2012年4月3日火曜日

COPD:虚血性心疾患合併 BNP増加、運動能力低下、急性増悪罹患日数増加・回復長期化


386名の安定COPD患者の分析
虚血性心疾患(IHD)合併ありの64名の患者(16.6%)において有意にSt. George Respiratory Questionnaire測定健康状況悪化と相関 (56.9 ± 18.5 vs 49.1 ± 19.0, P = .003)し、安定状態より重度呼吸苦報告群(Medical Research Council dyspnea score of ≥ 4)の比率増加と相関 (50.9% vs 35.1%, P = .029)

IHDありのCOPD安定患者では、IHDなしの患者群比較で、血中nt-proBNP中央値増加(中央4分位  [IQR]) 38 [15, 107] pg/mL vs 12 [6, 21] pg/mL, P = .004)、運動能力低下(6-min walk distance, 225 ± 89 m vs 317 ± 85 m; P = .002)

COPD急性増悪はIHD患者でさほど多くない (median, 1.95 [IQR, 1.20, 3.12] vs 1.86 (IQR, 0.75, 3.96) per year; P = .294),が、症状回復時間は5日以上長くなり   (17.0 [IQR, 9.8, 24.2] vs 12.0 [IQR, 8.0, 18.0]; P = .009)、年間急性増悪症状日数は長くなる(median, 35.4 [IQR, 13.4, 60.7] vs 22.2 [IQR, 5.7, 42.6]; P = .028).

年齢、性別、FEV1、急性増悪回数補正で、多変量解析にて再現された所見である。

アルツハイマー型認知症:抗Aβモノクローナル抗体 pII ひとまず脳脊髄液マーカーで効果あり

phase IIの2つの研究分析で、anti-Aβ monoclonal antibody bapineuzumabによるバイオマーカーへの効果報告

ベースラインから研究終了において、脳脊髄液中のT-tau(- 72.3 pg/mL)、P-tau(-9.9 pg/mL)減少

プラシーボ群と比較、P-tau(P=.03)、T-tauは減少傾向あるも有意差無し

Effect of Immunotherapy With Bapineuzumab on Cerebrospinal Fluid Biomarker Levels in Patients With Mild to Moderate Alzheimer Disease
Kaj Blennow, et. al.
Arch Neurol. Published online April 2, 2012. doi:10.1001/archneurol.2012.90


肝心の臨床所見への効果は、phapse 3へ・・・ってことらしい

心房細動:睡眠呼吸障害は昼間の眠気では検出できない

DMARD・生物学的製剤使用:アメリカリウマチ学会(ACR)勧告(2008)アップデート

アメリカリウマチ学会(ACR)勧告(2008)アップデート

2012 Update of the 2008 American College of Rheumatology Recommendations for the Use of Disease-Modifying Antirheumatic Drugs and Biologic Agents in the Treatment of Rheumatoid Arthritis
 Arthritis Care & Research Vol. 64, No. 5, May 2012, pp 625–639
DOI 10.1002/acr.21641 © 2012, American College of Rheumatology
http://www.rheumatology.org/practice/clinical/guidelines/Singh%20et%20al-ACR%20RA%20GL-May%202012%20AC&R.PDF



早期治療、結核スクリーニング、高リスク患者考慮など

早期介入でより良好なアウトカム改善期待、関節病変は一度起きると恒久的で、予防が大事。強化治療は身体機能維持・QOL改善に役立つ。

ただし、エビデンスレベルCが多いのがちょっといただけないという評価


6ヶ月以下有症状では通常DMARD単剤で、MTXが主。疾患活動性が軽度・中等度で推奨、関節外所見や骨びらんのような予後因子悪化要素が無いなら高度でも単剤推奨。
しかし、中等度以上、関節外病変・骨びらんなど不良予後因子の存在なら、DMARD併用を推奨、たとえば hydroxychloroquineなど。
もし早期に活動性高度なら、抗TNF生物学的製剤をMTX組み合わせ、あるいは単剤で使用推奨。

