2018年7月20日金曜日

PARAMEDIC2トライアル:収容前エピネフリン 生存率改善 、しかし微妙な差・・・

病院収容前エピネフリン注射は、神経学的重度障害リスク増加することなく、生存率を改善する


5つの英国救急サービス、8014名の院外心停止患者対象で、CPR・除細動で蘇生不能であった患者で、エピネフリン注射 or 生食比較

自発循環回復は強化; 介入群 36.3% vs プラシーボ 11.7%
だが、その後の治療法をプロトコール化や測定化していなかった
院内に管理が移るためその他の要素が入り込む可能性があるという説明

day 30での死亡抑止効果はNNT 111
生存率比較:介入群 3.2% vs プラシーボ群 2.4% 
良好な神経学的アウトカム状態での退院比較
介入群 2.2% vs プラシーボ群 1.9% 非補正OR 1.18 , 95% CI, 0.86 - 1.61 
重度神経学的障害(修正 Rankin スケール 4-5)を有する生存
介入群 31.0% vs 17.8%
だが、3ヶ月後は同等


Primary Source
"A randomized trial of epinephrine in out-of-hospital cardiac arrest (PARAMEDIC2)"
N Engl J Med 2018;
DOI: 10.1056/NEJM0a1806842.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1806842

Secondary Source
New England Journal of Medicine
Source Reference: Callaway CW "Testing epinephrine for out-of-hospital cardiac arrest"
N Engl J Med 2018; DOI: 10.1056/NEJMe1808255.



Non-shockable rhythms (PEA and asystole)でエピネフリン注射使用の改善度高い(OR 2.15, 95% CI, 1.13 - 4.0)が、shockable rhythmではベネフィット不明 (adjusted OR 1.33, 95% CI 0.95 to 1.86)で、エピネフリンは異なる心リズム異なる影響を与える可能性あり

肺癌検診基準 再考必要:喫煙既往リスクは長年続く

論文序文から ”肺癌検診では肺癌リスクを相対的に20%低下させることができ、禁煙と組み合わせると38%低下効果ありと言われている”。低線量CTの適応に関する議論あり、禁煙期間(YSQ: years since quiting)の基準が問題


研究者等は、現行喫煙、既往喫煙、非喫煙とを多変量補正Cox比例ハザード回帰モデルを利用し肺癌リスクとの関連性を比較。


  • 継続喫煙と比較し、重度既往喫煙では禁煙期間(YSQ)5年間で肺癌リスク低下
  • しかし、非喫煙者に比較して、25YSQでも3倍を超すリスク継続
  • 15 YSQ超の既往喫煙では、肺癌発生の10分の4は15YSQ超過後であり、現行ガイドラインにscreening windowを逸脱している

故に、喫煙既往者のYSQ基準に関して議論が必要

Lifetime Smoking History and Risk of Lung Cancer: Results From the Framingham Heart Study
Hilary A Tindle  Meredith Stevenson Duncan  Robert A Greevy Ramachandran S Vasan  Suman Kundu  Pierre P Massion Matthew S Freiberg
JNCI: Journal of the National Cancer Institute, djy041, https://doi.org/10.1093/jnci/djy041


【研究方法】Framingham Heart Study Original (n=3,905) と Offspring cohort (n=5,002) で、生涯喫煙と肺癌発生データ解析::1954 to 1958 (Exam 4) and 1971 to 1975 (Exam 1), 2013まで


【結果】フォローアップ中(中央値 28.7年間)肺癌284
肺癌推定発生率1000人年対 現行喫煙 1.97 (95% 信頼区間 [CI] = 1.66 to 2.33)、既往喫煙  1.61 (95% CI = 1.34 to 1.93)、非喫煙  0.26 (95% CI = 0.17 to 0.39)

重度禁煙既往者の禁煙期間(YSQ)を非喫煙比較で肺癌リスク比較すると何れも増加
<5: 12.12="" 21.17="" 95="" ci="6.94" p="" to="">5–9: HR = 11.77, 95% CI = 6.78 to 20.45
10–14: HR = 7.81, 95% CI = 3.98 to 15.33
15–24: HR = 5.88, 95% CI = 3.19–10.83
≥ 25: HR = 3.85, 95% CI = 1.80 to 8.26)

重度喫煙既往 (vs 現行喫煙)において5YSQ内に、肺癌リスク 39.1%低下

データでは、全ての喫煙既往者において、肺癌の40.8%が15YSQ以上経過しても発生することも示されている




”武田”先生というテレビによく出る科学者(教授)?風のひとがいますが、横断的観察、即ち、”タバコを吸ってる人が減ってるのに癌が減らない”というのを喫煙無害説の根拠としておりますが、YSQと癌リスクを考えれば、何ほざいてんだか・・・という気になりますわな

noteへ実験的移行

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