2020年3月5日木曜日

アルドステロン過剰産生腺腫の遺伝的・細胞・分子学的heterogeneity

無治療高血圧患者で立て続けにPAC/PRA高値例経験している

この通り進めると、高血圧患者のかなりの頻度で、確認試験、副腎CT検査が必要となる
https://clinicalsup.jp/contentlist/365.html

全国各地であまねく機能確認検査・CTが行われているのだろうが・・・

そういうことで、気になっので 論文報告を垂れ流し・・・(頭の整理ができない状態で垂れ流し・・・)

主たる変異はあるようだが、heterogeneityの多い疾患のようだ・・・

Genetic, Cellular, and Molecular Heterogeneity in Adrenals With Aldosterone-Producing Adenoma
Kelly De Sousa, et al.
https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/HYPERTENSIONAHA.119.14177
open article

<序文>
原発性アルドステロン症は頻度の多い二次性高血圧としてプライマリケア施設で約5%、レファレンス・センターでは約10%で、アルドステロンレベル増加、血症レニン抑制、しばしば低カリウムと関連し、アルドステロン産生腺腫(APA: Aldosterone-producing adenoma)が原発性アルドステロン症のサブタイプとして多い。
KCNJ5 (coding for the potassium channel GIRK4 [G protein-activated inward rectifier potassium channel 4])、ATP1A1 (coding for the α1 subunit  of the Na+ /K+-ATPase)、ATP2B3 (coding for PMCA3, plasmamembrane Ca2+-ATPase type 3)、 CACNA1D (encoding theCav1.3 voltage-dependent calcium channel) のヘテロ接合変異がAPAで同定されている。細胞内カルシウム濃度の増加とカルシウムシグナル伝達の活性化をもたらし、アルドステロンシンターゼをコードするCYP11B2の発現を増加させることにより、アルドステロン産生を促進している。 
β-カテニンをコードするCTNNB1の変異はAPAの症例の2%から5%で同定され、familial hyperaldosteronism type II (FH-II)や早期発症原発性アルドステロン症において、 chloride channel ClC-2 (chloride channel protein 2) をコードするCLCN2の体細胞変異が一つのAPAで確認されている 
APAの多細胞変異出現率はmutational hot spot報告から54%と想定されているが、CYP11B2 immunohistochemistry-guided next-generation sequencing (NGS) を適用しt場合体細胞変異はAPAの88%以下であった。
体細胞変異がAPA発症に完璧に関与しそのためアルドステロン過剰産生、結節形成しているかは不明である一方、APAが正常の副腎にみられる副腎構造、及びAPAのdriver gene mutationをもたらすaldosterone-producing cell clusters (APCCs)由来であることも示唆されている。体細胞変異を伴う可能性のあるAPCCからAPAへのpAATL(APCC to APA translational lesion)のdescriptionからこの仮説は裏付けられている。two-hit hypthesis、体細胞変異は事前に再構築された副腎皮質に生じる二次性イベントであるという仮説も存在。

(1)CYP1B2免疫組織化学ガイド下NGSによって評価された、APAを伴う副腎のアルドステロン産生構造のgenetic landscapeは?
(2)APAでよく知られている細胞および分子の不均一性は、遺伝的不均一性と関連するか?
(3)免疫組織化学ガイド下のNGS変異の検出は、以前に観察された臨床的、生物学的、病理学的パラメーターとの相関にどのように影響するか?


APAの副腎におけるアルドステロン産生構造の遺伝的、細胞的、および分子的不均一性を調査し、それらの開発を促進するメカニズムを洞察し、臨床的および生化学的相関を研究

49人の患者の副腎組織でPA、アルドステロン産生細胞クラスター、および二次結節の遺伝分析は、CYP11B2免疫組織化学に続く次世代シーケンシング検査

結論は患者の臨床的・生化学的特性、ステロイドprofile、腫瘍と近接副腎皮質の組織学的特性の相関性があるということ

APAの93.75%で体細胞変異あり、
KCNJ5 mutationを有する腺腫では、他のmutation群と比べ、よりclear cellが多く、CYP11B1発現細胞が多く、CYP11B2や活性化β-カテニン発現細胞が少ない
KCNJ5 mutationを有する患者では 18-hydroxycortisol と 18-oxocortisolが高く、腺腫の組織学的特性と一致する;しかし、ステロイドprofilingを使用したmutation予測はできなかった。


