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2018年4月6日金曜日

テストステロン値と非アルコール性脂肪肝疾患

横断調査研究だとどうしてもミスリードされやすくなる
まるで、テストステロン製剤でNAFLD改善するかの如く・・・


米国内横断調査(National Health and Nutritional Examination Survey) 2011-2012


Serum testosterone and non-alcoholic fatty liver disease in men and women in the US
Jeong Yoon Yim, et al.
Liver International. 2018;1–9.

4758名、男性49.4% 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)疑診は、性別特異的差はあるものの、テストステロン濃度と逆相関を認める

多変量解析にて、テストステロン濃度低値は、年齢・肥満・メタボリックリスク要素補正後、NAFLD疑診オッズ漸増的増加 
女性閉経状況による2群分割後、閉経後女性で有意相関
NAFLD疑診補正オッズは男性 1.72-1.99、 閉経後女性 2.15-2.26



テストステロン・サプリメントに関してその効能と有害性に関しては両者存在する
故に 全く安全というわけには行かない

心血管イベントベネフィット効果とリスク作用報告2分されている
Cardiovascular benefits and risks of testosterone replacement therapy in older men with low testosterone.
Hosp Pract (1995). 2018 Apr;46(2):47-55.doi: 10.1080/21548331.2018.1445405. Epub 2018 Mar 1.

2018年3月16日金曜日

更年期血管運動症状へNK3R拮抗剤

経口neurokinin 3 receptor (NK3R) antagonis(MLE490)が、エストロゲン必要なしで血管運動症状短期・長期改善したと4週間の研究結果

いわゆる"hot flash"だがその頻度を day 3までに72%減少 95% CI, -81.3% 〜 -63.5%
頻度 51%改善維持


ランダム化二重盲検プラシーボ対照化単一施設交差トライアル


Neurokinin 3 receptor antagonism rapidly improves vasomotor symptoms with sustained duration of action
Prague J, et al
Menopause 2018; DOI: 10.1097/GME.0000000000001090.
https://journals.lww.com/menopausejournal/Abstract/publishahead/Neurokinin_3_receptor_antagonism_rapidly_improves.97600.aspx



MLE4901治療3日目までに、ベースラインに比較して、ホットフラッシュ 72%減少 ( 95%CI, -81.3 to - 63.3%)
4週間の投与期間を通して effect size維持
重症度は、3日目まで 38%減少   (95% CI, −46.1 to −29.1%) (P< 0.0001 compared with placebo)
プラシーボ比較で 39% (95% CI, -47.5 to -30.1%) p = 0.0006



かなり効果あるようだ・・・ 

2015年5月12日火曜日

男性更年期という愚: 特にテストステロン注射は心血管イベントリスク増加させる

「血中、組織中の成分が減少しているなら、外から補充すれば良い」というサプリメント原理主義の愚劣さ ・・・ 泌尿器学会や婦人科学会系にもその種の発想でいいかげんなことを言う教授どもがあふれている

「あるある問題」からなんの進展もない・・・嘆かわしい


テストステロンによる副事象、心血管系への悪影響に関して配慮せず、利点だけを提示する、研究者倫理だけでなく、医師倫理でも問題


投与法として、注射、経皮パッチ・ゲルなどあり、血中濃度の動態も異なる
ゲル、注射、パッチでその安全性の違いを検討した後顧的分析報告



Comparative Safety of Testosterone Dosage Forms
J. Bradley Layton, et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 11, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.1573

54万4115名のテストステロン開始、3データセット間
注射 37.4%、 パッチ 6.9%、 ゲル 55.8%


Medicareコホートの男性の大部分は、注射開始 51.2%
US商用保険者の大部分は、ゲル開始 56.5%
UKデータベースでは、注射、ゲル同数程度でそれぞれ41%


心筋梗塞、不安定狭心症、卒中の心血管ハザード比は、ゲル製剤使用男性と比較し、注射しようでは、心血管イベントハザード高い (1.26; 1.18-1.35)、同様に入院 (1.16; 1.13-1.19)、死亡ハザード (1.34; 1.15-1.56) 高いが、 VTE (0.92; 0.76-1.11)では差を認めない

ゲルに比べ、パッチでは、心血管イベントハザードリスク増加せず (1.10; 0.94-1.29), hospitalization (1.04; 1.00-1.08)、同様に死亡  (1.02; 0.77-1.33)、VTE (1.08; 0.79-1.47)も増加せず




パッチ、ゲル製剤だって安全性が担保されているわけではない・・・







JAMA. 2013;310(17):1829-1836. doi:10.1001/jama.2013.280386.


