2016年12月29日木曜日

「青黛」:肺動脈高血圧症リスク  ・・・ 潰瘍性大腸炎使用に関して

 最新のお知らせ
厚生労働省よりお知らせ~植物由来製品による健康被害(疑い)について
Last Update:2016年12月28日

日本呼吸器学会
会員の皆様へ

厚生労働省 医薬・生活衛生局より、植物由来製品による健康被害(疑い)について、注意喚起の通知をいただきましたので掲載いたします。

詳細は、以下のPDFをご覧ください。
http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/mhlw_20161227_01.pdf




「青黛」(せいたい)を摂取した潰瘍性大腸炎患者において肺動脈高血圧症が発現した症例が複数存在することが判明

①「青黛」の摂取により肺動脈性肺高血圧症を生じる可能性があること
②自己判断で「青黛」を摂取せず、必ず医師に相談するよう患者に指導すること
③肺動脈性肺高血圧が疑われる場合には、「青黛」の摂取を中止させ適切な処置を行うこと




リュウキュウアイやホソバタイセイ等の植物由来


単一施設オープンラベル前向き研究報告あり、潰瘍性大腸炎患者における有用性が期待され、話題になっており、利用が広がってる可能性がある

Clinical Efficacy and Safety of Oral Qing-Dai in Patients with Ulcerative Colitis: A Single-Center Open-Label Prospective Study
Digestion 2016;93:193-201
(DOI:10.1159/000444217)
https://www.karger.com/Article/FullText/444217


2016年12月27日火曜日

MedPage Today のトップニュース

ブログ更新の時間がとれない!

オピオイド乱用は医師主導ってのが1位らしいので、医師たちの自戒必要

個人的には、SPRINTと cancer immunotherapyのルール作りかな?

MedPage Today のトップニュース



10. Entresto Gets Big Boost in Updated Guidelines
http://www.medpagetoday.com/cardiology/cardiobrief/58050

9. Zika: The Unexpected Pandemic
http://www.medpagetoday.com/infectiousdisease/generalinfectiousdisease/55915

8. Cancer immunotherapies rule
http://www.medpagetoday.com/blogs/broadcast-med/60357

7. Actemra Effective for Giant Cell Arteritis
http://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/acr/61418

6. SPRINT in the real world
http://www.medpagetoday.com/cardiology/cardiobrief/60070

5. Amyloid Drug Fails in Alzheimer's
http://www.medpagetoday.com/neurology/alzheimersdisease/61656

4. ORATORIO Results Confirm Ocrelizumab for Progressive MS
http://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/cmsc/58342

3. Trump Wins/ACA Repeal
http://www.medpagetoday.com/washington-watch/electioncoverage/61321

2. Jardiance Approved for CV Disease Prevention
https://www.medpagetoday.com/Endocrinology/GeneralEndocrinology/61883

1. . CDC Comes Down Hard on Opioids for Chronic Pain
http://www.medpagetoday.com/publichealthpolicy/publichealth/56745

CDC Guideline for Prescribing Opioids for Chronic Pain—United States, 2016
Deborah Dowell,et. al.
JAMA. 2016;315(15):1624-1645. doi:10.1001/jama.2016.1464
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2503508
なるべく非オピオイドを優先に。リスクを上回るベネフィットの時のみ使用し、層で無い場合は中止すべき。オピオイドは最小量から開始し、 50mg/日まで増量考慮、他のオピオイド併用・ベンゾジアゼピン併用は避けるべき。3ヶ月毎に 。モニタリングシステム構築必要。オピオイド使用疾患に対するエビデンスに基づく治療整備必要。

2016年12月20日火曜日

女性医師治療患者の方が男性医師治療患者より入院死亡率も再入院率も低い

わずか、0.5%の差だが・・・

女性医師の方がEBM遵守性が高く、検査も標準に遵守し、患者中心医療実践傾向が高いなどdiscussionに記載されている

・・・

Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates for Medicare Patients Treated by Male vs Female Physicians
Yusuke Tsugawa, et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 19, 2016.
doi:10.1001/jamainternmed.2016.7875
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2593255

横断研究、メディケアによる入院米国内データ、20%サンプル
2011年1月1日から2014年12月31日

患者・医師特性・病院fixed effect「母数効果」補正後、医師性別と30日死亡率と再入院率

結果は、同一病院内比較で、女性医師治療患者では男性医師治療に比較して、有意に死亡率低下(adjusted mortality rate, 11.07% vs 11.49%)し、再入院率 (adjusted readmission rate, 15.02% vs 15.57%) も低下する



プライマリケア外来患者で女性医師への期待の高さと満足度調査がある

Effect of Physician and Patient Gender Concordance on Patient Satisfaction and Preventive Care Practices
J Gen Intern Med. 2000 Nov; 15(11): 761–769.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1495609/pdf/jgi_91156.pdf



より客観的指標で、女性医師の優越性判明したわけで・・・

2016年12月13日火曜日

心筋虚血・急性冠症候群:不適切酸素投与有害性

「急性心筋梗塞」管理について、未だ、こういう記載が見られる
酸素の吸入:低酸素血症は、不整脈を誘発したり心筋虚血を増悪させ、梗塞巣の拡大や病態の悪化につながるので、呼吸困難やチアノーゼの有無にかかわらず、十分な酸素を投与する。通常鼻腔カニューレで2~3 /分。
以下の見解にも批判的吟味があるようだが・・・ 「十分な酸素を投与」というのは明らかに間違い





Chest Pain and Supplemental Oxygen Too Much of a Good Thing?
Maxime Cormier, et. al.
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2592700

仮想的症例だと思うが、「60歳代、高血圧、脂質異常、冠動脈疾患による治まらない胸骨後部痛症例、バイタルサインは正常、酸素飽和度95%」に対しパラメディックが非再呼吸顔マスクによる酸素投与開始し、EDへtransfer、その後酸素投与継続。心臓カテーテルとdrug-eluting stentを前下行枝へ。その後2日間酸素投与。その後非持続性心室頻拍、心房細動発症。左室駆出率は機能は6週間後も悪化持続。

こういった症例なのだが・・・

急性冠症候群への酸素投与は世紀を超えて施行されてきたが、1960年代に高酸素血症による悪影響、即ち、虚血悪化、心拍出量増加、全身血管抵抗増加が血行動態研究から示唆された。メカニズムは未だ明確ではないが、ROSによる冠動脈血管痙攣、oxygen free radicalによる過剰発現性再潅流障害など関与しているのだろう。
2015年までに、わずか4つのトライアルだが急性心筋梗塞での酸素投与影響検討。これらのメタアナリシスでは急性心筋梗塞確定症例で死亡リスク統計学的非有意ながら2倍増加。
CabelloJB,BurlsA,EmparanzaJI,BaylissS, QuinnT.Oxygentherapyforacutemyocardial infarction. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(8): CD007160.doi:10.1002/14651858.cd007160.pub3


最近の638名のST上昇急性心筋梗塞での非酸素vs酸素投与比較では血中心筋とトロポニン・血中CK値のプライマリアウトカムで、酸素投与群の再発性心筋梗塞 (5.5% vs 0.9%, P = .006) 、重大心臓不整脈増加有意 (40.4% vs 31.4%, P = .05)。MRIによる6ヶ月後梗塞巣増大 (20.3 g vs 13.1 g, P = .04)。これら知見によれば、院内心筋梗塞事案NNH 22、重大心臓不整脈 11となる
StubD,SmithK,BernardS,etal;
AVOID Investigators. Air versus oxygen in ST-segment-elevation myocardial infarction. Circulation.2015;131(24):2143-2150. doi:10.1161/circulationaha.114.014494


COPDでは、酸素投与、特に、高炭酸ガス血症の危険性が広く認識され、2010年405名の高濃度酸素療法 vs 補正酸素療法のランダム化研究、COPD確認サブグループのみで有意に高濃度酸素療法より補正酸素投与の方の死亡率低下効果認めた。
AustinM,WillsK,BlizzardL,WaltersE, Wood-Baker R. Effect of high flow oxygen on mortality in chronic obstructive pulmonary disease
patientsinprehospitalsetting:randomised controlled trial. BMJ. 2010;341:c5462. doi:10.1136 /bmj.c5462


他、高酸素投与の有害性示唆は、脳卒中、心肺蘇生、未熟児など


ST上昇心筋梗塞管理のためのAHAガイドラインでは、酸素投与は低酸素患者にのみ推奨されているが、正常酸素飽和度症例に対し"for comfort"や呼吸困難対応のため用いられる場合も残存している。
非常識的酸素投与により多くの患者に害をあたえている事態が状態化しているところもある。



以前も書いたと思うが・・・

最近は、医師・看護師だけでなく、患者本人・家族、救急搬送職員や介護施設、老人住居施設職員まで酸素飽和度が周知されてるらしく、酸素飽和度を「サーチ」と誇らしげに示されることが多い・・・(こういう経験を多数しているのは私だけなのだろうか?)

98%から92%に酸素飽和度が下がる?・・・とかなり心配するようで・・・どうにかならないものか?



