急性副鼻腔炎への鼻腔ステロイドのシステマティック・レビュー&メタ・アナリシス
急性副鼻腔炎での鼻腔内ステロイド投与は若干改善効果を示すが、より高用量、長期で無ければ効果が見られない。
number needed to treat (NNT) 13という効果
ただし、この検討の主体は抗生剤投与例である。一方で、抗生剤投与で急性副鼻腔改善迅速化は認めず、別の英国での研究では、抗生剤無し・鼻腔ステロイド無しでも改善迅速化認めないという報告があるとのこと。
議論は当面続きそう
Hayward G, et al "Intranasal corticosteroids in management of acute sinusitis: A systematic review and meta-analysis" Ann Fam Med 2012; 10: 241-249; DOI: 10.1370/afm.1338.
目的 急性副鼻腔炎は日常臨床で観られる病態で、ベネフィットエビデンス少ないにもかかわらず抗生剤治療されることも多い。しかし、このベネフィットは未だ不明。副鼻腔内ステロイドは症状改善させることがあるが、このベネフィットは現在未だ不明。急性副鼻腔炎症状への鼻腔内ステロイドの効果に関してシステマティック・レビューとメタ・アナリシス行った。
方法 通常診療下での急性副鼻腔炎・鼻副鼻腔炎の臨床的症状・徴候をもつ小児・成人における鼻腔内ステロイドとプラシーボ比較研究の
MEDLINE, EMBASE, the Cochrane Central register of Controlled Trials
(CENTRAL), Centre for Reviews and Dissemination
databases (2011年2月まで)。慢性/アレルギー性副鼻腔炎を除外。2名の著者は独立してデータ抽出、研究方法の質を評価。
結果2495名6つの研究。5研究ではステロイド or プラシーボに加え、抗生剤処方。鼻腔内ステロイドは14-21日めに症状緩和・改善軽度増加あり (risk difference [RD] = 0.08;
95% CI, 0.03–0.13)。個別症状スコアは顔面痛・つまり感で一致してほぼベネフィット有意にあり(RD = 0.11; 95% CI,
0.06–0.17)、しかし、14-15日では有意差認めず (RD = 0.05; 95% CI, −0.01 to 0.11)。フランカルボン酸モメタゾン投与量を変えたトライアルのメタ回帰分析では、有意な量依存相関があった (P=.02).
結論 鼻腔内ステロイドは急性副鼻腔炎に対し治療的ベネフィットが軽度あり、高用量・21日間ほど効果を認める。抗生剤naive患者での、さらなるトライアルが必要。