2019年4月30日火曜日

人工呼吸器関連肺炎(VAP)のエコーの有用性;PCTと組み合わせ

人工呼吸器関連肺炎(VAP)のエコーの有用性;PCTと組み合わせ


124名の前向き検討
PCT 0.25 ng/mLとエコー所見葉性の組み合わせで感度 81.3%、特異度 85.5%
AU/ROC解析にて白血球数、PCT単独、CRP、CPISより優秀

Lung Ultrasound Combined With Procalcitonin for a Diagnosis of Ventilator-Associated Pneumonia
Juandi Zhou, et al.
Respiratory Care May 2019, 64 (5) 519-527; 
DOI: https://doi.org/10.4187/respcare.06377







4つのパターン:
(1) 小さい胸膜直下コンソリデーション;胸膜直下のぼやけた、不規則な境界の整な境界エコーpoorな領域、直径 0.5cm超、B lineの有無は不問
(2) 肺葉性、亜葉性コンソリデーションで、肝臓や脾臓実質の類似した組織様echotexture
(3) dynamic air bronchogram (点状:punctiform 或いは 線状の高エコーアーチファクトで、肺葉/亜葉内コンソリデーション内に存在、そして吸気に同期して動く高エコーイメージ
(4) static air bronchogram: 葉内/亜葉内コンソリデーション内の高エコーアーチガクトだが、吸気と共に動かない

3つ以上で陽性



小児市中肺炎:
Lung ultrasound for the diagnosis of community-acquired pneumonia in children
Pediatr Radiol. 2017; 47(11): 1412–1419.
Published online 2017 Sep 21.
doi: 10.1007/s00247-017-3910-1

2019年4月26日金曜日

肥満・重度無呼吸の組み合わせではPAP療法の死亡率改善効果示唆

時々、PAP療法の重大イベント効果を示す報告もあるが・・・

睡眠時無呼吸PAP療法:心血管アウトカム・死亡リスクのベネフィット認めず
https://kaigyoi.blogspot.com/2017/07/pap.html

システミック・レビューなので今のところスタンダードな見解?

だが、病型によっては重大イベントに影響?



肥満・重度無呼吸の組み合わせではPAP療法の死亡率改善効果示唆


Association of Positive Airway Pressure Prescription With Mortality in Patients With Obesity and Severe Obstructive Sleep Apnea
The Sleep Heart Health Study
Quentin Lisan, et al.
JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. Published online April 11, 2019. doi:10.1001/jamaoto.2019.0281
https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/article-abstract/2730379

多施設・住民ベースコホート研究(SHHS: Sleep Heart Health Study)、長期観察研究(1995-1998の登録) 平均フォローアップ11.1年間


392名の被検者登録、男性 316(80.6%)、平均年齢 63.1(11.0)歳のうち、死亡 96
処方PAP群 12、被処方PAP群 84名で、粗死亡発生率 1000人年あたり 12.8 vs 24.7
Cox多変量解析にて、総死亡ハザード比 PAP群 で 0.38 (95% CI, 0.18 - 0.81)

propensity matching後、0.58 (95%CI, 0.35 - 0.96)

生存率曲線にて死亡率差は PAP治療開始後 6-7年間



2019年4月25日木曜日

ヨーロッパからの報告:肉・魚・乳製品・卵と虚血性心疾患の関係

ひどいのになると開始前1回程度の食事アンケート後数年後のイベント発生と相関性を議論する、この種の報告いやになってきた。人間の記憶や記載正確性ってどの程度担保されるモノなのだろうか?

食事性コレステロールと卵摂取増加により心血管死・総死亡増加と関連
https://kaigyoi.blogspot.com/2019/03/blog-post_57.html

ここぞとばかり、コレステロールは健康を害するものではないと・・・妄想を広める人たち
https://kaigyoi.blogspot.com/2015/02/blog-post_21.html
卵何個から体に良いか悪いかなんての線引きは、その後の体内代謝、最近はやりのmicrobiomeから考えても人それぞれのはずだし・・・

一応 全欧 EPICコホート(n=409,885)の肉、魚、乳製品、卵の虚血性心疾患(IHD)リスク評価

前向き研究で9ヶ国欧州国含み、平均12.6年間フォローアップ

レッド・加工肉摂取とIHDの正相関
ヨーグルト・チーズ・卵摂取量とIHDの逆相関

"reverse causation bias"問題がヨーグルト、卵の相関性インパクト与えている可能性あり、レッドミート・加工肉、チーズにおいてはcausality反映しているか不明
しかし、これら食品摂取量とnon-HDLコレステロールと一致しており、レッドミートと加工肉の収縮期血圧との関連性もIHDへの影響媒介しているのかもしれない


Consumption of Meat, Fish, Dairy Products, Eggs and Risk of Ischemic Heart Disease: A Prospective Study of 7198 Incident Cases Among 409,885 Participants in the Pan-European EPIC Cohort
Timothy J. Key, et al.
https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.118.038813
https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.118.038813






最近報告のこのチロシン代謝産物の話

チロシン含有物質量の多いのはやはり乳製品、卵・・・
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html


Gut microbiome-derived phenyl sulfate contributes to albuminuria in diabetic kidney disease
Koichi Kikuchi, Daisuke Saigusa, […]Takaaki Abe
Nature Communicationsvolume 10, Article number: 1835 (2019)



フェニル硫酸が糖尿病性腎臓病の新規原因物質であることを発見【プレスリリース】
腸内細菌酵素を投薬ターゲットとする新規治療法の開発へ
https://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/33406

研究のポイント
・ 腸内細菌が産生に関わるフェニル硫酸が糖尿病性腎臓病の原因物質の1つであることを明らかにした。
・ 糖尿病患者を対象にしたヒトの臨床研究の結果から、フェニル硫酸は糖尿病性腎臓病増悪の予測因子であることが明らかになった。
・フェニル硫酸産生に重要な役割を果たす腸内細菌が持つ酵素チロシン・フェノールリアーゼが糖尿病性腎臓病の新たな治療法開発のターゲットとなり得る。


この報告でも単に食事含有量が多いからなんらかのベネフィットってのは安直すぎるんだよなぁ

2019年4月23日火曜日

2型糖尿病:メトホルミンの方が集中的ライフスタイル介入より減量維持に有効だったという衝撃

メトホルミンは2型糖尿病患者の長期体重減少維持の助けになる

DPPトライアル、Outcomes Study (DPPOS) トライアル1年後5%減少被検者においてメトホルミン群は6.2%、プラシーボは 2.8%、食事運動プログラムでは 3.7%の平均体重

集中的ライフスタイル介入(ILS)患者の62.6%が1年後体重減少 5%に対し、メトホルミンは 28.5%

ILS は行動修正プログラム(6−8ヶ月、ゴールは7%減少で、食事と150分/週の中等度運動 2ヶ月後と介入強化)

Long-Term Weight Loss With Metformin or Lifestyle Intervention in the Diabetes Prevention Program Outcomes Study
John W. Apolzan, et al.; for the Diabetes Prevention Program Research Group
Ann. Int. Med.
https://annals.org/aim/article-abstract/2731601/long-term-weight-loss-metformin-lifestyle-intervention-diabetes-prevention-program


メトホルミンはエネルギー消費に有意に影響を与えることはないが食欲低下や食事量低下をもたらすという研究はある。補正的ニューロン、内分泌的、代謝的変化により減量効果を示すのでは?

