2012年8月31日金曜日

クモ膜下出血と喫煙の関係

喫煙習慣はクモ膜下出血のリスク増加するが、禁煙により時間的にそのリスク減少。
しかし、重度喫煙(20本以上/日)ではその効果は減弱する。やはり、グローバルな禁煙活動が重要という結論の論文。


Impact of smoking cessation on the risk of subarachnoid haemorrhage: a nationwide multicentre case control study
Press Release
J Neurol Neurosurg Psychiatry doi:10.1136/jnnp-2012-302538



426名のくも膜下出血(SAH)症例と、26名の年齢性別マッチ化対照横断研究




SAH 現行喫煙者148名(37.4%)、対照 103(24.2%)

寄与関与可能性要素補正オッズ比は 2.84 (95% CI, 1.63 ~ 4.97)




累積喫煙数(pack years)に基づくと、SAHのリスクは用量依存的に増加




禁煙(5年以上)で59%ほどSAH減少(p<0 .05=".05" br="br">
しかし、重度喫煙歴(20本/日)経験者は、非喫煙者に比べSAHリスク2.3倍増加(p

ROLO研究: 妊娠巨大児予防に低GI(glycaemic index)食指導介入有効

4kgを超す乳児出産歴ありの糖尿病無しの女性、2007-2011年1月の2度めの妊娠女性 800名

低glycaemic index介入と非介入

Low glycaemic index diet in pregnancy to prevent macrosomia (ROLO study): randomised control trial
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5605 (Published 30 August 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e5605

生下時体重、生下時体重センタイル、ポンデラル指数絶対値に群間差認めず


介入群は妊娠体重増加軽度 (12.2 v 13.7 kg; 平均差 −1.3, 95% 信頼区間 −2.4 ~ −0.2; P=0.01)
耐糖能異常率は介入群で少ない : 21% (67/320)vs 28% (100/352)(P=0.02)
(空腹時血糖 5.1 mmol/L以上、あるいは、糖負荷1時間後 7.8 mmol/L以上)

低GI食は、妊娠中のインスリン抵抗性亢進を予防する可能性が示唆され、逆に高GI食は、胎児・胎盤過剰成長と、母胎の体重増加、結果、巨大児出産リスク増加の可能性が考えられ、その実地的証明。



日本では周回遅れすぎる、危険な低炭水化物ダイエット(アトキンスダイエットなど) がマスコミを賑わしている。あるある大事典事件になんの反省もないマスコミ。
低炭水化物・高蛋白食は心血管疾患リスク増加をもたらす
2012年6月28日


低GI食は、低脂肪食、低炭水化物食(Atkins食)より負の影響が少なく体重維持効果的
2012年6月27日水曜日

X線所見のないMRI異常の病的意味は無い

MRIだと異常を認めるが膝レントゲン所見のない中年・高齢者の脛骨大腿骨関節(tibiofemoral joint)の病変は、変形性関節症を示すわけではない。これは、疼痛の有無と無関係。



Prevalence of abnormalities in knees detected by MRI in adults without knee osteoarthritis: population based observational study (Framingham Osteoarthritis Study)
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5339 (Published 29 August 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e5339

Frminghamの地域コホート、50歳超のレントゲン上所見のない710名

この被験者710名のうち、女性393(55%)、白人660(93%)
1ヶ月内膝痛206名(29%)

平均年齢62.3%、平均BMI 27.9

包括的異常所見頻度は89%(631/710)

骨棘形成(osteophyte)が最も多い(74%, 524/710)所見、軟骨ダメージ (69%, 492/710) 、骨髄病変(52%, 371/710)

高齢になるほど、MRIの異常所見すべての種類で頻度増加。

BMI群間に有意な特性差頻度認めず

異常所見一つでもある場合の頻度は疼痛、疼痛無しでも高頻度  (90-97%,、86-88%)

2012年8月30日木曜日

IABP:ST上昇型心筋梗塞30日間死亡率改善ベネフィット認めず

600名患者のIABP SHOCK IIトライアルで、 intra-aortic balloon pump (IABP) の使用は30日後死亡率ベネフィットを認めないと、 European Society of Cardiology (ESC) 2012 Congress.でDr Holger Thiele (University of Leipzig, Germany)報告

http://www.theheart.org/article/1438263.do

30日目死亡 : IABP 38.7%、 対照 41.3% (p=0.69)

新しいSTEMIガイドライン(ESC 2012)では、STEMI患者へのIABP使用は、1C → 2Bとダウングレードされている。


なお、intra-aortic balloon counterpulsationトライアル BCIS-1では、待機的使用で高リスク血管形成低拍出患者も、当初28日間においてベネフィット認めてない。しかし、51ヶ月後(中央値)、死亡率はばらつきを示し、IABP群が良好と判明している。
(JAMA 8 25, 2010)


IABP使用は、時代の潮目に当たってるようだ・・・重症患者のセレモニー的使用も噂される昨今・・・

カロリー制限=長寿 ・・・ という常識に疑念? ;サルで再現できず



カロリー制限=長寿 ・・・ という常識に疑念?

カロリー制限(CR)導入若年・高齢National Institute on Aging (NIA) サルでは、生存アウトカム改善しなかったという報告
Calorie restriction falters in the long run
Genetics and healthy diets matter more for longevity.
Nature Amy Maxmen  29 August 2012
http://www.nature.com/news/calorie-restriction-falters-in-the-long-run-1.11297


Wisconsin National Primate Research Center (WNPRC)の有名研究、7-14歳の成人アカゲザルへの30%カロリー制限開始で生存率改善効果が示され、予備実験少数報告でも改善効果示された。

NIAサルでもWNPRCサルでも、年数経過で、カロリー制限による有用性がさらに深まったという並行的に行われた2つの別々の研究報告。WNPRCの意味づけは、研究室齧歯類から長寿命霊長類まで認められるカロリー制限効果の重要性を示している。
しかし、今回の報告では、寿命の長い霊長類では、研究デザイン、畜産・飼料組成などが、カロリー制限の寿命延長効果へ影響を与えていることが示された。


1989年開始のWisconsin National Primate Research Center (WNPRC) 研究で、アカゲザルの実験で、カロリー制限は寿命延長を示し、加齢関連死が制限群で13%、対照群で37%であった。25年間の研究は対照群より30%食事量を減らしていた。食事トリガースイッチが加齢を緩徐化するという単純化した考えを確認されたと一般に考えられた。


今回発表のNatureの論文は、単純なカロリー計算だけじゃなくて、遺伝と食事構成からの報告である。

Impact of caloric restriction on health and survival in rhesus monkeys from the NIA study
Nature (2012) doi:10.1038/nature11432


NIA基金のサル研究は短命生物での知見、回虫饑餓実験による寿命延長、カロリー制限ラットでの体毛光沢や活動性維持提示実験など、さらには分子生物研究で、加齢関連遺伝子発現変容カスケードへの変容などが示されている。

 ところが、アカゲザル実験では、カロリー制限群に比べ不健康な食事摂取だった。対照群は一定供給だったが、介入群では不健康な食事無制限食であった。介入群が作為的すぎる健康食であり、カロリー制限だけの介入では無かった可能性が指摘された。結果的にカロリーの内容に大きな差が出来てしまったと指摘。 蔗糖成分、WNPRCサルでは28.5%、NIAでは3.9%。NIAでは魚脂や抗酸化成分ありで、WNPRCでは含まず。 全体的に食事としてはWNPRCは不健康。WNPRCサルはインドから、NIAサルはインドや中国からという対象動物の遺伝的差がある。

レスベラトロールのような蚊化合物での介入研究もあるが、 全体的には、単一プロセス・単一遺伝子・蛋白ターゲットで、加齢遅延を目指すことは期待されてない現状(David Sinclair, a geneticist at Harvard Medical School in Boston, Massachusetts)

ヒトの加齢において、カロリー制限のエビデンスは不足している。観察研究で、平均体重のひとが最も寿命長い傾向がある。

100歳長寿者研究者であるNir Barzilai( Albert Einstein College of Medicine in New York,)は、遺伝の方が 食事・ライフスタイルより重要で、“They’re a chubby bunch”(かれらは、ぽっちゃり体型)と述べている。

カロリー摂取量より食事組成の方の研究にいくべきという方向性示唆か?