2014年5月29日木曜日

血管運動神経障害(ホットフラッシュなど):エストロゲン治療とSNRI治療比較

ホットフラッシュ/夜間汗など自律神経(血管運動神経)障害への治療としてゴールドスタンダードだが、関連リスク故、使用困難ぎみである。SNRIである、ヴェンラファキシン(エフェクサー)は、非ホルモン治療として広く用いられている。臨床的印象からはエストロゲンより効果は落ちる。同時に評価されたデータは無かった。



Low-Dose Estradiol and the Serotonin-Norepinephrine Reuptake Inhibitor Venlafaxine for Vasomotor SymptomsA Randomized Clinical Trial
Hadine Joffe, et. al.
JAMA Intern Med. Published online May 26, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2014.1891

目的:低用量経口17βエストラジオール/低用量ウェンラファキシン徐放剤をVMS症状軽減の有効性・耐用性の検証

研究デザイン・セッティング・被験者:住民から339名の閉経前・閉経後女性( 1日2回以上のVMSを有する(平均、8.1/日): MsFLASH (Menopause Strategies: Finding Lasting Answers for Symptoms and Health) clinical network サイトにて募集

ランダム化二重盲験
・ low-dose oral 17β-estradiol (0.5 mg/d) (n = 97), low-dose venlafaxine hydrochloride extended release (75 mg/d) (n = 96)
・  placebo (n = 146)
×8週間


主要アウトカム・測定
プライマリアウトカム:治療8週後のVMS日内回数平均
セカンダリアウトカム:VMS重症度、不快さ、日常生活への影響。
ITT解析にて、VMS回数の変化を比較



 ベースラインと比較して、8週目の平均VMS回収は、
エストラジオール群 3.9 (95% CI, 2.9-4.9) VMS per day (52.9% reduction)
ヴェンラファキシン徐放 4.4 (95% CI, 3.5-5.3) VMS per day (47.6% reduction)
プラシーボ群 5.5 (95% CI, 4.7-6.3) VMS per day (28.6% reduction)


エストラジオールでは、プラシーボ比較で、2.3回/日減少(p < 0.001)
ヴェンラキシン群では、同様1.8回/日減少 (p = 0.005)


VMS重症度、日常生活への不快さ、影響へも一致した効果。

 低用量エストラジオールは、ヴェンラファシンに比べ0.6回症状回数を減少( p = 0.09)

 治療満足度は、対プラシーボで、エストラジオールが最大(70.3%) ( p < 0.001)
プラシーボが最小(38.4%) 、ヴェンラファキシンは中間(51.1%) (p = 0.06)


両介入とも耐用性良好




2014年3月12日水曜日

カルシウム/ビタミンDサプリメントは脂質特性を改善する

更年期医療には、いんちきがつきものなんで、身構えるくせがついた。


サプリメントの一部にエビデンスがあるとしても、いわゆる臨床的アウトカムで無く、あくまでも検査値の改善効果のみ、現時点のエビデンスでも、特にマルチビタミンへは注意が必要だろう。




閉経女性では、長期カルシウム・ビタミンDサプリメントは、脂質特性の改善をもたらすという、WHI研究

6年フォローアップにて、LDL は4.46 mg/dL減少し、TG減少・HDL増加。
25-OH D3濃度は有意にLDL、HDL、TGと相関


25-OH D3高度ほど、LDL-C改善と相関するという仮説立証的と


Calcium/vitamin D supplementation, serum 25-hydroxyvitamin D concentrations, and cholesterol profiles in the Women's Health Initiative calcium/vitamin D randomized trial
Schnatz, Peter, et. al.
Menopause 2014; DOI: 10.1097/gme.0000000000000188.

CaDサプリメント:カルシウム成分 1000mg+ ビタミンD3 400IU
血中25OHD3、脂質特性をベースライン・ランダム後評価


2年後、25-OH D3濃度平均は、 38%増加 (95% CI 1.29 - 1.47, p < 0.001)
vs プラシーボ 18.2 ng/mL

LDL-Cは平均 4.46 mg/dL減少 (p = 0.03)

25-OH-D3濃度高いほど、HDL-C濃度増加と相関 (p = 0.003)し、LDL-C及びTG濃度低下と相関する  (P = 0.02 、 P < 0.001, respectively)


上記量は、サプリメント量としては標準的。
むしろこれより高濃度まで発売されており、ビタミンD中毒が心配なくらい。
いわゆるマルチビタミンは、余計なビタミンが入ってる製品が多くて、ベネフィットを打ち消す可能性があるので注意が必要?


