2018年4月26日木曜日

最強トウガラシ:キャロライナ・リーパーによる可逆性脳血管攣縮症候群

世界一辛いトウガラシで激しい頭痛 医師が注意呼びかけ
2018年04月12日
http://www.bbc.com/japanese/43734902

キャロライナ・リーパー "Carolina Reaper"

ニューヨークでのトウガラシ食コンテストで、直後吐き気とその後数日の雷鳴頭痛を含む頭痛、頚部・後頭部痛


可逆性脳血管攣縮症候群(Reversible cerebral vasoconstriction syndrome、RCVS )による雷鳴頭痛(thunderclap headache)

症状: intense neck and occipital head pain that became holocephalic.
数日2回ほど


vasoactive物質でRCVS再現され、 ‘Carolina Reaper’による



Press Release
An unusual cause of thunderclap headache after eating the hottest pepper in the world – “The Carolina Reaper
Satish Kumar Boddhula , et al.
BMJ Case Reports 2018; doi:10.1136/bcr-2017-224085
http://casereports.bmj.com/content/2018/bcr-2017-224085.full



"カイエンペッパーでもRCVS報告あり"との記載みうけられるが、論文見つけられなかった

実際この報告でも「 No cases of RCVS secondary to peppers or cayenne have been previously reported, but ingestion of cayenne pepper has been associated with coronary vasospasm and acute myocardial infarction.」と書かれており、 脳血管に関する報告自体を筆者等も見つけられてない。
冠動脈痙攣の報告からの類推で、ペッパーとの関連性疑われてもしかたないという筆者等のスタンスなのだろう。
特定の薬品 (エルゴタミン, SSRI、α交感神経作動性decongestant、トリプタン)、非合法ドラッグ(コカイン、アンフェタミン、エクスタシーなど)が原因となることも


カルシウム拮抗剤が治療に使われることもあるが、頭痛薬など対症療法比較検討はない

2018年4月25日水曜日

がん招く肥満、原因一部解明 北大の研究グループ 予備軍細胞の排除機能低下


がん招く肥満、原因一部解明 北大の研究グループ 予備軍細胞の排除機能低下
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180425-00010000-doshin-sctch



Obesity Suppresses Cell-Competition-Mediated Apical Elimination of RasV12-Transformed Cells from Epithelial Tissues
Ayana Sasaki, et al.
Cell Reports
https://doi.org/10.1016/j.celrep.2018.03.104


http://www.cell.com/cell-reports/pdf/S2211-1247(18)30480-7.pdf

歯科医:特発性肺線維症職業性リスク?




Dentists at Risk of Lung Disease?
Bridget Kuehn
JAMA. 2018;319(16):1650. doi:10.1001/jama.2018.4585

2016年バージニアの病院で、特発性肺線維症(IPF)治療中の歯科医からの要求がきっかけの調査
進行性線維化性間質性肺炎、診断後生存期間中央値3-5年、CDC確認だと9名中7名死亡

IPF集積性は、歯科特異的職業性暴露の調査、特異的暴露とIPF発症リスクの関連性調査、有害性暴露予防施策戦略の必要性を示唆?





各症例


PMID: 29518070 Dental Personnel Treated for Idiopathic Pulmonary Fibrosis at a Tertiary Care Center — Virginia, 2000–2015
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018 Mar 9; 67(9): 270–273.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5844279/

2018年4月24日火曜日

心植込デバイス:電気自動車内・充電など問題が無いと・・・

cardiac implantable electronic devices (CIEDs) :心植込デバイスと電気自動車

単施設研究ながら、この関連性にエビデンスがないことを報告

ペーシング障害、不適切ショック、デバイスプログラミンに関して3つの条件下で影響相関認めず

  • 前座席、ローラーテスト検証台測定時の自動車内・周辺電磁場強度
  • 充電中座席、充電ケーブルでの電磁場強度
  • 公共の道路運転中の車内の電磁波強度


ただ、稀なイベントでありこの規模の研究では検知困難との指摘もある

150の連続CIOEDs患者、

2名の目隠し心臓専門医の解析


BMW i3、ニッサン・リーフ、テスラモデル 85S、フォルクスワーゲン e-up!を割り付け

電磁場強度は充電時最高で、充電電流高いほど強い(30.1 〜 116.6 μT)
前席だと 2.0-3.6μTで、後部席との差はない
車外では、ピークの電磁場強度は充電中と車内の値の中間値、オープンロードの車内電磁場強度は、検証実験台研究中と近似
Lennerzグループの検証は、実証性が高いと


Electric Cars and Electromagnetic Interference With Cardiac Implantable Electronic Devices: A Cross-sectional Evaluation
Carsten Lennerz, et al.
Annals of Internal Medicine , Letters 24 April, 2018 




PHEV?

2018年4月23日月曜日

単純性下部尿路感染: 5-Day Nitrofurantoin vs Single-Dose Fosfomycin

ニトロフラントインは発癌性懸念されてるらしい
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0312-13i.pdf


ヒトではなさそうだが・・・
The observations in these studies indicate that therapeutic uses of Macrodantin would not present a carcinogenic hazard to man. 1990 Apr;28(4):269-77.



薬害なんたら運動が激しい日本でのマーケット化は難しいのでは?





抗菌薬耐性増加にて、単純性下部尿路感染へのガイドラインが2010年変更され、nitrofuratoinとホスホマイシンを 第一選択と推奨に変更された。
Clin Infect Dis. 2011 Mar 1;52(5):e103-20. doi: 10.1093/cid/ciq257.
https://academic.oup.com/cid/article/52/5/e103/388285

これら薬剤は1953年、1971年に各々市場に登場。
筆者等の検討では90年代のRCTはなく、有効率 ホスホマイシン 70%、シプロフロキサシン 96%、trimethoprim/suflfamethoxazole 94%だが、微生物学的、薬物学的ベースだと有効性は減少する。ホスホマイシンはヨーロッパでは承認後すぐにプラスミド・エンコードが一部存在した。

今まで、単純性下部尿路感染に対し nitrofurantoinと fosfomycinの効果比較なかった

結果的には nitrofurantoinが単回ホスミシンより有効性優れているとのこと




Effect of 5-Day Nitrofurantoin vs Single-Dose Fosfomycin on Clinical Resolution of Uncomplicated Lower Urinary Tract Infection in Women A Randomized Clinical Trial
Angela Huttner,  et al.
JAMA. Published online April 22, 2018. doi:10.1001/jama.2018.3627

多施設オープンラベル分析者盲検化ランダム化臨床トライアル
513名の18歳以上非妊娠女性
下部尿路感染症状
尿dipstick陽性(亜硝酸反応、白血球エステラーゼ反応)
被検薬剤への尿路原性病原菌耐性知られてない症例


1:1 ランダム化

  • nitrofurantoin 100mg×3回/5日間
  • ホスホマイシン 3g単回


プライマリアウトカム:28日目の臨床的反応(症状・徴候完全寛解)、失敗(有効性無いための抗生剤治療追加・変更)、不確定:inderminate(客観的感染証拠無き症状持続)


ランダム化 513名、年齢中央値 44歳、IQR 31-64歳、 トライアル完遂 475 (93%)、ベースラインで培養陽性 377 (73%)
day 28の臨床的改善 nitrofurantoin 171/244 (70%) vs fosfomycin 139/241(58%) (difference, 12% [95% CI, 4%-21%]; P = .004)

微生物学的改善   129 of 175 (74%) vs 103 of 163 (63%)  (difference, 11% [95% CI, 1%-20%]; P = .04)

副作用は少なく、消化管症状が主で、nitrofurantoin群では吐気(3%)、下痢(1%)、 fosfomycin群では2%,1%


24時間持続血圧測定による前向き予後評価報告

24時間持続血圧測定は、その間の包括的血圧評価に最適であろうことは想像に難くないが、現時点では連続的使用は現実上困難で有り、clinic blood pressure(診察室血圧)か at home(家庭内血圧)などが現実的ということに。
ただ、24時間持続血圧測定と臨床的アウトカムの検討は十分だったとは言いがたい。
前向きに、診察室血圧、24時間持続血圧、それに血圧phenotype区分にて検討した重要な報告