メディア報道多し

・WSJ
Big Calorie Cuts Don't Equal Longer Life, Study Suggests
Monkeys on Severe Diets Get Health Benefits But, Unlike Rodents, No More Years
http://online.wsj.com/article/SB10000872396390444772804577619394017185860.html

・NYTimes
Severe Diet Doesn’t Prolong Life, at Least in Monkeys
 http://www.nytimes.com/2012/08/30/science/low-calorie-diet-doesnt-prolong-life-study-of-monkeys-finds.html


・LATimes
Calorie limits don't extend life span but might keep you healthier
http://www.latimes.com/news/science/la-sci-calorie-restriction-death-20120830,0,6696302.story




最近、極悪NHKが、長寿遺伝子と騒いでましたなぁ ・・・ 強制的NHK受信料を使って、偏った情報提供つづける極悪企業 ・・・ つぶして欲しいテレビ局


【追記】郷に入っても郷に従わず その7~ カロリー制限をしたサルの研究から学んだこと

ハーバード大学リサーチフェロー
大西 睦子

2012年10月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

チョコレート週50-60g摂取で、卒中リスク減少 (女性だけでなく、男性にも効果)

スイス人のチョコレート好きは定番なのか?

スイス人コホートでのチョコレートと卒中リスクの関連研究
 

Chocolate consumption and risk of stroke
A prospective cohort of men and meta-analysis
Susanna C. Larsson, et. al.
Neurology Published online before print August 29, 2012, doi: 10.1212/WNL.0b013e31826aacfa Neurology WNL.0b013e31826aacfa

スウェーデン男性37103名のコホート
フォローアップ10.2年で、卒中症例 1995、脳梗塞 1511、出血性卒中 321、分類不能 163
高度チョコレート摂取は、卒中リスク減少と相関。

卒中多変量相対リスクは、チョコレート摂取最大4分位(中央値 62.9g/週)は最小4分位(中央値 0g/週)比較で0.83(95%CI 0.70-0.99)

相関は卒中病型により差は認めず

卒中4260症例の5つの研究のメタアナリシスでは、0.81(95% CI 0.73-0.90)で、研究横断的heterogeneiti認めず(p = 0.47)


女性での報告が先行している。

 多変量相対リスク(RR)として、チョコレート週50g摂取は、卒中すべて 0.86 (95% CI: 0.77 ~ 0.96)、脳梗塞  0.88 (95% CI: 0.77 ~ 0.99)、出血性卒中 0.73 (95% CI: 0.54 ~ 0.99)

Chocolate Consumption and Risk of Stroke in Women
Susanna C. Larsson, PhD, Jarmo Virtamo, MD, Alicja Wolk, DMSc
J Am Coll Cardiol. 2011;58(17):1828-1829. doi:10.1016/j.jacc.2011.07.023




SPS3 : 反復ラクナ型梗塞・デュアル抗血小板療法(アスピリン+クロピドグレル)再発リスク減少せず、出血・死亡リスク増加


反復ラクナ型卒中アスピリン投与にクロピドグレル追加投与
再発リスク減少せず、出血・死亡リスク増加

Effects of Clopidogrel Added to Aspirin in Patients with Recent Lacunar Stroke
The SPS3 Investigators
N Engl J Med 2012; 367:817-825 August 30, 2012
 二重盲検多施設トライアル:MRI確定・有症状ラクナ型梗塞 3020名

・クロピドグレル 75mg
・プラシーボ

プライマリアウトカムは、卒中(虚血性、出血性)再発

登録者平均年齢63歳、男性 63%



フォローアップ平均3.4年後、アスピリン+クロピドグレル群は、アスピリン単独より、卒中再発リスクは有意に減少せず

 (dual antiplatelet therapy) (卒中 125; rate, 2.5% /年 vs 卒中 138 , 2.7% /年) (ハザード比, 0.92; 95% 信頼区間 [CI], 0.72 ~ 1.16)

さらに、虚血性卒中リスクも減少せず (ハザード比, 0.82; 95% CI, 0.63 ~ 1.09) 、障害、致死性卒中も減少せず (hazard ratio, 1.06; 95% CI, 0.69 ~ 1.64).

重大出血は倍 (出血 105 , 2.1% /年 vs 56, 1.1% /年) (ハザード比, 1.97; 95% CI, 1.41 ~ 2.71; P<0 .001=".001" p="p">
再発性虚血性卒中の71%(133/187)はラクナ型卒中

全原因死亡率はアスピリン+ クロピドグレル(dual抗血小板治療)割り当て群で増加 (死亡 アスピリン単独 77  vs. dual therapy 113) (ハザード比, 1.52; 95% CI, 1.14 ~ 2.04; P=0.004)

この差は出血性卒中によるものではない (dual治療 9 vs. アスピリン単独 4)

2012年8月29日水曜日

抗けいれん薬ガバペンチンが慢性治療不応性咳嗽に有効

ガバペンチンは、疼痛・てんかんに広く使用されるが、この薬剤が慢性咳嗽に関連する咳嗽頻度・重症度、症状軽減の可能性がある。不応性咳嗽治療への期待が高まり、通常治療のない咳嗽からの心理・身体的な障害に対する治療として期待される・・・とのこと。


Gabapentin for refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet, Early Online Publication, 28 August 2012
ランダム化二重盲検プラシーボ対照化トライアル(オーストラリアの外来クリニック)
8週を越える不応性慢性咳嗽成人
・gabapentin (maximum tolerable daily dose of 1800 mg)
・matching placebo
10週間

プライマリエンドポイントは咳嗽特異的QOL (Leicester cough questionnaire [LCQ] score):ベースラインから8週間治療変化をITT解析


babapenti(n=32)、プラシーボ(n=30)
10名が研究終了前中断


Gabapentin は有意に咳嗽特異的QOL改善 (between-group difference in LCQ score during treatment period 1.80, 95% CI 0.56—3.04; p=0.004; number needed to treat of 3.58)

副作用はgabapentin 10名(31%)(吐気、疲労)、プラシーボの副作用 3名(10%)



咳嗽反射の感度は慢性咳嗽で亢進。カプサイシンのような咳嗽刺激過敏性は末梢性、中枢性メカニズムともに関与。非咳嗽刺激も咳嗽を引き起こし、中枢神経メカニズムや、中枢反射感作にて影響を受ける。末梢性感覚(末梢神経咳嗽刺激過敏性)はカプサイシンにより促進され、一過性の受容体ニューロン受容体発現を促進する。このメカニズムがneuropathic painのような中枢神経感作と関連するのではないかという考察。

抗痙攣薬であるガバペンチン(Gabapentin)は,GABA誘導体であるが、GABA受容体とは結合せず、ベンゾジアゼピン受容体やグルタミン酸受容体など他の多くの受容体とも結合しない。作用機序としては、1)電位依存性Ca2+チャンネル抑制作用、2)脳内GABA量増加作用。
http://www.maruishi-pharm.co.jp/med/libraries_ane/anesthesia/pdf/29/29topics.pdf



