2013年3月5日火曜日

RLS治療:システマティックレビュー・メタアナリシス

日本神経治療学会/標準的神経治療:Restless legs 症候群 2012年1月
http://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/restless.pdf
1.ドパミンアゴニスト
・非麦角系 :プラミペキソール、ロピニロール、タリキペソール
・麦角系 カベルゴリン
2.L-DOP/DCI製剤
3.BZ系:クロナゼパム
4.抗けいれん薬:ガバペンチン
5.オピオイド
6.鉄剤
が、薬物療法代表的薬剤となっているが、プラミペキソールのみが保険適応
(ビ・シフロール錠0.125mg/ ビ・シフロール錠0.5mg)

上記では、抗けいれん薬としてガバペンチン記載されてるが、下記では、カルシウムチャンネルα2δリガンドとして、プレガバリンとともに標記。

"Pharmacologic therapy for primary restless legs syndrome:
a systematic review and meta-analysis"
Wilt T, et al
JAMA Intern Med 2013; DOI: 10.1001/jamainternmed.2013.3733.
29の登録RCT、高強度エビデンスは臨床的有意奏功患者比率を、IRLS(International Restless Legs Syndrome)ベースラインからの50%以上と事前定義
プラシーボ比較でドパミンアゴニスト治療は奏功患者比率高い(61% vs 41%) (リスク比, 1.60 [95% CI, 1.38-1.86]; 7 トライアル)

ドパミンアゴニストはまた、患者報告睡眠スケールスコア・QOL測定値改善

カルシウムチャンネルα2δリガンドはIRLS奏功率増加の高強度エビデンス (61% vs 37%) (リスク比, 1.66 [95% CI, 1.33-2.09]; 3 トライアル)

吐気・嘔吐・眠気といったドパミンアゴニスト副事象関連性

α2δリガンド副事象イベントは、眠気と歩行不安定、めまい 



 http://www.psychiatrist.com/brainstorms/br6505jap.pdf
プレガバリン(リリカ)とガバペンチン(ガバペン)は、電位依存性シナプス前N型・P/Q型カルシウム チャネルの阻害により、活性ニューロンの神経伝達を減少させます。N型・P/Q型カルシウムチャネルでは、シナプス系神経伝達中に神経伝達物質放出が調整されます。すなわち、カルシウムがこれらのシナプス前チャネルを移動する際に、神経伝達物質が放出されるのです。プレガバリンとガバペンチンは、これらのシナプス前カルシウム チャネルの特定サブユニットに対し、高親和性結合をします。このサブユニットはα2δ サブユニットと呼ばれるため、これらの抗痙攣薬は α2δリガンドと呼ばれます。

マイスリー:老人介護施設転倒股骨折事故増加;新規使用、軽度・中等度認知症、移動部分介助者で影響大きい

zolpidem tartrate(マイスリー)、 eszopiclone(フルナイト)、 zaleplon(ソナタ)といった非ベンゾジアゼピン系薬剤

日本販売されてるのはマイスリーのみ
マイスリーは、転倒の独立した危険因子 ・・・ 即刻対処必要 2012/11/21
SMART療法で全国に喘息患者に迷惑をかけてるアステラス製薬販売の薬


股関節骨折のリスクは、ナーシングホーム居住者で、上記薬剤使用者に多い
そして、新規使用、軽度・中等度認知機能障害、移乗での部分介助必要者でもっともその影響が大きい
ナーシングホーム居住者において、これらの薬剤処方時には注意をすべき

Nonbenzodiazepine Sleep Medication Use and Hip Fractures in Nursing Home Residents
Sarah D. Berry,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-8. doi:10.1001/jamainternmed.2013.3795.

学術研究下症例交差研究
50歳以上の米国ナーシングホーム長期滞在居住者15528名(2007年7月1日から2008年12月31日)

研究登録者のうち、転倒事故前非ベンゾジアゼピン系睡眠薬服用 1715(11.0%)
リスク暴露無し 927を含み検討。

被験者平均(SD)年齢 81.0(9.7)歳、女性 77.6%
股関節骨折リスクは非ベンゾジアゼピン使用で多い  (OR, 1.66; 95% CI, 1.45-1.90)
非ベンゾジアゼピン睡眠薬使用と股関節骨折の相関は新規使用者に若干多い   (OR, 2.20; 95% CI, 1.76-2.74) 、軽度 vs 中等度・重度認知障害で多い  (OR, 1.86 vs 1.43; P = .06)、 中等度 vs 総・重度機能障害 で多い (OR, 1.71 vs 1.16; P = .11)、 移動時限定的介助必要 vs 完全介助必要で多い  (OR, 2.02 vs 1.43; P = .02)、 Medicaid病床の少ない施設で多い (OR, 1.90 vs 1.46; P = .05)
研究解釈上の問題点として、
・処方量情報無し
・基礎疾患関与の可能性

