2013年2月16日土曜日

高齢者女性:週毎の運動回数多すぎると非効率になる

運動指導というのも、何を目的にして行うかで、運動メニューが異なるはず・・・

以下は、高齢者女性における運動の検討

週何回どの運動をするかというのが重要
今回は、週毎に1回ずつ好気的・嫌気的運動を行うか、2回ずつ行うか、3回ずつ行うか、単純に、それぞれの回数ともに増加させた場合の効果比較

いずれの運動も除脂肪体重・筋力増加し、脂肪量減少させる効果があった。

しかし、週2回ずつの好気的運動トレーニングと嫌気的運動トレーニングの組み合わせ、すなわち週4回の運動がもっとも確実に、総消費エネルギーも、運動消費エネルギーも増加した。

週毎の運動回数は多ければ多いほど良いというものではない。

週2回好気・週2回嫌気運動においては非運動トレーニングAEE(運動以外の活動性エネルギー消費量)が有意に増加するが、運動回数の多い、週3回好気・週3回嫌気運動トレーニングむしろ減少するということから、エネルギー消費時間が長すぎて回復する時間が確保できず、運動エネルギーを押さえる順応反応が生じてることが考えられる。

Combined Aerobic/Strength Training and Energy Expenditure in Older Women.
Med Sci Sports Exerc. 2013 Jan 30. 
Hunter GR, et. al.


【目的】高齢者群において
レジスタンス・トレーニングとエアロビック・トレーニングに関する、3つの異なるパターン
総エネルギー(TEE)と、活動性関連エネルギー消費量(AEE)への影響

【方法】
72名女性、60-74歳をランダムに以下の3つの群に割り付け

エアロビック 週1回+レジスタンス 週1回(1+1)
エアロビック 週2回+レジスタンス 週2回(2+2)
エアロビック 週3回+レジスタンス 週3回(3+3)

体組成(DXA)、疲労感、うつ、気力(アンケート)、筋力(IRM)、血中サイトカイン(ELISA)、最大酸素摂取量(漸増式トレッドミル)、安静時エネルギー消費量、TEE測定
以上を前値と、16週後測定

エアロビックトレーニングは、最大心拍80%レベルの40分間
レジスタンストレーニングは、10の異なる運動の10回の反復2回(最大反復の80%レベル)

【結果】
全てのグループで、除脂肪体重増加、筋力、好気的運動能力増加、脂肪量減少

サイトカインや疲労・うつに関して、グループ介入毎に差を認めず

フィットネス・体蘇生変数に関して群差がでるまでの時間にはなかった


2+2群で、TEEとAEE増加するが、他の群では見られなかった。

非運動トレーニング(NEAT)は、2+2群で有意に増加(+200 kcal/日)
1+1群は増加傾向を示した(+68 kcal/日)
3+3群は有意に減少(-150 kcal/日)

高齢女性(60-74歳)女性の話・・・男性、若年者、より高齢者には別のパターンがあるのかもしれない。また、長期継続した場合に、運動外運動代謝低下というのが解消される可能性も考えられる。

北京大気汚染問題

北京オリンピックの時、海外医学ジャーナルのいくつかは、北京の環境汚染、特に、大気汚染に関していくつか警告を発している。

大気汚染:北京オリンピック 2008年 03月 11日

昨年も・・・
北京オリンピック前後・期間中:大気汚染規制で心血管疾患バイオマーカー改善 2012/05/16


今年になり、急に、日本のマスメディアが取り上げたのはなぜか? 日本からの指摘ではなく、北京での大気汚染週報報告後のこと


で、あらためて記載するのは・・・
China wakes up to the crisis of air pollution
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 25 January 2013doi:10.1016/S2213-2600(12)70065-6
この雑誌に記載を見つけたので、意訳・・・
On Scale of 0 to 500, Beijing’s Air Quality Tops ‘Crazy Bad’ at 755
http://www.nytimes.com/2013/01/13/science/earth/beijing-air-pollution-off-the-charts.html?_r=0
1990年早期には、 気道系疾患患者増大し、”北京咳”(Beijing cough)と呼ばれる事態になっている。

北京のアメリカ大使館は、2008年から独立して大気監視システムを走らせ、測定値を公表している。
https://twitter.com/BeijingAir


PM2.524時間平均値は、630μg/m3にも達し、肺や血液にも到達するほどのレベルとなっている。
WHOガイドラインではPM2.5 24時間平均値で25μg/m3を超してはいけないことになっている。

「PM2.5含有物は、直に、肺胞腔を通過する。かすんだ日は10-15%外来数が増加する」と呼吸器疾患クリニックの医師。WHOによると、中国では慢性気道疾患が死因の2位であり、1973年から2005年で4倍になっている。

庶民レベルでの関心は高まってるが、行政の方がトランスペアレンシーレベル保持した情報提示を行っているとはいえない中国の実情。
北京のオフィシャルの大気汚染関連公表測定値と、米国大使館との測定値の乖離が著名で、 「“inaccurate”, “irresponsible”, and “unlawful”」と米国大使館側は表明。