5年後、10年後、15年後、そして全体的な減量維持独立予測因子 (P<0 .001="" all="" for="" p="">
ベースライン年齢多いほど: OR 1.74, OR 2.25, OR 2.37, OR 1.74
1年後減量幅大きいほど (per 5% loss): OR 2.08, OR 1.97, OR 1.14, OR 1.70
メトホルミンのActive useほど (use vs nonuse): OR 4.83, OR 4.02, OR 2.17, OR 1.91

DPPトライアルオリジナル10年後治験ではメトホルミン、ILSで2型糖尿病の発生率をプラシーボ比較で有意に減少





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<0 .001="" all="" for="" p="">集約的ライフスタイル修正はやはり重要と解説
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そもそもILS割り付けやプラシーボ割り付けも、次第にメトホルミン処方率増加し、メトホルミン群のアドヒアランスは低下し10年後72%となり、15年後は49%程度
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2019年4月19日金曜日

好みの臭いで「タバコ渇望」を消去する

「臭い」というか「香り」なんだろうなぁ・・・と思いつつ

Medpage(https://www.medpagetoday.com/primarycare/smoking/79247?vpass=1)解説から
参加者は最初に、大部分の人々が心地良い(レモン、ペパーミント、チョコレート)または不快(キノコ)であると考える12の異なる臭いを嗅いで評価するように求められた。参加者はまた、2つの「たばこ」の嗅覚的手がかりと中立または空白と考えられる匂いにさらされました。

研究者らは、チョコレート、レモン、またはバニラの香りのような気持ちの良い嗅覚的手がかりにさらされた喫煙者は、中立的な匂いまたはタバコのにおいにさらされた者よりも激しいタバコの欲求が少ないことを見出した。ピッツバーグ大学のMichael Sayette博士、およびJournal of Abnormal Psychologyの同僚は、非常に予備的な研究が禁煙における嗅覚刺激の役割の可能性を示唆しています。 
楽しい匂いを嗅ぐことでニコチン性欲求を禁煙に有効なものにするのに十分役立つかどうかはまだ明らかになっていないが、研究結果はそのアイデアは追求する価値があると示唆している




Pleasant Olfactory Cues Can Reduce Cigarette Craving
Michael A. Sayette, et al.
Journal of Abnormal Psychology
Online First Publication, April 15, 2019. http://dx.doi.org/10.1037/abn0000431
https://www.apa.org/pubs/journals/releases/abn-abn0000431.pdf

タバコを追い求めるのは喫煙の中心的特徴で、予防可能原因死も主原因となる。にもかかわらずこのcravingをコントロールする新しいアプローチ開発が必要。
嗅覚合図(oflactory cues : OCs)は情動的にchargeされたcravingを減少するのに最適だろうが、驚くほど少ない研究しかない。


Abstinent smokers (N  232) をサンプル化し、OCsのシリーズをrate化。in vio 喫煙cue暴露時、タバコを追い求めるcigarette cravingを生じる。
cravingがピークの間、ランダムに、3つのタイプのOCsを割り付け嗅がせる。
craving注、craving関連と考えられるレスポンスのセットを評価する。


被検者が"pleasant"とrate化したOCsはodor blank(i.,e, ニュートラル)、もしくは喫煙関連OCsに比べcraving減少をもたらす
この効果は5分間のコース中持続する
加え、最も特異的な"autobiographical memory system"を有する喫煙社が、"pleasant OCs"のcraving減少効果最大


自然な環境でcraving緩和するために"pleasant OC"使用をイメージすることができると90%ほどの患者が報告

この研究からOCsはcravingをコントロールに有望で、OCsが単独使用、既存アプローチと併用して禁煙介入に有効か検証することが今後必要とするハイライト



12種類の臭いって

COPD:triple therapy 適応は?

COPD triple therapy(ICS/LAMA/LABA):precision medicine

triple therapyはいかなる症例が適応となるのか

Suissa and Ariel [1] のTRIBUTE及びIMPACT研究のpost hoc解析


Triple therapy trials in COPD: a precision medicine opportunity
Samy Suissa, Amnon Ariel
European Respiratory Journal 2018 52: 1801848; DOI: 10.1183/13993003.01848-2018
https://erj.ersjournals.com/content/52/6/1801848


 TRIBUTEとIMPACTトライアルはtriple therapyはLAMA/LABAに対して、1年フォローアップ中、COPD急性増悪発生率低下
このトライアルでの急性増悪パターンが情報を与えてくれる。triple therapyでは治療開始初月の1ヶ月間で急性増悪無ければその後の11ヶ月に影響を与えており、"depletion of susceptibles"がtriple therapyの有用性意義ある症例となる




初回急性増悪(中等・重度)月毎発生率 (per 100 per month)
LAMA/LABA/ICSトリプル治療とLAMA/LABAデュアル治療
for the a) IMPACT and b) TRIBUTE trials, approximated from the time-to-first exacerbation curves [3, 4]



a) 月毎の死亡率 (per 100 per month)
LAMA/LABA/ICSトリプル治療とLAMA/LABAデュアル治療
in the IMPACT trial, approximated from the survival curves [9].

b) ICS中止後の死亡率発生比(ICS中止無しとの比較)
 喘息死亡率低下のためICS有効性評価コホート30569名  [16]



“depletion of susceptible individual”に該当するパターンは小グループで、triple therapy適応となる比率は実は少ないのではないかと・・・
大部分は、LAMA/LABAでリスク無く治療できると


 IMPACTではtriple therapyで死亡率42%軽減したが、この効果はフォローアップ4ヶ月間に限定されている。その後8ヶ月間には差を認めない

post-hoc解析なので決定的ではないが、triple therapyからのベネフィットが得られるサブグループは喘息既往、好酸球増加患者に限られると推測される




GSW製品は同じデバイスで、ICS, LAMA, LAMA/LABA, ICS/LABA, ICS/LAMA/LABA使い分けられるのは便利で1日1回だから勧めやすい
利用しやすいのはアニュイティで、ICS用量調整可能

一方、ある程度の吸入流速が必要ということと、吸入ステロイドの微量調整が困難という弊害もある(ただ、喘息ガイドラインGINAではコントロール下では4倍数を推奨しているので微量調整自体を推奨してないと思われ、杞憂なのかもしれない)

トリプル治療は好酸球や喘息コンポーネント考慮の上適応を考え、さらに4ヶ月程度を目安に中止考慮するというのが現実的か?

2019年4月18日木曜日

炭水化物指標Glycemic Index or loadといったものより食物線維指標が重要

医学ニュース&perspectiveカテゴリー


High-Fiber Diet Might Protect Against Range of Conditions

" spent years helping to hammer out the World Health Organization’s definition of fiber"というのは、食物線維:dietary fibreの定義について、WHOと戦った人らしいMann

という人を紹介


日本内閣府・食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04960640105


What is FDA's definition for dietary fiber that can be declared on the Nutrition and Supplement Facts labels?
Dietary fiber that can be declared on the Nutrition and Supplement Facts labels includes certain naturally occurring fibers that are "intrinsic and intact" in plants, and added isolated or synthetic non-digestible soluble and insoluble carbohydrates that FDA has determined have beneficial physiological effects to human health. These effects include lowering blood glucose and cholesterol levels, reduced calorie intake, and increasing the frequency of bowel movements. 
The Nutrition Facts Label final rule defines "dietary fiber," in relevant part, as "non-digestible soluble and insoluble carbohydrates (with 3 or more monomeric units), and lignin that are intrinsic and intact in plants; isolated or synthetic non-digestible carbohydrates (with 3 or more monomeric units) determined by FDA to have physiological effects that are beneficial to human health."

「非消化性の可溶性および不溶性炭水化物(モノマー単位3以上)、および植物に固有かつintactなリグニン;単離または合成非消化性炭水化物(モノマー単位3以上)」でFDAが人の健康に良いとしたもの

FDAの判断に依存するという食物線維定義(WHOとの確執があったようだが・・・経緯詳細面白そう、日本人はWHOや国連を盲信するから変なことになる、米国は最初から距離を置いているところは一目)


食物線維というのは基本炭水化物


問題は以下論文の紹介なのだが、

食物線維はglycemic indexやglycemic loadより重要な健康食指標である



Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses
Andrew Reynolds, et al.
THe Lancet VOLUME 393, ISSUE 10170, P434-445, FEBRUARY 02, 2019

Published:January 10, 2019
DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)31809-9

185の前向き研究、58の臨床トライアル(4635名被検者)の1奥3500万人年
観察データだと総死亡 と心血管関連死亡、2型糖尿病、大腸癌発生は、dietary fibre最大摂取群では最小摂取群比較で15-30%減少
臨床トライアルでは、体重減少、収縮期血圧、総コレステロール低下を示した
dietary fibreが25-29gの範囲が最もクリティカルアウトカムでのレンジのリスク減少を認める


量依存曲線だと、dietary fibreの高摂取は、心血管疾患、2型糖尿病、直腸結腸癌、乳癌防御的であり、同様所見がgrain intakeで認められる

食事特性としてのglycemic indexやglycemic loadの低値 vs 高値比較では観察研究は影響としては無いか少ない。


炭水化物の質とクリティカル・アウトカムの相関性に関するエビデンスの確証はdietary fibre、に比べれば"よりmoderate"のgradeであり、whole grainに関しては "low to moderate"、 dietary glycaemic index と glycaemic loadに関しては"low to very low"のgrade

