2014年1月31日金曜日

医者も、患者も、ドクター・ウィキペディアに相談 ;英語版に比べ、日本語版の貧弱さにも驚き

Doctor Googleから、Doctor Wikipedia・・・


Wikipediaのからくりから考えれば、誤謬性は不可避、信頼性も不確か。でも、米国医師たちの約半数がWikipedia情報を利用し、患者も診断後情報入手のため用いる。まれな疾患も閲覧される状況を生み出しているトップ100記事は平均年間190万回閲覧されている。


Doctor Wikipedia is top medical resource for patients and doctors
By Michelle Starr
January 31, 2014
http://www.cnet.com.au/doctor-wikipedia-is-top-medical-resource-for-patients-and-doctors-339346525.htm




上位トップ検索ページを、英語・日本語比較すると、その質量の差に驚く。


結核


クローン病

肺炎
多発性硬化症

糖尿病

痛風

髄膜炎

ダウン症

結核へのアクセス数比較


日本語版は、英語版の1/10強といったところか!




http://stats.grok.se/ja/201401/ダウン症 は1日50未満が多い。
一方、http://stats.grok.se/en/201401/Down_syndromeは、2桁違う!

これは、充実度が全然違うためだろう


ロシア人:ウォッカと超過死亡リスクの関連性

ロシアの成人は望外に死亡率が高い。ウォッカにより超過リスク原因として、事故・自殺・暴力といった外因死とアルコール関連性の高い内因性疾患(頭頸部・肝臓腫瘍、結核、肺炎、膵炎など)が考えられる。

冬季オリンピックが開かれ、注目が集まるロシア・・・重度飲酒の問題も注目


Alcohol and mortality in Russia: prospective observational study of 151 000 adults
Zaridze et al.
The Lancet, Early Online Publication, 31 January 2014
doi:10.1016/S0140-6736(13)62247-3


疾患既往無し喫煙男性、57,361名20年間推定死亡リスク
35-54歳
  • 週1ボトル未満 16%(95% CI, 15 - 17)
  • 週1-2ボトル 20% (18—22)
  • 週3ボトル以上 35% (31—39) ; trend p < 0·0001


55-74歳
  • 週1ボトル未満 50% (48—52)
  • 週1-2ボトル 54% (51—57
  • 週3ボトル以上 64% (59—69) ; trend p < 0·0001


両年齢群とも重度飲酒超過死亡は、8つの疾患と強く関連する


自己報告飲酒は変動性;週ウォッカ3ボトル以上数年後再インタビューでは1ボトル以上少なくなってたのが半数:185/321

そのような変動性は、この研究では、重度飲酒ハザードで減衰されるが、自己報告ウォッカ飲酒用でもその後のリスク推定能はやはり強力に残存する。

男性非喫煙・女性では、重度飲酒珍しく、絶対的超過リスクは同様のよう


ズブロッカ (*)、アブソルート (*)、ストリチナヤ (ウォッカ界の黒霧らしい)、バカルディスミノフスカイベルーガヴァンゴー ・・・ 唐辛子ウォッカ:ペルツォフカ


最重症COPDでも、少量オピオイドは安全に使用できる!

進行期COPD患者に対する緩和治療として、オピオイドが再考されている

ベンゾジアゼピン系や麻薬の添付文書には、「禁忌:重篤な呼吸抑制のある患者」と記載がある。

Review   
Palliation of dyspnoea in advanced COPD: revisiting a role for opioids 
Thorax 64:910-915 doi:10.1136/thx.2009.116699

最上位段階では、モルヒネ投与+不安緩和薬剤が推奨されているのである。


市井には、呼吸抑制があるんだから、モルヒネなどオピオイド使うのは危険という発想が根強くある。患者の症状緩和のため、これをたださなければならない。



Safety of benzodiazepines and opioids in very severe respiratory disease: national prospective study
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g445 (Published 30 January 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:g445


最重症COPD患者へのベンゾジアゼピン・オピオイド安全性評価
デザイン 住民ベース長軸連続コホート

セッティング スウェーデンでの長期酸素療法指示センター

患者 2249名COPD長期酸素療法、スエーデン(2005年から2009年、国内Swedevox Register)

主要アウトカム測定 年齢・性別・動脈血液ガス分析・BMI、パフォーマンス状態、入院歴、合併症、併用薬剤補正後ベンゾジアゼピン・オピオイドの入院・死亡への影響

結果 入院:1681 (76%) 、死亡 1129 (50%)
ベンゾジアゼピン・オピオイドは、入院増加と相関せず: ハザード比 0.98 (95% 信頼区間, 0.87 to 1.10) 、 0.98 (0.86 to 1.10)

ベンゾジアゼピンは、死亡率増加と相関 (1.21, 1.05 to 1.39) し、量依存的

オピオイドは、死亡率と量依存的に相関:
低用量オピオイド(モルヒネ換算30mg/日以下)なら、死亡率増加と相関せず (1.03, 0.84 to 1.26) 、高用量では相関 (1.21, 1.02 to 1.44)

ベンゾジアゼピン・オピオイド低用量同時投与も入院、死亡と相関せず (0.86, 0.53 to 1.42) or mortality (1.25, 0.78 to 1.99)

相関性は、薬剤、高炭酸ガス血症にnaiveであり、補正されず




結論 COPD患者において、オピオイド低用量は、入院・死亡リスク増加と関連せず、重度呼吸器系疾患自覚症状改善のため安全であろう



ところが、日本の実情は、非がんCOPD患者の呼吸困難を無視した薬事行政がなされている。患者会などが怒るべき状況なのだ。

担がん患者の呼吸困難治療プロセスでは、モルヒネ投与に、抗不安薬追加が示されている。http://www.jspm.ne.jp/gmeeting/peace3/M-6a.pdf

だが、健保病名適用を見ると・・・

オプソ:中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
モルヒネ注射液

1. 皮下及び静脈内投与の場合
(1) 激しい疼痛時における鎮痛・鎮静
(2) 激しい咳嗽発作における鎮咳
(3) 激しい下痢症状の改善及び手術後等の腸管蠕動運動の抑制
(4) 麻酔前投薬,麻酔の補助
(5) 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛 

 呼吸困難に対する適用は存在しない・・・日本の状況。


緩和ケアに、心不全、呼吸不全など内因性疾患を加えるべきだし、終末期ケアと考えられる症例はがんやHIVだけではないことを理解してない行政や施策立案者たちが悪性だ。

閉経後女性ホルモン投与緑内障リスク減少?

網膜ガングリオン細胞はエストロゲン受容体発現し、さらに、閉経後ホルモン投与と、眼球内圧減少の関連性が報告されていた。後顧的研究だと、エストロゲンを含む閉経後ホルモン投与にて、POAGリスク減少の可能性あり



The Potential Association Between Postmenopausal Hormone Use and Primary Open-Angle Glaucoma
Paula Anne Newman-Casey, et. al.
JAMA Ophthalmol. Published online January 30, 2014. doi:10.1001/jamaophthalmol.2013.7618

骨粗鬆症治療のブレイク・スルー?;Romosozumab:スクレロスチン・ヒト化モノクローナル抗体第2相治験

骨粗鬆症治療薬「フォルテオ皮下注キット600μg」(一般名:テリパラチド)は、recombinant parathyroid hormone (PTH [1-34]である。

国際的には、2002年骨粗鬆症治療として、2010年頃日本では上記薬剤として上梓されている。
Effect of Parathyroid Hormone (1-34) on Fractures and Bone Mineral Density in Postmenopausal Women with Osteoporosis
Robert M. Neer,  et. al.
N Engl J Med 2001; 344:1434-1441May 10, 2001


骨塩増加し、骨折リスク減少し、骨構造を改善・密とするアナボリック薬剤とされたが、安全性・有効性に疑問とされ、多薬剤の代替的使用に制限されている。ラットに於ける骨肉腫リスクと高コスト

McClungらの新レポートは、Romosozumabの第2相、多施設・ランダム化・プラシーボ対照化・平行群8グループ研究で、骨粗鬆症治療のブレイクスルーと解釈されるべき報告。

osteocyte-derived glycoproteinであるスクレロスチン:sclerostinへのヒト化モノクローナル抗体
Romosozumab in Postmenopausal Women with Low Bone Mineral Density
Michael R. McClung,  et. al.
N Engl J Med 2014; 370:412-420January 30, 2014
subcutaneous romosozumab 月1回 毎(at a dose of 70 mg, 140 mg, or 210 mg) or 3ヶ月1回毎 (140 mg or 210 mg)
vs 皮下プラシーボ あるいはオープンラベル active 比較子である経口アレンドロネート(70 mg/週1回) or 皮下teriparatide(20μg 連日

romosozumabは、腰椎骨塩増加と有意相関、210mg月1回投与 11.3%、プラシーボ - 0.1%、 アレンドロネート 4.1%、 テリパラチド 7.1%

romosuzumabは、総股部・代替頚部骨密度の骨塩大幅増加と相関し、骨形成マーカーのtransitory増加をもたらし、骨九州マーカーの持続的減少をもたらす。軽度、一般的非再発性注射部位反応が見られるが、副作用の群間差は同等。



ただ、1年以上投与した場合はどうか?脳神経麻痺、脊髄硬化などの骨合併症の可能性、治療反応性の変容は?他部位での骨密度の変化は?など多くの疑念は存在する。

2014年1月30日木曜日

肥満は、就学前に始まる;幼稚園未満での対策を!

肥満は、就学前に始まる

肥満発症は、5-14歳のそれより若年での発症が多い

序文を見ると、「6-11歳でのBMI95パーセンタイルは1963年-1965年 4.2%から1999年-2000年15.3%へ増加」と書かれている。

幼稚園児の体重過多とされる場合、その32%は肥満となる。正常体重幼稚園児に比べそのリスクは4倍。幼稚園時点未満での肥満対策が重要かもしれない。

Incidence of Childhood Obesity in the United States
Solveig A. Cunningham,  et. al.
N Engl J Med 2014; 370:403-411January 30, 2014
DOI: 10.1056/NEJMoa1309753






CDCのBMIパーセンタイル記載 figure 23, 24あたり
http://www.cdc.gov/growthcharts/2000growthchart-us.pdf

子供のBMIは、正規分布してない



TioSpirトライアル結果に有害性を示す部分がある:COPDスピリーバ・レスピマット有害性

Tiotropium Safety and Performance in Respimat (TIOSPIR) trial reported by Wise et al. (Oct. 17 issue)

スピリーバ・レスピマット安全性・パフォーマンス評価報告


これに呼応したブログ
【非劣性のお勉強】EBMの勉強テーマとしてのTioSpir試験:レスピマットは安全と評価されるのだろうか? 
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/11/ebmtiospir.html

TioSpir試験は実はなにも証明されてないのである


そして、これを改めて評価し、1日5μgと、致死性急性心筋梗塞との関連性が示されるとしたコレスポンデンス
 ↓

Tiotropium and the Risk of Death in COPD
N Engl J Med 2014; 370:480-483January 30, 2014
DOI: 10.1056/NEJMc1314411
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1314411

相対リスク 1.66 (1.02 - 13.1) p = 0.047







解説:Heart Attack Signal Found for Spiriva in COPD
Published: Jan 29, 2014 | Updated: Jan 29, 2014
http://www.medpagetoday.com/Pulmonology/SmokingCOPD/44040