このレジストリでは、仮面高血圧(診察室血圧では正常、持続血圧では高値、降圧未治療)はこの報告では約4%、masked uncontrolled hypertension(診察室血圧は正常、持続血圧測定で増加、降圧治療中)は約5%

take-home messageとして、持続血圧測定は今のところ最重要治療予後寄与要素指標で、早期死亡率低下、合併症リスク軽減のため重要

白衣高血圧も重要とのこと





スペインのレジストリ・ベース、多施設国内コホート



クリニック(診察室)血圧、24時間持続血圧データをカテゴライズ

  • sustained hypertension (elevated clinic and elevated 24-hour ambulatory blood pressure):持続性高血圧
  • “white-coat” hypertension (elevated clinic and normal 24-hour ambulatory blood pressure):白衣高血圧
  • masked hypertension (normal clinic and elevated 24-hour ambulatory blood pressure):仮面高血圧
  • normotension (normal clinic and normal 24-hour ambulatory blood pressure):正常血圧


Cox回帰モデルにて検討


Relationship between Clinic and Ambulatory Blood-Pressure Measurements and Mortality
José R. Banegas, et al.
April 19, 2018
N Engl J Med 2018; 378:1509-1520
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1712231


フォローアップ中央値 4.7年間、全原因死亡 3808、心血管疾患原因死亡 1295
24時間持続血圧測定と診察室血圧測定を含むモデルで、24時間測定収縮期血圧の方が診察室収縮期血圧に比べ全原因死亡率と強く相関  (ハザード比, 1.58 per 1-SD 血圧増加毎; 95% 信頼区間 [CI], 1.56 to 1.60,診察室血圧値・昼間血圧値補正後)
(ハザード比, 1.02; 95% CI, 1.00 to 1.04,24時間持続血圧測定値補正後)


血圧1-SD増加毎のハザード比は、夜間持続血圧測定収縮期血圧は1.55 (95% CI, 1.53 to 1.57、昼間持続血圧測定収縮期血圧は 1.54 (95% CI, 1.52 to 1.56, after adjustment for clinic and nighttime blood pressures)

これらは、年齢、性別、肥満・糖尿病・心血管疾患・高血圧治療に応じた状態、これら全てのサブグループ横断的に一致した相関性

仮面高血圧は、持続性高血圧に比べ、また白衣高血圧に比べ、全原因死亡率に対し、より強く相関  (ハザード比, 1.80; 95% CI, 1.41 to 2.31。, 1.79; 95% CI, 1.38 to 2.32)

心血管疾患死亡率は全原因死亡率と同様










参照:24時間血圧計の使用(ABPM)基準に関するガイドライン(2010年改訂版)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_shimada_h.pdf

2018年4月21日土曜日

「そうだ、COPD急性増悪時ステロイド誘発高血糖対応にSGLTー2阻害剤使おう」→「意味ないかも」

COPD急性増悪に対するステロイド、それによる高血糖対応にダパグリフロジン使用したらどうか? → あんまり意味ないかも!


多施設二重盲検ランダム化トライアル
対象 46名 盲検か皮下持続血糖モニタリングデバイス使用


Dapagliflozin for prednisone-induced hyperglycaemia in acuteexacerbation of chronic obstructive pulmonary disease
Maaike C. Gerards,  et. al.
Diabetes Obes Metab. 2018; 20 : 1306-1310


ターゲット・レンジ時間 
ダパグリフロジン群 54 ± 27.7 %
プラシーボ対照群 53.6 ± 23.4 %
p=0.96

平均血糖値は、ダパグリフロジン群 10.1 mmol/L、プラシーボ対照群 10.4 mmol/L P=0.66

低血糖:ダパグリフロジン群 1例、プラシーボ群 2例

ナッツ摂取と心血管疾患リスク:心房細動予防効果

不飽和脂肪酸の供給源としてナッツ類摂取だけでなく、蛋白、食物線維、ミネラル、ビタミンE、葉酸、他のphenolicsやphytosterolなどのbioactiveな成分摂取として重要らしい

何に効果があるの・・・心房細動の予防効果あるらしい

Nut consumption and incidence of seven cardiovascular diseases
Larsson SC, et al. Heart 2018;0:1–6. doi:10.1136/heartjnl-2017-312819
http://heart.bmj.com/content/heartjnl/early/2018/03/21/heartjnl-2017-312819.full.pdf

スウェーデン成人  61,364名 前向き研究 17年間フォローアップ調査


ナッツ摂取は、心筋梗塞、心不全、心房細動、腹部大動脈と年齢補正・性補正後逆相関

しかし、他リスク要素補正後この相関は減弱し、線形、量依存的なのは心房細動のみ(ptrend=0.004)、心不全との相関は非線形 (pnon-linearity=0.003)

 ナッツ無摂取に比較し、心房細動の多変量ハザード比(HRs 95% CI)は、1-3回/月 0.97 (0.93 to 1.02)、1-2回/週 0.88 (0.79 to 0.99) 、週3回以上 0.82 (0.68 to 0.99)
 
  心不全に対しては、HRs(95% CI)   0.87 (0.80 to 0.94)、 0.80 (0.67 to 0.97) 、 0.98 (0.76 to 1.27)
 
  ナッツ摂取は大動脈弁狭窄、虚血性卒中、脳内出血とは相関無し
 
 
 

2018年4月20日金曜日

LABA/LAMAは肺過膨脹改善→左室終末容積改善効果をもたらす

製剤としてはウルティブロの話


いままで

COPD:LABA and/or LAMA投与開始後30日目に心血管イベント増加し、その後ベースラインまで減少する
http://kaigyoi.blogspot.jp/2018/01/copdlaba-andor-lama30.html

非弁膜症性心房細動:COPDは心血管重大イベント独立予後要素
http://kaigyoi.blogspot.jp/2018/03/copd_29.html

CLAIM研究という名前はともかく、LABA/LAMAに関して心血管系に悪さばかりするのではないかと懸念をもってたが、ややホッとする結果




COPD重症にしたがい、左室拡張期が減少し、心拍出量低下する
肺過膨脹が心機能へ悪影響を与え、LABA/LAMAの過膨脹改善効果(lung deflation)により左室拡張期終末容積を減少させることが示された。
LABA/LAMA効果は単にair-trapping改善だけではなく、心機能改善ももたらす




二重盲検ランダム化2期間交叉プラシーボ対照単施設研究
場所:ドイツ・ハノーバー、対象者:40歳以上COPD、肺過膨脹(ベースライン残気量 予測比135%以上)、10pack-yeras以上喫煙者、気道閉塞(FEV1予測比 80%未満、拡張剤後 FEV/FVC <0 .7="" p="">

Effect of lung deflation with indacaterol plus glycopyrronium on ventricular filling in patients with hyperinflation and COPD (CLAIM): a double-blind, randomised, crossover, placebo-controlled, single-centre trial
Jens M Hohlfeld, et al.
The Lancet Respiratory Medicine Vol. 6 , No. 5 , p368-378, May 2018
DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30054-7
http://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(18)30054-7/fulltex

不整脈、心不全、不安定虚血性心疾患、不安定高血圧症は除外するも心血管疾患安定症例は登録
ランダム割り付け
・ LABA indacaterol (110 μg as maleate salt) plus the LAMA glycopyrronium (50 μg as bromide salt) once per day for 14 days→14-day washout→ matched placebo for 14 days
・逆パターン:プラシーボ→washout→LABA/LAMA

プライマリエンドポイント:左室拡張期終末容積(MRI)
on day 1 (visit 4) and day 15 (visit 5) in treatment period 1 and on day 29 (visit 6) and day 43 (visit 7) in treatment period 2 in the per-protocol populati

