2012年9月28日金曜日

小児の心血管リスク:BMIとの関連性

小児の肥満の定義をどこにするか・・・

アウトカムを心血管疾患アウトカムと関連するパラメータ、血圧、脂質特性、血糖、インスリン抵抗性パラメータとすれば、正常・異常値を再設定する必要性が出現する。

システマティックレビュー・メタアナリシス

正常範囲外のBMIは有意に心血管疾患リスクと関連するパラメータ悪化させる。この影響は、過体重状態でも存在し、肥満増加し、以前考えられていたより大きな影響である。
体重考慮無しの、認容されるカットオフ値がリスク測定として信頼できるかどうか、また、この研究で用いた方法や報告が妥当かどうか、確立する必要がある。


Cardiovascular disease risk in healthy children and its association with body mass index: systematic review and meta-analysis
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e4759 (Published 25 September 2012)

63研究、492220名の子供、心血管リスクパラメータ悪化報告

収縮期血圧は 正常体重に比べ、体重過多の子供の場合、4.54 mm Hg (99% 信頼区間 2.44 ~ 6.64; n=12 169, 8研究) 、肥満の場合 7.49 mm Hg (3.36 ~ 11.62; n=8074, 15 研究)

拡張期、24時間持続血圧でも同様な相関。

肥満はすべての脂質濃度と不利益に関与し、肥満児童では総コレステロール 0.15 mmol/L (0.04 ~ 0.25, n=5072) 、トリグリセリド 0.26 mmol/L (0.13 to 0.39, n=5138)高い。
空腹時インスリン・インスリン抵抗性は肥満者で有意に高いが、過体重では高くない。
肥満児童は有意に左室容積 19.12 g (12.66 to 25.59, n=223)対照より重量がある


小児メタボリック・シンドロームって、“ウエスト周囲径80cm以上”。
果たして、ほんとに意義があるのだろうか・・・臨床的証見を示して欲しい。空想上の疾患概念であるメタボをさらに拡大解釈しつづける一部の方々・・・


小児の体型と成人の体型の違いがあるのはあきらかで、腹部周囲径による判定がその後の心血管疾患の臨床的予測に役立つかどうか・・・疑問

体内でそのうち消える電子デバイス

A Physically Transient Form of Silicon Electronics
Science 28 September 2012:Vol. 337 no. 6102 pp. 1640-1644 DOI: 10.1126/science.1226325
Suk-Won Hwang1, et. al.
Department of Materials Science and Engineering, Beckman Institute for Advanced Science and Technology, and Frederick Seitz Materials Research Laboratory, University of Illinois at Urbana–Champaign, Urbana, IL 61801, USA.


ゲンダイのシリコン電子工学では、物理的な不変性、半永久となり、体内吸収されないデバイスの開発が主。だが、この特性は体内の回路としては不利益。体内で消失することで役立つ植え込みデバイスも多く存在する。

silicon-based complementary metal oxide semiconductor (CMOS) technologyだが、一過性の素材としてはたらくデバイス

実験では、コンピュータチップのようなデバイスを熱産生する様デザインされた装置
一週間以上働き、3週間後は消失した。
術後感染対策としての戦略としてのデバイスらしいが、機能を果たし、見事に消えたというもの



Scientists make tiny medical devices that dissolve in mice
http://www.cbsnews.com/8301-204_162-57521928/scientists-make-tiny-medical-devices-that-dissolve-in-mice/


様々な利用法、たとえば、モニター、薬剤体内遊離放出システム、骨折治療促進効果を有する電子回路などが考えられるらしい。

思春期肥満への加糖飲料制限の効果 ・・・ おもったほど効果はない;NEJMの姿勢に疑問

加糖飲料制限群と対照群に思ったほどの差が認められなかった・・・さて、どういう言い訳をするかに興味の方向性が移る、今一つクリアカット出ない報告。

均一な食行動、多様なサンプル、被験者停滞率が高かったこと、身体運動・テレビ視聴との関連性も調査されたという調査は優秀だったものの、多因子が関与してるわけで、わずか200名程度では、挟雑因子の影響が大きくて結論だすのは難しいと思う。
多面的研究を狙った割には、サンプル数が少なすぎると結論でも記載されている。
食事も運動も自己報告に頼りすぎてること、不正確なBIAを体組成検査としてつかったこと、肥満関連リスク要素データの不備、バイオマーカーがないことなど、この調査の問題点である。

この程度でクリアカットな結論がだされるなら逆に信頼性に疑問が生じる位で、そもそもこの程度の結論の論文がNEJMに記載されるってことの意義は、論文の結果では無く話題性に媚びすぎてるんじゃないかと・・・


社会経済的・行動的要素の影響が大きいという証拠としてのヒスパニック系でのBMI減少結果があげられている。


A Randomized Trial of Sugar-Sweetened Beverages and Adolescent Body Weight
Cara B. Ebbeling,  et. al.
NEJM Sep. 21, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1203388
224名の過体重・肥満思春期少年少女を割り付け

滞留率1年で97%、2年で93%

加糖飲料報告量はベースラインでは、実験群、対照群同等 (1.7 サービング/日)
実験群では1年でほぼゼロ、2年時点でも実験群では飲料量報告低下のまま

プライマリアウトカムである、2年時点でのBMIの変化は2群に有意差認めず (対照群と実験群の差 , −0.3; P=0.46)


1年時点では有意にBMI (−0.57, P=0.045)、体重(−1.9 kg, P=0.04)に差を認めた。


1年時点 (P=0.04)、2年時点 (P=0.01)での民族差による影響のエビデンスを見いだした
民族毎の事前層別化解析、ヒスパニック登録者(実験群 27、対照群 19)では、有意に1年時BMI変化(−1.79, P=0.007) 、2年時BMI変化(−2.35, P=0.01)あり、しかし、非ヒスパニック系では有意差無し (P>0.35 at years 1 and 2)

総体重比率体脂肪の変化は2年時点で有意差認めず (−0.5%, P=0.40)

被験者関連の副事象認めず


bioelectrical impedance analysis (BIA) を疫学調査とは言え、採用し、NEJMに論文アクセプトされる時代。
といいつつ、不正確性との記載を要求するNEJM側・・・この態度に非常に矛盾を感じる。

オムロンだけじゃ無く、タニタとやらが、BIAの不正確性を無視して、マスメディアにでしゃばる暗黒時代・・・日本の大衆だけじゃなくて、一流と言われているジャーナルでも汚染が・・・

2012年9月27日木曜日

新しいSARS様ウィルス: London1_novel CoV 2012

結果的には、WHOを信じれば、大騒ぎするほどのことでは無かった・・・ということに。

New virus not spreading easily between people: WHO(9月29日追記)
http://www.reuters.com/article/2012/09/28/us-virus-who-idUSBRE88R0F220120928

情報は限られているが、ヒト・ヒト感染の可能性は低い
EUのモニター機関である、 European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC)は、この2名に関しては、接触から発症期間から考え動物から直接感染した事例と考えられ、人畜感染と考えている。

デンマーク人の事例はSARS否定(9月27日報道、9月29日追記)
Denmark patients not suffering 'SARS'
Updated: 14:11, Thursday September 27, 2012
http://www.skynews.com.au/health/article.aspx?id=799701





全般的に、前回のSARS(2003年)騒動の時より、医療系ジャーナルの動き緩慢な気がする。

現時点で、お膝元のthe Lancet(http://www.thelancet.com/http://www.thelancet.com/journals/laninf/issue/current)でも動き無し。前回大活躍だったNEJM(http://www.nejm.org/)も動き無し。


 ウィルス同定に関しては、今月、中東でスタートしたSARS様ウィルスは公的機関で確認され、2003年のSARSウィルスの時とは劇的に異なる対応がなされたとのこと。2003年の時は中国の隠蔽性のため遅れたという側面もあるし、技術発達のおかげでもあるだろう。SARSは2002年11月から2003年6月まで8098名が感染し、774名が死亡。2003年中に新規発症消失した。

 WHOによれば、症例のカタール人は、9月3日SARS症状、9月7日カタールのICU
英国へ4時間後搬送、Health Protechtion AgencyにてSARSに類似した未発見のコロナウィルスを同定
 サウジアラビアで1人死亡し、UKで入院した患者で、SARS様の症状
遺伝子シークエンシングの結果、SARSそのものでも、今までのコロナウィルスでもない、新種のウィルス両者から同定。99.5%同一と判明。
 25日にBritain's Health Protection Agencyが遺伝子シークエンシング部分的に同定。新種と同定、新しく命名された。
 このウィルスはこうもりのウィルスに類似し、SARSとは異なるものであると Ralph Baric (  University of North Carolina ;Chapel Hill)は述べている。


SARS様ウィルス:London1_novel CoV 2012


http://www.npr.org/blogs/health/2012/09/25/161770135/scientists-go-deep-on-genes-of-sars-like-virus



他.情報ソース
http://www.hpa.org.uk/NewsCentre/NationalPressReleases/2012PressReleases/120923acuterespiratoryillnessidentified/

この感染症は、封じ込めに失敗し、欧州での症例報告されてるが、調査が不充分なだけなのかもしれないが、カタール近隣諸国では同様の感染認められてないという不思議な状況にある。


逆に言えば、2002年の中国でのSARS出現(2003年急激拡大)とはことなり、急激な伝播がないということなのかも?
中国SARSの場合は、WHOがコンタクトするまで、3ヶ月かかり、すでに数百名の感染者がいたため、伝播した後だった。故に、今回も同様な広がりの可能性は有り、早期封じ込めが期待される。

日本の外務省は今日も国連行事に集中らしく、渡航注意も促されてない。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html
感染症情報:http://www2.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/pcinfectioninfo.asp#widearea
カタール:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/quatar/index.html
サウジアラビア:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/saudi/

厚労省も平和
http://www.mhlw.go.jp/




医師会経由で27日以下の情報伝達があったとのこと(28日追記)















【WHO】



 全般的に、情報少ない(初回・執筆時点)
Global Alert and Response (GAR)
Coronavirus infections

http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/en/index.html





・ Novel coronavirus infection in the United Kingdom
23 SEPTEMBER 2012 - On 22 September 2012, the United Kingdom (UK) informed WHO of a case of acute respiratory syndrome with renal failure with travel history to Saudi Arabia and Qatar.

http://www.who.int/csr/don/2012_09_23/en/index.html


・Novel coronavirus infection - update

25 SEPTEMBER 2012 - As of 25 September 2012, no additional cases of acute respiratory syndrome with renal failure due to infection with a novel coronavirus have been reported to WHO. WHO is continuing investigations into two recently confirmed infections identified as a novel coronavirus. Today WHO issued an interim case definition to help countries strengthen health protection measures against the new virus.

http://www.who.int/csr/don/2012_09_25/en/index.html







 [ロンドン 24日 ロイター] 
世界保健機関(WHO)は24日、SARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに似た新型ウイルスに感染したカタール人男性(49)が重体であることを明らかにした。 男性は新規コロナウイルスに感染しており、現在は英国の病院で集中治療室に入っている。WHOのスポークスマンは、「国際的な懸案事項だ」とし、男性が危険な状態にあると話した。  この男性は最近サウジアラビアを訪問しており、同国ではすでに、同じとみられるウイルスに感染した男性1人が死亡している。  来月には、世界中から数百万人のイスラム教徒がサウジアラビアのメッカに巡礼に訪れることになっており、新型ウイルスと同国に何らかの関係があれば、感染拡大の懸念も高まることになる。



SARS-like virus confirmed on Qatari man

By Catholic Online (NEWS CONSORTIUM) 9/25/2012
Catholic Online (www.catholic.org)




新型ウィルスの疑いで5人隔離=SARSに似た症状 デンマーク

【コペンハーゲンAFP=時事】
デンマークのオーデンセ大学病院は26日、新型肺炎(SARS)ウィルスと同じ仲間の新型ウィルスによる呼吸器疾患の症状のある患者5人を病院内に隔離したと明らかにした。2人は5歳未満という。
 病院によると、5人は発熱やせき、インフルエンザのような症状が現れている。うち4人は家族で父親がサウジアラビアへの渡航歴が有り、もう1人はカタールへの渡航歴がある。同日中にもサンプル検査の結果が判明する見込みという。(2012/09/26-21:12)