治療不応性、進行性、不耐容なら、6ヶ月間以上経過した段階で次の治療戦略を
抗TNF3ヶ月間で、ベネフィット無い場合は他の抗TNF製剤か、抗TNF以外の製剤へ変更

非TNT製剤6ヶ月間使用した場合、そして、反応が不適切な場合、効果が無い場合にのみTNF、あるいは非TNT製剤に変更
(非TNF製剤6ヶ月間waitingの理由は、有効性が長い場合があるから)

抗活動性患者で重篤な副作用故TNF治療で失敗した患者は非TNF製剤に変更すべきだが、もし、重篤で無ければ、他の抗TNF、非TNF製剤使用可能。


高リスク患者:C型肝炎では etanercept (Enbrel)は可能、慢性B型肝炎では治療成功できず
5年を越える場合固形がん・非メラノーマでも生物学的製剤使用可能。5年内であったも、Rituximab (Rituxan)は使用可能、メラノーマでもリンパ増殖疾患でも可能とのこと。
抗TNF製剤は、うっ血性心不全 class III or IV 、駆出率50%未満では使用すべきで無い

結核に関し、生物学的製剤投与予定なら、潜在性結核スクリーニングを全患者に行うべき。
 ツベルクリン皮膚反応、IGRAを、BCG最近接種以外では評価。必要なら、胸部レントゲン喀痰検査を続けて行うべき。もし潜在性結核・活動性結核なら、生物学的製剤開始前に治療を行うべき。

インフルエンザ、肺炎球菌、B型肝炎、HPV、帯状疱疹などできれば治療前にワクチンを推奨。


臨床実践での活動性に関する勧告
"Rheumatoid arthritis disease activity measures: American College of Rheumatology recommendations for use in clinical practice"
Anderson J, et al
Arthritis Care Res 2012; 64: 640-647; DOI: 10.1002/acr.21649.
http://www.rheumatology.org/practice/clinical/forms/RADAM-May%202012-AC&R.pdf

「デタラメ健康科学」 ・・・ デタラメ議員たちが進める統合医療



自民や民主に、「統合医療」・代替医療推進の動きがある ・・・ かなり危惧すべき状況にあると思う


自民までもが賛成し、今国会「統合医療」推進政策・・・だと・・・ H24.03.27http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/03/blog-post_1489.html


Bad Science」 Ben Goldacre著 http://www.amazon.com/dp/000728487X/
(日本語版 「デタラメ健康科学」 http://www.amazon.co.jp/dp/4309252508


デトックス、ブレインジム(「脳科学」もどき)、高級化粧品・代替療法・ホメオパシー・プラセボ効果・栄養評論家・サプリメント・ビタミン・製薬業界と、最後にメディアのうそ(MRSA殺人細菌汚染でっち上げ、ワクチン自閉症論文の流布・虚偽確立の役割、サリドマイド事件のてがらでっち上げなど、よくまとめられている。

ホメオパシーに関して書籍の前半にその詳細な解説がなされ、RCTや盲目化、メタアナリシスなど解説しながら、ホメオパシー効果に関する出版バイアスが解説されている。




代替療法には、科学的立証が見込めないものや思い込みやインチキが紛れ込まれている。


メディアは、bad scienceを紹介し、流行しているかごとくあおる。メディアにとっては広告宣伝による利益となる一方、自らが率先して表層的なbad scienceの信者となり啓発者となる。かれらは、科学的批判を全く受け入れず、 メディア総力で、bad scienceにもとづくインチキを広める。


メディア人の立場に立てば、このいんちき医療の問題点を一般の人が知るにはマスメディアの力が必要なことも確かなのだが、広告を収入源とするメディアにとってその弊害をつまびらかにすることはその使命感とは別に収入源に直結することにもなる。 わたしは、インチキ医療の弊害を報道する報道機関に敬意を払うことにしている。 NHKもかつてはそういう報道機関だった気もするのだが、今は、かなり疑問・・・

効用・功利を認めないものを多く含む統合医療を公的医療保険でまかなうことはあってはならない。この観点を持てない議員たちはそもそも議員である資格さえ無いと私は断言したい。

poorなデータベースに基づく、poorな研究しかできない、レセプト情報に基づく研究

”「死亡」の判定が可能かどうかご教示下さい。”→答え:”医科、DPC レセプトには「転帰」を記す項目がありそこで確認できる。”


嘘!