閉経後女性ホルモン:高値 も低値も認知症リスク J字型 特に、糖尿病 ;女性ホルモン補充ドグマへの反証

ドグマ・ドグマと言ってる人ほど、ドグマにはまってるなぁと、以下の趣旨と関係ないことを書き込み


閉経後女性へのエストロゲン補充は認知症リスクを軽減するという根拠無きドグマへの反証

インチキドグマ→http://goo.gl/Lzhtcl

内因性エストラジオール(E2)の認知症への影響調査目的、そして、これらの関連性に血管疾患リスク要素・炎症性・凝固系マーカーが関連するか検討


結論から言えば、女性ホルモン濃度増加ほど、また低下ほど、認知症リスク増加する


E2濃度増加は、閉経後女性、特異糖尿病女性において認知症のリスク
5644名のFrench population-based prospective study (the Three-City Study)データ
補正Cox比例ハザードモデルにて、総E2と認知症リスクにはJ字型関連性あり (p = 0.001)
総E2値に於ける4分位最大vs最小は、それぞれ、認知症リスク増加関連性  (補正ハザード比 [HR] [95% 信頼区間] = 2.2 [1.1–4.5] 、 HR = 2.4 [1.2–5.2])

重要なのは、非糖尿病患者に比べ、E2値高値 は劇的にリスク関連性増加する (上位E24分位 補正 HR   = 14.2 [1.60–123] 、 HR = 3.4 [0.1–147],p interaction P < 0.05 )


同様な結果が、bioavailable-E2でも見られる

炎症、血中凝固マーカー補正後もこの結果に影響なし。総テストステロンでも相関性有意差なし


High plasma estradiol interacts with diabetes on risk of dementia in older postmenopausal women
Laure Carcaillon,
Neurology, Published online before print January 29, 2014, 
doi: 10.1212/WNL.0000000000000107 
Neurology 10.1212/WNL.0000000000000107

軽度認知障害(MCI)認識の重要性

軽度認知障害(MCI)から認知症への進行及び正常認知機能(CN)への回復率を前向き調査(n=634, 年齢 70歳)

フォローアップ期間中央値 5.1年間

MCIから認知症への進行: 千人年あたり 71.3
累積頻度1年間 5.4%、 2年間 16.1%、 3年間 23.4%、 4年間 31.1%、 5年間 42.5%
認知症リスクは、MCI症例では、CNより高リスク (hazard ratio [HR] 23.2, p < 0.001)
MCIの38%(n=201)はCNにrevertする(千人年あたり 175.0)
65%はMCI進行、認知症への移行し、NCに対するMCIにおけるMCI進行・認知症発症ハザード比は 6.6

reversionは、APO ε 4 alleleを保有する場合に減少  (HR 0.53, p < 0.001)し、
Clinical Dementia Rating Scale–Sum of Box高値  (HR 0.56, p < 0.001)、cognitive function悪い場合 (HR 0.56, p < 0.001)も減少。

物忘れMCIの場合、多ドメインMCIの場合もreversion少ない (HR 0.70, p = 0.02、HR 0.61, p = 0.003)

Higher risk of progression to dementia in mild cognitive impairment cases who revert to normal
Rosebud O. Roberts, et. al.
Neurology,    Published online before print December 18, 2013, 
doi: 10.1212/WNL.0000000000000055  10.1212/WNL.0000000000000055

テストステロンは心筋梗塞リスク増加する ;65歳以上及び心疾患保有者

テストステロン処方(n=55,593)の医療データベース解析

非致死性急性心筋梗塞への、テストステロン処方の影響、前後比較

高齢者(65歳以上)及び心疾患既往若年(65歳未満)では、テストステロン処方後心筋梗塞リスク増加する





Increased Risk of Non-Fatal Myocardial Infarction Following Testosterone Therapy Prescription in Men
William D. Finkle, et. al.
PLOSone Published: January 29, 2014
DOI: 10.1371/journal.pone.0085805

STAP: stimulus-triggered acquisition of pluripotency

記念書き込み

Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency
Haruko Obokata, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P. Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato & Charles A. Vacanti
Nature 505,  641–647 (30 January 2014)  doi:10.1038/nature12968


Acid bath offers easy path to stem cells
Just squeezing or bathing cells in acidic conditions can readily reprogram them into an embryonic state.
David Cyranoski 29 January 2014
http://www.nature.com/news/acid-bath-offers-easy-path-to-stem-cells-1.14600



UPDATE 1-Scientists hail breakthrough in embryonic-like stem cells
http://in.reuters.com/article/2014/01/29/health-stemcells-idINL5N0L32E220140129

科学ニュースとして、どこでもトップ記事


万能細胞:マウスで初の作製 簡単、がん化せず 「STAP細胞」命名−−理研など 毎日新聞弱酸性溶液に浸すだけで「万能細胞」作成に成功 NHK  ‎
iPS細胞より簡単に万能細胞作る方法発見(兵庫県) 日テレNEWS24
体のあらゆる組織に成長 万能細胞とは 日本経済新聞
理研、万能細胞を短期で作製 iPS細胞より簡単に 日本経済新聞 


NIPPON DATAのくだらない後解析ゆがんだ報告がトップにならなくて良かったわ

2014年1月29日水曜日

NIPPON DATA80:サブグループ解析を大げさに報道 ・・・ 魚と脳卒中リスク低下

サンプルサイズの割に、信頼区間や有意差確率はぎりぎり

だが、報道だと・・・
魚食べると脳卒中リスク低下」厚労省研究班が証明 1月29日 by NHK 

しかも、詳細、以下の論文とちょっと異なり、若年者だけ引き出して都合良いように報道(研究者側問題か、マスコミ側の問題か・・・)

で、教授様は、
「DHAなどの動脈硬化を抑える効果が、こうした結果につながったと思う。循環器病の予防には、魚介類中心の日本の食生活が有効だということが証明された」と話しています。



Long-chain n-3 polyunsaturated fatty acids intake and cardiovascular disease mortality risk in Japanese: A 24-year follow-up of NIPPON DATA80.
Miyagawa N, Miura K, et.al.; NIPPON DATA80 Research Group.
Atherosclerosis. 2014 Feb;232(2):384-9. 
doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2013.11.073. Epub 2013 Dec 17.


19万人年フォローアップ、24年間にて、879名の心血管死亡
長鎖n3脂肪酸1日あたり摂取量中央値は 0.37% kcal( 0.86g/日)

心血管疾患死亡率補正ハザード比は、最大4分位 vs 最小4分位比較で、 0.80; 95% CI, 0.66 - 0.96、 統計学的有意傾向 p=0.038

類似だが有意性をみとめない傾向が冠動脈疾患死亡・卒中死亡で観察

年齢群分析では、長鎖n3脂肪酸摂取量と、心血管疾患死亡・卒中死亡総数リスクと若年(30-59歳)で逆相関


まともなジャーナルなら、統計学的有意性のないことを上記表現することはまず無いだろう


自閉症と腸内細菌の関係

Microbiota modulate behavioral and physiological abnormalities associated with neurodevelopmental disorders.
Elaine Y. Hsiao, et al.
Cell 2013 Dec 19; 155:1451. (http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2013.11.024)

http://bms.ucsf.edu/sites/ucsf-bms.ixm.ca/files/20140130.montoya.misty_.pdf


 自閉症スペクトラム障害(ASD)を含む神経発達異常は、核となる行動異常により定義されるが、サブセットの中には、胃腸異常を示すスペクトラムを示す群もある。maternal immune activation (MIA) mouse model で、胃腸バリアの障害と微生物の変容が、ASDの特徴を示すことが示されている。MIA子孫へヒトの利共生性微生物であるBacterides fragilisは腸のpermeabilityと関連し、微生物代謝特性を変化させ、いくつかの代謝産物の量を変化させる。MIA増加し、B. fragilis保有し代謝物をもつnaive マウスは、特定の行動異常を示す。このことは、ホストのmetabolomeへの腸内細菌の影響が行動へ影響を与えることを示す。このgut-microbiome-brainコネクションASDマウスモデル知見から胃腸へのプロビオティック治療の可能性が示唆される。

- See more at: http://www.jwatch.org/na33305/2014/01/28/more-evidence-links-gut-microbiome-autism#sthash.4fGwrkm9.dpuf



過敏性腸症候群:第1選択治療? 低FODMAP食



FODMAPs (Fermentable, Oligo-, Di-, Monosaccharides, And Polyols)

- See more at: http://www.jwatch.org/na33303/2014/01/28/are-dietary-fodmaps-cause-irritable-bowel-syndrome?query=etoc_jwgenmed#sthash.rwfKbDL0.dpuf


The Low FODMAP Diet
(FODMAP=Fermentable Oligo-Di-Monosaccharides and Polyols)
http://stanfordhospital.org/digestivehealth/nutrition/DH-Low-FODMAP-Diet-Handout.pdf


The FODMAPs in the diet are:

  • Fructose (fruits, honey, high fructose corn syrup (HFCS), etc)
  • Lactose (dairy)
  • Fructans (wheat, onion, garlic, etc)(fructans are also known as inulin)
  • Galactans (beans, lentils, legumes such as soy, etc)
  • Polyols (sweeteners containing sorbitol,mannitol, xylitol, maltitol, stone fruits such as avocado, apricots, cherries, nectarines, peaches, plums, etc) 
これらの食品は、過剰摂取で、浸透圧が高く、消化・吸収されず、腸内細菌により発酵される。



A diet low in FODMAPs reduces symptoms of irritable bowel syndrome. Gastroenterology 2014 Jan; 146:67

IBS患者で、低FODMAPs食では、包括的胃腸症状スコア低下( 22.8 ; 95% 信頼区間[CI], 16.7 - 28.8 mm vs オーストラリア食 44.9; 95% CI, 36.6 - 53.1 mm ; p < 0.01)、患者習慣食に比べても低下。

IBS患者では、low-FODMAP食で、Bloating(鼓腸)、 pain(腹痛)、 passage of wind(おなら) とも対照より減少。


low-FODMAP食の間は、IBSサブタイプ全てで、便通満足度持続性が、高い。しかし、下痢主体IBSは便回数や、 King's Stool Chart score変化した。


対照化交叉試験にて、low-FODMAP食は効果的に機能的胃腸症状を改善する。
高品質エビデンスが示された。

Clinical Trial number: ACTRN12612001185853.