2015年3月18日〜2017年4月20日まで、62名をランダム割り付け、30名を indacaterol–glycopyrronium→プラシーボ、32名を逆順

ITT解析、2プロトコール逸脱、60per-protocol解析、両群治療完遂 57名

 indacaterol–glycopyrronium 治療後、左室拡張期終末容積はベースライン平均 55.46 mL/m2(SD 15.89) → 最小二乗平均 61.76 mL//m2(95% CI, 57.68 - 65.84) 、ベースライン 56.42 (13.54) →プラシーボ後 56.53(95% CI, 52.43 - 60.62)(最小二乗平均差 5.23 (95% CI, 3.22 to 7.25 ; p< 0.0001))



副作用最多はindacaterol-glycopyrroniumの咳嗽(9/59 , 15%)、咽頭部irritation (12%)
プラシーボ比較最多副作用は頭痛(5/61, 8%)、上気道感染(7%)

2名は重篤副作用、治療群1例は子宮内膜癌で、プラシーボ群1例は心筋梗塞で治療関連とは考えられない



21-38歳住民コホート:好酸球数は無症状・喘息などなくても気道閉塞進行の悪化要素

COPDへのICS投与判断、喘息抗IL-5Bio製剤複数参入、ACOなど好酸球に関する話題に事欠かない昨今

疫学的に好酸球と気道閉塞の影響を検討した報告


序文
好酸球気道炎症と持続性気道閉塞を生じる気道リモデリングは喘息の特徴だが、好酸球気道炎症と気道リモデリングがリンクしているかは不明。組織好酸球は気道壁のリモデリングと関連するg、causal associationについて結論的なものはない。吸入ステロイドによる好酸球性炎症をコントロールすることで急性増悪は改善するgあ、固定的気道閉塞予防については証明されてない。
不確定性・不明さの原因としては、誘発喀痰検査によらざる得ないという、。臨床実践現場ではルーチンには導入しがたいし、疫学的に調査でも検討しがたいということも考えられる。
それで、末梢血好酸球が注目されるわけだが、実際好酸球増加は喘息のコントロール不良、急性増悪リスクと相関し、COPD患者の吸入ステロイド反応予測に役立ち、喘息の抗IL-5治療反応性予測にも役立つ可能性がある
一方、喘息と非喘息のぶっこみでの検討で、血中好酸球数はFEV1値と相関するという報告もあまねく同じ結果とは言いがたい現状。
血中好酸球は喘息成人患者において、FEV1減少加速促進予測要素ではないが、COPD患者ではICS被治療群において血中好酸球数増加例ではFEV1減少加速要素であると報告がある




これは若年成人のbirth cohortに基づく住民調査で、血中好酸球数と肺機能を検討した報告

Associations between blood eosinophils and decline in lung function among adults with and without asthma
Robert J. Hancox, et al.
European Respiratory Journal 2018 51: 1702536; DOI: 10.1183/13993003.02536-2017
http://erj.ersjournals.com/content/51/4/1702536

線形混合モデルによる血中好酸球とスパイロメトリ相関解析(21歳、26歳、32歳、38歳時点、性・喫煙・18歳時点スパイロメトリ補正)
さらに、21-38歳までの平均好酸球数とスパイロメトリの変化量の相関性を検討


好酸球数高値は、拡張剤前後のFEV1/FVC比低下、FEV1%予測比と相関 ( all pー値  0.048以下)
好酸球数は喘息被検者で高値だが、好酸球数とスパイロメトリは喘息の有無、喘鳴の有無にかかわらず同様。
平均好酸球数 0.4×109個/L超の21-38歳被検者では低値被検者に比べ、FEV1/FVC比 (差 1.8%, 95% CI 0.7–2.9%; p=0.001)、FEV1値 (差 3.4% pred, 95% CI 1.5–5.4% pred); p=0.001)の減少と大きく関連



血中好酸球は、喘息・喫煙状況と独立して、気道閉塞と相関し、肺機能減少促進と関連する
好酸球は、症状無くても気道閉塞のリスク要素

2018年4月19日木曜日

QFT高値ほど結核発症リスク高い:ただしプラトーあり

ノルウェー国内レジストリデータによるQFT値による結核発症予測検討

QuantiFERON TB-Gold(QFT)検査値の高低により結核発症リスクかかわるということ


既に、 https://www.riid.or.jp/contents/faq/
Q IGRA検査の数値が高いと発病しているのでしょうか?

A 理論的にIFN-γ産生応答と抗原量は相関していると考えられていますので、検査値が高いと結核菌数が多い、すなわち発病するリスクは高い可能性があり、これを裏づける報告もあります。しかし、高いからといって必ずしも発病する訳ではありませんので、他の臨床所見や検査結果等を併せ総合的に判断する必要があります。

以上の記載がある



Stratification by interferon-γ release assay level predicts risk of incident TB
Brita Askeland Winje, et al.
BMJournals  Thorax 2018;0:1–10. doi:10.1136/thoraxjnl-2017-211147


44,875名、QFT 50,389からの前向き解析、結核発症 257名、QFT陽性 22% (n=9878)

結核リスクは、プラトーレベルまでIFN-γ値により増加、プラトー以上では付加的予後情報と相関せず
IFN-γ値 0.35 to < 1.00、 1.00 〜 <4 .00="" 11.6="" 16.5="" 19.2="" 19.8="" 31.3="" 31.6="" 4.00="" 4.7="" 49.5="" 8.8="" ci="" p="" to=""><1 .00="" 1.00="" and="" to=""><0 .35="" iu="" ml="" p="">










latent infection 、潜在性感染は結核管理に関して低感染症率国にとっては重要な戦略


QFTは免疫能に依存するから、T-Spotを好む傾向が強いと思う

明治R-1 5年経ってもステマ

明治「R-1」がTBS系番組でステマ疑惑 放送作家音声データ公開
http://bunshun.jp/articles/-/7065



「あの番組で、R-1乳酸菌の特集が1回放送されるたびに、明治から代理店を介してMBSと安藤氏の制作会社に800万円が支払われていたようです」(同前)


 A氏の証言をもとに、取材を進める過程で、小誌は疑惑を裏付ける証拠音源を5時間分、入手した。その中で、番組に対して明治のステマを疑う声がネット上に広がっていることを、スタッフから指摘された安藤氏は、こう開き直っている。


「『ステマ』だとか、『企業から金もらっている』とか、ぐちゃぐちゃ言っている奴は別に(ネットに)書けばいいじゃん。実際、金もらっているんだから、しょうがないじゃん」


一方の明治広報部に、ステマ疑惑について尋ねたところ、こう答えた。

〈弊社では1073R-1乳酸菌に限らず、様々な研究成果について、企業活動の一環として広く情報提供活動を行っています。毎日放送の件についても、適切に情報提供を行っており、ご指摘にあるような事実はないと考えております〉





MBS関係者に、例の“あるある・・・”の関係者がいるとのこと!






