection
Puja Myles, et. al.
Influenza Clinical Information Network (FLU-CIN)
ERJ April 1, 2013 vol. 41 no. 4 824-831


みのもんたの朝の番組見てたら、政治家とともに、みのもんたのような著名人も優先接種にすべきと、民主党の議員が言っていた。ほんとに馬鹿な番組・・・

新型インフルエンザの時、真に優先接種すべきは、スプレッダーだった中学高校生だったのではないかと思う。

また、喘息患者をほんとに優先接種から外すかは非ワクチン群との対比が必要だろう。他の基礎疾患においても優先接種に関して議論が必要だろう。

COPD患者リハビリテーション:筋肉内血管網増生・酸素供給反応・筋繊維種類変化・endurance能改善反応鈍い


COPD患者では、リハビリテーションによる、筋肉内血液供給的血管変化、およびそれに伴う症状制限性酸素消費量増加も鈍く、筋繊維のtype switch変化のその反応が鈍い。

要するに、COPD患者はリハビリテーション効果に関しては時間がかかる。


Blunted muscle angiogenic training-response in COPD patients versus sedentary controls
Eur Respir J 2013 41:806-814



COPD患者の骨格筋の障害により運動能力低下を生じる。他の慢性疾患と同様、トレーニング後の筋繊維酸素化、微小血管のangioadaptation(血管適応)がこれらの患者では鈍化する。
故に、 24名の COPD患者と、23名のsedentary healthy subject(SHS):運動不足(中等・高度運動週150分未満)健康対照と、筋肉の機能応答と血管適応を比較
個別中等度強度endurance trainingベースの6週間リハビリテーションプログラム
組織病理筋検査、proangiogenic vascular endothelial growth factor(VEGF)-Aと抗-angiogenic thrombospondin(TSP)-1をトレーニング前後で測定
COPD 患者と、SHSは、症状上限酸素消費量、筋肉のendurance改善
しかし、COPD患者ではその改善度低い (+0.96±2.4 versus +2.9±2.6 mL·kg−1·min−1, p<0 .05="" and="" p="0.06)</blockquote" versus="">
capillary-to-fibre (C/F) 比は、COPD患者でその増加比率低い  (+16±10% versus +37±20%, p<0 .05="" blockquote="">
さらに、COPD患者では筋繊維のswitch生じない
COPD、SHSとも、VEGF-A/TSP-1比増加 (+65% versus +35%, p<0 .05="" blockquote="">
C/F比変化と、症状上限酸素消費量は相関  (r=0.51, p<0 .05="" blockquote="">

COPD急性増悪入院:うつ所見有無で予後関わる


うつ診断既往のない、COPD急性増悪(AECOPD)入院連続症例230名を前向きに検討

AECOPD受診時うつ症状ありの患者は、回復へのインパクト存在し、生命予後の悪さ、そして、AECOPD発生、AECOPD入院と関連する。

The impact of depressive symptoms on recovery and outcome of hospitalised COPD exacerbations
Eur Respir J 2013 41:815-823

うつ症状のある患者では、長期入院必要(mean±SD 11.6±3.7 versus 5.6±4.1 日間, p<0 .001="" blockquote="">
臨床的指標はAECOPD経過中改善するも、入院時うつ症状は有意に呼吸困難のインパクト(p<0 .001="" p="0.012)と関連<br">
1年後、うつ症状有りの患者はAECOPDとなりやすく (p < 0.001)、より急性増悪入院しやすい(p < 0.001)
多変量解析にて、うつ症状は、死亡率の独立した予後因子 (ハザード比 3.568, 95% CI 1.302–9.780) で、AECOPDリスク (IRR) 2.221, 95% CI 1.573–3.135)であり、AECOPD入院 (IRR 3.589, 95% CI 2.319–5.556)のリスクである。