SARSからの教訓2007年 03月 19日
http://intmed.exblog.jp/5256094/
SARSは2003年、800名死亡、病院が疾患の広がりに大きく係わったことを重要視すべきで、治療に係わった医療関係者が“super-spreading”としての働きをした。(WHO 、CDC、厚労省SARS関連情報)

基本的な感染防止策である手洗いやガウンなどを交換することを行うことを怠ったことも大きな要因であり、反省点とすべきであると述べている。

小児扁桃摘出術周術期デキサメサゾン投与:軽度出血リスク否定出来ないが、中等度以上の出血は増加しない

扁桃腺切除児へのステロイド周術投与は、術後の吐気・嘔吐を減少させるため用いられている。しかし、その周術リスクや術後リスクはどうなっているのか?


level II以上の出血イベントは増加させないが、level I程度の出血増加は否定出来ない。


Perioperative Dexamethasone Administration and Risk of Bleeding Following Tonsillectomy in Children:  A Randomized Controlled Trial  
LCDR Thomas Q. Gallagher, et. al.
JAMA. 2012;308(12):1221 doi:10.1001/2012.jama.11575

デキサメサゾン単回投与(0.5 mg/kg;最大投与量 20mg) vs 同等量の生理食塩水0.9%(プラシーボ)

157名(年齢 中央値[中間4分位]、6[4-8])

出血イベント デキサメサゾン群 17(10.8%) vs プラシーボ 13(8.2%)

ITT分析では、level I  出血発生率 デキサメサゾン群 7.0%(n=11) vs プラシーボ 4.5%(n=7) (difference, 2.6%; upper limit 97.5% CI, 7.7%; P for noninferiority = .17);
level II 出血発生率 デキサメサゾン群 1.9%(n=3) vs プラシーボ 3.2%(n=5) (difference, −1.3%; upper limit 97.5% CI, 2.2%; P for noninferiority < .001);

level III 出血発生率 1.9% (n = 3) vs プラシーボ 0.6% (n = 1)(difference, 1.3%; upper limit 97.5% CI, 3.8%; P for noninferiority = .002)


結論: 小児扁桃摘出中の周術デキサメサゾン投与は、超過、臨床的に重要レベルII、IIIといった出血イベントに関し非劣性閾値5%を横切らず相関しない。
しかし、level Iの出血イベントは、デキサメサゾンにより非劣性閾値5%を横切るためその増加可能性は除外出来ない。

2012年9月26日水曜日

にきび薬開発に朗報:関連細菌ファージ同一性高い これを治療ターゲットにすれば...

にきび原因菌である、“Propionibacterium acnes”を撲滅する方法に関連する発見。


この細菌のファージは原核生物自然免疫と関連しているdiversityが少なく、特定のファージをターゲットとしている。いま、この細菌に対し様々な抗生剤投与されてるが、耐性菌の問題から離れられない。

だが、この細菌の自然免疫に関連するファージに遺伝子成分などのばらつきが少ないことは、ファージベースの抗菌剤開発上重要なポイントらしい。


この細菌のバクテリアファージの多様性を検討、11種同定、30年間・広汎な地域的分布でも驚くほど類似性があり、ゲノム長、GC比率、ヌクレオチド同等性(85%超)、ゲノム同等性など。他のファージではばらつきが目立つ。
ファージの抵抗性は、ファージの特異的サブセット目標の細菌のclustered regularly interspaced short palindromic repeat elementの存在と関連し、これは、真核生物の自然免疫と関連する。


Propionibacterium acnes Bacteriophages Display Limited Genetic Diversity and Broad Killing Activity against Bacterial Skin Isolates
mBio 3(5):e00279-12. doi:10.1128/mBio.00279-12.

2012年9月25日火曜日

2型糖尿病降圧目標は果たして強化目標(130/80 mmHg未満)でいいのか?

日本での2型糖尿病の降圧目標は、降圧強化目標(130/80 mmHg未満)である。一方、脳卒中既往患者の二次予防に関して、標準目標(140/90 mmHg未満)が設定されている。

ところが、以下のシステマティック・レビュー/メタアナリシスで、降圧強化目標治療でのベネフィットとして卒中予防効果のみが軽度ながら認められた。しかし、死亡率に関してはベネフィット認めず。糖尿病降圧目標は標準的ターゲットでいいのではないかという疑念が生まれてくる。

Intensive and Standard Blood Pressure Targets in Patients With Type 2 Diabetes MellitusSystematic Review and Meta-analysis
Kerry McBrien, et. al.
Arch Intern Med. 2012;172(17):1296-1303. doi:10.1001/archinternmed.2012.3147


背景  糖尿病(DM)患者の高血圧治療は心血管アウトカム改善効果が示されている。
しかし、強化的降下目標の位置づけは不明瞭。標準ターゲット(収縮期140-160/拡張期85-100)と強化目標(収縮期 130/拡張期 80を上限)の有効性・安全性比較


方法  電子データベース、文献、臨床トライアル登録で、システマティック・レビュー・メタアナリシス:2型糖尿病の事前登録血圧目標比較ランダム化けるトライアル
研究特性、バイアスリスク、アウトカムデータを収集
Random-effects modelを用い、死亡率、心筋梗塞、卒中のプール相対リスク、リスク差

結果  強化血圧目標を用いることは、死亡率リスクの有意な減少とは相関しない (相対リスク差, 0.76; 95% CI, 0.55-1.05) 、心筋梗塞も同様(相対リスク差, 0.93; 95% CI, 0.80-1.08)
しかし、卒中リスク減少と相関 (relative risk, 0.65; 95% CI, 0.48-0.86)

強化血圧目標仕様によるリスク差のプール解析では、卒中リスク減少は絶対値比較では少ない (絶対的リスク差, −0.01; 95% CI, −0.02 ~ −0.00)
しかし、死亡率・心筋梗塞リスクの統計学的差は認めない

結論  降圧標準目標に比べ、強化目標を用いることは、2型糖尿病患者にとって、卒中リスクの小規模のリスク軽減と関連するが、死亡率・心筋梗塞減少としてはエビデンスとして示せない。


タイムリーなのか、でないのか・・・某商用医療系情報サイトで、“糖尿病の血圧管理 130mmHg未満 vs 140mmHg未満”で討論を企画してる。

糖尿病:運動量と死亡率 ・・・ 前向き研究・メタアナリシスで確認

糖尿病患者において、総運動量多いと死亡率リスク軽減効果あり
中等度の運動量でさえ、運動しない場合に比べ早死にリスク低下あり。
糖尿病患者では規則的運動すべきという広まってる経験的エビデンスを支持する
 

Physical Activity and Mortality in Individuals With Diabetes MellitusA Prospective Study and Meta-analysis
Diewertje Sluik, et. al.
Arch Intern Med. 2012;172(17):1285-1295. doi:10.1001/archinternmed.2012.3130

糖尿病患者の運動量と死亡率の相関調査の前向きコホート・メタアナリシス
 EPIC study (European Prospective Investigation Into Cancer and Nutrition)で、糖尿病ベースラインにある58259名で、レジャー時間、総運動量、ウォーキングと心血管疾患(CVD)、総死亡率を多変量Cox比例ハザード回帰モデルで検                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     討。
それまでの報告の前向き研究のFixed- and random-effects meta-analysis

前向き分析で、総運動量はCVD、総死亡率リスク低下と相関。
身体運動不活発者に比べ、中等度運動で死亡率リスク最小;総死亡率、CVD死亡率のハザード比はそれぞれ、 0.62 (95% CI, 0.49-0.78) 、0.51 (95% CI, 0.32-0.81) 。
レジャータイム運動量は総死亡率低下と相関し、ウォーキングはCVD死亡率リスク低下と相関。
総運動量の高vs低での全原因死亡率比較5つの研究のメタアナリシスにて、pooled random-effects hazard ratioでは 0.60 (95% CI, 0.49-0.73)

ACS後:抗血小板治療に経口抗凝固薬上乗せ ・・・ 出血リスク劇的増加 、血栓イベント軽減効果はさほどない オフセット判断可能か?

“経口抗凝固薬rivaroxabanと抗血小板療法の併用はACS患者の心血管イベント2次予防に有効”などと第84回米国心臓協会・学術会議(AHA2011)で報告されていたが、以下のシステマティック・レビュー&メタアナリシスをみるとちょっと違和感。

Use of New-Generation Oral Anticoagulant Agents in Patients Receiving Antiplatelet Therapy After an Acute Coronary Syndrome:  Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials  
András Komócsi, et. al.
Arch Intern Med. Published online September 24, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.4026


【背景】  dual antiplatelet therapyに関わらず、急性冠症候群(ACS)後も血栓症イベントリスクが問題になる。経口activated Xa antagonist (anti-Xa)(e.g. エドキサバン(リクシアナ)、リバーロキサバン(イグザレルト)など)と、direct thrombin inhibitor(ダビガトラン(プラザキサ)など)がこの状況で検討されている。
ACS後の抗血小板患者でのプラシーボ比較との新規あるいはすべての抗凝固剤の有効性安全性比較評価。


【方法】  Electronic database(ACS後の抗血小板療法を受けた患者での、抗Xaあるいは直接トロンビン阻害剤の効果評価前向きプラシーボ対照化臨床トライアルで検索された)ステント血栓を、包括死亡率、重大虚血性イベント組み合わせを含む有効性測定を安全性エンドポイントとする。ネットの臨床的ベネフィットは、虚血性イベント・重大出血イベントの組み合わせ合計


【結果】  2000年1月1日から2011年12月31日まで、研究クライテリアに合致した、31286名の患者を含む7つの前向きランダム化プラシーボ対照化臨床トライアル同定
プールした結果分析に基づき、ACS後の抗血小板治療に、新世代抗凝固薬を使用することで、重大出血イベントの劇的増加と相関 (オッズ比, 3.03; 95% CI, 2.20-4.16; P < .001)
ステント血栓・複合虚血イベントリスク減少は、有意であるが、効果としては中等度で、包括的死亡率への有意な影響認めなかった。
ネットの臨床的ベネフィットに対し、新世代抗凝固剤治療はプラシーボを上回るアドバンテージ認めず (オッズ比, 0.98; 95% CI, 0.90-1.06; P = .57).