虚血性心疾患には酸素投与ルーチンに・・・と、私が研修医の頃は習ったものだが、その後、血管再建術が盛んになり(私の頃はウロキナーゼによる冠動脈内薬剤投与:PTCRやっと導入され担当医にされたばかりだったが)、そのとき、虚血再灌流障害も話題になったが、酸素投与については思いがいたらなかったなぁ・・・と独り言 年取った証拠かな?

2016年12月12日月曜日

オキシトシン:他者との同調性強化効果→社会的同調性増加

自称・公称の脳科学者たちが大好きな「オキソトシン」・・・妄想拡大しメディアでご大層な解説する予感



デンマーク「Center for Music in the Brain (MIB) Aarhus University/The Royal Academy of Music」からの報告


研究手法 見ると・・・納得

people synchroniseってのは、「歩行」「拍手」「音楽創作」などで、調子を合わせるわけだが、互いの協力関係(afflication)の感情強く無ければ困難。
共同作業・協力関係のような社会的相互作用促進にオキシトシンが働くわけだが、オキシトシンの社会的影響はdirectなものなのか?あるいは、ダイレクトにsynchronisationに影響を与え、二次的に社会的行動に影響をあたえているのかは不明。
検証として、オキシトシンの血中濃度増加が与える被検者ペアでsteady beatに同期するか、また、オキソトシン・スプレー投与互いに同調するか?

finger-tapping paradigmによる検証。
オキシトシンが他者行動への同調・適応能力に関する検討
オキシトシンと非活性プラシーボの鼻腔内投与
対のメンバーのひとりと、無反応のメンバーへtappingを行い、すなわち、leading/self-paicingペアの1人にもう1人が同調する、その程度がプラシーボより強力か?
通常のメトロノームにしたがうとき、あるいは、両方のtapperが互いに適合している場合効果認めず。さらに、自己ペースのtappingパートナーに対し、オキシトシン投与群は非投与群に比べ変動が少なくなる。
オキシトシンは、tapping変動減少することで、不応なパートナーへの同調性改善をもたらすものと結論。
かように、オキシトシンは、個別間の同調性を増加させ、sensorimotor prediction促進により社会的相互作用を促進させるものと考えられる。

オキシトシンは、synchronisationに影響を与え、tapperがtapping partnerを好きかどうかとはには影響を与えなかった。
オキシトシン群ではbeatへのtapping変動少なくリーダーのtap予測性に優れていることが示唆された

オキシトシンの社会的効果は、social afflicationの経験のない場合でも、社会的相互作用の促進的役割をはたすものと解釈される


Oxytocin improves synchronisation in leader-follower interaction
L. Gebauer, M. A. G. Witek, N. C. Hansen, J. Thomas, I. Konvalinka & P. Vuust
Scientific Reports 6, Article number: 38416 (2016)
doi:10.1038/srep38416
http://www.nature.com/articles/srep38416




「リスク要因」セマンティックな定義必要

BMJ毎年恒例娯楽的記事今年もはじまっている


今年、ある外来患者の方から「リスク」という言葉を聞き感慨深く思った。どこぞのお医者さんから聞いたのか?ネットで調べたのかまでは聞かなかったが・・・

WELQ問題や「特定の薬物のんではいけないと宣う週刊誌表題」など、医療情報に関する話題多い昨今



「リスク要因」という言葉、セマンティックに定義されているか?・・・など議論されている


Christmas 2016: Food for Thought
Is caviar a risk factor for being a millionaire?
BMJ 2016; 355 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i6536 (Published 09 December 2016)
Cite this as: BMJ 2016;355:i6536
http://www.bmj.com/content/355/bmj.i6536

「キャビア」と「富豪」の関連において「富豪」(診断)における調査。このためには大規模予測調査、キャビアを食べる(注文する)人が富豪であるかどうか、調査の必要がある
予後予測として、ベースラインでの「キャビア消費量」を知る必要がある、将来、富豪になるかどうかの予測に着眼し、フォローアップ数年間行う。但し、同時に複数のメカニズムを考慮する必要がある
富豪となるためのキャビアの役割、有無による病因的役割の検討、因果推論と仮説検証必要・・・


私、あんまり興味引かなかったので・・・ 各自興味あれば

M. massiliense治療:初期治療2週間→経口マクロライド療法継続

呼吸器内科してないと興味ない話だろうが・・・

M. abscessusの治療は、入院治療せざる得ない治療コンパートメント
http://www.kekkaku.gr.jp/pub/Vol.85(2010)/Vol85_No1/Vol85No1P1-6.pdf

M. abscessusとM. massilienseの鑑別法の開発
従来M. abscessus症はきわめて予後の悪い非結核性抗酸菌症とされてきたが、近年M. abscessusが分子遺伝学的に狭義のM. abscessusとM. massilienseに分類でき、M. massiliense症はM. abscessus症に比べて予後が良好であることが報告された。
従来、M. abscessusとされたなかに、M. massilienseがあり


そのM. massilienseの治療プロトコールに関する知見




Oral Macrolide Therapy Following Short-term Combination Antibiotic Treatment of Mycobacterium massiliense Lung Disease
Won-Jung Koh, et. al.
Chest. 2016;150(6):1211-1221. doi:10.1016/j.chest.2016.05.003
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2522560


Oral Macrolide Therapy Following Short-term Combination Antibiotic Treatment of Mycobacterium massiliense Lung Disease
Won-Jung Koh, et. al.
Chest. 2016;150(6):1211-1221. doi:10.1016/j.chest.2016.05.003
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2522560


71名経口マクロライド

4週(n=28)初期治療、2週間 (n=43) IV アミカシンとセフォキシチン(イミペネム)治療
24ヶ月(4週間 IV群) or 最低12ヶ月以上治療


  Seventy-one patients received oral macrolides, along with an initial 4-week (n = 28) or 2-week (n = 43) IV amikacin and cefoxitin (or imipenem) treatment. These patients were treated for 24 months (4-week IV group) or for at least 12 months after negative sputum culture conversion (2-week IV group).
初期治療4週間(n = 28) or 2週間(n = 43)のIVアミカシンおよびセフォキシチン(またはイミペネム)治療とともに、71人の患者に経口マクロライド投与。
24ヶ月間(4週間IV群)もしくは喀痰培養陰性後(2週間IV群)最低12ヶ月間治療


総治療期間は4週間IV群(中央値23.9ヶ月)が2週間IV群(15.2ヶ月; P <.001)より長期

4週間IV群では、12ヶ月間治療奏功率は、症状で89%、CTスキャンで79%、喀痰培養陰性100%
2週間IV群では、それぞれ100%(P = 0.057)、91%(P = .177)、91%(P = .147)
   2週間IV群でマクロライド耐性獲得2名
喀痰培養陰転不能例及び治療成功後培養陽転化例の分離試料genotyping解析で、M massilienseの異なるgenotypeの再感染の結果であることが判明
   

2016年12月9日金曜日

インフルエンザ入院患者:クラリスロマイシン・ナプロキセン・抗ウィルス薬併用にて死亡率など改善

2015年2月〜4月:入院インフルエンザ患者に対する治療
オセルタミビルに併用としてクラリス・ナプロキセンとプラセボ比較

Efficacy of clarithromycin-naproxen-oseltamivir combination in the treatment of patients hospitalized for influenza A(H3N2) infection: an open-label, randomized controlled, phase 2b/3 trial
Ivan FN. Hung, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.11.012
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2589092



H3N2インフルエンザA患者 217名登録、107名を併用割り付け

  • 3剤併用: clarithromycin 500mg、naproxen 200mg、oseltamivir 75mg twice daily for 2 days, followed by 3 days of oseltamivir 75mg twice daily
  • oseltamivir 75mg twice daily for 5




年齢中央値 80歳、男性 56%、副事象まれ
30日間フォローアップで、10名死亡
併用療法は30日死亡率低下と相関 (P=0.01)、ICU/HDU入室回数減少(P<0 .001="" p="">ウィルス抗体、PSI (day 1-3; P<0 .01="" 5="" nasopharyngeal-aspirate="" nbsp="" p="" quasi-species="" serial="">多変量解析にて、併用治療は30日死亡率低下と独立した相関性の要素  (オッズ比:0.06; 95%,信頼区間 0.004-0.94;P=0.04)




AETHER:特発性肺線維症への間葉系幹細胞治療

間葉系幹細胞、MSCs、 mesenchymal stem cellsによる、特発性肺線維症への治療可能性

9名のIPF症例を、若年無関係男性ドナーからの骨髄由来間葉系幹細胞 20, 100, or 200 x 106割り付け


治療関連緊急重症副事象認めず
2例のIPF進行による無治療関連死亡(疾患悪化、急性増悪)
60週後、FVC予測値比率減少 3.0%、平均 %DLCO減少平均 5.4%

Allogeneic human mesenchymal stem cells in patients with idiopathic pulmonary fibrosis via intravenous delivery (AETHER): a phase I, safety, clinical trial
Marilyn K. Glassberg, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.10.061
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2589087




安全性がプライマリエンドポイントのP1研究

セカンダリエンドポイントとしてのFVC, DLCO減少として期待抱けそう・・・

閉塞型無呼吸治療 CAPAP:口鼻ルートは経鼻ルートと同等?