ビタミン類は金の無駄遣い 2013/12/17

閉経後女性:サプリメントで死亡リスク増加 マルチビタミン、ビタミンB6・・・(カルシウムは例外)2011年 10月 11日

2014年1月30日木曜日

テストステロンは心筋梗塞リスク増加する ;65歳以上及び心疾患保有者

テストステロン処方(n=55,593)の医療データベース解析

非致死性急性心筋梗塞への、テストステロン処方の影響、前後比較

高齢者(65歳以上)及び心疾患既往若年(65歳未満)では、テストステロン処方後心筋梗塞リスク増加する





Increased Risk of Non-Fatal Myocardial Infarction Following Testosterone Therapy Prescription in Men
William D. Finkle, et. al.
PLOSone Published: January 29, 2014
DOI: 10.1371/journal.pone.0085805

2013年12月3日火曜日

男性性腺機能低下症(男性更年期):アンドロゲン欠乏は除脂肪(筋・骨格筋)量・筋強度減少、エストロゲン欠乏は脂肪増加、両者欠乏は性腺機能低下と関連

タイトルのごとき結論となるが、テストステロン補充効果は個体ばらつきが大きい

男性・性腺機能低下症を「男性更年期」などと称して、単に男性ホルモン補充だけで解決などというような単純すぎる理念展開しているのは、なにも民間業者だけでなく、国内では一流とされる国公立大学のお偉いさんまで主張しているが、その臨床的・実験的エビデンスは希薄。ことは、そう簡単ではないのだ。

昨今、男性性腺機能低下症は、テストステロン→エストラジオール転換が重視され、相互的作用が議論となっている。
性腺ステロイドホルモンと体組成・筋肉量、性機能の関連性 → 男性でも低エストロゲンが問題 2013/0/12

NEJMで、男性ホルモンと女性ホルモン、そして、その両者に関連する酵素介入による影響報告で、比較的純粋に両者の体組成、体重、筋強度への影響が明らかになった。

Gonadal Steroids and Body Composition, Strength, and Sexual Function in Men
Joel S. Finkelstein, et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1011-1022September 12, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1206168

【背景】テストステロン欠乏診断現行アプローチは、テストステロン値による生理学的影響をもたらすか、また、テストステロン、エストラジオール、あるいはその両方の凌駕臨床的所見と関連するかは不明。
【方法】20−50歳健康男性 198名
16週間投与
・goserelin acetate(内因性テストステロン・エストラジオール抑制のため利用)

・ランダム割り付け:プラシーボ・ゲル vs テストステロンゲル1.25g、 2.5g、 5g、 10g

別の202名を、geserelin acetate、プラシーボ、テストステロン・ゲル、anastrozole(テストステロン→エストラジオール転換抑制)割り付け

プライマリアウトカム:体脂肪、lean mass比率
皮下−、腹腔内脂肪面積、大腿筋面積、強度、性的機能も評価

【結果】体脂肪比率は
・anastrozole投与無し + プラシーボ群、テストステロン 1.25g、2.5g連日投与で、増加。(テストステロン値平均 : 44±13 ng/dL 、19±78 ng/dL、337±173 ng/dL)
lean massと大腿筋面積は
・anastrozole投与無し + プラシーボ群とtestosteron 1.25g連日投与群で、減少

下肢プレス強度は、プラシーボ投与群でのみ減少

・一般的に、テストステロン投与量少ないほど性欲減少

【結論】 lean mass、脂肪量、筋強度、性的機能維持のためのテストステロン総量は男性でばらつきがある。

アンドロゲン欠乏は、lean mass、筋肉のサイズ、筋肉強度の減少となり、
エストロゲン欠乏は、主に体脂肪増加となる
両者欠乏は、性的機能減少となる

以上の知見は、男性の性腺機能低下管理に関して評価・管理上のアプローチの変化をもたらす。


 ある横断的研究報告で、高齢者においても、テストステロンのみが筋強度関連性が指摘されている。主に骨格筋筋肉の量と質における、男性ホルモンの関連性はわかったが、その投与有効性・安全性が担保され居るわけではない。


