2013年5月29日水曜日

Q-SYMBIO 慢性心不全へのCoQ10サプリメント投与で、MACE発生率改善 :日本の保険適応の10倍量

医用としてのノイキノンは日本では、”基礎治療施行中の軽度・中等度のうっ血性心不全症状”に対し健保適応、ただ、その処方量は、ユビデカレノンとして10mg×3回

以下の治験ではその10倍量

Q-SYMBIO研究:小規模プラシーボ対照トライアル
オーストラリア・オーストリア、デンマーク、ハンガリー、インド、マレーシア、ポーランド、スロバキア、スウェーデンの17センター
420名の慢性心不全 NYHA II or IV、 多くは駆出率低下 平均 31%
平均年齢 62.3% 
CoQ10 100 mg × 3回/日 vs プラシーボ
プライマリ長期エンドポイントは、2年後心不全悪化計画外入院・心血管死・緊急心臓移植・人工呼吸必要、短期評価3ヶ月 
CoQ10投与にて、2年後重大副事象的心血管イベント率 14% vs 25%と減少 (ハザード率 2.0, 95% CI 1.3-3.2) 
3ヶ月後、NYHA分類改善比率は2群同等 CoQ10 44% vs プラシーボ 39% 
2年後、CoQ10似て改善比率有意増加 CoQ10 58% vs 45% p = 0.047 
全原因・心血管死亡率ともにサプリメント投与群で減少するが、副作用に関しては有意差無し

"The effects of coenzyme Q10 on morbidity and mortality in chronic heart failure: results from the Q-SYMBIO study"
Mortensen S, et al
HFC 2013; Abstract 440.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/HFC/39424


心不全への付加的治療となるか?大規模トライアルが必要。重症心不全患者の心筋組織サンプルでのCoQ10値低下し、血中濃度減少は心不全死亡率増加と相関した。より小規模トライアルでは心不全患者におけるCoQ10のベネフィットが示されているが、生存率への影響提示には検出パワー不足。

著者 Mortensen は、CoQ10により、class IVからIへの改善があり、MACEプライマリエンドポイントを加えると、全原因死亡率減少、心血管死亡減少有意となる ( 9% vs 17% p=0.03, 8% vs 15% p=0.02)と述べている。サブグループ横断的に一致したベネフィットである。

筆者は、CoQ10はOTCサプリメントとして利用可能だが、医師と相談の上使用すべきと述べている。確立した心不全治療薬との相互作用など不明。ただ、相互作用の可能性はかなり少ないだろうと筆者。

筆者:
"I do not recommend [that patients] buy and take this kind of supplement, but I'm not worried if the patients are impressed by the results and want to use this kind of approach," he said. "It is surely safe."


10倍量で治験するか、今の健保適応打ち切れば良いのに・・・

hCo-EMC → 中東呼吸器症候群(MERS) と 名称確定

WHOのdirector-generalである、Dr. Margaret Chanが、ジュネーブのスピーチで、"threat to be the world"と注意を呼びかける中で、SARS様新規コロナウィルスをMERS ( Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus ) との名称。

日本語では、「中東呼吸器症候群」・・・なんだかなぁ

Sixty-sixth World Health Assembly closes with concern over new global health threat
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2013/world_health_assembly_20130527/en/index.html


一施設名を呼称である、hCo-EMC(human coronavirus-Erasmus Medical Center)ってのはあんまりだと思っていたけど・・
 ↓
新型コロナウィルス:hCo-EMC             2015/03/14



追記 H25/05/30
Family Cluster of Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus Infections
Ziad A. Memish, et. al.
N Engl J Med. May 29, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1303729

中東呼吸器症候群コロナウィルス(MERS-CoV)と呼ばれる、ヒトコロナウィルスは2012年9月急性呼吸不全で死亡したサウジアラビア人からの試料で採取。これ以降、49名のMERS-CoV(それまでは新型コロナウィルスと呼ばれていた)による感染例 49名、死亡例 26名が報告されている。
このレポートでは、MERS-CoVの家族集積例で、臨床所見、治療アウトカム、高齢者死亡例入院後3名のMERS-CoV感染者と家庭内の関連報告。
他の24名の同居家族、124名の入院スタッフは発症せず。
動物のリザーバとしての役割が疑われるが、なにも見いだせず。一方、MERS-CoVの密接接触者への重大疾患原因となることに関して世界的関心が集まっている。



【中国】手足口病の一部に有効なワクチン 抗EV71ワクチン

enterovirus 71 (EV71)ワクチン

手足口病(HFMD: hand, foot and mouth disease)は、コクサッキーウィルス(CV-A16)やエンテロウィルス(EV071)などが原因

不活化alum-adjuvant EV71ワクチンの有効性に関わる、ランダム化二重盲験プラシーボ対照化第3相トライアル(6-35ヶ月齢)