他の食事成分データに関してはデータ不足









Fiber Intake and Survival After Colorectal Cancer Diagnosis

JAMA Oncol. 2018;4(1):71-79. doi:10.1001/jamaoncol.2017.3684

序文から

最新の専門家報告では、食物繊維を含む食品の摂取はおそらく大腸癌を予防すると結論付けています7。繊維は、糞便含有量を希釈することによって腸発癌物質への曝露を最小限に抑えるのに役立ちますさらに、繊維は腸内細菌によって短鎖脂肪酸(酪酸塩、酢酸塩など)に発酵させることができます。さまざまな腫瘍抑制効果を有するプロピオン酸塩11,12前臨床試験で、いくつかの腫瘍モデルにおいて化学療法剤としての酪酸塩およびその類似体の可能性が示されている13,14。


Fiber has been associated with lower risk of CRC in many—but not all—studies.6The most recent expert report concludes that consumption of foods containing dietary fiber probably protects against CRC.7 Fiber helps to minimize exposure to intestinal carcinogens by diluting fecal content and decreasing transit time8 and also has systemic benefits on insulin sensitivity and metabolic regulation,9 which have been linked to CRC prognosis.10 Moreover, fiber can be fermented by the gut bacteria into short-chain fatty acids, such as butyrate, acetate, and propionate, that possess a diversity of tumor-suppressive effects.11,12 Preclinical studies have indicated the potential of butyrate and its analogs as chemotherapeutic agents in several tumor models,13,14 including CRC.15



2019年4月17日水曜日

PIONEER 3:経口セマグルチド vs DPP4阻害剤

PIONEER 10
http://www.novonordisk.co.jp/content/Japan/AFFILIATE/www-novonordisk-co-jp/Extweb/news/2018/10/04/18-27.pdf

ってのもあったが、PIONEER 1、PIONEER 2、PIONEER 6までは確認したが・・・

今回 PIONEER 3


Effect of Additional Oral Semaglutide vs Sitagliptin on Glycated Hemoglobin in Adults With Type 2 Diabetes Uncontrolled With Metformin Alone or With Sulfonylurea
The PIONEER 3 Randomized Clinical Trial
Julio Rosenstock, et al. ; for the PIONEER 3 Investigators
JAMA. 2019;321(15):1466-1480. doi:10.1001/jama.2019.2942

経口GLP-1アナログであるセマグルチド(3, 7, 14 mg/日)投与 vs シタグリプチン (ジャヌビア、グラクティブ)100mg/日投与比較
2型糖尿病患者 “メトホルミン±SU剤”治療中コントロール不良
26週後、HbA1c改善は、セマグルチドの方がシタグリプチン








ランダム化 1864名(平均年齢 58 [SD, 10]歳、平均ベースラインHbA1c 8.3% [SD, 0.9%]; 平均BMI 32.5 [SD 6.4]、女性 47.2%)
トライアル完遂 1758(94.3%)、早期中断 セマグルチド 3mg/日 16.7%、7 mg/日 19.1%、14 mg/日 19.1%、シタグリプチン 13.1%

ベースラインからweek 26までの効果差

  • セマグルチド 7mg/日、14mg/日 はシタグリプチンに比較して HbA1c有意低下 (差 , –0.3% [95% CI, –0.4% to –0.1%] 、–0.5% [95% CI, –0.6% to –0.4%]) p< 0.001
  • 体重差 (差 , –1.6 kg [95% CI, –2.0 to –1.1 kg] 、 –2.5 kg [95% CI, –3.0 to –2.0 kg]) p< 0.001

セマグルチド 3mg/日は HbA1cに対し非劣性示せず

両エンドポイントのWeek 78評価は対シタグリプチン比較し、セマグルチド 14 mg/日は統計学的有意差大きい





2019年4月16日火曜日

SGLT2i:心筋虚血時ブドウ糖代謝→ケトン体/FFA/BCAA代謝利用へ代謝シフト

SGLT-2阻害剤、エンパグリフロジン(ジャディアンス)はブタモデルにおいて心筋代謝をブドウ糖から他のエネルギー効率の良い代謝、ケトン体・遊離脂肪酸・BCAAへシフトさせ、血糖降下作用外で心筋保護作用を示す。







Empagliflozin Ameliorates Adverse Left Ventricular Remodeling in Nondiabetic Heart Failure by Enhancing Myocardial Energetics
Carlos G. Santos-Gallego, et al.
Journal of the American College of Cardiology Volume 73, Issue 15, April 2019
DOI: 10.1016/j.jacc.2019.01.056
http://www.onlinejacc.org/content/73/15/1931

背景 2型糖尿病対象のEMPA-REG OUTCOME (Empagliflozin Cardiovascular Outcome Event Trial上のエンパグリフロジンの心へのベネフィットは血糖降下作用だけでは説明できない

目的 仮説:エンパグリフロジン心へのベネフィットは、心筋fuel metablosimとして糖からケトン体へswitchingして、心筋エネルギー産生改善効果をもたらすのではないか?

方法 心不全を非糖尿病豚(n=14)で左前下行枝近位2時間バルーン閉塞にて誘発。動物をランダム化2ヶ月(エンパグリフロジン vs プラシーボ)。心MRIと3-Dエコーにて評価。
心筋metabolite consumptionを冠動脈及び冠状静脈洞から疑似採血採取にて解析。
心筋サンプルで分子学的評価。非心筋梗塞豚と比較。


結果 両群とも同じ初期心筋障害であったが、エンパグリフロジン群では対照群に比較し、2ヶ月後障害的remodeling緩和(左室筋量、左室拡張減少、左室sphericity減少)
左室収縮機能(左室駆出率、心臓超音波-評価strain)改善、neurohormonal activationも改善。
非心筋梗塞と比較した対照群では心筋ブドウ糖消費増加し、主にそれは嫌気的解糖によるもので、一方遊離脂肪酸及びBCAA利用減少
エンパグリフロジン治療豚はブドウ糖消費せず(心筋ブドウ糖摂取及びブドウ糖関連酵素の減少)、代わりに、ケトン体、遊離脂肪酸、BCAA利用へswitchがなされた(3つの代謝対の心筋摂取増加、これら酵素の発現・活性亢進し、これがケトン体/遊離脂肪酸/BCAA代謝増加を示唆)
エンパグリフロジンは心筋ATP contet増加し、心筋仕事効率促進した

結論 非糖尿病ブタモデルでエンパグリフロジンは不利な心筋リモデリングや心不全を緩和を示し、心筋fuel utilizationをブドウ糖利用からケトン体、遊離脂肪酸、BCAA利用へswitchし、心筋のenergeticsを改善し、不利な左室リモデリングを緩和する




”健常心筋のエネルギー源は主に脂肪酸のβ酸化に依存していますが、虚血や低酸素状態になるとブドウ糖を利用した解糖系へ移行 ”する。
この研究で代謝機構の変化、すなわち "fuel hypothesis":SGLT2iの心筋保護作用メカニズムが示唆。心不全での"glucocentric metabolism"という不適合(maladaptive)があり、それを改善するメカニズムの説明の一つとなるらしい



2019年4月15日月曜日

GINA2019:Step 1変だぞ

時々、なんじゃこれは・・・と思うガイドライン変更がある 大概は、末端のちっぽけな開業医はこれに抗うことができず、素直に従うことが多いわけだが・・・


要するに、初っぱなから、シムビコート 頓服吸入をしても良いよ・・・でも、「off label」、認可してないから責任取らないよぉ・・・って、ひどすぎない?