明治「R-1ステマ」疑惑もまさかの「常習」!? 以前も地方局で疑惑、以前は「デザインパクリ」疑惑も出たトホホぶり
【この記事のキーワード】R-1, ステマ, 明治, 週刊文春
http://biz-journal.jp/gj/2018/04/post_6357.html







明治のヨーグルト人気、交錯するそれぞれの思惑
機能性ヨーグルト「R-1」が大ヒット
https://toyokeizai.net/articles/-/8944?page=2


この記事、私の名前もあるのだけど

このブログ記事を元に取材されたもの

ステマ:明治乳業「R-1ヨーグルト」騒ぎ
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/02/r1.html




企業倫理とやらはないようだ・・・明治さん


製薬メーカーにも似たような名前があるけど・・・
https://www.meiji-seika-pharma.co.jp/medical/


信頼性そこねるだけで

IMPACT 研究:トリプル吸入剤(ICS/LABA/LAMA)は2剤併用(ICS/LABA、LABA/LAMA)より急性増悪減少

吸入ステロイド(ICS)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性ムスカリニック受容体アンタゴニスト(LAMA)を1吸入で完結するトリプルセラピー


インダカテロール/グリコピロニウム(LABA/LAMA)の方がサルメテロール/フルチカゾン(ICS/LABA)より急性増悪患者既往ある患者の急性増悪率低下効果はより強力
FLAME研究:N Engl J Med 2016; 374:2222-2234

ということだったが・・・

アジア人 16%ほど含む

COPD 10,355名、RCT 52週間


  • Triple therapy: once-daily combination of fluticasone furoate (an inhaled glucocorticoid) at a dose of 100 μg
  • LAMA/LABA:umeclidinium (a LAMA) at a dose of 62.5 μg, vilanterol (a LABA) at a dose of 25 μg (triple therapy) 
  • ICS/LABA:fluticasone furoate–vilanterol (at doses of 100 μg and 25 μg) 


プライマリアウトカム:治療中中等度・重度COPD急性増悪年次発生率


Once-Daily Single-Inhaler Triple versus Dual Therapy in Patients with COPD
David A. Lipson., et al., for the IMPACT Investigators
N. Engl. J. Med. April 18, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1713901

プライマリエンドポイント率

  • triple therapy 0.91/年 ICS/LABA  1.07/年  LAMA/LABA 1.21/年
  • triple vs ICS/LABA 0.85; 95% 信頼区間 [CI] 0.80 - 0.90 ; 1% 差 P< 0.001
  • triple vs LAMA/LABA 0.75; 95% CI, 0.70 - 0.81 ; 2% 差 P< 0.001


入院帰結重度急性増悪年次発生率
triple theapy 0.13  LAMA/LABA 0.19 発生率比 0.66; 95% CI, 0.56 - 0.78; 34% 差 P< 0.001

ICS/LABA群では、LAMA/LABA群比較で肺炎発生率高い
臨床診断肺炎リスクは、LAMA/LABA比較においてtriple therapyで高い( time-to-first-event analysis)   (ハザード比, 1.53; 95% CI, 1.22 to 1.92; P<0.001)

筆者結論:triple therapyは、中等度・重度COPD急性増悪の発生率をICS/LABA、LAMA/LABA比較で減少効果が認められる。triple therapyは、ABA/LAMAよりCOPDによる入院率低下をLもたらす




  • Trough FEV1 Triple 1274 (1265-1282) vs ICS/LABA 1177 (1168-1185) vs LABA/LAMA 1220 (1208 - 1232)
  • SGRQ at 52週 Triple 45.0(44.5 - 45.4) vs ICS/LABA 46.8 (46.3 - 47.2) vs LABA/LAMA 46.8 (46.1 - 47.4) 


好酸球に関する記載
好酸球レベルに関連無く、Triple therapyはプライマリエンドポイント改善
だが、150/μL以上で特に効果有り

戦略上のヒントになるのかも・・・


講演会基本的に開かなくなったメーカーの製品だが、果たして、いかなるマーケット戦略を行うのか? 講演会講師料や研究費をせびる教授様たちのご機嫌は悪いままだと聞いているが・・・

2018年4月18日水曜日

LDL-コレステロール降下療法:超強化療法のベネフィットは ベースライン100mg/dL超過症例

どう解釈したら良いのか、正直分からない

ベースラインLDL−C 低値症例、特に、< 100 mg/dL症例は、最近のトライアル多く、エゼチミブやevolocumab付加治療トライアル比率が大きく、筆者等の結論をそのまま鵜呑みにできるのかさえ分からない

どなたか懸命な方の解釈を待つことにしたい





スタチンによる心血管イベント低下作用、さらにスタチン強化治療、エゼチミブ付加治療、PCSK9-阻害モノクローナル抗体によるLDL-コレステロール低下療法の効果も確固たるエビデンスが示されている。しかし、個別トライアルにおいて死亡率、心血管エンドポイント減少程度結果は一定していない。総死亡・心血管死亡ベネフィットはいくつかのプラシーボ対照スタチン心血管疾患アウトカム、スタチントライアルメタアナリシスにおいて認められるが、エゼチミブやevolocumabのスタチン付加治療において中等度 vs 強化治療比較で5年間トライアルで心血管死亡率の減少効果差を認めなかった。臨床トライアル毎の治療効果の差をいかに解釈するかで治療ベネフィットの推定に影響を与えることとなる。
これが臨床ガイドラインや、臨床トライアルデザイン、個別臨床意志決定にも影響を与えることとなる。ベースラインの平均、中央値LDL-C値は 最初のトライアルでは188 mg/dLから、バックグラウンドスタチン治療付加evolocumabトライアルでは 92 mg/dLまで減少している
LDL-C降下療法有効性の差は、LDL-C減少程度に影響されるだけでなく、ベースラインLDL-C値に影響される。故に、今回ベースラインLDL-C値、LDL-C低下程度が致死性・非致死性心血管イベント減少にいかに関連するか検討



Key Points

  • Question  LDL-C低下後の総・心血管疾患死亡減少程度はベースラインLDL-C値に影響されるか? 

  • Findings  34のRCT、270,288被検者のメタアナリシスにおいて、さらなるLDL-C効果強化療法は、ベースラインLDL-C高値ほど総死亡率をより減少させる  (発生率比,ベースライン値 40-mg/dL増加毎 0.91 ); しかし、ベースラインLDL-C値 < 100 mg/dLではその減少関連性はみられない。心血管死亡率との関連性も同様。

  • Meaning  LDL-C降下療法最大ベネフィットは、ベースラインLDL-C 100 mg/dL以上で観察される




Association Between Baseline LDL-C Level and Total and Cardiovascular Mortality After LDL-C Lowering A Systematic Review and Meta-analysis
Eliano P. Navarese,et al.
JAMA. 2018;319(15):1566-1579. doi:10.1001/jama.2018.2525



【論文意義】LDL-コレステロール低下薬剤トライアルによる致死性・非致死性エンドポイントへの特異的な効果は様々のよう

【目的】ベースラインLDL-C値が、全死亡・心血管死亡率リスク減少に関わるか検証


【データ・ソース、研究選択】 Electronic databases (Cochrane, MEDLINE, EMBASE, TCTMD, ClinicalTrials.gov, major congress proceedings) were searched through February 2, 2018, to identify randomized clinical trials of statins, ezetimibe, and PCSK9-inhibiting monoclonal antibodies.

【データ抽出・合成】 Two investigators abstracted data and appraised risks of bias. Intervention groups were categorized as “more intensive” (more potent pharmacologic intervention) or “less intensive” (less potent, placebo, or control group).


【メイン・アウトカムと測定】
共同プライマリエンドポイント: 総死亡率・心血管死亡率
Random-effects meta-regression and meta-analysis評価:ベースラインLDL-C値と死亡率エンドポイントとセカンダリエンドポイント(重大心血管イベント:MACEを含む)の関連性評価


【結果】 34トライアルにおいて、 136,299名intensive(強化)治療、 133,989名less intensive(非強化) LDL低下療法

全原因死亡率は強化療法( vs 非強化療法)で低下 (7.08% vs 7.70%; rate ratio [RR], 0.92 [95% CI, 0.88 to 0.96])するも、ベースラインLDL-C値によりその影響ばらつきあり


Meta-regressionにて強化LDL-C効果療法はベースラインLDL-C値高値で全原因死亡率低下効果大( ベースラインLDL-C 40-mg/dL増加毎のリスク比変化 , 0.91 [95% CI, 0.86 to 0.96]; P = .001; 絶対的リスク差 [ARD], インシデント −1.05 症例/1千人年 [95% CI, −1.59 to −0.51])が、メタ解析においてベースラインLDL-C値が 100 mg/dL以上の時のみ認める


心血管疾患死亡率は、強化療法 (vs 非強化療法)において減少  (3.48% vs 4.07%; RR, 0.84 [95% CI, 0.79 to 0.89]) するも、ベースラインLDL-C値により変動