肺MAC症:マクロライド・アゾリド系長期治療の耐性問題なく微生物学的効果あり、しかし、再感染多い

日本の肺MAC症ガイドライン:肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012年改訂

ATS:非定型抗酸菌群


今思うに、HTLV-1関連肺疾患という中に、どれほどの、NTMDが存在してたのだろう。感染確率の多い地域でのNTMDをすべてこの疾患としている医師の一群がいたのではNTMDと、気管支拡張との関係、とくに気管支拡張性MAC症と、びまん性汎細気管支炎との関連性の記載はしっかりなされてるのだろうか?そういう思いをしながら診療をしている。


マクロライド系長期使用に関しては、びまん性汎細気管支炎症例でさえ無知の医師・薬剤師・保険者により邪魔されながら使用している。MAC症においても同様でガイドライン上のクラリスロマイシン600mgから800mg使用するとほぼ疑義照会がなされる。まぁセーフティーネットが効いてるといえるのだからそれは良いのだが、納得しないアホが時々・・。

MAC症やNTMDは、さほど珍しい疾患では無い。「肺が汚い」とか「拡張症」などと言われたり、肺がん検診でみつかることも多くなっている。遺伝子診断進化しており、診断機会が多くなってきている。だが、治療はというと・・・


Macrolide/Azalide Therapy for Nodular/Bronchiectatic: Mycobacterium avium Complex Lung Disease
Richard J. Wallace,  et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2538 


背景:  MAC肺疾患に関する現行治療ガイドラインが適切か否かの評価のための大規模研究はない。結節性/気管支拡張性(NB)MAC肺疾患へのマクロライド/azalide系を含むレジメン評価後顧的単施設レビュー

方法:  微生物の反応評価を行う現代のガイドラインに従い治療
MAC分離株へのマクロライド感受性を、治療開始時、治療6-12ヶ月後、初回微生物学的再発時評価する。微生物学的再発分離株をオリジナルな菌株と比較してgenotypingを行う。

結果:  180名をマクロライド/azalide系 12ヶ月超治療施行。喀痰培養陰性への喀痰治療効果 86%(154/180名)。
クラリスロマイシン、アジスロマイシン間に反応の差認めず
連日治療で、間欠治療より、治療レジメン修正が多い(daily 24/30 (80%) vs intermittent 2/180 (1%) therapy (p = 0.0001)
治療期間中マクロライド抵抗性発生は無い
治療中微生物学的再発は14%、 MAC再感染 73%、真の再発 27%(p = 0.03)
包括的には、治療成功、すなわち、喀痰conversion(真の微生物学的再発無し)は、84%。微生物学的再発は治療完遂後74/155(48%)。再感染分離株は75%、真の再発は25%。


結論:  非結核性MAC肺疾患に対するマクロライド系・アゾリド系治現行療ガイドラインは、多くの患者では、微生物学的アウトカム良好な結果で、しかも、マクロライド抵抗性促進は認めない。間欠治療が連日治療より、より有効で、耐用性良好という有意な結果。
治療期間中・治療後微生物学的再発は多く、多くは真の再発で歯内が、MAC genetype群の別の再感染が多い。

COPDと鼻症状:頻度多く、QOLに影響

Association of chronic nasal symptoms with dyspnoea and quality-of-life impairment in chronic obstructive pulmonary disease,
Denis Caillaud, et. al.
Respirology DOI: 10.1111/resp.12224

COPD 274名中115名 42%で、CNS(慢性鼻症状:chronic nasal symptom)
うち、鼻漏、鼻閉は62%、 43%。


多変量解析では、慢性鼻症状は、呼吸困難スコア:SGRQ総スコア高値と相関し、QoL悪化と関連する(P = 0.01)


さらに、労作性呼吸困難指数 mMRCも独立して慢性鼻症状と関連する。


リスクの中で、喫煙累積量、花粉症・アトピー性皮膚炎が、慢性鼻症状と相関するが、職業的暴露は相関せず


肺がん早期診断にもVOC呼気試験

specific volatile organic compounds (VOCs)呼気試験・マススペクトロメータの開発が盛ん。

mass spectrometerと分析マイクロプロセッサを用いる手法で、肺結節・腫瘤影の95%を予測し、非増加所見で良性腫瘍を80%予測するという報告


50th Annual Meeting of The Society of Thoracic Surgeonsで報告された研究
http://www.medicalnewstoday.com/articles/271813.php
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/01/140128094145.htm
http://www.seniorjournal.com/NEWS/Health/2014/20140128_Early_Detection_of_Lung_Cancer_Made_From_Exhaled_Breath.htm


一方、日本では犬を集めて研究・・・

2014年1月28日火曜日

腹部超音波:腹部大動脈瘤検診 ・・・ 破裂予防・関連死減少効果

腹部大動脈瘤(AAA)に関する検診ルーチン1回を65−70歳、喫煙既往歴ありを対象とする。
U.S. Preventive Services Task Force
http://www.uspreventiveservicestaskforce.org/tfcomment.htm





住民ベースのRCT長期フォローアップにて、AAA 3cm以上の検診にて、65歳以上のAAA関連死亡率減少が報告されている

65歳以上の男性に対し、AAA1回の検診で、AAA破裂とAAA関連死亡率減少効果が示されたが、総死亡率への影響は少ない。
13万7千名超の4つのRCTレビューにて、65歳以上の男性において、AAA破裂・AAA関連死亡率、10から15年間での減少効果しめされたが、全原因死亡率10から15年間では統計学的有意性示せなかった。
検診は、包括的・待機的手術増加と相関、緊急手術減少、30日手術死亡率低下が10から15年フォローアップで示された。
1つのRCT(9342名の女性)では、検診ではAAA関連、全原因死亡率低下に関するベネフィット示せなかった。

Ultrasonography Screening for Abdominal Aortic Aneurysms: A Systematic Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Janelle M.  et. al.
Ann Intern Med. Published online 28 January 2014
doi:10.7326/M13-1844





米国:銃による暴力:毎年子供の犠牲者1万名超

アメリカ人の発想はよくわからない・・・憲法に規定されてる、銃所持の権利。


毎年1万名の子供が傷つき、殺されてるというのに・・・

銃暴力により、7千名超の入院・死亡してるが、入院前死亡判断3千名を追加すると、1万名の被害者ということになる。

Nearly 10,000 American children are injured or killed by guns every year
http://www.nbcnews.com/health/guns-hurt-or-kill-10-000-children-us-each-year-2D11997891?ocid=twitter

日本の平成25年度子供白書によると、事故・交通事故被害者は、東日本大震災をのぞけば、3千名以下、殺人被害者はほとんど統計にならない

殺虫剤DDT:アルツハイマー型認知症発症関連性密、APOE4alleleリスク状態でさらに影響受ける

DDE(Dichlorodiphenyldichloroethylene )は、殺虫剤DDT(dichlorodiphenyltrichloroethane ) 代謝産物
その血中濃度とアルツハイマー型認知症AD)との関連性 を評価したもの。

血中DDE濃度はアルツハイマー型認知症発症リスクと相関し、APOE4 ε4 alleleキャリアではその発症感受性かなり高くなる。メカニズム考察として、神経芽細胞への蓄積し影響が示唆された。

Elevated Serum Pesticide Levels and Risk for Alzheimer Disease
Jason R.  et. al.
JAMA Neurol. Published online January 27, 2014. doi:10.1001/jamaneurol.2013.6030

症例対象研究:AD症例 86 vs 対照 79
主要アウトカム測定:血中DDE濃度、AD診断、AD重症度(MMSEスコア)、それとAPOE genotypeとの関連性

DDE濃度は、AD vs 対照 3.8倍 D (mean [SEM], 2.64 [0.35] ng/mg cholesterol) vs mean [SEM], 0.69 [0.1] ng/mg cholesterol; P < .001)

DDE最大3分位で、ADリスクオッズ比 4.18  (95% CI, 2.54-5.82; P < .001) 、 Mini-Mental State Examination score低値 (−1.605; range, −3.095 to −0.114; P < .0001)

DDE最大3分位のMMSEスコアは、APOE ε 4 allele保有サブグループで低値 vs APOE ε3 allele (P interaction = .04)

血中DDE濃度は、脳内のDDEレベル高値と高度相関 (ρ = 0.95)

ヒト神経芽細胞へのDDT、DDE暴露は、アミロイド前駆蛋白濃度増加をもたらす


1943年頃のDDT大量生産化と、マラリア撲滅の成功

日本は太平洋戦争まっただ中で、日本普及が一部しか無かったことは幸い。それでも、のみ・しらみ対策でDDTのシャワーを戦後あびた日本人は多いだろうが・・・

米国などは大量に散布されていた。1980年までそれは続いてたわけで・・・そりゃ、深刻だろう。

http://nouyaku.net/tishiki/REKISHI/reki2.html
使用開始から30年の間に全世界で300万トン以上に及ぶDDTが散布されたと推定されます。地球表面全てがうっすらと白くなるほどの量だそうです。
「日本では昆虫の撲滅を目的としたアメリカのような大量散布は行われていませんでしたが、サイレントスプリングは「沈黙の春」と和訳され、やはり大きな話題となります。殺虫剤の使用方法の違いなどはあまり考えられることもなく、DDTが悪いという風に話が単純化されてしまったようです。そのせいか、世界の中でも先陣を切って1969年には稲作への使用禁止を指示、1971年には全面的な販売停止となりました。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/DDT
製造特許を持つガイギー社は、製品の海外輸出を禁じていた。アメリカから日本に輸出されたものは、連合軍からの援助として特別に許されたものであった。そのため、日本の農薬会社の関心は、次第にBHC(ベンゼンヘキサクロリド)に向けられていったのである。
2007年現在で主に製造している国は中国とインドで、主に発展途上国に輸出されマラリア対策に使われている。農薬としても一部では使用されており、残留農薬となったDDTが問題になることもある。
DDTの分解物のDDE、DDAは非常に安定しており分解しにくく環境中に長く留まり影響を与える可能性があり、また食物連鎖を通じて生体濃縮されることがわかった。

Chronic Care Model:青年期喘息管理 ・・・ 理想型へ進歩

看護師(NP、高級NP)主導慢性疾患管理モデル

Chronic Care Model :患者へ影響を与え、その相互作用により、補正継続を行う医療モデル
http://www.improvingchroniccare.org/index.php?p=The_%20Chronic_Care_Model&s=2
フレームワークとして個別・住民レベル両者あり、相互関係が必要で、最適化システム。

青年期喘息を、この枠組みで評価

Improving Outcomes for Underserved Adolescents With Asthma


至適well-controlled asthma比率は、ほぼ10%から30%まで増加。

エビデンスに基づくケア・バンドル(カルテ記載の病状/重症度、持続性喘息では直近受診時アクションプランとコントローラー薬剤使用)は、38%からほぼ100%へ増加。

自己管理バンドル(患者自己評価、stage-of-readiness tool、個別アクションプラン)必要な患者の実際の受療比率は0%から90%未満へ増加

喘息管理能力確実な患者・両親比率も70%からほぼ85%まで増加。

患者満足度、喘息関連ED受診・入院患者比率平均は良好状態安定


あらゆる慢性疾患は、個別医師レベルのスキルアップも大事だけど、結局は、疾患管理モデルが重要。包括的なコストと効率を考えれば、一定プロトコールによる個別レベルと住民レベルの管理モデルが必要なのだろう。
先日あったCKD管理の勉強会で、「専門医はまれな疾患にしか興味なく、住民レベルでの透析導入率減少に果たして役立つかという自問は全くしてない」という印象を個人的に持った。専門医=慢性疾患管理専門家ではない!としみじみ感じた。行政側もじれったいと感じるだろうなぁと。

良いやつも悪く変わる:善玉コレステロールも動脈硬化血管で血管閉塞させる


HDLと、その主要構造蛋白 apoA1は、ヒト動脈硬化・機能障害を改善しする。ミエロペルオキシダーゼ(MPO)は、apo A-1のコレステロール引き出し能(cholesterol acceptor function)を減弱する。HDLの抗酸化に重要な役割を果たすパラオキソナーゼ1(PON1)とともに機序が注目されている。

Cleaveland Clinicのチームは、 HDLコレステロールも血管閉塞につながりかねない異常を示すことを見いだした。
HDL数を激増させるブースティングだとかえって合併症増加につながる可能性があると研究者ら・・・