【結論】  ACS後の抗血小板剤投与患者に対し、抗Xaもしくは直接トロンビン凝固阻害剤使用をくわえることは重大出血性イベントを劇的に増加させる。オフセットとしての虚血性イベントへのベネフィットがあるかもしれない。



JACCのState of the art( J Am Coll Cardiol. 2012;59(16):1413-1425. doi:10.1016/j.jacc.2012.02.008 )に、dual抗血小板治療トライアル、 RE-DEEM、ATLAS、APPRAISE、RUBY-1のまとめが書かれている



2012年9月24日月曜日

米国甲状腺学会:成人甲状腺機能低下臨床ガイドライン

Clinical Practice Guidelines for Hypothyroidism in Adults: Co-sponsored by the American Association of Clinical Endocrinologists and the American Thyroid Association
http://online.liebertpub.com/doi/pdfplus/10.1089/thy.2012.0205


Medscapeの要約
http://www.medscape.com/viewarticle/771001

Of particular note for primary care clinicians:
  • 臨床医は、以下の甲状腺機能低下症例の場合、専門医への受診助言しなければならない
    • 新生児・小児患者の甲状腺機能低下例
    • 妊娠・妊娠予定
    • 心疾患患者
    • 副腎・下垂体疾患などの他内分泌疾患合併
    • “euthyroid state”導入・維持困難例
    • 甲状腺腫、結節性、甲状腺構造変化有る場合
    • 甲状腺機能異常集積
  • TSHが甲状腺機能低下スクリーニングの初期ベスト法だが、臨床医は、入院患者評価あるいは、中枢性甲状腺機能異常を疑う場合の評価では不充分という認識が必要。
  • 甲状腺機能低下症標準治療は、レボサイロキシン(チラージンS)による個別テーラー化である; “甲状腺補助”・“甲状腺の健康促進”などといったOTC製品の臨床的評価を指示するデータはない
  • レボサイロキシンとlevotriiodothyronineの併用は、乾燥甲状腺を含め、妊娠中、妊娠予定女性では使用すべきではない
  • 高齢者の軽度TSH増加は正常加齢現象であり、甲状腺機能低下を必ずしも意味しない。

高齢者のところ・・・
 AITD (i.e. Hashimoto’s thyroiditis, chronic autoimmune thyroiditis)の血清学的証拠のない対象者で、80歳を越える高齢者の場合、TSH>3.0 mIU/L超過例は多く、2.5-4.5は23.9%、4.5超過は12%。極軽度TSH増加は必ずしも、 subclinical thyroid dysfunctionを意味せず、むしろ加齢にともなう正常な減少であり、特定の対象者への正常参照値変更が考慮されている。


ビタミンB12と同様に、TSH高値を認知症と結びつける主張を聞くことがあるが、潜在性甲状腺機能低下症過剰診断・過剰治療につながるリスク可能性がある。高齢者への補充療法には心血管リスクが高まるため、、高齢者のTSHの意義付け、注意が必要だろう。

eGFR評価前提: メトホルミンは他経口血糖降下剤に比べさほど有害性リスク高くない





eGFR確認後、処方するのは当然として、 日本では、メトホルミンに対し、リスクが過大に心配されてる。

 糖尿病専門医委員会,ビグアナイド薬の適正使用に関する勧告
 http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/830.pdf


メトホルミンが他の薬剤に比べてホントに有害なのだろうか?

メトホルミンは、他経口血糖降下剤に比べさほど有害性リスク増加認めず、インスリンの方が明らかにリスクが高いという報告。

Diabetes and endocrinology

Effectiveness and safety of metformin in 51 675 patients with type 2 diabetes and different levels of renal function: a cohort study from the Swedish National Diabetes Register
BMJ Open 2012;2:e001076 doi:10.1136/bmjopen-2012-001076


スウェーデンの病院外来・プライマリケア施設での調査

経口血糖降下剤もしくはインスリン投与2型糖尿病・51675名男女(Swedish National Diabetes Register)

主要アウトカム測定:各治療レジメンに伴う、心血管疾患、全原因死亡率、アシドーシス/重度感染リスクで、全患者、eGFR間隔毎の推定

propensity score補正後、

単剤治療メトホルミンに比較した場合、メトホルミン外のすべての経口血糖降下剤 (OHAs)の 致死性/非致死性CVDハザード比は、 1.02 (95% CI 0.93 ~ 1.12)、全原因死亡率ハザード比は 1.13 (1.01~1.27)。

一方、インスリン単剤では、 1.18 (1.07~1.29) 、1.34 (1.19 ~ 1.50)

 eGFR 45–60 ml/min/1.73 m2の場合、他治療法と比較して、メトホルミンは、アシドーシス/重度感染リスク減少を示した(補正ハザード比  0.85, 95% CI 0.74~0.97)、全原因死亡リスク (HR 0.87, 95% CI 0.77~0.99)

eGFR  30–45 ml/min/1.73 m2.で、全原因死亡率、アシドーシス/重度感染、CVDでリスク増加認めず

厚労省のジェネリックでの言い分、「主成分同じなら同じ効果」のはずなのに、「メトグルコ」なる薬剤をピカ新扱いにしている厚労省の矛盾。「メトグルコ」を後発 と勘違いされ、高齢者に、メトホルミン・ジェネリックが手渡しされそうになった事例もある。


糖尿病学会は東大のあの方が牛耳ってから変なことが多い・・・

2012年9月21日金曜日

HPR2012 : ヨーグルト、クランベリー降圧作用

HPR2012
http://my.americanheart.org/professional/Sessions/HBPR/HBPR_UCM_316905_SubHomePage.jsp




Wang H, et al "Yogurt consumption, blood pressure, and incident hypertension: A longitudinal study in the Framingham Heart Study" HBPR 2012; Abstract 188.

解説: http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Hypertension/34859

Framingham Heart Study Offspring Cohortからの報告
2197名の成人、 44%が月1回はヨーグルト摂取
14年間フォローアップ、高血圧発症 913名
ヨーグルトの全カロリーへの影響は最大で2%程度
ヨーグルト非摂取に比べ、人口動態・ライフスタイル補正・コレステロール低下治療補正高血圧発症オッズ比は0.69(0.54-0.87)
収縮期血圧は非摂取者に比べ0.19mmHg低下


Novotny JA, et al "Low calorie cranberry juice lowers blood pressure in healthy adults" HBPR 2012; Abstract 299.

解説: http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Hypertension/34886

 56名健康正常血圧成人(平均51歳、BMI28.4)・二重盲検
低カロリークランベリージュース vs 着色・香りづけ・カロリーマッチ対照

治療期間終了後、平均拡張期血圧 69 mmHg vs 72 mmHg (P=0.029)
拡張期血圧 74 → 71 mmHg(P=0.049)
収縮期血圧 122 → 119 mmHg(P=0.12)

プラシーボに変化なし


ヨーグルトの検討の方だが、 住民ベースの検討の特徴だそうで、個別に見るとその差は小さいが、降圧効果少なくても全体から見ることで、高血圧発症リスク低減効果が見られる。クランベリージュースに関して住民ベースで検討したらどうなるのだろう。

外傷後3時間内のトラネキサム酸投与は低リスク対象でも死亡リスク減少

CRASH-2トライアルでは、成人外傷後3時間内のトラネキサム酸の短期投与は、血栓性イベントリスク増加させること無く、死亡率減少させることが示された。
(CRASH-2 Collaborators. Effects of tranexamic acid on death, vascular occlusive events, and blood transfusion in trauma patients with significant haemorrhage (CRASH-2): a randomised, placebo-controlled trial. Lancet2010;376:23-32



現在世界中にトラネキサム酸投与我広まっているが、多くは、重度な症例に限られている。
低リスクの人にも死亡リスク減少効果があるか?


13 273 名の外傷患者で、ベースライン死亡リスク (<6 21-50="21-50" 6-20="6-20">50%)層別化
(Predicting early death in patients with traumatic bleeding: development and validation of prognostic model ; BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5166 (Published 15 August 2012)Cite this as: BMJ 2012;345:e5166

トラネキサム酸は有意に全原因死亡率減少、出血原因死亡減少と有意に相関。
ベースライン層別化において、トラネキサム酸治療で死亡減少。
全原因死亡率、出血原因死亡のベースライン死亡リスクによる影響のheterogeneityのエビデンス認めず
トラネキサム酸治療患者で、有意な致死的・非致死的血栓症イベントオッズ減少あり (オッズ比 0.69, 95% 信頼区か 0.53 ~ 0.89; P=0.005)、有意な動脈血栓性イベントオッズ減少有り(0.58, 0.40 ~ 0.83; P=0.003)
しかし、静脈血栓性イベントの有意減少認めず (0.83, 0.59 ~ 1.17; P=0.295)
トラネキサム酸の血栓性イベントリスクへの影響にheterogeneityのエビデンスはない (P=0.74)
トラネキサム酸の影響はすべてのリスク層別群でも同様と仮定される (<6%, 6-20%, 21-50%, >50% risk of death at baseline)なら、受傷後3時間内の投与にて回避出来る死亡率は 17%、 36%、 30%、 17%。


AANガイドライン:sCJD診断に於ける脳脊髄液中protein 14-3-3の役割

AANガイドラインにて、稀ながら致死的疾患である、sporadic Creutzfeldt-Jakob 病 (sCJD)を示唆する蛋白検査に関して新しいガイダンスを示した。
 
解説: Guideline Examines Diagnostic Accuracy of CSF 14-3-3 Protein in sCJD
http://www.aan.com/news/?event=read&article_id=10800




 脳脊髄液中protein 14-3-3はaccuracy中等度;感度92%(95%信頼区間 89.8-93.6)、特異度 80%(95%CI 77.4-83.0) 尤度比 4.7、陰性尤度比 0.10
 急激な進行性認知症患者、sCJD強く疑う場合、診断確率20%-90%程度なら、この検査は診断不確実性を減少させることが出来る。(エビデンスレベル B)
Evidence-based guideline: Diagnostic accuracy of CSF 14-3-3 protein in sporadic Creutzfeldt-Jakob disease : Report of the Guideline Development Subcommittee of the American Academy of Neurology
This information is current as of September 20, 2012
 http://www.neurology.org/content/early/2012/09/19/WNL.0b013e31826d5fc3.full.pdf+html





脳脊髄液中protein 14-3-3欠乏はCJDを示唆、除外出来る可能性を Taim Muayqil, MBBS )King Saud University in Riyadh, Saudi Arabia)ら。



狂牛病の全頭検査の非科学性に対して誰も何も言わなくなったが、臨床疫学から考えればおかしいことは自明。感度・特異度無限大が前提の検査なのだから・・・
科学的エビデンスに従えば、専門家の意思表明程度が国の施策に成っている我が国・・・あらゆる分野で・・・


2012年9月20日木曜日

NICE-SUGAR研究:重症患者血糖強化コントロールは低血糖エピソード量依存的に死亡リスクと関連

 重症患者での血糖強化コントロールは中等度・重度低血糖を生じ死亡リスクを増加させる。
この関連性は量依存的で有り、 血液分布異常性ショックによる死亡との関連が深い。
ただ、因果関係に関して判明しているわけではない。

Hypoglycemia and Risk of Death in Critically Ill Patients
The NICE-SUGAR Study Investigators
<a href="http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1204942?query=featured_home">N Engl J Med 2012; 367:1108-1118September 20, 2012</a>


強化群:目標血糖を 81-108 mg/dL
通常群:目標血糖を 180mg/dL

プライマリアウトカムは90日内死亡率

6026名でフォローアップデータ利用可能
中等度低血糖 2714(45.0 %)で、うち2237名が強化コントロール群(i.e. 強化群 3013名中82.4%、重度低血糖は223名(3.7%)で、93.3%の208名が強化群(i.e. 強化群の6.9%)
低血糖のない3089名の内、726(23.5%)が死亡
中等度低血糖2714名の内、774名(28.5%)死亡
重度低血糖223名の内、79(34.4%)死亡

低血糖無し群との比較、中等度・重度低血糖患者の死亡補正ハザード比は、 1.41 (95% 信頼区間 [CI], 1.21 ~ 1.62; P<0.001) 、 2.10 (95% CI, 1.59 ~ 2.77; P<0.001)

死亡との相関は、2日間以上の中等度低血糖患者で増加 (>1 day vs. 1 day, P=0.01)
血液分布異常性ショック( distributive shock )、血管拡張性ショック、インスリン治療無しの重度低血糖で増加(ハザード比, 3.84; 95% CI, 2.37 ~ 6.23; P<0.001)で増加


集中治療管理テーマの一つ、血糖コントロール
重症患者では、低血糖という事態が、生命予後に関わるほど、生体に悪影響を与えていることは確かなようだ。

ただ、低血糖という事象がホメオスターシス維持不能状態の現れの一つという可能性はないのだろうか?終末期に向かうほどホメオスターシス維持困難で、血糖だけというより、ナトリウム、カリウムなどの電解質異常、 自由水の異常、アルブミン血管内保持異常など生じる異常は多い。

低血糖を生じているから、血液分布異常性ショックが生じると結論づけるにはまだ早いという考察も本文中になされている。

2012年9月19日水曜日

肥満手術で糖尿病寛解、心血管疾患アウトカム改善効果

肥満治療のためのRoux-en-Y gastric bypass (RYGB) 手術の前向き研究結果

体重減少、肥満、高血圧、脂質異常、HRQOLを検討したもの

重度肥満患者において、非手術対照比較で、手術は、6年後において、糖尿病寛解、心血管疾患その他の健康アウトカム改善に役立つという結論


Health Benefits of Gastric Bypass Surgery After 6 Years  
Ted D. Adams, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1122 doi:10.1001/2012.jama.11164


