2018年8月31日金曜日

ASCEND:糖尿病患者の心血管イベント一次予防アスピリン:血管イベント軽減効果より出血コスト上回る

アスピリン心血管イベント一次予防に対し重大血管イベントは期待通り軽減するも、大出血のコストは使用を支持するには高すぎる

平均7.4年間フォローアップ



Effects of Aspirin for Primary Prevention in Persons with Diabetes Mellitus
The ASCEND Study Collaborative Group
August 26, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1804988
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1804988

【心血管イベント】


【出血リスク】

閉塞型無呼吸へのモルヒネ投与:換気応答ベースライン低反応例、OPRM1遺伝子型に依存 一般に影響認めず

なかなかチャレンジングなトライアル

オピオイドは、閉塞型無呼吸(OSA)を悪化するというガイドライン記載もあるが、ランダム対照トライアル行われていない。故に二重盲検ランダム化交叉デザイン検討

60名の男性OSA患者に コントロール放出経口モルヒネ40mg投与 vs プラシーボ


事前に予測可能な "precision medicine approach”への展望


The effect of acute morphine on obstructive sleep apnoea: a randomised double-blind placebo-controlled crossover trial
Luke Rowsell, et al.
Rowsell L, et al. Thorax 2018;0:1–9. doi:10.1136/thoraxjnl-2018-211675
前後施行:awake ventilatory chemoreflex test:覚醒換気化学反射試験
睡眠前、翌朝採血:毒性試験、genotype 解析

プライマリアウトカムは SpO2 90%未満の時間(T90)

個別ばらつき大きいが、 モルヒネ40mgではT90、AHIに悪化を認めず
ただ、 1.3%ほどSpO2 nadir低下

ベースラインCO2換気応答低下は、モルヒネ使用時 T90、AHI、ODI指標悪化と相関

OSAで、A118G OPRM1 polymorphism : A/A and A/Gなら、覚醒換気化学反射応答及びT90へ有意に悪影響


【警告】コルチコステロイド10mg/日以上の投与はPD-(L)1阻害剤効果を減弱

ステロイド投与の理由をみるとしかたないのかもしれない。だが、PD-1チェックポイント分子阻害剤のうち、PD-L1抗体(アテゾリズマブ;テセントリク)使用時はその効能低下について配慮必要

PD-1抗体(オプジーボ、キイトルーダなど)については? 可能性今後探る必要あり

MedPageでは、抗PD-1/PD-L1治療とまとめて解説している
https://www.medpagetoday.com/hematologyoncology/lungcancer/74838





Impact of Baseline Steroids on Efficacy of Programmed Cell Death-1 and Programmed Death-Ligand 1 Blockade in Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer
J Clin Oncol 2018; DOI:10.1200/JCO.2018.79.0006.
https://doi.org/10.1200/JCO.2018.79.0006

PD-(L)1 blockade治療640名中90名(14%)でプレドニゾロン換算10mg/日以上のコルチコステロイド投与
ステロイドの適応は呼吸困難(33%)、疲労(21%)、脳転移(19%)

独立したコホートとして Memorial Sloan Kettering Cancer Center (n = 455) とGustave Roussy Cancer Center (n = 185)において、ベースライン・コルチコステロイドは全般的奏功率、progression-free survival(PFS)、全般生存率(overall survival:OS)すべてで減少

MSKCCコホートによると、ベースライン・コルチコステロイド 10mg/日以上投与により

  • 奏功率低下(6% vs 19%, p=0.002)
  • progression-free survival(PFS)においては中央値 1.9ヶ月 vs 2.6ヶ月 P=0.001
  • 全般生存率(overall survival:OS) 5.4 vs 12.1ヶ月 p< 0.001


フランスコホードでは、奏功率 8% vs 18% だが、P=0.2であった
PFSに関しては軽度低下だが、有意差有り(1.7 vs 1.8ヶ月 p<0.001)
OSはほぼ3倍低下 (3.3 vs 9.4ヶ月 p<0.001)

喫煙歴、PS、脳転移病歴補正pooled population多変量解析にて、PFS(ハザード比, 1.3; P = .03)、OS減少 (ハザード比, 1.7; P < .001)と相関

2018年8月30日木曜日

糖尿病:n-3多価不飽和脂肪酸 心血管イベント抑制効果認めず

discussionから 「サプリメントでは心血管アウトカムへの効果認めないが、n-3脂肪酸サプリメントを冠動脈性心疾患二次予防に推奨したり、卒中予防・心臓突然死予防のため魚摂取週1−2回は摂取するようアドボケートを続けている臨床ガイドラインが存在する」
確かに以前のトライアルでは、魚摂食やn-3脂肪酸サプリメントを増加することで評価されていたが、単独の効果としては評価難しい研究デザインであった」


結論から言えば、観察研究に基づく推奨であるが、サプリメントとしてのランダムトライアルとしては心血管系ベネフィットあるとは言いがたい



15,480名の糖尿病患者で動脈硬化性心血管疾患のない症例

  • n-3脂肪酸 1gカプセル(脂肪酸群)
  • マッチングプラシーボ(オリーブオイル)



おそらく、オリーブオイルは一過不飽和脂肪酸が多いため、多価不飽和脂肪酸(n-3)比較のため対照として使用されたのだろう
オリーブ油の脂肪酸構成は、このオレイン酸が約75%を占め、約10%を飽和脂肪酸、残りをリノール酸、αリノレン酸などの多価不飽和脂肪酸が占める


Effects of n−3 Fatty Acid Supplements in Diabetes Mellitus
The ASCEND Study Collaborative Group
N Engl. J. Med. August 26, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1804989

プライマリアウトカムは初回重症血管イベント(i.e. 非致死性心筋梗塞、卒中、一過性脳虚血、心血管死、除外:頭蓋内出血)
セカンダリアウトカムは初回重症血管イベント+何らかの血管再建

結果
フォローアップ7.4年間(adherence 率 76%)

脂肪酸群:重大血管イベント 689名(8.9%)
プラシーボ群: 712 名(9.2%)
発生比 0.97; 95% 信頼区間 , 0.87 to 1.08; P=0.55)

重大心血管イベント・血管再建複合組み合わせでは、それぞれ 882 名 (11.4%) 、 887 名 (11.5%)
発生比 0.95; 95% CI, 0.86 - 1.05)

全原因死亡は、各々 752 名 (9.7%)、788名 (10.2%)
発生比 0.95; 95% CI, 0.86-1.05

非致死性重大副事象イベントに関して群間差認めず







研修医の頃 この論文を抄読会で読んだ思い出がある

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM198505093121901




随分エポックメイキング名論文で、その後も色々見聞きしたので、この論文選択したセンスは褒められても良かったと思うのだが・・・

指導部長は、疫学研究軽視の人間で、つまらん研究報告だと一蹴された・・・まだ、根に持ってる・・・ 35年程前・・・ 懐かしい!
(研修医を指導する指導者たちよ、意外と根に持たれることを念頭に、抄読会の指導がんばって)

そのときの肯定的事象が、否定されたのも興味深い

一般住民:FEV1、FVC年次減少と心血管イベントの関連性

COPD患者群のコホートではなくコミュニティコホートのようだ

1秒量:FEV1、強制肺活量:FVCの年次減少と心血管イベントの関連性を認めた報告
従来の心血管疾患イベントリスク補正後確認された関連性で、4倍ものリスク増加に関わるという話



Declining Lung Function and Cardiovascular Risk: The ARIC Study
Journal of the American College of Cardiology
Volume 72, Issue 10, 4 September 2018, Pages 1109-1122
https://doi.org/10.1016/j.jacc.2018.06.049


背景
肺機能障害による心血管疾患(CVD)イベント発症予測

目的
肺機能の長軸的減少が心不全(HF)、冠動脈疾患(CHD)、卒中発症と関連するか評価目的


方法
 ARIC (Atherosclerosis Risk In Communities) study、CVD無し対象者10,351名
 肺機能急激減少定義:FEV1もしくはFVC 減少最大 4分位 n=2,585(FEV1: 1年あたり1.9%超の減少、FVC :1年あたり2.1%超の減少)、2.9±0.2年間にわたり検討
FEV1もしくはFVCの急激減少とその後のHF、CHD、卒中、それら組み合わせ発症を多変量Cox回帰補正モデル(補正要素:ベースラインスパイロメトリ値、住民統計指標、身長、BMI、心拍、糖尿病、高血圧、LDL、脂質低下薬剤、NT-proBNP、喫煙)にて比較

結果
平均年齢  54 ± 6 歳、女性 56%、白人 81%
フォローアップ17±6年間時点で、HF 14%、CHD 11%、卒中 6%、イベント複合 24%
FEV1とFVC急激減少は、心不全発症リスク増加と相関 (各々、ハザード比[HR]: 1.17; 95% 信頼区間 [CI]: 1.04 to 1.33; p = 0.010;  HR: 1.27; 95% CI: 1.12 to 1.44; p < 0.001)
フォローアップ1年時点dのFEV1急激減少が最も予測相関高い (HR: 4.22; 95% CI: 1.34 to 13.26; p = 0.01)



同様に、FEV1の急激減少は、その後の卒中発症と相関  (HR: 1.25; 95% CI: 1.04 to 1.50; p = 0.015)



結論
連続スパイロメトリ評価による肺機能の急激減少はその後のCVD、特にHF発症頻度増加と関連する





まぁいいんだけど、stageによりFEV1減少速度随分違うはずだが・・・COPD診断に至らない群が対象だとすると、FEV1減少速度は緩徐であろう。
下図参考にすれば、年間2%程度の低下はstage 1に相当するのではないか?