An abundant dysfunctional apolipoprotein A1 in human atheroma
Ying Huang, et. al.
Nature Medicine (2014) doi:10.1038/nm.3459
phage display affinity maturationを用い、high-affinity monoclonal antibodyを作成、これで、MPO-H2O2-CLシステムによる就職された apoA1とHDLを特異的に識別 
ApoA1のTrp72部位2-OH-Trp(oxidolyl anlanine) moetyが免疫原性epitopeである。mutagenesis研究にて、in vitro、in vivo上、MPO-介在性の抑制的働きが明らかになった。それは、apoA1の、ATP結合カセットトランスポーターア1(ABCA1)依存的なコレステロール受容体活性への抑制である。

2-OH-Trp72群を含むApoA1(OxTrp72-apoA1)は、循環血中内には少ないが、動脈硬化存在下血管のapoA1の20%ほどにあたる。OxTrp72-apoA1は、ヒト・アテローマ及び血液中から回収される分はlipid poorで、バーチャルにコレステロール受容体活性欠如し、血管内皮細胞の催炎症性活性及び、HDL biogenesis 活性障害を in vivoで示す。


心臓クリニック患者(n=627)のoxTrp 72-apoA1増加は、心血管疾患リスク増加と相関
循環血中oxTrp72-apoA1値は、動脈壁の催炎症性プロセスのモニター法として役立つ



様々な要素をもつ自然・人工物や動物などを、善玉、悪玉と自分の都合で2分する所業・・・下らなさすぎる。日本人が最初に言いはじめたと威張ってる馬鹿がNHKに居たけど、歌舞伎や水戸黄門に毒され過ぎだわ・・・日本人。
http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/149918.html


まねして、擬人化すれば、「善人が100人集まると、うち、2割が悪く変わる」働きアリの世界で、1−3割は働かなくなる(働かないアリに意義がある: 1 (メディアファクトリー新書) [Kindle版])そうだが、だれかが、また擬人化する・・・

まぁわかりやすくはあるが、擬人かは誤解を誘導するリスクも存在する。


透析・心房細動:ワルファリン卒中予防効果認めず、出血リスク増加のみ

Journal Scan Summary
Title: Warfarin Use and the Risk for Stroke and Bleeding in Patients With Atrial Fibrillation Undergoing Dialysis
Date Posted:   January 24, 2014
Authors: Shah M, Tsadok MA, Jackevicius CA, et al.
http://goo.gl/qRshcv

心房細動透析患者で、ワルファリン使用は、卒中リスクを減らすことがしめせてないどころか、出血リスクが高い。

2014年1月27日月曜日

若いがん患者のミュージックビデオ作成は有益

11-24歳の患者グループで、ミュージックビデオを3週間かけて作成。回復力、家族・友人との関わり改善。 ミュージック・テラピストがガイドし、何が重要か、如何にアイディアを伝えるかをはっきりさせた。家族・友人と video premiereに招待。



Making music videos 'helps young cancer patients cope'
http://www.bbc.co.uk/news/health-25878958



日本ではJasracが邪魔するだろうなぁ

院外処方という仕組みの限界?

 吸入指導に関しては当方の看護師も指導しますと、薬剤師が不慣れもしくは熱心ではない調剤薬局も存在するので、かねてから、そのように患者に説明している。

 問題のその調剤薬局は当該門前医療機関が呼吸器疾患を意識しない施設であるためか、吸入指導になれてない。
 ある患者に、当方、最近発売になった吸入薬剤を処方。その患者はその処方箋をその薬局に持っていった。そこの薬剤師は、その新薬吸入薬剤の悪口を処方時患者にたくさん告げ、さらに、ご丁寧に添付文書上副作用項目を目立つよう赤印をつけ、利益性より副作用を強調した。
 患者のCOPD状況が退院後間もなく不安定ということもあり、必ずしも調子が良いとは言えなかった。薬剤師の説明もあり、新規薬剤のせいでわるいのだと判断、その薬剤を1−2回使用しただけで使用をやめた。
 さらに患者はその調剤薬局に不具合を相談。調剤薬局では調子が悪いのはその薬剤による副作用と決めつけ、ビタミン剤を勧められ購入させられ、さらに、当方に薬剤変更をしてもらってこいと患者に指示、当院に再診となった。


 薬剤に不慣れという理由、今後も取り扱い少ないだろうという経済的理由もあり、このような対応をとったのだろうと邪推している。


 ビタミン剤を売りつけ、薬剤師や調剤薬剤に都合の良いように処方変更を強要する制度になっているのだ。


インフルエンザや上気道感染患者に、「ハロゲン系」のグッズを売りつけるケースも増大している。喘息患者や気道疾患患者に売りつけている薬局に殴り込みにいきたい衝動に駆られる。

皮膚やけど問題だけじゃなく、気道へのirritantantって薬剤師ならわかってるはずなのに・・・
http://blog.goo.ne.jp/lynmiu_2011/e/d8673868612f9cc4fecc52f84581ee96

重症心不全予後:4変数リスクモデル

Four-Variable Risk Model in Men and Women with Heart Failure
Jennifer Chyu, et. al.
CIRCHEARTFAILURE.113.000404 Published online before print November 26, 2013, doi: 10.1161/​CIRCHEARTFAILURE.113.000404 

  • BNP
  • pkVO2
  • NYHA分類
  • ACEI/ARB使用

卒中:近赤外線治療トライアル失敗 ・・・こっそりと関連会社倒産

トライアルも、製品上梓できなければ、そのコスト回収できず、ネガティブな結果は公表されない。これもトライアル結果のバイアスの元となる。


MedPage: http://www.medpagetoday.com/Neurology/GeneralNeurology/43985

赤外線治療:Infrared light therapyってのは、合法・非合法問わず、日本で普及してしまっている。米国では近赤外線レーザー治療(NILT)が市販化され、カイロプラクティックで用いられている。しかしながら、エビデンスはほぼin vitroデータに限定され、臨床的エビデンスは極めて乏しい。可視領域近傍の 700-nm付近波長電磁波照射は多く試みられてきた。熱産生だけでなく、ミトコンドリアのATP合成、脳内ニューロンのエネルギー代謝への障害へのカウンターパートを狙った治療法である。

経頭蓋近赤外線レーザー治療の2つの大規模治験、虚血性卒中へのトライアルは失敗のうち終わり、スポンサーは倒産。

NEST-1という最初のpII研究は、急性虚血性卒中24時間内を対照にして、機能測定改善(mRankinスコア改善 59% vs 44%)

さらにpIIIトライアル、NEST-II開始し、2年後mRaskinスコア改善、1千名ほどを対象に治験開始。PhotoThera社のコンサルタントである、Lapchakは、トライアルの無益性で断念とした。

 
遠赤外線治療は、筋骨格系疼痛に対し、熱源として、そのの適用承認されている。いわゆる一時しのぎの疼痛効果のみが認められている訳だ。ところが、非疼痛症状への効果を詠い、利用者・患者をだます使い方を行っている臨床医やカイロプラクティックが存在する。非合法的とも一部では考えられる。アルツハイマー、脳外傷、パーキンソン、認知症などへの治療とさえ述べてるベンダーも存在する。


理学療法を英語変換すれば、physical therapy
物理療法を英語変換すれば、physical therapy
物理療法をwiki検索すれば、「物理的方法で治療を行う理学療法の一種」と書かれる。
その物理療法の一つに、温熱療法が存在し、「鎮痛効果・回復効果」とある
「回復効果」のエビデンス示せないのに、温熱療法に回復効果が存在すると記載するのは詐欺・・・


Point of Care Ultrasound

How Relevant Is Point-of-Care Ultrasound in LMIC?
http://www.worldheart.org/fileadmin/user_upload/documents/Publications/1_How-Relevant-Is-.pdf




Vscan :確かに小さい、前々世代のスペックの超音波なのに100万円以上か・・・病棟周りや往診・救急向けかな、ambulantな外来ではフルスペックエコーの方が良いわけだし。

http://www3.gehealthcare.co.jp/~/media/Downloads/JP/Products/Categories/Ultrasound/Vscan/Vscan12catalog.pdf

http://www3.gehealthcare.co.jp/ja-JP/Products/Categories/Ultrasound/Vscan#tabs/tab51DAE6E2B0DD4E52B195F1F79BD94070

 

2014年1月25日土曜日

実験的ライノウィルス感染:喘息気道上皮炎症と疾患重症度との関連性

ライノウィルスは普通感冒の3-4割の原因(The Lancet, Volume 361, Issue 9351, Pages 51 - 59, 4 January 2003)

片方では、喘息の悪化要因の一つが、風邪引き。

ライノウィルスによる喘息急性増悪における、気道粘膜炎症及び生理学的/炎症の重要性は不明だったため、実験モデルで気道粘膜炎症反応やその役割を研究とのこと


10名の喘息、15名の健常者に、実験的にライノウィルス感染を生じさせ検討。

正常者と比較し、喘息患者において、ライノウィルスは気管支上皮粘膜好中球を誘導し、さらに重度の単球/マクロファージ炎症を生じる。感染中気道好中球、好酸球、T/Bリンパ球は、何れも、ウィルス負荷量、生理学的・臨床的重症度と相関するが、マスト細胞がより肺機能と関連する。

Airway inflammation and illness severity in response to experimental rhinovirus infection in asthma
Jie Zhu ,et. al.
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-1567 

喘息患者だけで、ベースラインに比較し、ウィルス感染により有意に上皮・上皮下の好中球増加(P = 0.005、 0.017)

喘息・正常者ともに上皮下CD68+ マクロファージ増加(P = 0.009、 0.018)
しかし、より喘息患者の方がその数が多い(P = 0.021)

感染後4日目のCD45+、CD68+、CD20+細胞数、好中球、好酸球数は、ウィルス負荷量と正相関(r=0.50-0.72, P=0.016-0.03)

喘息患者において、急性感染時、CD4+細胞数は、胸部症状スコアと相関(r = 0.69、 p = 0.029)、 PC10低下は好中球数に相関 (r=-0.89, P=0.029)
さらに、PC10低下は、 CD4+ 、CD8+細胞と逆相関 (r=-0.67, P=0.023、r=-0.65, P=0.03)
PC20 は、CD20+細胞と逆相関 (r=-0.65, P=0.03)

上皮CD8+細胞数 はFEV1最大低下量とかなり有意相関  (r=-0.72, P=0.03)

上皮下マスト細胞多いほど、最大PEF低下比率と相関  (r=0.8, P=0.024)



抗インフルエンザ薬:授乳の影響に関して

薬剤授乳移行性について


LactMed Database
http://toxnet.nlm.nih.gov/cgi-bin/sis/search

授乳中女性に関わる薬剤のpeer-reviewed and fully referenced database




リレンザに関しては情報有りますが、イナビルに関しては情報有りません。



ちなみに、米国小児学会雑誌・Pediatrics誌に、その当時のupdate記事掲載

The Transfer of Drugs and Therapeutics Into Human Breast Milk: An Update on Selected Topics
Pediatrics 2013;132:e796–e809


2014年1月24日金曜日

ビタミンD:一般住民での健康効果認めず

エビデンス・ヒエラルキーを知らないと、何もかもが混乱し、科学なんて何も信じられないというニヒリストとなってしまう、ビタミンDサプリメントに有益性無しというのを前提として話を進めるべきだろう。


ビタミンDは、疾患予防に有益性さほど認めない

40のRCT解析、一般住民において、心疾患・卒中・がん・骨折予防効果は、あったとしてもわずか。カルシウム服用有無は、futility threshold(無益閾値)未満。ビタミンD低下は、疾患の原因と言うより結果と考えられる。