pneumatic splint(空気副え木)である、CPAP(持続気道陽圧療法)はoronasal(口・鼻)が一般に耐用性良好。経鼻ルートが耐用性不能のためできない場合多くがoronasalルートを好むケースが多くなっている。観察研究やシステマティック・レビューで oronasalルートの効果が劣るという報告有り、今回検証とのこと






閉塞型無呼吸においてゴールドスタンダード治療はCPAPで、経鼻適応が主と考えられてきたが、経鼻ルートと経口・経鼻、経口投与に変えて急性効果比較

対象18名、44±9,歳、BMI 33.8± 4.7、AHI 49.0±39.1
経鼻CPAP(14.8 ± 4.1 cm水柱)にて安定

閉塞イベント増加は、経口・経鼻 12(66.7%)、経口 14(87.5%)

経鼻ルートの安定呼吸と比較して、経口・経鼻および経口ルートの場合、喉頭蓋と舌根の距離、喉頭蓋後方面積は有意にかつ進行性に減少する

Impact of Acute Changes in CPAP Flow Route in Sleep Apnea Treatment
Rafaela G.S. et. al.
Chest. 2016;150(6):1194-1201. doi:10.1016/j.chest.2016.04.017
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2520656





2016年12月6日火曜日

長期酸素療法:軽度・中等度低酸素のみではアウトカム改善せず

1970年代の2つのトライアルで、COPD身・安静時重度低酸素患者において酸素投与の死亡率軽減効果が示され、SpO2 89%未満で測定した場合酸素投与が推奨継続中である。
Nocturnal Oxygen Therapy Trial Group. Continuous or nocturnal oxygen therapy in hypoxemic chronic obstructive lung disease: a clinical trial. Ann Intern Med 1980;93:391-398 
Medical Research Council Working Party. Long term domiciliary oxygen therapy in chronic hypoxic cor pulmonale complicating chronic bronchitis and emphysema: report of the Medical Research Council Working Party Lancet 1981;1:681-686

1990年代、昼間の軽度〜中等度低酸素血症COPD患者での酸素投与2つのトライアルで死亡率ベネフィット示せなかったが、両トライアルとも検証パワー不足であった。
Qaseem A, Wilt TJ, Weinberger SE, et al. Diagnosis and management of stable chronic obstructive pulmonary disease: a clinical practice guideline update from the American College of Physicians, American College of Chest Physicians, American Thoracic Society, and European Respiratory Society. Ann Intern Med 2011;155:179-191

Vestbo J, Hurd SS, Agustí AG, et al. Global strategy for the diagnosis, management, and prevention of chronic obstructive pulmonary disease: GOLD executive summary. Am J Respir Crit Care Med 2013;187:347-365
酸素投与による、入院、運動パフォーマンス、QOLへの効果は不明であった



対象は
「stable COPD and moderate resting desaturation (Spo2, 89 to 93%) or moderate exercise-induced desaturation (during the 6-minute walk test, Spo2 ≥80% for ≥5 minutes and <90 89-93="" for="" p="" po2="" seconds="">

安静時中等度低酸素COPD患者に対し
・supplemental oxygen投与 vs 非投与

7ヶ月後34名ランダム化

1:1比率割り付け


  • long-term supplemental oxygen (supplemental-oxygen group) :安静時酸素飽和度低下例では24時間酸素投与処方、運動時のみ酸素飽和度低下では運動時・睡眠時酸素投与
  • no long-term supplemental oxygen (no-supplemental-oxygen group)
マスクされてない比較


結果としては、安定COPDで安静時/労作時中等程度酸素飽和度低下では、死亡・初回入院までの期間、死亡までの期間、初回入院までの期間、初回COPD急性増悪までの期間、COPD急性増悪入院までの期間に影響を与えなかった。





A Randomized Trial of Long-Term Oxygen for COPD with Moderate Desaturation
The Long-Term Oxygen Treatment Trial Research Group
N Engl J Med 2016; 375:1617-1627October 27, 2016
DOI: 10.1056/NEJMoa1604344





日本の在宅酸素療法は歪みまくってる

・濃縮酸素第一選択ってこと自体がおかしい・・・身体活動性増加を目指すなら液体酸素をまずは試みるべき、POC(携帯型酸素濃縮器)もトライすべき


いつまでも濃縮酸素+ボンベ(ボンベも業者が勝手に本数制限してくる)では身体活動アップなんてできるはずもない


関係学会の無作為・・・腹立たしい


2016年12月1日木曜日

遺伝子variant研究:心血管疾患抑制効果:スタチンとPCSK9阻害剤はLDL減少効果に応じた治療効果として同等?

スタチンによるLDLコレステロール減少による臨床的効果は、PCSK9 inhibitorshadによるLDL減少による臨床効果は同等だろうと予測される genetic variantの検討


来年、PCSK9阻害剤大規模臨床トライアル結果でるようだが、それに期待のかかる間接的証拠?




"PCSK9"と、 "3-hydroxy-3-methylglutaryl–coenzyme A reductase (スタチンの治療ターゲット:HMGCR) "をエンコードする遺伝子variationについて、LDLコレステロール減少とそのアウトカムを検討した報告




Variation in PCSK9 and HMGCR and Risk of Cardiovascular Disease and Diabetes
Brian A. Ference,  et. al.
N Engl J Med 2016; 375:2144-2153December 1, 2016
DOI: 10.1056/NEJMoa1604304
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1604304


 proprotein convertase subtilisin–kexin type 9 (PCSK9)の薬物的阻害剤についての心血管・糖尿病リスクについて
 14研究、112,772名のランダム割り付け被検者のPCSK9、HMGCRエンコードするgenetic variantスコア、心血管イベント 14,120、糖尿病 10,635

PCSK9とHMGCRのvariationは、LDLコレステロール 10mg/dL低下毎心血管疾患リスク減少予防作用と相関が観察される : PCSK9 0.81 (95% 信頼区間 [CI], 0.74 to 0.89)  、HMGCR 0.81 (95% CI, 0.72 to 0.90)

両遺伝子variantは共に同様に、LDLコレステロール10mg/dL増加毎糖尿病リスクに影響を与える
 : PCSK9 1.11 (95% CI, 1.04 to 1.19) 、HMGCR 1.13 (95% CI, 1.06 to 1.20)

このリスク増加は、空腹時血糖異常に限定的影響で、心血管イベント予防効果より影響は少ない

両者の存在は、心血管イベントと糖尿病へ付加的影響を与える






スポーツは種類により死亡率減少効果異なる:水泳・エアロビクス・ラケットスポーツは優秀、ランニングは・・・

スコットランド・英国住民基本コホートに基づくスポーツ/運動種類と心血管イベント関連研究


Associations of specific types of sports and exercise with all-cause and cardiovascular-disease mortality: a cohort study of 80 306 British adults
Pekka Oja, et. al
Br J Sports Med doi:10.1136/bjsports-2016-096822



全原因死亡率減少有意にみられたのは

  • サイクリング (HR=0.85, 95% CI 0.76 to 0.95)
  • スイミング (HR=0.72, 95% CI 0.65 to 0.80),
  • ラケット・スポーツ (HR=0.53, 95% CI 0.40 to 0.69) 
  • エアロビクス (HR=0.73, 95% CI 0.63 to 0.85)


有意でないのは

  • フットボール
  • ランニング


CVD死亡率有意減少は

  • スイミング (HR=0.59, 95% CI 0.46 to 0.75)
  • ラケット・スポーツ (HR=0.44, 95% CI 0.24 to 0.83)
  • エアロビクス (HR=0.64, 95% CI 0.45 to 0.92)


有意でないのは

  • サイクリング
  • フットボール
  • サイクリング


暴露・アウトカムの量反応はスポーツ訓練横断的にばらつき

でも、金がかからず、友達がいない人でもできるスポーツとなると・・・




エアロビクス運動全般だと思われるが・・・RSNAで、MCI成人での脳容積改善効果が報告されている
https://www.rsna.org/news.aspx?id=20870

2016年11月30日水曜日

「イニシンク(R)配合錠」の不思議

例えば、メトホルミン徐放剤型なら1日1回で可だろう。だが、

For oral dosage form (tablets):
  • Adults—
    • Metformin alone: At first, 500 milligrams (mg) two times a day taken with the morning and evening meals, or 850 mg a day taken with the morning meal. 

http://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/metformin-oral-route/proper-use/drg-20067074



武田薬品の「イニシンク(R)配合錠」とやらは、徐放ではないだろう
なぜなら、武田薬品自らのウェブ(https://www.takeda.co.jp/news/2016/20160928_7575.html)に「メトホルミンは、1日2~3回投与で肝臓での糖の産生を抑制するビグアナイド薬」と記載。



添付文書を見ると・・・
アログリプチンとして25mg(アログリプチン安息香酸塩として34mg)と メトホルミン塩酸塩500mgの合剤
用法及び用量: 通常、成人には1日1回1錠(アログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg)を食直前又は食後に経口投与する。


