2018年6月30日土曜日

65歳基準:高齢 vs 若年 降圧治療開始基準・目標値

2014年、JNC-8では高齢者 収縮期血圧 150mmHg以上を治療開始基準として、目標値も同値としたが、2013年欧州ガイドラインでは 160mmHgを開始必須基準、目標値を 140 mmHgとした

SPRINT研究サブグループ高齢者データ(l. J Am Med Ass 2016; 315:2673 – 2682.)により 130mmHg以上開始、治療目標基準とした
SPRINTは、医師・看護師のいない環境下での自動測定血圧値であり、さらに、既治療群が90%というon-treatment群であったため真の治療開始基準としては不適切という意見もある

以下を検討したいとのこと
1)血圧降下治療の利点は高齢者と若年で異なるか?
2)最高齢、最若年齢での降圧ベネフィットのエビデンスのある年齢レンジは?
3)高齢治療開始すべきエビデンスの収縮期血圧値は?
4)付加的ベネフィットエビデンスがある高齢治療目標収縮期血圧・拡張期血圧値は?
5)若年より高齢の法が降圧治療による負担や有害性が高いか?


この論文が答えになってるかどうかは「?」だが・・・






Effects of blood pressure-lowering treatment on cardiovascular outcomes and mortality: 13 – benefits and adverse events in older and younger patients with hypertension overview, meta-analyses and meta-regression analyses of randomized trials
Journal of Hypertension: August 2018 - Volume 36 - Issue 8 - p 1622–1636
doi: 10.1097/HJH.0000000000001787


目的:臨床的明確な問題点として高齢・若年での血圧降下作用を検討:即ち、ベネフィット差
活用可能な降圧効果エビデンスのある最高年齢・最小年齢レンジ
高齢・若年での降圧作用の差を降圧治療開始すべき収縮期血圧のレベル;収縮期血圧・拡張期血圧治療目的;治療のburdenと有害性の差;降圧治療開始すべき収縮期血圧値;治療の負担と有害性

研究方法: 26万210名からなる72の降圧RCT、[カットオフ 65(プライマリ解析)、70、75、80、60、55歳)]から検討
未治療ベースラインレベル血圧、治療到達収縮期血圧あるいは拡張期血圧で層別化
7つの致死的非致死的アウトカムをベネフィットとして評価、負担や有害性wは副事象イベント故の治療永続中断、低血圧/失神で評価。リスク要素や絶対的リスクレンジをrandom effects modelで計算、高齢、若年齢の効果をheterogeneity testで比較


結果:65歳超 96,549名32RCT、65歳未満 114,009名 31RCT
n全身血管アウトカムは高齢、若年ともに治療により有意減少するも、年齢依存的差を相対リスク減少差を認めない、しかし、高齢者では絶対的リスク減少が有意に大きい

治療ベネフィット有意エビデンス活用可能年齢はレンジ幅を最大化すると、80歳超と55歳未満

grade 1レンジ収縮期血圧値治療開始時65歳超で降圧ベネフィットに基づくデータを提供しエイルのは1つのRCTのみだが、60歳超にしても一致したエビデンスを認めた

65歳未満、65歳超ともに心血管アウトカム有意減少は、on-treatment 収縮期血圧 140 mmHg未満、 拡張期血圧 80 mmHg未満で認めた

副事象による治療中断、低血圧/失神 は65歳超で多い


結論:降圧治療は、年齢と関連無く、血圧上昇している全てに推奨される
収縮期血圧値 140-159 mmHgでの治療開始推奨は、60歳超を高齢で推奨される
収縮期血圧 140 mmHg 、拡張期血圧 80 mmHgは80歳まで、釣り合わない負担をもたらさず、ベネフィットが増加する、さらに、on-treatment 収縮期血圧 140-149 mmHgのベネフィットあり


65歳超(赤線)、65歳未満(青線)高血圧患者のアウトカム減少と副事象イベントによる治療中止の関連性
収縮期血圧の差(D-SBP)におけるリスク比のメタ回帰(active治療-プラシーボ or less active治療)
P値 高齢 vs 若年の勾配差

CHD, coronary heart disease events; CV, cardiovascular; D-SBP, difference in SBP; HF, hospitalized heart failure.




アウトカムの相対的、絶対的リスク比


心血管イベントは、“動脈硬化”という劇場の最終章であり、グランドフィナーレである。高齢になるほどこの最終幕となっている可能性が高い。 若年と高齢では、降圧剤の意義も異なってくると思う。若年でも、低リスク群でも高リスクでは異なるだろう。・・・などとほざくが・・・ホントは私にはわからない


65歳未満での収縮期血圧低下による有害性相対リスクが高齢より低そうに見えるのは意外(有意差はないので言及されてない)


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