2013年1月23日水曜日

LoDoCoトライアル:コルヒチン 二次予防効果

ケアネットでは、この論文のAHA発表分・・・紹介されてるようだ・・・

日本でほとんど報道されなかった驚愕のインパクト、冠動脈疾患の二次予防に対するコルヒチンに迫る!
http://www.carenet.com/news/general/carenet/33017
 
なかなかの衝撃ぐあいではある・・・


Low-Dose Colchicine for Secondary Prevention of Cardiovascular Disease
Stefan M. Nidorf, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2013;61(4):404-410. doi:10.1016/j.jacc.2012.10.027

前向きランダム化交叉盲検エンドポイントデザイン

532名の安定冠動脈疾患(アスピリン and/or クロピドグレル 93%、スタチン 95%服用)

コルヒチン 0.5 mg/日と、非コルヒチン投与で、中央値3年間経過フォロー

プライマリアウトカムは急性冠症候群、院外心停止、非心臓代謝性虚血性卒中

プライマリアウトカム
・ コルヒチン群 15/282
・ 対照群 40/250
ハザード比 0.33 95%信頼区間 0.18-0.59 P<0.001
NNT 11

事前選別セカンダリon-treatment解析で、32名(11%)を除外(腸管不耐症による30日以内中断、治療開始しない7例除外)でプライマリアウトカムは 4.5% vs 16%
ハザード比 0.29;95%CI 0.15-0.56;P<0.001)


Freedom from the primary outcome (acute coronary syndrome, out-of-hospital cardiac arrest, or noncardioembolic ischemic stroke) by treatment. CI = confidence interval; HR = hazard ratio.

“post-hospital syndrome”:高齢者では入院が次の入院を誘発する



心不全、急性心筋梗塞、肺炎入院後30日めの再入院率減少のための戦略ガイド改善のため、再入院診断、再入院タイミング、患者年齢、性別、人種の検討が必要。
2007-2009年のmedicare fee-for-service(個別医療費用)解析


特定の高齢者は、入院をすると、退院後も次の入院を生じやすい

老人は一度入院すると新しい病気を引き起こし、退院後数日から数週間後して再入院を生じる。5分の1程度が退院後30日以内に再入院となる。


これが新しい知見だという(http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/01/22/patients-post-hospital-syndrome/1853813/)

彼らは、“必ずしも初回入院病名再燃ではなく、多くの場合は、新しい問題が生じたためであり、入院というトラウマから生じたもの”と表現している。
たとえば肺炎入院から始まった患者は、退院後体力低下し、転倒し、骨折を生じやすくなる。

いわば、“post-hospital syndrome”と名付けられるかもしれないと・・・


Diagnoses and Timing of 30-Day Readmissions After Hospitalization for Heart Failure, Acute Myocardial Infarction, or Pneumonia FREE
Kumar Dharmarajan,  et. al.
JAMA. 2013;309(4):355-363. doi:10.1001/jama.2012.216476.

2007年から2009年

退院後30日め再入院比率、累積期間(day 0-3、0-7、0-15、0-30)で生じる最頻度再入院病名、そして連続入院期間(day 0-3、4-7、8-15、16-30)で調査
再入院診断病名毎の再入院までの期間
人種的特性、再入院診断名、タイミングとの関連を検討


・心不全入院 1,330,157の後、30日めの再入院 329,308を認めた(再入院率 24.8%)
・急性心筋梗塞入院  548 834の後、30日目再入院 108,992 を認めた(再入院率 19.9%)
・肺炎入院 1,168,624の後、30日目再入院 214,239を認めた(再入院率 18.3%)


これらの病態全体での再入院比率では、心不全入院を指標とする場合 35.2%、同様に、急性心筋梗塞入院を指標とする場合 10.0%、肺炎入院指標では 22.4%。

すべての30日内再入院のうち、15日以内が多く、心不全コホート 61.0%、急性心筋梗塞コホート 67.6%、肺炎コホート 62.6%

再入院診断の多様なスペクトラムは退院後の累積・連続期間でも同様に広汎。
30日間の再入院中央値は心不全 12日、急性心筋梗塞 10日、肺炎 12日
これらは、共通の再入院診断となる。
再入院診断やタイミングは年齢、性別、人種に関してばらつきなし