最近目立つ、武田薬品の迷走の一つのなのだろうか?
実に不思議な薬剤である

2016年11月29日火曜日

加齢:脳全体同期伝達能力低下をもたらし、年取ると能力低下を他の手段で補う

加齢による能力低下・・・身にしみる

ただ、子供の頃の「天才・秀才」も同じ身の上になるわけだから、少々慰められるか・・・



年齢と共に脳内のcommunicationの変容が生じる

例えば、memory perfomanceでは見いだせない高齢者での変化が脳の活動性変化に見いだされ、高齢になると脳の全領域でsynchronized communicationが失われ、記憶をうまく行うため、様々な戦略でやっと可能になる






脳機能の群間差ではなく、固体内の経年的変化を検討




Individual Differences in Dynamic Functional Brain Connectivity across the Human Lifespan
Elizabeth N. Davison ,et. al.   
Published: November 23, 2016
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pcbi.1005178


4連続認知遂行マルチタスク


脳のfunctional networkの個体差は健康・年齢・能力個体差と関連するかも
fMRIからのdynamicなbrain functionの特性を用いDynamic network theoryが形成されているが、大部分の解析は群間比較である
そこで、hypergraph analysisを用い、dynamic network theoryからの手法で、brain function dynamicsの個体差を質検証
hypergraph formalism由来のsummary metric - hypergraph carinalityを用い、2つの個別、補完的データセットの個体差を検証

第一のデータセット("multi-task")は77名の4つの連続した遂行認知タスク

hypergraph cardinalityは、タスク毎、固体内一致性を示しながら固体別variationを示す ; さらにメモリータスクの一つを解析してhypergraph cardinalityと年齢の有意相関を境界ながら示した。
この知見でsecond data set ("age-memory")の解析の動機づけとなり、95名の個人、18−95歳で、multi-task memory taskの同様のstructureでmemory taskを遂行した
age-memory data setで加齢毎、hypergraph cardinalityと年齢の相関は有意となった


 network structureの加齢関連既知知見について検討し、hypergraph analysisは、脳のdynamic network structureの究明に役立つツールであることが示唆された。




2016年11月22日火曜日

降圧利尿剤(not HCTZ)の股部・骨盤骨折予防効果

主テーマとは異なるが・・・
日本国内ではchlorthalidone使用できない状況となっている。ハイグロトン®をALLHAT研究発表以降使ってたが、その後入手不能の状況になった。日本の高血圧関連学会の臨床意識の低さを表している事例だとおもう。エビデンスなんたらなんて、えらそうに言えないんだよ・・・高血圧学会および関連のお偉いさんたち
HCTZが他サイアザイド系に比べ優秀なのかといえば甚だ疑問・・・おそらくメーカー都合による合剤採用と思う
e.g. Head-to-head comparisons of hydrochlorothiazide with indapamide and chlorthalidone: antihypertensive and metabolic effects.
Hypertension. 2015 May;65(5):1041-6.


以下の降圧剤は、thiazide-type diuretic (chlorthalidone)であり、合剤などで主流となっている、降圧利尿剤HCTZのお話ではないと強調


Association of 3 Different Antihypertensive Medications With Hip and Pelvic Fracture Risk in Older Adults
Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial
Rachel Puttnam, et. al.; for the Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial (ALLHAT) Collaborative Research Group
JAMA Intern Med. Published online November 21, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6821



Veterans Affairsと Medicare claims dataを用いた解析

22180名(平均[SD]年齢 70.4 [6.7]歳;女性 43.0%、非ヒスパニック 白人 49.9%、アフリカ系 31.2%、他の民族 19.1%
masked therapy中 8年間まで (平均 [SD], 4.9 [1.5] 年間)フォローアップ
トライアル完遂後、クレームデータ利用可能な16,622名を5年間追加フォローアップ(平均 [SD]  7.8 [3.1] 年間)。期間中骨折発生338。
クロルサリドン vs アムロジピン or リシノプリルで、補正解析上骨折リスク減少  (ハザード比 [HR], 0.79; 95% CI, 0.63-0.98; P = .04)
クロルサリドン vs リシノプリルでは有意に低下 (HR, 0.75; 95% CI, 0.58-0.98; P = .04)
だが、アムロジピンとの比較では有意差無し  (HR, 0.82; 95% CI,0.63-1.08; P = .17)
トライアル全期間・フォローアップのトライアル後を含めた期間では、累積頻度は非有意:
クロルサリドン vs アムロジピン or リシノプリル (HR, 0.87; 95% CI, 0.74-1.03; P = .10) 、どの治療個別比較でも同様


感度分析にて、ランダム化後1年をベースラインとして使用した場合(薬の骨への影響を考慮)、inトライアル、inトライアル+トライアル後フォローアップでも同様






2016年11月18日金曜日

FEV1/FVC正常・CT上肺気腫の臨床的特徴

LDCT上の気腫有するが気流制限のない喫煙者では、QOL違いあり、急性増悪数、拡散能、6分間歩行中酸素飽和度変化を認める


Clinical Features of Smokers with Radiological Emphysema but without Airway Limitation
Ana B. Alcaide et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.10.044
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2583285


203名の現行・既往喫煙、154名CT上気腫、49名該当せず
LDCT上の気腫患者では非気腫に比べた補正群間差比較

  • 異常DLCO (<80 19="" p="0.02)</li" vs="">
  • 6分間歩行距離SpO2%低下 >4%  (8,5% vs 0%, p= 0,04)
  • quality of life変化 (CAT score ≥ 10) (32% vs 14%, p=0.01)




CATアンケート項目の詳細解析で気腫患者では非気腫に比べ

  •  “chest tightness”  score≥1 (p=0.05)
  •  “limitation when doing activities at home” items (p<0 .01="" li="" nbsp="">
  • 1年前からの急性増悪有意差なし  (0.19 vs 0.04, p=0.02)









2名の評価者:肺実質/window: 1,500 HU 、window center -650 HU
肺実質比率:: mild 0-25%, moderate 26-50%, severe 51-75% and very severe >75% 

2016年11月17日木曜日

米国予防医学専門委員会ガイドライン:心血管疾患一次予防のためのスタチン使用

来年<2017年>、動脈硬化性疾患予防ガイドライン改定だそうだから、隙間をついた「反スタチン・プロパガンダ活動」の絶妙の一撃だった?
いずれにせよ、「スタチン=悪」とする暴論を展開する週刊誌報道は異常だが・・・

結果・・・
脂質低下目標値設定脂質診療ってのは異常では無いのか?
LDL 160 以上あれば即治療開始って診療で良いのか? 
日本の脂質診療の現場は大混乱中!



注意しないといけないのは・・・一次予防に於ける、LDL 190超と家族性の高コレステロール血症の場合
These recommendations do not apply to adults with a low-density lipoprotein cholesterol (LDL-C) level greater than 190 mg/dL (to convert LDL-C values to mmol/L, multiply by 0.0259) or known familial hypercholesterolemia; these persons are considered to have very high cholesterol levels and may require statin use. 


以下の検討の例外




Statin Use for the Primary Prevention of Cardiovascular Disease in Adults
米国予防医学専門委員会 Recommendation Statement
JAMA. 2016;316(19):1997-2007. doi:10.1001/jama.2016.15450
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2584058

少量〜中等量スタチン:40−75歳のCVD既往無し&一つ以上のCVDリスク要素(脂質異常、高血圧、喫煙)&10年間CVDイベントリスク10%以上
 (B recommendation)


 臨床家は選択的に少量〜中等量スタチン使用を選択的に投与すべき:40−75歳のCVD既往無し&一つ以上のCVDリスク要素&10年間CVDイベントリスク7.5%〜10%
 (C recommendation)


 現行エビデンスは、76歳以上でスタチン開始に関する有益性・有害性バランス評価不十分 (I statement)











COPD:β遮断剤underuse問題

訴訟社会故必然なのだろうが、添付文書ってのはメーカー責任逃れに終始している。
COPDでは喘息合併が多く「気管支喘息、気管支痙攣の恐れ」に対するアーチストの禁忌記載 (http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2149032F1021_2_10/)がある。
一方では、β遮断剤処方すべき症例にされてない多くの症例が存在することが予想される。

COPDは全住民の6−10%ほど、65歳超では11−18%ほど罹患している病気である。高齢者が主たる疾患のため、心不全、冠動脈疾患、高血圧など併存は当然ながら多く、共通するリスク故か、COPD患者での併存率は非COPD患者に比べて多い。(https://copdrp.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40749-015-0013-y)


故に、COPD患者でも 選択的β遮断剤使用の出番は多いはずだが・・・



メインテート及び同成分貼付剤のみ利用可能という状況故か?