Meta-regressionにて、強化LDL-C低下療法は、ベースラインLDL-C値より高値ほど心血管死亡率減少作用大きい(ベースラインLDL-C 40-mg/dL増加毎のリスク比変化, 0.86 [95% CI, 0.80 to 0.94]; P < .001; ARD, インシデント−1.0 症例/1千人年 [95% CI, −1.51 to −0.45])するが、メタ解析ではベースラインLDL-C 100 mg/dL以上の時のみ効果が大きい  (P < 0.001 for interaction)

ベースライン LDL-C値 160 mg/dL以上症例のトライアルでは、メタアナリシスで 全原因死亡率リスク減少最大 (RR, 0.72 [95% CI, 0.62 to 0.84]; P < .001; 1千人年あたり4.3減少 ) となる

LDL-C降下療法より強化するほど、ベースラインLDL-C値高い場合、心筋梗塞、血管再建術、MACEに対して、より大きなリスク減少がみられる










【結論・レビュー】 このメタアナリシス・メタ回帰解析において、ベースラインLDL-C値高患者において、より強化治療ではそうでない治療に比べ、全原因・心血管死亡率リスクを大きく低下させること判明
この関連性は、ベースラインLDL 100 mg/dL未満症例においては認めず、ベースラインLDL-C高値患者にのみLDL-C低下治療の最大ベネフィットがもたらされる





登録クライテリア
The main inclusion criteria were (1) randomized trials in- cluding at least 1000 patients receiving the allocated pharmacologic LDL-C–lowering strategy for a minimum of 48 weeks; (2) use of statin, nonstatin, or statin in combination with non- statin therapies (either ezetimibe or a PCSK9-inhibiting mono- clonal antibody); and (3) reported cardiovascular and mortality outcomes of interest. Trials performed in populations with heart failure or end-stage renal disease requiring hemodialysis were excluded; additional exclusion criteria are listed in eTable 1 in the Supplement. 


SGLT-2阻害剤、GLP-1アゴニスト、DPP-4阻害剤の臨床的有効性比較:DPP-4阻害剤の効果疑問

SGLT-2阻害剤、GLP-1アゴニスト、DPP-4阻害剤の臨床的有効性比較

ネットワーク・メタアナリシスを用いた比較


DPP-4阻害剤は、他の2種の抗糖尿病薬剤や対照薬剤に比べて、死亡率低下有効性認められず、有益性に疑問が残る
GLP-1アゴニストは他2剤に比べ安全性懸念が残る


キーポイント:Meaning Inpatientswithtype2diabetes,theuseofSGLT-2 inhibitors or GLP-1 agonists was associated with better mortality outcomes than DPP-4 inhibitors.




Association Between Use of Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitors, Glucagon-like Peptide 1 Agonists, and Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitors With All-Cause Mortality in Patients With Type 2 Diabetes
A Systematic Review and Meta-analysis
Sean L. Zheng,  et al.
JAMA. 2018;319(15):1580-1591. doi:10.1001/jama.2018.3024

236トライアル、 176,310名被検者


対照群との全原因死亡率低下有意相関あり

  • SGLT-2 阻害剤 (絶対的 リスク差 [RD], −1.0%; ハザード比 [HR], 0.80 [95% 信頼区間 {CrI}, 0.71 to 0.89]) 
  • GLP-1 アゴニスト (絶対的 RD, −0.6%; HR, 0.88 [95% CrI, 0.81 to 0.94]) 


DPP-4阻害剤との死亡率低下有意相関あり

  • SGLT-2 阻害剤 (絶対的 RD, −0.9%; HR, 0.78 [95% CrI, 0.68 to 0.90]) 
  • GLP-1 アゴニスト (絶対的 RD, −0.5%; HR, 0.86 [95% CrI, 0.77 to 0.96])


対照群との全原因死亡率有意相関みとめず

  • DPP-4 阻害剤 (絶対的 RD, 0.1%; HR, 1.02 [95% CrI, 0.94 to 1.11])


対照群との心血管死亡率低下有意相関

  • SGLT-2 阻害剤 (絶対的 RD, −0.8%; HR, 0.79 [95% CrI, 0.69 to 0.91]) 
  •  GLP-1 アゴニスト (絶対的 RD, −0.5%; HR, 0.85 [95% CrI, 0.77 to 0.94])


SGLT-2 阻害剤 は、対照群と比較して、心不全 (絶対的 RD, −1.1%; HR, 0.62 [95% CrI, 0.54 to 0.72]) 、心筋梗塞(絶対的 RD, −0.6%; HR, 0.86 [95% CrI, 0.77 to 0.97])イベント発生率低下


GLP-1 アゴニスト は、トライアル中断につながる副作用リスクが、以下薬剤より高い

  • SGLT-2 阻害剤 (絶対的 RD, 5.8%; HR, 1.80 [95% CrI, 1.44 to 2.25])
  • DPP-4 阻害剤 (絶対的 RD, 3.1%; HR, 1.93 [95% CrI, 1.59 to 2.35])








メトホルミンベースのトライアルが多いので注意必要


2018年4月17日火曜日

オゼンピック皮下注 本邦オープンラベル試験報告

Ozempic®(一般名セマグルチド) オゼンピック皮下注
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/620023_24994A6G1029_1_02.pdf


セマグル チド が示した 、 デュラグル チド(トルリシティ) よりも 有意に 優れた 血糖コントロールと 体重減少効果の 結果が The Lancet Diabetes & Endocrinology に掲載
http://www.novonordisk.co.jp/content/Japan/AFFILIATE/www-novonordisk-co-jp/Extweb/news/2018/02/08/18-03.pdf


日本からの報告

他のGLP-1アナログとの対比ではないが・・・

日本のphase III オープランラベル セマグルチド 0.5 mg vs 1.0mg vs 追加経口抗糖尿病薬(DPP4阻害剤、ビグアナイド、αGI、チアゾリジン系) 2:2:1

Safety and efficacy of once-weekly semaglutide vs additionaloral antidiabetic drugs in Japanese people with inadequatelycontrolled type 2 diabetes: A randomized trial
Kohei Kaku, et al.
Diabetes Obes Metab.2018;20:1202–1212





この数字なら相当すごいなぁ・・・と

増悪繰り返す好酸球増加喘息症例:吸入アドヒアランスは限定的要素

血中好酸球400/μLを超える場合増悪リスク増加と関連するというリアルワールド研究(Blood eosinophil count and prospective annual asthma disease burden: a UK cohort study. The Lancet Respiratory medicine . 2015;3(11):849-58..)が示されている。一方、吸入処方への非遵守性:non-adherenceも増悪の重要な要素。ICSアドヒアランス良好でも状況の良くない症例も存在する。


リアルワールドではどうか?

喘息に治療管理に関して、吸入ステロイドなどの吸入手技やアドヒアランスが着眼されるのは当然だが、好酸球増加喘息患者において吸入アドヒアランスにあまりこだわるのも問題なのかもしれない


以下の報告まとめ
  • ICS治療へのNon-adherenceと血中好酸球増加はともに喘息患者の急性増悪リスク増加と関連していることは既知
  • この論文により、ルーチンの臨床的および患者報告データを用いると、血中好酸球増加喘息患者において、ICS治療処方リフィルへのアドヒアランスと喘息急性増悪減少と関連せずと判明
  • 頻回の喘息増悪経験し続ける血中好酸球増加患者ではICSアドヒアランスにかかわらず、バイオ製剤など付加治療必要






Relationship of inhaled corticosteroid adherence to asthma exacerbations in patients with moderate to severe asthma
Alberto Papi,  et al.
The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice (2018), doi: 10.1016/j.jaip.2018.03.008.
http://www.jaci-inpractice.org/article/S2213-2198(18)30266-6/abstract



血中好酸球数 200個/μL中央値、ICS治療非アドヒアランス率 81%

血中好酸球増加 14%、1031名、女性 58% 、平均年齢 60歳、ICS完全adherenceでない比率 83%

血中好酸球増加の患者では、アドヒアランス率増加すると、アドヒアランス完全でない場合に比べ、2回以上急性増悪 14% vs 7.2% p=0.003 、コントロール不良 73% vs 60.8% p=0.004