結核:INH、RFPのMICによる再発予測

結核細菌側要素、特に薬剤感受性による再発予測可能となれば、より短期治療可能な症例の選別化が治療の早い段階で可能となるかもしれない


日本の結核診療に導入されるのはかなり後になるだろうが・・・


Bacterial Factors That Predict Relapse after Tuberculosis Therapy
Roberto Colangeli, et al., for the DMID 01-009/Tuberculosis Trials Consortium Study 22 Teams
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1715849

細菌側factorによる薬剤感受性結核患者の再発予測
INHとRFPの最小阻止濃度(MIC)から短期治療レジメン治療の安全な患者同定可能となる

薬剤感受性有りの場合短期治療4ヶ月後再発20%だが、1st ラインの治療6ヶ月患者では5
%だが、治療期間長ければ公衆衛生システムへの負担、毒性影響リスク、治療アドヒアランス不良、薬剤抵抗性出現などのリスクを生じる蓋然性が高くなる

MICによる治療層別化により治療短縮化メリットが生じればなぁ・・・と



  • 再発患者のINHのbreakpoint未満baseline MIC 値は 0.0334 ± 0.0085 μg/mL、治癒患者では 0.0286 ± 0.0092 μg/mL、多重比較調整後再発群倍率 1.17 (95% CI 1.03-1.33; P=0.02) 
  • 再発患者のRFPのbreakpoint未満baseline MIC 値は  0.0695 ± 0.0276 μg/mL 、治癒患者では 0.0453 ± 0.0223 μg/mL 、再発群倍率 1.53 (95% CI 1.27-1.86; adjusted P<0 .001="" li="">
  • 他の群間差を含む多変量解析にて、MIC高値はやはり再発と相関
  • INH、RFPへのMIC値のmodel scoreは、cross-validation analysisでの感度75%、development cohortで 予測特異度76.5%、validation cohortで感度70%、特異度 100%









GeneXpert MTB/RIF (Xpert; Cepheid)
http://www.cepheid.com/jp/cepheid-solutions-jp/clinical-tests-jp/critical-infectious-diseases/xpert-mtb-rif


drug-susceptibility testing using either TREK Sensititre 96-well plates (Trek Diag- nostic Systems), with customized quantities of lyophilized drugs, or Mycobacterial Growth Indi- cator Tubes (BD),




2018年8月29日水曜日

米国内電子タバコ使用率 4.5%(2016)、若年層 18-24歳最多

加熱式たばこ「日本だけで大流行」という真実
「ガラパゴス市場」なのか「テスト市場」なのか

以上の記事があるが、"加熱式タバコは市場の24%強”
2018年 24%強、 2019年 29%程度

確かに、日本の方が喫煙者中加熱式タバコ使用率多いようではあるが日本だけ大流行というのは誤報では?



対して、加熱式タバコ(電子タバコ)使用者米国内推定は 2016年 4.5%程度
困ったことに、加熱式タバコ(電子タバコ)使用者の内の15%が喫煙既往無い人

電子タバコ使用率で言えば、18−24歳層が最も頻度高く、 9.2%(95% CI, 8.6-9.8%)
35歳未満が過半の51.2%

Prevalence and Distribution of E-Cigarette Use Among U.S. Adults: Behavioral Risk Factor Surveillance System, 2016
Ann Int Med. 28 Aug. 2018

地域差もあるよう





2018年8月28日火曜日

高血圧:治療によるいきすぎた低血圧による転倒・失神リスク

より攻撃的な強化治療がはやりだが・・・

Kaiser Permanente Southern California健康システム(2014-2015)横断研究において、高血圧治療個人レベルの大規模代表住民研究で、高血圧コントロール成功患者における低治療収縮期値患者での重度転倒・失神を評価

1-年windowにて、重度転倒と失神を、収縮期血圧(SBP) <110、≧ 110 mmHgで比較



Low Systolic Blood Pressure From Treatment and Association With Serious Falls/Syncope
John J. Sim, et al.
AJPM American Journal of Preventive Medicine.   2018;000(000):1 9
DOI: https://doi.org/10.1016/j.amepre.2018.05.026

降圧治療477,516名において、平均年齢 65(SD 13)歳、平均SBP 129(SD10)mmHg、 最小SBP < 110 mmHgは27%、平均SBP < 110 mmHgは3%

観察window中、重度転倒、失神、あるいは両方経験は 3.2%(15,419)
最小SBP < 110 mmHg 5.7%
平均SBP < 110 mmHg 5.4%

多変量ORs
重度転倒/失神 は、SBP ≧ 110と比較し
最小SBP < 110 mmHg  2.18 (95% CI=2.11, 2.25)
平均SBP < 110 mmHg  2.18 (95% CI=2.11, 2.25)



【結論】高血圧治療患者における、最小および平均SBP 110 mmHg未満と関連して重度転倒・失神関連性あり
強化降圧治療を強調するなら、治療関連低血圧も考慮すべき

2018年8月27日月曜日

ロルカセリン:主要心イベント・血管イベント心血管安全性証明された初めての肥満減肥薬剤

主要心イベント・血管イベント心血管安全性証明された初めての肥満減肥薬剤ということに・・・


ESC会合とNEJM紙面同時発表


CAMELLIA-TIMI-61 postmarketing trial

Cardiovascular Safety of Lorcaserin in Overweight or Obese Patients
the CAMELLIA–TIMI 61 Steering Committee and Investigators*
NEJM August 26, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1808721
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1808721

動脈硬化性疾患あるいは多数の心血管リスクを有する肥満・過体重12,000名ランダム割り付け
・ロルカセリン 10mgx2/日
・プラシーボ
主要安全性アウトカム:心血管死亡・心筋梗塞・卒中組み合わせの複合評価で、非劣性 境界1.4除外中間解析評価:フォローアップ期間中央値3.3年間において、ロルセセリン治療とプラシーボに、主要心血管イベント(卒中、心筋梗塞、死亡)の差を認めず

非劣性合致したため、プライマリ心血管有効性アウトカムに切り替え、重大心血管イベント、心不全、不安定狭心症入院、冠動脈再建(重大心血管にベントからは除外)の組み合わせ評価しトライアル最後に優越性を評価
結果、ロカルセリン治療群 8.5% vs プラシーボ 10.3%、HR 0.81, 95% CI 0.66-0.99




体重:






例えば、糖尿病治療薬リラグルチドは糖尿病において同程度の減量効果でありが糖尿病リスクを軽減する。この薬剤をどのように使うかはまだ未確定な要素がある・・・とのエディトリアル


肥満症治療剤lorcaserin hydrochloride(一般名、米国製品名「BELVIQ®」/「BELVIQ XR®」)

日本ではエーザイがらみか・・・というか世界的にも・・・
https://www.eisai.co.jp/news/news201701.html

2018年8月25日土曜日

飲酒するほど肺炎にかかる

昨日("愛酒の日”)に 飲酒に健康上良いこと無しを紹介したが
さらに、とどめ


Alcohol and the risk of pneumonia: a systematic review and meta-analysis
Simou E, et al. BMJ Open 2018;8:e022344.
 doi:10.1136/bmjopen-2018-022344
https://bmjopen.bmj.com/content/bmjopen/8/8/e022344.full.pdf

目的 アルコール摂取と市中肺炎(CAP)リスクの関連性程度推定:システマティック・レビュー&メタアナリシス

デザイン Systematic review and meta-analysis.