日本でも、underuseの懸念大いにある

以下は、オーストラリアでの事情・・・


Beta-blockers are under-prescribed in patients with chronic obstructive pulmonary disease and co-morbid cardiac disease
P. A. Neef, et. al.
Internal Medicine Journal 3, Nov. 2016
DOI: 10.1111/imj.13240View/save citation
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/imj.13240/abstract

オーストラリア三次病院に於けるβ遮断剤処方の後顧的評価

既知心疾患適応患者の45%未満でしかβ遮断剤処方されず







COPD患者の心疾患ケアは不当に予後悪化をもたらすであろう差別を受けてるのである。
このunder-treatment現象は国際的にも共通とdiscussionに書かれている。




2016年11月11日金曜日

筋炎関連間質性肺病変

間質性肺炎は、特発性炎症性筋炎患者の合併症・死亡率の上でも間質性肺炎の存在は重要で、その併発率も高い・・・ということでレビュー




Management of Myositis-Related Interstitial Lung Disease
Julie Morisset, et. al. Chest. 2016;150(5):1118-1128. doi:10.1016/j.chest.2016.04.007 

・heterogenousな初期所見・臨床経過;無症状・インシデンタルな場合、急速進行型も存在
・病歴・身体所見と、検査データ/画像などでILD患者の評価を行うことで筋炎の診断示唆する場合もある
・有症状肺疾患患者では、急性/亜急性/慢性の臨床特徴でカテゴライズ
・筋疾患重症度(有症状から最小/無症状まで)あり、筋症状発症もまたILDに続くこともあれば、肺疾患所見のみがdominatという場合もある
・ILD関連筋炎では、HRCTにおいて、両側網状・ガラス状陰影が最も多く、コンソリデーションの面積が器質化肺炎の存在を示唆する
・手術的肺生検適応は多くないが、施行例での組織パターンはNSIPが最も多い。DADと器質化肺炎も。UIPパターンは他の組織パターンより有意に少ないが存在はする。
・ILD関連筋炎は、併発症・死亡率有意に関連
・後顧的シリーズ研究では炎症性筋炎では、ILD有無で10年生存率それぞれ 71%、89%。最近の研究ではILD急性/亜急性、高齢、FVC低下、CADM(ADM - clinically amyopathic dermatomyositis)はILD関連筋炎で死亡率高い。25%がこの研究ではフォローアップ中死亡
※筋炎症状(筋力低下や血清筋原性酵素の上昇)の乏し い CADM は,抗 ARS 抗体などの筋炎特異自己抗体が 検出されず,治療抵抗性の急速進行性間質性肺炎を併発 するのが特徴とされている.近年 CADM 患者に特異的 に認められる抗 CADM-140 抗体が発見


治療薬

  • プレドニゾロン
  • Cyclophospamide(CYC)
  • Mycophenolate mofeti
  • Azathioprine
  • Calcineurin inhibitor:Cyclosporine A/tacrolimus
  • Rituximab
  • IVIG:Intravenous immunoglobulin

比較研究は少ない、前向き研究は存在しない
女性にはAZA以外、喫煙既往者にはCYCなどと報告するもエビデンスとしては乏しい
治療で、FVC 5%、DLCO 2.93%改善(Mira-Avendano et al



2016年11月8日火曜日

非空腹時高トリグリセライド血症は急性膵炎リスク


"Plasma levels of nonfasting triglycerides (n = 116 550), lipase (n = 15 856), and pancreatic amylase (n = 92 672) were mea- sured on fresh blood samples with use of standard hospital as- says. Nonfasting triglycerides are maximally increased by 26 mg/dL (0.3 mmol/L) after intake of habitual meals com- pared with fasting triglycerides"と書かれている以外、採血タイミング記載分からない(渡しが見逃してるだけかもしれないが・・)


Nonfasting Mild-to-Moderate Hypertriglyceridemia and Risk of Acute Pancreatitis
Simon B. Pedersen,  et. al.
JAMA Intern Med. Published online November 7, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6875


前向きコホート研究:Copenhagen General Population Study(2003 to 2015 )とCopenhagen City Heart Study (開始: 1976 to 1978 ):フォローアップ 1981-1983年、2001-2003年
フォローアップ中央期間: 6.7 年間 (interquartile range, 4.0-9.4 年間)
トリグリセライド測定 116,550名 (Copenhagen General Population Study (n = 98 649),Copenhagen City Heart Study (n = 17 901))

イベント、死亡、移住、フォローアップ終了 (November 2014)までいずれかまでをフォローアップとする

暴露:非空腹時血糖値

主要アウトカム・測定: ハザード比:急性膵炎(n=434)、心筋梗塞 (n=3942)

全体的に、この研究では116,550名を含み(年齢中央値[IQR] 57 [47-66]歳)
血中トリグリセライド(TG) < 89 mg/dLに比べ、急性膵炎多変量補正ハザード比(HRs)

  • 89 mg/dL to 176 mg/dL (1.00 mmol/L-1.99 mmol/L) 1.6 (95% CI, 1.0-2.6; 4.3 イベント/1万人年)
  • 177 mg/dL to 265 mg/dL (2.00 mmol/L-2.99 mmol/L) 2.3 (95% CI, 1.3-4.0; 5.5 イベント/1万人年)
  • 366 mg/dL to 353 mg/dL (3.00 mmol/L-3.99 mmol/L) 2.9 (95% CI, 1.4-5.9; 6.3 イベント/1万人年)
  • 354 mg/dL-442 mg/dL (4.00 mmol/L-4.99 mmol/L) 3.9 (95% CI, 1.5-10.0; 7.5 イベント/1万人年)
  • 443 mg/dL (≥5.00 mmol/L)以上 8.7 (95% CI, 3.7-20.0; 12 events/10 000 人年)
  • (trend, P = 6 × 10−8)


 同様に心筋梗塞HRs

  • 1.6 (95% CI, 1.4-1.9; 41 イベント/1万人年)
  • 2.2 (95% CI, 1.9-2.7; 57 イベント/1万人年)
  • 3.2 (95% CI, 2.6-4.1; 72 イベント/1万人年)
  • 2.8 (95% CI, 2.0-3.9; 68 イベント/1万人年)
  • 3.4 (95% CI, 2.4-4.7; 78 イベント/1万人年) (trend, P = 6 × 10−31)



 急性膵炎多変量補正HRは
 89 mg/dL (1 mmol/L)増加あたり 1.17 (95% CI, 1.10-1.24)

 性別、年齢、教育、喫煙、高血圧、スタチン使用、研究コホート、糖尿病、BMI補正、アルコール、胆石疾患層別化後、この結果は相互作用統計学的エビデンスみとめず






2016年11月6日日曜日

【肺炎】プロカルシトニン:人工呼吸・昇圧剤必要性リスクの予測要素

Procalcitonin結果即わかるなら利用したいが、田舎では実用性にまだまだ時間がかかるのだろう・・・






procalcitonin as an early marker of the need for invasive respiratory or vasopressor support in adults with community-acquired pneumonia
wesley h. self,  et. al.
chest. 2016;150(4):819-828. doi:10.1016/j.chest.2016.04.010


市中肺炎入院成人他施設前向きコホート研究
72時間以内IRVS: invasive respiratory or vasopressor support必要性予測

1770登録、115(6.5%) IRVS

pct未検出(<0 .05="" 3.1="" 4="" ci="" ml="" ng="" p=""><10 irvs="" ml="" ng="" p="">
10 ng/ml濃度では、IRVSリスク 22.5% (95% ci, 16.3%-30.1%)で、10 mg/ml超なら比較的一定なリスク













今年の4月、マイコプラズマ肺炎当院で目立ち始めた。
なんと、今月 マイコプラズマ抗体査定された・・・ 査定へ異議申し立て書いたがもし認められなかった場合、全国的に大流行となっている現状に鑑み、大騒ぎをしたいと思う。公衆衛生の観点からも許されない経済査定を看過してはならないと思うが・・・同業者の皆さんどうお考え?

喫煙関連がんの遺伝子変異スペクトラム

日経新聞から




受動喫煙の場所に、「公共交通機関・行政機関・学校・医療機関」がランクインするなんてあんまりだと思う。寿司屋でも喫煙許しているところがあるがあれは言語道断。




この記事気になってたので、原文を探ってみた

<たばこ>喫煙で遺伝子変異増加…長く多く吸う人ほど蓄積
毎日新聞 11/4(金) 3:00配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161104-00000003-mai-soci



チームは、17種類のがん患者5243人を対象に、たばこを吸う人と吸わない人で遺伝子に違いがあるかを解析。その結果、肺、喉頭、口腔(こうくう)、膀胱(ぼうこう)、肝臓、腎臓のがんは、喫煙者の方が遺伝子の突然変異が多かった。最も多い肺がんでは、毎日1箱(20本)を1年間吸うと150個の突然変異が蓄積すると推計された。
新聞でも紹介されているが・・・





序文の一部
喫煙は少なくとも17種以上のがんと関連。年間600万人を超える生命危機関係している。タバコの煙は化学物質の集合体であり、発がん性物質を60超含む、DNAにダメージを与え、misreplicate(複製異常)を生じるなら体細胞遺伝子異常のburden増加し、がん遺伝子のdriver mutationを獲得する確率増加する。喫煙に直接晒される、肺などの組織は、DNA付加物量増加し、タバコの煙の発がん性成分に暴露される。体細胞における遺伝子変異を生じるどの生物学的プロセスにもmutational signatureが関与し、多くのがんはTP53遺伝子の体細胞での変異が見られ、非喫煙者肺がんより喫煙者肺がんではC>A transversionが多いなど。
systematic cancer genome sequencingによりmutation catalog数千があり、6つのsubstitution typeを含む96-mutation classificationを用いたmutation signatureを検討