日本では抗てんかん薬としてしか認可されてないので使用経験無い。類似したγ-アミノ酪酸(GABA)の構造類縁体であるプレガバリン(リリカ)は?また、ガバペンチンのプロドラッグである、「レグナイト」はレストレスレッグス症候群(下肢静止不能症候群)で適応症あるが、これなどは?  ・・・ しばらく、続報を楽しみたい。

宮城県内の東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)による心血管疾患への影響

宮城県内の東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)による心血管疾患への影響

まとめとしては・・・
1)心血管疾患、肺炎が震災により震災前3年間(2008-2010)と比較し有意に増加

2)震災後、心不全・肺炎は緩徐減少、ACSや卒中、心肺停止は(心不全、肺炎に比べ)急激減少。
3)心血管疾患発症は年齢、性別、居住地域(海沿い、内陸)に関わらず増加
4) 海沿い(津波影響地域)で、内陸部より、肺炎発症が多い

疾患発症と震災とのタイミングの問題、津波と気道感染の関連、様々な考察が出来そうだ


The Great East Japan Earthquake Disaster and cardiovascular diseases
Eur Heart J (2012) doi: 10.1093/eurheartj/ehs288 First published online: August 28, 2012
東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日(2011年3月11日)における宮城県の心血管疾患、肺炎発生率影響後顧的調査
期間:2008–11
n = 124 152

心不全(HF)、急性冠症候群(ACS)、卒中、心血管疾患(CVDs)、心肺停止(CPA)、肺炎発生数、事前3年間と比べ増加

ACSとCPAの発生は急激増加後急激に減少するが、心不全・肺炎は、6週間を越えて遷延的に増加し、卒中・CPAの発生率は、余震【4月7日)後第二次ピークを示す。

CPA発生は震災発生後24時間で増加し、その後他の疾患が増加する。

この増加は年齢、性別、居住地域(海沿い vs 内陸)に無関係


A:心不全、B:ACS、C:卒中、D:CPA(全原因)、E:CPA(心肺原因)、F:肺炎、G:余震


震災前後の疾患発生頻度
A:心不全、B:ACS、C:卒中、D:CPA(全原因)、E:CPA(心肺原因)、F:肺炎

認知症やパーキンソン病鑑別に脳脊髄液内の成分測定が役立つ

 認知症やパーキンソン病鑑別に脳脊髄液内の成分測定が役立つ
・α-synculein脳脊髄液濃度(+総タウ):アルツハイマー病と、パーキンソン病に伴う認知症・レビー小体病などの鑑別
・neurofilament light chain 脳脊髄液濃度:パーキンソン病と、他の非定型的パーキンソン病鑑別


Accuracy of a Panel of 5 Cerebrospinal Fluid Biomarkers in the Differential Diagnosis of Patients With Dementia and/or Parkinsonian Disorders
Arch Neurol. Published online August 27, 2012. doi:10.1001/archneurol.2012.1654

パーキンソン病(PD)、 PD+認知症(PDD)、レビー小体病認知症(DLB)、アルツハイマー病  (AD)、進行性核上性麻痺(PSP)、 multiple system atrophy (MSA)、corticobasal degeneration (CBD)の脳脊髄液試料(N = 453)

α-synuclein脳脊髄液濃度
減少:PD、PDD、DLB、MSA
増加:AD

βアミロイド1-42 脳脊髄液濃度
減少:DLB、AD


多変量解析にて、AUC 90未満で、α-synculein+総タウを用いて、ADと、他のDLB、PDDの鑑別可能


neurofilament light chain 脳脊髄液濃度は、非定型的パーキンソン疾患であるPSP、MSA、CBDで増加し、多変量解析(AUC < 0.93)で、この濃度増加のみが、PDと他の非定型的パーキンソン疾患を鑑別する方法ということが分かった。


2012年8月28日火曜日

痛風:通常許容血中鉛濃度の1/6でも痛風・高尿酸血症リスク増加

許容血中鉛レベルは < 1.21μmol/L( < 25μg/dL)だそうだ。
鉛中毒は痛風性関節炎を生じるが、一般住民での低濃度レベルの鉛ではたして痛風リスクに関わるか?

この論文での最大4分位は、0.19μmol/L[3.95 μg/dL]と、一般許容濃度の1/6程度である。このレベルの低い濃度でも痛風リスク増加が見られるという報告。

Low-Level Lead Exposure and the Prevalence of Gout: An Observational Study
Eswar Krishnan, et. al.

Ann Intern Med. 21 August 2012;157(4):233-241
痛風頻度を血中鉛濃度4分位最大(平均 0.19μmol/L[3.95 μg/dL])vs 最小(平均 0.04μmol/L[0.89 μg/dL])比較 6.05% (95% CI, 4.49% ~ 7.62%)  vs  1.76% (CI, 1.10% ~ 2.42%)

血中濃度倍化毎、非補正痛風オッズ比 1.74(CI, 1.47 ~ 2.05)、高尿酸血症オッズ比 1.25 (CI, 1.12 ~ 1.40)

腎機能・糖尿病・利尿剤・高血圧・人種・BMI、収入、教育レベル補正後、最大4分位血中鉛濃度は痛風に関し3.6倍、高尿酸血症に関し1.9倍のリスク増加



生活環境と血中鉛濃度
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/pd.html

これで見ると、交通警察官や駐車場作業員、ガソリンスタンド従業員、トンネル作業差h、ガレージ器械工など 25μg/dLを超している


関連:
カドミウム、ヒ素、鉛高濃度と 膵内分泌がんの関連 2011年 12月 20日

妊娠中鉛暴露は低レベルでも血圧増加に寄与 2011年 02月 07日

子供の知的発達と鉛濃度 2007年 11月 21日

USPSTF勧告:CKD検診ベネフィット・リスク結論づけできず

このステートメント、 CKD検診に関してネガティブな報告が目立っていたので、驚きはない。
慢性腎臓病(CKD) 検診・治 療は エビデンスに乏しい メタボ+CKD検診なんて詐欺に詐欺を重ねてるようなモノ  2012年4月19日


カナダ:CKD検診にコスト効果なし 2010年 11月 19日

無症状で、糖尿病・高血圧のない場合の話で、日本などで行われている、“住民検診や人間ドック”など無エビデンスベースの検診などが対象の話。


CKDの患者の48%は糖尿病あり、91%は高血圧を有しているというUSPSTFステートメントもあり、これら疾患のマネージメントは対象としない話である。

アメリカ家庭医協会雑誌解説
慢性疾患マネージメント目的のCKD検査・モニタリングやCKDと関係が深い糖尿病・高血圧患者での検査・モニタリングには適応されない。
New AAFP, USPSTF Guidance
Evidence Lacking to Support Screening Asymptomatic Adults for Chronic Kidney Disease
http://www.aafp.org/online/en/home/publications/news/news-now/health-of-the-public/20120829ckdscreen.html




USPSTFは、無症状成人へのCKDルーチン検診に関しベネフィット・リスク評価不充分と結論づけ


Screening for Chronic Kidney Disease: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Virginia A. Moyer, et. al.
the U.S. Preventive Services Task Force
Ann Intern Med. 28 August 2012

Recommendation: The USPSTF concludes that the evidence is insufficient to assess the balance of benefits and harms of routine screening for CKD in asymptomatic adults. (I statement)

The U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF) makes recommendations about the effectiveness of specific clinical preventive services for patients without related signs or symptoms.

It bases its recommendations on the evidence of both the benefits and harms of the service and an assessment of the balance. The USPSTF does not consider the costs of providing a service in this assessment.


