2012年9月19日水曜日

肥満手術で糖尿病寛解、心血管疾患アウトカム改善効果

肥満治療のためのRoux-en-Y gastric bypass (RYGB) 手術の前向き研究結果

体重減少、肥満、高血圧、脂質異常、HRQOLを検討したもの

重度肥満患者において、非手術対照比較で、手術は、6年後において、糖尿病寛解、心血管疾患その他の健康アウトカム改善に役立つという結論


Health Benefits of Gastric Bypass Surgery After 6 Years  
Ted D. Adams, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1122 doi:10.1001/2012.jama.11164


ベースラインから2年後、6年後フォローアップ時の%体重変化


ベースラインから2年後、6年後頃-アップ時空腹時血糖変化



手術後6年、RYGB手術患者(フォローアップ92.6%)は初期体重より27.7%減少 (95% CI, 26.6%-28.9%)
対し、対照群1(無手術割り付け群)では 0.2% (95% CI, −1.1% to 1.4%)、対照群2(減量手術希望なしの一般住民サンプルからの選択)では、0% (95% CI, −1.2% to 1.2%)

体重減少維持はRYGB手術後患者は優れており、手術後20%体重減少維持2年後94% (95% CI, 92%-96%)、6年後76% (95% CI, 72%-81%)

6年後糖尿病寛解率は、手術群  62% (95% CI, 49%-75%)、対照(Group 1) 8% (95% CI, 0%-16%)、対照(Group 2) 6% (95% CI, 0%-13%)
オッズ比は 16.5 (95% CI, 4.7-57.6; P < .001) vs 対照(group 1)、 21.5 (95% CI, 5.4-85.6; P < .001) vs 対照(group 2)

研究経過中糖尿病発症率は手術後低下; RYGB 手術後 2%; 95% CI, 0%-4%; vs 17%; 95% CI, 10%-24%; 対照(group 1)との比較 OR, 0.11; 95% CI, 0.04-0.34、対照(group 2)との比較OR 15%; 95% CI, 9%-21%; OR, 0.21; 95% CI, 0.06-0.67 ; both P < .001).
減肥手術関連入院被験者数は、手術、対照群1、対照群2でそれぞれ 33 (7.9%), 13 (3.9%), 6 (2.0%)



関連して医療費低減効果についての報告がなされている。

Health Care Use During 20 Years Following Bariatric Surgery 
Martin Neovius, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1132 doi:10.1001/2012.jama.11792

肥満手術後6年間は入院・非プライマリケア外来数増加となるが、それ以降は影響なし
薬剤コストは7-20年にわたり低下する。

肥満・過体重子供に蓄積する尿中ビスフェノールA 健康への懸念

筆者らは、必ずしも尿中Bisphenol A (BPA)濃度増加が肥満発症に役割を果たしていると言ってるわけでは無く、脂肪組織に蓄えられたBPA高濃度状態への健康への悪影響を危惧しているということ。


Association Between Urinary Bisphenol A Concentration and Obesity Prevalence in Children and Adolescents  
Leonardo Trasande, et. al.
JAMA. 2012;308(11):1113 doi:10.1001/2012.jama.11461


概要  Bisphenol A (BPA)は合成化学物質であり、缶詰食品、ポリカーボネート瓶詰め液状食品、他の製品で見られる。成人では、尿中BPA濃度増加は肥満と相関し、冠動脈疾患発症とも相関する。BPA暴露はおそらく小児肥満と関連するだろうが、エビデンスに欠けていた。

目的  小児に於ける、尿中BPA濃度とbody massアウトカムの相関性

デザイン, セッティング, 被験者  横断的分析、6-19歳の2838名の国内代表するサブサンプル(2003-2008 National Health and Nutrition Examination Surveys)で、ランダムに尿中BPA濃度測定されたもの


主要アウトカム測定  Body mass index (BMI)、性別-、年齢標準化zスコアと、過体重(BMI ≥85th percentile for age/sex)、肥満分類(BMI ≥95th percentile)

結果 MPA濃度中央値は 2.85 ng/mL(中間4分位 1.5-5.6)。被験者中 過体重 1047(34.1%[SE, 1.5%])、肥満 590(17.8% [SE, 1.3%])
人種/民族、年齢、保護者教育、貧困/収入比率、性別、血中コチニン濃度、カロリー摂取、テレビ視聴、尿中Cr値補正にて、最小尿中BPA濃度小児は、他の2つの四分位に比べ肥満頻度少ない (10.3% [95% CI, 7.5%-13.1%])  比較; 第2四分位 (20.1% [95% CI, 14.5%-25.6%])、第3四分位(19.0% [95% CI, 13.7%-24.2%])、第4四分位(22.3% [95% CI, 16.6%-27.9%])

類似相関パターンが尿中BPA濃度4分位やBMI z scoreとの間に関連性が見られ、それは尿中BPA濃度対数や肥満頻度調査分析で検討された。

肥満は必ずしも、日焼け止めやソープのような商品使用といった環境中フェノール暴露と相関しない。
層別化解析にて、尿中BPA濃度と肥満の有意相関が白人では見られた (P < .001) が、黒人・ヒスパニックでは見られない。

結論 小児・思春期の横断的研究で、尿中BPA濃度が肥満と有意相関が見られた。
高濃度BPA含有物食品を摂取する肥満児童で説明出来るのか、あるいは、肥満者で脂肪組織でのBPA蓄積増加するためか、関連性の説明では 除外出来ない。




尿中ビスフェノールA濃度と、冠動脈疾患に相関 2012.2.29
缶入りスープとビスフェノールA暴露 2011年 11月 24日
プラスティック:尿中ビスフェノールと成人健康・・・心臓・糖尿病・肝臓へ影響 2008年 09月 17日

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