塩基の substitution、small insertions and deletions (indels)、genomic rearrangement数を検討し、全てのがんで、喫煙者においてbase substitutionが多く、個別がん種、肺、喉頭、口腔、膀胱、肝臓、子宮頸部、腎臓、すい臓がんで体細胞遺伝子変異を喫煙 vs 非喫煙でmutational consequeneが検討


Mutational signatures associated with tobacco smoking in human cancer
Ludmil B. Alexandrov et. al.
Science  04 Nov 2016: Vol. 354, Issue 6312, pp. 618-622
DOI: 10.1126/science.aag0299


Alexandrov らは、 変異スペクトラム(mutational spectrum, mutational signature)解析とDNAのメチル化を、喫煙者からの17種類のがんに置いて、5千超のゲノム検索

多数の違う変異スペクトラムによる変異burden増加、それが、様々ながんに広く関与する
このスペクトラムの一つが、タバコの発ガン因子によるDNA損傷のmisreplicationで、喫煙によりダイレクトに暴露された組織に見出された。
また、他に、APOBEC cytidine deaminaseによるDNA editingの間接的活性化やendogenous clocklike mutational processの活性化を反映する


メチル化に関しては、喫煙は限定的差の関与のみ

喫煙によるがんリスク増加は、somatic mutation load増加によるものだが、一方、喫煙関連のがんにおいてこのメカニズムの直接のエビデンスは不足しているものも存在する









2016年11月5日土曜日

加工肉摂取は COPDのリスク

加工・非加工肉摂取とCOPDリスクを前向きコホートで検討



Consumption of Unprocessed and Processed Red Meat and the Risk of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Prospective Cohort Study of Men
Joanna Kaluza , et. al.
doi: 10.1093/aje/kww101
First published online: October 27, 2016
http://aje.oxfordjournals.org/content/early/2016/10/26/aje.kww101.short


大規模住民ベース前向きコホートでは、加工レッドミートの摂取量とCOPDリスクは関連があるが、未加工レッドミートとの相関性は必ずしも明らかでない。
この報告も以前の報告、(Health Professionals Follow-up Stud、 Nurses’ Health Study) と2つの横断研究と一致し、cured meatとCOPDリスクの相関性が認められた



加工・未加工レッドミートともに消費量と、主要慢性疾患リスク増加とは相関性あり、しかし、COPD関連において加工ミートのみ知られていた。COPDと加工・未加工レッドミートとの相関に、喫煙状態を斟酌。住民ベース前向き Cohort of Swedish Men 、 43,848 名男性 (45-79歳)、COPD・がんの病歴なし、肉摂取量を1997年アンケート自己報告 フォローアップ13.2年間、 1909 COPD症例確認
加工肉摂取量とCOPDリスク相関;加工肉75g/日以上の高摂取量では加工肉25g/日未満に比べ多変量補正ハザード比  1.21 (95% 信頼区間: 1.02, 1.44; P for trend = 0.03)

現行喫煙限定でこの正の相関確認 (P for interaction = 0.003)
加工肉75g/日以上の高摂取量では加工肉25g/日未満に比べハザード比 1.26 (95% 信頼区間: 1.00, 1.60)
未加工レッドミートはCOPD発症と相関せず







加工レッドミートは、添加物、亜硝酸塩(保存剤、抗菌、着色固定目的)とともにpro-inflammatory propertyを有しているなど考察されている。 過酸化亜硝酸(peroxynitirite)は肺内抗酸化作用を障害し、DNA損傷・ミトコンドリア呼吸障害・蛋白のmodification、細胞機能障害を生じる可能性

・・・など考察されている




2016年11月2日水曜日

アジア人のための臨床コンセンサスガイドライン:肺結節陰影評価

アジアでの肺がんの特徴、40代、50代の若年肺がん多く、非喫煙者も多いが、それ以外のリスク要素、重篤な大気汚染、揮発性料理油の問題、そして結核有病率・発症率の高さがその特徴である。


故に、アジア特有の臨床街ガイドラインに必要性がクローズアップされてきた。

一方、このガイドラインは、中国・香港・シンガポール・韓国の名はあっても日本の名はない。日本では・・・適応されない?



Evaluation of Pulmonary Nodules:
Clinical Practice Consensus Guidelines for Asia
Chunxue Bai, et. al.
Chest. 2016;150(4):877-893. doi:10.1016/j.chest.2016.02.650
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=2499558

アジアでは、CHESTガイドラインを暫定的な重要資料として使用しているが、屋内・屋外大気汚染高濃度、女性非喫煙者の腺癌頻度の高さなど考慮すべき事項あり、肉芽種性疾患や他の感染症による結節陰影も多く、考慮すべき事が多い。
非アジア人種に基づき開発された診断リスク計算はそのままでは適応できないことは予測できる
結節陰影に関して、CHESTガイドラインより長期間のサーベイランスを考慮されるべき










Gould MK, Donington J, Lynch WR, et al. Evaluation of individuals with pulmonary nodules: when is it lung cancer? Diagnosis and management of lung cancer, 3rd ed: American College of Chest Physicians evidence-based clinical practice guidelines. Chest. 2013;143:e93S-120S 

2016年11月1日火曜日

栄養研究:企業スポンサーシップ影響大

肥満、糖尿病、心血管疾患のリスク軽減を念頭に置いた食生活のガイドライン策定の上ではシステマティック・レビューがその根拠となる。研究資金の問題が注目され、エビデンス構築上のバイアス批評がなされることが多くなってきた。

栄養(学)研究の利益相反の問題で、出版研究にて食品産業関与している場合企業に有利な結論に偏ってるのではないか?、方法論的な質に差があるのか?



栄養研究に関して企業スポンサーシップ影響大

食品製造業の関わる栄養研究の結果は、スポンサーシップのない研究に比べ、メーカーに都合の良い結論が多く、その差も意味あるものではないことが多い

システマティック・レビューとメタアナリシスを12の報告と、340の研究を含む8報告を合わせ検討

Association of Industry Sponsorship With Outcomes of Nutrition Studies
A Systematic Review and Meta-analysis
Nicholas Chartres, et. al.
JAMA Intern Med. Published online October 31, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6721



肥満と加糖飲料、遺伝子組み換え食品の健康リスクと栄養効果、肥満と栄養RCTsのquality reporting score、ソフトドリンク・ジュース・ミルク摂取による健康への影響、除脂肪オレストラの安全性・有効性、加糖飲料摂取量の体重への影響、symbiotice/protiotic/prebioticサプリメントの有効性・安全性、栄養研究のreport quality調査、小児カルシウムサプリメントと骨健康、減量長期介入、ソフトドリンク摂取量の栄養と健康アウトカムの相関性、肥満関連研究






5つの研究でmehodological quality評価し、特に、企業スポンサーシップの関連性認めず



 Five reports assessed methodological quality; none found an association with industry sponsorship.

腹部大動脈瘤の検診

64-83歳男性を腹部動脈瘤検診では死亡率全般に関わる効果認めない




Long-term Outcomes of the Western Australian Trial of Screening for Abdominal Aortic Aneurysms
Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial
Kieran A.
McCaul, et. al.
JAMA Intern Med.
Published online October 31, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6633

64-83歳の男性;腹部大動脈瘤(AAAs)スクリーニング効果
AAA破裂による死亡率改善効果の検討
49,801名登録、除外後、介入(invite)群19,249、対照群 19,231


待機手術:536 vs 414, P < .001 (介入群 vs 対照群)
AAAs破裂:72 vs 99, P = .04

(全年齢を含む全体検討で)AAAS死亡: 90 vs 98 (10万人年対 47.86 ; 95% CI, 38.93-58.84 vs 52.53 ;95% CI, 43.09 - 54.03)
相対比 0.91 (95% CI, 0.68 - 1.21)

65-74歳男性におけるAAA死亡率は、10万人年対 34.52 (95% CI, 26.02-45.81)  vs 37.67 (95% CI, 28.71-49.44) l rate ratio of 0.92 (95% CI, 0.62-1.36)


5年間に於けるAAA1死亡回避NNTは64-83歳で 4784、65-74歳で 3290

全原因・心血管・他原因死亡率において有意な差を認めず

2016年10月21日金曜日

高齢COPD:オピオイド使用と呼吸器系副作用







Incident opioid drug use and adverse respiratory outcomes among older adults with COPD
Nicholas T. Vozoris ,et. al.
Eur Respir J 2016; In press
http://erj.ersjournals.com/content/early/2016/07/13/13993003.01967-2015

後顧的住民ベースコホート:行政データ、66歳以上COPD患者
対照群比較による30日内オピオイド使用の副事象呼吸アウトカム比較推定propensity score荷重確率

オピオイド使用発生は、COPDあるいは肺炎理由によるER受診増加 (HR 1.14, 95% CI 1.00–1.29; p=0.04)、 COPD or 肺炎関連死亡率増加  (HR 2.16, 95% CI 1.61–2.88; p<0 .0001="" 1.57="" 1.76="" 95="" ci="" p="">しかし、外来急性増悪減少有意 (HR 0.88, 95% CI 0.83–0.94; p=0.0002)


よりpotentialの高いオピオイドのみが外来急性増悪、ER受診、COPD・肺炎入院、COPD・肺炎関連死亡率を増加する





more potent opioid:hydromorphone、 fentanyl 、levorphanolと書かれているが、フェンタニル以外、日本ではまだ発売されてない
国内でのピオイド性鎮痛薬(強オピオイド)は、"モルヒネ、オキシコンチン、フェンタニル、タペンタドール”とされるが、そのように読み替えてもいいかどうかも?

