2012年10月31日水曜日

禁煙法包括的制定多いほど、主要疾患死亡率・入院減少


飲食店・公共での喫煙禁止により心筋梗塞3割減少、心突然死2割弱減少 (H24/10/30)

より厳格な禁煙に関する法律を制定することで、疾患入院・死亡を減少させることができるという報告。

Association Between Smoke-Free Legislation and Hospitalizations for Cardiac, Cerebrovascular, and Respiratory Diseases: A Meta-Analysis
Crystal E. Tan and et. al.
Circulation. 2012;126:2177-2183, doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.112.121301

33のsmoke-free法律に関する45研究で、フォローアップ中央値24ヶ月(レンジ 2-57ヶ月)
包括的法制化は、4つの診断群(冠動脈疾患、他の心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患)有意な入院(or 死亡)を減少
相対リスクはそれぞれ 0.848; 95% 信頼区間 0.816–0.881)、 0.610; 95% 信頼区間 0.440–0.847、 0.840; 95% 信頼区間 0.753–0.936、 0.760; 95% 信頼区間 0.682–0.846

包括的禁煙法のリスク差は長期フォローでもその影響に関して差を認めず

包括的な法律が多いほどリスクへの効果に関して大きな効果が出る。


解説記事:http://www.theheart.org/article/1465989.do

小児ICU:血糖厳格コントロールでも脳発達に悪影響無し


高血糖・低血糖ともに脳の発達へ悪化的に働く、長期間フォローアップで、厳格な糖コントロールの有害性を排除し、短期ベネフィットを確認する必要があったということで、700名の子供での大規模ランダム化対照化トライアル


 Neurocognitive Development of Children 4 Years After Critical Illness and Treatment With Tight Glucose ControlA Randomized Controlled Trial
Dieter Mesotten, et. al.
JAMA. 2012;308(16):1-10. doi:10.1001/jama.2012.12424.


厳格な糖コントロール:1歳未満は50-80 mg/dL、1-16歳は 70-100 mg/dL
これにより、通常ケアに比べ、ICUの合併症、死亡率減少、しかし、低血糖(40 mg/dL未満)増加  (25% vs 1%)

インテリジェンス(full-scale intelligence quotient [IQ])を年齢補正し行う (Wechsler IQ scales)

ランダム化後、中間4分位[IQR] 3.9(3.8-4.1)年間

ICUでのTGCははフルスケールIQスコアと関連せず (median [IQR], 88.0 [74.0-100.0] vs 88.5 [74.3-99.0] for UC; P = .73)

アウトカム不良頻度増加せず (死亡・神経認知機能障害を含む重度障害: 厳格コントロール 19% [68/349] vs 通常 18% [63/351]; リスク補正オッズ比, 0.93; 95% CI, 0.60-1.46; P = .72)
インテリジェンス、視覚―運動統合発達、記憶ともに2群差認めず
厳格コントロール群は運動調整改善 (改善度 9% [95% CI, 0%-18%] ~ 20% [95% CI, 5%-35%]  all P ≤ .03) 、認知柔軟性 (改善度 19% [95% CI, 5%-33%], P = .02)

厳格コントロールの短期低血糖は神経認知機能アウトカム悪化と関連せず

 BMJ(BMJ 2012; 345 doi:  (Published 24 October 2012) Cite this as: BMJ 2012;345:e7065)でも同様報告。



一方、成人では、ICUにおいて、厳格なコントロールは死亡率増加を来たし、血糖180mg/dL以下目標の方が、81-108mg/dL目標より予後良好・・・
(The NICE-SUGAR Study Investigators N Engl J Med 2009; 360:1283-1297March 26, 2009DOI: 10.1056/NEJMoa0810625)

ω3脂肪酸のワーキングメモリー改善効果のメカニズム

ω-3多価不飽和脂肪酸(n-3PUFA)に関しては、心血管疾患に関しては否定的な報告が出されたばかり・・・日本でのDHA/EPA合剤発売間近と聞くが・・・
システマティック・レビュー:ω3多価不飽和脂肪酸は死亡率・心血管系リスク減少と関連せず H24/09/12


