2014年2月19日水曜日

【紆余曲折の末:疑念の承認】神経原性起立性低血圧:症状ベネフィットが示された唯一の薬剤ドロキシドパ米国FDA承認ということに・・・

ドロキシドパ(ドプスカプセル)は日本では、パーキンソン病(Yahr III)・シャイドレーガー症候群・FAP、透析などの立ちくらみなどNOH的症状に対し健保適用がある。


Chelsea Therapeutics社のNorthera (Droxidopa:ドロキシドパ)
有症状神経原性起立性低血圧(NOH: Neurogenic orthstatic hypotension)へFDA承認

http://www.businesswire.com/news/home/20140218006891/en#.UwP-kl5yTcM


NOH患者の症状ベネフィットをFDAが承認した初めて、かつ、唯一の薬剤となるのだが・・・


承認の経緯を見ると・・・ちょっと納得しがたい気がする
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/43819

FDA承認が遅れたのは、1週間を超す治療有効性確認が必要という宿題が出されてたため。
ドロキシドパは、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)のプロドラッグ

306B トライアルでは、プライマリエンドポイント検出に失敗している。ウクライナのデータに不明瞭なところがあり、有意差がしめせなかった経緯。

174名の短期的トライアルでは、プラシーボ比較で、患者のdizziness、lightheadedness、瞬間的意識喪失を改善したが、 1週間でのみ示され、その後のポイントではその効果不明となった。



治験結果が曖昧だった時点で早期承認してしまっている日本の厚労省。その薬剤承認のええ加減さが分かる薬剤でもある。
 

小児肥満傾向:肥満関連遺伝子は満腹充足感不足と関連するのだろう

 肥満では、関連遺伝性及びその特異的遺伝子も見いだされている。肥満関連遺伝子の体重への影響メカニズムを見いだせれば、介入の新しいターゲットとなる。一つの候補メカニズムは、満腹充足反応であり、この特性が多くの肥満要素と関連する可能性がある。
 satiety responsivenes(満腹充足反応)が、行動表現型を仲介し、小児肥満の遺伝子出現と関連するか仮説検証。

 PRS(頻度の多い肥満関連SNPs28種によるスコア)は満腹充足度と逆相関、さらに、実際のBMI、ウェスト径と正相関する。


Satiety Mechanisms in Genetic Risk of Obesity
Clare H. et. al.
JAMA Pediatr. Published online February 17, 2014. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.


デザイン・セッティング・被験者  横断的観察研究、住民ベースコホート双生児出生(1994年1月1日から1996年12月31日)(Twins Early Development Study)
 2258無関連小児(女児 53.3%、平均年齢[SD], 9.9 [0.8]歳、双子の片方をランダム選択



暴露  肥満の遺伝的傾向、polygenic risk score (PRS)作成(28のコモンな肥満関連SNPs同定、肥満関連GWA研究メタ解析による) 


主要アウトカムと測定項目  満腹充足反応を標準化心理測定スケール (Child Eating Behavior Questionnaire)で指数化 。1990 UK参照データ、BMI標準偏差スコア、ウェスト標準偏差スコアを計算し、各児童の親報告体測定値データを集計。
満腹充足反応情報、身体測定評価、遺伝子型を2258名の子供で入手。PRS、肥満程度、満腹充足反応の関連性を評価 


結果  PRSは満腹充足度と負相関  (β coefficient, −0.060; 95% CI, −0.019 to −0.101) 、肥満と正相関 (BMIのSDスコアに於けるβ coefficient, 0.177; 95% CI, 0.136-0.218 、 同様ウェスト径SDスコアに於けるβ coefficient, 0.167; 95% CI, 0.126-0.208 )

PRSの上位25%の子供は、下位25%子供に比較して、過体重( 18.5% vs 7.2%; オッズ比, 2.90; 95% CI, 1.98-4.25)

PRSと肥満の相関性は、満腹充足反応により有意に影響を受ける  (P = .006 for body mass index SD scores and P = .005 for waist SD scores)


結論・知見 これらの結果は、満腹充足反応の影響が、食べ物が豊富になる環境の中で、体重増加遺伝的傾向を示すメカニズムの一つとの仮説を支持することとなる。満腹感充足が充分なされるような戦略が可能なら、遺伝的にリスク状態有る場合でもそれを改善することが可能となるだろう。

ラジオ波焼灼が第一選択か?:RAAFT-2: 発作性心房細動第一選択比較 ラジオ波焼灼 vs 抗不整脈薬

 抗不整脈薬剤治療歴のない発作性心房細動症例において、ラジオ波焼灼術(RFA)では、2年時点での心房性頻拍不整脈再発率を減少する。しかし、再発は、RFA群も、対照群も多い。