ベースラインから2年後、6年後フォローアップ時の%体重変化


ベースラインから2年後、6年後頃-アップ時空腹時血糖変化



手術後6年、RYGB手術患者(フォローアップ92.6%)は初期体重より27.7%減少 (95% CI, 26.6%-28.9%)
対し、対照群1(無手術割り付け群)では 0.2% (95% CI, −1.1% to 1.4%)、対照群2(減量手術希望なしの一般住民サンプルからの選択)では、0% (95% CI, −1.2% to 1.2%)

体重減少維持はRYGB手術後患者は優れており、手術後20%体重減少維持2年後94% (95% CI, 92%-96%)、6年後76% (95% CI, 72%-81%)

6年後糖尿病寛解率は、手術群  62% (95% CI, 49%-75%)、対照(Group 1) 8% (95% CI, 0%-16%)、対照(Group 2) 6% (95% CI, 0%-13%)
オッズ比は 16.5 (95% CI, 4.7-57.6; P < .001) vs 対照(group 1)、 21.5 (95% CI, 5.4-85.6; P < .001) vs 対照(group 2)

研究経過中糖尿病発症率は手術後低下; RYGB 手術後 2%; 95% CI, 0%-4%; vs 17%; 95% CI, 10%-24%; 対照(group 1)との比較 OR, 0.11; 95% CI, 0.04-0.34、対照(group 2)との比較OR 15%; 95% CI, 9%-21%; OR, 0.21; 95% CI, 0.06-0.67 ; both P < .001).
減肥手術関連入院被験者数は、手術、対照群1、対照群2でそれぞれ 33 (7.9%), 13 (3.9%), 6 (2.0%)



関連して医療費低減効果についての報告がなされている。

Health Care Use During 20 Years Following Bariatric Surgery 
Martin Neovius, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1132 doi:10.1001/2012.jama.11792

肥満手術後6年間は入院・非プライマリケア外来数増加となるが、それ以降は影響なし
薬剤コストは7-20年にわたり低下する。

肥満・過体重子供に蓄積する尿中ビスフェノールA 健康への懸念

筆者らは、必ずしも尿中Bisphenol A (BPA)濃度増加が肥満発症に役割を果たしていると言ってるわけでは無く、脂肪組織に蓄えられたBPA高濃度状態への健康への悪影響を危惧しているということ。


Association Between Urinary Bisphenol A Concentration and Obesity Prevalence in Children and Adolescents  
Leonardo Trasande, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1113 doi:10.1001/2012.jama.11461


概要  Bisphenol A (BPA)は合成化学物質であり、缶詰食品、ポリカーボネート瓶詰め液状食品、他の製品で見られる。成人では、尿中BPA濃度増加は肥満と相関し、冠動脈疾患発症とも相関する。BPA暴露はおそらく小児肥満と関連するだろうが、エビデンスに欠けていた。

目的  小児に於ける、尿中BPA濃度とbody massアウトカムの相関性

デザイン, セッティング, 被験者  横断的分析、6-19歳の2838名の国内代表するサブサンプル(2003-2008 National Health and Nutrition Examination Surveys)で、ランダムに尿中BPA濃度測定されたもの


主要アウトカム測定  Body mass index (BMI)、性別-、年齢標準化zスコアと、過体重(BMI ≥85th percentile for age/sex)、肥満分類(BMI ≥95th percentile)

結果 MPA濃度中央値は 2.85 ng/mL(中間4分位 1.5-5.6)。被験者中 過体重 1047(34.1%[SE, 1.5%])、肥満 590(17.8% [SE, 1.3%])
人種/民族、年齢、保護者教育、貧困/収入比率、性別、血中コチニン濃度、カロリー摂取、テレビ視聴、尿中Cr値補正にて、最小尿中BPA濃度小児は、他の2つの四分位に比べ肥満頻度少ない (10.3% [95% CI, 7.5%-13.1%])  比較; 第2四分位 (20.1% [95% CI, 14.5%-25.6%])、第3四分位(19.0% [95% CI, 13.7%-24.2%])、第4四分位(22.3% [95% CI, 16.6%-27.9%])

類似相関パターンが尿中BPA濃度4分位やBMI z scoreとの間に関連性が見られ、それは尿中BPA濃度対数や肥満頻度調査分析で検討された。

肥満は必ずしも、日焼け止めやソープのような商品使用といった環境中フェノール暴露と相関しない。
層別化解析にて、尿中BPA濃度と肥満の有意相関が白人では見られた (P < .001) が、黒人・ヒスパニックでは見られない。

結論 小児・思春期の横断的研究で、尿中BPA濃度が肥満と有意相関が見られた。
高濃度BPA含有物食品を摂取する肥満児童で説明出来るのか、あるいは、肥満者で脂肪組織でのBPA蓄積増加するためか、関連性の説明では 除外出来ない。




尿中ビスフェノールA濃度と、冠動脈疾患に相関 2012.2.29
缶入りスープとビスフェノールA暴露 2011年 11月 24日
プラスティック:尿中ビスフェノールと成人健康・・・心臓・糖尿病・肝臓へ影響 2008年 09月 17日

2012年9月18日火曜日

サリドマイド:特発性肺線維症の咳嗽への治療効果

薬ってのは使いようであり、悪名高い薬剤でも使い方次第では良薬となる。

特発性肺線維症は乳がんに匹敵する人々が亡くなる病気である。そして、肋骨骨折などまで生じるようなひどい咳嗽に悩む日々をすごす人たちもいる病気である(参考:http://abcnews.go.com/Health/thalidomide-infamous-birth-defects-patients-deadly-idiopathic-pulmonary/story?id=17255742#.UFfgZVEsF8E)。

この咳嗽に対して、昨年から、サリドマイドが有効という報告が目につくようになった。


Thalidomide Treatment for Cough in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Thalidomide for the Treatment of Cough in Idiopathic Pulmonary Fibrosis: A Randomized Trial
Maureen R. Horton et. al.
Ann Intern Med. 18 September 2012;157(6):398-406

CQLQ スコア( Cough Quality of Life Questionnaire (CQLQ) score)は有意にサリドマイドで改善 (mean difference vs. placebo, −11.4 [95% CI, −15.7 to −7.0]; P < 0.001)
また有意に咳嗽VASスコアも改善 (mean difference vs. placebo, −31.2 [CI, −45.2 to −17.2]; P < 0.001)
サリドマイド服用被験者では、SGRQのスコア、SGRQ症状属性、SGRQインパクト属性ともプラシーボ服用被験者より改善
副事象はサリドマイド服用群 74%、プラシーボ群 22%で、便秘、めまい、不安(malaise)が多かった。



昨年、ヨーロッパの方でポスター報告
Thalidomide as treatment for IPF associated cough
Thorax 2011;66:A103 doi:10.1136/thoraxjnl-2011-201054c.88

治療抵抗性高血圧に対する腎動脈交感神経焼灼術はコスト効果的



ACCP2012の科学セッションにて報告

コスト効果比増分はQALYあたり5万ドルの閾値を以下であり、十分他の治療と比べてコスト効果を満たしているという報告。

SYMPLICITY HTN 2 trialのcomplex analysis

Cost-effectiveness and clinical effectiveness of catheter-based renal denervation for resistant hypertension.
Geisler B, Egan B, Cohen J, et al.
J Am Coll Cardiol 2012; DOI:10.1016/j.jacc.2012.07.029.


副事象長期相対リスク( renal denervation vs standard of care


イベント
10-年相対リスク
生涯相対リスク
卒中
0.70
0.83
心筋梗塞
0.68
0.85
全冠動脈疾患
0.78
0.90
心不全
0.79
0.92
腎疾患終末期 
0.72
0.81
http://www.theheart.org/article/1446153.do#bib_1


治療抵抗性高血圧に対する、腎動脈交感神経焼灼術によるカテーテルベースの腎のdenervation
経皮的に大腿動脈からカテーテルを挿入し、腎動脈に細いアブレーションカテーテルを誘導し、高周波エネルギーを用いて腎動脈周囲を走行する腎交感神経を両側かつ全周性に焼灼する(http://www.ardian.com/index.shtml)
(参考:http://www.researchgate.net/publication/51626122_The_cutting-edge_of_medicine_catheter-based_renal_sympathetic_denervation_for_cardiovascular_diseases)

2012年9月14日金曜日

job-strainモデルに基づく検討:職務ストレスと冠動脈疾患の関連

job-strainの日本語化というと、職務ストレスとなるようだ。だが、ストレスという言葉は、ストレッサーを元来意味するものでもなく、demand-controlモデルを正しく言い当ててるとは思えない。故に、表題では、職務ストレスとしたが、本文は、あえて、job-strainと原文のままにしている。


仕事は物質的豊かさに清、健康へのベネフィットもあるが、個人の仕事の量・質に関わる因子によるstrainが個々の身体・メンタルな健康に有害なこともがある。Karasekらのjob-strainモデルがブレークスルーとなり、このモデルは、職業的要求要素+個々の要求をコントロールできない要素からストレスを生じ、故に、心血管疾患・メンタル疾患発症をもたらすもので、主に製造業をモデルとしている。このモデルは、リスク予測可能で有り、フィンランド住民での抗うつ薬や罹病なしの頻度を説明できた。



Mika Kivimäki のLancetの論文は、197473名のヨーロッパ男女、冠動脈疾患なしで検討。
仕事のストレス下なら冠動脈性心疾患リスク25%増加

出版・未出版ヨーロッパ研究のメタアナリシス


Job strain as a risk factor for coronary heart disease: a collaborative meta-analysis of individual participant data
Mika Kivimäki et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 14 September 2012
30214名、約15%でjob strainを報告。
年齢・性別・社会経済階層・宗教横断的に、また、社会経済状況・ライフスタイル・通常のリスク補正後、jobstrainと冠動脈疾患の相関性を報告。
性別補正、年齢補正job strainの冠動脈疾患発症・有無ハザード比(all other combinations of demands and control)は1.23(95% 1·10—1·37)

未出版(1·16, 1·02—1·32)・出版データ(1·43, 1·15—1·77)からのデータは出版バイアスを減少させるためで、バイアスが存在した。しかし、結論づけにおいて実質的意味はない。
3年以内(1·31, 1·15—1·48)、5年以内(1·30, 1·13—1·50) の疾患イベント発症除外によりreverse causationによるバイアス減少可能であった。



製造業は、職業的要求と、それに対するコントロールは比較的計測しやすいらしく、モデル化しやすいらしい。

市中感染髄膜炎:細菌性・ウィルス性鑑別に、髄液乳酸利用の正確性は高い

Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAC)パネル発表


市中感染髄膜炎 (CAM)の前向きコホート

52nd ICAAC 2012 (Sep. 9-12)
http://www.abstractsonline.com/Plan/ViewAbstract.aspx?sKey=41d59862-2d57-4704-85e1-2d1df381650b&cKey=231010e5-dc77-4d01-9b55-d93e8b15afb8&mKey={6B114A1D-85                                         A4-4054-A83B-04D8B9B8749F}

細菌(n=21、 肺炎球菌 n=12、髄膜炎菌 N. meningitidis n=6、他 n=3)
ウィルス性(n=27、 : Enterovirus n=21; VZV n=3; 他 n=3)

CSFパラメータは有意に細菌性CAMとウィルス性CAMで異なるp<0 .001=".001" br="br">白血球数(median 1333/ul, range 42-8594 vs. 143, 17-960)
好中球数(median 92%, range 62-100 vs. 15, 1-90)
蛋白(median 4115 mg/l, range 698-11300 vs. 829, 322-1688)
CSF/血液ぶどう糖比  (median 0.1, range 0.01-0.52 vs. 0.52, 0.4-0.6)
乳酸 (median 13 mmol/l, range 4.1-25.4 vs. 2.3, 2-2.9)

ROC curve analysisで、CSF乳酸による、細菌性CAMとウィルス性CAMの判別accuracyは高い。カットオフ値は 3.5 mmol/l (感度と特異度, 100%)





現場で測定するのは実際は大変そう   検査室との連携が不可欠。
http://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049050275.pdf



MedPageの写真では座位でせん刺が行われている

Lactate in CSF Tracks Meningitis Type
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ICAAC/34760


2006年NEJM教育レクチャーではむしろ側臥位の方が好ましいごとく書かれている。
http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMvcm054952

ベッドサイド超音波評価が行われており、

小児で、座位flexed hip状態で椎体棘間距離が開く
Positioning for Lumbar Puncture in Children Evaluated by Bedside Ultrasound
Pediatrics Vol. 125 No. 5 May 1, 2010 pp. e1149 -e1153 (doi: 10.1542/peds.2009-0646)

ERでも、 "sitting, feet supported" position "を推奨
Optimal patient position for lumbar puncture, measured by ultrasonography.
Emerg Radiol. 2004 Feb;10(4):179-81. Epub 2003 Nov 15.

