2017年3月10日金曜日

ACE阻害剤/ARB投与時は血中Crモニタリングを・・・

ACE阻害剤/ARBの臨床的重要性は揺るがないが・・・ 腎機能モニタリングしなければ、患者にリスクを与えることとなる





ACE阻害剤やARBは高血圧、心不全、糖尿病性微量アルブミン尿症、蛋白尿性腎症、心筋梗塞後に主に処方されている。遠心性腎細動脈収縮によるアンジオテンシンIIの拮抗作用によりこれら薬剤服用後急激腎機能低下例が存在する。
突然の腎障害検出のため、ACE阻害剤/ARB開始前後のsCrモニタリングが曖昧ながら推奨されている。30%以上sCR増加時治療中止を考慮する。最近の報告ではそのモニタリング10%程度で、さらにsCr30%以上増加例痔中止したのはわずか20%。

ACE阻害剤/ARB開始後sCR濃度増加にともなう長期心血管アウトカムについての住民ベースでの調査

Serum creatinine elevation after renin-angiotensin system blockade and long term cardiorenal risks: cohort study
BMJ 2017; 356 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.j791 (Published 09 March 2017)
Cite this as: BMJ 2017;356:j791


主要アウトカム測定は、ポアソン回帰による、sCr30%増加やsCr10%増加毎のESRD、心筋梗塞、心不全、死亡発生率

Cr30%増加2078(1.7%)において、その比率高いのは、女性、高齢で、併発症多く、NSAIDs使用、ループ利尿剤、K sparing 利尿剤使用多い


Cr30%以上はそれ以下に比べ全てのアウトカム補正発生率増加と関連

  • ESRD 3.43 (95% confidence interval 2.40 to 4.91)
  • 心筋梗塞 1.46 (1.16 to 1.84)
  • 心不全 1.37 (1.14 to 1.65) 
  • 死亡 1.84 (1.65 to 2.05) 



sCr増加毎詳細カテゴリー化 (<10 10-19="" 20-29="" 30-39="" all="" for="" p="" trends="" values="">

sCr 30%未満増加でも、全てのアウトカム発生率増加と相関
death (10-19%増加 1.15 (1.09 to 1.22)、20-29%増加  1.35 (1.23 to 1.49), < 10%増加を指標)


カレンダー期間、患者サブグループ、治療継続者においていずれも一致






COPDあらたな治療ターゲット?:Frizzled Receptor 4

肺実質肺胞組織の喪失と、組織修復障害に特徴付けられるCOPD


WNT/β-catenin signaling低下がCOPDで観察されるも
 WNT receptors Frizzled (FZD)の役割について特異的には不明


Frizzled proteinの説明
http://www.cellbiol.net/docs/Frizzled.pdf

アポトーシス中のsignal transduction pathway
https://en.wikipedia.org/wiki/Frizzled#/media/File:Signal_transduction_pathways.svg



まずは観察として、COPD患者、特に喫煙者において、Frizzled 4受容体が非喫煙者比較して減少
次に、細胞培養とモデル系で、細胞内Frizzled 4 signaling抑制にて、WNT/beta-catenin活性減少し、創傷治癒・修復機転低下をもたらすことを示した
受容体欠損で、エラスチンやフィブリン、IGF1を含む構造上有用な特定の蛋白

 ↓

Reduced Frizzled Receptor 4 Expression Prevents WNT/β-catenin-driven Alveolar Lung Repair in COPD
Wioletta Skronska-Wasek , et. al.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine (2017). DOI: 10.1164/rccm.201605-0904OC
DOI: http://dx.doi.org/10.1164/rccm.201605-0904OC


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