患者向け:Screening for Chronic Kidney Disease: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Ann Intern Med. 28 August 2012





NHKためしてガッテンでは、「CKD」で暴走しておりました。
あいかわらずのクズテレビ局です。
http://www3.nhk.or.jp/gatten/


そして、我々の地域の検診では“CKD”の項目を今年から導入してます。エビデンス無いものを強引に導入するアホな施策が目立ちます。

大麻使用若年ほどIQ低下


Persistent cannabis users show neuropsychological decline from childhood to midlife
PNAS Published online before print August 27, 2012, doi: 10.1073/pnas.1206820109 PNAS August 27, 2012

大麻定期使用が有害と思春期成年は思ってないという報告がある。若年者ではじめるほど、日数ベースの大麻使用は増えるという現象もある。

1037名の生下時からの前向きコホート(Dunedin Study):1972/1973から38歳まで
18、21、26、32、38歳での大麻使用確認インタビュー

神経精神検査13歳で行い、38歳で再検査

持続的大麻使用者は、教育レベル補正後も神経精神的機能、機能面特性横断的に低下広汎である。

ベースラインからのIQ変化
未使用者、依存症診断既往無し: +0.80
使用者、依存症診断無し: -1.07
診断1回: -1.62
診断2回: -2.47
診断3回以上: -5.75



23コホートメンバーで、18歳未満での大麻開始者では、IQ平均8ほど低下し、重度大麻使用者で成人使用開始群ではfull-scale scoreの低下極少ない(P=0.02)

β選択性薬剤2つ:心血管系イベント差認めず

Comparative Effectiveness of 2 β-Blockers in Hypertensive Patients
Emily D. Parker, et. al.
Arch Intern Med. Published online August 27, 2012.


β1選択性、ISA(-)であるatenolol(テノーミンなど)、metoprolol tartrate(セロケン、ロプレソールなど)の比較

高血圧加療使用時心血管イベント発症に差を認めず



こういうことが分かってなかったってことの方が驚きですね

実は、古い薬剤は、エビデンス構築なされてないことが多い

WOMAN研究:閉経後女性食生活習慣と体重変化

 Women on the Move through Activity and Nutrition (WOMAN)研究:


"Short- and long-term eating habit modification predicts weight change in overweight postmenopausal women: Results from the WOMAN study"
Barone Gibbs B, et al
J Acad Nutr Diet 2012; 112: 1347-1355.



閉経女性の短期・長期体重減少は食物の種類に注目した食物行動変容により異なる
デザートが少ないほど、加糖ドリンク、揚げ物、外食が少ないほど、そして、魚摂取が多いほど有意に体重減少と関連。
48ヶ月時点で、体重減少は有意にデザート・加糖ドリンク、肉・チーズ摂取減少し、フルーツ・野菜増加と関連した。

長時間作用性吸入β2刺激薬のステップオフ治療は有害

長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)のstep-off 中止後、症状コントロール悪化、QOL悪化をもたらすという報告

“Step-Off Therapy”に対する警告


step-downに対して、段階的減量としてのstep-off (e.g. https://wao.confex.com/.../Step-down%20or%20Step-off.ppt
ステップダウン・アプローチは、ステップアップ・アプローチほどデータがない 
・ICS/LABA固定吸入内での、ICSのステップダウン治療は有効
LABAステップオフ治療は喘息コントロールを失うリスクを高める可能性あり
・LABA+ICSをLTRA+ICSに置き換え研究はされてない

上記2番めの事象を確認した報告。

National Asthma Education and Prevention Programは、数ヶ月コントロール状態にある患者ではstep-down治療を考慮した方が良いとしている。
 
"Long-acting beta2-agonist step-off in patients with controlled asthma: systematic review with meta-analysis"
Brozek J, et al
Arch Intern Med 2012; DOI: 10.1001/archinternmed.2012.3250.
LABA中断に関するエビデンス評価のシステマティック・レビューとメタアナリシスで、合剤治療で一度コントロール到達した患者を対象

1492の論文から選別、5つのトライアルでのみ、15歳以上の事前特異化登録クライテリアを満たしてなかった。

LABA step-offアプローチは治療変更せず群と比べ良好な結果では無かった。

LABA step-offレジメンは、喘息悪化増加、Asthma Quality of Life Questionnaire score悪化 (mean difference [95% CI], 0.32 [0.14-0.51] points lower)、 Asthma Control Questionnaire score 悪化(0.24 [0.13-0.35] points higher)、無症状期間減少(9.15% [1.62%-16.69%] less)、研究脱落リスク増加、以上の結果、有効性無く、喘息コントロール不要 (risk ratio, 3.27 [2.16-4.96])

イベント数少数・観察期間短いため、急性増悪・死亡リスクは評価せず



x剤型少なく、薬剤調整困難というプラクティカルな問題と、ステップダウン法は現実ではエビデンス少ない。

LABAステップオフしないとすれば・・・
シムビコート固定的+ICS追加調整で漸減する方法
ICS単独+LABA単独(現実的にはサルメテロールロタディスク25μg使用、発売予定のホルメテロール単剤は?)
ホクナリンテープをLABA的に使用する方法
ICS/LABA→ICS+LTRA併用に一時期行う
 ・・・などなど考えられるが・・・

運動は喫煙渇望を抑制する

禁煙による運動能力改善効果は比較的迅速(Prev Med. 1988 Jan;17(1):79-92.)


喫煙渇望・喫煙衝動に駆られたとき、運動することは良い方法であり、強いエビデンスが示された。


The acute effects of physical activity on cigarette cravings: Systematic review and meta-analysis with individual participant data (IPD).
Haasova M. et. al.
Addiction DOI: 10.1111/j.1360-0443.2012.04034.x

【目的】  individual participant data (IPD)を用いて一連の運動による、Strength of Desire (SoD) や Desire to Smoke (DtS)への急性効果をシステマティック・レビューと実験トライアルの初回メタアナリシスを行う

【方法】 文献のシステマティック・レビューとIPDメタアナリシスで、一連の運動のSoD、DtSに対する急性効果を禁煙中の薬物療法未使用状況での一時的非喫煙状態にある喫煙者を対象に行ったもの報告を対象。考察対象研究著者に接触し、生のIPDを入手。
2 stage、1-stage IPDrandom effects meta-analysisを行った。
運動群を対照群とを、介入後SoD、DtSでベースライン補正後比較

【結果】 運動によるSoDの平均標準化平均差として、2-stage IPD meta-analysisの結果、-1.91 (95% CI: -2.59 ~ -1.22) (across 15 primary studies)

2-stage IPD meta-analysis評価による運動によるDtSへの影響は、-2.03 (95% CI: -2.60 ~ -1.46) (across 17 primary studies)

メタアナリシスを加え、一つの平行群研究を含む1-stage modelを加え、対照群との中等度運動比較だけのメタアナリシスを行うと、有意に運動後喫煙渇望を有意な減少が示された。。

研究間heterogeneity高度だが、すべてのプライマリ研究のeffect sizeは同一方向であり、運動は対照群比較で有意な渇望減少が見られた。


【結論】運動は急激にたばこ渇望を減少させるという強いエビデンスが示された。


おそらく、プレスリリースにtypoあり、メディア報道そのまんまのところが多い
http://articles.chicagotribune.com/2012-08-26/lifestyle/sns-rt-us-smokingbre87q00z-20120826_1_cigarette-cravings-nicotine-replacement-exercise-and-health-psychology

http://bit.ly/SwF01w ← http://bil.l/・・・となっている



喫煙に関しては、化学物質関連障害としての、環境的疾患の側面と精神的疾患の側面がある。精神疾患としての側面を無視して、薬物治療だけ重きが置かれるとしたら問題。
一方で、体系化された記述ではないのが物足りないが、保険診療マニュアルには認知療法的考えがちらばめられている。これに、"short bouts of physical activity (PA)"を どう組み込むか、禁煙指導方法手段の改善につながることを期待したい。

