2019年8月2日金曜日

特発性肺線維症:白血球テロメア長は免疫抑制剤暴露による予後悪化バイオマーカー?

逆に言えば、テロメア長温存なら免疫抑制療法も効果可能性有り

 The division of IPF patients into two groups by telomere length that demonstrate drastically different outcomes implores the practice of routine genetic sampling in future clinical trials. 

現時点では特発性肺線維症での免疫抑制剤は原則使用しないことを強く推奨となっているが・・・



Telomere Length and Use of Immunosuppressive Medications in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Chad A. Newton  , et al.
https://doi.org/10.1164/rccm.201809-1646OC       PubMed: 30566847
All AJRCCM I Vol. 200, No. 3 | Aug 01, 2019
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201809-1646OC


PANTHER-IPF 62% (49/79)  とACE-IPF, 56% (28/50) で正常より10パーセンタイル未満の白血球テロメア長(LTL)

PANTHER-IPFでは、プレドニゾロン/アザチオプリン/N-アセチルシステイン暴露は10パーセンタイル未満LTLの場合死亡・肺移植・入院・FVC減少組み合わせエンドポイント効率(ハザード比, 2.84; 95% 信頼区間 1.02–7.87; P = 0.045)

 この所見は、ACE-IPFの免疫抑制剤暴露プラシーボ群で再現 (ハザード比, 7.18; 95% 信頼区間, 1.52–33.84; P = 0.013).

propensity-matched University of Texas Southwestern Medical Center IPF cohortで、10パーセンタイル未満LTLの場合で、免疫抑制剤と組み合わせエンドポイントに同様の相関あり (ハザード比, 3.79; 95% 信頼区間, 1.73–8.30; P = 0.00085).

免疫抑制剤とLTLのinteractionはPANTHER-IPF + ACE-IPF clinical trial、 University of Texas Southwestern Medical Center IPF cohortで観察された

PANTHER-IPFとACE-IPFを組み合わせた臨床試験(Pinteraction = 0.048)、およびTexas University of Southwest Medical CenterのIPFコホート(Pinteraction = 0.00049)について、免疫抑制とLTLの間に相互作用が見られた。





親族研究でpathogenic variance原因とするテロメア機能障害示唆し、telomere maintenance pathwayをencodeする遺伝子(TERT, TERC, PARN, RTEL1, NAF1, DKC1, TINF2) が家族性肺線維症のメカニズムとして示唆された。非家族性IPF成人でこれら遺伝子のいくつかのrare variantが報告され、テロメア長短縮は多くのIPFで見られ、生存率減少と相関する

筆者等は病因的テロメア関連遺伝子変異、テロメア長短縮、非IPF肺線維症診断患者でIPF診断の奨励度同様な生存率を示すことを報告。

 Newton CA, Batra K, Torrealba J, Kozlitina J, Glazer CS, Aravena C, Meyer K, Raghu G, Collard HR, Garcia CK. Telomere-related lung fibrosis is diagnostically heterogeneous but uniformly progressive. Eur Respir J 2016; 48: 1710-1720. 

終末期肺線維症患者(肺移植施行しその後免疫抑制剤長期治療となった)テロメア長短縮ではテロメア長温存患者より、生存率低下し、移植後の合併症もより多かったという報告もある。






重症喘息:アジスロマイシン長期使用にてインフルエンザ菌減少するも抗生剤耐性増加

GINA2019にも記載されている、コントロール不良持続性喘息患者へのアジスロマイシン治療だが日本では現状として保険適用として難しいため使用されているところは少ないと思うが・・・

DPB合併・気管支拡張合併などだと、マクロライド全般だと使用可能性はあるだろう
気道細菌叢への影響についての知見が興味深い




Long-Term Azithromycin Reduces Haemophilus influenzae and Increases Antibiotic Resistance in Severe Asthma
 Steven L. Taylor , et al.
AJRCCM Vol. 200, No. 3 | Aug 01, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201809-1739OC     
PubMed: 30875247
Received: September 22, 2018 Accepted: March 13, 2019
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201809-1739OC


序文:マクロライド抗生剤、アジスロマイシンは持続性有症状喘息成人の急性増悪を減少する。しかし、マクロライドのpleotropic propertyにより、sugmented pathogen colonizationや抗生剤耐性の播種など生じる可能性有り、アジスロマイシン維持療法の長期安全性への疑問が呈せられる