自己矛盾に満ちた内容のGINAガイドライン

https://ginasthma.org/reports/


言い訳から入る「2019年改訂のバックグラウンド」

「軽症喘息患者こそた重症有害事象リスクである」
  • 急性喘息成人の30−37%、准致死性喘息の16%、成人喘息死の15-20%が3ヶ月以内に“週毎症状”無し
速効性の短時間作用β2刺激剤(SABA)が喘息の第1選択薬剤であった

SABAのリスク強調

  • β受容体downregulation、bronchoprotection低下、気道過敏性リバウンド、気管支拡張反応低下
  • アレルギー反応増加、好酸球気道炎症増加

SABA過度使用によるリスク

  • 年3canister以上使用はED受診リスク増加
  • 年12canister以上使用は死亡リスク増加



SYGMA trial programme
The SYmbicort Given ‘as needed’ in Mild Asthma (SYGMA) trial programme is composed of two, 52-week Phase III, randomised, double-blind, multicentre, parallel-group trials in more than 8,000 patients aged 12 years and older with a clinical diagnosis of asthma for at least six months, who would qualify for treatment with regular low-dose ICS maintenance.5
  • SYGMA 1 randomised 3,849 patients to evaluate the efficacy and safety of Symbicort Turbuhaler (200/6 µg*) ‘as needed’, compared with terbutaline (0.5 mg) ‘as needed’ and budesonide (200 µg) twice-daily plus terbutaline (0.5 mg) ‘as needed’.2The primary objective was to demonstrate that Symbicort given ‘as needed’ is superior to terbutaline ‘as needed’, as measured by electronically-recorded well-controlled asthma weeks.2
  • SYGMA 2 randomised 4,215 patients to evaluate the efficacy and safety of Symbicort Turbuhaler (200/6 µg*) ‘as needed’, compared with budesonide (200 µg) twice-daily maintenance plus terbutaline (0.5 mg) ‘as needed’.1 The primary objective was to demonstrate that Symbicort given ‘as needed’ is non-inferior to budesonide plus terbutaline ‘as needed’, as measured by the relative rate of annual severe asthma exacerbations.1
https://www.astrazeneca.com/media-centre/press-releases/2018/new-england-journal-of-medicine-publishes-two-trials-for-symbicort-as-an-anti-inflammatory-reliever-therapy-as-needed-in-mild-asthma16052018.html



 このSYGMA研究登録者たちはそもそも" mild asthma and were eligible for treatment with regular inhaled glucocorticoids."とあるように、喘息治療が既になされている症例であって、治療naive患者たちの選択ではない。



"SYGMA 1"





喘息症状コントロールに関して、"as needed budesonide-formeterol"は、"as-needed terbutaline"に比べ優越、"budesonide-formeterol" maintenance therapyに対しては劣性。 急性増悪率に関しては、両"budesonide-formeterol”群は"as-needed terbutaline"より急性増悪率低い。 "budesonide-formeterol used as needed"は維持療法に比べステロイド必要量少ない (Funded by AstraZeneca; SYGMA 1 ClinicalTrials.gov number, NCT02149199.)


<結論としては>
シムビコート維持療法が喘息コントロールとしては最も優れている
急性増悪を治験ターゲットにした場合、吸入ステロイド処方なしのテルブタリン頓用の急性増悪多かった。


後者はステロイド吸入してないのだから当たり前と思う。

そもそもがこのSYGMA-1は、"The primary objective was to investigate the superiority of as-needed budesonide–formoterol to as-needed terbutaline with regard to electronically recorded weeks with well-controlled asthma"ということで、喘息コントロールをプライマリアウトカムとした報告で、これをもってガイドラインの根拠とするのはおかしいわけで、証拠に言い訳がましい記載が混入している。




2019年4月11日木曜日

2型糖尿病へのSGLT2iの体組成、体液、RAASへの影響

BMC Cardiovascular Diabetology

Effect of SGLT2 inhibitors on body composition, fluid status and renin–angiotensin–aldosterone system in type 2 diabetes: a prospective study using bioimpedance spectroscopy
Anja Schork, et al.
Cardiovascular Diabetology201918:46
https://doi.org/10.1186/s12933-019-0852-y
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-019-0852-y

6ヶ月時点で、HbA1c 0.8% (IQR 2.3 ; 0.4)、体重 2.6 kg (1.5; 9.3) 、BMI 0.9 kg/m2 (0.4; 3.3)減少

Bioimpedance spectroscopyにて脂肪組織mass、脂肪組織index有意減少するも、除脂肪組織parameterは安定



day 3にて、Overhydration (OH)  − 0.5 L/1.73 m2 (− 0.1; − 0.9)と細胞外水分 (ECW)  − 0.4 L/1.73 m2 (− 0.1; − 0.8)で、3−6ヶ月後初期値へ戻る



血中レニン活性 1ヶ月で 2.1倍(0.5; 3.6)増加、3-6ヶ月で初期値へ戻る

SGLT2i6ヶ月後の水分状況はヒドロクロロチアジド服用高血圧患者と健康者での差は認めず



empagliflozin 18名、dapagliflozin 9名の27名2型糖尿病外来患者

2型糖尿病患者へ長軸研究でSGLT2iの体組成、水分状況、RAASへの影響を検討
 bioimpedance spectroscopy (BCM, Fresenius)
http://www.fresenius.co.jp/pdf/BCM_catalog2015.pdf

体組成を第1週から6ヶ月後まで評価




食事サプリメント使用は米国成人の死亡減少へのベネフィットと関連せず

解説記事:
2019年04月11日 07時00分 サイエンス
サプリでは栄養素を適切に補えず過剰摂取時には死亡リスクを高めることもあるという研究結果
https://gigazine.net/news/20190411-more-vitamin-not-supplement/




Association Among Dietary Supplement Use, Nutrient Intake, and Mortality Among U.S. Adults: A Cohort Study
Ann. Int. Med. 2019
Fan Chen, et al.
DOI: 10.7326/M18-2478

【背景】食事サプリメントの健康ベネフィット・リスクは賛否あり
【目的】米国成人での食事サプリメント使用、食事及びサプリメントからの栄養摂取のレベル、死亡率の間の相関整評価
【デザイン】前向きコホート研究
【セッティング】 NHANES (National Health and Nutrition Examination Survey) data from 1999 to 2010, linked to National Death Index mortality data.
【被検者】米国成人(20歳以上)、食事サプリメント使用の質問への回答者 30 899 名
【測定項目】直近30日内の食事サプリメント使用と食事・サプリメントからの栄養摂取。アウトカムには総死亡率、心血管疾患(CVD)、がん死亡率
【結果】フォローアップ期間中央値 6.1年間、死亡 3613発生、CVD死 945、がん死 805
食事サプリメント使用既往程度では死亡率アウトカムと相関せず
ビタミンA、ビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅の適切使用量 (at or above the Estimated Average Requirement((栄養学)推定平均必要量関連語EAR) or the Adequate Intake level) は、総死亡率、CVD死亡率減少と相関するも、食事からの栄養摂取に限ったものであった。
カルシウム過剰摂取 (above vs. at or below the Tolerable Upper Intake Level(( 栄養学)許容上限量の高低評価)はがん死亡率増加 (多変量補正発生率比, 1.62 [95% CI, 1.07 to 2.45]、多変量補正発生率差, 1千人年あたり死亡 1.7 [CI, −0.1 to 3.5] )
この相関は、サプリメントからのカルシウム摂取関連と見なされる  (食事からの摂取と比較、≥1000 mg/d vs. no use: 多変量補正発生率比, 1.53 [CI, 1.04 to 2.25]; 多変量補正発生率差, 1千人年あたり死亡, 1.5 [CI, −0.1 to 3.1] )

Limitations:観察研究故残存寄与因子関与の可能性。食事サプリメントの報告はrecall biasに基づく可能性


【結論】食事サプリメント使用は米国成人の死亡減少へのベネフィットと関連せず




おそらく、マスコミ(テレビメディア)で、大々的に報道されることはないだろう


2019年4月10日水曜日

COPD予後指標 BARC




Predicting COPD 1-year mortality using prognostic predictors routinely measured in primary care
C. I. Bloom ,et al.
BMC Medicine201917:73
https://doi.org/10.1186/s12916-019-1310-0


54990名の被検者 UK電子カルテ使用プライマリケアCOPDコホート
初期コホート トレーニングとtest setへ均等ランダム化割り付け
外部データは2つめのコホート
12ヶ月死亡率推定リスクモデルCox回帰でbackwards elimination使用トレーニングセット
BMI、血液検査(B)、年齢(A)、呼吸変数(気道閉塞、急性増悪)(R)、併存症使用(C)を含む80の変数
具体的には・・・
FEV1, GOLD staging (FEV1 and FVC), C-reactive protein (CRP), albumin (low = < 35 g/L), haemoglobin, fibrinogen, platelets (low = < 150 × 109/L, high = > 400 × 109/L) and creatinine; creatinine above 120 μmol/L for males, or 110 μmol/L for females, was used to define chronic kidney disease (CKD). BMI was measured as kg/m2 (underweight < 19, normal = 19–25, overweight = 25–30, obese ≥ 30). Exacerbations, treated within primary (labelled as moderate) or secondary care (labelled as severe)

