「新感染症法」に、「新型インフルエンザ」か・・・ 最近の役人は「新型」がすきらしい。そもそも、新型インフルエンザは「novel influenza」の和訳。CDCのサイトでは、新しく判明したインフルエンザ血清型のを"novel"と表現するようだが、"novel influenza"にそれほど意味合いがあるとは思えないのだが・・・法律となり、法律が施行される。
法律名まで、「新型インフルエンザ等対策特別措置法 (平成二十四年五月十一日法律第三十一号)」
http://law.e-gov.go.jp/announce/H24HO031.html
”感染防止策や医療対策の手順を盛り込んだ行動計画案”
感染症学会であげられた論点・問題点
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201210/527229.html
1.この法律は“新型”インフルエンザが対象か?
2.そもそも“新型”インフルエンザとは何か? H5N1亜型なのか?
3.H5N1亜型が本当にパンデミックを起こすのか?
4.“新型”であれ、死亡が64万人などということは起こり得るのか?
5.季節性インフルエンザ以下なら発動しないとあるが、発生後直ちに見極められるのか? また、その基準はどのようなものなのか?
6.検疫(同法第29、30条)は必要なのか? 有効なのか?
7.臨時の医療施設の開設(同法48、49条)とは「発熱外来」のことか?
8.外出禁止や集会禁止(同45条)で果たして流行を抑えられるのか?
9.インフルエンザで、電気やガス、水道が使えなくなるのか(同52条)?
10.ワクチン対策(同46条)で、プレパンデミックワクチンは有効か? 安全か?
11.流行の第一波では、抗インフルエンザ薬の早期投与が根本的対策ではないのか?
まとめ:感染症専門家の目から見てこれだけ多くの問題のある法律が、なぜ成立したのかと疑問視する声がほとんどだった。
新型インフルエンザ等対策特別措置法に関する質疑応答集
www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/housei/.../siryou3.pdf
新型インフルエンザとは、その観念としては、
季節性インフルエンザと抗原性が大きく異なるインフルエンザであって、一般に国民が免疫を獲得していないことから、全国的かつ急速なまん延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html
具体的には
全国的かつ急速なまん延のおそれのある新感染症が発生したことを判断するに 当たっては、厚生労働省が、WHO、国立感染症研究所、研究者ネットワーク等を通じ、 2条1号 発生状況、最新の知見を情報収集し、これをもとに判断することとなる。要するに厚労省が定義権をもち、官僚が「新型インフルエンザと言えば新型インフルエンザ」ということ。
第31条
(医療等の実施の要請等) 第三十一条 都道府県知事は、新型インフルエンザ等の患者又は新型インフルエンザ等にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者(以下「患者等」という。)に対する医療の提供を行うため必要があると認めるときは、医師、看護師その他の政令で定める医療関係者(以下「医療関係者」という。)に対し、その場所及び期間その他の必要な事項を示して、当該患者等に対する医療を行うよう要請することができる。 2 厚生労働大臣及び都道府県知事は、特定接種を行うため必要があると認めるときは、医療関係者に対し、その場所及び期間その他の必要な事項を示して、当該特定接種の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。 3 医療関係者が正当な理由がないのに前二項の規定による要請に応じないときは、厚生労働大臣及び都道府県知事は、患者等に対する医療又は特定接種(以下この条及び第六十二条第二項において「患者等に対する医療等」という。)を行うため特に必要があると認めるときに限り、当該医療関係者に対し、患者等に対する医療等を行うべきことを指示することができる。この場合においては、前二項の事項を書面で示さなければならない。 4 厚生労働大臣及び都道府県知事は、前三項の規定により医療関係者に患者等に対する医療等を行うことを要請し、又は患者等に対する医療等を行うべきことを指示するときは、当該医療関係者の生命及び健康の確保に関し十分に配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じなければならない。 5 市町村長は、特定接種を行うため必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第二項又は第三項の規定による要請又は指示を行うよう求めることができる。
「医療関係者の範囲」は、今後の検討会議で決めるらしい。
「医療関係者が正当な理由がないのに前二項の規定による要請に応じないとき」の「正当な理由」とは「接種医師自身が新型インフルエンザ罹患」とのことを想定らしい。
損失補償・実費弁償(62条)、損害賠償(63条)
第五章 財政上の措置等 (損失補償等)
第六十二条 国及び都道府県は、第二十九条第五項、第四十九条又は第五十五条第二項、第三項若しくは第四項(同条第一項に係る部分を除く。)の規定による処分が行われたときは、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。 2 国及び都道府県は、第三十一条第一項若しくは第二項(第四十六条第六項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による要請に応じ、又は第三十一条第三項(第四十六条第六項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による指示に従って患者等に対する医療等を行う医療関係者に対して、政令で定める基準に従い、その実費を弁償しなければならない。 3 前二項の規定の実施に関し必要な手続は、政令で定める。 (損害補償)
第六十三条 都道府県は、第三十一条第一項の規定による要請に応じ、又は同条第三項の規定による指示に従って患者等に対する医療の提供を行う医療関係者が、そのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となったときは、政令で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によって受ける損害を補償しなければならない。 2 前項の規定の実施に関し必要な手続は、政令で定める。上記、「特定接種」・「登録事業者」及び労務・施設確保に関する質問が多い。
そして、法律上の「正当な理由」に関する具体的な事項を聞きたがってるのがわかる。
指定(地方)公共機関は自治体に労務、施設、設備、物資の確保について応援を求 めることができ、正当な理由がない限り拒めないとされているが、具体的にどのような 内容を想定しているのか。
厚生労働大臣が、特定接種、登録事業者の登録に関し、労務又は施設の確保等 必要な協力を求めた場合に、協力を拒むことができる「正当な理由」とは、具体的には どのような理由を想定しているのか。
厚生労働大臣が、特定接種、登録事業者の登録に関し、労務又は施設の確保等 必要な協力を求めた場合、登録事業者、都道府県、市町村は、正当な理由がない限り 拒否できないが、これは法定受託事務か。費用弁済はされるのか。
厚生労働大臣が、特定接種、登録事業者の登録に関し、労務又は施設の確保等 必要な協力を求めた場合、登録事業者、都道府県、市町村は、正当な理由がない限り 拒否できないが、これは法定受託事務か。費用弁済はされるのか。
「新型インフルエンザ等にかかっていると疑うに足りる正当な理由」とは、臨床症状 に加えPCR検査結果陽性も含まれるのか。
「医療関係者が正当な理由がないのに前二項の規定による要請に応じないとき は、」とあるが、正当な理由については、医師の不在などが考えられるが、ここで想定し ている正当な理由は具体的にどのようなものか。
応援を拒むことができる「正当な理由」とは、具体的にはどのような理由を想定して いるのか。
「正当な理由」「必要があると認めるとき」とは、具体的にどのような場合か。(停留施設の使用等、医療などの実施要請、他の治療公共団体への応援要求、感染防止のための協力要請、 土地等の使用,緊急物資の運搬)