【豪州】COPD患者のICUでの経年的変化・・・利用数増加、非侵襲的人工呼吸増加

オーストラリアでは、COPD患者でのICU比率増加
非侵襲的人工呼吸利用増加し、予後改善あり

オーストラリアのICU17施設、入室194,453名、11年間の後顧的報告

COPDのうち、8.6%
COPD有り症例でのリスク補正死亡率はCOPD無しに比べ高い。
COPDは独立した死亡率増加の因子で、人工呼吸遷延化・ウィーニング長期化と関連。
11年刊の臨床経過の間に、COPD急性呼吸不全悪化比率は、2/3ほど増加し、COPDコホート内の非侵襲的人工呼吸比率倍となり、同時に、COPDリスク補正死亡率は改善。

Prevalence and prognosis of COPD in critically ill patients between 1998 and 2008
ERJ April 1, 2013 vol. 41 no. 4 792-799


レチガビンの副作用:青色皮膚色素異常、網膜色素異常による視力異常

米国では、Potiga (ezogabine):ポティガ(エゾガビン)、国際的には、レチガビン [RTG ]で、従来の抗てんかん薬剤と異なるメカニズムで、KCNQ2-5 (K(v) 7.2-7.5) ion channelのpositive allosteric modulatorである。


blue skin discoloration、網膜色素異常による視力障害


FDA Drug Safety Communication: Anti-seizure drug Potiga (ezogabine) linked to retinal abnormalities and blue skin discoloration
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM349554.pdf








SSRIの周術的服用は、院内死亡率減少を含むアウトカム悪化・・・しかし、未知要素多く理由不明


SSRIの周術的使用が、手術の副事象的アウトカムに影響を与えるか?
この文献の、結論から言えば、一応、副事象イベント増やすが、未知部分の関与が大きいことが示唆される。
SSRI服用患者は肥満、肺疾患、甲状腺機能低下が多く(p<0 .0001="" .001="" 6.2="" br="" p="" vs="">
補正後、SSRIは院内死亡率(補正オッズ比, 1.20 [95% CI, 1.07-1.36])、出血 (1.09 [1.04-1.15])、30日内再入院(1.22 [1.18-1.26])オッズ高い。
propensity-マッチ化解析でも同じ結果。しかし、院内死亡率はうつ患者群で上記補正にて減少。
感度分析にて、未検討共役要素がかなり存在し、死亡率にかなり影響を与えていることがわかった。




Perioperative Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Risks for Adverse Outcomes of Surgery
Andrew D. Auerbach, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-7.



【英国】糖尿病患者眼検診 ・・・検診効果認めるが、軽症例では頻度少なくすることも可能? 

年次眼検診をイギリスでは2008年以降取り入れてるそうだが、この研究にてプログラム4年間での網膜症検出の変化を推定したところ、糖尿病患者の眼疾患尤度年次減少がみられた。


32,340名の2型糖尿病患者で、2008−2011年までの記録

sight-threatening diabetic retinopathy (STDR)の頻度を推定


Changes in Detection of Retinopathy in Type 2 Diabetes in the First 4 Years of a Population-Based Diabetes Eye Screening Program Retrospective cohort study
Alice S. Forster, et. al.
Published online before print April 25, 2013, doi: 10.2337/dc13-0130
Diabetes Care April 25, 2013

16,621名の初回検診経験者のうち、STDR頻度は2008年 7.1%、2011年6.4%と減少。

糖尿病期間比率の初回検診1年未満割合は、2008年では18.7%、2011年48.6%

2度目以降の検診では26,308名

初回軽症非増殖性網膜症患者では、2度目以降のSTDR比率は、2008年 21.6%から、2011年8.4%まで減少(年次減少 -2.2% [95% CI -3.3 〜 -1.0%])

初回検診非網膜症では、STDRは 2008年 9.2%から2011年 3.2%と減少 (年次減少 , -1.8% [-2.0 〜 -1.7) p < 0.001

減少傾向は、社会住民統計サブグループ内で同様

結論:住民ベースの糖尿病眼検診導入後、STDRのリスク減少群での該当住民比率が増加し、2回目以降のSTDR同定比率減少した。

noteへ実験的移行

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