BODEx、DOSE、ADOと比較

リスクモデルでパフォーマンス推定

acceptable predictive performance
 (test set: C-index = 0.79, 95% CI 0.78–0.81, D-statistic = 1.87, 95% CI 1.77–1.96, calibration slope = 0.95, 95% CI 0.9–0.99; external dataset: C-index = 0.67, 95% CI 0.65–0.7, D-statistic = 0.98, 95% CI 0.8–1.2, calibration slope = 0.54, 95% CI 0.45–0.64)
acceptable accuracy predicting the probability of death
(probability of death in 1 year, n high-risk group, test set: expected = 0.31, observed = 0.30; external dataset: expected = 0.22, observed = 0.27)

BARCは既存の指数スコアよりspecialist respiratory variableなしでは優れている 
(area under the curve: BARC = 0.78, 95% CI 0.76–0.79; BODEx = 0.48, 95% CI 0.45–0.51; DOSE = 0.60, 95% CI 0.57–0.61; ADO = 0.68, 95% CI 0.66–0.69, external dataset: BARC = 0.70, 95% CI 0.67–0.72; BODEx = 0.41, 95% CI 0.38–0.45; DOSE = 0.52, 95% CI 0.49–0.55; ADO = 0.57, 95% CI 0.54–0.60)










転移性直腸結腸癌治療患者における高用量ビタミンDの効果

サプリメントにとってポジティブな話が一部あるが
・ビタミンD中毒の危険性配慮必要
・がん治療中の特殊な状況下での評価
これを忘れてはいけない

2つの報告を列挙
後者の報告で一部肯定的内容あり

ビタミンDサプリメントは消化器系がん患者において生存率を改善するか?
ランダム化臨床トライアル、417名の消化器系がん(食道〜直腸)患者において、5年再発なし生存率をビタミンD 2000 IU/日 vs プラシーボ比較し、 77% vs 69% 統計学的有意さ認めず
意義:ビタミンDサプリメントは消化器系がんの無再発生存率改善せず 
Effect of Vitamin D Supplementation on Relapse-Free Survival Among Patients With Digestive Tract Cancers: The AMATERASU Randomized Clinical Trial  Mitsuyoshi Urashima, MD; Hironori Ohdaira, MD; Taisuke Akutsu, MD; et al Earn CME creditEditorial: Insights From 2 New Trials on Vitamin D as Cancer Therapy; Elizabeth L. Barry, PhD; Michael N. Passarelli, PhD; John A. Baron, MD, MS, MSc

高用量ビタミンD3サプリメントは、進行・転移性直腸結腸癌患者における標準化学療法に追加したとき、無進行生存率延長するか?
第2相ランダム化トライアル、進行あるいは転移性直腸結腸癌患者139名にて、化学療法+大量ビタミンD3サプリメント vs 化学療法+標準量ビタミンD3にて、無進行生存期間 13ヶ月 vs 11ヶ月で、統計学的有意差なしだが、無進行生存・死亡に関する多変量ハザード比は0.64と統計学的に有意
意義:進行・転移性直腸結腸癌患者における高用量ビタミンD3サプリメントにpotentialがあるかもしれない。大規模多施設RCT評価必要

Effect of High-Dose vs Standard-Dose Vitamin D3Supplementation on Progression-Free Survival Among Patients With Advanced or Metastatic Colorectal Cancer: The SUNSHINE Randomized Clinical Trial   
Editorial: Insights From 2 New Trials on Vitamin D as Cancer Therapy; Elizabeth L. Barry, PhD; Michael N. Passarelli, PhD; John A. Baron, MD, MS, MSc


a double-blind, multicenter, phase 2 randomized clinical trial called SUNSHINE was conducted to test whether vitamin D3 supplementation to raise plasma 25-hydroxyvitamin D levels can improve outcomes in patients with advanced or metastatic colorectal cancer. 
mFOLFOX6 療 法+ ベバシズマブ(Bevacizumab)は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体療法ベース

All patients received chemotherapy with a continuous infusion of 2400 mg/m2 of 5-fluorouracil (5-FU) over 46 to 48 hours, a bolus of 400 mg/m2 of 5-FU, 400 mg/m2 of leucovorin, and 85 mg/m2 of oxaliplatin (mFOLFOX6) plus 5 mg/kg of bevacizumab administered intravenously every 14 days per institutional standard of care (1 cycle = 14 days). Bevacizumab was allowed to be omitted during the first cycle and started with cycle 2 at the investigator’s discretion. 


Patients were randomized by a statistician (H.Z.) using computerized block randomization with a block size of 2 in a 1:1 ratio to concurrent high-dose vs standard-dose oral vitamin D3. The high-dose group received a loading dose of 8000 IU/d of vitamin D3 (two 4000 IU capsules) for cycle 1 followed by 4000 IU/d for subsequent cycles. 
The standard-dose group received 400 IU/d of vitamin D3 during all cycles (one 400 IU capsule plus 1 placebo capsule during cycle 1 to maintain blinding).
 Adherence to vitamin D3 was monitored using drug diaries and pill counts. Participants continued to receive treatment until disease progression, intolerable toxicity, or decision to discontinue treatment.


2019年4月9日火曜日

電子タバコと「けいれん」


電子タバコに「けいれん」発症リスク、米FDAが調査開始


症状を起こした人々の中には、電子タバコの日常的使用者や、初めて使用した人がいた。また、即座に発症した事例もあれば、翌日けいれんが起きた例もあった。ドラッグを併用していた事例や、過去にけいれんの発症歴がある人も居た。
USA TodayやCNBC等のメデイアは、高濃度のニコチンリキッドが発作の原因となった可能性を指摘した。ニコチンの摂取が発汗や吐き気、めまいやけいれんなどの症状につながることは、以前から知られており、ニコチンリキッドを飲み込んだ場合はさらに重篤な事態につながる。




FDA Statement

Statement from FDA Commissioner Scott Gottlieb, M.D., and Principal Deputy Commissioner Amy Abernethy, M.D., Ph.D., on FDA’s ongoing scientific investigation of potential safety issue related to seizures reported following e-cigarette use, particularly in youth and young adults

一部
電子タバコを使用している一部の人々、特に若者や若年成人は、使用後に発作を経験していることを示す報告があります。発作またはけいれんは、ニコチン中毒の潜在的な副作用として知られており、ニコチン含有電子液体の意図的または偶発的な飲み込みに関して科学文献に報告されています。しかしながら、FDAによるこれらの製品の自発的有害事象報告のレビューは、2010年から2019年初めの間に電子タバコの使用後に発作の報告された合計35の症例を確認しました。電子タバコを使用している人々の総数と比較して、私たちはそれにもかかわらずこれらの報告された事件に懸念を抱いています。また、すべての訴訟が報告されるわけではないことも認識しています。我々は、これらの35件の事件が実際に関連があるかどうかについての科学的調査を正当化すると信じる。

例えば、ニコチン濃度の急上昇による機序も考えられるとのこと

There are many factors that may lead to seizures. For example, e-liquids have varying levels of nicotine concentrations, and some e-cigarette design features may allow a user to obtain high levels of nicotine quickly. E-cigarette use behaviors also vary and users may deliberately or inadvertently inhale more nicotine than would typically occur. Additionally, some of the reported incidents may not be directly related to e-cigarettes use – the seizures may have been triggered by an underlying medical condition, use of other substances, or other factors.




日本のマスコミって、電子タバコの危険性を報道する事ってないですよね
それどころか、吉本の芸人をつかってバラエティ番組とやらで、宣伝活動してたのを忘れない

NHKくらい報道しろ!







食事代替法: Liquid Meal Replacementによる心血管リスク要素への効果

通常食にプラスして痩せると称する商品よりは合理性が遙かにあるだろう、”Meal Replacement”


食事代替品(MR)は、ビタミンやミネラルで強化されたタンパク質、炭水化物、脂肪を含む低カロリー飲料(シェイク)またはバーです。 シェイクはあらかじめ作られた形か粉でそしていろいろな味で利用できる。
MR製品は減量を促進し、体重管理を補助するために特別に配合されていますが、強度と活力を高めるのを助けるように設計されているものもあります。
これらの製品の栄養組成はブランド間で多少異なる場合があります。
https://www.diabetes.co.uk/diet/meal-replacement-diet-plans.html

”マイクロダイエット”とかあったと思うが・・・そんな感じかな?

論文序文

  • The use of liquid meal replacements within a structured dietary plan may offer a viable solution. Liquid meal replacements provide a mixture of carbohydrates, fat, and protein, along with added vitamins and minerals, in ready-to-drink form or powder formulas that require mixing. 