 QOLの改善の群差は認めないとなると・・・ 治療選択に関しては、このことを留意する必要がある。職業上の必要性とか、年齢とか・・・


Ablation May Be First-Line Option for Atrial Fibrillation
http://www.doctorslounge.com/index.php/news/pb/44612
Radiofrequency ablation is more effective than medications in treating previously untreated paroxysmal atrial fibrillation, suggesting that ablation may be considered as a first-line treatment
という解説も登場


Radiofrequency Ablation vs Antiarrhythmic Drugs as First-Line Treatment of Paroxysmal Atrial Fibrillation (RAAFT-2)A Randomized Trial
Carlos A. Morillo, et. al.
JAMA. 2014;311(7):692-700. doi:10.1001/jama.2014.467. 

発作性心房細動 127名の治療naive患者
・抗不整脈薬
・ラジオ波


プライマリ有効性アウトカム(予定・非予定心電図、Holter、電話回線経由、rhythm strip による 30秒を超える心房性頻拍:有症状・無症状心房細動、心房粗動、心房性頻拍)
プライマリ・アウトカム:抗不整脈群:44名(72.1%) vs 焼灼群 36(54.5%) (hazard ratio [HR], 0.56 [95% CI, 0.35-0.90]; P = .02)

セカンダリアウトカムは、心房性頻拍不整脈有症状再発とQOL(EQ-5D tool)
セカンダリアウトカムの不整脈部分では、59% vs 47%   (HR, 0.56 [95% CI, 0.33-0.95]; P = .03)

死亡・卒中報告されず
RFA群で4例の心タンポナーデ


標準治療群で、1年後焼灼術受けたのは26名(43%)


両群、ベースラインでのQOL障害中等度あるも、1年後フォローアップで改善。 ただ、群間有意差は認めない。

レクサプロ(シタロプラム)のアルツハイマー病:中核症状認知機能低下するも、BPSDとしてのagitation、世話者負担は改善

アルツハイマー病のagitation(激高)、せん妄はよく見られる合併症で、その後の予後悪化と関連する。

このトライアルの主目的は、シタロプラムのアルツハイマー病agitationへの有効性評価と安全性、認知機能への悪影響、耐用性の検討


結論として、患者本人の認知症中核症状である認知機能への悪影響あり、本人のADLs改善を シタロプラム:レクサプロ はもたらさない。しかし、BPSDとしてのagitationは改善し、世話者の心的負担を改善する


認知症治療原則が果たして現行のだけでよいのか、ケア・ギバーへの負担などは考慮せずに良いのか。考えさせられる薬剤投与である。


Effect of Citalopram on Agitation in Alzheimer Disease
The CitAD Randomized Clinical Trial
JAMA. 2014;311(7):682-691. doi:10.1001/jama.2014.93.



ランダム化プラシーボ化二重盲験平行群トライアル
アルツハイマー病診断例・臨床的意味あるagitationを示した 事例
シタロプラム(n=94) vs プラシーボ(n=92)の比較


プライマリアウトカムは、18点NBRS-A(Neurobehavioral Rating Scale agitation subscale)とmADCS-CGIS(modified Alzheimer Disease Cooperative Study-Clinical Global Impression of Change )
他のアウトカムは、CMAI( Cohen-Mansfield Agitation Inventoryと、NPI( Neuropsychiatric Inventory、 ADLs( ability to complete activities of daily living  )、 世話人dsitress、 認知機能安全性 (based on scores from the 30-point Mini Mental State Examination [MMSE])と副事象

結果:シタロプラム処方患者は、両プライマリアウトカム(18点 NBRS-A、 M-ADCS-CGIS)比較でプラシーボに比較して有意改善


NBRS-Aは9週間 時点での差 (citalopram minus placebo) was −0.93 (95% CI, −1.80 to −0.06), P = .04.


mADCS-CGISのベースラインからの改善程度は、プラシーボ26%改善に比べ、シタロプラム群で中等・劇的改善を示す ( 一定程度の CGISカテゴリーより良好な改善を示す場合のオッズ比  [OR] ) 2.13 (95% CI, 1.23-3.69), P = .01


シタロプラム投与患者は有意にMAI、総NPI、世話者のdistressスコアを改善するが、NPI agitation subscale、ADLs、 ロラゼパム(ワイパックス)・レスキュー使用低下には関与しない(日本では発売されてないワイパックス注射のようである)。


下プラム投与群では、認知悪化 (−1.05 点; 95% CI, −1.97 to −0.13; P = .03) 、QT間隔延長 (18.1 ms; 95% CI, 6.1-30.1; P = .01)が示される 


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