老人施設入所者に対するマイスリー処方に関しては 十分な配慮が必要とMedpage
http://www.medpagetoday.com/Geriatrics/Sleepdisorders/37651

マイスリー&高齢者でググると、薬剤師がいかに製薬会社の宣伝文句に左右されているかがよくわかる。「処方数が多いから目立つ」だの、中には「高齢者向き」だの・・・後者は販売時のアステラスMRの宣伝文句だったやつ。・・・これが未だに効いてるようだ。

発売当時の「藤沢薬品工業株式会社」の宣伝
藤沢薬品工業株式会社は、同社、サノフィ・サンテラボ株式会社ならびに藤沢サノフィ・サンテラボ株式会社の三社にて共同開発した入眠剤「マイスリー錠」(一般名:酒石酸ゾルピデム)を12月13日に、新発売しますのでお知らせします。

 従来、不眠症治療の第一選択薬としてはベンゾジアゼピン系睡眠薬が使われていますが、中枢神経系にはこれらの薬剤に高い親和性を示すω(オメガ)受容体と呼ばれる受容体があります。ω受容体には2つのサブタイプがあり、ω1受容体は催眠鎮静作用に、ω2受容体は抗痙攣作用、抗不安作用及び筋弛緩作用に深く関与しているものと考えられており、不眠症の治療にはω1受容体に選択的に作用する薬剤の開発が待たれていました。
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/fujisawa/001211b.html
「ω1選択性=筋弛緩作用無し」と信じ込む人に良い医師・薬剤師さんたちが・・・未だに、転倒事故を誘発させている。

結論としては、アステラス製薬の営業は優秀だということ。そして、悪害を振りまく効果も抜群・・・。
「喘息発作がでたらシムビコート吸ってたら大丈夫ですよ」って言う(ベースの吸入ステロイド使用の重要性無視した)馬鹿医者を大量生産しつつあるのもここの営業活動が優秀なおかげ・・・。


経口ステロイドでも、急性膵炎リスク増加 投与4-14日めがリスク最大

GLP-1アナログ製剤も、DPP4阻害剤も急性膵炎入院と関連 2013年02月26日 の同月同雑誌記載の報告

経口ステロイドでも、急性膵炎リスク増加

住民ベース症例対照研究
6161名の急性膵炎と、61637名の対照
急性膵炎リスクは経口ステロイド現行使用vs非使用者で、オッズ比 1.53:95% CI, 1.27-1.84
薬剤使用4日〜14日で最もリスクが高い(オッズ比 1.73、95%CI, 1.31-2.28)で、その後はリスク減少
最近ステロイド使用とか、かつての使用とかは、リスク増加と関連せず

Association of Oral Glucocorticoid Use With an Increased Risk of Acute PancreatitisA Population-Based Nested Case-Control Study
Omid Sadr-Azodi, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2737.


発熱性好中球減少症:FNガイドライン遵守 抗生剤使用に関しては病院・医師の経験により改善 しかし ガイドラインにない治療も・・・

発熱性好中球減少症(FN)
日本では、「発熱:1回の腋窩温 37.5度以上または口内温 38度以上、好中球減少 1000/μLで、500/μLに減少することが予測される場合」と定義されているらしい

20120426 日本臨床腫瘍学会 発熱性好中球減少症ガイドライン ドラフト版

もちろん、対象は、日本のガイドラインじゃなくて、IDSAのガイドラインの方
http://www.idsociety.org/uploadedFiles/IDSA/Guidelines-Patient_Care/PDF_Library/FN.pdf
 Vancomycin (or other agents active against aerobic gram-
positive cocci) is not recommended as a standard part of the
initial antibiotic regimen for fever and neutropenia (A-I)
CSFs are not generally recommended for treatment of
established fever and neutropenia (B-II)
要するに、バンコマイシンもCSFも標準治療としては認められてない。

これを前提に、「ガイドラインベースの抗生剤使用頻度は高いが、ガイドラインにない治療であるバンコマイシン・GCSFの使用頻度が高い。医師や病院要素により、ガイドラインベース及び非ガイドラインベースの治療に影響を強く及ぼしている」

Deviations From Guideline-Based Therapy for Febrile Neutropenia in Cancer Patients and Their Effect on Outcomes
Jason D. Wright, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-10. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2921.