2013年11月6日水曜日

【男性更年期・ホルモン補充を煽る愚劣な人々への警告】テストステロン補充療法:死亡率・心筋梗塞・卒中への影響

世の中には、正常範囲から逸脱したらそれを補正すれば元通り・・・などという安直な考えをもつ人が多いが、事に、内分泌系は複雑なフィードバックシステムやネットワークシステムを含有することを承知してるくせに・・・単に補充すれば良いという安直すぎる誤った考え方。

「男性更年期」などと命名し、性腺機能低下症というラベリングの元、テストステロン商品の広告キャンペーンがなされてるが、その潜在的危険性には触れないことがおおい。

睡眠呼吸障害悪化、前立腺癌リスク増悪示唆されてきた。

既存冠動脈疾患評価が充分なされたケースにおいて、テストステロン補充により、死亡率・心筋梗塞・卒中の副事象アウトカムリスク増加が示された


Association of Testosterone Therapy With Mortality, Myocardial Infarction, and Stroke in Men With Low Testosterone Levels
Rebecca Vigen, et. al.
JAMA. 2013;310(17):1829-1836. doi:10.1001/jama.2013.280386.
低テストステロン(< 300 ng/dL)男性へのホルモン補充療法
2005−2011年、在郷軍人システムでの後顧的検討


プライマリアウトカムは、全死亡率、心筋梗塞、虚血性卒中


低テストステロン血症(総テストステロン <300 br="" ml="" nbsp="" ng="">
アウトカムイベント 1710のうち、死亡 748名、 心筋梗塞 443、卒中 519


テストステロン無治療 7486名のうち、死亡 681名、 心筋梗塞 420、 卒中 486
テストステロン治療1223名のうち、死亡 67名、 心筋梗塞 23、卒中 33


絶対的イベント発生率は、無治療 19.9% vs テストステロン治療 25.7%
(冠動脈造影後3年時点絶対的リスク差 5.8% [95% CI, -1.4% to 13.1%]) 


冠動脈疾患存在補正Cox比例ハザードモデルで、テストステロン治療使用は、時間変数共役要素使用にて、副事象アウトカムリスク増加と関連
 (ハザード比, 1.29; 95% CI, 1.04 to 1.58)



既存冠動脈疾患有無に関して、テストステロン治療のeffect sizeに有意差認めず   (test for interaction, P = .41).

2013年6月20日木曜日

2型糖尿病:低ゴナドトロピン性性腺機能低下症合併 テストステロン注射でインスリン感受性改善・脂肪から除脂肪体重への転換促進

私は個人的には”男性更年期”って言葉が大嫌いだ

蛋白同化ホルモン投与ってのは、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の確認があって初めて行われるべきだ

2型糖尿病の中で、性腺ホルモン機能低下を合併した場合に、その補充が病態改善に役立つかもしれないという報告。ただ、心血管合併症や多臓器への影響はなにも語られてないので、解釈に注意が必要と思う

低ゴナドトロピン性性機能低下と2型糖尿病合併男性へのランダム化対照化トライアル
プラシーボ比較で、テストステロン注射6ヶ月後インスリン感受性改善の報告(P=0.01)



Dhindsa SS, et al "Testosterone replacement decreases insulin resistance in hypogonadal men with type 2 diabetes" ENDO 2013; Abstract OR22-

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ENDO/39965

2型糖尿病81名の男性
ベースラインで、性腺機能低下症では、低テストステロン症の無い場合より、BMI高値 、脂肪量多い
上記ごとく、2型糖尿病+低ゴナドトロピン性性腺機能低下症では、性腺機能低下症のない場合に比べインスリン感受性有意に低い(P=0.001)、そして、体重・年齢補正後もこの関連性は不変(P=0.017)

6ヶ月間テストステロン vs プラシーボにランダム化
治療後、テストステロン値は、治療群で有意増加 256 ng/dL → 562 ng/dL, p = 0.001
プラシーボ群では有意差無し 
遊離テストステロン劇的に増加 4.1 nmol/L → 12.4 nmol/L p < 0.001
プラシーボでは有意変化認めず

