2014年2月7日金曜日

AHA/ASAガイドライン:女性卒中予防のためのガイドライン

AHA/ASA Guideline
Guidelines for the Prevention of Stroke in Women
A Statement for Healthcare Professionals From the American Heart Association/American Stroke Association
Stroke Published online before print February 6, 2014
フルテキスト・pdf 

男女で、卒中リスクで相違がある
AHAが初めて女性のための卒中予防ガイドラインを公表

解説による注目点
  • 避妊ピル: 経口避妊薬使用前の高血圧チェックは、その組み合わせで卒中リスクを増加する。リスクは小さいが、45-49歳ではそのリスクは急激に増加する。
  • 妊娠:  妊娠中卒中は通常少ないが、リスクはかなり高い。特に出産後3ヶ月間、直後は高く、特に、preeclampsiaで、危険な高血圧にて、痙攣などを生じる。妊娠後卒中リスクは倍に、高血圧リスクは4倍となる。妊娠三ヶ月後低用量アスピリンを推奨、カルシウムサプリメント使用にて、preecampsia軽減とガイドライン。160/110を超える高血圧では、薬物治療すべきで、150から159/100から109では薬物治療考慮する。降圧剤は安全性に注意する。 
  • アスピリン: 血栓より出血が原因の卒中でなく、卒中既往者では推奨。アスピリンは、そっちゅりすくが低い糖尿病患者にも推奨。低用量隔日が65歳以上の女性の低リスク群に、もし、潜在的出血リスクよりベネフィットが有益という条件で有用。
  • 片頭痛: 男性より女性で4倍ほどの罹病、ホルモン変動と関連するとされる。卒中リスクを直接あげるわけではないが、前兆は関連する。経口避妊薬や喫煙もリスクを増加する禁煙が重要。
  • 心拍不整:75歳を超えた場合、心房細動チェックを!
  • 閉経: ホルモン療法は、卒中予防のため使用するな!


妊娠中降圧剤に関する要約
α遮断剤、利尿剤、カルシウム拮抗剤は、奇形原性・胎児新生児副作用に関し「No」とある。




現時点では、日本の薬剤添付文書では、ニフェジピン、例えばアダラートCRに関して【妊娠20週未満・妊娠可能性の場合禁忌】となっている。
他、禁忌一覧:http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_04-130.html

ACE阻害剤・ARBはほぼ未来永劫禁忌となるだろうが、CCBに関して検討されるのだろうか? 現時点では妊娠中サイアザイド系主薬の現状は・・・

State of the Art : 神経障害性疼痛

人騒がせな、リリカやサインバルタのDTC広告でおなじみの、Neuropathic pain:神経障害性疼痛

Neuropathic pain: mechanisms and their clinical implications
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f7656 (Published 5 February 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:f7656
 【要約・直訳】
 末梢から中枢神経への外傷は、神経障害性疼痛の原因となる侵害受容系内のニューロンの不適合性変化をもたらす。急性疼痛と異なり、慢性神経障害性疼痛は、それ自体が疾患であり、個別的、発展的意味合いに寄与しない。
神経障害性疼痛に関わる無数のメカニズムは、非神経障害性疼痛と他の神経学的病態ともかなりオーバーラップしていると思われる。
 疼痛のメカニズムに基づく治療は広く受け入れられているが、それは疼痛原因や経験に基づくというより、理論により広く行われている。このパラダイムが、臨床の場で導入困難となっている。

臨床症状発症前モデルにおいて、侵害受容的検査から「ヒトの疼痛」を区別可能な、慢性疼痛の異なるメカニズムの程度、感情-動機付け要素により、神経障害性疼痛が形成される。このため、医学的問題であり、社会経済的問題として考慮されなければならない。

【治療のためのメカニズムのまとめ】
  • 定義
  •  研究方法
  • 生理・分類
  • 感情的側面vs生理学的側面
  • 末梢性メカニズム(sensitization、イオンチャンネル、発現switch、感覚脱失・側副神経発芽)
  • 交感神経性維持疼痛
  • 脊髄メカニズム
  • 脊髄グルタミン作動性調整
  • glia活性化、催炎症性サイトカイン
  • 脊髄上位メカニズム
  • Disinhibition:脊髄レベル、脊髄上位レベル
  • 神経障害性vs侵害受容性疼痛:異なる病気 or 連続的疾患?
  • 新しい治療法


パラダイムシフトになっている神経障害性疼痛、臨床医として充分な勉強が必要なようだ。単に、批判するだけで無く・・・

PANTHEONトライアル:N−アセチルシステインのCOPD急性増悪抑制効果 ・・・抗酸化作用至上主義疑念も浮上

インチキ臨床治験及びインチキ解釈・・・相次ぐ日本に比べ、中国産トライアルの質・量とも確実に向上中。

PEACE Study : ムコダインの臨床治験:COPD2006年 11月 21日

先発薬品宣伝にかき消された治験、触れられることが少ない、上記治験も中国。・・・ 製薬会社からの情報だけの医者ではこういう情報を獲得できない。


と、前置き長く・・・


中等度・重症COPD(FEV1/FVC < 0.7 , FEV1 pred%  30-70%)の40-80歳
前向きランダム化二重盲験プラシーボ対照化平行群研究
吸入ステロイド使用有無層別化し、N-アセチルシステイン1日2回とマッチ化プラシーボ1年間

プライマリエンドポイントは、年次急性悪化発生率

Chinese Clinical Trials Registry, ChiCTR-TRC-09000460.

中等症から重症COPD中国人患者では、N-アセチルシステイン600mg×2回/日にて、中等度以上の急性増悪予防効果を認める

Twice daily N-acetylcysteine 600 mg for exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease (PANTHEON): a randomised, double-blind placebo-controlled trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 30 January 2014doi:10.1016/S2213-2600(13)70286-8

2009年6月25日から2010年12月29日、1297名をふるい分けし、登録1006名
(NAC 504 vs プラシーボ 502)


1年時点
  • NAC少なくとも1回処方され、評価受診1回された群では、急性増悪 497回、482(急性増悪 1.16 回/人年)
  • プラシーボ群では、急性増悪 641回、482名(急性増悪 1.49 回/人年)
リスク比 0.78, 95% CI, 0.67 - 0.90;  p = 0.0011)





NAC耐用性充分で、重度COPD急性増悪が副事象としてあげられるが、介入群 6% vs プラシーボ 7%であった。

この治験結果は別の意味も持つようだ、すなわち、NACは抗酸化作用ないか、少ないため、mucolytic作用が前面の効果となるからだ。

N-acetylcysteine in COPD may be beneficial, but for whom?
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 30 January 2014doi:10.1016/S2213-2600(13)70294-7 


※ちなみに、N-アセチルシステイン液は、アセトアミノフェン中毒以外の保険適用はありません。

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