公的健康保険請求下とならない、事故死や変死となった時、死亡アウトカム判定できません。


平成 24 年3月 21 日開催 レセプト情報等の提供に関する事前説明会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000026x61-att/2r98520000026x9k.pdf



アウトカムの中で、最も重要度の高いのは、やはり“死亡率”だろう。

・ 全原因死亡率も不確実

・ レセプト請求判定では、疾患原因死亡率も曖昧


こんな研究しても、揚げ足とられるだけですぞ・・・ 結局は、厚労省の政策にそった御用報告多発するだけ・・・


亜区域性肺塞栓:冠動脈領域からのメタファー 技術進歩による過剰診断・過剰治療

以下の論文を勝手に省略・意訳

The Diagnosis and Treatment of Pulmonary Embolism
A Metaphor for Medicine in the Evidence-Based Medicine Era
Vinay Prasad, et. al.
 Arch Intern Med. Published online April 2, 2012. doi:10.1001/archinternmed.2012.195

 " Subsegmental PE Who Have a Negative Serial Bilateral Lower Extremity Ultrasound (SSPE) "に際し、sadle病変から亜区域病変までheterogenousな疾患なのに同じ管理がなされていたという疑問が呈された。

普通に致命的(30%-80%という死亡率)な肺塞栓であり、診断も右心負荷などの所見に基づくものであった。抗凝固療法や換気血流検査、CTPAなど、リスクスコアリングアルゴリズムの開発、そして、より安全案薬剤開発などの成功の歴史。一方では、死後発見がむしろ主であったかつての肺塞栓症。診断根拠困難なまま副作用による死亡が関与していた可能性があった。そしてサンプルサイズと介入・対照群比較の疑問など、アウトカム判定は結論付けできるものではなかった。にもかかわらず、抗凝固療法のベネフィット信念ごり押しで、これが、肺塞栓治療の標準治療になった。
抗凝固療法により死亡率30%から3%未満の時代になったことが治療成功の根拠となっている。
しかし、それは、肺塞栓がレントゲン写真で診断された時代との比較であり、治療成功が過大評価されている部分もある。単に、カバーする疾患範囲が変化したに過ぎないかもしれない。

Prospective Investigation of Pulmonary Embolism Diagnosis II study( JAMA. 2006;295(2):172-179.)により、CTPAの感度 83%、特異度 96%であり、肺血管造影に劣ることが示された。
しかし、非侵襲的modalityが2006年の研究でも支持され、抗凝固剤使用しなかったCTPA negativeな例で、DVTやPE複合指標であるVTE3か月発生頻度はわずか1.3%で実用上問題ないことを示唆。
CTPAは、一方で、過剰診断の側面をもたらした。Nationwide In-patient Sample and Multiple Cause-of-Death database(Arch Intern Med. 2011;171(9):831-837.)によると CTPA出現(1998-2006)以降、肺塞栓の人口当たり発生するは10万対 62.1から112.3と増加し、死亡率は12.3から11.9への減少にとどまった。一方、抗凝固治療による合併症(消化管出血、頭蓋内出血、二次性血小板減少症)は10万対 3.1から5.3へ増加している。 そして、CT技術進歩により、亜区域肺塞栓の発見頻度増加がみられる(Radiology. 2002;222(2):483-490.)。

冠動脈疾患と同様の疑問が肺塞栓領域でも生じており、血管再建術は最重症状態でのベネフィット確立したが、テクノロジーが診断と治療に影響をもたらし、冠動脈疾患診断患者数を貯蔵させ、一方で血管再建技術進歩ももたらされた。過剰診断と経皮的血管再建などに関し、”Clinical Outcomes Utilizing Revascularization and Aggressive Drug Evaluation trial”で一つの結論がもたらされ、安定疾患でのステント治療無施行は安全であるという、パラダイムがもたらされた。

 亜区域肺塞栓に関して、同様のパラダイムが待ち受けているか?