筆者等は、インスリン感受性(euglycemic clump測定)でインスリン感受性25%(p=.01)と劇的に改善したと主張。プラシーボではインスリン感受性有意差無し。 
体重、ウェスト/ヒップ比は両群変化認めず、総除脂肪体重(lean body mass)はテストステロン患者では有意に増加 (p=0.004)
同時期、脂肪量は有意に減少 (p=0.02) 
脂肪2kgが、除脂肪体重に置き換わったわけである 
平均インスリン濃度は薬物治療群でインスリン感受性とともにインスリン濃度低下 (11.6 → 7.1, p < 0.05)、 HOMA-IRも有意減少 (3.5 → 2.8, p < 0.05)

脂質濃度は両群で変化せず、しかし、テストステロン群で有意に性的欲求が高まった (P=0.05)

2013年6月5日水曜日

【米国】中年男性向きテストステロン処方乱発:ベネフィット・基準曖昧な中・・・ 疲労だけで処方も・・・

男性ホルモンであるテストステロンの補充療法の関して、日本でも、”男性更年期障害”などと 一方的に喧伝している人たちがいる。日本医師会学会誌はその軽薄さは非難されるべきである。
一方、診断基準・有益性に関しては見解がまとまってないが、有害性に関して様々な危惧が存在する

血中総テストステロン低値の特異性は低い・・・ いいかげんな基準で“男性更年期”を拡大解釈するな! 2012/04/13
男性更年期診断の厳格化によりその疾病はわずか2%となる ・・・ 疾患存在への疑問 2010年 06月 17日

疾患概念を拡大することにより利益を得る人たちが、非対称性情報を垂れ流している状況にあると私は考えている。


JAMA Internal Medicineの速報版にて、中年向けテストステロン米国内処方量増加の報告がなされている。
医療保険会社の追跡調査で、2001年 0.81%から、3%近くと、3倍以上処方が増えている状況。さらに拍車かがかかっている。DTCマーケッティングなどと、臨床専門家の一方的
処方の半数が、hypogonadismという診断され、勃起障害・性機能障害理由の処方は、全処方の40%であった。そして、3分の1は単に疲労という理由だけで処方。

Trends in Androgen Prescribing in the United States, 2001 to 2011
Jacques Baillargeon, et. al.


Promoting “Low T”A Medical Writer's Perspective
Stephen R. Braun, BA
JAMA Intern Med. 2013;():1-4. doi:10.1001/jamainternmed.2013.6892.

2013年3月30日土曜日

ホルモン補充療法で乳がん発症、乳がん死亡率増加:観察研究からも臨床トライアル再現

WHIランダム化トライアルで示唆されたエストロゲン+プロゲスチン併用の乳がん発症及び死亡率増加関連性。一方、乳がん予後良好という多くの観察研究も存在する。
その違いに着眼して、WHI観察研究を用い、WHI臨床トライアルと類似した特性で検討

11年あまりのフォローアップで、エストロゲン+プロゲスチン併用ではやはり、乳がんリスク増加する
年次発症 使用 0.60%、 無使用 0.42% で、ハザード比は1.55(95% CI, 1.41-1.70; p < .001)で、特に閉経時に近いほどリスクが高い ( HR 1.68, 95% CI, 1.52 - 1.86)
一般住民レベルで見ると、乳がん死亡率増加が予測される。感度分析でも再現。


Estrogen Plus Progestin and Breast Cancer Incidence and Mortality in the Women’s Health Initiative Observational Study
JNCI J Natl Cancer Inst (2013)doi: 10.1093/jnci/djt043First published online: March 29, 2013

子宮摘出無し、2年内マンモグラフィー異常なしの41,449の閉経女性
両剤とも使用せず 25,328
両剤とも使用 16121

平均11.3(SD 3.1)年間、 乳がん 2236名
両剤使用は、両剤無使用より、発症率高い
(0.60 % vs 0.42 %, 年間発症率 ; HR 1.55 , 95% CI = 1.41-1.70, p < .001)

閉経直後のホルモン補充療法開始女性では、線型に、閉経期間が短いほど影響が低下する
(p < .001)

乳がん診断後生存率は、併用使用・無使用群とも同等( HR = 1.03 , 95% CI 0.79 - 1.35)

一般住民ベースで、コホートエントリからの評価では、両剤使用では、非使用に比べ、乳がん死幾分増加( HR 1.32, 95% CI 0.90 - 1.93, p = 0.15)、乳がん後の全原因死亡増加 ( HR = 1.65, 95% CI 1.29 - 2.12, p<.001)

結論:WHIランダムトライアルと一致して、エストロゲン+プロゲスチン併用は、乳がん発症リスク増加と関連。併用ホルモン補充診断後予後は非使用者と同様なので、乳がん死亡率増加が予測される。