 KCNJ5-mutate腺腫はにおけるheterogeneousなCYP11B2発現はgeneticなheterogeneityとは相関せず

aldosterone synthaseを発現する二次結節と、腺腫の副腎からの独立したアルドステロン産生細胞クラスターで、さまざまな変異が同定された。5つのアルドステロン産生細胞クラスターで既知のKCNJ5変異が同定された。




COVID-19:空気、表面環境、感染防御装置のコンタミネーション

サンプル数が少ないが、対策上示唆に富む報告だと思う

ただウィルス培養がなされてないため、RT-PCR陽性すなわち、virulenceやpathogenicity、伝播性を意味しないわけで・・・解釈は困難

トイレ周りの環境は意外と見逃されてるかも
とくに、不特定多数の利用する環境のトイレなど注意が必要かも


Air, Surface Environmental, and Personal Protective Equipment Contamination by Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) From a Symptomatic Patient
Sean Wei Xiang Ong, et al.
JAMA. Published online March 4, 2020. doi:10.1001/jama.2020.3227
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762692





2020年1月24日から2月4日まで、3名の患者が、シンガポールにあるSARS-CoV-2アウトブレイク・センターへ空気感染隔離室(1時間に12回換気する部屋、控え室と浴室あり)へ入室、26ヶ所の表面環境サンプル採取。
病室入室医師からのPersonal protective equipment (PPE)も採取
消毒加湿咽頭スワブを用いた
空気サンプリングを SKC 大学ポンプを使用し2日施行(37 mm フィルターカセットと 0.3-μmポリテトラエチレンフィルター 4時間 5L/分)を部屋と控え室で行い、室外で Sartorius MD8 microbiological sampler (gelatin membrane filterを用い15分  6 m3/h) 使用
 
RNA-dependent RNA polymerase and E genesターゲットのreal-time reverse transcriptase–polymerase chain reaction (RT-PCR) でSARS-CoV-2検出
サイクル閾値、すなわち、で、抗ウィルス付加を示唆するより低値として定量化したRT-PCRの閾値を横断する蛍光シグナルを必要とするサイクル数




サンプルは2週間のうち5日採取。


1名の病室はルーチン・クリーニング前に採取し、2名の患者の病室はルーチンクリーニング後採取


高度接触エリアの1日2回のクリーニングを sodium dichloroisocyanurate 5000ppmで施行
床は1000 ppmで毎日クリーニング


臨床データ(症状、罹病日数、RT-PCR結果)とクリーニングのタイミングを収集し、サンプリング結果と相関する
陽性比率を環境スワブ陽性の部屋として計算
より多施設となる研究の一部となることを施設のレビューボードがインフォームドコンセントを承認済





結果:


患者Aの部屋は罹病日day 4、day 10でサンプル採取し、この間はルーチンのクリーニング後、有症状。すべてのサンプルでは陰性。


患者Bはday 8で有症状、day 11では無症状;これら2日でクリーニング後採取したサンプルは陰性







患者Cはルーチンのクリーニング前に採取し結果陽性で、部屋の15ヶ所のうち13ヶ所(87%)で陽性で、5ヶ所のトイレットの場所の内3ヶ所(toilet bowl、シンク、ドア・ノブ)(60%)
控え室や廊下は陰性。患者Cは肺炎ではないが下気道症状あり、2回の便サンプルでSARS-CoV-2 RT-PCR陽性で、下痢症状はなかった。患者Cはウィルス排出大きく、サイクル閾値は鼻咽頭サンプルで 25.69、対して 患者A 31.31、患者B 35.33であった

shoe front 表面から、Personal protective equipment (PPE) swab1つのみ陽性他の全てのPPEでは陰性
すべての空気サンプルは陰性

ディスカッション:

軽度の上気道病変を伴う1人のSARS-CoV-2患者による広範な環境汚染がありました。便器と手洗い台のサンプルは陽性であり、便中のウイルス排出が伝播の潜在的な経路である可能性が示唆された。洗浄後のサンプルは陰性であり、現在の汚染除去対策で十分であることを示唆しています。

環境汚染の程度にもかかわらず、空気サンプルは陰性でした。排気口から採取された綿棒は陽性であり、ウイルスを含んだ小さな液滴が気流によって置き換えられ、通気口などの機器に堆積する可能性があることを示唆しています。靴のカバーはPPEの推奨事項の一部ではないため、陽性のPPEサンプルは驚くことではありませんでした。準備室と清潔な廊下での否定的な結果が示すように、汚染された履物から伝染するリスクは低い可能性があります。