それでも、2013年から、496のモニタリングステーション、74都市でモニタリング開始。PM2.5やオゾンのリアルタイムな測定値公表。中国環境局の努力が見られれはじめ、遅ればせながらジーゼル燃料基準の導入を数年内に行うとのこと。

疫学的研究が全く不足しており、スモッグと呼吸器系疾患、心疾患、神経疾患、がんとの関連性に関しては基礎医学データを用いるしかない。そして、(中国)行政マンにこの問題がいかに重大かをわからせるしかないと・・・

(英国系雑誌のため、周辺国への迷惑の記載もなく、中国側に好意的におわり・・・;中国行政官は悪意なく無知なだけと思っているイギリス人って、まだ、中国の宗主国気分なんだなぁとあらためて思う)




浮遊粒子状物質、PM10、PM2.5 2013/02/09

CTコロノスコピー:臨床上取り扱いの明確化を! 注腸検査よりはがん検出能良好

CTC、すなわち、CTコロノスコピーに関する2つのランダム対照化トライアル

臨床家でのこの新たな検査技術の取り扱い、不確定的なところが大きいようだ。

Atkinらの報告ではCTC被験者の30%で追加の腸検査必要で、通常のコロノスコピーでは8.2%であった。
Computed tomographic colonography versus colonoscopy for investigation of patients with symptoms suggestive of colorectal cancer (SIGGAR): a multicentre randomised trial 
Wendy Atkin  , et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 14 February 2013doi:10.1016/S0140-6736(12)62186-2
現時点では、コロノスコピーが直腸結腸がん検査のゴールドスタンダードであることは間違いなく、CTCは代替的、侵襲性の少ない利点の検査である。CTC後大腸病変評価のための追加検査なされていることは、代替的検査としてその地位確立上重要な意味合いをもつ。1cm以上のポリープや直腸結腸がんのための 、CTC後の追加大腸検査率を比べた。
コロノスコピー 1072、CTC 538にランダム割り付け
CTC群 160(30.0%)、コロノスコピー群 86(8.2%)で、追加検査
CTC後確認において、10mm未満の小ポリープ、臨床的意義の不確実性が過半。
大ポリープやがんではその参照少なかった。


注腸検査より大きなポリープ・がん検知可能であるというHalliganらの報告
Computed tomographic colonography versus barium enema for diagnosis of colorectal cancer or large polyps in symptomatic patients (SIGGAR): a multicentre randomised trial
Steve Halligan , et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 14 February 2013doi:10.1016/S0140-6736(12)62124-2

敗血症:HESは腎置換療法・輸血必要性・重度合併症を増加させる

敗血症に関してだが、HES130/0.38-0.45は、他のクリスタロイド(晶質液 )やアルブミンと比較して、腎置換治療や輸血必要性を増やし、重度合併症を増やす危険性がある。


コロイドがクリスタルよりICUでは心肺蘇生環境で使われているが、国によってその使用選択にばらつきがある。世界的には hydroxyethyl starch(HES)が、アルブミンやゼラチンより用いられる国もある。


hydroxyethyl starch(HES)は高分子量hydroxyethyl starch 200/0.5-0.6で腎障害の可能性があり、130kDaの分子量で、0.38-0.45の構成比率なら安全ということだが、その安全性を支持する報告は不十分。

感染危険性がなく、血液製剤ほどにらまれないこともあり、血液製剤前にしようされることもある。



敗血症患者へのHES130/0.38-0.45をクリスタロイドとヒト・アルブミンのRCTのシステマティック・レビューとメタアナリシス

9つのトライアル、3456名の敗血症患者で、HES130/0.38-0.45 vs クリスタロイドやアルブミン比較で、相対死亡リスク影響認めない(1.04、95%信頼区間 0.89-1.22、3414名、8トライアル)が、事前定義解析バイアス低リスク死亡相対リスクは、1.11(1.00-1.23; TSA(トライアル連続解析)補正95%信頼区間 0.95-1.29、3016、4トライアル)

HES群では、腎機能補完療法機会が多い(1.36, 1.08-1.72 TSA補正 1.03-180, 1311名、5トライアル)

急性腎障害相対リスクは、1.18(0.99-1.40、TSA補正 0.90-1.54, 994名、4トライアル)



HES群はより輸血数が多く(1.29, 1.13-1.48, TSA補正 1.10-1.51)、より重度副事象イベントが多い(1.30, 1.02-1.67, TSA補正 0.93-1.83)


Hydroxyethyl starch 130/0.38-0.45 versus crystalloid or albumin in patients with sepsis: systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis
BMJ 2013; 346 
doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f839 (Published 15 February 2013)Cite this as: BMJ 2013;346:f839


クリスタロイド(晶質液)としてHES製剤は少量から中等の出血で、輸血代用的使い方をされることが多い。 この報告ではHESが晶質液から切り離されて比較されている。

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