「地域居住高齢者でのpotentialの低いオピオイド使用は呼吸器リスク少ないだろう
しかし、よりfrailな長期ケア施設居住者は重篤な副事象を受けやすくなるかもしれない」と論文解説にあり

2016年10月20日木曜日

ICU酸素投与理念:Conservative vs Conventional

72時間以上ICU滞在した重症患者において
ICU酸素投与理念:Conservative vs Conventional 
どっちが正しいでしょう?

conventionalが過剰投与気味:不安な新人医療従事者がやりがちな方法

予備的検討で多施設検討が必要と筆者等も記載しているが・・・


Effect of Conservative vs Conventional Oxygen Therapy
on Mortality Among Patients in an Intensive Care Unit
The Oxygen-ICU Randomized Clinical Trial
TRIALREGISTRATION clinicaltrials.govIdentifier:NCT01319643
JAMA. 2016;316(15):1583-1589. doi:10.1001/jama.2016.11993
対象:Modena 大学病院(イタリア)のmedical-surgical ICU

conservative(保守的) vs conventional(慣習的)って日本語になるのだろうが・・・

酸素投与
PaO2 70-100 mm Hg あるいは SpO2 94-98%維持 (conservative group)
標準ICU診療にしたがい、PaO2値を 150 mm Hgまでもしくは SpO2を 97%-100%まで増加(conventional control group)

主要アウトカム/測定 プライマリアウトカム:ICU死亡率、セカンダリアウトカムは、ICU入所後48時間新規臓器不全・感染

434名(年齢中央値 64歳;女性 43.3%)
酸素投与宝
・conservative (n = 216)
・conventional  (n = 218)
modified intent-to-treat analysis


ICU入室中昼間荷重PaO2平均化は、conventional群で有意増加 (P < .001)   (中央値 Pao2, 102 mm Hg [中間4分位, 88-116]) vs the conservative 群 (median Pao2, 87 mm Hg [interquartile range, 79-97])
ICU入室中死亡
conservative群  25 (11.6%)
conventional 群 44 (20.2%)
(絶対的リスク減少 [ARR], 0.086 [95% CI, 0.017-0.150]; 相対リスク [RR], 0.57 [95% CI, 0.37-0.90]; P = 0.01)


conservative oxygen therapy群では以下発生リスク減少
新規ショックエピソード(ARR, 0.068 [95% CI, 0.020-0.120]; RR, 0.35 [95% CI, 0.16-0.75]; P = 0.006)
冠不全(ARR, 0.046 [95% CI, 0.008-0.088]; RR, 0.29 [95% CI, 0.10-0.82]; P = 0.02)
新規血行感染 (ARR, 0.05 [95% CI, 0.00-0.09]; RR, 0.50 [95% CI, 0.25-0.998; P = 0.049)







救急搬送時につきあうことがあるが、救急隊員もconventionalな対応と取ることが多い

片頭痛:口腔内細菌叢との関わり




亜硝酸塩は、心臓疾患治療薬や食物にも含まれ、頭痛の引き金とされる。亜硝酸塩の一酸化窒素への変換メカニズム、いわゆる脱窒、この機能と関係する通性嫌気性細菌が口腔内に存在し、 salivary nitrate-nitrite-nitric oxide pathwayにてNO濃度のトリガーとなる


American Gut Projectで、PICRUSt と呼ばれるbioinformatic toolを用い、片頭痛患者では、亜硝酸塩をmodifyする能力を持つ口腔内・腸内微生物叢が多いことを見いだした。
片頭痛持ちでは、口腔内に、nitrate、nitrite、 "nitric oxide reductase gene"が多く存在。糞便中は有意だが差は少ない。



Migraines Are Correlated with Higher Levels of Nitrate-, Nitrite-, and Nitric Oxide-Reducing Oral Microbes in the American Gut Project Cohort
Antonio Gonzalez, et. al.
mSystems
DOI: 10.1128/mSystems.00105-16



解説:

https://www.asm.org/index.php/mbiosphere/item/3050-your-next-migraine-might-be-thanks-to-your-mouth-microbes




https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-10/asfm-msh101416.php

片頭痛なしの心血管疾患にも役立つ習慣として、"magical probiotic mouthwash"って発想をもってるらしい。

2016年10月19日水曜日

COPD急性増悪:肺動脈/大動脈比 > 1の意義

COPD急性増悪(AECOPD)患者において肺動脈/大動脈比 >1指標心機能障害や重症入院臨床経過に関連する



Pulmonary Artery Enlargement Is Associated With Cardiac Injury During Severe Exacerbations of COPD
J. Michael Wells, et. al.
Chest. 2016;149(5):1197-1204. doi:10.1378/chest.15-1504

総計134名、平均年齢 65 ± 10歳、男性 47%、白人 69%、平均 FEV1 47% ± 19%

PA/A比増加は、ベースラインから急性増悪までで増加 (0.97 ± 0.15 from 0.91 ± 0.17; P < 0.001)
より若年であること&既知肺高血圧は急性増悪PA/A比と独立関連

PA/A比 > 1 は、トロポニン高値と相関

PA/A比 >1 & トロポニン値 > 0.01 ng/mLは、両要素なしに比べ、急性呼吸不全増加し、同様、ICU入院、院内死亡率増加と関連 (P = .0028)
PA/A比は、AECOPDフォロー後ベースラインに回帰する




A:肺動脈径、BとC:上行大動脈の直交測定値 肺動脈/大動脈比 > 1










COPDは併発症として、肺癌・心疾患なども多く、その評価は重要
急性増悪の度、CTってことは私自身はしてないが、

「デパス依存」都道府県 と同じ手法で・・・
全く関係ないが、都道府県別CT実施数(年齢・高齢化補正比率)


ひとりあたりの医療費は「西高東低」というが、実際そうなのだろうか?
もちろん、CT回数多いほど質の高い医療とは言えないし、少ないほど良いわけでもないが・・・
いくつかの医療内容指標を、人口・高齢化比補正したところ、どうもそれほど単純じゃないと思うようになった




だれも、調べないだろう・・・「うがい薬」の都道府県別/人口・高齢化補正後




2016年10月18日火曜日

高血圧:変形性関節症 β遮断剤使用により疼痛スコア改善、オピオイド使用減少

変形性関節症の二次医療コホート研究、GOAL studyからのデータ




Beta-blocker use associates with lower prevalence of joint pain and lower opioid requirement in people with osteoarthritis
Ana M Valdes, et. al.
Arthritis Care & Researcch 1 Oct. 2016

873名の有症状変形性股・膝関節症と高血圧患者
降圧剤1処方以上使用者、45%がβ遮断剤
中等度以上の関節痛 WOMA < 75


平均年齢約69歳、46%女性、平均BMI 30ちょっと超えた位


年齢、性別、BMI、膝・股関節変形性関節症、他の関節置換術病歴、うつで補正

β遮断剤はWOMAC疼痛スコア低下と相関し、住民統計指標・併存症補正後も関節痛頻度低下と相関 aORpain 0.68 (95% C. 0.51-0.92, P<0 .011="" br="">
α遮断剤にて疼痛出現の相関性認めず  aORpain 0.94 (95% CI 0.55-1.58) 、他の降圧剤でも同様

β遮断剤処方は、オピオイド使用と逆相関 : aORopioids 0.73 (95% CI 0.54-0.98, P<0 .037="" br="">一般の鎮痛剤使用と逆相関  aORanalgesics 0.74 (95% CI 0.56-0.94, P<0 .032="" br="">
β遮断剤使用期間は有意に関節痛リスク減少と関連 : OR per 1-year increase in use 0.96 (95% CI 0.93-0.99, P<0 .004="" p="">

診察室:自動血圧測定高血圧閾値は 131/85?