ST上昇型心筋梗塞:その他背景にかかわらず再潅流治療による死亡率改善効果あり

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者は再潅流療法で使用で死亡率改善した。
患者背景がその予後改善に関わってるのではないかという疑念もあるわけで、それを確認するための検討。特に若年女性比率が増加しているなど・・・

結論としては、フランスでは1995-2010年で、60歳未満の若年女性増加を伴い、患者背景も他に変化しつつ、再潅流法普及、推奨薬剤の変化を伴いながら、包括心血管疾患死亡率は減少(オッズ比 0.39 95%CI, 0.29-0.53, p<0 .001=".001" br="br">
no perfusionでも1995→2000年で改善が見られるが、その後は頭打ちでやはり、再潅流法のベネフィットは大きい様だ。

Association of Changes in Clinical Characteristics and Management With Improvement in Survival Among Patients With ST-Elevation Myocardial Infarction  
Etienne Puymirat, et.al.
For the USIK USIC 2000 and FAST MI Investigators
JAMA. Published online August 27, 2012. doi:10.1001/2012.jama.11348
 



Figure. Changes in 30-Day Mortality According to Use and Type of Reperfusion Therapy 



Table 3. Observed and Risk Score-Standardized 30-Day Mortality Rates

2012年8月27日月曜日

CTによる非侵襲的心筋血流予備量比(FFR)測定


Noninvasive FFR computed from CT (FFRCT)

冠動脈CT血管造影は非侵襲的解剖学的検査だが、真に虚血を生じている狭窄かどうかは判断出来ない。心筋血流予備量比:fractional flow reserve (FFR)は生理学的測定方法であり、狭窄の有無にかかわらない冠動脈潅流量を表現する方法であるが、侵襲的手技による検査である。

非侵襲的CTによるFFR計算法は新しいやり方で、冠動脈疾患(CAD)の生理学的意義を決定する方法。しかし、その能力に関して確立していなかった。



Diagnostic Accuracy of Fractional Flow Reserve From Anatomic CT Angiography  
James K. Min,  et. al.
JAMA. Published online August 26, 2012. doi:10.1001/2012.jama.11274

CT、侵襲冠動脈造影(ICA)、FFR、FFRCTを2010年10月から2011年12月まで盲検的施行
虚血定義をFFR、FFRCT 0.80以下とし、解剖学的CAD閉塞をCTとICA50%以上と定義

プライマリ研究アウトカムを、FFRCT+CTで per-patient診断正確性を改善するかというもので、めやすを70%推定片側95%信頼区間境界下限以下とした

結果は、ICAによるFFR異常は137(54.4%)

FFRCT+CTに関し、診断accuracy、sensitivity、speicificity、PPV、NPVは 73% (95% CI, 67%-78%)、 90% (95% CI, 84%-95%)、 54% (95% CI, 46%-83%)、 67% (95% CI, 60%-74%)、84% (95% CI, 74%-90%)

CT単独診断閉塞性CAD(area under the receiver operating characteristic curve [AUC], 0.68; 95% CI, 0.62-0.74)すると、FFRCTは、有意に識別能改善(AUC, 0.81; 95% CI, 0.75-0.86; P < .001)


結論としては、事前設定プライマリアウトカムにはper-patient診断正確性までは至らなかったが、非侵襲的FFRCT+CTは、CAD疑い・既知安定期患者では、ICA時のFFRをスタンダードとした場合、それより診断正確性・識別能を改善する。
   

JAMA解説記事: 西ナイル熱

日本では厚労省サイト:ウエストナイル熱・脳炎Q&A 平成14年10月23日 (平成18年1月12日改訂)を参考にすべきなのだろうが・・・一応、JAMAにフリーのまとめあり


日本でも、“西ナイル熱、米で41人死亡 再流行を警戒(朝日 2012年8月23日)”など報道されつつある。


Controlling Urban Epidemics of West Nile Virus Infection
Robert W. Haley, MD
JAMA. Published online August 24, 2012. doi:10.1001/2012.jama.11930

アカイエカ:Culex pipiensによる媒介が主
都市部環境の滞留水で、身近なところに存在する。
ウェストナイルウィルス(WNV)は、トリと蚊の感染サイクルで存在し、蚊の唾液腺から未感染とりへの伝播で広がる。 
感染した鳥はWNV発症を発症し、数日で血中で大量循環し、次の蚊へ媒介する。
感染蚊はほ乳類に食いつき、ウィルスを伝播する。
多くの鳥・ほ乳類は蚊由来のWNVだが、死ぬのはアオカケス(blue jay)やカラス、馬、ヒト。
ウィルスは夏ど真ん中で鳥や蚊の危険閾値に達し、夜間の温度が下がると共に9月ごろ減少する。

蚊からかまれた後の症状発症までの潜伏期2-14日間
感染者の約80%は無症状(子供や若年者健康状態良好状態を含む)、20%が熱と頭痛(West Nile Fever: WNF)。
150名に1人程度が脳や神経系炎症を生じ、様々な神経学的症状を来す。多くが見当識障害、認知障害、stiff neck、筋力低下、パーキンソン様運動異常、さらに、昏睡などとなり、West Nile neuroinvasive disease (WNND)を呈し、典型的には50歳超で出現する。
稀に、ポリオ様症状となり、前角細胞ニューロン障害に由来する弛緩性麻痺の場合もある。
WNND農地、症例致死率は4%-18%(ダラスでは今夏8%)で、医療状況下高齢者が目立つ。WNND患者は多くは完全回復するが、長期・永続的障害を残すこともあり、うつ、疲労、認知機能低下、運動疾患、麻痺を生じることがある。


WNFの診断は、6-9月までの原因不明の熱で、見当識障害を伴う発熱、stiff neck、神経学的障害がWBBDを示唆する。確認は血液検査、脳脊髄液、IgG、 IgM抗体で、PCRによるWNV抗原同定であり、地域の医療部門で行われる。

WNF患者の多くは対症的治療で入院不要。しかし、WNNDは腰椎穿刺、他の病因除外、神経学的所見観察、一般的サポートケアのため入院すべき。呼吸筋筋力障害のための進行性呼吸不全の場合呼吸補助必要。
神経障害予防・改善のための薬物治療、長期障害尤度・死亡改善のための薬物治療は存在しない。



患者のためのページ:Patient Page
West Nile Virus
Denise M. Goodman, et. al.
JAMA. Published online August 24, 2012.
doi:10.1001/2012.jama.11678


2005年に日本で初めての当該疾患患者が報告されている。
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/67f/wn.html


これ以降、日本では報告は無いようだが、渡航者向け注意が喚起されている。
北米地域:ウエストナイル熱・脳炎
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2012C226

2012年8月25日土曜日

高齢の父親はその子孫に遺伝子変異を伝えやすい。 たとえば、自閉症、統合失調症など


高齢の父親はその子孫に遺伝子変異を伝えやすい。
たとえば、自閉症、統合失調症など

Rate of de novo mutations and the importance of father’s age to disease risk
Nature 488, 471–475 (23 August 2012)


さらに、父親 20歳と58歳のときの変異率が報告されている。
85289名の2058のgermline変異に関して、"The paternal-to-maternal mutation rate ratio is 3.3, and the rate in fathers doubles from age 20 to 58"と2倍の変異を認めた。
Nature Genetics (2012) doi:10.1038/ng.2398