現場の人間なら知ってることだと思う。厚労省の役人や政治家や“国民会議”の出席者は知らない。


この“病院による入院誘発症候群”は、再入院による入院料費用の逓減ということで、再入院を受け入れた病院側にペナルティーが行く・・・

慢性腎臓病: 副甲状腺ホルモン高値は心機能バイオマーカー、左室心筋量増加と関連をもつ

ビタミンD(25(OH)D)はこのコホートの場合は心血管バイオマーカー・左室心筋量と関連せず

慢性腎臓病患者のみに見られる現象として、PTH高値の場合のBNP、心筋トロポニン、左室容積量の増加が見られた。


Relation of Vitamin D and Parathyroid Hormone to Cardiac Biomarkers and to Left Ventricular Mass (from the Cardiovascular Health Study).
Am J Cardiol. 2013 Feb 1;111(3):418-24. doi: 10.1016/j.amjcard.2012.10.021. Epub 2012 Nov 17.
ビタミンDと副甲状腺ホルモン(PTH)は、腎疾患患者及び一般の心血管健康への影響を与えるかもしれない。
血中25(OH)DとPTH濃度の、心臓構造・機能としての生化学、心電図、心エコー上の相関をCardiovascular Health Studyで検討

ベースラインで心血管疾患無しの2312名の被験者
73.9±4.9歳、女性 69.7%、CKD 21%(GFR<50ml blockquote="">
血中25(OH)Dとintact PTH濃度をmass spectrometry と 2-site immunoassayで測定

NT-pro-BNP、心トロポニンT、心電図伝導異常、左室容積量・拡張能の心エコー上の測定値をアウトカムとする

補正25(OH)D値は、生化学、伝導、心電図アウトカムと関連せず

CKD患者において、血中PTH≧65 pg/mlは、NT-porBNP、心トロポニンT、左室容積量と相関する

回 帰係数: 120 pg/ml (95% 信頼区間 36.1 to 204), 5.2 pg/ml (95% 信頼区間 3.0 to 7.4), and 17 g (95% 信頼区間 6.2 to 27.8) (p <0 .001="" br="">
正常腎機能者では、PTHはアウトカムと関連せず

結論:CKD老人において、PTH過剰状態はNT-proBNP、心筋トロポニン、左室容積量と相関する。
PTHの心血管健康状況との関連性、心疾患予防との関連性を示唆する知見が得られた

入院前ビタミンD欠乏・不足は、冠動脈バイパス手術の90日目の死亡率増加と関連

CCMの話題で、またかのビタミンDと心血管疾患リスクについての話・・・寄与要素補正が後顧的報告のため重要

そして、ビタミンDサプリメント投与の是非に関してはこれでは結論は出ないことも重要


後顧的コホート研究
入院前25(OH)D欠乏はCABG後の死亡率と相関する

日本ではなく、ボストンのBrigham and Women's Hospitalの報告らしい


Moromizato T, et al "Pre-hospital serum vitamin D levels and mortality following coronary artery bypass grafting" SCCM 2013; Abstract 38. 
http://journals.lww.com/ccmjournal/Abstract/2012/12001/38___Pre_Hospital_Serum_Vitamin_D_Levels_and.41.aspx


入院前25(OH)D欠乏は90日死亡率の予測因子となる

非欠乏者にくらべた時のCABG後90日めの死亡率オッズ比
欠乏  OR = 5.80 (95%CI, 1.33-25.21;p=0.02)
不足  OR = 4.17 (95%CI, 1.10-15.77;P=0.04)

