2012年9月28日金曜日

小児の心血管リスク:BMIとの関連性

小児の肥満の定義をどこにするか・・・

アウトカムを心血管疾患アウトカムと関連するパラメータ、血圧、脂質特性、血糖、インスリン抵抗性パラメータとすれば、正常・異常値を再設定する必要性が出現する。

システマティックレビュー・メタアナリシス

正常範囲外のBMIは有意に心血管疾患リスクと関連するパラメータ悪化させる。この影響は、過体重状態でも存在し、肥満増加し、以前考えられていたより大きな影響である。
体重考慮無しの、認容されるカットオフ値がリスク測定として信頼できるかどうか、また、この研究で用いた方法や報告が妥当かどうか、確立する必要がある。


Cardiovascular disease risk in healthy children and its association with body mass index: systematic review and meta-analysis
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e4759 (Published 25 September 2012)

63研究、492220名の子供、心血管リスクパラメータ悪化報告

収縮期血圧は 正常体重に比べ、体重過多の子供の場合、4.54 mm Hg (99% 信頼区間 2.44 ~ 6.64; n=12 169, 8研究) 、肥満の場合 7.49 mm Hg (3.36 ~ 11.62; n=8074, 15 研究)

拡張期、24時間持続血圧でも同様な相関。

肥満はすべての脂質濃度と不利益に関与し、肥満児童では総コレステロール 0.15 mmol/L (0.04 ~ 0.25, n=5072) 、トリグリセリド 0.26 mmol/L (0.13 to 0.39, n=5138)高い。
空腹時インスリン・インスリン抵抗性は肥満者で有意に高いが、過体重では高くない。
肥満児童は有意に左室容積 19.12 g (12.66 to 25.59, n=223)対照より重量がある


小児メタボリック・シンドロームって、“ウエスト周囲径80cm以上”。
果たして、ほんとに意義があるのだろうか・・・臨床的証見を示して欲しい。空想上の疾患概念であるメタボをさらに拡大解釈しつづける一部の方々・・・


小児の体型と成人の体型の違いがあるのはあきらかで、腹部周囲径による判定がその後の心血管疾患の臨床的予測に役立つかどうか・・・疑問

体内でそのうち消える電子デバイス

A Physically Transient Form of Silicon Electronics
Science 28 September 2012:Vol. 337 no. 6102 pp. 1640-1644 DOI: 10.1126/science.1226325
Suk-Won Hwang1, et. al.
Department of Materials Science and Engineering, Beckman Institute for Advanced Science and Technology, and Frederick Seitz Materials Research Laboratory, University of Illinois at Urbana–Champaign, Urbana, IL 61801, USA.


ゲンダイのシリコン電子工学では、物理的な不変性、半永久となり、体内吸収されないデバイスの開発が主。だが、この特性は体内の回路としては不利益。体内で消失することで役立つ植え込みデバイスも多く存在する。

silicon-based complementary metal oxide semiconductor (CMOS) technologyだが、一過性の素材としてはたらくデバイス

実験では、コンピュータチップのようなデバイスを熱産生する様デザインされた装置
一週間以上働き、3週間後は消失した。
術後感染対策としての戦略としてのデバイスらしいが、機能を果たし、見事に消えたというもの



Scientists make tiny medical devices that dissolve in mice
http://www.cbsnews.com/8301-204_162-57521928/scientists-make-tiny-medical-devices-that-dissolve-in-mice/


様々な利用法、たとえば、モニター、薬剤体内遊離放出システム、骨折治療促進効果を有する電子回路などが考えられるらしい。

思春期肥満への加糖飲料制限の効果 ・・・ おもったほど効果はない;NEJMの姿勢に疑問

加糖飲料制限群と対照群に思ったほどの差が認められなかった・・・さて、どういう言い訳をするかに興味の方向性が移る、今一つクリアカット出ない報告。

均一な食行動、多様なサンプル、被験者停滞率が高かったこと、身体運動・テレビ視聴との関連性も調査されたという調査は優秀だったものの、多因子が関与してるわけで、わずか200名程度では、挟雑因子の影響が大きくて結論だすのは難しいと思う。
多面的研究を狙った割には、サンプル数が少なすぎると結論でも記載されている。
食事も運動も自己報告に頼りすぎてること、不正確なBIAを体組成検査としてつかったこと、肥満関連リスク要素データの不備、バイオマーカーがないことなど、この調査の問題点である。

この程度でクリアカットな結論がだされるなら逆に信頼性に疑問が生じる位で、そもそもこの程度の結論の論文がNEJMに記載されるってことの意義は、論文の結果では無く話題性に媚びすぎてるんじゃないかと・・・


社会経済的・行動的要素の影響が大きいという証拠としてのヒスパニック系でのBMI減少結果があげられている。


A Randomized Trial of Sugar-Sweetened Beverages and Adolescent Body Weight
Cara B. Ebbeling,  et. al.
NEJM Sep. 21, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1203388
224名の過体重・肥満思春期少年少女を割り付け

滞留率1年で97%、2年で93%

加糖飲料報告量はベースラインでは、実験群、対照群同等 (1.7 サービング/日)
実験群では1年でほぼゼロ、2年時点でも実験群では飲料量報告低下のまま

プライマリアウトカムである、2年時点でのBMIの変化は2群に有意差認めず (対照群と実験群の差 , −0.3; P=0.46)


1年時点では有意にBMI (−0.57, P=0.045)、体重(−1.9 kg, P=0.04)に差を認めた。


1年時点 (P=0.04)、2年時点 (P=0.01)での民族差による影響のエビデンスを見いだした
民族毎の事前層別化解析、ヒスパニック登録者(実験群 27、対照群 19)では、有意に1年時BMI変化(−1.79, P=0.007) 、2年時BMI変化(−2.35, P=0.01)あり、しかし、非ヒスパニック系では有意差無し (P>0.35 at years 1 and 2)

総体重比率体脂肪の変化は2年時点で有意差認めず (−0.5%, P=0.40)

被験者関連の副事象認めず


bioelectrical impedance analysis (BIA) を疫学調査とは言え、採用し、NEJMに論文アクセプトされる時代。
といいつつ、不正確性との記載を要求するNEJM側・・・この態度に非常に矛盾を感じる。

オムロンだけじゃ無く、タニタとやらが、BIAの不正確性を無視して、マスメディアにでしゃばる暗黒時代・・・日本の大衆だけじゃなくて、一流と言われているジャーナルでも汚染が・・・

noteへ実験的移行

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