これって悪いことだけ?
パーソナルレベルでは悪いことが多い。
だが、社会状況の変化による適応の一つと考えている専門家もいるとのこと。
http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-older-dads-more-mutations-evolution-20120824,0,7837663.story

Nature | News
Fathers bequeath more mutations as they age
Genome study may explain links between paternal age and conditions such as autism. 
Ewen Callaway 22 August 2012



Genetics: The rate of human mutation Alexey Kondrashov   
Nature 488, 467–468 (23 August 2012) doi:10.1038/488467a
22 August 2012






2012年8月24日金曜日

CIRT研究:メトトレキセートの心血管疾患二次予防研究

メソトレキセート(一般名 メトトレキサート)を 心筋梗塞後患者に対し二次予防投与

Cardiovascular Inflammation Reduction Trial (CIRT)
http://www.thecirt.org/

米国心臓、肺、血液研究所:National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI) スポンサー研究

登録クライテリアとして、直近5年心筋梗塞歴+現行2型糖尿病もしくはメタボリックシンドローム(脂質高値、高血圧、高血糖、体重増加)

プライマリエンドポイントは、心筋梗塞、卒中、心血管死
セカンダリエンドポイントは、全原因死亡率、心不全入院、VTE、心房細動、経皮的・手術的血管再建、糖尿病ベースラインに無い場合は糖尿病発症

プラシーボ対照化CIRT研究では、MTXを週毎20mg経口投与(関節リウマチ・乾癬に対する通常量)を3-4年行い、平均2.5年間フォローアップ予定

7000名登録をめざすそうだ
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/34349



PSA検診:肯定的結果 ・・・ 黒人男性に限定的? 解釈も様々・・・

転移性前立腺癌の包括生存率はPSA検診導入後有意に改善し、黒人男性が特に恩恵を被っているという後顧的研究結果。

黒人男性に対し、extensive stateへの進展抑制効果が現れているのではないかと推定。
PSA検査をすることで、医療受診啓発になり、そのための間接的効果ではないかという指摘も・・・。





後顧的研究なのでいかようにも解釈される・・・
http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/ProstateCancer/34343


Improved Overall Survival Trends of Men with Newly Diagnosed M1 Prostate Cancer: A SWOG Phase III Trial Experience (S8494, S8894 and S9346)
J Urol 2012; DOI:10.1016/j.juro.2012.06.046.

3096名hormone naive、転移性前立腺癌・抗アンドロジェン療法(Androgen deprivation therapy (ADT))男性の3連続pIIIトライアル、2つのPSA戦略前トライアル(S8494 and S8894)と、1つのPSA戦略トライアル (S9346)を含む検討


これらの後顧的解析で、リスク要素補正後、

リスク補正後、PSA戦略 22%の死亡リスク低下(S9346 vs  S8894 (HR 0.78, 95% CI 0.70, 0.87, p <0 .001=".001" br="br">
全般生存率改善は黒人男性でより大きい  (test of interaction p = 0.008)


非PSA戦略(S8494 and S8894 )黒人男性生存率中央値は27ヶ月、非黒人では34、35ヶ月

包括生存率の人種的差はPSA戦略群(S9346)では認めず、黒人・白人で48ヶ月、49ヶ月


結論としては、PSA戦略では有意に包括生存率改善。ただ、これだけでPSAモニタリングのみのおかげと結論づけはできない。黒人男性は白人より生存率改善効果認めた。

Cochraneレビューの利益相反 ・・・ ひどいもんだ

 Cochrane Collaboration の認識が広がるにつれ、政策的にも影響を及ぼすようになった。Cochraneレビューに対し、利益相反の透明性がさらに要求されつつある。

実態は、かなり、それとは解離しているようだ。


Reporting of conflicts of interest from drug trials in Cochrane reviews: cross sectional study
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5155 (Published 21 August 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e5155


151名のCochraneレビューのうち、46(30%、 95%信頼区間 24-38%)でトライアルのfundingソース情報記載
すべてのトライアルでトライアルfundingの情報報告してあるのは、30(20%、14%-27%)、全部にあらず部分的特定報告は16(11%、7%-17%)。

トライアル著者・企業経済的つながり及びトライアル著者・企業雇用関係についての情報のあるのは、16/151(11%、7%-17%)


トライアルfundingやトライアル著者・企業関係の情報は、 各レビュー内の1-7カ所に報告され、報告内の部位は一定してない。




日本の医療施策なんて、こういうレビューさえまともに反映されないのだが・・・
いんちきメタボやいんちき検診がまだ保健・医療中心という吹飯ものの政策が続く・・・



Sample size calculations: should the emperor’s clothes be off the peg or made to measure?
BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e5278 (Published 23 August 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e5278


2012年8月23日木曜日

総頚動脈IMTは一般の動脈硬化指標として用いられるべきでない

common CIMT:総頚動脈:common carotid artery の内膜中膜複合体厚 intima-media thickness (IMT)


初回AMI・卒中: 総頚動脈内膜中膜複合体厚は通常のリスク推定スコアに追加しても役立たず

筆者らは、common CIMTを一般対象の動脈硬化指標として行うべきではないと主張、さほどやくだたない。

CIMT測定を Framingham Risk Scoreに加えても、初回心筋梗塞、卒中の10年リスク推定に役立ちません。指標による推定改善効果に関して、この臨床的な意味は少ない。


Common Carotid Intima-Media Thickness Measurements in Cardiovascular Risk Prediction
A Meta-analysis
JAMA. 2012;308(8):796-803. doi:10.1001/jama.2012.9630
14の住民ベースコホート(45828名)、11年中央値フォローアップ期間で、心筋梗塞・卒中 4007例
Framingham Risk Scoreをcommon CIMT測定拡大し推定した場合の初回心筋梗塞・卒中発症10年絶対的リスクモデルを比較。
両モデルC統計は類似  (0.757; 95% CI, 0.749-0.764; vs 0.759; 95% CI, 0.752-0.766)
ネット再分類にて、common CIMTを加えることの改善効果は乏しい (0.8%; 95% CI, 0.1%-1.6%)
中間リスク症例では、ネットの再分類改善度は、全例に対して3.6%程度 (95% CI, 2.7%-4.6%)
男女間差認めず

日本でも、IMTって比較的普及している。日本人にはこういうちまちました測定が好きなのだろう。
ただ、これって、測定者によるばらつきがあると思う。高価な超音波検査機器だとアシスト機能があり、ばらつきすくないとイメージがある。当面IMTに近づかなくて良さそうだから私は安心した。

アロプリノールに降圧作用 ・・・ 軽度だが・・・

Effect of Allopurinol on Blood Pressure: A Systematic Review and Meta-Analysis
J Clin Hypertens (Greenwich). 2012;

10臨床研究(738名)のシステマティック・レビュー

対照群に比較して、アロプリノールにて、収縮期血圧 3.3 mm Hg (95% 信頼区間 [CI], 1.4–5.3 mm Hg; P=.001) 、拡張期血圧 1.3 mm Hg (95% CI, 0.1–2.5 mm Hg; P=.03) 減少
高質RCTで同様の降圧効果:収縮期 3.3 mm Hg (95% CI, 0.8–5.8 mm Hg; P<.001) 、拡張期  1.4 mm Hg (95% CI, 0.1–2.7 mm Hg; P=.04)

アロプリノールは小程度だが、有意な血圧減少効果

この効果は高尿酸血症を有する高血圧患者では補助的な役割はある。

マウス実験・ヒト疫学調査: 乳児期抗生剤暴露と肥満との関連

経験的に治療域に至らない抗生剤投与は家畜に対し10%ほど成長を促進すると経験的に伝えられてきた。このメカニズムを検討。



Antibiotics in early life alter the murine colonic microbiome and adiposity
Ilseung Cho,stem et. al.
Nature (2012) doi:10.1038/nature11400