年齢、性別、人種、急性腎障害、急性心筋梗塞、CABG前ヘマトクリット値、GFR、Deyo-Charlson index補正後も90日目死亡率有意予後因子として維持
欠乏 補正OR = 5.61 (95%CI, 1.17-26.9;p=0.03)
不足 補正OR = 3.87 (95%CI, 0.98-15.24;p=0.05)

ビタミンDと死亡率の相関は、心肺バイパス、合併弁膜症手術、再手術状態で、境界的に寄与を認めなかった



ビタミンD濃度と心血管疾患リスク: 血中濃度に閾値存在 25(OH)D濃度測定が必要・・・ 2012/11/17

PHSII: マルチビタミン 心血管疾患予防効果認めず 2012/11/06

食道癌に関し、化学療法がセカンドラインとして有効かもしれない

食道癌に関し、化学療法がセカンドラインとして有効かもしれない

症状治療のみにくらべ、セカンドラインであるドセキタキセルを用いた化学療法で40%もの生存率改善する(全般生存期間 5.2ヶ月 vs 3.6ヶ月)という報告

腫瘍型、年齢、性別問わず、ベネフィット持続

Ford H, et al "Cougar-02: A randomized phase III study of docetaxel versus active symptom control in advanced esophagogastric adenocarcinoma" GiCS 2013; Abstract LBA4.

Hugo Ford, MD, (Addenbrooke's Hospital in Cambridge )らが、“Gastrointestinal Cancers Symposium”に先立ち、プレスブリーフィング。

情報ソース:
http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/OtherCancers/36958

外部審査・ある程度の対象数により、ARDSへのオシレーション換気治療効果否定的

ARDSは"volume swing"あるいは"pressure swing"にて悪化するということで、理論上は高頻度オシレーション換気(HFOV)は肺保護的で有効なはずということで、ズーとこの話題続いてきた。

システマティックレビュー・メタアナリシス:急性肺障害・ARDSに対するオッシレーション法 2010年 06月 11日
ただ、以下の論文の序文にあるごとく、“ゴミを寄せ集めてもゴミ” といったら失礼か・・・


 high-frequency oscillatory ventilation (HFOV)がARDS患者の死亡率減少するという以前の報告があったが、外部比較機関のない評価であり、サンプルサイズも少なく、エビデンスというのは限界があった。

今回、1200名モノ患者を比較し、よりエビデンス高品質レベルで検討

High-Frequency Oscillation in Early Acute Respiratory Distress Syndrome
Niall D. Ferguson, et. al.
for the OSCILLATE Trial Investigators and the Canadian Critical Care Trials Group
New Engl. J. Med. January 22, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1215554

データモニタリング委員会推奨にもとづき、1200名の患者をランダム化予定で、548名で早期終了。

2つの研究群ともベースライン良くマッチ

HFOV群はHFOVを期間中央値3(中間四分位:IQR 2-8)日間
加え、対照群の273名中34名が不応性低酸素血症のためHFOVを施行

入院死亡率は、HFOV群 47%、対照群 35%(死亡相対リスク HFOV, 1.33; 95% 信頼区間l, 1.09 to 1.64; P=0.005)。死亡率の差は、酸素化・呼吸コンプライアンスのベースライン異常値と独立していた。

HFOV群患者は対照群よりミダゾラム投与量多く (1日199 mg [IQR, 100 to 382] vs. 1日141mg [IQR, 68 to 240], P<0.01)
HFOV群では昇圧剤使用が多く (91% vs. 84%, P=0.01) 、長期間使用となった (5 days vs. 3 days, P=0.01)


人工換気維持のため使用せざる得なかった薬物の有害性のため、オシレーションのベネフィットが生かせなかったいう解釈もできる。・・・となると、今後もHFOVの研究は続くだろう・・・

人工呼吸遷延患者の離脱方法:気管切開カラー vs Pressure Support :死亡率差なく、前者が離脱期間短い

人工呼吸離脱困難例を集めて離脱を勧める医療機関が日本でも必要なのでは?

