Neprilysin は、内因性ナトリウム排泄作用、血管拡張作用、抗線維化作用を有するペプチド類の分解を促進。neoprilysinの活性増加によりなぜ糖尿病で腎糸球体内cGMP生成能力を含む、内因性ナトリウム利尿ペプチドの放出および応答を鈍らせるのかの説明になる。
本来なら実験的糖尿病腎症の経過に好影響を与えるべき内在性ペプチドの活動抑制が生じ、結果として腎臓の構造的・機能的重大な悪影響を与える。
neprilysinの抑制により臨床的に糖尿病腎症発症緩徐化の可能性が示唆されていた
2型糖尿病において、心血管疾患のある患者において腎症は重大な臨床的アウトカムである。neprilysin活性増加は腎症に好ましからざる影響を与えるはずで、この抑制剤にて腎症悪化緩徐化できないか・・・とのこと
結論から言えば、良好な効果判明したわけだが・・・
Effect of neprilysin inhibition on renal function in patients with type 2 diabetes and chronic heart failure who are receiving target doses of inhibitors of the renin-angiotensin system: a secondary analysis of the PARADIGM-HF trial
The Lancet Diabetes & Endocrinology Volume 6, No. 7, p547–554, July 2018
DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-8587(18)30100-1
https://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(18)30100-1/fulltext
背景
Neprilysin 抑制 は、実験的糖尿病腎症に効果があり、2型糖尿病患者での腎機能経過に果たす役割について検討
研究方法
ランダム化二重盲検PARADIGM-HFトライアルにおいて、sacubitril/valsartan (97 mg/103 mg twice daily) をエナラプリル (10 mg twice daily) と比較;軽症中等症慢性心不全・収縮機能障害患者 8399名
セカンダリITT解析にて、推定糸球体濾過速度(eGFR)を44ヶ月フォローアップ期間において変化を評価;糖尿病あり n=3784 vs 糖尿病なし n=4615
PARADIGM-HF is registered with ClinicalTrials.gov, number NCT01035255
結果
eGFR は、糖尿病なし群では 1.1 mL/min per 1.73 m2 per year (95% CI 1.0–1.2) 、糖尿病あり群では、 2.0 mL/min per 1.73 m2 per year (1.9–2.1) (p<0.0001).
エナラプリルと比較し、sacubitril/valsartan ではeGFR減少速度緩徐化 (−1.3 vs −1.8 mL/min per 1.73 m2 per year; p<0.0001)
糖尿病なしに比べ、糖尿病ありの患者群でそのベネフィット大なり (差 糖尿病あり:0.6 mL/min per 1.73 m2 per year [95% CI 0.4–0.8] in patients with vs 糖尿病なし:0.3 mL/min per 1.73 m2 per year [0.2–0.5]; pinteraction=0.038).
糖尿病患者でのneprilysin抑制効果は、心不全やHbA1cの臨床経過への影響によっては説明できない
糖尿病患者での sacubitril/valsartan の付加的ベネフィットは尿中cyclic GMP補正により明確でなくなる (p=0.41)
結論
慢性心不全患者において、RASが既に最大現ブロックされている患者では、 neprilysin inhibitionは糖尿病に限定的に、腎機能低下加速を抑制する効果がある