パウダーを含む飲料商品と記載

EASDを除きADA、カナダ・UKの臨床ガイドラインにはMeal replacement療法が記載されているとのこと
The American Diabetes Association, Diabetes Canada, and Diabetes UK clinical practice guidelines include recommendations for the use of meal replacements for diabetes management. However, the European Association for the Study of Diabetes (EASD) has not made any specific recommen- dations for the use of liquid meal replacements. 

日本のガイドラインはどうなのか・・・知らないが・・・



The Effect of Liquid Meal Replacements on Cardiometabolic Risk Factors in Overweight/Obese Individuals With Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials
Jarvis C. Noronha, et al.
Diabetes Care 2019 Mar; dc182270.
https://doi.org/10.2337/dc18-2270


序文から
体系化された食事プラン内で流動食代替品を使用することは、実行可能な解決策を提供するかもしれません。 リキッドミールリプレイスメントは、添加されたビタミンやミネラルとともに、炭水化物、脂肪、タンパク質を、すぐに飲める形または混合を必要とする粉末処方で提供します。 それらは頻繁に毎日1つか2つの主要な食事を取り替えるのに使用され、目標とされた毎日のカロリー摂取量を達成するために食事の間または間に果物、野菜、そしてナッツで補われることが多い。




9つのトライアル(n=961 フォローアップ中央値 24週間)をクライテリア一致とした

差平均

  • 体重 22.37 kg (95% CI 23.30 to 21.44)
  • BMI 20.87 kg/m2 (21.31 to 20.42)
  • body fat 21.66% (22.17 to 21.15)
  • ウェスト径 22.24 cm (23.72 to 20.77)
  • HbA1c 20.43% (20.66 to 20.19) (24.7 mmol/mol [27.2 to 22.1])
  • 空腹時血糖 20.63 mmol/L (20.99 to 20.27)
  • 空腹時インスリン 211.83 pmol/L (223.11 to 20.54)
  • 収縮期血圧 24.97- mmHg (27.32 to 22.62)
  • 拡張期血圧 21.98 mmHg (23.05 to 20.91)


血中脂質への影響認めず




エビデンスの包括的確実性は低〜中等で、不正確性 and/or非一致性がその理由


世界195ヶ国食事健康リスク

ついに手抜き・・・ここに至る
Google翻訳だらけ

それにしても、東アジアの塩分摂取の多さが目立つ
高所得北米国はRed meat、加工肉、糖化飲料、トランス型脂肪、PUFAなど摂取量極端

米国の食品・栄養など健康指導など日本でそのまま適応するには無理があると改めて思う


Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017
The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)30041-8/fulltext

バックグラウンド
次善の食事療法は、非伝染性疾患(NCD)の重要な予防可能な危険因子です。しかし、NCDの負担に対するその影響は体系的に評価されていない。この研究は、195カ国の主要な食物と栄養素の消費を評価し、最適以下の摂取がNCDの死亡率と罹患率に与える影響を定量化することを目的としました。

方法
比較リスクアセスメントアプローチを使用することにより、25歳以上の成人における各食事の危険因子に起因すると考えられる疾患特異的な負担の割合(人口寄与率とも呼ばれる)を推定した。この分析への主なインプットは、各食事因子の摂取量、疾患の評価項目に対する食事因子の影響の大きさ、そして死亡率の最も低いリスクに関連する摂取量のレベルを含みました。次に、疾病別の人口に起因する割合、死亡率、および障害調整後の生年月日(DALY)を使用して、各疾病の転帰に起因する死亡数とDALYを計算しました。

調査結果
2017年には、1100万人(95%の不確実性の区間[UI] 10-12)の死亡と2億5,500万人(234-274)のDALYが食事の危険因子に起因していた。ナトリウムの高摂取量(300万[1-5]死亡および7000万[34-118] DALY)、低摂取全粒穀物(300万[2-4]死亡および8200万[59-109] DALY)、および果物の摂取量が少ないこと(200万人から1-4人の死亡および6500万人から41000人のDALY)が、世界中および多くの国で、死亡およびDALYの主要な食事の危険因子でした。食事データはさまざまな情報源からのものであり、すべての国で利用できるわけではないため、我々の推定値の統計的な不確実性が高まっています。

解釈
この研究は、最適ではない食事がNCDの死亡率と罹患率に及ぼす潜在的影響の包括的な全体像を提供し、国を越えた食事改善の必要性を強調しています。我々の調査結果は、証拠に基づく食事介入の実施に情報を提供し、それらが毎年人間の健康に与える影響を評価するためのプラットフォームを提供します。




解説記事 google翻訳

2017年の世界的な疾病負荷調査のためのこの系統的分析では、研究者らは、195カ国の主要食品および栄養素の消費量を評価し、非最適疾患摂取量の非感染性疾患(NCD)死亡率および罹患率に対する影響を定量化した。彼らは、比較リスクアセスメントアプローチにより、25歳以上の成人における各食事の危険因子に起因する疾患特有の負担の割合を推定した。高ナトリウム摂取、低全粒摂取、および低フルーツ摂取が、世界規模で、そしていくつかの国で、死亡および身体障害のある生涯の主な食事の危険因子であることがわかった。研究者らは、食事療法の改善が世界全体の死亡の20%を防ぐことができると示唆しました。調査結果によると、貧弱な食習慣はさまざまな慢性疾患に関連しており、世界中のすべての国でNCDの死亡率に大きく寄与している可能性があります。この知見は、人間の食事の質を改善するための世界的に協調した取り組みの緊急の必要性を強調しています。しかしながら、食事行動の複雑さと広範囲の食事の影響を考えると、著者らは、食事を改善するには、食品システム全体にわたる積極的なコラボレーションと、複数の食品システム分野を対象とする政策が必要であると述べた。
https://www.mdlinx.com/journal-summaries/diabetes-chronic-kidney-disease-self-management/2019/04/05/7562972/ZZA16C6024405946C6939A6068EEE738F1








2019年4月6日土曜日

STEMIへのステント後 SuperSaturated Oxygen (SSO₂) therapy system

STEMIへのステント後 SuperSaturated Oxygen (SSO₂) therapy system

目的: "The superoxygenated blood helps reduce capillary swelling to restore blood flow to surrounding tissue and decrease infarct size"

AMIHOT 2で、MACE増加傾向あり
承認後退したように見えたが、IC-HOT研究で、安全性データ、プライマリエンドポイントリスク増加なしで承認へ
http://www.therox.com/wp-content/uploads/2019/04/TherOx-FDA-Approval-Release-04-02-2019-FINAL.pdf

FDA承認
https://www.medscape.com/viewarticle/911365


During SSO2 therapy developed by the Irvine, Calif., biotechnology company TherOx Inc., saline is drawn into a chamber in a disposable cartridge inserted into the treatment system. Supersaturated oxygen is sprayed into a second chamber and mixed with the saline. 
The patient's blood is circulated through a third chamber where it mixes with the SSO2 saline. The blood-oxygen-saline solution is then directed by catheter into the patient's coronary artery where it infuses the capillary bed and surrounding heart tissue. The procedure takes about one hour.



https://www.medgadget.com/2013/10/super-saturated-ozygen-therapy-to-treat-heart-attack-patients-interview.html


適応症例: anterior STEMI and proximal or mid‐LAD occlusion presenting within 6 hours of symptom onset

Evaluation of intracoronary hyperoxemic oxygen therapy in acute anterior myocardial infarction: The IC‐HOT study
Shukri W. David, et al.
First published: 28 September 2018
https://doi.org/10.1002/ccd.27905
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ccd.27905
Median [interquartile range] infarct size was 24.1% [14.4%, 31.6%] at 4 days and 19.4% [8.8%, 28.9%] at 30 days.



re-perfusion injury (damage)が思い浮かぶのだが・・・




2019年4月5日金曜日

喫煙が認知症リスク増加ってホント?