血中好酸球増加は7名の患者に約1名
ICSアドヒアランスはこれらの患者において急性増悪減少と関連せず
biologicsなどの付加治療がこれら患者に必要






確かに、中等度以上の喘息の場合、吸入スキルや吸入流量などの問題はあるかもしれないが、患者側も無症状や軽症と違い、治療努力期待できるはず

アドヒアランスばかり問題にするのも考えものなのかもしれない

閉塞型無呼吸治療と本態性高血圧リスク 量依存関連性

 内科学会でも、SASって表現が跋扈しているが、英文論文でSASという表現をみることは極めて少ない。OSA、OSASなど閉塞型を強調した表現が多い。
SAS(サス)って言いたいだけで馬鹿晒してるだけにような気がするのだが・・・

治療抵抗性高血圧の原因として閉塞型無呼吸治療に関心 がむけられていることが結構なことだが、
酸素付加よりCPAPが良い(NEJM 2014: 370:2276-2285)とはいえ、さらに減量との組み合わせが有効(NEJM 2014: 370:2265-2275)とはいえ、治療抵抗性高血圧に関してCPAP療法で明確な効果があるとは言いがたい(Chest 2016 Mar 149(3) 747-755)


序文に書かれているのは、Wisconsin Sleep Cohort Study'WSCS)にて、REM睡眠中の閉塞型無呼吸と本態性高血圧の関連性( Sleep 2008; 31: 795-800 )


 6つの前向きコホートと1つの症例対照、サンプル総数6098
量反応メタ解析にて、高AHI値は、低AHI値に比べ本態性高血圧 リスク増加(オッズ比 (OR) 1.77 , 95%信頼区間 1.30-2.4) p=0.001


線形の量反応関係が、AHI 10イベント/時間毎、本態性高血圧リスク17%増加 (オッズ比 1.17 , 95% 信頼区間 1.07-1.27) p=0.001


非線型の量反応関係が、AHI値増加後と、本態性高血圧リスクで示された 


Relationship between obstructive sleep apnoea syndrome and essential hypertension: a dose–response meta-analysis
Wanyuan Xia, et al.
http://www.sleep-journal.com/article/S1389-9457(18)30091-1/fulltext
DOI: https://doi.org/10.1016/j.sleep.2018.03.016


2018年4月13日金曜日

夜型人間、無理して朝型の生活をすることで死亡リスク上昇の可能性

夜型人間、無理して朝型の生活をすることで死亡リスク上昇の可能性
2018年4月13日 13:44 発信地:パリ/フランス
http://www.afpbb.com/articles/-/3171072
https://www.afp.com/en/news/23/night-owls-risk-dying-younger-should-sleep-study-doc-13y25o1

情報ソース記載ないなぁ

https://www.cbsnews.com/news/bad-news-for-night-owls-late-risers-may-die-sooner-study-finds/


おそらく情報ソースの文献





Associations between chronotype, morbidity and mortality in the UK Biobank cohort
The Journal of Biological and Medical Rhythm
Received 17 Jan 2018, Accepted 15 Mar 2018,
Published online: 11 Apr 2018
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/07420528.2018.1454458




2型糖尿病:SGLT2薬剤間差?

システマティックレビュー・メタアナリシスなので、新しいRCTなど含まないかもしれないので、逐一情報アップデート必要だろう


個人的なまとめだと

  • HbA1c指標改善だと、ジャディアンス、カナグル
  • 腎機能低下への懸念あるのは、ルセフィー、懸念乏しいのはスーグラ、フォシーガ、カナグル
  • 体重減少作用は薬剤間差が明瞭でなく
  • 死亡率や重大心血管イベントに関してはより緩やかなアウトカムにのみ有意性を認める




Efficacy and Safety of sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors in patients with type 2 diabetes and moderate renal function impairment: A Systematic Review and Meta-Analysis
Lin Zhang, et al.
Diabetes Research and Clinical Practice 
DOI: https://doi.org/10.1016/j.diabres.2018.03.047


HbA1c

In patients with moderate renal function impairment (stage 3 CKD), SGLT2 inhibitors (n=2062) showed significant improvement in HbA1c compared with the placebo (n=1115) (WMD, -0.23%; 95% CI: -0.38 to -0.08) (Fig. 3) (I2 = 52.9%; P= 0.048).

As for each SGLT2 inhibitor, compared with the placebo,
empagliflozin <ジャディアンス> (mean: -0.44%, 95% CI:-0.61 to -0.27[11]; -0.19%, 95% CI:-0.33 to -0.05[16])
canagliflozin <カナグル>300 mg once daily (-0.41%,95% CI: -0.68, -0.14)[15] notably reduced HbA1c; 
but not ipragliflozin<スーグラ>[13], luseogliflozin[<ルセフィー>12], dapagliflozin<フォシーガ>[14] or ertugliflozin[17].

腎機能

Four studies reported a change of renal function during the trials[12-15] in patients with moderate renal function impairment.
Treatment with SGLT2 inhibitors (n=379) led to the reduction of eGFR compared with the placebo (n=178) (WMD, -1.74ml/min/1.73m2; 95% CI: -3.45 to -0.03) (I2 = 0%; P = 0.567) (Fig. 5).
As for each SGLT2 inhibitor, compared with the placebo,
ipragliflozin[13] (WMD, -2.00 ml/min/1.73m2; 95% CI: -4.52 to 0.52),
dapagliflozin[14] (WMD, -0.32 ml/min/1.73m2; 95% CI: -2.83 to 2.19)
canagliflozin[15] (WMD, -1.52 ml/min/1.73m2; 95% CI: -3.45 to 0.41) did not result in the reduction of eGFR,
unlike luseogliflozin (WMD, -2.50 ml/min/1.73m2; 95% CI: -4.27 to -0.73)[12].

死亡率・心血管系イベント



All-cause mortality was reported in five articles [11, 14-17].
The rate of all-cause mortality was 6.4% and 7.5% in SGLT2 inhibitors and placebo groups, respectively, there was no difference (RR, 0.79; 95% CI: 0.54 to 1.15) (I2 = 0%; P = 0.872) (Fig. S4).
Cardiovascular outcomes were reported in one article [16]. In SGLT2 inhibitors and placebo groups, 3-point major adverse cardiovascular events (MACE): composite of cardiovascular death, non-fatal myocardial infarction, or non-fatal stroke, were similar (hazard ratio [HR], 0.88; 95%CI: 0.69, 1.13), both of the hospitalization for heart failure (HR, 0.59; 95%CI:0.39, 0.88) and all-cause hospitalization (HR, 0.83; 95CI%:0.72, 0.95) were lower.


体重


Six studies [11-16] described a change in body weight in patients with moderate renal impairment. In patients with moderate renal function impairment, treatment with SGLT2 inhibitors (n=1823) resulted in an obvious reduction in body weight compared to the placebo (n=999) (WMD, -1.45kg; 95% CI: -2.01 to -0.89) (I2=42.9%; P=0.119) (Fig. S5).
As presented in Fig. S5, all of the included SGLT2 inhibitors brought about significant body weight reduction.