目的:アジスロマイシンの気道microbiota、pahthogen abundance、抗生剤耐性遺伝子carriageへの影響評価

方法: AMAZES trial(48-week, double-blind, placebo-controlled trial of thrice-weekly 500mg oral azithromycin in adults with persistent uncontrolled asthma)の被験者からの喀痰微生物学上のアジスロマイシンの影響を評価するため、16SrRNA sequencingと定量的PCR(qPCR)施行

Pooled-template shotgun metagenomic sequencing、qPCR、isolate whole genome sequencing を抗生剤耐性評価のため施行

測定及び主要結果
ペア喀痰採取61名(n=34 プラシーボ、 n=27 アジスロマイシン)
アジスロマイシンはbacterial loadには影響与えない(p=0.37)が、Faith’s bacterial diversity減少有意(p<0.0001)
アジスロマイシンは肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、モラクセラ・カタラーリスのレベル有意に影響与えず
89の抗生剤耐性遺伝子を検出、 macrolide resistance genes (erm(B), erm(F)、msr(E)、 mef(A)、 mel) と tetracycline resistance genes (tet(M) 、 tet(W))は有意に増加

結論
コントロール不良持続性喘息患者において、アジスロマイシンは気道のH. influenzae loadをプラシーボ比較で増加させるも総bacterial loadには影響を与えず。以前の研究を反映する如くマクロライド抵抗性増加する
これらの結果から、コントロール不良持続性喘息患者への長期治療としての非抗生剤的マクロライド有効性評価研究が必要の重要性





アジスロマイシンの非抗生剤的効果として、宿主免疫に関わる多くの経路をmodulateし、最近蛋白合成を抑制し、病原体のビルレンスを減少する役割。 気管支拡張においてはエリスロマイシンが肺内緑膿菌多い環境下で治療報告がなされている。
コントロール不良持続性喘息では、下気道microbiotaが下気道肺機能、好中球性炎症、ステロイド抵抗性を含む喘息重症度と関連する可能性あるも、気道microbiotaへの効果は検討されてなかった。
長期のアジスロマイシン治療は、持続性の制御不能な喘息の成人における増悪率を効果的に減少させるが、下気道の微生物学および抗菌剤耐性に対する潜在的な悪影響についての懸念が臨床現場へのその広範な採用を妨げている。ここでの報告は、アジスロマイシンが下気道微生物叢に選択的な効果を有するが、それが総細菌レベルを変化させず、それが病原性細菌の存在量を増加させないことを示す。実際、インフルエンザ菌の量はプラセボと比較してアジスロマイシンで有意に減少したが、抗菌剤耐性保有に関して、アジスロマイシンはマクロライドおよび非マクロライド耐性遺伝子の保有を増加させた。これらの結果は undirected metagenomic approachを用いて決定され 重症喘息における気道ミクロバイオームおよびレジストームに対するアジスロマイシンの効果の包括的な評価が提供された。
アジスロマイシンはCOPD、のう胞性線維症、気管支拡張、びまん性汎細気管支炎で効果認められるが呼吸器病原性筋の保有へのマクロライドの効果は各々ばらつきがある。成人気管支拡張では、48週間エリスロマイシン使用にてH. influenzae減少、緑膿菌増加報告。DPBでのエリスロマイシン使用はH. influenzae、緑膿菌感染患者の症状改善するも細菌floraへの影響は無いとされる
系統学的多様性:phylogenetic diversity の低下は、アジスロマイシンが特定の細菌に対して潜在的に選択的な効果を有することを示している

Unweighted UniFrac distance is calculated by the presence or absence of detected taxa whereas weighted UniFrac accounts for relative abundance and is useful for examining differences in community structure (44).  The discrepancy between weighted and unweighted UniFrac indicates that azithromycin has specific selective effects that result in the loss of detection of certain taxa, rather than a change in their relative abundance.
アジスロマイシンが特定の分類群(taxa)への効果により特定taxaが消失したことを表す。
アジスロマイシン投与後のインフルエンザ菌負荷量の急激な減少、しかし肺炎連鎖球菌レベルの相対的安定性がこれを実証。

The selective impact of azithromycin specific to
H. influenzae (and potentially other Gammaproteobacteria) への選択的インパクトが喘息への効果の可能性がある。




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