2012年4月12日木曜日

冠動脈造影時左室造影・・・過剰検査?



冠動脈造影時、左室造影も多くなされている

 左室造影不適切と思われる状況、他の画像検査手技で駆出率測定されている場合や、リスクの大きい状況での検査施行などでかえって高率に行われていた・・・という問題提起。


Use and overuse of left ventriculography
Witteles RM, Knowles JW, Perez M, et al.
Am Heart J 2012; DOI:10.1016/j.ahj.2011.12.018.
http://www.ahjonline.com/article/S0002-8703%2812%2900003-8/abstract


冠動脈造影96235名施行患者中、左室造影が78,705名(81,8%)でなされ

すべてのサブグループ、若年ほど、冠動脈疾患診断を受けた場合、米国南部の病院ほど多い。

ごく直近に他の画像モダリティー評価した駆出率評価施行された患者、介入すべき 心不全新規診断がない場合、心筋梗塞、血圧低下、ショック(37149名)のうち、32798例(88%)で左室造影がなされ、包括的コホートよりむしろ高率であった。


スタチンは、C. difficileリスク減少と関連?

University HealthSystem Consortium ( 2002 - 2009 )の18歳超入院データをを利用して検討

Statin use and the risk of Clostridium difficile in academic medical centres
 
 
スタチン非使用者に比べ、スタチン使用者は、寄与要素補正後、0.78倍(95%CI 0.75-0.81)のC. difficile感染発症へ低下 
スタチンのclass別差認めず
ナイアシン、フィブラート、選択的コレステロール吸収抑制剤ではリスク減少認めず

スタチンの pleiotropic propertyという話でおしまい。


関連:
スタチンによる入院死亡率減少効果 vs 感染症一般には予防効果無しのエビデンス 2011年 12月 16日

卵巣がん検診:支持するエビデンス認めず


Screening for Ovarian Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Reaffirmation Recommendation Statement
DRAFT
Summary of Recommendation and Evidence
http://www.uspreventiveservicestaskforce.org/draftrec.htm


2004年来、卵巣がん検診の有益性・有害性レビューがなされ、対照化トライアル・システマティックレビュー・メタアナリシスを含む64研究を通し、検診技術には正確性が乏しく、偽陽性数が無視できないほど多く、死亡率減少につながらないう内容を含む、推奨ステートメント


No evidence found to support ovarian cancer screening
Nurse.com News
Wednesday April 11, 2012
http://news.nurse.com/article/20120411/NATIONAL02/104230005/-1/frontpage



歯科用レントゲン使用と頭蓋内髄膜腫の関連

放射線量は低下したものの、歯科に於けるレントゲンが頻用されている。
Yale大学による研究で、髄膜腫発症リスク増加の可能性指摘

 
10万対8ほど頻度増加させ、女性の法が多く、稀な疾患だが、検出されるまで数年かかる腫瘍。


Dental x-rays and risk of meningioma
Elizabeth B. Claus, et. al.
Article first published online: 10 APR 2012 | DOI: 10.1002/cncr.26625
Early View (Online Version of Record published before inclusion in an issue)

Early View (Online Version of Record published before inclusion in an issue)
【背景】米国内では最も多い腫瘍である髄膜腫、そのリスクとして電離放射線は一致して観察され、修正しうるリスク要素でもある。
電離放射線人工的発生源としての歯科レントゲンと頭蓋内髄膜腫リスクの相関検討


【方法】住民ベース症例対照研究で、1433名の頭蓋内髄膜腫(診断時 20-79歳)
対照群は、年齢、性別、地理補正 1350名
主たるアウトカム研究対象値は、頭蓋内髄膜腫診断と自己申告bitewing、 full-mouth、 panorex歯科レントゲン

【結果】生涯において、bitewing examination(咬翼)検査報告ある場合、対照群の2倍の症例 オッズ比 [OR], 2.0; 95% 信頼区間 [CI], 1.4-2.9)

フィルム入手年齢にかかわらず、年ベース以上で、bitewingフィルムを受けている患者は、10歳未満でリスク増加  (OR, 1.4; 95% CI, 1.0-1.8)、10-19歳(OR, 1.6; 95% CI, 1.2-2.0)、20-49歳  (OR, 1.9; 95% CI, 1.4-2.6)、40歳以上(OR, 1.5; 95% CI, 1.1-2.0)

髄膜腫のリスク増加は、若年次、年ベース以上のpanorexフィルム数増加と相関し、10歳未満でのフィルム時4.9倍の髄膜腫リスク増加 (95% CI, 1.8-13.2)

腫瘍局在、天幕上・下などの相関認めない。

【結論】なんらかの歯科用レントゲン暴露歴は、以前のレントゲン量大きかい時代もあり、頭蓋内髄膜腫リスク増加と相関。
人工的電離放射線すべてに関して、この人工的リスク要素は修正しうると言うことも蟻、患者のベネフィットを考えて使用すべきである。

