2013年2月26日火曜日

USPSF推奨:ビタミンD及びカルシウムは骨折予防効果なし

現行エビデンスでは、ビタミンD連日使用・カルシウム使用は成人の骨折リスク減少効果支持しない。特に、ビタミンD 400IU+カルシウム 1000mgでは、住民レベルでの閉経後女性での骨折リスク 減少効果なく、骨折予防のためのこの区分住民でのサプリメント高用量投与もエビデンス不十分。

"Vitamin D and calcium supplementation to prevent fractures in adults: US Preventive Services Task Force recommendation statement"
Moyer VA, et al 
Ann Intern Med 2013.
・閉経後女性・男性における、骨折一次予防のためのビタミンD・カルシウムサプリメント併用のベネフィット・有害性のバランス現行エビデンスでは評価不十分と結論 (I statement)

・ビタミンD3 400IU超、カルシウム 1000mg超の連日サプリメントのベネフィット・有害性のバランス現行エビデンスで評価不十分と結論(I statement)

・施設外閉経後女性の骨折予防に関してはビタミンD400IU以下・カルシウム1000mg以下の連日サプリメント投与はすべきでないと推奨 (D recommendation)

・所見や兆候関連なしの患者にとって、特異的臨床予防サービス有効性についての推奨を行う

・サービスの有益性・有害性とバランス評価のエビデンスに基づき推奨。この評価についてサービス提供コストは考慮していない。

・エビデンス単独より多くの考察を行い、臨床意思決定を行う認識。臨床医はエビデンスを理解しなければならないが、特異的な患者・状況に対し、個別的意思決定をおこなう。
ポリシー・covarage decisionに関して、 、臨床的ベネフィット・有害性エビデンスを加える。



エディトリアル:
Nestle M, Nesheim MC "To supplement or not to supplement: The US Preventive Services Task Force recommendations on calcium and vitamin D"
Ann Intern Med 2013.

米国小児科学会・急性中耳炎ガイドライン


From the American Academy of Pediatrics
Clinical Practice Guideline

The Diagnosis and Management of Acute Otitis Media
Published online February 25, 2013 (doi: 10.1542/peds.2012-3488)
Allan S. Lieberthal, et. al.
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2013/02/20/peds.2012-3488


pdf;
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2013/02/20/peds.2012-3488.full.pdf+html

急性中耳炎(AOM):中耳の炎症の所見・兆候の急性発症
無合併症AOM:痔漏なしの急性中耳炎
重症AOM:中等度・重度耳痛の存在、もしくは、39度以上の発熱を伴うAOM
非重症AOM:軽度耳痛・39度未満のAOM
反復AOM:6ヶ月中に記録良好な独立した3回以上AOM過去6ヶ月未満に1回とその前の12ヶ月に4回以上のAOM
MEE:病因・原因・病理・期間と関連しない中耳液

臨床医は、中等度・重度鼓膜のbulging、急性外耳道炎によらない耳漏新規発症を診断しなければならない
(Evidence Quality: Grade B, Rec. Strength: Recommendation)

臨床医は、軽度鼓膜のbulgingかつ48時間未満の耳痛(言語表出できない子供のholding、tugging、rubbing)、鼓膜の強度発赤症例を診断すべき
(Evidence Quality: Grade C, Rec. Strength:Recommendation)

臨床医は、MEE(pneumatic otoscopy and/or tympanometry)を有さない子供にAOMと診断すべきでない
(Evidence Quality: Grade B, Rec. Strength: Recommendation)
臨床医は、48時間以内発症時痛場合の子供で、鼓膜の軽度bulgingを有するか、強度鼓膜発赤所見の急性中耳炎診断すべき
 (Evidence Quality: Grade C, Rec. Strength: Recommendation)

急性中耳炎管理には、疼痛評価を含めるべき。もし疼痛がある場合、臨床医は疼痛現象を行う治療を推奨する。
(Evidence Quality:Grade B, Rec. Strength: Strong Recommendation)

臨床医は、6ヶ月齢以上の非重症所見・兆候例(即ち、48時間未満の軽症耳痛、39度未満の体温)の両側急性中耳炎に対して抗生剤処方すべき
 (Evidence Quality: Grade B, Rec. Strength: Strong Recommendation)