10245名をワクチン 5120 vs プラシーボ 5125割り付け
 

Efficacy, safety, and immunology of an inactivated alum-adjuvant enterovirus 71 vaccine in children in China: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial
The Lancet, Early Online Publication, 29 May 2013
doi:10.1016/S0140-6736(13)61049-1

プライマリ有効性解析
4907名中 EV71関連HFMD  3、HFMD関連疾患 8
vs
4939名中 EV71関連HFMD 30、HFMD関連疾患 41
ワクチン有効性は、 EV71関連HFMD 90.0% (95% CI 67.1- 96.9)、 EV71関連疾患 80.4% (95% CI 58.2 - 90.8)
重篤な副作用は、ワクチン群 62/5117 (1.2%) vs プラシーボ群 75/5123(1.5%) (p=0·27)
副作用 3644 (71.2%) vs 3603 (70.3%) (p = 0.33)


このワクチン、ベネフィットは入院減少だが、ワクチン実用化の際、集団的にはどの程度のインパクトなのかが鍵となるだろう。

それにしても、プラシーボの副作用も多いが、ミョウバンアジュバントがそれほど副事象あるとは思えないのだが・・・



口蹄疫:foot-and-mouth diseaseと紛らわしい、手足口病: hand, foot and mouth disease

そういえば、Porcine Epidemic Diarrhea Virus (PEDV)という豚のみの感染症が北米で流行らしい
Insight: Pork industry hunts for deadly pig virus
http://www.reuters.com/article/2013/05/28/us-swine-virus-insight-idUSBRE94R0VD20130528
農業関係者は警戒が必要だろう

豚流行性下痢

ACOG推奨:妊娠糖尿病スクリーニング :一律、妊娠24-28週 75g糖負荷試験2時間値推奨(糖尿病既往を除き) 空腹時血糖、HbA1cなどの利用は推奨できず

無症候性妊娠糖尿病(gestational diabetes)について、妊娠24週以降篩い分けが行われるべき。現状でなされているリスクによる篩い分け検査では評価不能で、不十分との見解。

50gOGTTがなされているが、ADAからのガイドラインに類似し、糖尿病既往なし24-28週妊娠女性に 75gOGTTを用いた2時間値を、American College of Obstetricians and Gynecologists は、推奨

この推奨により、母子ともに中等度のネットベネフィットを少なくとも与えることになる。長期・メタボリック・ベネフィットは確実ではないが、出産前受診少ないほど有害性高いというエビデンスは少ないがある。妊娠期間比較低成長・新生児低血糖は多くはない、しかし、有意差を検出するほどのパワーはなく検出力不足であった。

治療文献レビューでは5つのRCT、6つのコホート研究を含む。様々な治療戦略間の明確な勝者を示すエビデンスなし。

経口糖負荷閾値 7.8の検査特性では、感度 70%-88%、特異度 69-89%
陽性尤度 2.6-6.5、 陰性尤度 0.16-0.33

閾値 130 mg/dLとすると、感度 88%-99%となるが、特異度 66-77%と低下
陽性尤度 2.7-4.2、 陰性尤度 0.02-0.14
 
空腹時血糖で、簡易・時間節約的代替法となることも示唆、その閾値は、85mg/dL
感度 87%だが、特異度は低く 52%、陽性尤度 1.8で、異常OGTT結果予測性としては十分ではなかった。

糖化ヘモグロビンもまた代替として考えられるが、他の検査よりその特性は優れていなかった。

代替的スクリーニングアプローチに関しエビデンスは不適当。故に、臨床実践としてこれら代替法は推奨せず

また、24週前の篩い分け検査に関してはデータ少なすぎる。


Screening Tests for Gestational Diabetes: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Lois Donovan, et. al.
Benefits and Harms of Treating Gestational Diabetes Mellitus: A Systematic Review and Meta-analysis for the U.S. Preventive Services Task Force and the National Institutes of Health Office of Medical Applications of ResearchAnn Intern Med. Published online 28 May 2013 doi:10.7326/0003-4819-159-2-201307160-00657


日本では、75g糖負荷試験推奨されている
http://www.dm-net.co.jp/jsdp/qa/c/q02/
これによると、
1)空腹時血糖 92mg/dL以上
2)1時間値 180mg/dL以上
3)2時間値 153mg/dL以上
の2ポイント以上が陽性の場合とさえる