 Manual office blood pressure (BP) では、測定者の技術の問題と白衣高血圧の問題が伴う。
一方、 Automated office BP (AOBP)  では安静状態にのみ依存し多数計測にて過誤を極力除外できるはず。

AOBPの閾値設定

2145名、平均年齢 47.3±11.3歳対象に閾値設定



Threshold for diagnosing hypertension by automated office blood pressure using random sample population data
Wohlfahrt, Peter, et. al.
Journal of Hypertension: November 2016 - Volume 34 - Issue 11 - p 2180–2186


中等度以上左室駆出率低下型心不全患者:カフェイン投与による不整脈への急性影響みとめず

二重盲検のきっちりした研究

中等度以上の左室駆出率低下型心不全患者へのカフェイン投与による不整脈への急性影響みとめず





Short-term Effects of High-Dose Caffeine on Cardiac Arrhythmias in Patients With Heart Failure
A Randomized Clinical Trial
Priccila Zuchinali, S et. al.
JAMA Intern Med. Published online October 17, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6374

2重盲検ランダム化臨床トライアル・交差デザイン:心不全・心移植クリニック(三次大学病院)
中等度・重症収縮機能障害を有する慢性心不全患者(LVEF < 45%)、NYHA I - III
(2013年3月5日〜2015年10月2日)


1時間の間隔を置いて100mLの脱カフェイン 5 doseに加え
カフェイン 100mg or ラクトース・カプセル
総量カフェイン 500mg or プラシーボ、5時間プロトコール
1週間のwashout期間をおいて、プロトコール反復


主要アウトカム・測定:心室性、上室性期外収縮:連続心電図モニタリング


51名(37 [74%] 男性、平均[SD]年齢 60.6[10.9]歳]、主に中等度/重症左室収縮期機能障害  (平均 [SD] 左室駆出率, 29% [7%]); ICD装置植込 31 [61%]

連続心電図モニタリングにて、以下の数、カフェイン vs プラシーボ有意差なし
・ 心室性(185 vs 239 beats, respectively; P=0.47)
・ 上室性 (6 vs 6 beats, respectively; P=0.44)
・ 二連発、 二段脈、 非持続性頻拍

運動負荷変数、心室性・上室性期外収縮beat、運動時間、推定peak酸素消費量、心拍はカフェイン摂取で影響されず

 血中カフェイン濃度最高濃度患者は、最小濃度患者に比べて、心室性期外収縮増加もたらさず (P=0.91) 、プラシーボ群比較でも同様 (P=0.74)
 




食品名  カフェイン含有量  備考 
コーヒー  60 mg/100ml  浸出方法:コーヒー粉末10 g/熱湯150 ml
インスタントコーヒー  57 mg/100ml  浸出方法:インスタントコーヒー 2 g/熱湯 140 ml
紅茶  30 mg/100ml  浸出方法:茶5 g/熱湯360 ml、1.5~4分
せん茶  20 mg/100ml  浸出方法:茶 10 g/90°C430 ml、1 分


https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf

2016年10月17日月曜日

同一ベッド先行患者抗生剤使用によるるC.difficile感染

CDI(C. difficile)の院内感染は、患者本人としては「抗生剤使用、70歳超、制酸剤、免疫抑制剤、sCr増加、アルブミン値低下、ICU」がリスク要素


論文序文によると、CDIでの米国内死亡者は推定年間2万7千名
しかも、C. difficileは院内感染が最も多い原因

「ベッド、ベッドレール、床などから検出され、同室者がCDIのとき、CDIリスク増加する」だけでなく、同じ部屋の連続的使用者でのCDIリスク増加が示唆されていた




Receipt of Antibiotics in Hospitalized Patients and Risk for Clostridium difficile Infection in Subsequent Patients Who Occupy the Same Bed
Daniel E. Freedberg, et. al.
JAMA Intern Med. Published online October 10, 2016. doi:10.1001/jamainternmed.2016.6193


後顧的コホート研究

前のベッド使用者が非C. difficile感染抗生剤使用暴露であったとき、その後のベッド使用者のC. difficile感染発生リスク

一定のベッド連続使用ペア10万615で、CDI発症 576 (0.57%)
前の患者が抗生剤使用した場合、その後のCDI発症有意増加 (log-rank P < 0.01)

その後の患者の抗生剤を含めたCDI既知リスクへの相関の影響は不変(補正ハザード比 [aHR], 1.22; 95% CI, 1.02-1.45)
CDI発症した先行患者での後の患者1497名を除外しても同様  (aHR, 1.20; 95% CI, 1.01-1.43)

抗生剤意外に、ベッド先行使用者に関連する他の要素はその後の患者のCDIリスク増加と相関











"抗生剤使用者同一ベッド連続使用による感染”は、医療の現場からすればインパクトのある話である

「デパス依存」都道府県

"第1回NDBオープンデータ"
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html

・・・このアドレスを教わったので・・・



ちょと データ遊び


処方数を、人口/高齢化補正してデータならべてみた
(高齢者比率で人口を補正してみた)


「デパス」(院外処方数)


沖縄と東京、新潟、新潟、宮城あたりが多い


人口・高齢化補正
北海道11555462.36
青森県9839326.898
岩手県15260656.14
宮城県16531863.67
秋田県12651802.28
山形県7507283.114
福島県15216738.23
茨城県14982865.74
栃木県13236807.08
群馬県10489229.27
埼玉県13692560.18
千葉県10719848.21
東京都19497839.22
神奈川県14413147.36
新潟県17835744.68
富山県7586587.651
石川県8967130.811
福井県6554521.335
山梨県13373002.05
長野県9376058.191
岐阜県10917050.27
静岡県10994683.32
愛知県12748879.74
三重県10775971.66
滋賀県13037512.23
京都府9812851.152
大阪府11637500.62
兵庫県11182010.24
奈良県8968878.431
和歌山県8819944.158
鳥取県9235797.768
島根県9337418.368
岡山県9868287.246
広島県12917686.57
山口県9952774.55
徳島県11567992.16
香川県10603272.32
愛媛県8487274.571
高知県10875622.06
福岡県13594791.81
佐賀県12654807.31
長崎県9762364.271
熊本県12292000.79
大分県10172933.74
宮崎県10729206.92
鹿児島県9167170.881
沖縄県20301061.33





ハルシオン依存都道府県も同様・・・








東京都の医者はレベル(モラル)が低い・・・と批判されてもしかたない


2016年10月12日水曜日

二重盲検ランダム化研究:喘息にHalotherapy: 塩部屋療法?

Thalassotherapy:タラソテラピー(海水療法)は見聞きしてたが、salt room chambers (halotherapy) って初めて見聞きした。

タラソテラピー盲検化困難そうだが、こちらは比較的容易?


Halotherapy as asthma treatment in children: A randomized, controlled, prospective pilot study
Authors
Ronen Bar-Yoseph , et. al.
Pediatric Pulmonology . First published: 10 October 2016
DOI: 10.1002/ppul.23621View/save citation
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ppul.23621/abstract


(5-13歳、軽症喘息診断、抗炎症治療無し)
二重盲検・ランダム化研究
・halogenerator (treatment group)
・without halogenerator (control group)

アウトカムは、気道過敏性、FeNO、スパイロメトリ、小児QOLアンケート(PAQLQ)
7週間、14セッションの介入

halotherapy 29、対照群 26

統計学的有意改善がBHRデ見られた

他、スパイロメトリ、FeNO値では改善認めず

QOLアンケートの多くのパラメータ改善効果あり



あくまでも、無治療との比較なので、吸入治療など標準治療と比較は正当化されない代替療法

2016年10月10日月曜日

DOAC:NVAF ガチンコ比較 ダビガトラン:プラザキサ、リバーロキサバン:イグザレルト、アピキサバン:エリキュース

DOAC:NVAF ガチンコ比較 ダビガトラン vs イグザレルト
http://kaigyoi.blogspot.jp/2016/10/doacnvaf-vs.html



ダビガトラン:プラザキサ、リバーロキサバン:イグザレルト、アピキサバン:エリキュースの比較

上の報告と合わせ見れば、イグザレルト終わったかもしれない

Direct comparison of dabigatran, rivaroxaban, and apixaban for effectiveness and safety in non-valvular atrial fibrillation
Peter A. Noseworthy,et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.07.013

背景  非ビタミンK拮抗剤経口抗凝固剤(NOACs)の導入は心房細動での卒中予防にとって重大な進歩。患者と臨床家は様々なNOACsを選択する立場にある。しかし、意思決定をガイドする直接比較エビデンスは存在しなかった。
今回、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンの有効性安全性の比較を臨床で行ったもの


方法  大規模米国行政claimsデータベースを用い、非弁膜症心房細動(AF)患者での3つの 1:1 propensity-score マッチ化コホート、10/1/2010-2/28/2015間の、 ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン
 (Rivaroxaban versus dabigatran [N=31,574]
apixaban versus dabigatran [N=13,084]
apixaban versus rivaroxaban [N=13,130])
プライマリアウトカムは、治療に関わる、全身性塞栓(有効性)と重大出血(安全性)

Cox proportional hazards modelをpropensity-scoreマッチ化コホートでアウトカム比較


結果  3つのNOAC間に、卒中・全身性血栓リスクの有効性の差は認めず
(ハザード比 [HR]: 1.00 [0.75, 1.32] for rivaroxaban versus dabigatran; 0.82 [0.51, 1.31] for apixaban versus dabigatran; and 1.05 [0.64, 1.72] for apixaban versus rivaroxaban)

アピキサバンは重大出血リスク減少と相関
(HR 0.50 [0.36, 0.70], p<0 .001="" 0.39="" 0.54="" and="" br="" dabigatran="" p="" rivaroxaban="" versus="">
リバーロキサバンは、対ダビガトラン比較で、重大出血リスク、頭蓋内出血の増加と相関
 (HR 1.30 [1.10, 1.53], p<0 .01="" 1.79="" 2.86="" br="" nbsp="" p="">

結論
ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバンは有効性同等
しかし、アピキサバンは出血リスク減少と相関
リバーロキサバンは出血リスク増加と関連





noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note