米国血液銀行協会:赤血球輸血ガイドライン


Clinical Guidelines
Red Blood Cell Transfusion: A Clinical Practice Guideline From the AABB
Ann Int Med. April 3, 2012, 156 (7)

AABB (formerly, the American Association of Blood Banks)  :米国血液銀行協会

Recommendation 1: The AABB recommends adhering to a restrictive transfusion strategy (7 to 8 g/dL) in hospitalized, stable patients (Grade: strong recommendation; high-quality evidence).
Recommendation 2: The AABB suggests adhering to a restrictive strategy in hospitalized patients with preexisting cardiovascular disease and considering transfusion for patients with symptoms or a hemoglobin level of 8 g/dL or less (Grade: weak recommendation; moderate-quality evidence).
Recommendation 3: The AABB cannot recommend for or against a liberal or restrictive transfusion threshold for hospitalized, hemodynamically stable patients with the acute coronary syndrome (Grade: uncertain recommendation; very low-quality evidence).
Recommendation 4: The AABB suggests that transfusion decisions be influenced by symptoms as well as hemoglobin concentration (Grade: weak recommendation; low-quality evidence).
入院安定患者では、制限輸血(restrictive transfusion)、Hb 7-8g/dL、 心血管疾患・貧血による症状ある入院患者に対しては、制限 8g/dLを遵守すること。

 急性冠症候群入院血行動態安定での輸血閾値に関して、非制限(liberal transfusion)、制限(restrictive transfusion)、どちらの推奨も現段階では決定できない。

 症状とヘモグロビン濃度により輸血決定は左右される。

インフルエンザ:抗ウィルス治療 システマティック・レビュー まだまだエビデンスレベル低いが・・

Accuracy of Rapid Influenza Diagnostic Tests: A Meta-analysis
Caroline Chartrand, et. al.

Ann Intern Med April 3, 2012 156:500-511; published ahead of print February 27, 2012
迅速インフルエンザ検査:感度低く、特異度は高い ・・・ 陰性だからといって否定できない 2012.03.02


同じAnn Int Med.で、抗インフルエンザ薬効果のシステマティック・レビュー及びメタアナリシス


観察研究のレビューということで、エビデンスレベルとしては低位になる


Antivirals for Treatment of Influenza: A Systematic Review and Meta-analysis of Observational Studies
Jonathan Hsu, et. al.
Ann Intern Med April 3, 2012 156:512-524; published ahead of print February 27, 2012,
Random-effects meta-analysis of oral oseltamivir versus no antiviral therapy based on studies that provided adjusted effect measures.
 観察研究のMeta-analysis

高リスク群において経口oseltamivirの無治療比較
死亡率減少  (odds ratio, 0.23 [95% CI, 0.13 to 0.43]low-quality evidence)
入院率 (odds ratio, 0.75 [CI, 0.66 to 0.89]; low-quality evidence)
症状期間  (33 hours [CI, 21 to 45 hours]; very low–quality evidence) 
より早期のoseltamivir治療は一般的にアウトカムより良好さと関連


吸入zanamivirの無治療比較
症状期間短縮   (23 hours [CI, 17 to 28 hours]; moderate-quality evidence)
入院率減少  (odds ratio, 0.66 [CI, 0.37 to 1.18])

しかし、合併症多いかもしれない

oseltamivir経口とzanamivir吸入の両剤比較はキーとなるアウトカムで重要な差は認めない


1つの研究データのみで、経口amantadineによる、インフルエンザAからの死亡率減少、肺炎減少を示唆。

rimantadine評価の報告無し


高リスク群での抗インフルエンザ薬使用のベネフィットは存在するが、全体的にエビデンスの

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note