農業にて1950年代以降、成長促進として、低用量抗生剤投与されているが、このメカニズムは不明。
種類毎異なる作用が脊椎動物毎にみられるので、腸内細菌叢構成変化とその代謝能変化を観察。
治療域下でのマウスへの投与でadiposityモデルを作成し、腸内細菌構成とその作用変化を評価。
若年マウスでadiposity促進し、代謝関連ホルモン増加をもたらす。
微生物環境でのtaxonomic changeが観察され、炭水化物から短鎖脂肪酸への代謝、腸内短鎖脂肪酸量の増加、脂質・コレステロール肝臓代謝の変化をもたらした。




そして、疫学研究で、乳幼児期の抗生剤暴露と肥満との関連が示唆された。

Infant antibiotic exposures and early-life body mass
L Trasande, et. al.
International Journal of Obesity , (21 August 2012)
11532名の子供での抗生剤暴露歴とbody mass指標の検討

6ヶ月未満での抗生剤使用は、10-38ヶ月後のbody mass増加をもたらす
6-14ヶ月、15-23ヶ月での抗生剤暴露はbody mass増加とは関連しない。
乳児での抗生剤暴露は小児期の肥満回避という面で今後検討されなければならない。



エリスロマイシン少量持続投与では、モチリン様作用ということで食欲亢進およびその後の体重増加、脂質代謝異常が示されている。
上記乳幼児抗生剤は短期投与、せいぜい繰り返し投与の話だと思う、成人で少量長期の場合の影響はどうなのだろうか? ちょっと疑念が・・・


それと、家畜投与抗生剤と環境的暴露と、肥満の関連性などは完全に除外出来るのだろうか?

肥満外科治療は糖尿病発症抑制

Swedish Obese Subjects study
通常ケア vs 肥満外科手術で、 糖尿病発症 1000人年あたり、28.4 vs 6.8例



Bariatric Surgery and Prevention of Type 2 Diabetes in Swedish Obese Subjects
Lena M.S. Carlsson, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:695-704 August 23, 2012




刺青のインクが原因でマイコバクテリウム・ケロネ集団感染発症

非結核性抗酸菌:nontuberculous mycobacteria (NTM)のひとつ マイコバクテリウム・ケロネ

刺青のインクが原因で集団感染発症


Outbreak of Mycobacterium chelonae Infection Associated with Tattoo Ink
Byron S. Kennedy, et. al.
NEJM August 22, 2012 (10.1056/NEJMoa1205114)

2001年10-12月に、刺青師 (single artist)1人にpremixed gray inkで施術された後3週後、19名(男性13名、女性 6名)持続的、膨隆、紅斑性皮疹が入れ墨部位に発症

11月が最も多く発疹発生

平均年齢35歳(18-48歳)

17名の患者からの皮膚生検標本ですべて異常有り、その14標本からM. chelonaeを分離、DNA sequencingで確認

PFGE analysis で11臨床分離株と3つの未開封premixed inkの一つで分離不能パターンを見いだした。

19名の患者のうち18名で抗生剤治療、状態改善

米国の刺青師たちは、消毒器具使用、清潔なディスポーザブル手袋、単回使用インク材料、アフターケアなど、衛生に注意しているとのこと。


ウェブ検索すると、通販サイトに、内外インク製品が並んでいる



元々、日本では、“無資格刺青施術行為は医師法違反”
入れ墨で医師法違反の容疑 兵庫県警、彫師を逮捕へ
http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070901000380.html
故に、このような健康被害は表に出にくいため、医師たちにも啓発されず、治療機会の喪失をもたらしている可能性がある。


入れ墨・ピアスによるC型肝炎ウィルス感染伝播 2012年2月8日水曜日

2012年8月22日水曜日

IL-5モノクローナル抗体 メポリズマブ(ボサトリア)

nterleukin-5モノクローナル抗体 mepolizumab (Bosatria)の多施設二重盲検プラシーボ対照化トライアル

12-74歳の621名の重症喘息


intravenous mepolizumab (75, 250, 750 mg)とプラシーボを総計13回4週間

Mepolizumab for severe eosinophilic asthma (DREAM): a multicentre, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet, Volume 380, Issue 9842, Pages 651 - 659, 18 August 2012

急性増悪回数
75 mg: 1.24    急性増悪減少 48% (95% CI 31% ~ 68%, P<0 .0001=".0001" br="br">250 mg: 1.46    急性増悪減少 39% (95% CI 19% ~ 54%, P=0.0005)
750 mg: 1.15    急性増悪減少 52% (95% CI 36% ~ 64%, P<0 .0001=".0001" br="br">
初回急性増悪までの遅延
75 mg: HR 0.45, 95% CI 0.33 ~ 0.61, P<0 .0001=".0001" br="br">250 mg: HR 0.60, 95% CI 0.45 ~ 0.80, P=0.0005
750 mg: HR 0.46; 95% CI 0.34 ~ 0.63, P<0 .0001=".0001" br="br">
入院もしくはED受診必要急性増悪はいずれも減少

プラシーボ比較で末梢血中好酸球数の減少

重度副事象回数は4群とも同様で、頭痛や鼻咽頭炎が多い
副作用で多いのは注射部位関連副事象

JAMA:福島原発災害後内部被曝報告


サブスクライバーしか閲覧できないとは残念・・・

Internal Radiation Exposure After the Fukushima Nuclear Power Plant Disaster
Masaharu Tsubokura, MD; Stuart Gilmour, MPH; Kyohei Takahashi, MD; Tomoyoshi Oikawa, MD, PhD; Yukio Kanazawa, MD, PhD
JAMA. 2012;308(7):669-670. doi:10.1001/jama.2012.9839


取り上げているメディア

USA Today
NBC News
NPR
Washington Post
Philadelphia Inquirer


解説がなされている

https://aspara.asahi.com/blog/hamadori/entry/99pw3x2Ygn
内部被曝通信 福島・浜通りから~測定結果の論文が載った。その意味は…


"Nature、Lancetなど(医学雑誌としてランクの高い=影響力の強い雑誌たち)にも投稿しましたが、査読にも回りませんでした"
→  震災直後一番熱心だった英国系雑誌が興味示さなかったのはなぜかが気になる。 

スタチンは膵炎リスク減少作用? 一方、フィブラートは増加リスク懸念

観察研究の結果スタチン治療と膵炎の関連性指摘報告があり、スタチン・フィブラートと膵炎発症に関する大規模ランダム化トライアルの関連性調査



Lipid-Modifying Therapies and Risk of PancreatitisA Meta-analysis
JAMA. 2012;308(8):804-811. doi:10.1001/jama.2012.8439

113800名登録者の、16のプラシーボ、標準化ケア対照化スタチントライアル

加重平均フォローアップ4.1(SD, 1.5)年間で、309名膵炎発症(スタチン割り付け 134、対照割り付け175) (RR, 0.77 [95% CI, 0.62-0.97; P = .03; I2 = 0%])

4.8(SD, 1.7)年間の5つの投与対照スタチントライアルで、156名膵炎発症(強化量割り付け 70、中等量割り付け 86) (RR, 0.82 [95% CI, 0.59-1.12; P = .21; I2 = 0%])

21のスタチントライアルすべての複合結果では、 RR 0.79 (95% CI, 0.65-0.95; P = .01; I2 = 0%)

7つのフィブラートトライアル(40162例、5.3(SD, 0.5)年間)では膵炎発症 144
(フィブラート割り付け 84、プラシーボ割り付け 60)(RR, 1.39 [95% CI, 1.00-1.95; P = .053; I2 = 0%])


