2012年12月4日火曜日

患者指向・全人的などというpatient-centered medical home (PCMH)には、立証的価値は低い

 したり顔の人たちがよく言う、“患者中心”、“患者志向”、“全人的”という言葉・・・この言葉が出ると、水戸黄門の印籠のごとく、みなみながひれ伏し、特に、ヒエラルキーの最下層の医療関係者はなにも反論してはいけないという日本の状況


 だが、さすが、実地確認しなければ先に進まない プラグマティズムの国、米国 容赦なく、その効果の判定を行おうとしている。


patient-centered medical home (PCMH) について、序文記載事項を抜き出すと

もともと米国小児学会が、1967年記載した、特定の医療ニーズに応えるための医療・カルテ単一センター化する概念で、その後、概念が広がり、プライマリケアにおいて高品質医療を提供する目的に変わってきた。
医師・利用者側の定義であり、その守備範囲が広がり、チームベース医療、患者中心・患者指向型、全人的となり;医療システム・患者コミュニティーの全要素横断的に協調的ケア;コミュニケーションの代替的手段を用いるケアアクセス法を進化させ;質・安全性へのシステムベースのアプローチである。
ここ10年で、随分、この概念が広がってる


具体的には・・・家庭医に関して
AAFP
http://www.aafp.org/online/en/home/membership/initiatives/pcmh.html

日本語で解説しているところがいくつかがある
e.g. http://www.shizuoka-fm.org/menu2/main.php?mode=detail&article=5
医療の質の保証(Quality Measures)、患者満足度の高い医療の提供(Patient Experience)、医療情報技術の活用(Health Information Technology)、診療所の機能整備と安定経営(Practice Organization)、を図り、診療所で"患者本位の癒しの場(Patient-centered Medical Home-PCMH)"を提供 ...



このレビューは、Agency for Healthcare Quality and Research's (AHRQ's) “Closing the Quality Gap: Revisiting the State of the Science” シリーズに基づき行われている。


The Patient-Centered Medical Home: A Systematic Review
Ann Intern Med. 27 November 2012
http://annals.org/article.aspx?articleid=1402441


19の比較研究で、PCMH介入は、患者体感レベルでは正の効果小さく、予防医療サービス提供でも小程度から軽度の正の効果しかない(中等度エビデンスレベル)

スタッフ体感でも、小程度から軽度(低エビデンスレベル)

エビデンスにより、高齢者では、救急部門受診減少 (リスク比 [RR], 0.81 [95% CI, 0.67 to 0.98])するも、入院減少せずRR, 0.96 [95% CI, 0.84 to 1.10])  (低エビデンスレベル)

全体的にコスト節減効果認めず



理想論だけで、効果検証無視して、突っ走り気味の日本の厚労省行政

かれらが、介護保険の時のごとく、官僚利権のためこれを悪用したら・・・ 

専門家を排除した“社会保障国民会議”のようなところが、現実離れ、実証無視の妄想的医療制度を構築する可能性が現実にある。

HCV:感染スクリーニング戦略・母子感染予防は未だ確定できず、治療はPIを含む3剤がより有効

Screening for Hepatitis C Virus Infection in Adults: A Systematic Review to Update the 2004 U.S. Preventive Services Task Force Recommendation
Ann Intern Med. 27 November 2012
http://annals.org/article.aspx?articleid=1458679



スクリーニング検査で正確に慢性HCV感染成人発見可能だが、リスク要素に基づく目標的スクリーニングは、特定のHCV感染を見逃す。
質の良いデザインの前向き研究が必要。







Reducing Risk for Mother-to-Infant Transmission of Hepatitis C Virus: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Ann Intern Med. 27 November 2012
http://annals.org/article.aspx?articleid=1402436

HCV母子感染リスク軽減に関する介入は存在しない。
授乳行為回避で、HCV伝播減少のため、適応あるようには思えない・・・という結論。



 Comparative Effectiveness of Antiviral Treatment for Hepatitis C Virus Infection in Adults: A Systematic Review
Screening for Hepatitis C Virus Infection in Adults: A Systematic Review to Update the 2004 U.S. Preventive Services Task Force Recommendation
Ann Intern Med. 27 November 2012
http://annals.org/article.aspx?articleid=1458679



スクリーニング検査で正確に慢性HCV感染成人発見可能だが、リスク要素に基づく目標的スクリーニングは、特定のHCV感染を見逃す。
質の良いデザインの前向き研究が必要。







Reducing Risk for Mother-to-Infant Transmission of Hepatitis C Virus: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Ann Intern Med. 27 November 2012
http://annals.org/article.aspx?articleid=1402436

