2012年8月14日火曜日

抗菌用途トリクロサン:骨格筋・心筋への悪影響の可能性

環境への影響だけでなく、in vitroな知見だが、生体・人体への悪影響が示唆されたことは重要だろう。



分離筋肉試料での検討で、トリクロサン Triclosan (TCS)が、骨格筋 L-type Ca2+チャンネルとtype 1 ryanodine receptor (RyR1)チャンネル、心筋L-type Ca2+に与える影響が懸念される。

Triclosan impairs excitation–contraction coupling and Ca2+ dynamics in striated muscle
PNAS August 13, 2012 Published online before print August 13, 2012, doi: 10.1073/pnas.1211314109



抗菌石けん、うがい、脱臭剤、まな板などに使用されている抗菌仕様目的トリクロサン使用許可を見直すべきと主張。ヒトでの影響を検討すべきと警告。

トリクロサンへの懸念は新しいものではないとのことだそうで、Pessahのチームは生殖ホルモンとの関連、脳の活動との関連を懸念していたとのこと。
Ahn KC, Zhao B, Chen J, Cherednichenko G, Sanmarti E, Denison MS, Lasley B, Pessah IN, Kultz D, Chang DPY, Gee SJ, Hammock BD. 2008. In Vitro biologic activities of the antimicrobials triclocarban, its analogs and triclosan in bioassay screens: Receptor-based bioassay screens. Environmental Health Perspectives, 116(9).
ホルモン撹乱なんたらと・・・騒ぐお話の元の一つになっている。




医療の現場へのトリクロサンの売り込み盛んになっており、上記 報告は気になるところである。


関連:
抗菌グッズは無駄だから買うな・・・アメリカ医師会は使用注意を喚起 2004年 03月 03日

衛生仮説:トリクロサン高濃度ほど小児のアレルギー疾患増加、成人ではBPAによる免疫系へ影響? 2010年 11月 29日

スタチンの副作用としての疲労感、労作性疲労 ・・・ 女性に多い。親水性スタチンで少ない?

スタチンの副作用としての疲労感、労作性疲労 ・・・ 臨床上重要なのに、この雑誌、要約すら閲覧困難にしている。他意でもあるのだろうか・・・AMA配下の雑誌なのに・・・


Effects of Statins on Energy and Fatigue With Exertion: Results From a Randomized Controlled Trial.
Arch Intern Med. 2012 Aug 13:1-2. doi: 10.1001/archinternmed.2012.2171.


subscribeしてないので、要約すら入手できず・・・


解説:http://www.theheart.org/article/1412605.do


シンバスタチンとプラバスタチン中量量で、疲労感(tireness)、労作性疲労(exertional fatigue)関連するという、スタチン副作用観察のためのランダム化研究からの知見

1016名(男性 692、女性 324)、LDL 115-190 mg/dL、既存心血管疾患・糖尿病なし

シンバスタチン 20mg、 プラバスタチン 40mg 、プラシーボ6ヶ月間使用

“energy”、“fatigue with exertion”の調査は、“ほぼない(-2)” から “かなりある(+2)” の5ポイントスケール 自覚症状記載

スタチン使用にて、エネルギー上の副作用と労作性疲労との関連認め、男性より女性に多い


男女:
・プラシーボ - 0.06 
vs 
・ スタチン - 0.21 p=0.005
・ シンバスタチン -0.25 p=0.002
・ プラバスタチン -0.17 p=0.06
女性:

・プラシーボ - 0.08 
vs 
・ スタチン  - 0.39 p=0.01
・ シンバスタチン - 0.47 p=0.004
・ プラバスタチン - 0.31 p=0.07
シンバスタチン(リポバスなど)は有意差を示すが、プラバスタチン(メバロチンなど)は有意差示さず
(親水性:プラバスタチン・ロスバスタチン vs 親油性 アトルバスタチン・フルバスタチン・シンバスタチンの関連性はこれだけでは分からない)

EnergyFatigEx scoreのロジスティック回帰解析では、平均差 スタチン -0.51、 シンバスタチン -0.68、 プラバスタチン 0.33でいずれも有意差有り


著者らによれば、スタチン服用者の20%-40% に疲労を感じると推定されるとのこと


著者らは、エネルギー減少と活動性とに有意な関連を確認、これが、心血管臨床イベント増加に関連するかもしれないと述べている。

疲労感、即、処方変更すべき なのか、どうか分からない。

だが、QOLやwell-beingに影響を与えるため、処方時考慮されるべき副作用である・・・そういう認識が必要

高感度トロポニンT(TnT hs)の、rule-in、 rule-out、 observational zone分析



高感度トロポニンT(TnT hs)
高感度心筋トロポニンT検査 :心筋梗塞早期診断 連続3時間測定でほぼ確認 2011年 12月 28日
高感度心臓トロポニン検査の急性心筋梗塞早期診断の優秀性 2009年 08月 27日

胸痛外来での検討


ベースラインのhs-cTnT(高感度心筋トロポニン)を用いた単純なアルゴリズムと1時間内の絶対的変動観察で、未選択急性胸痛患者の77%を安全に急性心筋梗塞から除外できる。この新しい戦略は、4名中3名で、その後のモニタリング及び連続血中サンプリングが必要ということを意味する。


One-Hour Rule-out and Rule-in of Acute Myocardial Infarction Using High-Sensitivity Cardiac Troponin T
Arch Intern Med. Published online August 13, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.3698
 High-sensitivity cardiac troponin (hs-cTn) assayは、急性心筋梗塞の rule in / rule out迅速判断としてのベストな使用法は不明だった

未選別急性胸痛患者872名の前向き多施設研究、30日間のプライマリ死亡予後エンドポイントにて検討

最終診断 急性心筋梗塞 17%

rule-out: 259(60%)

rule-in: 76(17%)

1時間経過obserbational zone: 101(23%) 


rule-outのための感度、NPV値は100%、 特異性、PPV値はそれぞれ97%、84%

rule-inに関しては observational zoneでは、AMI 8%

30日間累積生存率 は、 rule-out、 observational zone、 rule-inでそれぞれ、99.8%、98.6%、95.3%(P<.001)


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note