USPSTF:ホルモン補充療法ベネフィットよりリスクが上回る 2012/05/29
偏った医療情報を広めようとする産経・NHK:ホルモン補充療法・インフルエンザ予防2009年 03月 07日
ホルモン補充療法推進に懸命な産経:日産婦と日本更年期医学会指針記事2009年 04月 03日

2012年12月3日月曜日

男性ホルモン補充:バイアグラの効果改善せず

男性性腺機能低下を拡大解釈し、加齢に伴うテストステロン減少や後期発症臨床的低ゴナドトロピン症を“男性更年期”と称し、補充療法を正当化する動きがある。これは諸外国の一般的な統一見解ではなく、議論段階の概念である。

Male menopause: is it a real clinical syndrome?
Climacteric. 2011 Feb;14(1):15-7.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20670200



男性更年期診断の厳格化によりその疾病はわずか2%(NEJM) ・・・ 疾患存在への疑問2010年 06月 17日
http://intmed.exblog.jp/10823817/


にもかかわらず、日本医師会は、勇み足を行っている。

男性更年期障害:バランスを失った日本医師会雑誌の記載・・・生涯教育素材の価値無し2011年 02月 05日
http://intmed.exblog.jp/12055983/



話は、かわり・・・

男性ホルモン補充が バイアグラの勃起機能改善効果に影響をあたえるか? ・・・ 答えはNo!

Effect of Testosterone Replacement on Response to Sildenafil Citrate in Men With Erectile Dysfunction: A Parallel, Randomized Trial
Matthew Spitzer, et. al.
Ann Intern Med. 20 November 2012;157(10):681-691
http://annals.org/article.aspx?articleID=1391696

 International Index of Erectile Functionの勃起機能属性(erectile function domain (EFD))25点以下の、40-70歳

総テストステロン < 11.45 nmol/L (<330 ng/dL)、遊離テストステロン濃度< 73.35 pmol/L(<50 pg/mL)
シルデナフィル投与量を最適化し、140名の被験者のうち、70名ずつに
・経皮的ジェル(テストステロン 10g)連日投与
・プラシーボ投与

ベースラインにおいて、2群は同様のEFDスコア

シルデナフィル投与は、有意にEFDスコア増加と関連  (平均, 7.7 [95% CI, 6.5 to 8.8])
しかし、ランダム後化2群にEFDスコア差認めず(差 , 2.2 [CI, −0.8 to 5.1]; P = 0.150)

これらの所見は、若年男性の性機能の他の属性でも同様、肥満でも、低テストステロン濃度、シルデナフィル反応不良でも同様。

テストステロン群でも、プラシーボ群でも、副作用は同様。

短期間投与の研究という反論は当然出てくるだろう。

だが、リビドーの改善効果が果たしてあるのかという疑問が沸いてくる。

2012年5月25日金曜日

ドパミン受容体アゴニスト:カベルゴリンによる男性無オルガスム症治療

単一施設の後顧的症例解析なので、エビデンスレベルとして十分とは言えない。


Hsieh TC, et al "Cabergoline for the treatment of male anorgasmia" AUA 2012; Abstract 1495.

解説:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AUA/32903

ドパミン受容体アゴニストカベルゴリンによる男性無オルガスム症治療


72名中50名でオルガスム改善、50名中26名がカベルゴリン投与中正常オルガスムに改善という結果。多変量解析にて、治療期間・テストステロン補充療法(TRT)がカベルゴリン効果の予測因子となった。
同時TRTは尤度増加 p=0.03 テストステロン剤型との関連認めず。

 無オルガスム症は心理的原因とされるが、前立腺癌放射線切除ごや薬物治療後でも生じる。プロラクチンsparingのないSSRIや古典的精神病薬などはオルガスム機能障害の原因となり得ることは知られていた。

 カベルゴリンは直接プロラクチン分泌細胞刺激作用があるため、後顧的に、2009-2011年の単独男性更年期クリニックでの症例で検討。

 カベルゴリン 週2回投与、プロラクチン、FSH、LH、血中テストステロン評価し、さらにTRT併用例も検討。

治療前、心臓エコーでの弁膜疾患について評価必須とも述べている。

2012年4月18日水曜日

心不全:テストステロンサプリメント投与で歩行距離・酸素摂取量増加 ;臨床的イベントやQOLへの影響は不明

心不全患者において、運動能力・代謝的状況改善のための、テストステロンサプリメント
テストステロンにより、歩行距離、酸素消費量を16%-23%改善。

ただ、これが、真にQOLや臨床的イベントに好影響を与えているかは慎重に考慮する必要がある。


 "Testosterone supplementation in heart failure: a meta-analysis"
Toma M, et al
 Circ Heart Fail 2012; DOI: CIRCHF/2011/965632. 
心不全患者において、テストステロンの運動能力に関する影響を報告したランダム化トライアルの研究

