2013年1月26日土曜日

葉酸サプリメント:がん発生増加リスク否定

1年程度なので、長期安全性に関しては、完全否定というわけではないとのこと
妊娠期の葉酸投与の安全性を支持するというスタンス


Effects of folic acid supplementation on overall and site-specific cancer incidence during the randomised trials: meta-analyses of data on 50 000 individuals
The Lancet, Early Online Publication, 25 January 2013 doi:10.1016/S0140-6736(12)62001-7
1998年以降、妊娠女性の葉酸欠乏と子供の脳・脊髄異常緩和のための葉酸投与を米国・カナダでは要求しているが、がんリスク増加懸念されていた。実際、西欧ではこのため、がんリスク軽度増加を懸念し葉酸投与に消極的。

少なくとも1年の治療期間の2011年前の前トライアルを検討
メタアナリシスにて49,621名13トライアル
・心血管疾患頻度のためのトライアル10(n=16969)
・直腸大腸腺腫患者のトライアル3(n=2652)

加重平均スケジュール治療5.2年間
葉酸割り付け群は、プラシーボ群の4倍 (葉酸割り付け群 57·3 nmol/L  vs  プラシーボ群 13·5 nmol/L )
しかし、包括的がん発生率に有意差なし(葉酸割り付け群 1904   vs  プラシーボ群1809 , RR 1·06, 95% CI 0·99—1·13, p=0·10)
期間長期化での傾向強化認めず

13の個別トライアルに有意なheterogeneity認めず(p=.13)
さらに、葉酸サプリメントによる、大腸、前立腺、他特異的部位のがんに効果認めず

 
人騒がせな論文で、邪魔(jama)になった報告
JAMA. 2009 Nov 18;302(19):2119-26. doi: 10.1001/jama.2009.1622.
Cancer incidence and mortality after treatment with folic acid and vitamin B12.

作用機序の説明は、”核酸生合成・DNA複製・メチル基に必須で、細胞増殖・修復と関連する”。不足も発がん性に、過剰投与もがん増殖促進的にはたらくのではないかという懸念があると記載されている。

机上の発想が疫学調査で疑いが濃厚となったため、欧州は自粛傾向であったということ。

日本の産婦人科学会って、ホルモン補充療法に異常なほど熱心だけど、これに関してあまり熱心じゃない

産婦人科診療ガイドライン;産科編 2011
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2011.pdf
神経管閉鎖障害と葉酸の関係について説明を求められたら(p51)
”・・・期待できる”の記載のみで、推奨するとは書いてない。
そして、発がん性に関してはコメント見当たらない

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