せん刺体位に関する評価は、過渡期・・・ 座位でも誤りではないし、むしろ、好ましいということだろうか?

2012年9月13日木曜日

米国百日咳流行は、無菌性百日咳ワクチンのための流行?

2010年カリフォルニアで生じた百日咳大流行は、 ジフテリア、破傷風、無菌性百日咳 (DTaP)ワクチン5回目接種うけた子供の免疫原性低下が原因でないかと報告。

whole-cellワクチンから無菌性ワクチンとなったための効果不充分なための流行


 Waning Protection after Fifth Dose of Acellular Pertussis Vaccine in Children
Nicola P. Klein, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:1012-1019September 13, 2012
PCR assay確認比較

4-12歳、277名、百日咳PCR陽性 3318名と、マッチ化対照6086名

PCR陽性小児は、PCR陰性小児や、マッチ化対照と比較して、DTaP接種比率高かった (P<0 .001=".001" br="br">
PCR陰性対照比較でDTaP5回目摂取後示唆したオッズ比は 1.42 (95% confidence interval, 1.21 to 1.66)、百日咳感染オッズは平均で42%増加


一方日本では、百日咳流行詐欺が...
 百日咳集団感染疑い事例における起因病原体の検索
(Vol. 32 p. 234-236: 2011年8月号)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/378/kj3781.html

“単回抗体高値だけで診断する愚” が日本国中、蔓延っている

PTEN遺伝子変異:肥満となるが、糖尿病は生じにくい

オックスフォード大学の研究者がPTEN遺伝子変異患者は有意にインスリン抵抗性低下を示すことを示した。この遺伝子は、一方では、肥満を引き起こしやすいという矛盾した内容をしめす。


PTEN変異、haploinsufficiency(ハプロ不全;一対の相同染色体の一方の遺伝子の不活性化で起こる表現型の変異)は単遺伝子的に、インスリン感受性と関連し、肥満原因となり、PTEN変異のdivergent effect、すなわち、肥満リスク増加・がんリスク増加するも、インスリン感受性亢進し2型糖尿病になりにくい状況となる影響をもたらす。

PTEN Mutations as a Cause of Constitutive Insulin Sensitivity and Obesity
Aparna Pal, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:1002-1011September 13, 2012

疫学的・遺伝的エビデンスで、2型糖尿病、肥満、がんは、関連性を認める。
tumor-suppressor phosphatase と、tensin homologue (PTEN)は、細胞増殖、代謝シグナルに役割を果たす。
Germline PTEN遺伝子が、がんになりやすい体質(cancer-predisposition syndrome)の原因となり、ヒトPTEN haploinsufficiencyの影響傾向の検討。

PTEN変異の患者はインスリン抵抗性は対照群比較で低い (e.g., mean fasting plasma insulin level, 29 pmol per liter [range, 9 to 99] vs. 74 pmol per liter [range, 22 to 185]; P=0.001)
この知見は抗インスリン等糖クランピングで確認され、インスリン注入率は、キャリアで対照群の2倍(P=0.009)
インスリン感受性はPI3K-AKT経路を介してのインスリンシグナル化促進にて説明でき、AKT リン酸化増加がその証拠である。
PTEN変異キャリアは、住民ベースの対照群比較で肥満 (mean body-mass index [the weight in kilograms divided by the square of the height in meters], 32 [range, 23 to 42] vs. 26 [range, 15 to 48]; P<0 .001=".001" br="br">body massの増加は主に蓄積した脂肪であり、脂肪分布に関連しない。


あらゆる遺伝的要素が、“肥満、がん、糖尿病”に、同一方向に働くわけではない。メタボ原理主義の人たちって 、遺伝子要素だけで無く、環境要素まで、同一方向と信じ込んでるのではないかと感じる表現を用いることがある。なんだかなぁ・・・



2012年9月12日水曜日

システマティック・レビュー:ω3多価不飽和脂肪酸は死亡率・心血管系リスク減少と関連せず

ω3不飽和脂肪酸(DHA、EPA) 二次予防効果に疑問 2012年4月10日

当たり前だが、上記報告と類似した結果となっている。

ω3PUFA(多価不飽和脂肪酸)は包括的な死亡率、心原因死亡、突然死、心筋梗塞、卒中リスク低下と、相対的・絶対的相関としても関連せず。

Association Between Omega-3 Fatty Acid Supplementation and Risk of Major Cardiovascular Disease Events:  A Systematic Review and Meta-analysis  
Evangelos C. Rizos, et. al.
JAMA. 2012;308(10):1024 doi:10.1001/2012.jama.11374

ω3効果ランダム化臨床トライアル

3635を検討後、20研究68680名分、死亡7044、心原因死亡 3993、突然死 1150、心筋梗塞 1837、卒中 1490を検討


全原因死亡 (RR, 0.96; 95% CI, 0.91 ~ 1.02; risk reduction [RD] −0.004, 95% CI, −0.01 ~ 0.02)、心臓突然死 (RR, 0.91; 95% CI, 0.85 ~ 0.98; RD, −0.01; 95% CI, −0.02 ~ 0.00)、突然死 (RR, 0.87; 95% CI, 0.75 ~ 1.01; RD, −0.003; 95% CI, −0.012 ~ 0.006)、心筋梗塞 (RR, 0.89; 95% CI, 0.76 ~ 1.04; RD, −0.002; 95% CI, −0.007 ~ 0.002)、卒中(RR, 1.05; 95% CI, 0.93 ~ 1.18; RD, 0.001; 95% CI, −0.002 ~ 0.004)



血中長鎖n-3不飽和脂肪酸値と心房細動発症 2012年2月2日では、血中DHA値のみが関連するという報告。

軽症・中等症喘息の吸入ステロイド量補正:医師主導 vs 自覚症状ベース 、NO濃度ベース比較

シムビコートのSMART療法認可のため、にわかに騒がしくなっている自覚症状に基づく患者主導型の吸入ステロイド量補正。患者自身がこの治療法の本質を理解せず、自己評価のゆがみが存在するとしたらかなり危険な治療方法となる可能性があると思う。


軽症・中等症喘息患者において吸入ステロイドの補正をいかにして行うかがテーマの論文


医師評価の基づく方法、自覚書状に基づく方法、バイオマーカーに基づく方法の比較

自覚症状に基づく補正法(SBA)は、アルブテロール2吸入使用毎に低用量ベクロメサゾン(ベクロメサゾンHFA40μg/パフ)を2回吸入服用する指導である。

結論は、何れの方法でも、治療失敗比率で比較すると、医師主導的用量設定治療法を上回ることはなかったというもの

Comparison of Physician-, Biomarker-, and Symptom-Based Strategies for Adjustment of Inhaled Corticosteroid Therapy in Adults With Asthma:  The BASALT Randomized Controlled Trial  
William J. Calhoun, et. al.; for the Asthma Clinical Research Network of the National Heart, Lung, and Blood Institute
JAMA. 2012;308(10):987 doi:10.1001/2012.jama.10893

【序文】喘息患者の吸入ステロイド治療補正のためのコンセンサスは存在せず。アプローチは、医師の喘息コントロール評価ガイドに基づく外来受診補正か、呼気NOに基づくか、日々の症状ガイドベースに基づくかである。

【目的】成人軽症・中等症喘息成人の治療失敗防止のため、呼気NOベース、あるいは日々症状にもとづくかで吸入ステロイド補正を決定することがガイドラインのインフォームドコンセント、医師評価ベース補正より勝るかどうかを決定すること
【デザイン・設定・被験者】ランダム化平行3群プラシーボ対照化multiply-blinded trial、342名の軽症・中等症喘息、低用量吸入ステロイドコントロール患者

・医師評価に基づくベース補正 (n = 114  [101 completed])
・バイオマーカーに基づく補正(n = 115  [92 completed])
・症状に基づく補正(n = 113  [97 completed])

Best Adjustment Strategy for Asthma in the Long Term (BASALT) トライアルは、10の米国内の学術医療センターからなるAsthma Clinical Research Networkで、2007年6月から2010年7月の間の9ヶ月間行われた。

【介入】医師評価ベース、バイオマーカーベース補正に関しては吸入ステロイド量を6週間毎補正
症状に基づく補正では、吸入ステロイドを各アルブテロールrescue使用実態により補正

【主要アウトカム測定】プライマリアウトカムは治療失敗までの期間

【結果】治療失敗までの期間に有意差無し
9ヶ月Kaplan-Meier治療失敗率は、医師評価補正 22% (97.5% CI, 14%-33%; 24 events)、バイオマーカーに基づく補正 20% (97.5% CI, 13%-30%; 21 events)、 症状に基づく補正 15% (97.5% CI, 9%-25%; 16 events)
医師評価に基づく補正 vs バイオマーカーに基づく補正比較ハザード比は 1.2 (97.5% CI, 0.6-2.3)
医師評価に基づく補正 vs 症状に基づく補正は 1.6 (97.5% CI, 0.8-3.3)


【結論】 治療失敗までの期間を評価指標とした場合、低用量吸入ステロイド治療コントロール状態の、軽症から中等症持続喘息成人において、バイオマーカーや症状に基づく吸入ステロイド使用量の補正は、医師評価に基づく使用量補正に比べ優越性は認めない。


治療失敗までの期間



処方吸入量 



シーズン毎治療失敗
 医師評価補正 (PABA)、症状ベース補正(SBA)、バイオマーカー補正 (BBA)





(コメントを一部訳)

喘 息の状況に応じてコントローラー量を補正するわけだが、その補正方法として、医師がそれまでのコントロール状況を判断して医師主導で行う方法、バイオマー カー(呼気NOベース濃度、それ以外に、喀痰好酸球数、メサコリン過敏性なども存在するが非現実的)に基づく補正法、そして、自覚症状に基づく補正戦略。

自覚症状に基づく方法は単純であり、患者の権限にゆだねる方法である。しかしながら、この方法での治療adherence改善に関して厳格なモニター化トライアルでは検証されてないことが問題点である。

今 回の報告であるBASALT被験者より軽症の喘息を相手にした、Improving Asthma Control Trial (IMPACT)( N Engl J Med. 2005;352(15):1519-1528)では、症状ベース治療ガイド下の短期間欠的吸入ステロイド治療の有効性が示された。

Beclomethasone plus Salbutamol Treatment (BEST)研究(N Engl J Med. 2007;356(20):2040-2052)は、ベクロメサゾン+アルブテロール併用によるas-needed併用療法が、アル ブテロール単独as-neededより、また、ベクロメサゾン+アルブテロールas-neededより優れていることが示された。

O'Byrne らは、このJAMAの報告より重症例での検討だが、計画化治療単独より自覚症状ベースにフォルメテロール・ブデソニド合剤使用の方が維持・自覚症状軽減に 効果があることを示している(Am J Respir Crit Care Med. 2005;171(2):129-136)。



2012年9月11日火曜日

マリファナ使用歴は、非セミノーマ型精巣胚細胞腫瘍リスク2倍へ


Population-based case-control study of recreational drug use and testis cancer risk confirms an association between marijuana use and nonseminoma risk
John Charles A. Lacson et. al.
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cncr.27554/abstract