膵炎リスクの少ない試験集団検討になってしまっている。
高トリグリセリド値そのものが膵炎リスクである。
フィブラート割り付けは妥当に行われたのか疑念があるが、この報告に従えば、フィブラートより膵炎減少についてはスタチンの方が効果的となっている。

メタボリック異常(日本のメタボリックシンドロームという概念にあらず)の場合、肥満では認知機能低下顕著

メタボリック異常(日本のメタボリックシンドロームという概念にあらず)の場合、肥満では認知機能低下顕著

軽度認知機能障害やアルツハイマー病予防を示唆するかもしれない事象との論説もなされている。



Obesity phenotypes in midlife and cognition in early old age
The Whitehall II cohort study
Neurology August 21, 2012 vol. 79 no. 8 755-762 


1991-1993年 39-63歳の6401(男性 71.2%)

BMI 18.5-24.9 kg/m2、 過体重 25-29.9、肥満 30以上

メタボリック状態:
1)TG ≧  1.69 mmol/L もしくは脂質低下薬剤使用
2)収縮期血圧 ≧ 130 mm Hg、 拡張期血圧 ≧ 85 もしくは降圧剤使用
3)血糖 ≧ 5.6 mmol/L もしくは糖尿病薬使用
4)HDL < 1.04 mmol/L (男性)、 1.29 (女性)

4つの認知機能試験(記憶、論理的思考、セマンティック、音素流暢性)評価

1997-199、 2001-2004、 2007-2009で行い、 総合スコアの標準化zスコア、平均評価


代謝異常 31.0% 、 体重正常 52.7%、 過体重 38.2%、 肥満 9.1%

肥満者において、ベースライン認知機能スコア 、認知機能10年間低下は代謝正常、異常群ともに同等 (p = 0.82、p = 0.19)

代謝正常群では、全般認知機能スコア10年間減少は、正常体重群、過体重群、肥満群で同等  (p for trend = 0.36) (正常 −0.40; 95% 信頼区間 [CI] −0.42 ~ −0.38), 過体重 (−0.42; 95% CI −0.45 ~ −0.39),  肥満 (−0.42; 95% CI −0.50 ~ −0.34) )

 しかし、代謝異常群では、全般スコア減少は肥満者で、正常体重者より急激である (肥満 −0.49; 95% CI −0.55 ~ −0.42)  vs 正常体重 −0.42; 95% CI −0.50 ~ −0.34), (p = 0.03)



2012年8月21日火曜日

米国医師の4割超がもえつき、家庭医・一般内科・救急医に多い 専門医や他専門学位など持ってると少ない

医師は、多職種に比べ、バーンアウト比率が高い。前線で仕事する家庭医、一般内科、救急医の比率が高い。一方、皮膚科とか、予防医学の部門は少ない。


Burnout and Satisfaction With Work-Life Balance Among US Physicians Relative to the General US Population
Arch Intern Med. Published online August 20, 2012. doi:10.1001/archinternmed.20 12.3199


全領域米国医師大規模サンプルのburnout国家的研究 
burnoutを評価インスツルメント測定、work-life満足を検討

27276名参加呼びかけに対し、7288(26.7%)検討完遂

Maslach Burnout Inventoryを用いた評価で、1回でもburnout症状ある医師は45.8%

スペシャリティー毎にburnoutにばらつき有り、もっとも高率なのは最前線のケアアクセス医師(家庭医、一般内科医、救急医)

米国就業成人3442名の確率ベースサンプル比較とすると、医師のburnoutは多い (37.9% vs 27.8%)、そして、work-life balanceに満足してない (40.2% vs 23.2%) (P < .001 for both). 

年齢、性別、関連状態、週労働時間補正pooled多変量解析にて、教育レベルが高いほど、burnoutしやすい 

高校卒業と比べると、MDやDO資格の場合、burnout比率高い  (odds ratio [OR], 1.36; P < .001)
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    MDやDO外の学士号(OR, 0.80; P=0.48)、 修士号(OR, 0.71 ;P=.01)、 専門職業・博士号(OR, 0.64; P = .04) はburnout低リスク



バーンアウトに関しては今までも多く取り上げてきた。興味や楽しみを診療の合間に見つけることができない追い込まれた状況で、重圧だけの職場では、バーンアウトしてしまうのは当然。互いに逃げ道や楽しみを見つけなければ長続きしないだろう。医療外の専門をもちながら診療をしている人たちはそのへんの逃げ道がうまいのかもしれない。


小児科レジデントではうつ、バーンアウトが多く、うつは医療過誤増加と関連する 2008年 02月 15日

医師のバーン・アウトへのカウンセリング介入 2008年 11月 14日

職場バーンアウト: allostatic load indexを利用して評価を! 短期ストレス実験とは違う!2011年 02月 23日

医者のバーンアウトの診療への影響調査 : 謝罪マニュアルのなれのはて? 2008年 07月 15日

career fit: 充実した時間が過ごせればバーンアウトも少ない 2009年 05月 26日

米国:医学生バーンアウト 教育費負債、学業成績、QOL低下の関連 2011年 09月 08日

2012年8月20日月曜日

EMBRACE研究:アジスロマイシン非嚢胞性線維症気管支拡張急性増悪予防

 日本では、エリスロマイシンなどマクロライド系抗生剤長期使用の効果は、多元的に多くの報告が有る。ただし、この報告論文の中で、日本の「びまん性汎気管支炎」や「エリスロマイシン」の論文が一切引用されてないことをみると、(日本の臨床研究あらゆる分野で言えることだが・・・)RCTが十分とでないためだろう、国際的には日本のマクロライド少量持続治療について評価されてないことがわかる。臨床的意義のある画期的治療法で、かつ、歴史をもつ治療法なのに・・・世界的に見れば無名なのが日本人として悲しい・・・日本として、EM vs アジスロマイシンの対比研究をして、DPBやEM療法を報告論文に目いっぱい記載するくらいしないと・・・


アジスロマイシン500mg 週3回 6か月間投与で、急性増悪回数の減少の効果
副作用としては、消化器症状、悪心、嘔吐、下痢、心窩部不快感などで、軽度
問題は、耐性が懸念されること。軽度の場合はやはり避けるべきだろうとの意見。


Wong C, et al. "Azithromycin for prevention of exacerbations in non-cystic fibrosis bronchiectasis (EMBRACE): A randomized, double-blind, placebo-controlled trial" Lancet 2012; 380: 660-667.

18歳以上、1回以上の抗生剤必要な急性増悪1年以内経験有り、気管支拡張CT診断確認例
アジスロマイシン500mg vs プラシーボを5ヶ月間週3回投与繰り返し6ヶ月間
 
複合プライマリエンドポイントは6ヶ月治療中の急性増悪イベント、拡張剤前FEV1変化、St George's respiratory questionnaire(SGRQ)
ITT解析

アジスロマイシン割り付け 71名、 プラシーボ割り付け 70名

イベントベース急性増悪 アジスロマイシン群 0.59/1人、プラシーボ群 1.57/1人(6ヶ月間)(rate ratio 0 ,38, 95% CI 0 ,26—0 ,54; p<0 br="br">


拡張剤前FEV1はアジスロマイシンでは治療変化無く、プラシーボ群では0.04L減少(ただし差に関して有意差認めず 0 ,04 L, 95% CI −0 ,03 ~ 0 ,12; p=0 ,251)

加え、SGRQ総スコア変化は、アジスロマイシン群 (—5 ,17 units) 、プラシーボ群 (—1 ,92 units; difference −3 ,25, 95% CI −7 ,21 ~ 0 ,72; p=0 ,108)で差を認めない


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note