2016年4月2日土曜日

ピオグリタゾン:膀胱癌関連疫学コホート報告

米国では訴訟となっている(た)問題  https://goo.gl/GwrCVz
 エビデンスレベルの低い疫学報告だが、今回の報告、多方面に影響波及することはなさそうだが・・・“日本の薬害に声を大きくする団体”などの活動に影響与えないだろうか?


 10万対30−40名での膀胱癌への絶対的リスク増加と、下段追記のごときNNT45程度の動脈硬化イベント回避効果・・・ 薬というのは、とらえ方によって実に難しいアイテムであると感じる



Pioglitazone use and risk of bladder cancer: population based cohort study
    Marco Tuccori, et. al.
    BMJ 2016; 352 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1541 (Published 30 March 2016) Cite this as: BMJ 2016;352:i1541
   
   
689,616人年フォローアップコホート、新規膀胱癌622名診断(粗発生率10万人年対 90.2)

他抗糖尿病薬比較にて、ピオグリタゾンは膀胱癌発生リスク増加と関連  (121.0 v 88.9 per 100 000 人年; ハザード比 1.63, 95% 信頼区間 1.22 to 2.19)

逆に、ロシグリタゾンは膀胱癌リスク増加と関連せず (86.2 v 88.9 per 100 000 person years; 1.10, 0.83 to 1.47).
期間依存、用量依存関係がピオグリタゾンに見られ、ロシグリタゾンでは見られなかった



せっかく、アクトス(ピオグリタゾン)の臨床的有用性あきらかになったのにね


IRISトライアル:アクトスの非糖尿病・インスリン抵抗症例に対する卒中二次予防効果
http://kaigyoi.blogspot.jp/2016/02/blog-post_18.html

Pioglitazone after Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack
Walter N. Kernan, , for the IRIS Trial Investigators
February 17, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa1506930
ちなみに、こちらの NNT (Number Needed to Treat) は45(  95% confidence interval for the NNT ranges from 25.0 to 197.6)である。



治療不応喘息:抗IL-5抗体薬 レスリズマブ 第3相

抗IL-5抗体薬
  • グラクソ・スミスクライン メポリズマブ(「ヌーカラ®皮下注用100mg」)
  • テバ社 レスリズマブ(SCH55700)

ヌーカラに関して・・・
抗IL-5モノクローナル抗体: Mepolizumab:経口ステロイド節約効果、急性増悪減少効果 http://kaigyoi.blogspot.jp/2014/09/il-5mepolizumab.html




Phase 3 Study of Reslizumab in Patients with Poorly Controlled Asthma: Effects Across a Broad Range of Eosinophil Counts
Jonathan Corren, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.03.018

背景  Interleukin-5 (IL-5)は、好酸球活動性に伴うメディエータであり、コントロール不良喘息の重要な治療ターゲット候補。
ヒト抗IL-5モノクローナル抗体、レスリズマブの有効性は、好酸球数400個/μL以上の患者に特異的。
この研究は、コントロール不良大美好酸球数400個/μL未満の患者でのレスリズマブの有効性・安全性を特性化するもの

方法  静注レスリズマブ 3.0mg/kgとプラシーボ 4週1回16週間割り付け
プライマリエンドポイントは、ベースラインから16週目FEV1
セカンダリ測定は、 Asthma Control Questionnaire-7 (ACQ-7) score、short-acting beta-agonists (SABAs)使用、 forced vital capacity (FVC).

結果  プラシーボ1回以上の投与 (n=97) 、レスリズマブ (n=395)、492名
全体では、平均FEV1 ベースラインから16週目の変化はレスリズマブとプラシーボと有意差認めず、ベースライン好酸球数とFEV1の変化に統計学的有意な関連性認めず
ベースライン好酸球400個/μL患者サブグループでは、レスリズマブはプラシーボ比較FEV1改善統計学的有意性なし
ベースライン好酸球400個/μL以上のサブグループでは、レスリズマブはFEV1、QCQ-7,レスキューSABA使用、FVC著明改善と関連
レスリズマブは耐用性良好で、プラシーボに比べ包括的な副事象イベント少ない (55% vs 73%)

結論 レスリズマブはコントロール不十分な喘息患者に耐用性良好。臨床的意義を認める肺機能・症状コントロールはベースラインの好酸球数選別しないと得られない。

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