臨床医は、24ヶ月齢未満の非重症所見・兆候例(即ち、48時間未満の軽症耳痛、39度未満の体温)の両側急性中耳炎に対して抗生剤処方すべき
(Evidence Quality: Grade B, Rec. Strength: Recommendation)

6ヶ月から23ヶ月例の片側急性中耳炎(即ち、48時間未満の耳痛、39度未満の体温)に関しては両親・保護者との意思決定協議にもとづき、抗生剤治療もしくは綿密なフォローアップを行うべき
観察する場合、メカニズムを考慮に入れ、フォローアップ確認すべきで、発症48-72時間内悪化もしくは改善しない場合抗生剤治療開始すべき
 (Evidence Quality: Grade B, Rec. Strength: Recommendation)

臨床医は、24ヶ月齢以上の非重症所見・兆候のない(即ち、48時間未満の軽度耳痛、39度未満の体温)急性中耳炎(両側、片側)では、両親・保護者と協議し意思決定時抗生剤処方あるいは綿密なフォローアップ時観察提供
観察する場合、メカニズムを考慮に入れ、フォローアップ確認すべきで、発症48-72時間内悪化もしくは改善しない場合抗生剤治療開始すべき
 (Evidence Quality: Grade B, Rec Strength:Recommendation)

急性中耳炎に対して、臨床医は、以下の抗生剤意思決定時、βラクタマーゼに付加的処方
小児では、アモキシシリン30日内処方時、合併膿性結膜炎、アモキシシリン不応性の繰り返し急性中耳炎時
(Evidence Quality: Grade C, Rec. Strength: Recommendation)


初期治療
アモキシシリン(80-90mg/kg /d ;分2投与量)
or
アモキシシリン・CVA(アモキシシリン一日あたり90mg/kg+クラブラン酸 6.4mg/kg/日;分2投与量)

ペニシリンアレルギーのための代替:cefdinir、cefuroxime、cefpodoxime、ceftriaxone


初期治療失敗後の48-72時間後
アモキシシリン・CVA(アモキシシリン一日あたり90mg/kg+クラブラン酸 6.4mg/kg/日;分2投与量)
or
Ceftriaxone (50 mg IM or IV for 3 d)

代替;Ceftriaxone、clindamycin


経過観察とは何もしないということではない。イブプロフェンもしくはアセトアミノフェンを疼痛改善のため使用。72時間以内に改善しない場合は、抗生剤投与すべき。
新しい歯が生えてくる時、感冒、咽頭痛、ウィルス性炎症でも耳痛を生じることも考慮し、鼓膜観察の重要性を強調。



母乳4ヶ月最小化で、耳感染エピソードを減少、受動喫煙防止で乳児中耳炎減少
ear-tubeのオプション的役割、浸出液管理に役割を果たす。

GLP-1アナログ製剤も、DPP4阻害剤も急性膵炎入院と関連

住民ベース症例対照研究で、2005年2月1日から2008年12月31日

この場合のGLP-1関連薬剤とは、exenatide(バイエッタ)だけでなく、DPP4阻害剤も含めての問題
日本では糖尿病学のリーダーがへんなため、国際的基準薬を無視して、DPP4阻害剤が実質的に第一選択とされることも多くなっているため、使用の際、注意が必要だろう。

exenatide(バイエッタ)とsitagliptin(ジャヌビア/グラクティブ)の急性膵炎入院数への影響報告

Glucagonlike Peptide 1–Based Therapies and Risk of Hospitalization for Acute Pancreatitis in Type 2 Diabetes Mellitus
A Population-Based Matched Case-Control Study
ONLINE FIRST
Sonal Singh, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2720.


症例:平均年齢52歳、男性57.45%
症例では有意に高中性脂肪血症 (12.92% vs 8.35%)、アルコール使用 (3.23% vs 0.24%)、胆石 (9.06% vs 1.34)、たばこ依存(16.39% vs 5.52%)、肥満 (19.62% vs 9.77%)、胆道系・膵がん (2.84% vs 0%)、嚢胞性線維症 (0.79% vs 0%)、他の悪性新生物 (29.94% vs 18.05%)が多い

寄与要素・メトホルミン使用補正後膵炎入院オッズ比
30日内GLP-1ベース治療現行使用は有意に高い2.24 [95% CI, 1.36-3.68])
直近30日・2年未満使用でも同様 (2.01 [1.37-3.18])