EMPA-REG OUTCOME以降、ジャディアンス主体にSGLT-2選別しているが、ちょっと冷静になる必要があるかも・・・

重症COPD 長期アジスロマイシン使用による急性増悪低減効果

重症・最重症COPD患者、6ヶ月以上、週3回以上アジスロマイシン 250mg処方の後顧的観察研究

介入群:アジスロマイシン処方、対照:アジスロマイシン非処方


Long-term azithromycin therapy to reduce acute exacerbations in patients with severe chronic obstructive pulmonary disease
Nafiseh Naderi,  et al.
DOI: https://doi.org/10.1016/j.rmed.2018.03.035 |




 アジスロマイシン群 n=126非アジスロマイシン群 n=69群間比較
 0-12ヶ月12-24ヶ月
 治療前治療簿P0-12ヶ月12-24ヶ月
急性増悪数3.2±2.12.3±1.6<0 .001="" font="">1.7±1.32.5±1.7<0 .001="" font=""><0 .001="" font="">
急性増悪患者, n (%)       
急性増悪1回 16 (12.7)37 (29.4)0.00119 (27.5)13 (18.8)0.2260.003
急性増悪2回以上104(82.5)78 (61.9)<0 .001="" font="">36 (52.2)50 (72.5)0.014<0 .001="" font="">
医療ソース利用       
年間患者1人あたりのER受診1.5±1.71.0±1.20.0071.1±1.11.3±1.50.9260.031
年間患者あたり入院数 1.4±1.70.9±1.10.0030.8±1.01.0±1.50.7630.014
入院必要となった患者の入院日数9.1±10.06.5±4.70.0398.7±8.910.4±9.80.2740.005




近年、抗生剤適正使用についていろいろ言われるが、COPD重症・最重症患者へのマクロライド系抗生剤長期管理治療について、エビデンス構築差し迫って必要と実感 

COPD急性増悪の観点、特に急性増悪を繰り返す症例を日常的に診療している視点からは、抗生剤適正使用はわかるけど勘弁して欲しいという面がある
急性増悪の臨床的重要性は、入院・点滴抗生剤など社会資源コストやその後の予後悪化、QOLなど影響甚だしい

今回、後顧的検討のため、潜在性バイアスの存在念頭にいれての解釈必要だが、使用群 vs 対照群の明確な差が認められている

今後当然ながら前向き検討で確固たるエビデンス構築必要で、より長期使用での安全性、ベネフィット考慮必要、特に耐性菌リスクについてのインパクト評価必要だろうが・・・

2018年4月12日木曜日

UK Biobank study:心血管疾患高リスク遺伝子群でも心肺フィットネス、握力とイベント発生リスク低下と相関

テレビなど劣化メディアや井戸端会議で、○○“遺伝子”が・・・と、「真の遺伝子のことでない個人の性質・性格・行動特性などを○○遺伝子と言うような」馬鹿な表現が市井に固着している。 科学を装ったフィクション、SF的な「利己的遺伝子」あたりが火をつけたと思うのだが、エピジェネティックの時代に、少なくとも特定されてない「○○遺伝子」を「○○遺伝子が・・・」などとしたり顔でいうのは、恥ずかしいことという認識が広がって欲しい

参照: 次の疑似科学の舞台は「遺伝子」かも 



遺伝的な要素あるほど、生活行動変容が重要という話にもなるのかもしれない




観察研究にてフィットネス、身体活動性との心血管疾患の逆相関性示唆されているが、これら疾患の遺伝的感受性増加群での相関性検討はなされてない

ということで、冠動脈性心疾患、心房細動遺伝子リスクスコアをベースに個別層別化
その上で、フィットネス・身体活動性と遺伝子リスクを最小3分位参照で疾患リスクを評価

 UK Biobank、502,635名の大規模コホート、フォローアップ中央期間 6.1年間、IQR 5.5-6.8年


 Associations of Fitness, Physical Activity, Strength, and Genetic Risk With Cardiovascular Disease: Longitudinal Analyses in the UK Biobank Study
Emmi Tikkanen, et al.
 https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.117.032432
Circulation. 2018;CIRCULATIONAHA.117.032432
http://circ.ahajournals.org/content/early/2018/04/04/CIRCULATIONAHA.117.032432


  • 握力、身体活動性、心肺フィットネスは心血管イベント発生と逆相関  (冠動脈性心疾患: ハザード比 [HR], 0.79; 95% 信頼区間 [CI], 0.77– 0.81; HR, 0.95; 95% CI, 0.93–0.97;  HR, 0.68; 95% CI, 0.63–0.74, per SD change,; 心房細動: HR, 0.75; 95% CI, 0.73– 0.76; HR, 0.93; 95% CI, 0.91–0.95;  HR, 0.60; 95% CI, 0.56–0.65, per SD change) 
  •  
  •  握力及び心肺フィットネス最良値は、どの遺伝子群でも、冠動脈性心疾患、心房細動の発生リスク低下と関連  (Ptrend <0 .001="" category="" each="" genetic="" in="" li="" risk="">
  •  
  •  特に、遺伝子高リスク群では、心肺フィットネス高レベルは冠動脈性心疾患リスク49%低下 (HR, 0.51; 95% CI, 0.38–0.69)、心房細動リスク60%低下(HR, 0.40; 95%, CI 0.30–0.55) 




遺伝・環境要素として、遺伝の方はgenome-wide genetic dataを使用





2018年4月11日水曜日

非糖尿病:血糖増加につき心筋梗塞・卒中・全原因死亡率リスク増加

Korean National Health Insurance Service-Nation Health Screening Cohort (NHIS-HEALS) という韓国のコホート研究

血糖状況とその後の8年間の心筋梗塞、卒中、全原因死亡リスクについての影響検討

これまで、糖尿病前状態、空腹時血糖 100-125 mg/dL、ぶどう糖負荷2時間後 140-199 mg/dLのIFG、IGTで心血管リスク増加懸念されていた。Australian Diabetes, Obesity, and Lifestyle Study (AusDiab) では、IFGもIGTも心血管疾患、全死亡率独立予測要素だが、一部にはIGTこそが・・・という報告もある。

今回の報告で、非糖尿病患者の空腹時血糖上昇は、心筋梗塞、全死亡リスクと関連し、迅速で重大であることが確認された
特に、空腹時血糖正常維持に比べ、2年内の空腹時血糖正常→異常(この場合は“IFG→DFG"と表現)では、心血管・全原因死亡リスク増加と関連している。

糖尿病という診断前から心血管疾患系の病的状況は進行していることが分かる



The effect of change in fasting glucose on the risk of myocardial infarction, stroke, and all-cause mortality: a nationwide cohort study
Gyeongsil Lee et. al.
Cardiovascular Diabetology201817:51 
https://doi.org/10.1186/s12933-018-0694-z
Published: 7 April 2018

正常空腹時血糖(NFG)
NFG→NFG比較

  • NFG→DFG(空腹時血糖 126 mg/dl以上):卒中リスク増加 (HR [95%CI] 1.19 [1.02 - 1.38]
  • NFG→IFG(空腹時血糖 100.0 - 125.9 mg/dl) or DFG :全原因死亡リスク増加 (NFG→IFG:HR [95% CI]: 1.08 [1.02–1.14] 、NFG→DFG:1.56 [1.39–1.75] for NFG to DFG)



  • IFG持続者に比べ、IFG→DFGでは、心筋梗塞・全原因死亡リスク増加  (HR [95% CI]: 1.65 [1.20–2.27]、1.16 [1.02–1.33])


2018年4月10日火曜日

【韓国国内報告】食事由来抗酸化成分の肺機能への影響

21,148名の韓国の国内研究(2007-2014)喫煙歴性別、多変量解析モデル研究

西洋の報告よりは食生活似通っているので、より参考となるのかもしれない


Effects of dietary antioxidant vitamins on lung functions according to gender and smoking status in Korea: a population-based cross-sectional study
Hong JY, et al. BMJ Open 2018;8:e020656. doi:10.1136/bmjopen-2017-020656
http://bmjopen.bmj.com/content/bmjopen/8/4/e020656.full.pdf

ビタミンA、カロテン、ビタミンC最大5分位(Q5)群では平均FEV1測定値は最小5分位(Q1)群より、30mL、 32mL、 36mL高値 (p for trend; p=0.008, p=0.010, p<0 .001="" nbsp="" p="">男性喫煙者において、ビタミンA、カロテン、ビタミンC最小5分位(Q1)ではCOPDリスクは最大5分位(Q5)に比べ、オッズ比  7.60-倍 (95% CI 5.92 to 9.76), 7.16-倍 (95% CI 5.58 to 9.19) and 7.79-倍 (95% CI 6.12 to 9.92),

COPD患者において、20 pack-yeras超喫煙男性では、ビタミンA、カロテン、ビタミンC最小5分位(Q1)より、各々192 mL, 149 mL and 177 mL高値  (p for trend; p=0.018, p=0.024 ,
p=0.043)







あくまで聞き取りによる各種ビタミン摂取量評価 血中濃度では考慮されてない


喫煙はビタミンA、カロテン、ビタミンCの肺機能減衰抑制作用効果減弱
ビタミンCは摂取した方がマシではあるが・・・と結論なるかどうか?