非使用者に比べ、マリファナ使用歴ある場合、2倍リスク(OR, 1.94; 95% CI, 1.02-3.68)で、コカイン使用歴の場合は負の相関(OR, 0.54; 95% CI, 0.32-0.91)

主要組織型層別化により非セミノーマ・混合型組織腫瘍との相関性認める (OR, 2.42; 95% CI, 1.08-5.42)


何らかの活性化成分が、悪性腫瘍と関連しているのではないかという考察

慢性疼痛(腰背部、クビ、変形性関節、慢性頭痛)への鍼の効果:システマティック・レビュー

鍼は慢性疼痛治療に有効で、故に、合理的考慮オプションである。ホントの鍼と偽の鍼に有意差はプラシーボより大きい。しかし、この差は比較的軽度で、needlingの特異的な効果が鍼の治療効果に寄与していることが判明した。

Acupuncture for Chronic Pain:  Individual Patient Data Meta-analysis
Andrew J. Vickers, DPhil, et. al.
for the Acupuncture Trialists' Collaboration
Arch Intern Med. Published online September 10, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.3654 

部位隠蔽が一義的に適切である、慢性疼痛へのRCTのシステマティック・レビュー
29/31使用、17922名の患者解析

登録RCTの一次解析にて、鍼は、sham及び非鍼対照群に比べ、どの疼痛に対しても優れていた (P < .001 for all comparisons)
鍼が極端に優れているというRCT除外後、effect sizeは疼痛条件横断的に同等。

鍼の疼痛軽減を訴える患者のスコアは、背部痛、頚部痛、変形性関節痛、慢性頭痛で、sham対照より、それぞれ 0.23 (95% CI, 0.13-0.33)、 0.16 (95% CI, 0.07-0.25)、 0.15 (95% CI, 0.07-0.24)SD となり、非鍼比較のeffect sizeはそれぞれ、0.55 (95% CI, 0.51-0.58)、 0.57 (95% CI, 0.50-0.64)、 0.42 (95% CI, 0.37-0.46) SD

これらの結果は感度分析のばらつきがあり、出版バイアスと関連する。

鍼の治療効果は明瞭だが、その程度は比較的軽度という結論。


最近、鍼に関しては、それなりにまとまった報告で、COPDでの運動耐容能・労作性呼吸困難改善が示されている。
COPD:鍼で、運動耐容能、労作性呼吸苦改善 2012年 05月16日



運動療法や認知行動療法などとの効果的な組み合わせ、薬物療法との組み合わせなど統合的な取り組みが必要なのかもしれない。


鍼の効果研究は、プラシーボ効果との戦い。sham-鍼、鍼施行無しとの比較必要。
鍼治療のクリティカル分析 2006年 01月 24日
、鍼はまだ議論の多い段階である。有益であるという所見もあるが、主にプラセボ反応によるというのが他の報告も

慢性頭痛に鍼(はり)有効 2004年 03月 26日


これなんかは追試が必要
鍼治療で男性不妊改善? 2005年 07月 26日

2012年9月10日月曜日

リウマチ因子(IgM型)陽性者は関節リウマチ発症リスク高い 30年間前向き研究

血中リウマチ因子(rheumatoid factor of IgM type)値増加は、長期的観察にて、関節リウマチ発症と相関する・・・この研究結果は、リウマチ発症予測に役立つ可能性がある


関節リウマチの一般頻度は0.5-2%程度である。早期に関節リウマチ診断することの重要性が認識されつつあることと合わせ、どのように早期発見・早期治療に結びつけていくかが今後の課題となるだろう。


Elevated rheumatoid factor and long term risk of rheumatoid arthritis: a prospective cohort study
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5244 (Published 6 September 2012)

Copenhagen City Heart Study:1981-1983年の血中濃度検査を2010年8月10日までフォロー
関節リウマチ無しの9712名(20-100歳まで)

主要アウトカム測定:血中IgMリウマチ濃度 25-50、50.1-100、>100、vs <25 IU/mL比較

結果:リウマチ因子濃度は20-100歳まで同等
187659人年、関節リウマチ発症 193名
健康人にて、リウマチ因子倍は関節リウマチ発症リスク増加と関連 3.3倍(95%信頼区間 2.7-4.0)で、この傾向は他の自己免疫性リウマチ疾患でも同様の傾向。

関節リウマチ累積頻度はリウマチ因子カテゴリー増加毎に増加 (Ptrend<0.0001)

関節リウマチの多変量補正ハザード比は、リウマチ因子最小カテゴリー( <25 IU/mL)比較で、それぞれのリウマチ因子25-50で 3.6(95%信頼区間1.7-7.3)、同様に、 50.1-100 IU/mLで 25-50 IU/mL, 6.0 (3.4 to 10)、>100 IU/mLで 26 (15 to 46) (Ptrend<0.0001)

関節リウマチの最高10年絶対リスクは32%で、リウマチ濃度>100 IU/ml、喫煙女性、50-69歳女性


結論:リウマチ因子増加している人は、関節リウマチの長期リスク26倍増加をみとめ、10年のリウマチ絶対リスクは32%まで増加。
この新しい知見は、リウマチ因子をベースとしたリウマチ専門家や早期関節炎クリニックへのガイドライン改訂につながるだろう。



リウマチ因子陰性関節リウマチの存在もあり、抗CCP抗体が臨床上重用されている。一方、この論文では、IgM型リウマチ因子定量であり、リウマチ因子陽性側からの検討であることに注意が必要。

2012年9月9日日曜日

喘息・COPDへのIL-18ターゲット治療に関してpeer-reviewed publication

喘息・COPDへのIL-18ターゲット治療に関してpeer-reviewed publication



Journal of Interferon & Cytokine Research
Interleukin-18 in Pulmonary Inflammatory Diseases
Tomotaka Kawayama, et. al.
Journal of Interferon & Cytokine Research.  doi:10.1089/jir.2012.0029.


レビューなのにScience Dailyに解説

Promising New Drug Target for Inflammatory Lung Diseases
ScienceDaily (Sep. 6, 2012)
http://www.sciencedaily.com/releases/2012/09/120906111906.htm


2012年9月8日土曜日

エリートバレーボール選手に於ける手指虚血症状の調査

女子バレーボールの銅メダルのおかげで、人気低落化一段落の感があるバレーボール。


エリートバレーボール選手に於ける手指の虚血性病変、後上腕回旋動脈の動脈瘤性拡張と末梢閉塞・血栓塞栓の問題、それに伴う徴候・症状に関する報告。

High Prevalence of Self-Reported Symptoms of Digital Ischemia in Elite Male Volleyball Players in the Netherlands
A Cross-Sectional National Survey
Am J Sports Med August 27, 2012 0363546512456973
背景: 筆者自病院にて、最近3年で、虚血性6名のバレーボール選手が利き手の虚血性手指及び指動脈の微小血栓を主訴とした患者がいた。症状としては、同側上肢の末梢動脈の閉塞・指動脈塞栓を伴う後上腕回旋動脈( posterior circumflex humeral artery (PCHA) )の動脈瘤性拡張が原因であった。末梢性塞栓を伴うPCHA病変( PCHA pathological lesions with digital emboli (PCHAP with DE))の正確な徴候・エリートバレーボール選手での頻度の詳細は不明。血管病変が早期に同定できたら、手指血栓塞栓合併症、不可逆性変化予防可能となるかもしれない。

目的: オランダのエリート男性バレーボール選手において、PCHA with DE原因と考えられる指動脈虚血に合致した症状の頻度評価

研究デザイン: Cross-sectional study; Level of evidence, 3.

方法: アンケート調査をオランダ国内のトップリーグ・オランダビーチバレーチームのエリートバレーボール選手で行った。アンケートは文献ベースのデータと一致したPCHAP with DEの症状で、医療ファイルからのデータも利用。

結果: 登録107名中99名、93%の応答率
頻回報告症状は、練習・試合中あるいはその直後の利き手の冷感、青ざめた感じ、蒼白の指の訴えが多い。
これらの症状の頻度は11%-27%
練習中・試合中の手指冷感頻度は27%
試合中・直後の手指冷感、青ざめた感じ、蒼白頻度は12%

結論: エリートバレーボール選手の利き手PCHAP with DEの頻度は予想外に高い。
決定的な手指虚血発症リスクが潜在的にあることを考慮する必要があるので、手指虚血やPCHA損傷に関してさらなる解析が必要。







エリートアスリートは大変だ、その身体リスクに対応できるメディカルスタッフの質も必要

2012年9月7日金曜日

自閉症のごく一部で必須アミノ酸破壊防止蛋白異常と関連

Mutations in BCKD-kinase Lead to a Potentially Treatable Form of Autism with Epilepsy
Science DOI: 10.1126/science.122463



6名の自閉症のこどもに、 必須アミノ酸破壊防止遺伝子の変異発見した。この遺伝子欠損マウスは自閉症関連神経学的発達障害を示す。

ただ、この遺伝子異常に関わる例はかなり稀で、一般化不能。

branched chain ketoacid dehydrogenase (BCKDH)のE1-αサブユニットのリン酸化作用不活化に関連するエンコードされた蛋白。
BCKD-kinase,は、人の体内では合成できない必須アミノ酸でもある、分岐型アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、バリンの破壊防止する役割がある。

“総合医”構想


なんのための総合医なんだか・・・総合医とは、個々の病院長に都合の良い医者、もしくは、コスト削減に役立つ医者のこと 2012年2月21日火曜日

厚労省検討会でも 三者三様の“総合医”のとらえ方がされてる

・ 一般的な傷病の入院管理と、当直、救急に対応する『病院総合内科医』
・ 病院常勤医がいない診療科を対応できる医師
・ 在宅医療、プライマリケアを担う医師




いっそのこと以下の4つに分ければ良い・・・
・病院経営者に都合の良い「総合医」A
・病院勤務者に都合の良い「総合医」B
・診療所経営者に都合の良い「総合医」C
・行政に都合の良い「総合医」D

オートノミー型分類

職業 的オートノミー有り(自主尊重型):B型・C型
職業的オートノミー無し(奴隷化型):A型・D型


コスト目標別分類
コスト削減(主眼)型:D型
コスト増大(希望)型:A・B型
現場維持(希望)型:C型

発案者別分類
現場からの発案(患者から近い):B・C型
霞ヶ関からの発案(患者から遠い):D型

 建前分類
患者のための・・・という嘘:A・B・C・D型



■ 新専門医「日医生涯教育の活用を」 ― 横倉会長 ―

 横倉義武会長は9月1日、福岡市で開かれた日本プライマリ・ケア連合学会学術大会で講演し、専門医制度について「今後はどういう制度が国民にとって良いのかという立場で問題提起、主張をしていきたい」と方針を述べた。日医の生涯教育制度の概要を説明し、専門医の認定・更新に活用することを提案した。

 専門医の認定・評価については「プロフェッショナルオートノミーで行うべき。行政が認定を行うことになればプロフェッショナルオートノミーが崩れる」とし、国の関与に否定的な見解を示した。

 現行の医療制度と整合性を取るべきとも指摘し、地域のかかりつけ医の評価にも配慮するよう求めた。専門医のインセンティブについては「慎重に議論することが必要」と述べた。

 横倉会長は「総合医」と「総合診療医」を明確に区別すべきとも述べ、両者の定義を説明した。

 総合医は就業形態や診療科を問わず「医療的機能」以外にかかりつけ医機能(社会的機能)を備えた医師と定義。日医が従来主張してきたかかりつけ医と同義であるとした。一方、総合診療医は幅広い診療科の知識を身に付けた「医療的機能」の面だけで評価された医師と位置付けた。

【メディファクス】

現場維持(希望)型:C型


赤ワインの降圧効果は、アルコールによる作用で無く、ポリフェノールの効果

アルコール抜き赤ワインで、収縮期・拡張期血圧減少効果あり
NOを介したメカニズムで説明できると著者ら

心血管リスク高度の67名の男性、2週間のrun-in periodを設け、3つの治療へ交差的にわりつけ(赤ワイン アルコール30g/日、同等量の無アルコール赤ワイン、ジン アルコール30g/日)、4週間継続
血圧降下は血中NO増加と相関性を有していた


Short Communication
Dealcoholized Red Wine Decreases Systolic and Diastolic Blood Pressure and Increases Plasma Nitric Oxide
Circulation Research CIRCRESAHA.112.275636 Published online before print September 6, 2012, doi: 10.1161/​CIRCRESAHA.112.275636




この表題見たとき、無アルコールワインなんぞ飲むより、蒲萄ジュースでも飲んどけ!と思ってしまった。

赤ワインのベネフィットって、アルコール成分で無く、ポリフェノールなどのNO効果ってことを示したかったようだ。


“適量なら、アルコールは健康によい”というのはホントなのか?