研究方法 包括的研究:Medline、 Embase、 Web of Science 1985 and 2017
random-effects meta-analysisをpooled effect size推定のため使用、量依存関連性も検討

結果 レビューにて17の文献を引用可能として採用、うち14はpooled可能として検証。
14研究のメタアナリシスにてアルコール飲用もしくは飲用量多いほどCAPリスク83%増加(相対リスク 1.83, 95% CI 1.30 - 2.57)

研究間heterogeneityあり、研究項目要素に一部差異がありそれが関与(共役要素補正・肺炎診断:臨床 vs 死亡)

1日あたりアルコール10−20g摂取増加毎、CAPリスク8%増加するという量依存関連性認める


結論 これら治験はアルコール摂取のCAP(市中肺炎)リスク示唆
故に、政策的にアルコール摂取を減らし市中肺炎発生を減少するべき




マッサンの時代から、アルコール業界はメディア戦略が主戦場
故に、アルコールに都合の悪いことは、新聞でさえ扱わない

で、政治家たちも、サントリーなど製造メーカースポンサーとなっていて、政策上アルコール節制に前向きでない。

最近、芋焼酎産地の大学なんて研究費目当てにアルコール業界に媚びうることしかしてないし・・・





2018年8月24日金曜日

飲酒に健康上良いこと無し

・・・といいながら、飲み続けるんだけど・・・


さらに、今日
8月24日は「愛酒の日」!
だそうで・・・


ある面、タイムリーな話・・・


Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016 -
The Lancet AccessPublished:August 23, 2018
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)31310-2


この図が全てを物語っている。健康へのベネフィット認めない。少量なら健康に良いというのは間違い




2016年において、世界的に飲酒は7番目の死亡・DALYs主要リスク要素
年齢補正下において、女性死亡の2.2% (95% uncertainty interval [UI] 1.5–3.0) に関わり、男性では 6.8% (5.8-8.0%)に関わる。

同年、15−49歳では、アルコール使用は世界的に最も多いリスク要素で、女性死亡 3.8% (95% UI 3.2–4.3)、男性 12.2% (10.8-13.6)に関わる

15−49歳では、 女性のattributable DALYsは 2.3%(95% UI 2.0-2.6)、男性 8.9% (7.8-9.9)、この年齢群の3大死亡要素は、結核 (1.4% [95% UI 1.0–1.7]、交通外傷 (1.2% [0.7–1.9])、自傷(1.1% [0.6–1.5])




日本は結構な大酒国家





50歳以上では、癌がアルコール関連死上最高比率で 女性 27.1% (95% UI 21.3-33.3)、男性 18.9% (15.3-22.6)

有害性最小化するアルコールレベルは、健康アウトカム横断的にみれば、ゼロ( 95% UI 0.0-0.8) ドリンク/週






健康上、アルコール摂取量は"無し”が望ましい


糖尿病有病者での虚血性心疾患・卒中減少が目立つ

全ての人種、教育群で同様の減少があり、糖尿病有病者での虚血性心疾患・卒中減少が目立つ

米国National Health Survey(1985-2014)
糖尿病に於ける主要心血管疾患死亡率は減少し、特に男性において著明。
虚血性心疾患・卒中死亡率の減少が大幅に認められる一方、心不全・不整脈死は不変
糖尿病無しの女性より糖尿病有りの男性での心血管死減少が目立つ

Trends and Disparities in Cardiovascular Mortality Among U.S. Adults With and Without Self-Reported Diabetes Mellitus,

1988–2015 https://doi.org/10.2337/dc18-0831

糖尿病:有無
年齢 20−54歳、55-65歳、65歳以上
平均フォローアップ期間11.8年、 1988-2016、 677,061名

主要CVD死亡率は、糖尿病有無にかかわらず、20-54歳の年齢層を除き、有意減少  (all P values <0.05)

糖尿病有病者において、死亡率の10年間総体変化は
増加
  • 主要CVD  (232.7% [95% CI 237.2, 227.9])
  • 虚血性心疾患 (240.3% [244.7, 235.6])
  • 卒中 (229.2% [240.0, 216.5])
 変化無し
  • 心不全 (20.5% [220.7, 24.7])
  • 不整脈 (212.0% [229.4, 77.5])
糖尿病無しの成人より糖尿病有病成人では主要心血管疾患の絶対的減少具合は大きい   (P  < 0.001).









明確な理由は書かれてないが、全般的修正可能リスク要素生活習慣改善が主な理由?

2018年8月22日水曜日

若年成人:修正可能心血管リスク要素と脳血管構造と機能、白質病変の関連性

脳MRIの進化により、自動segmentation、血管形態分析、白質高密度病変、脳血流など測定可能となった

若年成人期から脳の老いは始まっていて、修正可能リスク要素が関与する
若いうちから、健康な日常生活が重要・・・ 


予備研究だが、脳血管疾患無しの対象者において、修正可能心血管疾患リスク推奨域が多いほど、脳血管密度高く、血管径広く、脳血流早く、白質hyperintensity lesion少ない




高齢となっての卒中や脳萎縮は若年青年期からの心血管疾患リスク・レベルに関連するわけだが、若年青年期時代の脳血管変化についての検討

18−40歳125名の横断観察研究、明確な心血管疾患無しを対象

Association of Cardiovascular Risk Factors With MRI Indices of Cerebrovascular Structure and Function and White Matter Hyperintensities in Young Adults
JAMA. 2018;320(7):665-673. doi:10.1001/jama.2018.11498



推奨レベルの修正可能心血管リスク要素数:BMI <25 100="" 130="" 200="" 6="" 8="" 90="" and="" dl="" mg="" mmhg="" or="" p="" wk="">いずれかのリスク要素推奨レベルでなら値1と割り付け、0−8にカテゴリー化
数が多いほどより健康カテゴリーとなる

被検者 125名 平均(SD)年齢 25(5)歳、女性 49%、修正可能リスク要素 平均(SD)スコア 6.0(1.4)、全例で心血管疾患評価とMRIプロトコール施行

多変量モデルにおいて、心血管リスク要素は、脳血管の形態と白質高密度(hyperintensity)カウントと相関

健康修正可能リスク要素付加される毎、血管密度 0.3  (95% CI, 0.1-0.5; P = 0.003)血管/cm3増加、vessel valiber:血管径 8(95% CI, 3-13; P =0 .01)μm毎増加、白質hyperintensity lesion 1.6 lesion (95% CI, −3.0 to −0.5; P =0 .006)少なくなる

データ活用可能52名被検者のうち、脳血流は血管密度により変化し、修正可能リスク要素健康カテゴリー毎 2.5mL/100 g/min増加  (95% CI, 0.16-4.89; P = .03)




私らくらい年とってからの健康生活ではどのていど修正可能なのだろう?


COPD急性増悪の回数・重症度は自然歴予測要素

COPD患者の大部分は10年間フォローアップでも急性増悪発生せず
1年間の急性増悪発生回数は長期急性増悪発生率の予測因子となる
急性増悪の回数・重症度増加するほど死亡リスク増加する

このような現象の理解が、急性増悪予防の重要性を示唆する

Natural History of Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations in a General Practice–based Population with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
AJRCCM Vol. 198 No.4 Aug 15, 2018
https://doi.org/10.1164/rccm.201710-2029OC       PubMed: 29474094
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201710-2029OC




結論が陳腐だなぁ

どんなに啓発してもCOPD病名すら普及しないのだから、
急性増悪発生時にCOPDを確保する

気道感染時に、"呼吸困難、低酸素血症(SpO2低下)、喫煙既往・・・”というキーワードがあればスパイロメトリ絶対行うような制度設計をすべきだと思う


2018年8月21日火曜日

USPSTF推奨:運動と多要素介入 ・・・ ビタミンDを転倒予防に使用するな!