シフト労働:“睡眠時間短縮”+“概日リズムの乱れ” → 安静代謝低下 年4.5kg体重増加に相当

筆者であるBuxtonは、身体の正常睡眠周期を繰り返し断絶させることは、安静代謝を低下させ、カロリー燃焼を阻害する。その影響は、8%に及び、年間で4.5kg体重増加に相当する、と述べている。


Research Article
Obesity and Diabetes
Adverse Metabolic Consequences in Humans of Prolonged Sleep Restriction Combined with Circadian Disruption
Sci Transl Med 11 April 2012: Vol. 4, Issue 129, p. 129ra43

睡眠時間の少なさと、概日の乱れは、メタボリックシンドロームと糖尿病と関連するという疫学研究で示されている。
この研究は、概日リズムの乱れと睡眠時間長時間化の制限、すなわち、シフトワークで生じる、この睡眠異常の、糖調整障害、メタボリズム悪影響検討

適正睡眠ベースライン状態・5週間超 → 24時間あたり5.6時間の睡眠制限+概日リズム異常(28時間"日" の繰り返し)の組み合わせ3週間 → 概日re-entrainment+睡眠回復 9日間


睡眠時間制限+同時の概日異常の組み合わせにより、安静代謝率減少、食後血糖増加をもたらし、不適正な膵臓インスリン分泌をもたらす。

9日間の睡眠回復・安定した概日リズム回復により、これらのパラメータ正常化。

概日リズムの乱れと睡眠時間短縮同時に存在することで、代謝に変容をもたらし、肥満・糖尿病リスク増加させる。

小児急性リンパ球性白血病寛解導入失敗後のアウトカム

導入療法不成功なら、急性リンパ球性白血病児、2-3%程度しか完全寛解に至らない。
他、この疾患の寛解導入治療失敗に於けるアウトカムに関わる特性検討


 Outcomes after Induction Failure in Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia
Martin Schrappe, et. al.
N Engl J Med 2012; 366:1371-1381April 12, 2012

18歳までの子供で、44017名中、寛解導入療法4-6週後の寛解導入失敗 1041名の検討


寛解導入失敗患者は、高リスク特性である、年齢が高い、白血球数多い、T細胞発現型、Philadelphia染色体、11q23 rearrangementが多い。

フォローアップ期間中央値8.3年(1.5-22.1)で、10年生存率はわずか32±1%

10歳以上では、T細胞白血病、11q23 rearrangement、寛解導入終了時骨髄芽球25%以上の存在が、アウトカム悪化と特に関連。

染色体数増加(hyperdiploidy)比率50%超と、1-5歳の年齢は precursor B細胞性白血病患者ではアウトカム良好。

マッチしたAllogeneic stem-cell transplantationではT細胞性白血病でのアウトカム改善と相関。

6歳未満のprecursor-B細胞性白血病と負の遺伝子特性が無い場合は、化学療法だけで、10年生存率72±5%

急性胸痛:CT冠動脈造影評価により、入院率・期間減少、安全性問題なし・・・

防御的ケアに専念するなら、狭心症を疑う場合、かりに低・中等度リスクでも、CT血管造影(CCTA)ベースの検査が必要という話に・・・

入院率低下させ、ED利用率も減少させ、安全性も問題ないと言うが・・・


胸痛患者は入院率が高いが、心臓外原因も多く見られる。
このトライアルは、冠動脈CT血管造影の評価で、冠動脈疾患なし患者を正確に同定でき、EDからの退院を安全に可能とするかの検討。


CT Angiography for Safe Discharge of Patients with Possible Acute Coronary Syndromes
Harold I. Litt, et. al.
N Engl J Med 2012; 366:1393-1403 April 12, 2012


対象者は、急性冠症候群疑いのある低・中等度リスクをランダム割り付け 2:1

US内の5つのセンターで、30歳超、 “Thrombolysis in Myocardial Infarction risk score” 0 ~ 2
入院サイン・徴候で対象


The TIMI risk score
  • 年齢:65歳以上
  • 冠動脈リスク要素3つ以上  (冠動脈疾患家族歴、高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病、現行喫煙)
  • 冠動脈狭窄 50%以上 指摘歴
  • 現行ST-低下
  • 直前24時間内の2つの狭心症イベント
  • 7日以内のアスピリン使用
  • 血中心臓マーカー増加
 1370名の登録:CCTA群 908、 従来のケア群 462、ベースライン特性同様

CCTA所見無し640名では、30日内 死亡例、心筋梗塞例なし  (0%; 95% 信頼区間 [CI], 0 to 0.57)

 従来の治療群比較で、CCTA群では、ED退院率高い  (49.6% vs. 22.7%; difference, 26.8 percentage points; 95% CI, 21.4 to 32.2)、 滞在期間短い  (median, 18.0 hours vs. 24.8 hours; P<0.001)、 冠動脈疾患検出率高い  (9.0% vs. 3.5%; difference, 5.6 percentage points; 95% CI, 0 to 11.2)

両群重篤な副作用イベント1例ずつ



狭心症疑いを広汎に解釈すれば、すべての胸痛を対象に・・・ということにはならないか?

放射線被曝の問題が考慮されてない・・・

noteへ実験的移行

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