アルコール摂取は線形的に高血圧と関連する。
Alcohol and hypertension: gender differences in dose-response relationships determined through systematic review and meta-analysis.
Addiction. 2009 Dec;104(12):1981-90. Epub 2009 Oct 5.

アルコール関連企業の広告は巧みなので、 だまされないように・・・

乳がん:BRCA1/2遺伝子変異は放射線による乳がん発症リスクが高い。

乳がん家族リスクある女性は、診断レントゲン放射線暴露にてリスク増加するという報告。

BRCA1、BRCA2変異を有するキャリアでの30歳前での診断的放射線使用は乳がんリスクを90%まで増加するという報告


"Exposure to diagnostic radiation and risk of breast cancer among carriers of BRCA1/2 mutations: retrospective cohort study (GENE-RAD-RISK)"
Pijpe A, et al
BMJ 2012; 345: e5660. 

3つの国家的研究(フランス、英国、オランダ) (GENEPSO, EMBRACE, HEBON)
2006-2009年のBRCA1/2変異キャリア女性1993名


30歳前BRCA1/2変異キャリアの診断的放射線暴露は乳がんリスク増加と関連
(ハザード比 1.90, 95% 信頼区間 1.20 to 3.00)
量反応パターンあり

推定累積投与 <0 .0020=".0020" 1.63="1.63" 1.75="1.75" 1.78="1.78" 2.77="2.77" 3.58="3.58" 3.84="3.84" 4.25="4.25" 8.79="8.79" br="br" gy="gy" nbsp="nbsp" to="to">
放射線診断検査の種類解析では、20歳前、30歳前でのレントゲン数でのリスク増加パターンが示された。

30歳前のマンモグラフィー既往は乳がんリスク増加と関連 (ハザード比 1.43, 0.85 to 2.40).

感度分析にて、家族歴による適応関与による原因ではないということが示された。


乳がん関与BRCA遺伝子変異があるから放射線被曝量が増して・・・という話ではないようだ。
遺伝子変異があるからレントゲン検査をしなければならないのに、かえって放射線被曝により乳がん発症リスクが増すという現象。

診断時放射線量や回数を極力軽減する以外に、それ以外の診断モダリティーの開発が望まれるとうことなのだろうが・・・

2012年9月6日木曜日

喫煙者:血中カドミウム・鉛濃度と肺機能低下の関連性

米国住民大規模サンプル研究で、閉塞性肺疾患と血中カドミウム・鉛濃度の相関が示され、カドミウム濃度は喫煙により部分的には相関する。
喫煙者中の用量依存関係が、カドミウム濃度と肺機能悪化進行においてみられる。

Serum heavy metals and obstructive lung disease: Results from the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES)
Haala Rokadia, Shikhar Agarwal
CHEST. 2012   doi: 10.1378/chest.12-0595


閉塞性肺疾患:obstructive lung disease (OLD)を FEV1/FVC ratio <0 .7=".7" br="br" by="by" spirometry="spirometry">
National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 2007-2010 コホートで、OLD頻度は12.4%(10.2-13.6%)

平均(SE) カドミウム濃度は、正常対照比較で有意に高濃度  [0.51 (1.04) versus 0.33 (1.02): p<0 .001=".001" br="br">
同様に、平均(SE)血中鉛濃度は、正常対照群に比べ高濃度 [1.73 (1.02) versus 1.18 (1.0): p< 0.001]

OLD頻度は12.4と喫煙の相関は有意に血中カドミウム濃度補正後減少

加え、血中カドミウム濃度増加と共にFEV1予測値悪化が、喫煙者でみられる。


カドミウム合金製造工場でみられる肺機能低下の報告もあり、直接の気道閉塞障害の可能性もある。喫煙に関してカドミウムは、直接悪化要素として絡んでるかもしれない。

頭が良くなる?緑茶成分 ・・・ EGCG

海馬ニューロン形成は、脳の生涯可塑性に関連し、神経疾患に関してもクリティカルと考えられる。
(–)-epigallocatechin-3-gallate (EGCG)は緑茶の主なポリフェノール成分。これが様々な神経変性疾患などに用いられる可能性もある。

この報告で、EGCG治療で成人海馬neural progenitor cell (NPC)培養細胞の5-bromo-2′-deoxyuridine (BrdU)標識細胞数増加させることが示され、マウスの空間認識脳改善が示された。
・・・
 
Green tea epigallocatechin-3-gallate (EGCG) promotes neural progenitor cell proliferation and sonic hedgehog pathway activation during adult hippocampal neurogenesis
Molecular Nutrition & Food Research Volume 56, Issue 8, pages 1292–1303, August 2012


メディア報道
 Green tea boosts memory
http://timesofindia.indiatimes.com/life-style/health-fitness/diet/Green-tea-boosts-memory/articleshow/16279275.cms

重度閉塞型無呼吸患者の卵円孔開存:シャント大きな傾向、 ODI/AHI比増加例に多い

重度OSA(閉塞型無呼吸)患者は、シャントの大きな卵円孔開存(PFO)を有する傾向があり、臨床的意義のあるシャントを有する患者では、ODI/AHI比増加する。PFO閉鎖で、夜間低酸素を改善せず。


Patent foramen ovale in severe obstructive sleep apnea: clinical features and effects of closure
Zarrin F. Shaikh et. al.
CHEST.2012 doi:10.1378/chest.12-0334

100名の閉塞型無呼吸 [平均(SD) 年齢: 52(10) 歳, apnea-hypopnea index (AHI): 54(18) events/hour] と50 名の対照 [年齢: 52(11) 歳, AHI: 2(2) events/hour] を検討

PFO頻度は、OSA患者で43%、対照で30% (p=0.16)

Large shuntは、OSAで18%、対照で6% (p=0.049)

臨床的有意なシャントを有するOSA 患者は、oxygen-desaturation index (ODI)/AHI比率が内患者より高い [ratio: 1.05(0.27) versus 0.86(0.26), p=0.004]

6名の OSA 患者でPFO閉鎖を行ったが、ODI減少と相関せず (baseline: 48(18), 12 months: 51(19) events/hour, p=0.92)、 夜間 SaO2<90 12="12" 20="20" 23="23" baseline:="baseline:" p="0.35)。<br">

アルツハイマー病:イチョウ・エキス二重盲検長期研究結果 有効性認めず

この治験結果で害も無いんだから希望を持ってイチョウの葉エキス飲めばよろしいという人もいるかもしれない。フラボノイドのたぐいによる脳血流改善等や、抗酸化作用を期待して・・・だが、客観的考えれば、時間の無駄遣い


Taking ginkgo to beat Alzheimer’s is a 'waste of time as it does not improve the memory'
Read more: http://www.dailymail.co.uk/health/article-2199004/Taking-ginkgo-beat-Alzheimer-s-waste-time-does-improve-memory.html#ixzz25edCd1ag


ランダム化平行群二重盲検プラシーボ対照化GuidAge clinical trial


Long-term use of standardised ginkgo biloba extract for the prevention of Alzheimer's disease (GuidAge): a randomised placebo-controlled trial
The Lancet Neurology, Early Online Publication, 6 September 2012

・standardised ginkgo biloba extract (EGb761)120mg×2/日
・matched placebo

2002年3月から2004年11月まで、2854名を登録後ランダム化、イチョウ抽出物最小1回服用群1406、プラシーボ最低1回服用1414名

5年までに、イチョウ群で61名のアルツハイマー病診断 vs プラシーボ群 73名  (100人年比較 1.2 例 vs 1.4 例; ハザード比 [HR] 0.84, 95% CI 0.60—1.18; p=0.306)、しかし、リスクは時間推移平行したものではなかった。
副事象イベント発生は両群同様。
死亡 イチョウ群 76 vs プラシーボ群 82 (0.94, 0.69—1.28; p=0.68)
卒中 イチョウ群 65 vs プラシーボ群 60 (リスク比 1.12, 95% CI 0.77—1.63; p=0.57)
出血性、心血管系イベントに両群差認めず

院内心肺停止:蘇生、どの程度の時間で終了か?

病院毎の蘇生施行時間のばらつきがあり、観察研究なので、適切な時間が明瞭となるわけではなかったが、蘇生時間が長いほど高リスク状況では生存率改善の可能性があるという結論。



Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest: an observational study
The Lancet, Early Online Publication, 5 September 2012
Between 2000 and 2008, we identified 64 339 patients with cardiac arrests at
435の米国病院(Get With The Guidelines—Resuscitation 登録)の64339名の患者(2000-2008年)

退院時自発循環到達 31 198 / 64 339 (48.5%)
このうち、蘇生時間中央値は12分(IQR 6-21)、対して非生存者は20分(14-30)

非生存者への蘇生時間最小中央値4分位患者(16 分間 [IQR 15—17])と比較し、蘇生施行最長4分位は自然循環回復・生存退院尤度も高い(補正リスク比 1.12, 95% CI 1.06—1.18; p<0 .0001=".0001" 0.021="0.021" 1.02="1.02" br="br">

20分以上の蘇生は最低でも必要ではないかという考察。

メディア報道:
Performing CPR 10 to 15 minutes longer on cardiac arrest patients may be useful
http://www.cbsnews.com/8301-504763_162-57506720-10391704/performing-cpr-10-to-15-minutes-longer-on-cardiac-arrest-patients-may-be-useful/

FDA外部助言委員会:嚢胞性線維症へのトブラマイシン粉末吸入

FDA外部助言委員会は、ノバルティスの“ tobramycin inhalation powder : TIP”を嚢胞性線維症感染治療として承認したが、最終決定はまだ。


FDA panel backs Novartis cystic fibrosis drug
http://www.reuters.com/article/2012/09/05/us-fda-novartis-cystic-idUSBRE8841F220120905

ファイザーは、粉末製剤を溶液製剤に代替しようとしてるとのこと
Tobi Podhalerと呼ばれてるものだと思われる


ヨーロッパやカナダでは既に承認されている
http://www.mims.co.uk/news/1100966/tobi-podhaler-suppression-infection-cystic-fibrosis/


Tobi Tobramaycin Inhalation Solution, USP: ネブライザー機器をも用いる方法
http://www.tobitime.com/index.jsp 

 


日本のびまん性汎細気管支炎・緑膿菌常在病変への適応への動きはあるのだろうか?

随分前アミノグリコシド系薬剤の吸入治験されてたと思うのだが・・・
 

COPD/喘息:相変わらず五里霧中のLABA・抗コリン剤の心血管系副事象イベント

COPD治療として、β2受容体アゴニストによる症状改善・機能改善効果が広く認められてきた。一方で、吸入ステロイド、さらには、選択的PDE4阻害剤の使用などが検討されている。

Drug Safety in COPD Revisited: What Is the Number Needed to Analyze?
Klaus F. Rabe, MD, PhD
CHEST.2012;142(2):271-274. doi:10.1378/chest.12-1395


カナダSaskatchewanでの55歳以上のCOPD6018名のコホート(不整脈 469例;包括発生頻度 100人年あたり 1.37、死亡例56)
nested control群比較で、不整脈リスクは、イプラトロピウム(アトロベント)新規使用 (rate ratio [RR], 2.4; 95% CI, 1.4-4.0) 、LABA (RR, 4.5; 95% CI, 1.4-14.4)で増加。短期β2刺激剤や慎重なメチルキサンチン投与では増加しなかった。
(Wilchesky  M, Ernst  P, Brophy  JM, Platt  RW, Suissa  S; .  Bronchodilator use and the risk of arrhythmia in COPD: part 1: Saskatchewan cohort study,.  Chest. 2012; 142(2): 298--304.