故に、上記ACOG推奨とは異なるので、注意が必要。

【中国流行・薬剤無効株出現】新型インフルエンザA/H7N9 ・・・ タミフルなど抗ウィルス薬治療耐性

H7N9に関し抗ウィルス治療有効という情報で安堵していたが、そうでもないようだ。

ザナミビル(リレンザ)やオセルタミビル(タミフル)耐性株確認

Association between adverse clinical outcome in human disease caused by novel influenza A H7N9 virus and sustained viral shedding and emergence of antiviral resistance
Published Online
May 28, 2013 http://dx.doi.org/10.1016/ S0140-6736(13)61125-3
http://download.thelancet.com/flatcontentassets/pdfs/S0140673613611253.pdf
上海の臨床センター受診、インフルエンザ A/H7N9 14名
全員肺炎発症、人工呼吸必要 7名、ECOMO施行 3名、死亡 2名
生存11名は全員が、抗ウィルス薬による咽頭ぬぐい液ウィルス量減少確認
3名は抗ウィルス治療でもウィルス量持続、ECMO依存
ザナミビルやオセルタミビル耐性と関連するNA遺伝子Arg292Lys変異を2名で発見
うち一人は、野生型sequence Arg292が抗ウィルス治療後2日間観察、治療開始後9日で、抵抗性mutant Lys292出現。



インフルエンザA(H7N9)特集ページ
(感染症情報>疾患名で探す>インフルエンザA(H7N9))
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/3395-n7n9top.html

(大正富山製薬配布パンフから)
・現時点では、ヒト・ヒト感染は確認されないが、パンデミックになる可能性はゼロではない。
【ウィルス所見】
① ヒト分離株全てのPB2遺伝子:トリ体温(41℃)からほ乳類上気道体温(34度)に低下させる変異
② ヒト分離株全てのHA遺伝子:ヒト型レセプターへの結合能上昇させる変異
ヒト上気道に感染しやすく、また、増殖しやすいように変化している可能性を示唆
③ ヒト分離株のうちの1株(A/Shanghai/1/2013)のNA遺伝子:オセルタミビルおよびザナミビルに対する感受性低下の可能性
④ 解析全株M遺伝子:アマンタジン、リマンタジンに対して耐性
⑤ ヒト分離株・環境分離株から、
i) トリに対して低病原性で、家禽・野鳥に感染しても症状が出ない
ii) H7亜型では一般に豚でも不顕性
iii) 哺乳動物間で症状示さず伝播し、ヒトへの感染源となる可能性
感染源は、生きたトリを一般市民に販売する市場で売られている家禽

H7N9はH5N1より死亡率は低いもの(死亡率は現在20-25%)の、発熱例は著明な呼吸不全や全身感染の様相を呈して重篤な経過を辿る例がある。

AANエビデンスに基づくガイドライン要約:抗血栓治療の周術管理

【Mindsからのお知らせ】No.176 2013.5.29
今回以下の項目を公開いたしました。
 1.医療提供者向け診療ガイドライン: 『抗血栓薬服用者』
1.『抗血栓薬服用者』の医療提供者向け診療ガイドラインを公開しました。(2013/05/28)
■ 抗血栓薬服用者
 『抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン』
  【編集】日本消化器内視鏡学会
          抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン作成委員会
http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0143/G0000518
◎医療提供者向け診療ガイドライン公開のお知らせ◎
http://minds.jcqhc.or.jp/n/12/T001103
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上記ごときガイドライン公開がなされている。
例えば・・・





一方、American Academy of Neurologyの新しいガイドラインは、手術や他医療時、抗凝固治療を中断すべきかどうかの難しい問題について記載されているとのこと。
上記日本の消化器系ガイドラインとに、薬物代替の考え方に大きな違いがあるようだ。

Summary of evidence-based guideline: Periprocedural management of antithrombotic medications in patients with ischemic cerebrovascular disease.
Armstrong MJ, Gronseth G, Anderson DC, et al.
Neurology 2013; 80:2065-2069.



”インターベンション治療の前に抗凝固療法中止すべきか多くの文献を広くまとめたが、多くの研究はマイナーな処置、歯科・皮膚科などの処置であった。故に、マイナー処置に関しては、多くの場合アスピリン中止の必要性はないと考える。ワーファリンに関しても同様と考えられるが、ワーファリンに関しては研究少なく、十分な注意が必要。”

メジャーな処置においては、どの薬剤もエビデンス少なく、多くの医師はアスピリン・ワーファリン中止しているが、多くの状況、hip surgery以外はアスピリン継続が安全と考える。

"ガイドライン・リストでは、中止・継続に関するデータがある全ての処置に関して記載されている。"

"どの薬剤も作用機序が異なるため、他の血小板薬にアスピリンを置換、ワーファリンを他の抗凝固薬に置換することは現時点では考えにくい。"



ACCPによる同様ガイドライン
Executive Summary: Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians evidence-based clinical practice guidelines.
Guyatt GH, Akl EA, Crowther M, Gutterman DD, et al.
Chest 2012; DOI:10.1378/chest.11-2293. 

e.g.)
様々な状況下のアスピリン投与利益性・有害性
1000あたり
低・高心血管リスク 有益性 1-2 、有害性 1-2
本態性高血圧 有益性 1-2 、 有害性 1−2
慢性安定狭心症 有益性 10 、 有害性 1-2
心筋梗塞既往 有益性 20 、 有害性 1-2
不安定狭心症 有益性 50 、 有害性 1−2 
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=1159438
 

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