この研究にはいくつかの制限があります。まず、生存率を示すためにウイルス培養は行われませんでした。第二に、アウトブレイク中の運用上の制限により、方法論に一貫性がなく、サンプルサイズが小さかった。第三に、サンプリングされた空気の体積は総体積のごく一部に過ぎず、室内の空気交換は空気中のSARS-CoV-2の存在を希釈することになります。これらの予備的な結果を確認するには、さらなる研究が必要です。

SARS-CoV-2患者による呼吸器の飛沫や糞便による著しい環境汚染は、環境が感染の潜在的な媒体として示唆されており、環境および手指衛生の厳格な遵守の必要性をサポートしています。


EGFR阻害剤誘発皮疹に対するFGF7治療効果の可能性

New Insight on Preventing EGFR Inhibitor–Induced Adverse Effects
JAMA. 2020;323(9):814. doi:10.1001/jama.2020.0812
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762286


EGFR阻害剤治療
治療を開始してから数週間以内に、ほとんどの患者は顔と上の体幹に発疹を発症する。発疹は継続的な治療で広がり、かゆみを伴い、患者は二次感染や実質的な毛髪や爪の変化を経験する可能性があります。ほとんどの場合は軽度ですが、患者の最大17%の症状は、薬の服用量を下げたり、完全に服用を中止するのに十分な不快感を引き起こし・・・


Sibiliaのチームらは以前、皮膚にEGFRを欠いているマウス、またはEGFR阻害剤で治療されたマウスが毛包の異常および皮膚炎症を示していることを実証(. 2015 Oct-Dec; 2(4): e1004969. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4905346/)

EGFRが不在またはブロックされると、毛髪の噴火のプロセスが深刻な皮膚バリアの破壊を引き起こし、アトピー性皮膚炎に似た重度の皮膚疾患を発症する可能性がある




・・・・・・
これらのメカニズムを標的とする治療戦略として線維芽細胞増殖因子7(FGF7)を検討した。タンパク質は皮膚のケラチノサイト細胞上で高度に発現し、EGFRと同様のシグナル伝達経路を活性化する。期待されるように、FGF7を有するEGFR欠損マウスを予防的に治療し皮膚バリアを保存し、炎症を遮断した。


FGF7-based drug called palifermin ;パリフェルミン (日本未発売?)
https://www.kegg.jp/entry/dr_ja:D05338





高血圧:prescribing cascade: カルシウム拮抗剤第1選択時注意を

住民ベースコホート41,086名の高血圧症高齢者で、新規カルシウム遮断剤(CCB)処方は有意にループ系利尿剤処方率増加をもたらす


序文から

Adverse drug events (ADEs) (eg, CCB-induced edema) that are misinterpreted as new medical conditions and can be associated with subsequent prescription of a potentially unnecessary drug therapy have been described as prescribing cascades.

prescribing cascadeとは、医療状態を誤認し不要薬剤処方と関連する可能性のある事態で、カルシウム遮断剤(CCB)による末梢性浮腫を利尿剤で対応しようとして降圧利尿剤を追加する状態

CCBは末梢性浮腫を2−25%程生じ、最も使用されることの多いアムロジピンが多く、nonDHP CCBや新規lipophilic DHP CCBで生じやすい




Evaluation of a Common Prescribing Cascade of Calcium Channel Blockers and Diuretics in Older Adults With Hypertension
Rachel D. Savage, et al.
JAMA Intern Med. Published online February 24, 2020. doi:10.1001/jamainternmed.2019.7087
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2761272

高血圧高齢者(66歳以上)
CCB 6,6494名新規41,086名 vs 他の降圧薬 66,494 、薬物療法無し 231,439名

指標日(調剤日など)で、平均年齢 74.5(SD, 6.9)歳で、女性 191 685 (56.5%) 
CCB新規調剤された場合90日でのループ利尿座位調剤累積頻度は対照群2群より高率 (1.4% vs 0.7% and 0.5%,P< .001)

補正後CCB新規調剤者では、ループ系利尿剤調剤率はACE阻害剤、ARBに比較して多い
(HR, 1.68; 95% CI, 1.38-2.05 指標日30日 [days 1-30]; 2.26; 95% CI, 1.76-2.92 その後30日 [days 31-60]; 2.40; 95% CI, 1.84-3.13 3ヶ月フォローアップ [days 61-90])




浮腫を気にするような人には最初から他薬剤選択をする。特に、立ち仕事や座位長時間女性では・・・という配慮があればescape少なくなると思うけど(知らんけど


noteへ実験的移行

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