喫煙は認知症の危険因子とされていると思うのだが、喫煙者の早期死亡リスク増加! 故、検証が難しいところ

Cox比例ハザードなどは競合リスク補正が重要になり、さらに、認知症の場合は病理的根拠も必要

否定的見解が・・・


Tobacco Smoking and Dementia in a Kentucky Cohort: A Competing Risk Analysis
Abner, Erin L. et al.
Journal: Journal of Alzheimer's Disease, vol. 68, no. 2, pp. 625-633, 2019



喫煙を認知症と神経病理学的burdenのリスクとして、初期認知機能正常高齢者 531名を長軸的にフォローアップ(University of Kentucky’s Alzheimer’s Disease Center)、コホート期間平均 11.5年間、認知症診断 111(20.9%)、認知症なし死亡 242(45.6%)
ベースラインで、現行喫煙報告 49(9.2%)で中央値 pack-years 47.3、喫煙既往 231名(pack-year 24.5)

認知症Coxモデルに基づくハザード比
喫煙既往 vs 非喫煙 1.64 (95% CI: 1.09, 2.46)
現行喫煙 vs 非喫煙 1.20 (0.50, 2.87)

Fine-Grayモデル(認知症なし死亡competing riskを考慮すると、subdistributionハザード比(sHR) 喫煙既往 1.21 (0.81, 1.80)、現行喫煙 0.70 (0.30, 1.64)

現行喫煙では認知症なしでの死亡発生率増加 (sHR = 2.38; 1.52, 3.72)

ベースライン年齢、教育、性、糖尿病、頭部外傷、高血圧、体重増加、APOE ε4、認知症家族歴、ホルモン補充療法補正。認知症なし死亡competing risk補正すると、喫煙は認知症発生と相関せず。
この知見は302名の神経病理からも支持された

単球が特発性肺線維症:生存率バイオマーカーとして浮上

単球数は特発性肺線維症だけでなく、全身性硬化症、骨髄線維症他の線維性疾患において生存率マーカーとなり得る
喘息に於けウル好酸球マーカー、肺癌に於ける循環中腫瘍細胞などと同様、疾患活動性反映の可能性

KL-6、SP-Dなどが活動性マーカーとして使えないのでかなり期待
但し、この報告で真に治療効果マーカーになっているかどうかは不明
化合物(PBI-4050およびTD139など)が少なくとも部分的にマクロファージに作用する可能性がある場合、単球数は今後の臨床試験における治療バイオマーカーとして評価される可能性はある

Increased monocyte count as a cellular biomarker for poor outcomes in fibrotic diseases: a retrospective, multicentre cohort study
Madeleine K D Scott, et al.
The Lancet Respiratory Medicine
Open AccessPublished:March 29, 2019
DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30508-3

【背景】特発性肺線維症患者について、臨床所見同様の症例でも肺移植割り付けのためせねばならぬ為層別化改善のためのバイオマーカーが差し迫って必要。特発性肺線維症患者から特異的免疫細胞タイプアウトカム悪化リスク高い患者が同定できるか?サイトメトリーと電子カルテ記録で所見評価

【研究方法】Gene Expression Omnibus at the National Center for Biotechnology Informationからのtranscriptome dataを用い特発性肺線維症患者の末梢血単核細胞(PBMC)サンプル 120についてdiscovery analysis施行
statistical deconvolutionを用いた13の免疫細胞比率推定、移植free生存率と細胞種との相関を研究
2つの独立したコホート(COMET、Yale)の特発性肺線維症患者からのPBMCサンプル使用しvalidation検証
COMETでは45名の特発性肺線維症患者サンプルでフローサイトメトリーを使用し単球数profile(2010年3月2日〜2011年3月10日)、単球数増加が疾患進行のプライマリアウトカムと相関するか検討
Yaleコホートでは特発性肺線維症15名(対照 5名)で52のgene signatureを用い高リスク/低リスク・分類(2014年4月28日〜2015年8月20日)、単球比率(measured by cytometry by time of flight) が高リスク患者で高値かどうか検討

45,068名の特発性肺線維症、全身性硬化症、肥大型心筋症、骨髄線維症患者を電子カルテにて血球値調査し、絶対的単球数0.95 K/μL以上で全死亡率と相関するか検討
Stanford (Jan 01, 2008, to Dec 31, 2015), Northwestern (Feb 15, 2001 to July 31, 2017), Vanderbilt (Jan 01, 2008, to Dec 31, 2016),  Optum Clinformatics DataMart (Jan 01, 2004, to Dec 31, 2016) cohorts

【結果】discovery analysisにて、CD14+ classical monocyte推定比率平均以上では、移植free生存率短縮と相関 (ハザード比 [HR] 1.82, 95% CI 1.05–3.14)するが、T細胞比率増加、B細胞比率増加は相関せず (0.97, 0.59–1.66; and 0.78, 0.45–1.34)

COMETトライアルとYaleコホートの2つの検証コホートで、単球数増加はアウトカム不良リスク高い (COMET Wilcoxon p=0.025; Yale Wilcoxon p=0.049)

 COMET、 Stanford、 Northwestern dataset横断的に、単球数 0.95 K/μL 以上は、FVC補正後も死亡率と相関 (HR 2.47, 95% CI 1.48–4.15; p=0.0063)、性・年齢・生理学指数補正後も死亡率と相関 (HR 2.06, 95% CI 1.22–3.47; p=0.0068)

特発性肺線維症7459名のカルテ解析で単球数 0.95 K/μL 以上はcensoring eventとしての肺移植に関し死亡リスク増加を診断時年齢、性別補正後認める (Stanford HR=2.30, 95% CI 0.94–5.63; Vanderbilt 1.52, 1.21–1.89; Optum 1.74, 1.33–2.27)

単球絶対数は肥大型心筋症でも3つのコホート横断的に生存率短縮と相関し、3つのコホート中2つは全身性硬化症、骨髄線維症患者でも相関認めた

【結論】単球は特発性肺線維症や他の線維性疾患では単球数を評価に入れ込むべき。
繊維症での単球のメカニズムの検証が進めば、新しい治療の開発の手助けになるかもしれないという感想




Figure 2Classic monocyte (CD14+ CD16–) count association with poor outcomes in patients with idiopathic pulmonary fibrosis



Figure 3Survival of patients with idiopathic pulmonary fibrosis patients up to 5 years after diagnosis



2019年4月4日木曜日

本邦MR研究:JPHC 2型糖尿病とがん発生リスク関連エビデンスは乏しい

多くのコホート研究で2型糖尿病の癌リスクの関連、主に肝臓癌、直腸結腸癌、膵臓癌との関連が報告され、高血糖、糖化ヘモグロビン高値とがん発生率の関連性、ミトコンドリアのぶどう酸化亢進、酸化ストレスを介したDNA損傷促進など考察されてきた。
residual confounding(残存交絡)バイアスのため間違った解釈の可能性がある。
MR(Mendelian randomization)アプロートは従来の観察研究デザインとは異なり、概念上の遺伝子型によるランダム化を利用した手法で、近年MR研究報告が増加している。


本邦での2型糖尿病とがん発生率の関連性MR検証


糖尿病と癌リスクとの真の関連性を検討、10,536人のサブコホート被験者とがん新規診断3,541人を含むこのメンデル無作為化試験 症例コホート研究、被検者は日本JPHC前向き研究内、40-69歳の32,949人の適格参加者から選択

糖尿病確率倍化に対し、癌の推定ハザード比は全体で1.03、膵臓で1.08、肝臓で0.80、結腸で0.90

糖尿病と全体的および部位特異的な癌リスクとの関連性を確認するための強いエビデンス見いだせなかった。日本人集団の癌発生における2型糖尿病の遺伝的役割は、ほとんど証拠によって裏付けられていなかった。


Diabetes and Cancer Risk: A Mendelian Randomization Study
Atsushi Goto , et al.
 International Journal of Cancer https://doi.org/10.1002/ijc.32310
pdf





2019年4月3日水曜日

2型糖尿病:CVリスク、SGLT2阻害剤・・・

めんどくさいからまとめちゃえ

・リアルワールドと臨床トライアルではイベントリスクなど異なり、SGLT2のCVリスク降下も異なる
・だが、2型糖尿病患者の動脈硬化性心血管疾患リスクの他要素コントロールされているのは症例の2割のみ
・システミック・レビューだが、CKD有するT2DM患者で血中Cr、ESKD、腎疾患死の腎複合アウトカム、急性腎障害、高カリウム血症に関しSGLT-2阻害剤の有効性あるようだが、腎関連有害事象やその他ケトアシドーシス、足趾切断など有害事象は不明瞭。



ASCVD:動脈硬化性心血管疾患の予防、ASCVD予測要素のため糖尿病のcontemporary 糖尿病レジストリにおける糖尿病患者の多リスク要素ターゲット達成検証

糖化ヘモグロビン、LDLコレステロール、血圧をターゲットとする患者で、非喫煙者で、性、人種、ASCVD病歴をレジストリで登録
5名中1名しか、包括的にリスク要素コントロール達成してないという現実
他要素的介入の必要性を問う


Composite cardiovascular risk factor target achievement and its predictors in US adults with diabetes: The Diabetes Collaborative Registry
Diabetes Obes Metab. 2019;1– 7.
Received: 9 November 2018 Revised: 27 December 2018 Accepted: 2 January 2019




2型糖尿病(T2DM)+慢性腎臓疾患(CKD)(eGFR < 60 mL/min/1.73 m2)患者へのSGLT2阻害剤の安全性・有効性
random effects modelと逆分散法加重計算にて検討、7,363名,27研究を収集・解析。
SGLT2阻害剤は糖化ヘモグロビン及び血圧低下を示した
心血管疾患及び腎臓アウトカムリスク軽減するが、糖化ヘモグロビン改善は軽度、付加的安全性懸念に関してはエビデンス明確ではなかった


Effect of SGLT2 inhibitors on cardiovascular, renal and safety outcomes in patients with type 2 diabetes mellitus and chronic kidney disease: A systematic review and meta-analysis
Toyama T, et al.
Diabetes Obes Metab. 2019;1–14.









