2015年6月6日土曜日

新知見:中枢神経内のリンパ・システム

中枢神経特性の一つは、古典的リンパ(還流)系に存在しないことである。中枢神経系は髄液内で関与するコンスタントな免疫サーベイランスの安定化の役割有るが、免疫細胞の中枢神経系への出入りに関するメカニズムは不明だった。
髄液中のT細胞のGatewayについて、硬膜静脈洞(dural sinus)に配列する機能的リンパ管を三井だし、この構造はリンパ系内皮細胞の分子学的hallmarkを有し、深部脳内リンパ節に繋がる。

中枢神経内にリンパシステム無しとしていた従来の概念を覆す発見となった


Structural and functional features of central nervous system lymphatic vessels
Antoine Louveau, et. al.
Nature (2015) doi:10.1038/nature14432


Eurekalert解説記事
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-06/uovh-mlf052915.php


アルツハイマー病や多発性硬化症など神経免疫相互作用の関わり解明にかなりの前進と評価

COPD: スタチンは、気道炎症のアクセルを弱め、ブレーキをかける働き

スタチンは免疫調整作用があり、COPD治療での臨床的ベネフィットの可能性が示唆されてきている。COPD患者でのIL-17/IL-10不均衡改善効果が喘息患者同様にみられるか?


シンバスタチンは、気道のIL-17A/IL-10不均衡を改善し、喀痰マクロファージを減少したが、COPD患者の好中球数には影響を与えなかった



Simvastatin suppresses airway IL-17 and upregulates IL-10 in patients with stable COPD
Kittipong Maneechotesuwan,  et. al.
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.14-3138

方法
安定COPD患者30名を二重盲検ランダム化対照交差割り当て
・シンバスタチン20mg/日
・バッチ化対照
4週間の洗い出し期間を設け4週毎投与
プライマリアウトカムは、誘発喀痰中Th17サイトカインと、インドールアミン酸素添加酵素(Indoleamine 2,3-dioxygenase: IDO
セカンダリアウトカムは、喀痰中炎症精細胞、FEV1、CAT症状スコア
 結果
4週後、IL-17A、IL-22、IL-6、CXCL8濃度有意減少 
一方、IL-10濃度、IDO mRNA発現 (fold change) 、IDO活性(kynurenine/tryptophan 比)はシンバスタチンでプラシーボ比較にて著明増加 
プラシーボ比較のシンバスタチンで、喀痰マクロファージ絶対数、マクロファージ比率、CATスコア減少 (差平均 –0.16 ×106 p=0.004; –14.1%, p = 0.004 ; -14.1%, p < 0.001、 -3.2, p=0.002)

他の臨床的アウトカムは両群で同等


IL-17産生CD4+T細胞(Th-17細胞)は自己免疫疾患において主要病原細胞でもある。IL-17は主に活性化T細胞より産生され、繊維芽細胞や上皮細胞、血管内皮細胞、マクロファージなど種々の細胞に作用して、炎症性サイトカインやケモカイン、細胞接着因子など、種々の因子を誘導して炎症を誘導する。IL-10は受容体を介してFoxp3+ regulatory T 細胞産生(regT)を促進する。

スタチンは、気道炎症のアクセルを弱め、ブレーキをかける働きってことになるのだろうか?




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