まぁ予測通りだが・・・
ビタミンDに関して「ビタミンDサプリメント補給は、(転倒予防の)解決策の一つとして考えられてきたが、USPSTFレビューにより高用量ビタミンDサプリメントにより有害性を示すなど結果にばらつき有り、転倒予防のためのビタミンDルーチンサプリメント投与に反対する推奨を示した。ただビタミンD欠乏患者へはこの推奨は適応されない。臨床医は適切にこのビタミンD投与減少を考慮しなければならない」



Guideline: USPSTF recommends exercise and multifactorial interventions for fall prevention in older adults
ACP JOURNAL CLUB 21 AUGUST 2
http://annals.org/aim/article-abstract/2697712/guideline-uspstf-recommends-exercise-multifactorial-interventions-fall-prevention-older-adults



推奨:転倒予防のため運動介入推奨 (grade B)
エビデンス:

  • 転倒者数減少(RR 0.89, 95% CI 0.81 - 0.97; 15 RCTs, n=4926)
  • 外傷性転倒リスク減少 IRR 0.81, CI 0.73 - 1.00; 14 RCTs, n=4622)


以下のリスクに影響せず

  • 転倒リスク (IRR 0.87, CI 0.75 - 1.00; 14 RCTs, n=4663)
  • 外傷性転倒数 (IRR range 0.61 - 0.90; 5RCTs, n=2776)
  • 死亡率 (RR 0.93, CI 0.71 - 1.22; 11 RCTs, n=4263)


有害性

  • マイナーな疼痛 and/or あざ (8 RCTs, n=4107)
  • 2つの研究では運動介入と対照群で重度外傷に差を認めず




臨床家が多要素介入を選択的に提供すること。患者・臨床家は、転倒既往の環境、併存病状の存在、患者の価値・好みをベースにベネフィットと有害性のバランスを考慮すべき(grade C)

  • 転倒リスク減少 (IRR 0.79, CI 0.68 - 0.91; 17 RCTs, n=9737)


以下リスク影響せず

  • 転倒者数 (RR 0.95, CI 0.89 - 1.01; 24 RCTs, n=12,490)
  • 外傷性転倒者数 (RR 0.94, CI 0.85 - 1.03)
  • 死亡率 (RR 0.96, CI 0.79 - 1.17; 23 RCTs, n=9721)


有害性

  • マイナーで頻度少なく、通常筋骨格筋、運動関連のもの(4 RCTs, n=1466)




ビタミンDサプリメントを転倒予防に対して推奨しない(grade D)
以下リスク影響与えず

  • 転倒リスク (IRR 0.97, CI 0.79 - 1.20; 5 RCTs, n=3496)
  • 転倒者数 (RR 0.97, CI 0.88 - 1.08; 6 RCTs, n=6519)
  • 死亡率 (RR 1.08, CI 0.83 - 1.40; 6 RCTs, n=7084)


外傷性リスクに関しては結果、良否ばらつき


有害性:

  • 転倒関連有害性(転倒数、転倒者数、転倒外傷の増加)がビタミンDの年間投与量増加で増加、対照群は他の有害性差は認めなかった(5 RCTs, n=3955)





今となればuptodateでない情報がいっぱい
https://goo.gl/v89C7W


心血管疾患リスク:禁煙後体重増加は、喫煙継続よりはまし、でも体重増加は糖尿病発症に直結

禁煙指導関係者にとって欲しかったデータだと思う

「禁煙で体重増えて、心筋梗塞や脳梗塞になれば意味ない」と言われたときに科学的根拠を持って示せないことにもどかしさを感じたことがあるはず


自信をもって禁煙しなさいと言える!
でも、減量も大事ですよ・・・って付け加える必要はあるが・・・




Smoking Cessation, Weight Change, Type 2 Diabetes, and Mortality
August 16, 2018
N Engl J Med 2018; 379:623-632
DOI: 10.1056/NEJMoa1803626

→日本語訳:https://www.nejm.jp/abstract/vol379.p623

2 型糖尿病リスクは,禁煙後5-7年がピーク(ハザード比 1.22,95%信頼区間 [CI] 1.12~1.32)、その後緩徐低下
糖尿病リスクは増加体重に比例


心血管死亡リスク:現行喫煙比較 

  • 体重非増加 ハザード比 0.69(95% CI 0.54~0.88)
  • 体重増加 0.1-5.0kg  ハザード比 0.47(95% CI 0.35~0.63)
  • 体重増加 5.1~10.0 kg ハザード比 0.25(95% CI 0.15~0.42)
  • 体重増加 10.0 kg 超ハザード比 0.33(95% CI 0.18~0.60)


長期禁煙者(禁煙後 6 年超 0.50(95% CI 0.46~0.55)





2018年8月20日月曜日

WRAP-IPFトライアル【第2相治験】酸逆流手術:特発性肺線維症肺機能低下抑制効果

腹腔鏡下噴門形成術がよく知られているが、ここでは、腹腔鏡下制酸治療と訳しておこう
WRAP-IPFトライアル

Anti-Reflux Surgery Slows Idiopathic Lung Fibrosis
Fewer hospitalizations and deaths in patients with GERD
https://www.medpagetoday.com/pulmonology/generalpulmonary/74617

PPIは8−9割使用され、抗線維化薬剤としてニンテダニブ 3割〜1割、ピルフェニドン3割程度使用されている



Laparoscopic anti-reflux surgery for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis (WRAP-IPF): a multicentre, randomised, controlled phase 2 trial
The Lancet Respiratory Medicine, Open AccessPublished:August 09, 2018
DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30301-1



特発性肺線維症にPPI必須という現状・・・のさらに上の新知見

2018年8月17日金曜日

長期安全性:適正な炭水化物比率は?

極端な炭水化物制限での減量効果は短期間で確認できる。だが、長期安全性はAtkins時代からの懸念。

減量ではなく、長期安全性としての死亡率最小化における適正な比率は?


Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis
The Lancet , Public Health
Open Access Published : August 16, 2018
DOI:https://doi.org/10.1016/S2468-2667(18)30135-X


低炭水化物ダイエットとは、厳格な炭水化物制限の一方、好きなだけ蛋白・脂肪摂取して良いとイオウもので減力戦略として人気がある
しかし、炭水化物制限の死亡率への長期影響は議論があり、食事性炭水化物が植物ベースあるいは動物ベースの脂肪・蛋白に置き換わっているかにも関わるだろう
炭水化物摂取と死亡率の相関性研究

45−64歳、15,428名成人、4つの米国内コミュニティ、ARC研究時に食事アンケート(1987-1989年)、極端なカロリー摂取(男性 1日600kcal未満や4200kcal超、女性 500kcal未満や3600kcal超)報告でないもの
プライマリアウトカムは全死亡率
非線型関連性想定にて炭水化物摂取比率と全死亡率の関連性検討
メタアナリシスにて多国前向き研究7つからのデータからARICデータをさらに検討
最終的に炭水化物から動物性・植物性由来の脂肪蛋白置き換えの死亡率影響検討

フォローアップ期間中央値25年間、ARICコホート 死亡6283、コホート研究全てでは死亡 40,181
ARICコホートにて多変量補正後、炭水化物からのエネルギー比率と死亡率の関連性はU字型
 (平均 48.9%, SD 9.4): 炭水化物からのエネルギー比率 50-55%が死亡率関連性として最小リスク


 全てのコホート研究メタアナリシス(432,179名登録)において、低炭水化物比率(40%未満)と高炭水化物摂取(70%超)は中等度摂取より死亡率高リスクと関与し、U字型相関(プール化ハザード比 炭水化物低比率 1.20, 95% CI, 1.09-1.32、炭水化物高比率 1.23, 95% CI, 1.11-1.36











しかし、主要栄養素源により結果はばらつく
 炭水化物を動物由来脂肪や蛋白に置き換えると死亡率増加(1.18, 95%CI, 1.08-1.29)し、植物性に置き換えたときは死亡率減少(0.82, 95%CI, 0.78-0.87)





解説では、低炭水化物食は、野菜・果物・穀類摂取減少の一方、動物性蛋白質増加をもたらす可能性、典型的な長期動物由来蛋白・脂肪摂取が炎症惹起性・酸化ストレスなどもたらす可能性に言及している。植物由来の脂肪・蛋白摂取置き換えが可能ならどこまで安全かまた死亡リスク低下が見込めるかは・・・不明。

2018年8月16日木曜日

中国コホート:ビタミンC血中濃度と死亡率の関連性

長期前向き中国コホート研究で血中ビタミンC濃は総死亡率、心疾患死亡率、がん脂肪率低下と相関


Association of plasma vitamin C concentration to total and cause-specific mortality: a 16-year prospective study in China
Wang S-M, et al.
J Epidemiol Community Health 2018;0:1–7. 
doi:10.1136/jech-2018-210809(http://dx.doi.org/10.1136/ jech-2018-210809)