The effect of vitamin D supplementation on skeletal, vascular, or cancer outcomes: a trial sequential meta-analysis
Dr Mark J Bolland .et. al.
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 24 January 2014
doi:10.1016/S2213-8587(13)70212-2


ビタミンDサプリメント(カルシウム有無問わず)推定効果
・心筋梗塞 or 虚血性心疾患 (9トライアル, 48 647 患者)
・卒中 or 脳血管疾患 (8トライアル 46 431 患者)
・がん (7トライアル, 48 167 患者)
・全骨折 (22 トライアル, 76 497 患者)
ビタミンDサプリメントは、15%以上のエンドポイント相対リスクを凌駕することのない無益性境界域内

ビタミンDサプリメント単独では、骨折減少15%に到達せず (12 trials, 27 834 patients)

ビタミンD/カルシウム併用では、施設入所状況での骨折減少 (2トライアル, 3853 患者) するも、一般住民環境中では15%の相対リスク凌駕しない (7トライアル, 46 237 患者)

ビタミンD(カルシウム使用有無両方)で、死亡リスク減少不明確 (38 トライアル, 81 173)



ワルファリン:日常臨床での抗生剤との相互作用

急性上気道感染は、抗生剤投与と独立して、ワルファリンによる抗凝固過剰リスク超過増加する。抗生剤もまた、そのリスク増加させるが、INRフォロー抗生剤暴露・急性上気道感染での臨床的に明らかなリスク超過を認めない。


Warfarin Interactions With Antibiotics in the Ambulatory Care Setting
Nathan P. Clark, Pharm, et. al.
for the Warfarin-Associated Research Projects and Other Endeavors Consortium
JAMA Intern Med. Published online January 20, 2014. doi:10.1001/jamainternmed.2013.13957


抗生剤ではINRは比較的安定しているが、リアルワールドなワルファリン投与、すなわち、症例報告や健康ボランティアでは、急性疾患などの関与は不明

後顧的長軸コホート研究

INR 5以上は、抗生剤 3.2%、疾患悪化状態 2.6%、安定状態 1.2%
がん診断、INRベースライン増加、女性がINRベースライン増加 5以上の寄与要素
抗生剤のうち、ワーファリン対処に関連する場合がもっともINR 5以上が多かった





PM2.5/PM10と冠動脈性心疾患 :欧州許容濃度未満でも関連性

10万名住民11.5年間平均フォローアップ・European Study of Cohorts for Air Pollution Effects (ESCAPE)の11コホート(フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、イタリア)

PM長期暴露は、冠動脈イベント増加と相関し、その相関はヨーロッパ許容限界未満では認められる。
5157名のインシデント

推定年間平均PM2.5 5μg/m3増加毎、冠動脈イベント 13%増加 (ハザード比 1.13, 95% 信頼区間 0.98 to 1.30)
推定年間平均PM10 10 μg/m3増加毎、冠動脈イベント 12%増加  (1.12, 1.01 to 1.25)
コホート毎heterogeneityエビデンス認めず

現行年次ヨーロッパ許容値以下である 25μg/m3で、陽性相関 (1.18, 1.01 to 1.39, for 5 μg/m3 increase in PM2.5)、PM10 40 μg/m3でも同様(1.12, 1.00 to 1.27, for 10 μg/m3 increase in PM10)

陽性だが非有意相関性が他の大気汚染でも認められる


Long term exposure to ambient air pollution and incidence of acute coronary events: prospective cohort study and meta-analysis in 11 European cohorts from the ESCAPE Project
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f7412 (Published 21 January 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:f7412

出生後母体ストレス→子供の精神疾患関与

妊娠前6ヶ月あるいは妊娠中、母体の重度悲嘆的ストレス暴露から生まれた子供、1,045,336の出産コホート

主要アウトカムは、全ての精神疾患、非感情障害性精神疾患・感情障害性精神疾患の粗・補正オッズ比

修正前は関係しないが、出生後の母体ストレスは、その子供の精神疾患増加と相関する。リスクは、核家族内自殺後、感情障害精神疾患で特に高い。家族内精神病病歴によりその影響は説明できる状況にない。疾患脆弱性の子供・家族をサポートするための、リスク及び病態抵抗性要素理解が急務。

Severe bereavement stress during the prenatal and childhood periods and risk of psychosis in later life: population based cohort study
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f7679 (Published 21 January 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:f7679

母体悲嘆的ストレスは、その子供の性心疾患超過リスクと有意な関連性認めず (補正オッズ比, preconception 1.24, 95% 信頼区間 0.96 to 1.62; first trimester 0.95, 0.58 to1.56; second trimester 0.79, 0.46 to 1.33; third trimester 1.14, 0.78 to 1.66)

誕生から思春期までの緊密な家族を失った後のリスクは増加(補正オッズ比 1.17, 1.04 to 1.32)

リスクのパターンは、非感情障害性・感情障害性性心疾患で同様。

これは、近縁でない家族と比べ、核家族内での死亡後リスク増加するも、出生前ストレス暴露では有意でない。そして、核家族内死亡暴露が早期ほど、子供の精神疾患発生リスクが高い。 (精神病全て: 補正オッズ比, 誕生まで 2.9 年間 1.84, 1.41 to 2.41; 3-6.9 年間 1.47, 1.16 to 1.85; 7-12.9 年間 1.32, 1.10 to 1.58)


自殺発生後、特に感情障害精神疾患でリスク増加 (誕生まで2.9年間 3.33, 2.00 to 5.56; 6.9 年間 1.84, 1.04 to 3.25; 7-12.9 年間 2.68, 1.84 to 3.92)

キーとなる寄与要素補正後リスク減少するが、リスクの関連性説明とはならない




”4−メチルイミダゾール:ペプシ・着色料による発がん性”と炎上誘発活動:メディアと団体

4-Methylimidazole

ペプシなどのキャラメルソーダ着色として用いられている。
コンシューマ・レポートでそのリスク啓発

カリフォルニアでは、29mg以上なら発がん性表記義務づけされてるため、地域で異なる含有量となっている


日本消費者連盟→ジョーのコーラは大ジョー夫?——コーラのカラメル色素「4-メチルイミダゾール」について消費者庁等に調査を要請
http://nishoren.net/safety/2587

国名
含有量
アメリカ
(カリフォルニア州)
4
中国
56
日本
72
アメリカ
(ワシントンDC)
144
イギリス
145
メキシコ
147
アラブ首長国連邦
155
カナダ
160
ケニア
177
ブラジル
267

(NPO法人食品と暮らしの安全, No.9 Webレポートより)


反論的→コーラに発がん性? また同じトリックが使われている

炎上詐欺:薬害大騒ぎ団体と同じ手法・・・か!


その対象は何でもよいわけで、一般庶民の危機感を煽り、反体制的・反社会的・反権威的なものを批判できればよい。それを利用して、自分たちのプロパガンダを広げようとする団体。それを誇大に報道することでメディアは安直に記事配布ができ、出版利益をえることができる。そういったことが何度も繰り返されてきている。この既視感。



Caramel color: The health risk that may be in your soda
http://www.consumerreports.org/cro/news/2014/01/caramel-color-the-health-risk-that-may-be-in-your-soda/index.htm

2014年1月23日木曜日

冷気は体重を減少させる

先行して、日本人の研究で、17度1日2時間暴露×6週間で体重減少の報告あったとのこと
今回は、6時間×10日間で、熱産生・カロリー消費褐色脂肪増加させ、15度程度で、快適に寒気なくこの効果があったとのこと。

若年・中年では、寒気なしの熱産生は数パーセントから30%へエネルギー負債増加させることができる。

Cold exposure – an approach to increasing energy expenditure in humans
Wouter van Marken Lichtenbelt, et.al.
Trends in Endocrinology & Metabolism
(pdf)




http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1043276013002099

Fuel utilization in brown adipocytes. 
The schematic shows a summary of fatty acid (FA) sensing, uptake and oxidation pathways, as well as glucose uptake and downstream metabolism pathways in a typical brown adipocyte.
Shown are glucose uptake by glucose transporters (GLUT), including GLUT translocation stimulated by adrenergic signaling, and the fate of glucose in de novo lipogenesis, storage as glycogen, or conversion to pyruvate and mitochondrial oxidation.
 FAs are sensed by G protein-coupled receptors (GPCRs) and possibly also CD36, and are taken up by CD36 and fatty acid transport proteins (FATPs).
Lipoprotein lipase (LPL) produced and secreted by adipocytes after adrenergic stimulation is also able to break down triglyceride (TG)-rich lipoproteins (TRLs), providing additional lipid fuel for uptake.
FAs activate mitochondrial UCP1 (uncoupling protein 1), as does activation from the sympathetic nervous system and adrenergic signaling [via adrenergic receptors (Rs)], enabling energy expenditure via thermogenesis.
FAs also become available from the lipolysis of lipid droplets (which is partially regulated by lipid droplet-associated proteins).
FAs may be elongated and/or converted to acyl-carnitine for transport into the mitochondria via the carnitine shuttle, where they become fuel for β-oxidation.
Fatty acid binding proteins (FABPs) also contribute to intracellular FA handling. Additional abbreviation: CPT1, carnitine palmityl-transferase 1.

アルツハイマー型認知症:ヒト抗アミロイドβモノクローナル抗体第3相治験:プライマリアウトカム到達しなかったが・・・

いずれもヒト化抗アミロイドβモノクローナル抗体

  • bapineuzumab (Pfizer Inc, Johnson & Johnson) 
  • solanezumab (Eli Lilly)

前者は、可溶性・集簇性Aβ、後者は、可溶性は認識するが集簇性Aβ認識しないという違い



軽症中等症アルツハイマー病のプライマリエンドポイント合致せず


だが、APOE4キャリア解析では、Pittsburgh compound B用いたPET画像にて、bapineuzumabによる脳のアミロイド蓄積率減少認めた。CSF phospho-Tau(神経変性指標)の減少を認めた。故に、落胆だけではなかったと筆者等主張。



Phase 3 Trials of Solanezumab for Mild-to-Moderate Alzheimer's Disease
Rachelle S. Doody, M ,et. al.
for the Alzheimer's Disease Cooperative Study Steering Committee and the Solanezumab Study Group
N Engl J Med 2014; 370:311-321January 23, 2014
DOI: 10.1056/NEJMoa1312889





Two Phase 3 Trials of Bapineuzumab in Mild-to-Moderate Alzheimer's Disease
Stephen Salloway, et.al.
for the Bapineuzumab 301 and 302 Clinical Trial Investigators
N Engl J Med 2014; 370:322-333January 23, 2014
DOI: 10.1056/NEJMoa1304839

閉経後女性:ω3指数高値 なら、後年の脳・海馬のサイズ萎縮少ない

女性の疫学研究からはω3指数(RBC EPA + DHA)と、年齢関連認知機能との相関性認められなかった。

Omega-3 fatty acids and domain-specific cognitive aging: Secondary analyses of data from WHISCA
October 22, 2013 81:1484-1491; published ahead of print September 25, 2013
だが、閉経女性で、ω3指数(RBC EPA + DHA)は、8年後の脳及び海馬容積と相関するという報告がなされた。

Higher RBC EPA + DHA corresponds with larger total brain and hippocampal volumes
WHIMS-MRI Study
Published online before print January 22, 2014, 
 doi: 10.1212/WNL.0000000000000080 
 Neurology 10.1212/WNL.0000000000000080