ω-3(n-3)多価不飽和脂肪酸欠乏は、感情・認知機能障害と関連するという報告、すべてではないが、n-3 PUFAのサプリメントで感情疾患、統合失調症、注意欠陥過活動性障害にプライマリあるいは補完的な役割の期待が出来るという報告が有り、メカニズム上も様々考察されている。


DHA/EPAの血中濃度を高め、線条体モノアミン輸送小胞のDTBZ(dihydrotetrabenzine)の結合能( BPND)を高めるため、ワーキングメモリー増強的に働くという仮説がなされてたが、否定的となった。この経由では無く、炎症抑制作用、 シグナル増強作用などで説明がなされると著者らは説明。


Improved Working Memory but No Effect on Striatal Vesicular Monoamine Transporter Type 2 after Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acid Supplementation.
Narendran R, et. al.
PLoS ONE 7(10): e46832. doi:10.1371/journal.pone.0046832

ω-3多価不飽和脂肪酸(n-3PUFA)不足食は、線条体モノアミン輸送小胞(striatal vesicular monoamine transporter type 2:VMAT2)密度及びアンフェタミン誘導ドパミン遊離測定によるドパミン神経伝達を低下することが齧歯類の研究から示唆されている。
これは、魚脂食事性サプリメントがVMAT2のavailabilityを増加させ、ドパミン蓄積・遊離を促進し、working memoryなどのドパミン依存てき認知機能向上させる可能性がある。
ヒト、PETでこのメカニズムを調査、n-3 PUFAサプリメント投与後のVMAT2のavailabilityを健康者で測定

健康若年成人で、n-3 PUFAサプリメント使用前・後6ヶ月で、PET([11C]-(+)-α-dihydrotetrabenzine (DTBZ) )検査
前後のworking memory task(n-back)と赤血球膜脂肪酸構成分析

赤血球分析により、DHA、EPAサプリメント後増加。
n-3サプリメント投与後の線条体やその区画の[11C]-(+)-α-dihydrotetrabenzine (DTBZ) 結合能(BPND)の変化は有意でなかった。
n-3 PUFAによる赤血球中DHA・EPA値の変化と、 線条体[11C]DTBZ BPND の変化に関連性認めず


しかし、サプリメント投与前赤血球中DHA値は、ベースラインのn-back test(i.e., adjusted hit rate, AHR on 3-back)のパフォーマンス予測要素 (y = 0.19+0.07, r2 = 0.55, p = 0.009).

加え、AHRパフォーマンスは、3-back試験でのサプリメント改善が見られた  (pre 0.65±0.27, post 0.80±0.15, p = 0.04).

n-back performanceとDHA値の相関は、高DHA値が認知機能パフォーマンス改善と相関するという報告と一致したものである

しかし、[11C]DTBZ BPNDの変化が無いことは、これでは、n-3 PUFAの認知機能改善のメカニズムを説明出来ないということである。



ジャンクサイエンス・反GM運動、そしてメディア操作 

ジャンクサイエンスと反GM運動、そして、メディア操作 → 世界の食糧への多大な影響 ・・・ 日本の食糧事情にも根幹的影響をもたらす恐れ

そして、日本では類似したことが薬害市民運動・反ワクチン運動でも起きている


科学にとっての悲しい日。 メディアにとってはもっと悲しい日~Séralini事件

(上)
http://www.foocom.net/column/gmo2/8088/

(下)
http://www.foocom.net/column/gmo2/8108/

女性では、ビスフォスフォネート処方で、食道癌リスク増加

上部消化管がんとビスフォスフォネート処方の症例対照報告

UKプライマリケア電子カルテ記録(GPRD)のデータ利用

Bisphosphonates and Risk of Upper Gastrointestinal Cancer — A Case Control Study Using the General Practice Research Database (GPRD).
Wright E, Schofield PT, Seed P, Molokhia M (2012)
PLoS ONE 7(10): e47616. doi:10.1371/journal.pone.0047616


女性では、1回以上のビスフォスフォネート処方を処方無しとの比較した場合の喫煙状態補正後の食道癌照影オッズ比は、有意で、1.54(95% CI 1.27-1.88) 

女性の、喫煙状況補正後の、胃癌の有意な影響は認めず、1.06(95% CI 0.83-1.37)

男性では、食道癌も、胃癌も明らかなリスク増加見られない 
(喫煙補正後 0.78 (95%CI 0.56–1.09) 、 0.87 (95% CI 0.55–1.36))