中国人コホート 948名(男性 473名)、53-84歳、長期前向きコホート研究
血中ビタミンC濃度と総および各原因死亡率研究
インシデントは、がん 141、卒中 170、心疾患 174

原因毎4分位解析、28 μmol/L 超と未満の2分割


Cox比例ハザードモデルにてHRsと95%信頼区間(CI)を推定


血中ビタミンC濃度と総死亡率の逆相関性
  4分位 (HRQ4 vs Q10.75, 95% CI 0.59 to 0.95)
  連続変数 (HRq20umol/L0.90, 95% CI 0.82 to 0.99)
  2分解析 (HRnormal-vs-low0.77, 95% CI 0.63 to 0.95)


  • 以下有意低下
  • 心疾患リスク(ptrend-by-quantile=0.03)
  • がん死亡 (pglobal-across-quantile=0.04) 


卒中では補正にて相関性減衰


心疾患でも同様に、ビタミン正常値 vs 低値比較で逆相関 (HRnormal-vs-low0.62, 95% CI 0.42 to 0.89)






冬場の全死亡率増加逆相関性がめだつが、解説は"中国ではビタミンC濃度ピークなのは冬季(中国の田舎でのビタミンC欠乏頻度:冬場 5%、春 35%・・・)で、ビタミンC摂食少ないヒトは冬場も少ないというのでその差が出る”と記載

理解しがたいので英語読解がおかしいのかもしれない・・・

2018年8月13日月曜日

特発性肺線維症:細胞外小胞増加→WNT-5aシグナリング→線維芽細胞増殖


細胞外小胞(EV)がIPF(特発性肺線維症)にも関与している可能性が高い

細胞外小胞は細胞間コミュニケーションの強力なメディエータらしい
https://www.abcam.co.jp/primary-antibodies/extracellular-vesicles-an-introduction-1



実験・ヒト肺線維症においてEV増加し、さらには疾患での線維芽細胞機能の変化に関連していることを示した報告であり、WNT蛋白 WNT-5AがEVから分泌され、IPFのBALF中に見られる。IPF患者BALV中のEVのWNT-5Aは線維芽細胞増殖をもたらし、IPFにおける病態生理学上の役割大きいと考えられる



Increased Extracellular Vesicles Mediate WNT-5A Signaling in Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, 2018;
DOI: 10.1164/rccm.201708-1580OC
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201708-1580OC



さっぱり分からんが・・・なにやら治療ターゲットとなるのだろう

緑内障は自己免疫的機序が関わる?

緑内障は最も有病率の高い神経変性疾患で、失明のの最も多い原因

 Commensal microflora-induced T cell responses mediate progressive neurodegeneration in glaucoma.
Nature Communicationsvolume 9, Article number: 3209 (2018)
https://www.nature.com/articles/s41467-018-05681-9


マウスのT and/or B細胞欠損及び養子細胞移植(adoptive cell transfer,ACT)を用い、眼内圧(IOP)の一過性増加だけで網膜へのT-細胞浸潤誘導可能となる。
このT-細胞浸潤により網膜神経節細胞の変性遷延化となり、IOP正常レベルまで戻った後も継続する。

Heat shock proteins (HSP) が緑内障マウス、ヒト緑内障患者でT-細胞反応のターゲット抗原として同定

さらに、網膜-浸潤T細胞はヒト及び細菌HSPsに交差反応する

共生微生物叢の不在下で飼育されたマウスは、緑内障T細胞応答または関連する神経変性を発症しない。 これらの結果は、緑内障性神経変性が、共生微生物叢への曝露によって予め感作されたT細胞が一部介在するという魅力的仮説


緑内障は自己免疫的機序が関わる?

解説
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/08/180810091530.htm

2018年8月10日金曜日

高齢男性への長期テストステロン投与の好気的運動能力への効果

discussion文中に、"このdotV̇O2peakの差は、2−6ヶ月間の運動トレーニング効果 4−6 ml/kg/minに比べ僅か”と記載ある如く、特に運動介入は実施されてない模様。


この程度の効果が是認されるかどうかは?

Long-Term Testosterone Supplementation in Older Men Attenuates Age-Related Decline in Aerobic Capacity
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 103, Issue 8, 1 August 2018, Pages 2861–2869, https://doi.org/10.1210/jc.2017-01902



目的:漸増サイクルエルゴメータ中のdotV̇O2peakにおけるテストステロン・サプリメントの効果検証
デザイン:二重盲検ランダム化プラシーボ対照平行群トライアル(Testosterone’s Effects on Atherosclerosis Progression in Aging Men)
場所 Exercise physiology laboratory

被検者:60歳以上健康男性(テストステロン値 100-400 ng/dLあるいは遊離テストステロン <50 pg/mL

介入:3年間、1%経皮テストステロンゲルを血中値 500-950 ng/dLになるよう設定 vs プラシーボ

主要アウトカム: 漸増サイクルエルゴメータ中の変化量

結果:
平均 (±SD) ベースラインV̇O2 peak  :テストステロン群 24.2 ± 5.2 、プラシーボ群 23.6 ± 5.6 mL/kg/min

V̇O2 peakはテストステロン群では変化無し、プラシーボ群では定価
(平均3-年間 減少, 0.88 mL/kg/min; 95% CI, −1.39 to 0.38 mL/kg/min; P = 0.035)
V̇O2 peakの差は有意 (平均差3年間 0.91 mL/kg/min; 95% CI, 0.010 to 0.122 mL/kg/min; P = 0.008)



Hb 1-g/dL増加が有意にテストステロン治療男性のV̇O2 peak増加と関連



結論:V̇O2 peak3年間平均変化量はテストステロン治療群男性で優位に少なく、ヘモグロビンの増加と関連
V̇O2 peak変化の群間差は、加齢関連減少予測の減衰化を示唆
このわずかな治療効果が臨床的意義持つかは不明





LOH症候群(加齢性腺機能低下症)、ホルモン補充療法と騒ぐ連中はなぁ・・・

はしかワクチン:推奨期間より早期のワクチンが生存率改善に有効<日本のスケジュールは遅すぎる?>

日本のスケジュールは1歳になってからMRワクチン・・・
推奨期間前倒しの方が良いのでは?

日本の定期/任意予防接種スケジュール
https://www.niid.go.jp/niid/images/vaccine/schedule/2018/JP20180401_02.gif


Is early measles vaccination associated with stronger survival benefits than later measles vaccination?
BMC Public Health201818:984
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-018-5866-y

9ヶ月未満:早期
9−11ヶ月:推奨期間
12ヶ月以上:遅延


1999−2006年まで、小児14,813名(観察 31,725)
ワクチン接種 vs 非接種 ハザード比 0.76 ,95% CI: 0.63-0.91
厳格的麻疹死亡は結果として変化無し (HR = 0.79 (0.65–0.95))


早期MVでのハザード比 0.68 (0.53-0.78)
推奨期間MVでのハザード比 0.77 (0.62–0.96)
遅延MVでのハザード比  0.86 (0.67–1.11)


麻疹ワクチン接種児に限定すると、麻疹ワクチン年齢でワクチン年齢1ヶ月遅延毎死亡率は 2.6%(0.4-5.1%)増加する




日本でのMRワクチン
https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/MRvaccine_20180417.pdf
【可能な限り早めの MR ワクチン接種が推奨される者】 (前頁に記載した注意点は必ず先に確認すること)
※赤字は定期接種対象者、黒字は定期接種対象者以外
【定期接種対象者】
第1期定期接種対象者(1歳児)
 第2期定期接種対象者(小学校入学前1年間の幼児:今年度6歳になる者)

潜在性甲状腺機能低下症:レボチロキシンRCT 総頸動脈IMT・動脈硬化進展予防効果みとめず

1年半程度では潜在性甲状腺機能低下症への積極治療の総頸動脈IMTなどへの動脈硬化効果認めず


潜在性甲状腺機能低下症、ここでは TSH 4.60-19.9 で、遊離サイロキシン(fT4)値参照範囲内の症例への治療RCT

介入:TSH正常化目標レボチロキシン量調整 vs プラシーボ
主要アウトカムは、超音波測定総頸動脈IMT(中膜内膜複合体)、プラーク最大厚


Impact of Thyroid Hormone Therapy on Atherosclerosis in the Elderly With Subclinical Hypothyroidism: A Randomized Trial
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 103, Issue 8, 1 August 2018, Pages 2988–2997, https://doi.org/10.1210/jc.2018-00279
Published: 28 May 2018  Article history