4つのトライアル(n=198、男性84%、平均年齢 67歳)

52週までの6分間歩行距離(6MWT:2つのRCT)、ISWT(2つのRCT)、ピークVO2

テストステロン治療は、プラシーボに比べ、有意に運動能力改善

6MWT、ISWT、peak VO2は、プラシーボ比較で、それぞれ 54.0 m (95% CI 43.0-65.0m)、46.7m (95% CI 12.6-80.9m)、 2.70 ml/kg/min (95% CI 2.68-2.72 ml/kg/min)増加

テストステロン治療は有意に運動能力増加と相関した。
 (net effect 0.52 SD, 95% CI 0.10-0.94)

有意な副事象心血管イベントは報告されてない。

結論の中に、高リスク対象者へのテストステロンベネフィットをQOL、臨床的イベント、安全性を評価するための、適切なパワーをもつRCTが必要とあえて付記されている。

2012年4月13日金曜日

血中総テストステロン低値の特異性は低い・・・ いいかげんな基準で“男性更年期”を拡大解釈するな!

late-onset hypogonadism、時に”男性更年期”という、いんちき病名でよばれる病態が仮に現実に存在すると仮定する。
その場合でも、3つの症状” fewer morning erections, fewer sexual thoughts, and erectile dysfunction”と男性ホルモン低値と一致した場合にだけ、その病名を呼ぶべきである
( 男性更年期診断の厳格化によりその疾病はわずか2%となる ・・・ 疾患存在への疑問 2010年 06月 17日)。



男性ホルモンとしての低ゴナドトロピン血症測定は、血中総テストステロン値が初期検査として推奨されている。

男性ホルモン低値の基準に関しても、総テストステロン値評価は結合蛋白の問題などその値をそのまま信用するわけには行かない。

遊離テストステロンは グロブリン結合異常や正常下限での評価に用いられるわけだが、それをゴールドスタンダードにして、正常vs低遊離テストステロン判別パフォーマンスを検討。


Performance of Total Testosterone Measurement to Predict Free Testosterone for the Biochemical Evaluation of Male Hypogonadism
The Journal of Urology Volume 187, Issue 4, April 2012, Pages 1369–1373


 3672名の電子カルテでの低ゴナドトロピン評価

低テストステロン血症(280ng/dL未満)での、低遊離テストステロン血症、除外・予測のための、感度・特異度は 91.3%、73.7%。

閾値 350ng/dL未満、400ng/dL未満では、感度 96.8%、98.2%と増加する。

閾値 150ng/dL未満、200ng/dL未満では、特異性98.9%、92.6%と増加する。


血中総テストステロン 280ng/dL、350ng/dLでは、感度十分でなく
350-400ng/dLを越える場合、正常の遊離テストステロンと考えて良いだろう。

150ng/dL未満を除けば、低ゴナドトロピン評価の特異性は少ない。




遊離テストステロン値をゴールドスタンダードとしても、総テストステロンのカットオフ値は曖昧である。

また、男性低ゴナドトロピン血症としての "state"としての存在としては存在する。だが、この低値を拡大解釈し、"disorder"としての存在を強調する医師たちが存在する。

 男性更年期障害:バランスを失った日本医師会雑誌の記載・・・生涯教育素材の価値無し 2011年 02月 05日
こういうタイトルをつける日本医師会編集部って、軽薄すぎる。
カットオフ値を曖昧にして、 本来正常な遊離テストステロン状態のヒトに男性ホルモン補充することのリスクを軽視しすぎている。

男性更年期のアンドロゲン補充療法・・・・エビデンス無し、リスク可能性大 2004年 05月 06日

2012年3月17日土曜日

閉経後女性:物忘れの訴えは、うつ、身体症状、作業記憶低下の予測因子

閉経後女性で物忘れを訴えるひとは多い。 その意義について臨床家は認識しておくことが重要だろう。通常の言語記憶・語彙力検査だけで問題なしと終わらせてはいけない。



Reconciling subjective memory complaints with objective memory performance in the menopausal transition
Menopause: doi: 10.1097/gme.0b013e318241fd22