ビスフォスフォネート処方に関しては、Drug Holidayについて、ちゃんと、指標だして、啓発しなきゃ・・・ なにが、ロコモだ・・・ その前にすることがあるだろ(ロコモは国際的にはほとんど議論・検討なされてないが、drug holidayは議論大いになされている・・・)

骨粗鬆症治療:ビスフォスフォネート治療継続期間に関する意見 H24/03/10

慢性腎臓病のeGFR減少、アルブミン尿増加は全年齢層で死亡率・ESRD増加と関連するも、相対的影響は高齢では低下

 大規模コホート研究によると、eGFR(推定糸球体濾過率)減少に伴う死亡の相対リスクは全年齢カテゴリーで増加するが、加齢と共に相対的影響は減少する。ただ、イベント総数全体が増えるため、絶対的リスクで計算すると増加する。


この知見ではCKD検診正当性の根拠にはならない
慢性腎臓病(CKD) 検診・治療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ H24.04.19
 むしろ、加齢層での検診根拠が要求されたと解釈することも出来る。


Age and Association of Kidney Measures With Mortality and End-stage Renal Disease
Stein I. Hallan, et. al.; for the Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium
JAMA. 2012;():1-12. doi:10.1001/jama.2012.16817.

【概要】 Chronic kidney disease (CKD)は高齢者で頻度多いが、低eGFRと抗アルブミン尿のリスクの意味合いは全年齢層で議論のあるところである。

【目的】 相対リスク・絶対リスクを検討することで、eGFRとアルブミン尿の年齢による影響修正可能性(介入)を評価

【デザイン、セッティング、被験者】  個別レベルのメタアナリシス(アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、北米/南米 2051244名、33名の一般住民、(血管疾患)高リスク・コホート、13のCKDコホート)
1972-2011年、フォローアップ期間(レンジ, 0-31年間)


【主要アウトカム測定項目】  死亡率・(eGFRとアルブミン尿分類による)終末期腎疾患(ESRD)ハザード比 (HR)をメタ解析(年齢カテゴリー横断的、性別、人種、心血管疾患、糖尿病、収縮期血圧、コレステロール、BMI、喫煙補正)
絶対的リスクはHRと平均的発症率で推定

【結果】  死亡 (112 325 件)、 ESRD (8411 イベント)リスクは低eGFRとアルブミン尿高度ほどどの年齢カテゴリーでも高い。一般的・高リスクコホートでは、eGFR減少による相対的死亡率リスクは、年齢増加後と減少
たとえば、「eGFR 45 mL/min/1.73 m2 vs 80 mL/min/1.73 m2」補正 HRは、18-54歳、 55-64歳、 65-74歳、  75歳以上のカテゴリーそれぞれで  3.50 (95% CI, 2.55-4.81、 2.21 (95% CI, 2.02-2.41)、 1.59 (95% CI, 1.42-1.77)、 1.35 (95% CI, 1.23-1.48) (P <.05 for age interaction)

同じ比較を絶対的リスク差で比較すると、高年齢で高い (1000人年あたりの超過死亡 9.0 [95% CI, 6.0-12.8]、 12.2 [95% CI, 10.3-14.3]、 13.3 [95% CI, 9.0-18.6]、 27.2 [95% CI, 13.5-45.5] )

アルブミン尿増加毎に、加齢による相対リスク減少は明確で無くなり、絶対的リスクの差は高齢ほど増加する (1000人年あたりの超過死亡比較(アルブミン・クレアチニン比 300mg/g vs 10mg/g) 7.5 [95% CI, 4.3-11.9]、 12.2 [95% CI, 7.9-17.6]、 22.7 [95% CI, 15.3-31.6]、 34.3 [95% CI, 19.5-52.4])

CKDコホートにおいて、死亡率補正相対ハザードは、年齢と共に減少せず

すべてのコホートで、低eGFRあるいは高度アルブミン尿のESRD相対リスク・絶対リスク差は年齢カテゴリー毎では同程度。


【結論】  低EFRと高度アルブミン尿は独立して死亡率・ESRDと相関し、住民広汎的に年齢層関係なく相関する。
高年齢層では、死亡率は相対リスクでは低下するが、絶対リスクでは増加する。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note