被検者 185名、平均年齢 74.1歳、女性 47% 、レボチロキシン割り付け 96名
ベースライン総体平均 TSH ± SD  6.35 ± 1.95 mIU/L
治療後 レビチロキシン群  3.55 ± 2.14 mIU/L プラシーボ割り付け群   5.29 ± 2.21 mIU/L  (P < 0.001)

治療期間 18.4ヶ月(IQR 12.2 - 30.0ヶ月)後、平均 CIMT レボチロキシン .85 ± 0.14 mm vs プラシーボ 0.82 ± 0.13 mm [群間差 = 0.02 mm; 95% CI, −0.01 to 0.06; P = 0.30]

頸動脈プラーク比率 は同等 n = 135; 70.8% under levothyroxine and 75.3% under placebo; P = 0.46)

最大頸動脈厚  2.38 ± 0.92 mm  vs 2.37 ± 0.91 mm  (群間差 −0.03; 95% CI, −0.34 to 0.29; P = 0.86)

性別、ベースラインTSH、既存心血管疾患による有意関連認めず




Subclinical HypothyroidismJune 29, 2017
N Engl J Med 2017; 376:2556-2565
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcp1611144
Subclinical Hypothyroidism
• Subclinical hypothyroidism is defined as an elevated thyrotropin level with a normal free thyroxine (T4) level. To confirm the diagnosis, a transient increase in thyrotropin should be ruled out by a repeat measurement of thyrotropin and free T4 after 2 to 3 months.;1回では判断しない、2−3ヶ月後TSH、fT4再検必要

• In up to 46% of patients with subclinical hypothyroidism who have a thyrotropin level of less than 7 mIU per liter, the thyrotropin level normalizes within 2 years.;TSH < 7mIU/Lなら46%では、2年内にTSH正常 
• Subclinical hypothyroidism, particularly when the thyrotropin level is more than 10 mIU per liter, is associated with an increased risk of hypothyroid symptoms and cardiovascular events.; TSH  >10 mIU/Lなら甲状腺機能低下症・心血管イベントリスク増加 
• There are few data from randomized, controlled trials of levothyroxine therapy for subclinical hypothyroidism to inform the effects of treatment on cardiovascular outcomes.:心血管疾患への治療の影響に関する情報提供にはレボチロキシン治療RCTからの十分なデータ不足している 
• Treatment is generally recommended for persons 70 years of age or younger who have thyrotropin levels of at least 10 mIU per liter, although long-term benefits have not been shown.:長期効果は不明だが、治療は一般には70歳以下の TSH <10 font="" miu=""> 
• Among patients who have thyrotropin levels of less than 10 mIU per liter or who are older than 70 years of age, treatment decisions are based on individual patient factors (e.g., symptoms of hypothyroidism, a positive test for antibodies to thyroid peroxidase, or cardiac risk factors).;TSH <10 font="" miu="" peroxidase="">を行う





りあるわーるど:スタチンコントロール下抗トリグリセライド治療の意義

高活性・高選択性PPARαモディレーター(Selective PPARα modulators–SPPARMα agents)と称しパルモディアが鳴り物入り?で登場した

ref. )Cardiovascular Diabetology201716:124 
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-017-0602-y


心血管疾患においてTG(トリグリセライド)治療の価値、正直、今ひとつピンとこない

例えば
一次予防(https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD009753.pub2/full)にて
Moderate-quality evidence suggests that fibrates lower the risk for cardiovascular and coronary events in primary prevention, but the absolute treatment effects in the primary prevention setting are modest (absolute risk reductions < 1%). 
二次予防(https://www.cochrane.org/CD009580/VASC_fibrates-secondary-prevention-cardiovascular-disease-and-stroke)にて
Moderate evidence showed that the fibrate class can be effective in the secondary prevention of composite outcome of non-fatal stroke, non-fatal MI, and vascular death. However, this beneficial effect relies on the inclusion of clofibrate data, a drug that was discontinued in 2002 due to its unacceptably large adverse effects. Further trials of the use of fibrates in populations with previous stroke and also against a background treatment with statins (standard of care) are required.




本邦ではトリグリセライド治療の主役は現時点でフィブラート系だとか・・・見たことがある。新しいフィブラートとしてSPPARMが安全性・有効性で実地的効果を示すか?


スタチンとの併用の安全性がいつも問題になるフィブラートに関して、肝腎のスタチン上乗せ効果は?


この論文の序文にLDLへのaggressiveな治療はクリアカットでその治療方針は比較的明確となっているが、TGに関して不明瞭なところがあり、post-hoc研究で関連性示唆されているが、スタチン治療下LDL治療到達症例でのTG治療の意義についてはリアルワールドでのエビデンス乏しいとのこと


長軸観察コホート研究(45歳以上、TG150未満:正常 vs 200-499:高値)にてスタチン治療高リスク患者において動脈硬化性CVD、CVDリスクが高TGレベルと相関するとの報告

Increased Cardiovascular Risk in Hypertriglyceridemic Patients With Statin-Controlled LDL Cholesterol(J Clin Endocrinol Metab 103: 3019–3027, 2018)
https://doi.org/10.1210/jc.2018-00470
序文:LDLコレステロールスタチン治療下コントロール患者でのトリグリセライド(TG)価と心血管(CV)疾患(CVD)リスクのリアルワールド・エビデンスは不足

目的: 高 vs 正常 TG価患者でのCVDと死亡率リスク比較
デザイン:長軸観察コホート研究
セッティング: Integrated delivery system.
被検者:45歳以上、TG 150 未満:正常 vs 高値 200-499 mg/dL
スタチンのみ服用、LDL-C 40-100 mg/dL、CVD診断

アウトカム測定 :2016年12月までフォローアップ。プライマリアウトカム:非致死性心筋梗塞(MI)、非致死性卒中、不安定狭心症、冠動脈再建と死亡率の複合
セカンダリ・アウトカムは、末梢動脈血管再建、大動脈瘤修復治療を加え
多変量補正発生率と発生比(RR)を比較

結果:正常TG群 14,481名、高TG群 2702名

多変量補正二次構成要素発生頻度は、高TG群で10%高い
1000人年 50.9 (95% CI 47.0 - 55.2) )vs 48.2 (95%CI 44.8-48.2) リスク比 1.10 95% CI 1.00 - 1.20 P=0.041
非致死MI RR 1.20, 95% CI 1.00 to 1.45, P = 0.045
冠動脈再建  RR 1.18, 95% CI 1.00 to 1.40, P = 0.045
末梢動脈再建 RR 1.56, 95% CI 1.14 to 2.13, P = 0.006




結論: 動脈硬化CVDを有する高リスク・スタチン治療患者では、CVDリスクと高TG値は相関



NOACの”りあるわーるど”という宣伝文句・・・聞き飽きた
ひどいのは市販直後調査を”りあるわーるど”として宣伝してるやつ

2018年8月7日火曜日

非アルコール性脂肪肝疾患:炭水化物や脂肪より、動物性蛋白の影響大

非アルコール性脂肪肝疾患はインスリン抵抗性メカニズムと関連するから、やはり糖代謝の影響が大きいと思いきや・・・このロッテルダム研究報告では動物性蛋白の影響が大きい




住民ベースのRotterdamu研究、3882名の評価
動物性蛋白高摂取は、高齢白人での過体重のNAFLDリスクを40%ほど高める
炭水化物と脂肪摂取が主眼であったNAFLDの食事成分指導、従来は過小評価されがちのmacronutrientである蛋白質へ着眼点が移行?