主観的物忘れと、客観的な認知パフォーマンス

1.主観的物忘れと、記憶試験の客観的パフォーマンスの関係
2.主観的物忘れと、他の認知機能特性の関係
3.他の非認知要素と主観的物忘れ、たとえば、うつ、不安、睡眠の質との関連

 75名の閉経女性で、包括的神経精神評価組み合わせ

 物忘れの訴えは、言語学習、言語記憶と相関せず
しかし、作業記憶 とcomplex attention/vigilance(注意維持機能)とは相関

物忘れの訴えは、うつ症状、不安、身体症状、睡眠障害と相関。

回帰解析にて、物忘れの訴えは、うつ、身体症状、作業記憶パフォーマンスに関する予測要素であることが分かった。

2012年3月7日水曜日

子宮摘出後女性へのホルモン補充療法:乳がん頻度・死亡率への悪影響認めず


Conjugated equine oestrogen and breast cancer incidence and mortality in postmenopausal women with hysterectomy: extended follow-up of the Women's Health Initiative randomised placebo-controlled trial
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 7 March 2012


観察研究と異なり、WHIトライアルでは、エストロゲン単独で、侵襲型乳がん頻度低下が示された。
エストロゲン使用の、コホートフォローアップにて死亡率・発症率に 関わる影響検討


子宮摘出施行患者で50-79歳の女性で、3年生存が見込まれ、マンモグラフィークリアした対象者

11.8年フォローアップ中央値、エストロゲン使用5.9年間中央値

子宮摘出後の女性に、更年期症状緩和のため、約5年ほどのエストロゲン使用で、乳がん頻度・死亡率に影響与えなかった。


日本の産婦人科学会の一部とは異なり、諸外国では、慎重に、ホルモン補充療法適応対象者を探っている


エストロゲン+プロゲスチンでの乳がん発生増加報告
Estrogen Plus Progestin and Breast Cancer Incidence and Mortality in Postmenopausal Women
JAMA. 2010;304(15):1684-1692. doi:10.1001/jama.2010.1500

これに対し、エストロゲン単独では乳がん発生少ないだろう・・・と、エビデンスを示さず、ごり押しする、ホルモン補充療法に積極的関連団体。

だが、WHIで問題になったのは、乳がんだけではなく、肺がんリスク、全原因死亡リスクも含む(関連:http://intmed.exblog.jp/6864555/)。


偏った医療情報を広めようとする産経・NHK:ホルモン補充療法・インフルエンザ予防 2009年 03月 07日

ホルモン補充療法推進に懸命な産経:日産婦と日本更年期医学会指針記事 2009年 04月 03
http://intmed.exblog.jp/8134121/


ホルモン補充療法と乳がんリスク:Million Women Studyにはバイアスありすぎ・・・と批判 2012年 01月 17日
http://intmed.exblog.jp/14446064/


女性ホルモン補充療法と卵巣癌  2009年 07月 15日
http://intmed.exblog.jp/8637080/

テストステロン補充療法中、T→DHT阻害剤は、筋肉アナボリズムに影響を与えず


DutasterideはTypeⅠ5α-リダクターゼとType Ⅱ 5 α-リダクターゼを阻害し、前立腺肥大症治療や男性脱毛症治療に用いられている。このような5αリダクターゼ阻害剤は、テストステロンから5αdihydrotestosterone (DHT)への変換を阻害するが、アンドロゲン依存組織への影響は不明なところがある。


Bhasin らは、18-50歳の139名の健康男性で内因性テストステロン抑制の影響を検討

テストステロン補充療法を受けている男性に、ランダムに、dutasterideか、プラシーボを割り付け20週週間投与。

結果、プライマリアウトカム設定であったfat-free massの変化に、dutasterideとプラシーボに差は認めず 、テストステロンからDHTへの変換阻害は筋肉のアナボリック効果に影響を与えないことが分かった。


Effect of Testosterone Supplementation With and Without a Dual 5α-Reductase Inhibitor on Fat-Free Mass in Men With Suppressed Testosterone Production
A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2012;307(9):931-939. doi: 10.1001/jama.2012.227







その前に、テストステロン補充療法の意義に関して議論すべきだと思うのだけど・・・

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...