HCV母子感染リスク軽減に関する介入は存在しない。
授乳行為回避で、HCV伝播減少のため、適応あるようには思えない・・・という結論。


 日本の指導指針と一致してる
C型肝炎ウイルスキャリア妊婦とその出生児の管理ならびに指導指針
http://www.vhfj.or.jp/06.qanda/pdfdir/HCV_guideline_050531.pdf
HCV抗体陽性、HCV RNA陰性の妊婦から母子感染が成立した報告はない。ただし妊娠中にHCV RNA量が変動することがあるので、妊娠後期に再検査することが望ましい。



 Comparative Effectiveness of Antiviral Treatment for Hepatitis C Virus Infection in Adults: A Systematic Review
http://annals.org/article.aspx?articleid=1402433

Genotype 1感染のSVRは、通常の2剤併用より、プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用で、高率。抗ウィルス治療によるSVRは、臨床的アウトカム改善と関連。

Genotype 1感染のSVRは、通常の2剤併用より、プロテアーゼ阻害剤を含む3剤併用で、高率。抗ウィルス治療によるSVRは、臨床的アウトカム改善と関連。

プロバイオティック投与によるクロストリジウム-ディフィシル関連下痢症予防効果

クロストリジウム-ディフィシル関連下痢症:Clostridium difficile–associated diarrhea (CDAD)は時に重篤な合併症を生じることがある。

成人・子供の抗生剤投与時のCDAD予防のためのプロバイオティック投与による予防効果のRCTレビュー



Probiotics for the Prevention of Clostridium difficile–Associated Diarrhea: A Systematic Review and Meta-analysis ONLINE FIRST
Bradley C. Johnston, et. al.
Ann Intern Med. 13 November 2012

プロバイオティックは、CDAD発生を66%減少(pooled 相対リスク、 0.34 [ 95% CI, 0.24- 0.49, I2=0%)

 CDAD5%発生頻度の住民ベースでは、プロバイオティック予防は、1000名あたり、33(CI、 25-38)エピソード減少効果


プロバオティック患者において、重度副作用イベント 9.3% vs 対照 12.6% (相対リスク 0.82[CI、 0.65 - 1.05]、 2 17%)






結論は、中等度品質のエビデンスではあるが、プロバイオティック予防は、CDADに対し、予防効果があるという報告


でも、住民ベースで考えれば、100名あたり3名強の効果。

プロバイオティックが副作用などほとんどないと合わせ考えれば、合理性有りとかんがえることができるか?臨床的最小意義を考えることも必要あるとおもうのだが・・・


そして、このレビューは、“偽膜性大腸炎”を、臨床的アウトカムしてるわけではない。

ACP臨床ガイドライン委員会:胃食道逆流症内視鏡ガイドライン




Upper Endoscopy for Gastroesophageal Reflux Disease: Best Practice Advice From the Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians
Ann Intern Med. 4 December 2012;157(11):808-816

ACPの臨床ガイドライン委員会は、GERDに対する、上部消化管内視鏡の適応、利益についてのエビデンスレビューし、高品質な医療につながることを検討。


Best Practice Advice 1: 上部消化管内視鏡は、胸焼けを訴え、アラーム徴候(嚥下困難、出血、貧血、食欲低下、反復嘔吐)のある男・女に適応が有る

Best Practice Advice 2: 上部消化管内視鏡は以下の男・女に適応がある:

      典型的なGERD症状が、4-8週の1日2回のPPI治療に関わらず、継続する

      PPI治療2ヶ月経過後の重度のびらん性食道炎の治療評価、Barrett食道の除外のため。Barrett食道無い場合は繰り返す内視鏡検査の適応はない。

      嚥下困難の繰り返しを有する食道狭窄

Best Practice Advice 3: 上部消化管内視鏡の適応は:

      食道腺癌・Barret食道発見のための慢性GERD症状(5年間超の症状)及び追加リスク要素(夜間逆流性症状、裂孔ヘルニア、BMI高値、喫煙、腹部脂肪蓄積)の50歳超の男性

      Barrett食道病歴男女のサーベイランスのため。Barrett食道あるも嚥下困難の無いの男・女において、3-5年より頻回に行うべきで無い。より頻回検査は、Barrett食道・異形成の患者に適応ががある。



50歳未満の女性では、GERDきっかけの上部消化管内視鏡検査必要ないことを示唆している。50歳未満の食道がん発生率がかなり少なく、それが、選択基準になっている。

“過剰な内視鏡検査” が経済的インセンティブによってなされてるという批判があるとのこと、症例選択を明示することでこのような批判に対応したとのこと。

 
内科開業医がごく普通に内視鏡検査する、日本の事情とちょっと異なると思う。
また、欧米ほどめだたないBarrett食道だったが、最近、多く見るようになった気がする。
Barrett食道を考慮した内視鏡検査が日本でも重視されるべき時代になったようだ。

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