従来の報告では、単糖類と二糖類のNAFLDの有害関連性示唆されていたが、この報告ではそれを支持しないものであったが、主な供給源は果物であり、今までの多くの供給源が果糖ソフトドリンク中の果糖でありそれが関係する可能性を述べている 
平均年繪69.7歳、女性比率 58.3%、白人 97.6%、NAFLD 337名(34.4%)
BMI包括中央値 26.9、NAFLD症例 29.3、NAFLD群の 90.1%が体重増加、対し NAFLDなし群の過体重 59.1%
カロリー平均摂取量 2031kcalで、NAFLD群 1996kcalでやや少ない
メタボリックシンドロームはNAFLDで 73%、非NAFLDで 40.38%
糖尿病はNAFLDで 23.7% vs 7.5%
被検者全部でやせ 132名、体重増加11205 
人口統計指標・ライフスタイル共役要素補正後過体重NAFLDは総蛋白摂取量と相関 
蛋白摂取量最小4分位(Q1)比較で最大4分位(Q4)ではオッズ比 1.40(95% CI 1.11 - 1.77)
この関連性は主に動物性蛋白による(オッズ比 Q4 vs Q1 1.54, 95% CI, 1.20-1.98) 
代謝共役要素補正後、動物性蛋白のみが過体重関連NAFLDと相関性維持(オッズ比 Q4 vs Q1 1.36, 95% CI 1.05-1.77)  


植物性蛋白ではリスク増加は認めない 
単糖類、2糖類は包括的なNAFLD有病率低下と関連(オッズ比 Q4 vs Q1 0.66, 95% CI 0.52-0.83)という結果であるが、代謝的共役要素、BMIで補正後相関性低下 
食物線維、単価不飽和脂肪酸を含む脂肪の種類では関連性認めず

非アルコール性脂肪肝疾患と蛋白質関連の作用機序は不明、硝酸塩、亜硝酸塩、ヘム鉄や副産物が媒介してる可能性など、酸化ストレス、インスリン抵抗性関連するヘム鉄、血管内皮障害、インスリン抵抗性と関連する亜硝酸塩。これらはコホートで慢性肝疾患と関連することが認められている。動物性蛋白酸負荷による軽度の代謝性アシドーシス関与の可能性、食事由来の酸負荷は、細胞外pHやインスリン感受性低下させ、β細胞反応を減弱させる可能性など考察

"Association of dietary macronutrient composition and non-alcoholic fatty liver disease in an ageing population: the Rotterdam Study"
Gut 2018;  DOI: 10.1136/gutjnl-2017-315940.
https://gut.bmj.com/content/early/2018/07/31/gutjnl-2017-315940

2018年8月6日月曜日

【ガッテン?】コハク酸によるメタボリックシンドローム抑制効果

テレビのサプリメント宣伝か、ためしてガッテンかと・・・思うような話



コハク酸は"ベージュ”・褐色脂肪細胞の活性化にてエネルギー消費を導く
ATPを生産する替わりに、エネルギーが熱を生成する、酸化的呼吸のuncoupleするUCP1を具有するミトコンドリアの密度増加する。
ただ、この機序を薬物学的なターゲットするには難しいが、コハク酸がこの鍵となる
筋肉から血中に遊離され、主に褐色脂肪組織に取り込まれ、ミトコンドリアで急激に代謝される。
水と共にコハク酸を付与することで、体重増加の大幅な抑制と可逆性を示し、食事由来の肥満への糖耐性改善をもたらすことをマウスで認めた

食事中のコハク酸は代謝疾患の治療として有望


Succinate goes in to BAT, turning up the heat on metabolic disease

Nature
Metabolic disease and obesity develop when energy intake chronically exceeds energy expenditure. One way to combat these diseases is to increase energy expenditure by activating brown and beige fat, which produce heat through non-shivering thermogenesis. Beige and brown adipose tissue (BAT) contains a high density of mitochondria that are unique because they possess uncoupling protein-1 (UCP1), which uncouples mitochondrial oxidative respiration from ATP production to produce heat. Cold exposure drives intracellular lipolysis in the BAT and activates UCP1. However, pharmacological targeting of this pathway has proven to be difficult. Here, Edward Chouchani and colleagues identify a novel pathway of UCP1 activation upon cold exposure that is independent of the adrenergic cascade. The key molecule for this pathway is succinate, which is released into circulation largely by muscle, and is taken up exclusively by BAT, where it is quickly metabolized in the mitochondria. Mitochondrial oxidation of succinate boosts production of reactive oxygen species, driving UCP1 activation and heat production. Supplementation of drinking water with succinate causes robust suppression and reversal of weight gain and improves glucose tolerance in mice with diet-induced obesity. These effects are mediated by an elevation in whole-body energy expenditure. Dietary succinate thus may hold promise as therapy for metabolic diseases.

Accumulation of succinate controls activation of adipose tissue thermogenesis
Nature, volume 560, pages102–106 (2018) 



食品中のコハク酸・・・貝類が多いらしい

では、サプリメントとして、そのものを調味料にすれば・・・と考えるが、コハク酸は量が多いと、【えぐみ】が出るらしい・・・調味料としては難しいのかもしれない

故に、貝類料理を推奨と・・・「あさりがあっさりしておいしい」と書き込みたくてしかたなくなった

【しじみ成分】=【亜鉛含量換算】のようなサプリメントCM詐欺のようにならなければ良いが・・・

2018年8月4日土曜日

持続血糖モニタリング:非糖尿病判定でも血糖変動症例存在

そのうち、CGM(持続血糖モニタリング)によるpre-diabetes、糖尿病診断・・・となるのだろうか?

随時血糖、空腹時血糖、HbA1cによる糖尿病診断というのは確かにCGMから見れば荒っぽい



CGMを用いた57名の糖尿病・非糖尿病比検査に、3つの"glucotype"を同定

標準血糖測定では正常だったが、CGMで高値血糖変動ある症例あり、pre-diabetesレベルで15%、糖尿病レベル2%存在



Glucotypes reveal new patterns of glucose dysregulation
Published: July 24, 2018https://doi.org/10.1371/journal.pbio.2005143
http://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.2005143






Classification of CGM with classes of glycemic signatures.

(A-C) Segregation of the 2.5-hour windows into the three classes of glycemic signatures derived from spectral clustering. The lines in each panel show an example of the glycemic signatures in each class. This separation of windows explains approximately 73% of the variance.
(D) One day of CGM data for 3 separate individuals. Color indicates classification of glycemic signatures. Note that since overlapping windows were used for clustering and classification, some periods of the day have multiple classifications.
(E) Heat map showing the fraction of time individuals spent in each of the glycemic classes.





Correlation between glycemic signature classes and measures of glucose homeostasis.

(A) Forest plots for each of the glucotypes. A Pearson’s correlation test was used to determine the correlation between the clinical metabolic tests—listed 1 per line—and the fraction of time spent in each glucotype class (S5 Data). The center dot line is the resulting correlation coefficient, with the line representing the corresponding 95% confidence interval.
(B) Forest plot with the lines representing age and BMI.
 (C) OGTT 2hr is plotted against the fraction of time in the severe glucotype for each individual. The line of best fit is shown in blue with the 95% confidence interval shaded in gray.


2018年8月3日金曜日

特発性肺線維症治療:ピルフェニドン・ニンテダニブ併用療法の安全性

あくまでも安全性研究ですけどね・・・

pirfenidone (1602–2403 mg/日) と nintedanib (200–300 mg/日

24週間、single-arm、open-labelの第4相試験
FVC予測比 50%以上、DLCO 30%以上を登録
ニンテダニブ投与前、ピルフェニドン16週間以上投与あり・安定処方量耐用(1602 mg/日 28日以上)

プライマリ・エンドポイント: ニンテダニブ(200–300 mg/day)、ピルフェニドン (1602–2403 mg/day)併用24週間完遂
記録:  treatment-emergent adverse events (TEAEs)(いずれかの薬剤関与)記載

89名登録、24週治療完遂 73名(69がプライマリエンドポイント合致)し、16名が早期中S(13名 TEAE理由)

74名で418の治療関連TEAEs
下痢、吐気、嘔吐が最も多く、2名が治療関連TEAEs重症

ピルフェニドンとニンテダニブ併用使用24週目で大部分のIPF患者では耐用性あり
各々単独の予測TEAEsの同様パターンと相関

併用治療の今後研究に希望あり



Safety of nintedanib added to pirfenidone treatment for idiopathic pulmonary fibrosis
European Respiratory Journal 2018 52: 1800230;
DOI: 10.1183/13993003.00230-2018




Time to discontinuation (safety population): includes time to early discontinuation or study completion.