脳のサイズと機能的な推移の関連性にばらつきが見られる。

アトピー性皮膚炎:ブドウ球菌バイオフィルムが、汗腺閉塞・掻痒に影響を与える

アトピー性皮膚炎症例での、ブドウ球菌バイオフィルム形成は汗腺閉塞に重要な役割を果たし、炎症と皮膚掻痒をもたらす。

他剤抵抗性ブドウ球菌のうち、主要菌種は、黄色ブドウ球菌 42.0%、表皮ブドウ球菌 20.0%
全例、細胞外ポリサッカライドとバイオフィルム陽性(strong biofilm 85.0%、 moderateからweak 15.0%)
PCRによるバイオフィルム関連 icaD(93.0%)、aap(12.5%)遺伝子検出
皮膚組織から微生物検出同定、細胞外biomass形成、biofilm形成、ブドウ球菌biofilmを検討。
PAS陽性・Congo red陽性汗腺閉塞
アトピー性皮膚でのToll-like受容体2活性化 (感染近傍直下)にてproteinase-活性化受容体2関連皮膚掻痒を生じる可能性、そして、MyD88介在spongiosis発症の可能性。


The Presence and Impact of Biofilm-Producing Staphylococci in Atopic Dermatitis
Herbert B. Allen,  et. al.JAMA Dermatol. Published online January 22, 2014. doi:10.1001/jamadermatol.2013.8627 


専門外だけど、アトピー皮膚症状と特定の細菌感染及びそのバイオフィルム特性が関連していることは、病状・治療管理上からも納得。

食事由来フラボノ−ル摂取増加:2型糖尿病発症抑制的に働く

茶、チョコレート、ベリー内に含まれるフラボノイドであるフラボノ−ルが、特に、2型糖尿病抑制的に働く。

2型糖尿病リスクに関わるフラボノイド内のクラス毎の違いはありそうだが、非常に限定されたエビデンスであった。長期研究少なく発症リスクとの関連性示せなかった。フラボノイド・クラス別評価で、フラボノ−ル摂取の有益性が明らかとなった。

カテキンなどのフラバノールとは異なる、フラボノ−ル
黄色色素として広く存在
http://lpi.oregonstate.edu/infocenter/phytochemicals/flavonoids/flavtab3.html
あらゆる食品に存在するが、タイム・セロリは少なく、タマネギ、ケール、ブロッコリー、赤ワイン、ブルーベリーなどに多いようだ。


ロンドン、University of East Anglia and King's College研究者等は、アントシアニンなどのフラボノイドを多く含むほどインスリン抵抗性低下させ、血糖調整上優位に働くことを示した。

約3千名女性の研究で、食事アンケート(フラボノイド摂取総量推定、6つのフラボノイドサブクラス分類可能)を行い、採血にて血糖調整、炎症所見のエビデンス調査。



Higher Dietary Flavonol Intake Is Associated with Lower Incidence of Type 2 Diabetes
Paul F. Jacques
J. Nutr. September 1, 2013 vol. 143 no. 9 1474-1480

Framingham Offspring cohort(1991年から2008年)、2915名をフォロー
糖尿病をこの場合空腹時血糖 7 mmol/L以上、もしくは、血糖降下薬使用開始と定義

フラボノイドを6つのクラスに分け、そして総量と共に推定。

平均 11.9年(range 2.5 - 16.8年)間、フォローアップ期間での、2型糖尿病発症308例

多変量因子補正、経過時間依存解析、長期間フラボノイド摂取を考慮上解析
  • flavonol 2.5倍摂取増加毎、26% [HR = 0.74 (95% CI: 0.61, 0.90 2型糖尿病発症率減少 P-trend 0.003
  • flavan-3 ol 2.5倍摂取、11%[HR = 0.89 (95% CI: 0.80, 1.00] 2型糖尿病発症率減少 P-trend 0.06
フラボノイドクラスと2型糖尿病リスクに、他の相関性認めず
フラボノイド摂取と2型糖尿病リスクに優位なベネフィット的関連性を認めた。




Classification of flavonoids


Flavonoid class Flavonoid compounds
Flavonols Quercetin, kaempferol, myricetin, isohamnetin
Flavones Luteolin, apigenin
Flavanones Eriodictyol, hesperetin, naringenin
Flavan-3-ols Catechin, gallocatechin, epicatechin, epigallocatechin, epicatechin 3-gallate, epigallocatchin 3-gallate
Anthocyanins Cyanidin, delphinidin, malvidin, pelargonidin, petunidin, peonidin
Polymeric flavonoids Proanthocyanidins (dimers, trimers, 4–6 mers, 7–10 mers, polymers, excluding monomers), theaflavins, thearubigins


TABLE 2
Flavonoid intake for members of the Framingham Heart Study Offspring cohort at 5th through 7th examinations1
Flavonoid class Exam 5 (1991–1995) Exam 6 (1995–1998) Exam 7 (1998–2001)
mg/d mg/d mg/d
Flavonols 10.6 (6.6, 16.4) 10.9 (6.9, 16.5) 10.9 (7.1, 16.5)
Flavones 1.6 (0.8, 2.5) 1.8 (0.9, 2.7) 2.0 (0.9, 2.8)
Flavanones 33.8 (10.5, 61.0) 38.9 (11.8, 62.6) 38.3 (11.6, 62.2)
Flavan-3-ols 21.8 (11.8, 49.4) 22.5 (12.3, 49.3) 23.4 (12.6, 51.5)
Anthocyanins 9.0 (3.4, 17.2) 10.1 (3.6, 18.1) 12.4 (3.9, 20.0)
Polymeric flavonoids 114 (60, 222) 116 (62, 225) 123 (64, 238)
Total flavonoids2 210 (124, 368) 214 (132, 379) 225 (136, 386)
  • 1 Values are medians (25th, 75th percentiles), n = 2915.
  • 2 Total flavonoid intakes exclude isoflavones, which were not measured in this study.                         

インフルエンザ:解熱剤で、罹患数増加、死亡数増加 ・・・ 季節性インフルエンザで特に明確

過度の解熱剤使用は結果的には症状を不顕性化し、住民レベルで伝播促進的に働く・・・


インフルエンザ流行期・・・【かぜに早めのパブロン】というコマーシャルは、倫理的に許されるのだろうか?


Population-level effects of suppressing fever
David J. D. Earn,et. al.
Proc. R. Soc. B. 2014 281 20132570;
doi:10.1098/rspb.2013.2570 (published 22 January 2014)

感染性疾患不快症状治療のために使用される解熱剤のため、発熱は通常軽減される。解熱行為の負の作用について、住民レベルで明らかな影響懸念。住民レベルに影響を与える感染伝播性高い場合、解熱剤頻用は使用しない場合より、より疾患数増加、死亡数増加をもたらす可能性。

季節性インフルエンザの個別要素推定公表データを集積。データは不完全で、heterogeneityがあるが、全体的には、米国内で、解熱により、インフルエンザ症例数増加し、死亡数を増加することが示唆された。
reproduction number R  〜1.8で、パンデミックインフルエンザ推定1%(95% CI: 0.0 - 2.7%)、季節性では5%(95% CI: 0.2 - 12.1%)



帯状疱疹:卒中・TIAのリスク要素

卒中とTIAは、急性帯状疱疹の合併症という認識がなされつつある。逆に、帯状疱疹も、心血管疾患(卒中・TIA)や心筋梗塞)のリスク要素となる。

11万名弱のを対象としたUK住民での症例対照検討

帯状疱疹症例で血管疾患リスク要素有意に増加。TIA・心筋梗塞の補正ハザードは増加するも、卒中では認めない(AHR [95%CI], 1.15 [ 1.09 - 1.21 ]、 1.10 [1.05 - 1.16])
40歳未満では卒中、TIA、心筋梗塞とも増加(1.74 [1.13 - 2.66]、 2.42 [ 1.34 - 4.36 ]、 1.49 [1.04 -  2.16])

Herpes zoster as a risk factor for stroke and TIA
A retrospective cohort study in the UK
Judith Breuer,  et. al.
Neurology  Published online before print January 2, 2014



2014年1月22日水曜日

【英国】痛風:王様の病気は増加し、治療不十分が目立つ

日本の常識は世界の非常識で有名な尿酸治療の世界;痛風と関係なく、無症候性高尿酸血症(Asymptomatic hyperuricemia)への治療がなされる。

尿酸低下治療原理主義者たちだけが幅をきかす日本

これの是非に関するエビデンスに基づく議論が必要なはずだが、まともな議論がなされず、尿酸低下治療が唯一の痛風予防策のようなミスリードがなされる。実際に痛風に関する強い予測要素は、年齢、BMI、高血圧、コレステロール値、アルコール摂取であり、尿酸値がその予測要素とならないという報告もある。


閲覧者には、Medpage解説を冷ややかに見て欲しいのだが・・・


痛風治療英国内住民調査がなされてる。

Medpage解説によると、痛風という「王様たちの疾患」は、現代では一般庶民の疾患となった。米国内では830万名、住民の3.9%の罹患率。20年間で約2倍となり、40年間では3倍、これは肥満罹患率の増加、降圧利尿剤使用、高齢化に関係していると想定される。歴史的に見て、贅沢と関係し、食事量増大と関連し、腎疾患・心疾患のある患者に多く、管理すべきなのに、不十分管理が目立つ。痛風は急性あるいは間欠的疾患と誤解され、慢性破壊性関節疾患ということが忘れられている。症状出現前に関節内結晶存在する。これを忘れ、多くの医師たちは、古典的スタンダードであるNSAIDsやコルヒチン治療のみを行う。 
尿酸ナトリウム結晶は関節腔や滑液包内に到達し、NALP3 inflammasomeを活性化し、IL-1やTNFなどを遊離炎症を発生させる。尿酸値を飽和濃度未満に維持し、関節・組織結晶形成未満にする治療。 
 American College of Rheumatology (ACR)、 British Society for Rheumatology、 European League Against Rheumatism では、xanthine oxidase inhibitorすなわちアロプリノールを推奨。ACRでは、アロプリノール 100mg/日投与量という少ない量で、尿酸値を 6mg/dL未満とする目標で、 6mg/dL未満を特定の患者に推奨。100−300mg/日を腎機能に応じて調整。アロプリノールは800mg/日まで増量可能(日本では300mgまで?)だが、一度設定するとその後変更は少ない。アロプリノールの有害事象、500名から1千名に約1人という致死的可能性のある全身性過敏症がある。これは薬剤投与量最小開始でかなりの部分回避できると・・・。ACRガイドラインでは、HLA-B*5801 alleleと関連し、漢人に多く、日本人には比較的少ない(漢人 20% vs 日本人 1.2%)。 
帝人ファーマ開発のフェブキソスタット(febuxostat)は、アロプリノール代替だが、ACRガイドラインでは、アロプリノールとともに第1選択と記載された。しかし、高価で有りやはり代替オプションとして考えるべきだろうとされる。


Clinical and epidemiological research
Extended report
Rising burden of gout in the UK but continuing suboptimal management: a nationwide population study
Ann Rheum Dis doi:10.1136/annrheumdis-2013-204463

1997−2012年の英国一般住民調査

数年間痛風罹患・発生数増加。しかし、尿酸低下治療による至適治療率は変化無し。


Age-specific prevalence (A) and incidence (B) of gout in 2012 (Blue: men; red: women; green: total; dotted lines show 95% confidence bounds).