ガイドラインベース推奨コンプライアンス調査

FN受診25231名のうち、ガイドラインベースの抗生剤使用は79%
バンコマイシン37%、GCSF 63%

FN volumeの高い病院 (odds ratio [OR], 1.56; 95% CI, 1.34-1.81) 、FN-volumeの高い医師  (OR, 1.19; 95% CI, 1.03-1.38)  、ホスピタリスト管理患者 (OR, 1.49; 95% CI, 1.18-1.88)で、ガイドラインベースの抗生剤使用が多い(p < 0.05)。

バンコマイシン使用は2000年17%から2010年55%へ増加
GCSF使用は 73%から55%へ減少

低リスクFN患者において、ガイドラインベースの抗生剤適正開始は、ナーシング施設への転院及び死亡減少と関連 (OR, 0.77; 95% CI, 0.65-0.92 、OR, 0.63; 95% CI, 0.42-0.95)







抗酸化ビタミンサプリメントは、主要心血管イベント、心筋梗塞、卒中、総死亡、心血管死へ無影響・無効果

サプリメントで予防効果なしと断定されると困る人たちが多いからだろう・・・随分前からこの種のビタミンの有益性って否定的なのだが、ゾンビのごとく繰り返す有効性妄想 (NIHコンセンサスステートメント: マルチビタミン・ミネラルサプリメント(MVM) 2006年 08月 01日)


ここで言う抗酸化ビタミンは、ビタミンE、βカロテン、ビタミンC

血中抗酸化ビタミン 濃度増加には有効だが、実際の予防効果に関して疑問が持たれていた。多くのトライアルデータにてその予防効果は明確になってない。
いくつかの大規模トライアルがなされそれを含むメタアナリシスがなされ、改めて、効果無きことが証明された。

Effect of Antioxidant Vitamin Supplementation on Cardiovascular Outcomes: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
Ye Y, Li J, Yuan Z (2013)
PLoS ONE 8(2): e56803. doi:10.1371/journal.pone.0056803

 PubMed、 EmBase、 Cochrane Central Register of Controlled Trials、 参照文献主要参照検索

 心血管系アウトカムへの抗酸化ビタミンの効果プラシーボ比較の報告に関するランダム化対象トライアルを登録
解析アウトカムは主要心血管イベント、心筋梗塞、卒中、心死亡、総死亡、可能性ある副事象
12の統計にてトライアル間heterogeneity計算、randam-effect meta-analysisにて 心血管疾患アウトカムリスク推定
2名のレビューアーにより独立した抽出、そしてコンセンサスに達した

293の独立した研究のうち、15トライアル、188209被験者を含む

これらの研究中、主要心血管イベント 12749、 心筋梗塞 6699、 卒中 3749、 総死亡 14122、 心死亡 5980

抗酸化ビタミンサプリメントは、プラシーボに比較し、主要心血管イベント (RR, 1.00; 95%CI, 0.96–1.03)、心筋梗塞 (RR, 0.98; 95%CI, 0.92–1.04)、 卒中 (RR, 0.99; 95%CI, 0.93–1.05)、総死亡 (RR, 1.03; 95%CI, 0.98–1.07)、 心血管死亡 (RR, 1.02; 95%CI, 0.97–1.07)、血管再建  (RR, 1.00; 95%CI, 0.95–1.05)、総 CHD (RR, 0.96; 95%CI, 0.87–1.05)、 狭心症 (RR, 0.98; 95%CI, 0.90–1.07)、 うっ血性心不全 (RR, 1.07; 95%CI, 0.96 to 1.19)


【結論】抗酸化ビタミンサプリメントは、主要心血管イベント、心筋梗塞、卒中、総死亡、心血管死へ無影響・無効果

サプリメント業者さんたちにとって、効果無いだけで良かったのでは・・・
抗酸化物質だけを大量にとると酸化促進物質として溜まる 2011年 06月 09日
寿命を短くしたければビタミンE大量サプリメントをどうぞ 2004年 11月 11日

実害の可能性も示唆されているだけに・・・


無効かなのに、サプリメント・ビタミン購入摂取する意味あるのだろうか?
世の中には金をどぶに捨てたい人が多い

noteへ実験的移行

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