レミケード投与前QFTの意義

一つの潜在性結核感染の話題は
治療としてはINH6ヶ月投与が標準であるが代替的にRFP4ヶ月がある
RFP4ヶ月の非劣性報告がなされた( N Engl J Med 2018; 379:440-453 August 2, 2018)
である。


一方、潜在性結核感染症の判定について、「結核診療ガイド」(http://www.nankodo.co.jp/g/g9784524241453/)には、T-Spotなど施行あれば例え陰性でも主治医判断にて届け出可能と書かれている

"潜在性結核診断では届け出必須”であることもあり、主治医判断の重要性が増したと言える解釈である。

レミケードだけではないが、TNF関連Bio製剤など投与時、潜在性結核感染に関し配慮必要




レミケード投与前スクリーニング中QFT境界域検査後の結核

通常のQFTカットオフ値を 0.35 IU/mL (0.1未満を陰性と日本では・・・)



ツベルクリン反応陽性、QFT (TB1 0.11、TB2 0.22)にて境界の症例
レミケード使用後、発症という事例

Tuberculosis after a borderline QuantiFERON result during screening before infliximab
European Respiratory Journal 2018 52: 1800913;
DOI: 10.1183/13993003.00913-2018





日本ではBCG接種歴あり、TST判定困難だが、重視すべきなのだろう

2018年8月2日木曜日

エコーによる動的内因性陽圧呼気終末圧測定法

だれも興味無いだろうから夜中にアップ


A New Ultrasound Method for Estimating Dynamic Intrinsic Positive Airway Pressure: A Prospective Clinical Tria
AJRCCM Vol. 198, No.3 Aug 01. 2018l
https://doi.org/10.1164/rccm.201706-1292LE PubMed: 29558160

動的内因性陽圧呼気終末圧(PEEPi)は重要な病態生理学的指標で、人工呼吸下では外的PEEPセッティング上重要。現時点では、食道マノメトリーによる方法が確立しているが、超音波による測定があれば日々の診療に役立つ

PEEPiECOHエコー記録

PEEPi,Pdiの記録をバルーンカテーテル技術で、マウスピースからつないだpneumotachographにて気流測定
高周波リネア・プローブを第6〜第10肋間のへ置き、患者をsemi-recumbent positionで記録。平行部位を肋骨横隔膜洞下0.5-2cmで評価。B-モードで希望するwindowを捉えたら、modalityをB-modeにswitchして横隔膜がよく見えるようにする。吸気中分かれる2つの平行する線が見える。flowとPdiトレースをエコー・ドプラー機器へfeed-inする。横隔膜・肝臓interfaceでlinearからgranular patternへ微妙に変化するの横隔膜収縮開始時点で、Pdiトレース表示の評価として用い、横隔膜収縮開始時点と吸気開始時点の間のtime latency(msec) (TLAT,US) を測定、ベースラインからPdi上昇の開始からの吸気流量発症までのtime latency (TLAT,Pdi)を測定
PEEPi: PEEPiECHO= P0.1Mx(TLAT,US/100) 
P0.1M :100msでの口閉塞圧(吸気始動患者の努力指標) 










1A: Correlation using the linear mixed effect models with parallel lines fitted for each subjects, between TLAT,US= time latency between ultrasound diaphragm contraction and onset of inspiratory flow and TLAT,Pdi = time measured on the transdiaphragmatic pressure (Pdi) trace.
TLAT,US was quantified on ultrasound device, from the flow trace. It was measured exactly from the beginning of the ultrasound transition between the linear pattern and the
granular pattern of diaphragm-liver interface and the onset of the inspiratory flow, as directly visualized on the ultrasound.
TLAT,Pdi was calculated from the beginning of Pdi rise from baseline, until the onset of the inspiratory flow.
Tlat,Pdi was calculated with a with a dedicated program (Pulmolab), for the recording of respiratory mechanics, and obviously the ultrasound traces were not available.
Tlat,US was calculated through a dedicated Esaote dedicated software (DICOM), using only the ultrasound trace and the flow.

1B: Agreement between TLAT,US and TLAT,Pdi assessed by Bland and Altman plot with estimates for repeated measurements

1C: Correlation using the linear mixed effect models, with parallel lines fitted for each subjects, between PEEPi,Pdi = the value of Positive End-Expiratory Pressure using the transdiaphragmatic pressure (Pdi) and PEEPiECHO = P0.1Mx(TLAT,US/100), where P0.1M is the mouth occlusion pressure at 100ms and TLAT,US = time latency between ultrasound diaphragm contraction and onset of inspiratory flow

1D: Agreement between PEEPi,Pdi and a PEEPiECHO assessed by Bland and Altman plot with estimates for repeated measurements

COPDへのTargeted lung denervation (TLD) 治療 3年間効果続く

Targeted lung denervation (TLD) はCOPD患者への新しい気管支内視鏡治療法
2つの主気管支外側副交感神経を焼灼し、永続的気管支拡張効果をもたらす目的
実地可能性と長期安全性検討


Long-term safety of bilateral targeted lung denervation in patients with COPD
International Journal of COPD
Published 16 July 2018 Volume 2018:13 Pages 2163—2172
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S158748

15名、うち男性47%、年齢 63.2% ± 4.0歳 施行時間 89±16分、総投射時間 2.5±2.7分

プライマリ安全性エンドポイント(1年までのTLD直接関連COPD悪化の記載・持続的悪化がないこと)は100%
施行上の合併症なし
肺機能、運動耐容能にて気管支鏡無しのTLDは、長時間作用性気管支拡張剤と同様ベネフィット(30日、180日、365日、2年、3年時点)

フォローアップ3年間で12例の副事象イベント中5つは呼吸器系で、TLDと関連なし









FEV1、FVCへのTLD効果3年間持続するという・・・
加えて、副交感神経の根本を焼き切ったため炎症、喀痰関連遺伝子発現へ影響を与える()という・・・



LAMA不適応となる可能性のある有症状前立腺肥大や閉塞隅角緑内障などが良い適応か?
さらに吸入困難事例とか・・・


2018年8月1日水曜日

メトホルミン;心不全関連急性増悪リスク累積減少効果示せず

メトフォルミンの心不全へ累積的リスク減少効果あるのか?


既存心不全患者への血糖降下剤選択の重要性クローズアップされてきた昨今、
2型糖尿病患者において、欧米ではメトフォルミンが第1選択として用いられているが、時間推移で心不全へどのような影響を与えているか


time-varying cumulative historyのflexibly modelにて検証


このモデルだと、メトフォルミンの心不全への効果は否定的であった



Acute vs cumulative benefits of metformin use in patients with type 2 diabetes and heart failure
Diabetes, Obesity and Metabolism
First published: 23 June 2018 https://doi.org/10.1111/dom.13448




1)現行使用、2)過去の総投与期間、3)30日内、10日内使用
flexible 荷重累積暴露(WCE : weighted cumulative exposure)モデル

心不全発症 7,620名糖尿病患者解析
平均年齢 54(SD 8)、男性 58% (4,440)
メトフォルミン暴露 3,799、50%、 心不全入院発生 837 (11%)、平均フォロパップ期間1.7年間

通常モデルでは、10日間以内のメトフォルミン使用による急性ベネフィット (補正ハザード比 (aHR): 0.76, 95% CI: 0.60-0.97)
WCEモデルでは、でーたへのbetter fitないことよりsystematic effectが無いことを示唆(aHR: 0.91, 95% CI: 0.69- 1.20)




s心不全関連安全性懸念は、axagliptin(オングリザ)とalogliptin(ネシーナ)というDPP-4阻害剤のFDA警告(https://www.fda.gov/drugs/drugsafety/ucm486096.htm)など代表的

SGLT-2のひとり勝ち?



COPD:ニューロパチーという併存症

中枢神経、末梢神経とも神経障害をCOPDでは有意に認める



evaluation of central and peripheral neuropathy in patients with chronic obstructive pulmonary disease
International Journal of COPD 2018:13 1857–1862


COPD 41名と 対照 41名比較
平均年齢 61.8歳 罹病期間10.3歳 年齢、BMI、喫煙状態、生化学パラメータ差無し


視覚誘発電位(Visual evoked potentials, VEP)検査だと、対照群に比べ、患者群では、latency遅延、amplitude縮小



筋電図では、伝導速度、amplitueは全神経で患者群にて低下

同様、COPDでは、全ての神経のlatency値は高い






COPDの併発症は多く、QOL、生存率に関わる心血管疾患、骨粗鬆症、うつ、低栄養、メタボリックシンドローム、糖尿病、肺癌など。全身性炎症が疾患プロセスと関連するという報告もあり、非活発性、質の低い食事、低酸素、栄養などがあり、神経への悪影響を与える可能性有り。
脱髄かを伴う軸索喪失に伴う病理的特徴を有する感覚系主体の末梢神経障害が見られることが多く、COPD患者の末梢性ニューロパチーの存在として報告されてきた。





noteへ実験的移行

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