Secular trends of adherence of urate-lowering treatment (ULT) treated patients (blue: adherent; red: partially adherent; green: non-adherent patients).

EBM:口承 ・・・ 語り継ぐべき歴史

(McMasters大学の若きレジデンシー・コーディネーター 1990年4月の"Scientific Medicine"というフレーズからEvidence-based Medicine(EBM)というフレーズへ、この言葉はレジデンシープログラムのカリキュラムの核となったもので、Gordon Guyattらにより採用され、1992年JAMA誌・「The Rational Clinical Examination series」記事が掲載されている。その後、ご存じEBMの父とされる、David Sackettが1955年の「肝炎に対するベッド安静と食事に関するランダム化区分トライアル」報告を例として、患者にこれをどう適応するか解説。これが医者・医学生誰でも読んでるであろう‘clinical epidemiology'書籍
 Archie Cochraneは、臨床家・疫学者で、Welsh National School of Medicineの教授、1988年79歳で死亡、1972年、Effectiveness and Efficiency: Random Reflections on Health Servicesというセミナー本を出版。
 Bryan Haynes(McMaster大学臨床疫学・生物統計教授)は"Expert-based Medicine"と呼びそのピットフォール認識啓発、1969年、医学校でのEBMの旅が始まった(Evidence-Based Medicine: An Oral History Video)。1960年代、Cochrane collaborationの共同出資者、Iain Chalmersは、後顧的研究主体の当時の研究結果に臨床上役立つツールや知見を見いだせず、怒りを覚えていたと。その後、UK National Perinatal Epidemiology Unitの設立につながった。

Editorial | January 22/29, 2014
Evidence-Based Medicine—An Oral History
Richard Smith, MBChB, CBE, FMedSci, FRCPE, FRCGP1; Drummond Rennie, MD, FRCP2
JAMA. 2014;311(4):365-367. doi:10.1001/jama.2013.286182. 



EBMの進歩(JAMA) 2008年 10月 15日



一方、「EBMに基づく・・・ガイドライン」などと、アホとしか思えない言葉が流布する日本。EBMとは、ガイドラインのための存在ではない。学会や講演会など聴講してると、講演者のEBMの意味はき違えが気になる。ただ、最近では、「EBM」という言葉流行から消えてるのか次第に耳にすることが少なくなってきた。日本には結局、EBMは定着しなかったのだろう。科学性を無視し、権威者の意見に左右されることが多すぎる日本の医療、その矛盾は各方面で、とくにワクチン行政や薬剤行政などでめだつ。



2014年1月21日火曜日

シダトレン ;スギ花粉減感作療法 ・・・ 今年4月予定 : 適正使用管理体制

 https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/45169/Default.aspx

▽シダトレンスギ花粉舌下液200JAU/mLボトル、同舌下液2000JAU/mLボトル、同舌下液2000JAU/mLパック(標準化スギ花粉エキス原液10000JAU/mL、鳥居薬品):「スギ花粉症(減感作療法)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。減感作療法を目的とした皮下注薬はあるが、舌下液は初承認で、海外未承認。
スギ花粉から抽出したエキスの舌下液剤。原因アレルゲンを直接舌下に滴下することで、アレルゲンに対する過敏性を減少させる。皮下注製剤では、数年間の治療で寛解状態に至ることが確認されているが、皮下注薬では通院を要するほか、稀ではあるものの重篤なアナフィラキシーショックがあった。舌下液では治療アドヒアランスの向上や副作用の低減が見込まれる。舌下液の治験では、2シーズンにわたり毎日投与することにより鼻症状の有意な低下が確認された。

シダトレン適正使用管理体制:処方は企業主催の講習を受けた医師のみとし、調剤の際も当該医師が処方したことを確認する流通管理を行い、適正使用を図る。

http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226642696262

10代女性サッカー選手のスポーツ震とう:発生後もプレイ継続多い

スポーツ震とうについての話題が上ることが多くなってるが、中等学校クラスのアスリートの脳震盪については研究少ない。前向きコホート4サッカークラブ、351名のエリート女性サッカープレイヤー(11−14歳)を対象に検討。

351名のうち、43742時間のべ暴露中、脳震とう事故59。シーズンあたり13.0%、1千運動時間あたり1.2(95% CI, 0.9 - 1.6)
症状期間は中央値で、4.0(平均 9.4)日間。
ヘディングが脳震とうの30.5%
継続症状があるプレイヤーは回復時間がかかり(16日 vs 3日)、情緒易変性(15.0 vs 3.5日)、雑音への過敏性(12.0日 vs 3.0日)、記憶障害(9.0日 vs 4.0日)、吐き気、注意集中異常(9.0日 vs 2.0日)期間が長くなる。
多くのプレイヤーは症状あるもプレイ継続し、医療接触は半数弱。


Concussion Among Female Middle-School Soccer Players
John W. O’Kane, et. al.
JAMA Pediatr. Published online January 20, 2014. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.4518






人生を楽しむこと → 機能障害リスク低下、高齢時移動機能改善につながる

うつうつと暮らし、人生を楽しむ余裕がない場合、その後、なんらかの機能障害を発生しやすい。逆に、楽しみをもつと、そのリスクが減る。

なんて、教訓的な話・・・


Enjoyment of life and declining physical function at older ages: a longitudinal cohort study
Andrew Steptoe,  et. al.,
CMAJ January 20, 2014 First published January 20, 2014, 
doi: 10.1503/cmaj.131155 
背景: ポジティブな情緒的well-being(i.e. 幸福感、楽しい感じ)は、寿命を長くし、重症疾患発生を減少させる。 目的は、生活を楽しむこと(Enjoyment of life)は機能障害リスク減少予測となるか、8年間、大規模住民サンプルで検討。

方法: 60歳以上の3199名男女(English Longitudinal Study of Ageing)アンケート前向き解析
Enjoyment of life 評価は、アンケート。
アウトカムはADLアクティビティ障害2つ以上、歩行試験上歩行速度
共役要素は、社会住民統計指標要素、ベースラインの健康状況・うつ症状、移動機能・健康行動

結果: 日常生活活動性障害2つ以上の問題が4.4%で出現。
enjoyment-of-life(生活楽しみ具合)3分位での障害発生比率:最大 4.4%、 中等度 11.7%、最小 16.8%
共役要素補正後、日常生活障害発生(enjoyment-of-life:最小vs最大)オッズ比  1.83 (95% 信頼区間 1.13–2.96)
8年後の歩行速度は、歩行速度・他の共役速度補正後、ベースラインの"enjoyment-of-life"と相関 (p < 0.0019
ベースライン時70最未満に限定したときも、結果は同様。

解釈: 観察研究で有り、原因的結果は論述できない。しかし、人生を楽しむことが少ないなら、その後の障害や高齢者移動機能と関連するエビデンスを提供したと考えられる。


小児市中肺炎:狭域vs広域スペクトラル抗生剤使用 ・・・ 効果差認めず

Comparative Effectiveness of Empiric Antibiotics for Community-Acquired Pneumonia
Pediatrics Vol. 133 No. 1 January 1, 2014 pp. e23 -e29
(doi: 10.1542/peds.2013-1773) 

多施設後顧的コホート研究で、2ヶ月齢から18歳までのカルテ調査
入院滞在日数と関連コスト比較


492名、域スペクトル薬剤(ペニシリン・アンピシリン単独) 52%、広域スペクトラム薬剤(セフトリアキソン、セフォタキシム非経口投与単独) 48%

補正解析で、狭域群の方が10時間ほど入院時間短い
酸素期間、発熱期間、再入院に差を認めず

平均標準化コスト、平均1日毎薬剤コスト有意差認めず



Narrow Vs Broad-spectrum Antimicrobial Therapy for Children Hospitalized With Pneumonia
Pediatrics peds.2013-1614

域スペクトル薬剤(ペニシリン・アンピシリン単独
広域スペクトラム薬剤(セフトリアキソン、セフォタキシム非経口投与単独)

LOS(入院滞在期間中央値)(n=15,564):3(IQR 3 - 4)日間
LOSは狭域vs広域の差認めず(補正後)

同様に、入院2日間でのICU入室比率差認めず(aOR 0.85 95% CI, 0.25 - 2.73)、14日内の再入院差認めず(aOR 0.85; 95% CI, 0.45-1.63)

狭域治療は、広域治療と、入院コスト、エピソードあたりのコストは同様

2014年1月20日月曜日

この国のワクチン行政には、科学的議論は存在しない

この国のワクチン行政には、科学的議論は存在しない







乏しいエビデンスで、「23価ワクチンを肺炎ワクチンとして国策誘導させる」愚 2013/12/19


本邦老人施設:肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌のワクチンであり、肺炎ワクチンではない!2010年 03月 12日

食道癌非手術症例:Cetuximab(Erbitux) :化学放射線療法付加効果認めず

放射線治療+抗がん剤併用の化学放射線療法:chemoradiationに、セツキシマブ:cetuximab (アービタックス:Erbitux) 付加

Cetuximab群では2年生存率44% vs 対照群 41.7%

8週目cCR到達患者では、2年目生存率改善したが、臨床的完全寛解(cCR)はcetuximabで改善せず


Primary source: Gastrointestinal Cancers Symposium
"The initial report of RTOG 0436: A phase III trial evaluating the addition of cetuximab to paclitaxel, cisplatin, and radiation for patients with esophageal cancer treated without surgery"
Suntharalingam M et al.
GiCS 2014; Abstract LBA6.

米国公衆衛生局長官レポート:喫煙による50年間超過死亡 2千万名

CNNなど報道している。公衆衛生局長官(Sugeon General)報告で、米国の公的報告。

2014 Surgeon General's Report: The Health Consequences of Smoking—50 Years of Progress
http://www.cdc.gov/tobacco/data_statistics/sgr/50th-anniversary/

http://www.surgeongeneral.gov/library/reports/50-years-of-progress/exec-summary.pdf

死亡原因:
喫煙関連がん 6,587千名
心血管疾患・代謝性疾患 7,787千名
肺疾患 3,804千名
妊娠・出産関連 108千名
居宅火災 86千名
間接喫煙による肺がん 263千名
間接喫煙による冠動脈心疾患 2,194千名
・・・
総計 20,830千名

直接喫煙による後遺症


間接喫煙による後遺症




1.世紀レベルの喫煙の広がりにより、本来回避可能であった無数の公衆衛生損害を生じてきた。1964年の初回Sugeon General 報告以来2千万超の超過死亡が喫煙に起因している。
2.・・・
10、

2014年1月18日土曜日

中学・高校時代のメンタル疾患は一過性が多い

メンタル疾患を有する成人では24歳未満症状出現が多い。若年者不安やうつも多いが、成人期まで症状継続するか、改善するか明らかでない。

報告は、オーストラリアのビクトリア州、44の中等学校、1943名のサンプル、層別化・ランダム化サンプル;16.6歳平均から29.1歳まで

Revised Clinical Interview Schedule (CIS-R) (12以上)は、男性 29% 236/821、女性 54%(498/929)
若年成人を過ぎてもエピソードあるのは約60%(434/734)
しかし、6ヶ月期間未満の1つのエピソードしかない思春期では、成人期になるとメンタル的健康上の問題を持ち越さない。
 思春期メンタル健康問題の期間が長いほど、明瞭な若年疾病の強い予測要素となる(オッズ比 3.16 95% CI, 1.86 - 5.37)
女性では、 2.12 (1.29 - 3.48)、両親別居・離婚の場合では(1.62, 1.03 -2.53)で疾病持続が多い。


The prognosis of common mental disorders in adolescents: a 14-year prospective cohort study
The Lancet, Early Online Publication, 16 January 2014
doi:10.1016/S0140-6736(13)62116-9

HDAC2 inhibitor(HDACi)による月齢的記憶減少効果あり、PTSD治療に光明?