感度分析で
直近 30 日間: (aOR 2.01, 95% CI 1.19 - 3.38, P=0.01)
直近 2 年間: (aOR 1.95, 95% CI 1.21 - 3.14, P=0.01)
使用有無: (aOR 2.02, 95% CI 1.31 - 3.01, P=0.01)


エディトリアルでは、慢性膵炎だけでなく、膵がんリスクについても言及。

いずれにせよ、長期副作用に関してはやはりまだ安全正確にされてない薬剤だけに、日本での第一選択薬的使用法は変だ。

放課後サッカー・プログラム 運動量増加にプラス

アメリカでサッカーを利用して、肥満対策らしいのだが・・・アメリカもサッカー盛んになり出してるのだろうか? ・・・と、思ったら人種構成見て納得した。

運動時間増加量が1日3分程度じゃ、減量効果は期待できるはずもない
スポーツに関心が向けばそれでよし という程度、肥満の抜本対策にはほど遠い

School-Community Partnerships
A Cluster-Randomized Trial of an After-School Soccer Program
Kristine Madsen, et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.1071.

地域ベースのプログラムで、放課後運動をすることで、肥満対策にしようというもの


クラスター・ランダム化トライアルで、秋(ベースライン)、冬(中間ポイント)、春(エンドポイント)

主要アウトカム: 1学年単位の、放課後中等度・高度運動( moderate-to-vigorous physical activity (MVPA))の分単位変化、フィットネス(最大酸素摂取量)変化、BMI変化

156名の被験者、ラテン系42%、アジア系32%、アフリカ系アメリカ人12%
BMIは85パーセンタイル
身体活動性、フィットネス、体重状況に有意差認めず
しかし、BMI85%以上の生徒でSCORESSで、放課後MVPAは有意に増加(3.4分/日;0.3-6.5分)、特に土曜は、18.5分(95%CI, 3.4-33.6分)増加


昭和30-40年代のこどもの遊び時間って相当なものだったはず。
テレビ→ビデオゲームなどの影響が大きいのだろうか?
いずれにせよ、3分程度の時間じゃ影響でるはずもない 。

患者不安払拭のための検査は、結局、不安解消につながらない

「安心のため、検査、一応やっときましょう」・・・という医師サイドの言葉が今日も日本全国各地で発せられてることだろう。

この安心効果は、医師たちの過剰評価であった。

重篤な疾患といえば、がんとか、脳動脈瘤・動脈解離とか・・・数限りない疾患がある。
「頭痛、即、頭部CT・MRI」 、「体重減少、即、全身のがん検査」、「背部痛、即、腹部CT検査」など、医療コスト増大に直結している、検査前確率低いのに行われる、患者を安心させるためだけの検査

はたして、そういう検査は、患者自身の安心につながるのだろうか?

検査前確率の低い検査は患者の恐怖感・不安感除去につながらず、検査直結兆候は持続するという報告

"Reassurance after diagnostic testing with a low pretest probability of serious disease: systematic review and meta-analysis"
Alexandra Rolfe, et. al.
JAMA Intern Med 2013; DOI: 10.1001/jamainternmed.2013.2762.

【序文】  診断除外や患者の安心のために、事前確率が低い状況なのに、診断検査のオーダーがなされる

【目的】 重大疾患事前確率の低い患者において、疾患への恐れ、不安、兆候持続、医療リソース継続使用についての診断検査の与える影響について調査

【エビデンス取得】 システマティック・レビューとメタアナリシス
MEDLINE、 Cochrane Central Register of Controlled Trials、 EMBASE、 PsychINFO、 CINAHL、 ProQuest Dissertations electronic database (2011年12月31まで)
heterogeneity I2 <50 p="">
【結果】 14のRCT(登録クライテリア合致 3828名)、短期(3ヶ月以下)もしくは長期(3ヶ月超)にカテゴライズし解析

3つのトライアルで、診断検査施行の包括的影響は、疾患への恐れに関して影響を与えない( 0.87 [95% 信頼区間[CI], 0.55-1.39)
2つのトライアルでは、非特異的不安に対して影響を与えない (標準化差平均  0.06 [−0.16 〜 0.28])

10のトライアルで、兆候持続への長期的影響に関しても存在認めず   (オッズ比, 0.99 [95% CI, 0.85-1.15])

11トライアル では、プライマリケア受診継続具合を評価。トライアルにおけるheterogeneityレベル高い状況であった(I2=80%)

outlier除外後のメタアナリシスでは、検査後軽度受診減少が見られた (オッズ比, 0.77 [95% CI, 0.62-0.96]).

