2017年12月8日金曜日

アルツハイマー病と修正可能リスク要素:メンデル・ランダム化トライアル コーヒーは悪か?

Mendelian randomisation analysis
http://kaigyoi.blogspot.jp/2015/06/mendelian-randomization-mr.html

この解析、理論的には信頼できるのだろうがいつも議論を呼び起こす


コーヒーとアルツハイマー病の関連性はむしろ発症オッズ低下が取り沙汰されていたが、いままでの観察研究と逆?


Modifiable pathways in Alzheimer’s disease: Mendelian randomisation analysis
Susanna C Larsson, et al.
BMJ 2017; 359 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j5375 (Published 07 December 2017)
Cite this as: BMJ 2017;359:j5375



 アルツハイマー病は認知症の主たる原因で、アミロイドプラークと神経原線維タングルが主なhallmarkであり、仮説としてアミロイドβの蓄積が神経機能障害・脳の細胞死のトリガーというもの。血管原因仮説ももう一つの仮説で脳内低還流が酸化ストレス、アミロイドβの蓄積、神経炎症、血液脳関門のbreakdown、認知機能低下、神経変性をもたらすというもの
年齢と Apoε4 alle増加あるもその意義不明で治療トライアルの結果は悲観的なものであった
決定的でないエビデンスだが観察研究からは、中年期の肥満、高血圧高コレステロール血症、喫煙、低ビタミンD血症、低葉酸血症、高ホモシステイン血症、CRP高値がリスクと相関し、身体活動性、健康的食事、適正なアルコール摂取、コーヒーが陸減少と関連とされている。
 2010 State of the Science reportでも修正可能な要素としては検証不十分であるとされている。
これは観察研究でも不適切であったり、寄与要素や、reverse causation biasの影響もあり、ランダム化トライアルのデータが不足していることが関係。
Mendelian randomisationは遺伝的疫学的手法で、リスク要素と疾患リスクに関する関連をバイアス関与せず推定しうる方法で、修正可能リスク要素の影響する遺伝的変数を示し、causal inferenceを評価するメソッド
解析では、修正可能リスク要素24候補

Bonferroniの調整(多重比較法)閾値をp = 0.001として有意とし、 P< 0.05を候補的関連性エビデンス示唆とした<0 .05="" p="">
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<0 .05="" p="">遺伝的予測教育歴到達(教育卒業期間とカレッジ/大学卒業)はアルツハイマー病と有意相関<0 .05="" p="">教育卒業年数あたりのオッズ比は 0.89 (95% 信頼関係 0.84 to 0.93; P=2.4×10−6)<0 .05="" p="">カレッジ/大学卒業log oddsあたりで 0.74 (0.63 to 0.86; P=8.0×10−5)<0 .05="" p="">;留年卒業ってどうなるんだ?<0 .05="" p="">補正trail intelligenceは、アルツハイマー病と相関性示唆  (inttelligene 1SD増加毎 : 0.73, 0.57 to 0.93; P=0.01)<0 .05="" p="">;SDだから相当インテリジェンスが良くないとダメ<0 .05="" p="">示唆エビデンスとしては、遺伝的予測喫煙量 (per 10 本/日 0.69, 0.49 to 0.99; P=0.04)と25-OHビタミンD濃度  (per 20% 増加毎: 0.92, 0.85 to 0.98; P=0.01) とアルツハイマー病オッズ低下<0 .05="" p="">コーヒー摂取量増加とアルツハイマー病(1日1カップあたり : 1.26, 1.05 to 1.51; P=0.01)<0 .05="" p="">遺伝的予測アルコール摂取、葉酸濃度、血中ビタミンB12濃度、ホモシステイン、心代謝要素、CRPはアルツハイマー病と関連せず
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J-STARS Echo 研究:二次予防トライアル


スタチン長期投与で頸動脈硬化進行を抑制
日本の常用量・多施設ランダム化オープントライアル

二次予防トライアルということを強調したいため記載



Long-Term Effect of Pravastatin on Carotid Intima–Media Complex Thickness
The J-STARS Echo Study (Japan Statin Treatment Against Recurrent Stroke)
Masatoshi Koga, et al.
Stroke. 2017;STROKEAHA.117.018387
http://stroke.ahajournals.org/content/early/2017/11/29/STROKEAHA.117.018387.long

登録基準

  •  45-80歳、男女
  • 臨床的非心原性塞栓虚血性卒中 前月〜3年間内発症
  • スタチン未使用時血中コレステロール持続性に  4.65 〜 6.21 mmol/L (180 〜 240 mg/dL




プラバスタチン(10mg/日、日本の通常量) vs スタチン未使用(対照群)
プライマリアウトカムはI5年間観察中の総頸動脈MT変化


結果:このサブ研究に864名登録、71名はベースラインの超音波にて除外
プラバスタチン群 388名、対照群 405名に割り付け
ベースライン特性は有意差無しだが、2群間にt National Institute of Health Stroke Scale scoreで有意差あり p=0.019
ベースラインIMT プラバスタチン群 (平均± SD) 0.887 ± 0.155 mm vs 対照群 0.887 ± 0.152 mm (P=0.99)
5年時受診時IMT年次変化はプラバスタチン群で有意減少  (0.021 ± 0.116 versus 0.040 ± 0.118 mm; P=0.010).






スタチンに関して、糖尿病発症リスクはっきりしてきたため、再び雲行きが怪しい
スタチン治療正当化の一つは、IMT退縮効果なのだが、まだ本邦での一次予防根拠乏しいと考える。アホなアンチ・スタチン・プロパガンダ(宗教)の人たちは二次予防まで否定しているようだが・・・

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