カナダQuebecのCOPD76661名(67歳以上)のデータ解析(不整脈 5307例、包括発生率100人年 1.03、死亡数 621)
イプラトロピウムで不整脈リスク有意増加認めず  (RR, 1.23; 95% CI, 0.95-1.57)、しかし新規使用作用β2 (RR, 1.27; 95% CI, 1.03-1.57) や長時間作動β2(RR, 1.47; 95% CI, 1.01-2.15)アゴニストではリスク増加。
(Wilchesky  M, Ernst  P, Brophy  JM, Platt  RW, Suissa  S; .  Bronchodilator use and the risk of arrhythmia in COPD: part 2: reassessment in the larger Quebec cohort,.  Chest. 2012; 142(2): 305--311. )


特に、カナダSaskatchewanの研究は、サンプルサイズの、直接の相関、不整脈記録数、a factor of nineの違いに有意差あり。信頼区間が広く、解釈上の曖昧さが伴う

UPLIFTやPOET研究では、よく言われるように、イベント補足方法がいい加減であって、当てにならない。



驚くことに、COPDでのβアゴニストの長期安全性へ注目されたことは少なく、特に前向きデータは少ない。COPD自体が危険な対象者への催不整脈性を有する可能性も有る。
チオトロピウムとサルメテロールの大規模比較試験は、チオトロピウムの方に相対リスク1.12 (95% CI, 0.84-1.50) で、100人年あたり2.73 vs 2.44で、予測よりかなり高率であった(Vogelmeier  C, Hederer  B, Glaab  T;  et al. . POET-COPD Investigators,  Tiotropium versus salmeterol for the prevention of exacerbations of COPD,.  N Engl J Med. 2011; 364(12): 1093--1103. )。

FDAの喘息に関するLABA安全性懸念へのアプローチ大規模検討が考慮されているが、COPDに関しても同様の検討がなされるべきという意見。

さらに喘息治療への抗コリン剤使用が現実味を帯び、 長期安全性に着眼した研究が必要とされている。
(FDA Drug Safety Communication,  FDA requires post-market safety trials for Long-Acting Beta-Agonists (LABAs), US Food and Drug Administration website. http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm251512.htm. Accessed June 2, 2012 . )


ICS/LABA使用持続性喘息:スピリーバ追加投与で急性増悪延長、呼吸機能改善 2012年9月4日

2012年9月5日水曜日

動脈スティフネス異常は高血圧発症前に生じている

循環器学会の用語集をみると、stiffness:硬度、スティフネスとなっている。

高血圧となる前に、動脈スティフネスの増加がみられるという話


Aortic Stiffness, Blood Pressure Progression, and Incident Hypertension
Bernhard M. Kaess, et. al.
JAMA. 2012;308(9):875-881. doi:10.1001/2012.jama.10503

長軸的な住民ベースのコホート(Framingham, Massachusetts.)

cycle 7: 1998-2001
cycle 8: 2005-2008 [last visit: January 25, 2008])

 of the Framingham Offspring study (recruited: 1971-1975).



多変量補正回帰モデルにて、cycle 7検査でのFWA高値ほど(β, 1.3 [95% CI, 0.5-2.1] mm Hg per 1 SD; P = .002)、CFPWV高値ほど(β, 1.5 [95% CI, 0.5-2.6] mm Hg per 1 SD; P = .006) 、cycle 8の収縮期血圧と関連

同様に、cycle7での収縮期・拡張期血圧+追加リスク要素を含めたモデルでは、FWA高値ほど (odds ratio [OR], 1.6 [95% CI, 1.3-2.0] per 1 SD; P < .001)、augmentation index 高値ほど (OR, 1.7 [95% CI, 1.4-2.0] per 1 SD; P < .001)、CFPWV高値ほど (OR, 1.3 [95% CI, 1.0-1.6] per 1 SD; P = .04) 、cycle 8での高血圧発症増加 (cycle 7での検討中高血圧無し患者1048例中338 例 [32%] )

逆に、cycle 7検査中の血圧は、cycle 8でのCFWでのCFPWVと関連せず

cycle 7での、安静時上腕動脈血流高値ほど (OR, 1.23 [95% CI, 1.04-1.46])、FMD低値ほど(OR, 0.80 [95% CI, 0.67-0.96])、高血圧発症と相関(cycle 7での血圧・tonometryを含めたモデル)



ACE阻害剤のマルファン症候群における大血管stiffnessと大動脈起始部への影響 2007年 10月 03日

軽症CKD: スピロノラクトンの左室容積・arterial stiffnessへの効果 2009年 07月 31日

COPDに対する運動訓練によりarterial stiffness改善 2009年 11月 02日

食事性ビタミンCと頸動脈IMT肥厚進展抑制効果、白血球数増加と動脈stiffness 2009年 01月 17日

関節リウマチBRMは、トライアルにおいて、悪性腫瘍リスク増加証拠無し

関節リウマチ患者での生体応答調節療法(Biological Response Modifiers:BRM)使用は、他の抗リウマチ薬治療やプラシーボとの比較で、6ヶ月間という期間だが、悪性リスク増加のエビデンス見られず。 

Risk of Malignancies in Patients With Rheumatoid Arthritis Treated With Biologic TherapyA Meta-analysis
Maria A. Lopez-Olivo, et. al.
JAMA. 2012;308(9):898-908. doi:10.1001/2012.jama.10857

63のRCT、29423名解析
悪性疾患発症リスク増加に関し統計学的有意増加認めなかった

29423名のうち、211名がトライアル中悪性疾患発症(固形がん 118、 皮膚がん 48、リンパ腫 14、血液学的非リンパ腫 5、未分類 26)

治療初年間の悪性疾患発生頻度は、BRM+MTX群(0.77%; 95% CI, 0.65%-0.92%), the BRM monotherapy group (0.64%; 95% CI, 0.42%-0.95%)、対照(0.66%; 95% CI, 0.52%-0.84%)で極めて少ない。

Anakinra+MTXではMTX単独よりオッズ低い (Peto odds ratio, 0.11; 95% CI, 0.03-0.45)
統計学的有意リスクは部位特異的にも見られないが、対照群比較で、TNF抑制剤患者でリンパ腫Petoオッズ比は2.1 (95% CI, 0.55-8.4)であった。

糖尿病有ってもクロピドグレル有効:心筋梗塞後臨床的アウトカム比較


薬剤動態研究によると、糖尿病患者では、クロピドグレル(プラビックス)治療後も高度血小板再活性化示す。糖尿病無しの患者と同様の効果を来すか検討。


結論としては、糖尿病なしの患者と同様に、新規梗塞後のクロピドグレル治療治療は、全原因死亡・心血管死亡リスクを全体としてみれば、減少効果あり。


Association of Clopidogrel Treatment With Risk of Mortality and Cardiovascular Events Following Myocardial Infarction in Patients With and Without Diabetes  
Charlotte Andersson, et. al.
JAMA. 2012;308(9):882 doi:10.1001/2012.jama.10779
デンマークの行政登録データ(2002-2009)個人レベルの関連性検討

心筋梗塞再発・全原因死亡率の組み合わせ

登録58851名、糖尿病 7247名(12%)、クロピドグレル 35380名(60%)

糖尿病有り 1790名(25%)、糖尿病無し 7832(15%)をエンドポイント合致
これらのうち死亡は、1225(17%)、5377(10%)総数では、心血管原因死亡糖尿病有りでは978名(80%)、糖尿病無しでは4100名(76%)

クロピドグレル治療糖尿病患者は、治療無し比較で、非補正死亡率(100人年あたりイベント)  13.4 (95% CI, 12.8-14.0) vs 29.3 (95% CI, 28.3-30.4)

糖尿病無しでの、クロピドグレル治療は、無治療比較で、 6.4 (95% CI, 6.3-6.6) vs 21.3 (95% CI, 21.0-21.7)

しかし、糖尿病vs無糖尿病患者では、クロピドグレルの全原因死亡率での有効性減弱と関連 (HR, 0.89 [95% CI, 0.79-1.00] vs 0.75 [95% CI, 0.70-0.80]; P for interaction, .001) 、同様に心血管死亡率減少有効性減弱(HR, 0.93 [95% CI, 0.81-1.06] vs 0.77 [95% CI, 0.72-0.83]; P for interaction, .01)
しかし、合成エンドポイントでみると、有効性減弱は見られない  (HR, 1.00 [95% CI, 0.91-1.10] vs 0.91 [95% CI, 0.87-0.96]; P for interaction, .08)

Propensity score−matched modelでも同様結果


2012年9月4日火曜日

USPSTF 推奨:肥満スクリーニング・管理

Screening for and Management of Obesity in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Ann Intern Med. 4 September 2012;157(5):373-378


USPSTF 推奨

ICS/LABA使用持続性喘息:スピリーバ追加投与で急性増悪延長、呼吸機能改善

チオトロピウム(スピリーバ)は現時点で喘息の保険適応なく、“慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解”のみ保険適応なので・・・お間違いなく




Tiotropium in Asthma Poorly Controlled with Standard Combination Therapy
Huib A.M. Kerstjens, et. al.
NEJM September 3, 2012 (10.1056/NEJMoa1208606)

トライアル1: PrimoTinA-asthma 1
トライアル2: PrimoTinA-asthma 2


吸入ステロイド+LABA(長時間作用性β2刺激剤)使用しても持続性喘息の状況の912名の患者にチオトロピウム付加したときの効果

ベースラインFEV1予測比 62%、平均年齢53%
24週後、ベースラインからのピークFEV1差平均(±SE)はプラシーボよりチオトロピウムで大きく、トライアル1では86±34 ml(P=0.01)、トライアル2では154±32 ml (P<0 .001=".001" br="br">投与前(トラフ)FEV1は、トライアル1、トライアル2ともにチオトロピウムで改善 : 差 88±31 ml (P=0.01) と111±30 ml (P<0 .001=".001" br="br">
チオトロピウム追加により、初回急性増悪まので期間延長 (282 days vs. 226 days)
重症急性増悪包括的減少比 21% (ハザード比, 0.79; P=0.03)
死亡なし、副事象イベントは2群同様。


吸入ステロイドと身長:思春期前成長率低下 ・・・ 大人になればさほどの差では無いというが・・・

1.2cmの違いは日本人にはさらに影響は少なくなるだろうが・・・1cm身長が短くなるというと気にする親御さんもも多いかも・・・

持続性喘息治療のための吸入ステロイドは一時的に成長期前の成長速度を減少させるが、吸入ステロイド開始後1-4年の身長の伸び減少は結果的には成人での身長は減少しないと思われている。


Effect of Inhaled Glucocorticoids in Childhood on Adult Height
H. William Kelly, Pharm. et. al.
for the CAMP Research Group
NEJM September 3, 2012 (10.1056/NEJMoa1203229)

Childhood Asthma Management Program1041名のうち、943名の身長測定、5-13歳での開始で、budesonide 400μg、 nedocromil 16mg、プラシーボ4-6年割り付け

BUD群は、プラシーボ群に比較して、平均身長は1.2cm(95%信頼区間 [CI], -1.9~-0.5)短い(P=0.001)
nedocromil群はプラシーボ群に比較して0.2 cm lower (95% CI, −0.9 ~ 0.5)短い(P=0.61)

投与開始2年間の吸入ステロイド投与量多いほど成人身長低下と関連 (プラシーボ比較で各μgあたり −0.1 cm) (P=0.007)

BUD群の成人身長減少は治療開始後2年で同様 (−1.3 cm; 95% CI, −1.7 ~ −0.9)

投与開始2年間のBUD群の成長速度減少は主に成長期前に生じる。




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