【結論・新知見】 重篤疾患リスクの少ない状況での兆候のための診断検査は、患者に安心感を与える程度は少なく、不安減少効果も乏しく、書状改善にもつながらない。
だが、ひょっとしたら、プライマリケア受診数を減少させているのかもしれない。

医学的に必要な検査で最大の安心感を得るための研究が必要で、検査異常ありそうもない場合に検査せずにすむ安全性戦略開発が必要 


解説記事
・Measuring Diagnostic Errors in Primary Care
Comment on “Types and Origins of Diagnostic Errors in Primary Care Settings”
JAMA Intern Med. 2013;():1-2. doi:10.1001/jamainternmed.2013.225.

。"Diagnostic testing and the illusory reassurance of normal results"
Kurt Kroenke 
JAMA Intern Med 2013; DOI: 10.1001/jamainternmed.2013.11.


プライマリケア受診回数を減らすかもしれないというプラスの効果の可能性は評価しなければならないのかもしれない。
「検査所見陰性」という除外所見を提示すると、 患者さんが納得するのかもしれない(LR- という認識がないため・・・検査陰性=疾患の否定という勘違い故かもしれない)

がん関連兆候がないのに、「がんが心配だから検査をしてくれ 」というのは、過剰検査で保険適応外。
ところが、「隣のおじさんが膵臓がんで亡くなった。糖尿病が急激に悪化し、体重減少し、背部痛を常に訴えた」という心配の上 に、本人も体重減少・糖尿病、深刻でない程度の背部痛であれば、微妙。 言下に否定すれば、誤診につながることもある。 どの程度で折り合いをつけるかが、臨床上の実力とも関連するのだろう。
世の中には、セカンドオピニオンなる言葉を誤解・曲解し、 他の医療機関受診を隠し多くの医療機関受診を繰り返し、各種検査・重複検査を繰り返す場合もある。そういう検査では、自己満足はいつまでも得られない・・・上記知見からもそれが支持される。

RCT:地中海ダイエット(エクストラ・バージン・オリーブ油、ナッツ)心血管疾患一次予防効果

Mediterranean Dietを一応表題では、地中海ダイエットと訳してる・・・単に長いから・・・

序文にあるように、観察コホートと二次予防という効果が現れやすい条件下での予防効果は報告されていた。
メタアナリシス:Mediterranean Dietのメタボリックシンドロームとその構成要素への影響 2011年03月11日
今回は、一次予防という、効果の現れにくい状況でのRCT
しかも、心血管イベント減少効果という、日本の製薬メーカーが良くやる検査値だけの比較ではない、重大アウトカムの減少効果があらわれたというもの


Primary Prevention of Cardiovascular Disease with a Mediterranean Diet
Ramón Estruch,  et. al.
for the PREDIMED Study Investigators
N Engl. J. Med. February 25, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1200303

観察コホート研究と二次予防トライアルで、Meiterranean dietと心血管疾患リスクの逆相関が示されている。
これでは、心血管疾患一次予防のランダム化トライアル


スペインの多施設トライアル、高心血管リスク患者・登録時心血管疾患無し患者をランダム割り付け
・extra-virgin olive oilを用いたMediterranean diet
・mixed nutsを用いたMediterranean diet
・対象:食事性脂肪制限助言のみ


プライマリエンドポイントは、重大心血管イベント(心筋梗塞、卒中、心血管疾患原因死)
内部解析結果に基づき、4.8年フォローアップ中央値で中断

55-80歳、女性 57%、7447名登録

2つのMediterranean-diet群は介入に対し、アドヒアランス良好(摂取自己報告、バイオマーカー解析)

プライマリエンドポイント 288名で発生

対照群(イベント数 109)比較多変量補正ハザード比
extra-virgin oil群(イベント数 96) 0.70(95% 信頼区間 [CI], 0.54 - 0.92)
nuts群(イベント数 83)  0.72(95% CI, 0.54 - 0.96)

Mediterranean dietサプリメントは、extra-viginオリーブオイルでも、ナッツでも、重大心血管イベントを一次予防的に減少させる


ナッツを食べようにも、どの製品も食品も、食塩多用のが多くて・・・ 地中海式ダイエットではどのような工夫されてるんだろ?

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note