いわゆるリアルワールド研究

リアルワールド2型糖尿病患者において、主要参入クライテリアとDECLARE-TIMI 58研究結果適用後、ダパグロフロジンと他の血糖降下薬剤(GLDs)の心血管(CV)安全性とイベント発生率比較。Swedish nationwide healthcare registries (2013-2016)のダパグロフロジン and/or 他GLDs新規開始患者同定。主なDECLARE-TIMI 58登録クライテリアは「40歳以上、CV疾患既往あるいは他リスク要素(e.g. 男性 50歳以上・女性 60歳以上の高血圧あるいは脂質異常を有する場合」
ダパグロフロジンは、DECLARE-TIMI 58研究登録類似リアルワールド2型糖尿病患者において心血管アウトカム安全性示され、心不全入院減少、心血管死亡イベント率は他のGLDsに比べ減少



Dapagliflozin and cardiovascular mortality and disease outcomes in a population with type 2 diabetes similar to that of the DECLARE-TIMI 58 trial: A nationwide observational study
Diabetes, Obesity and Metabolism — Norhammar A, et al. | April 01, 2019





リアルワールドセッティング直線性が示され、3つのCV outcome trials (CVOTs) でも直線性が示されるが、明らかに異なるイベント率



2019年4月2日火曜日

睡眠時無呼吸症候群:AHI=重症度という幻想

「令和」発表で、pubmed検索 
案の定、”Showing results for reina. Your search for reiwa retrieved no results.”

"heisei"だと、420あるんですけどね・・・




この報告によると
  • 睡眠時間の短さ→昼間の眠気
  • 閉塞型睡眠時無呼吸→肥満、高血圧、脂質異常リスク
と、分けられる

Epworth 睡眠スケールで、閉塞型睡眠時無呼吸をスクリーンするのが標準だと思うのだが、AHI5以上検知感度6割強で、スクリーンとしては感度悪いし、客観的睡眠計測で補正する必要ありそうな・・・

「新幹線運転手居眠り」から日本では周知されはじめた睡眠時無呼吸症候群、眠気=睡眠時無呼吸症候群という直感が臨床の場で浸透されすぎているのかもしれない

もう一度、昼間の眠気に関しては睡眠時間について検証が必要かもしれない。

最初の文献の結論は・・・
「【昼間眠気】客観的睡眠時間測定加味すると・・閉塞型睡眠時無呼吸より睡眠時間の短さが重要


OSA, Short Sleep Duration, and Their Interactions With Sleepiness and Cardiometabolic Risk Factors in Adults
The ELSA-Brasil Study
Luciano F. Drager, et al.
CHEST 
DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.12.003

【序文】閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)と短い睡眠時間(short sleep duration : SSD)は昼間の症状と心血管代謝deregulationと関連する。しかし、OSA着眼研究が大多数で、SSD評価はされてないし、逆もしかり。目的はOSA、SSDの関連性、眠気と心血管リスク要素の相互関連を大規模成人コホートで検討

【方法】ブラジル長軸的研究:Brazilian Longitudinal Study of Adult Health (ELSA-Brasil) 連続被検で臨床評価、睡眠アンケート、家庭睡眠モニタリング、actigraphy施行。
OSAはAHI 15イベント/h以上。SSD 6時間未満

【結果】2,064名データ最終解析(男性 42.8%;平均年齢 49±8歳)
全体頻度 OSA 32.9%、SSD 27.2%
多寄与因子補正後、過剰眠気はSSDと独立して相関 (OR, 1.448; 95% CI, 1.172-1.790)し、OSAでは相関せず (OR, 1.107; 95% CI, 0.888-1.380)
SSDのOSAとの相互作用は有意ではない
明らかな肥満 (OR, 3.894; 95% CI, 3.077-4.928)、高血圧 (OR, 1.314; 95% CI, 1.035-1.667),、脂質異常(OR, 1.251; 95% CI, 1.006-1.555) は独立してOSAと相関するが、SSDとは相関せず
同様に、OSAのSSDとの関連は有意ではない
SSD5時間未満あるいは連続睡眠時間という項目を検討に加えても、心代謝リスク要素との相関性の無さは変わらない

【結論】客観的睡眠時間の少なさは昼間の眠気と独立して関連するが、閉塞型睡眠時無呼吸では関連認めず。逆に、閉塞型睡眠時無呼吸は独立して肥満、高血圧、脂質異常と関連するが、客観的睡眠時間の短さとは関連せず



次の文献の結論は
AHIより覚醒閾値低下と関連したイベント時間の短さが生命予後と関連


そもそも、AHIという指標は、生じる低酸素血症、睡眠断片化、イベント毎の期間、そしてイベントの分布などの情報、体位毎、夜間、睡眠ステージ毎の情報が無視されている。arousal thresholdや間接指標としのて呼吸イベントの時間などの情報が含まれてないため、イベント持続時間を計測、低酸素血症、高炭酸ガス血症、end inspiratory effortなどを生理的ストレッサーとして指標化する報告が最近なされている。


Apnea–Hypopnea Event Duration Predicts Mortality in Men and Women in the Sleep Heart Health Study
Matthew P. Butler , et al.
AJRCCM Vol. 199, No.7 Apr 01,2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201804-0758OC       PubMed: 30336691

序文: 閉塞型睡眠時無呼吸は死亡率リスク要素だが、その診断metricであるAHIは予後因子としてはpoor。AHIは患者個体内・患者間の生理学的変動、例えば低酸素血症・睡眠断絶化をcaptureできないため、気道虚脱、化学受容体negative feedback loop gain、arousal thresholdなどの病態生理変動の差を反映できない。

目的: 呼吸イベント時間、arousal thresholdのheritable sleep apnea traitが総死亡率を反映するかの検証

方法: 前向き居住者ベースコホート Sleep Heart Health Studyにおいてイベント時間の機能として死亡リスクをCox比例ハザードにて推定。

測定と結果: フォローアップ11年間で、5,712名被検者中死亡1,290。
住民統計要素(平均年齢 63歳、女性 52%)、AHI(平均 13.8 ; SD 15.0、喫煙 、明瞭な心代謝疾患といった要素補正後、最も短いduration event分位ほど他の分位に比較して総死亡ハザード高い:1.31 (95% 信頼区間, 1.11–1.54).



この相関は男女とも観察され、中等度睡眠時無呼吸で最も強い相関であった (ハザード比, 1.59; 95% 信頼区間, 1.11–2.28)

結論 :相対的に短いrespiratory event durationは、低arousal thresholdのマーカーとして、男女とも死亡率予測要素。respiratory event短い症例では換気不安定 and/or 自律神経augmented responseを有し、健康有害事象尤度増加し、閉塞型無呼吸の生理学的変動評価として重要であろう




イベント時間は女性やアフリカ系アメリカ人など短く genetic locus (rs35424364)というラテンヒスパニック系アメリカ人に多いなど遺伝的な関連性あり
AHIの数値にかかわらず、睡眠障害にばらつきがあり、
1)より軽い睡眠ステージでも覚醒が生じる
2)同じ睡眠ステージでも化学受容体や、呼吸努力が生じ覚醒閾値が低く、
3)化学受容体からの反応が迅速すぎる(低酸素高炭酸ガス血症への化学受容体反応性、loop gainの増加)
など機序で生じると考察



noteへ実験的移行

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