HDAC2 inhibitor(HDACi)による月齢的記憶減少効果あり、PTSD治療に光明?


Epigenetic Priming of Memory Updating during Reconsolidation to Attenuate Remote Fear Memories
Cell, Volume 156, Issue 1 and 2, 261-276, 16 January 2014

 外傷性イベントは記憶永続をもたらす場合がある。不安疾患の生涯頻度増加に関わらず、長期外傷的記憶軽減に関する有効な戦略は乏しい。直近、例えば、日齢的記憶といった外傷性記憶を軽減する最も有効治療として、回想開始に関する記憶固着中の記憶アップデートメカニズムに注力がなされている。ここで、recent memoryがremote memory(i.e. 月齢的記憶)を減弱できないことに対して、reconsolidation-updating paradigmにより、それを成功させる方法を提示。


月齢的記憶回想、recent memory recallは、海馬の神経可塑性を介する限界期間を誘導するが、これは、一部にHDAC2やhistone acetylationによりもたらされ、可塑性はremote memoryに対して効果はない。だが、HDAC2−targeting inhibitor(HDACi)を用いると、reconsolidation中、remote memoryでさえ、持続的に減少する。


 epigeneticalにこの介入は神経可塑性遺伝子発現をもたらし、メタボリック、シナプス的、構造的可塑性をもたらす。




ICU重症患者せん妄:スタチンで軽減 :炎症抑制効果の可能性

せん妄はICU患者で多く、アウトカム悪化の要因。神経性炎症もメカニズムとして考えられる。スタチン効果の可能性あり。


スタチン継続加療にて、重症患者のせん妄リスク軽減


"Statin use and risk of delirium in the critically Ill"
Source reference: Page V, et al
Am J Respir Crit Care Med 2014.

ランダムエフェクト多変数ロジスティック回帰にて、前日スタチン投与は、その後のせん妄無し評価としては、オッズ 2.28 (CI, 1.01 to 5.13 p < 0.05)、CRP低下と相関( β - 0.52 , p < 0.01)

CRP補正すると、このeffect sizeは有意でなくなった (OR = 1.56, (CI 0.64 to 3.79) p=0.32)

なぜ、統計学的有意なものだけが発表されることが問題か?

有意な結果だけが選択的パブリッシュされる現状は、科学性と相矛盾している。

メタアナリシスで特に問題になり、Funnel Methodなど出版バイアスを表記するツールが存在するわけで・・・


選択的発表と全発表の優越性検証モデル


Why Publishing Everything Is More Effective than Selective Publishing of Statistically Significant Results
Marcel A. L. M. van Assen, et. al.
PLOSone Published: January 17, 2014DOI: 10.1371/journal.pone.0084896

平均(実践)と平均±メタアナリシス1標準誤差:ランダムエフェクト:全公表と選択的出版比較


 Results of 5,000 runs of meta-analyses under the publishing everything and selective publishing approaches.



メタアナリシスも、巨大資本が必要なわけで、少数研究者でってわけにいかなくなってきた。それを全数検討となると、ますます個別検討は無理。科学研究全般に、曲がり角はとうの昔にあったわけで、ほとんどの医科学関係者がそれを直視しないでいるのが現状。・・・と、えらそうに田舎の開業医は思う。

冠動脈性心疾患:音楽による不安軽減効果

たしかに、音楽というのは、診療や処置への不安軽減には効果があるだろう。金属音が響く環境下でびくびくしながら診療や処置・療法を受けるのに比べれば・・・。しかもコストがかからないし・・・。

モーツアルト効果など音楽は医学上のテーマとなっている。だが、どうもこういうのは効果があってほしいという一部の連中がいて、科学性と乖離して一人歩きすることがある。

だが、認知症に対するミュージックテラピーってのは、【Music & Memory】が代表的。だが、それで、飯食おうとしてる人が多いようで、利益最優先で、科学的エビデンス乏しい現状(Ten studies were included. The methodological quality of the studies was generally poor and the study results could not be validated or pooled for further analyses.)と乖離してなんだか混沌としているなぁと思う日本の現状
e.g. 典型的結論先にありき解説→(http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03033_04)。日本の認知症ガイドラインには確立したエビデンスがあると馬鹿な記載がなされてるし・・・


冠動脈疾患における研究は、そういう表層的な状況にならないよう願いたい。

Music for stress and anxiety reduction in coronary heart disease patients
Joke Bradt1,et. al.
Editorial Group: Cochrane Heart Group;Published Online: 28 DEC 2013
Assessed as up-to-date: 4 DEC 2013
DOI: 10.1002/14651858.CD006577.pub3

・冠動脈性心疾患を有する患者の心理的ディストレスに対する小さいベネフィット効果があり、研究横断的に認められる (MD = -1.26, 95% CI -2.30 to -0.22, P = 0.02, I² = 0%)


・CHD患者の不安へは、中等度効果みとめるも、研究ばらつき有り (SMD = -0.70, 95% CI -1.17 to -0.22, P = 0.004, I² = 77%)


・心筋梗塞患者では、中等度の音楽による不安減少効果を認め、不安化粧効果は平均5.87(20−80ポイント範囲) (95% CI -7.99 to -3.75, P < 0.00001, I² = 53%).


・患者選択音楽使用により、より効果がみられることは研究一致性あり (SMD = -0.89, 95% CI -1.42 to -0.36, P = 0.001, I² = 48%)


・音楽傾聴は、心拍減少 (MD = -3.40, 95% CI -6.12 to -0.69, P = 0.01)、呼吸数減少(MD = -2.50, 95% CI -3.61 to -1.39, P < 0.00001) 、収縮期血圧減少 (MD = -5.52 mmHg, 95% CI - 7.43 to -3.60, P < 0.00001)に寄与する。


・2つ以上の音楽セッションを含む研究では、軽度だが、一致した苦痛軽減効果 (SMD = -0.27, 95% CI -0.55 to -0.00, P = 0.05)


・音楽傾聴は、心臓処置・手術後の睡眠の質改善する (SMD = 0.91, 95% CI 0.03 to 1.79, P = 0.04)

2014年1月17日金曜日

心筋損傷への生分解性微小粒子注入治療

オーストラリアの科学者たちからの心臓発作後の心臓ダメージ軽減のためのimmune-modifying microparticles (IMPs)を用いた新手法を報告

単核球誘導炎症性エフェクター細胞が無数の炎症性疾患の病態に重要な働きをするが、これへの特異的調整治療オプションはなかった。心筋ダメージは、炎症細胞が、阻血・低酸素部位集中する。生(物)分解性微小粒子注入後、心臓病変のサイズは50%に半減する。poly (lactic-co-glycolic) acid(PLGA) microparticleを用い、炎症性単核球にて細胞死をクリーンアップし生存細胞を傷つける酵素や化学物質を除去する。ダメージ細胞に結合する微小粒子は、炎症性単核球と結合し、脾臓へ運ばれ、処理される。
polyはFDAに承認済み。

NANOBIOLOGY
Therapeutic Inflammatory Monocyte Modulation Using Immune-Modifying Microparticles
Sci Transl Med 15 January 2014: 
Vol. 6, Issue 219, p. 219ra7 
Sci. Transl. Med. DOI: 10.1126/scitranslmed.3007563


【小児肥満・体重増加】ファストフードは真犯人じゃない! 

ファストフード:定義
easily prepared processed food served in snack bars and restaurants as a quick meal or to be taken away:
(どう聞いたって、ファーストフードではない! ・・・ 和製英語が日本をだめにする! ・・・ マスゴミが主犯)

”スナックバーやレストランで提供される食品” という定義なら、ファストフードだけ食べてたら、それが主因だろうが、一般にはそうではないわけで・・・

4466名の2−18歳の米国子供の横断研究

The association of fast food consumption with poor dietary outcomes and obesity among children: is it the fast food or the remainder of diet?
First published October 23, 2013, doi: 10.3945/​ajcn.113.071928 
Am J Clin Nutr January 2014 ajcn.071928 


米国内の子供の半数がファストフード購入比率
・ファストフード低比率(エネルギー比率 30%以下) 39.5%
・ファストフード高比率(エネルギー比率 30%超) 10.5%


残りの摂食内での西洋的食事パターン摂取オッズ比は、ファストフード低比率群 (OR: 1.51; 95% CI: 1.24, 1.85)、高比率群(OR: 2.21; 95% CI: 1.60, 3.05) ではファストフード未摂取比較で高くなる。


ファストフード外食事こそが、過体重/肥満と独立して関連 (β: 5.9; 95% CI: 1.3, 10.5)、一方、ファストフード摂取では相関性認めず。
ファストフード以外の部分の方が、ファストフード摂食分より食事の質プアな部分の摂取量と強く関連する。

コロイデレミア(先天性脈絡膜欠如)遺伝子治療

 コロイデレミア; 先天性脈絡膜欠如

X染色体上CHM遺伝子変異を原因とする遺伝性進行性失明疾患

35−63歳の6名、網膜・視覚異常への治療
有害事象無く、視力回復を認めた
このことは、この疾患だけでなく、慢性網膜変性症への治療可能性も示唆する研究とLancet


Retinal gene therapy in patients with choroideremia: initial findings from a phase 1/2 clinical trial
The Lancet, Early Online Publication, 16 January 2014




遺伝子治療、失明治療に有望性示すhttp://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303919304579323832157165164.html?dsk=y

内分泌系スマートフォン・アプリ:糖尿病管理向け主体だが、医師向けも・・・

スマートフォン・アプリは、一般には患者利用が普通だが、医師が仕事上利用できる存在のもの(10番目、11番目)


11 Endocrinology Apps for Docs' Toolboxes
Published: Jan 16, 2014 | Updated: Jan 16, 2014
http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/GeneralEndocrinology/43837


以上がFDA承認アプリとの紹介

6. Lenny: 1型糖尿病:ライオンが友達となる
7. GoMeals: Sanofi 謹呈
8. MyFitnessPal: 糖尿病非限定、食事・ライフスタイル変容プログラム
9. MediSafe Virtual Pillbox: 糖尿病非限定だが、大多数糖尿病対象


For Clinician Use:
10. Endo Tools: 内分泌専門医ニーズにテーラー化したスマートフォン向けレファレンス。臨床計算機や甲状腺がんステージングツールを含む。(無料:それなり ;Sigil→iBooks書籍化で個別作成可能な程度)

11. Endocrinology & Endocrine Emergencies: 内分泌フェロー向け。POC、診断・治療・病態生理・ガイドライン・フォロー中心。(有料:現行600円でレファレンスとしては良いと思うのだけど、金出すほどの価値あるかは?)


のぞいてみたが、いろいろ工夫の必要あると思う
アプリ開発するならもうちょっと工夫があっても・・・


レファレンスだけなら、SigilなどでiBooksで読めるようできる訳だし・・・



例えばこんな感じ・・・



これで、iPad/iPhoneで読める


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note