近年、心血管疾患荷重を減らそうとする臨床的・公衆衛生的努力はグローバル、短期(一般に10年間)リスク推定に基づいている。しかし、短期的な意味では大多数が低リスク。
生涯リスクを計算することが、より包括的アセスメントとしてふさわしいのは当然。
ということで、18のコホート、男女250,000名を越える人員のデータ(Framingham Heart Study、 Multiple Risk Factor Intervention Trial、 Coronary Artery Risk Development in Young Adults study 、 Multi-Ethnic Study of Artherosclerorisisを含む)から、リスク要素の重みに従い層別化し、非血管疾患リスクを完全に補正することをめざして、心血管イベントの生涯リスクを計算。
リスク要素
- 糖尿病
- 現行喫煙
- 平均コレステロール: 180mg/dL未満
- 平均収縮期血圧: 薬物無しで 120/80 mm Hg 未満
1つ以上で、リスクありとする。
80歳以上の心血管死亡リスクは、55歳でのリスク状況で、男で29.6%、女で20.5%予測できるということになる。
Lifetime Risks of Cardiovascular Disease
Jarett
D. Berry, M.D., Alan Dyer, Ph.D., Xuan Cai, M.S., Daniel B. Garside,
B.S., Hongyan Ning, M.D., Avis Thomas, M.S., Philip Greenland, M.D.,
Linda Van Horn, R.D., Ph.D., Russell P. Tracy, Ph.D., and Donald M.
Lloyd-Jones, M.D.
18のコホート研究(257,384名の黒人男女、白人男女)で心血管リスク+
45、 55、 65、 75歳で測定
血圧、コレステロール、喫煙状態、糖尿病を5つのmutually exclusive categoryに分けて検討
残りの心血管余命リスクを、対抗イベントとして心血管死無しを指標として、年齢毎カテゴリ毎推定
リスク要素層別化横断的に、心血管疾患生涯リスクの著明な差を見いだした。
55歳の被験者の内、至適リスク要素特性(総コレステロール , < 180 mg /dL [4.7 mmol /L]; 血圧 < 120 mm Hg 収縮期と 80 mm Hg d拡張期; 非喫煙状態s; 非糖尿病状態 )は、リスク要素2つ以上の被験者にくらべ 80歳での心血管死亡リスク低値 (男性: 4.7% vs. 29.6%, 6.4% vs.女性
20.5%)
これら至適リスク要素特性 は、致死的冠動脈疾患・非致死的心筋梗塞生涯リスクも低い (男性 3.6% vs. 37.5%, 女性 < 1% vs. 18.3% ) 、致死的・非致死的卒中 (男性 2.3% vs. 8.3%, 女性 5.3% vs.
10.7%)
リスク要素層別化内でも同様の傾向が、黒人・白人ともにことなるbirth cohort横断的に見られる
黒人・白人男性 リスク要素集合体・死亡リスク競合補正心血管死亡リスク(55歳時)
白人・黒人女性 リスク要素集合体・死亡リスク競合補正心血管死亡リスク(55歳時)
解説:http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Prevention/30854