日本では入院長期例は療養型に移行され、人工呼吸離脱させようとする経済的インセンティブがない。 結果的に、医療費の無駄遣いとなるのが、今開かれている“国民会議”とやらでは、医療の専門家不在なためそういう提言望めず、ひたすらコストカッターだけの主張の場となっている。一方で、麻生副総理の表現法はともかく、発言の趣旨がが医療に功利的な議論をという提言なら医療関係者は歓迎だと思う。リビングウィルや高度認知症への胃瘻問題などが具体例と挙げられるだろう。表層的人権をもてあそぶマスコミの馬鹿どもは言葉尻を捉えて批判してるが、せっかくの議論の機会を失わないで欲しい
第3回 社会保障制度改革国民会議  平成25年1月21日(月) 
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokum    

横道にそれたが・・・


“人工呼吸離脱困難・長期例”を集めて工呼吸離脱(ウィーニング)するlong-term acute care hospitals (LTACHs)という施設、そこでの方法の研究


この研究で、3つの新しい知見が得られたと著者ら
1)気管切開カラー群で、Pressure Suppot(PS)群に比べ、ウィーニングを迅速に達成できた
2)スクリーニング段階での失敗によりウィーニング手段の影響が異なる。早々にウィーニング失敗した群(0-12時間)ではその影響はみられないが、後々に失敗した群(12-24時間)では、PSより気管切開カラーの方がウィーニング時間が短くて済む。
3)PS群も気管切開カラー群も生存率(6ヶ月、12ヶ月)同様。


Effect of Pressure Support vs Unassisted Breathing Through a Tracheostomy Collar on Weaning Duration in Patients Requiring Prolonged Mechanical Ventilation:  A Randomized Trial  
Amal Jubran, et. al.
JAMA. Published online January 22, 2013. doi:10.1001/jama.2013.159


21日間超の遷延した人工呼吸管理患者はを、長期急性期病院(long-term acute care hospitals (LTACHs))でウィーニングすることが多いが、最も有効なウィーニング手段は検討されてない。

Pressure Support(PS)と、気管切開カラーを用いた非補助呼吸を比較。

2000-2010年、ランダム研究
500名のスクリーニング5日間を経て検討、316名を不耐性とし、PS 155名、気管切開カラー 161名とランダム割り付け
6-ヶ月、12-ヶ月の生存率を決定
プライマリアウトカムはウィーニング期間。セカンダリアウトカムは6、12ヶ月後の生存

316名の内、脱落 4名、研究に含まず。
PS 152名のうち、ウィーニング 68(44.7%)
気管切開カラー群160名のうち、ウィーニング 85(53.1%)、死亡 16(10.0%)

ウィーニング期間中央値は気管切開カラー仕様で短い (中間四分位(IQR) 気管切開カラー群 15 日間; 8-25 vs PS群 19日間; IQR, 12-31), P = .004


ベースライン寄与要素補正後、ウィーニング成功率ハザード比はPS群より気管切開カラー群で高い  (HR, 1.43; 95% CI, 1.03-1.98; P = .033)


Figure 2. 人工呼吸残存比率(PS vs 気切カラー群)

Figure 3. 人工呼吸残存比率(5日間スクリーニング不成功群中の比較:PS vs 気切カラー群)


12-120時間のスクリーニング施行にて不耐性患者群では、気管切開カラー使用は、PS群より迅速にウィーニング達成 (HR, 3.33; 95% CI, 1.44-7.70; P = .005)

一方、0-12時間内スクリーニング施行不耐性群では、ウィーニング時間は、2つの方法とも同等。

死亡率は、PS群及び気管切開カラー群とも、6ヶ月、12ヶ月で同等 ((55.92% vs 51.25%; 4.67% 差, 95% CI, −6.4% to 15.7%) 、(66.45% vs 60.00%; 6.45% difference, 95% CI, −4.2% to 17.1%))


結論:人工呼吸遷延的必要・単一機関長期ケア施設治療患者において、気管切開下非アシスト呼吸が、Pressure supportに比べ、短期的にウィーニング期間中央値短い。しかし、生存率は同等であった。

noteへ実験的移行

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