カロテン、特に、βカロテンの肺癌との関連性は果たして?
Nutr Cancer. 2009;61(6):767-74. doi: 10.1080/01635580903285155.

禁煙治療:治療期間中・フォローアップ中重大心血管イベントリスク増加せず?

質問  禁煙治療の相対的安全性比較:バレニクリニン、ブプロピオン、ニコチン置換療法、プラシーボ比較


所見  ランダム化トライアル喫煙者8058名、治療中重大心血管イベント発生頻度治療期間中とフォローアップ中低く、治療毎に差を認めず


意義:これらの所見から、喫煙者一般住民において禁煙治療は重大な心血管イベントリスク増加させないことが分かった



Cardiovascular Safety of Varenicline, Bupropion, and Nicotine Patch in Smokers
A Randomized Clinical Trial
Neal L. Benowitz, et al.
JAMA Intern Med. Published online April 9, 2018.
 doi:10.1001/jamainternmed.2018.0397

8058名中、 3553(44.1%)は男性(平均{SD]年齢 46.5[12.3]歳)

心血管イベントは、治療中及びフォローアップ中ともに低く、 <0 .5="" p="">
心血管イベント、血圧、心拍発生までの期間で、治療毎有意差認めず

バレニクリニン、ブプロピオン、プラシーボでMACE発生までの期間に有意差認めず(バレニクリン ハザード比 0.29; 95%CI 0.05-1.65 ブプロピオン 0.50; 95_% CI 0.10-2.50)


禁煙治療によるMACEリスク

2017年、以下報告がなされ、バレニクリニンの心血管イベントに対する安全性懸念が持ち上がっている。
http://www.thoracic.org/about/newsroom/press-releases/resources/varenicline-and-cv-risk.pdf

“肉由来” と "ナッツ・シーズ由来”蛋白では、心血管疾患への影響異なる;高齢者では違うパターンの可能性

脱炭水化物ダイエットが市民権を得て、結果、蛋白摂取量増加することになるかもしれない。そうなれば、蛋白摂取源が問題になる

“肉由来” と "ナッツ・シーズ由来”蛋白では、心血管疾患への影響異なる


食事パターンを"Adventist Health Study-2"から81,337男女選別群から調査


Patterns of plant and animal protein intake are strongly associated with cardiovascular mortality: the Adventist Health Study-2 cohort
Marion Tharrey , et al.
International Journal of Epidemiology, dyy030, https://doi.org/10.1093/ije/dyy030
Published: 02 April 2018

フォローアップ平均9.4年間、心血管死 2276名

心血管死亡率<最大 vs 最小5分位比較>
"肉”蛋白成分  1.61 [98.75% 信頼区間 (CI), 1.12 2.32; P-trend < 0.001]
"ナッツ・シーズ"蛋白成分  0.60 (98.75% CI, 0.42 0.86; P-trend < 0.001)

"穀類"、”加工食品”、”レギューム、フルーツ&野菜”蛋白成分では相関認めず

"ベジタリアン食パターン・栄養”補正後も結果に影響を与えない




で、“肉由来蛋白”より“ナッツ・シーズ由来”蛋白摂取で、めでたし、目出度し


って、訳にはいかない

上記結論は 65歳未満での話で、
高齢被検者では、“ナッツやシーズ”有意差認めないながらリスク増加の可能性あり さらに、肉類蛋白成分は影響を与えない?

2018年4月6日金曜日

SPRINT:強化療法 失神、低血圧、転倒重大副作用検討

収縮期血圧強化降圧療法割り付けでは低血圧リスク増加(当たり前のような・・・)し、失神リスク増加の可能性は残存するも転倒リスクは明らかでなかった

これら3つの組み合わせリスクは年齢によって影響見いだしがたい


Syncope, hypotension, and falls in the treatment of hypertension: Results from the randomized clinical Systolic Blood Pressure Intervention Trial
Journal of the American Geriatrics Society 
April 05, 2018


糖尿病なし、卒中・有症状心不全・EF35未満・立位収縮期血圧<110 div="" mmhg="">

重大副作用イベント(SAEs)::失神、低血圧、転倒を含む

US内の学術・臨床現場

介入 目標: 収縮期血圧 120 mmHg or 140 mmHg未満


失神: 172 (1.8%)
低血圧: 155 (1.6%)
転倒: 203 (2.2%)


強化収縮期血圧降圧療法割り付けで、低血圧を含むSAEリスク増加 p=0.002 95%CI, 1.21-2.32
失神リスクは境界 p=0.07, 95%CI, 0.98-1.79、転倒では有意差無し p=0.90, 95%CI 0.75 -1.29
3つのアウトカムリスクはCKD、frailtyで高い


高齢となるほど、失神、低血圧、転倒リスク増加と関連するが、重大副作用イベント毎の age-by-randomizied group interactionのエビデンス認めない




 



非認知症高齢者低亜鉛血症:多剤薬物使用と関連、集中力低下と関連

まあ、これも横断調査なので、conclusiveではない

スペイン・バルセロナ市と周辺州の横断研究での知見


  • 亜鉛濃度を、高齢者の機能、心理、認知機能において評価
  • 血中濃度は、MMSE測定上のconcentration ability(集中力)と相関
  • 亜鉛濃度は、polymedicationで低下
  • 亜鉛濃度は、うつ症状とは相関せず



Blood zinc levels and cognitive and functional evaluation in non-demented older patients
Tobías E. et al.
Experimental Gerontology Volume 108, 15 July 2018, Pages 28-34
https://doi.org/10.1016/j.exger.2018.03.003


老年学、心理計測学的検証を血中由来亜鉛(神経可塑性の鍵要素として)、機能的、心理学的、認知機能障害に関連するか、非認知症者において検討

亜鉛血中濃度と、MMSEサブカテゴリーは相関するも、MMSEスコア総数では相関せず
polymedication患者で有意に減少

血中亜鉛濃度とうつ症状(Yesavage scale)、Barthel指数に相関性認めず

うつ症状は、睡眠の質低下やpolymedicationと相関

末梢血亜鉛濃度は、認知機能の特定のドメインの生理学的異常に役割をはたしていることが示唆された。抗うつ治療下で老年でのうつ症状に相関性をみとめなかった。





テストステロン値と非アルコール性脂肪肝疾患

横断調査研究だとどうしてもミスリードされやすくなる
まるで、テストステロン製剤でNAFLD改善するかの如く・・・


米国内横断調査(National Health and Nutritional Examination Survey) 2011-2012


Serum testosterone and non-alcoholic fatty liver disease in men and women in the US
Jeong Yoon Yim, et al.
Liver International. 2018;1–9.

4758名、男性49.4% 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)疑診は、性別特異的差はあるものの、テストステロン濃度と逆相関を認める

多変量解析にて、テストステロン濃度低値は、年齢・肥満・メタボリックリスク要素補正後、NAFLD疑診オッズ漸増的増加 
女性閉経状況による2群分割後、閉経後女性で有意相関
NAFLD疑診補正オッズは男性 1.72-1.99、 閉経後女性 2.15-2.26



テストステロン・サプリメントに関してその効能と有害性に関しては両者存在する
故に 全く安全というわけには行かない

心血管イベントベネフィット効果とリスク作用報告2分されている
Cardiovascular benefits and risks of testosterone replacement therapy in older men with low testosterone.
Hosp Pract (1995). 2018 Apr;46(2):47-55.doi: 10.1080/21548331.2018.1445405. Epub 2018 Mar 1.

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note