2013年5月8日水曜日

男の乳がん

http://ww5.komen.org/BreastCancer/FactsForMen.html

米国の状況
・新規発症 2240、410名死亡

新規発症:10万対 1.2(男性)、 125.7(女性)
死亡率:10万対 0.3(男性)、22.2(女性)

生存率は女性と同様だが、男性では症状訴え少なくステージ進行後発見が多い。

男性乳がんの警告サイン
・Lump、堅い結節あるいは肥厚 (通常、無痛、しばしば圧痛)
・乳房のサイズ・形状の変化
・乳房部皮膚のDimpling、Puckering、発赤
・乳首のかゆみ、scally sore、皮疹
・乳首や他の部位の引き込み(陥没乳頭)
・乳首からの分泌物

浸潤型乳管がんが多く、小葉(lobule)からのものは少ない。
稀なものは、炎症性乳がん、乳管がん in situ(非侵襲型)、Paget病など

女性化乳房は乳腺組織の拡大で、ホルモンバランスによるもので、特定の疾患、ホルモン使用、肥満、他、思春期少年期に生じる。熱望しない場合や痛みが無い場合はさしあたって治療の必要は無い。ホルモン療法や手術。女性化乳房が男性乳がんと関連するかは不明。多くの研究では2つの病態の相関認めるという報告は少ない。

リスク要素:Klinefelter症候群、年齢、BRCA2遺伝子異常・乳がん家族歴(女性と同様、70歳までに男性でもBRCA2変異の場合7%乳がん確率となる。BRCA2変異は前立腺がんリスクも増加する)、他のがんリスク(重度飲酒、肝疾患、肥満・・・エストロゲン値増加)、放射線被曝(日本での核爆弾、小児がん放射線治療など)若年期

COPD:運動による血行動態反応



Haemodynamic responses to exercise in patients with COPD
ERJ May 1, 2013 vol. 41 no. 5 1031-1041

左室機能障害除外、合併症存在除外されたCOPD外来患者の前毛細血管性肺高血圧の頻度と運動時血行動態血管反応特性検討
98名のCOPD患者で、安静時、臥位運動間の右室カテーテル検査
平均肺動脈圧(Ppa)、肺毛細血管楔入圧(Ppcw)、心拍出量(CO)を安静時・運動時測定
運動誘発性の平均Ppa増加は、血流、平均Ppa/CO、workload(W)、平均Ppa/W増加とともに増加と解釈された。

肺血管抵抗(PVR)と肺動脈コンプライアンス(PAC)計算
安静時PHは安静時平均Ppa25mmHg以上、安静時Ppcw15mmHg未満と定義した。
PHの頻度は、GOLD分類 stage II、III、IVでそれぞれ5%、27%、53%
絶対的運動誘発平均Ppa圧増加は、PHの有無と関連せず
PH無しの患者ではPH群と同じ血行動態反応を示し、PVR増加し、PACは減少、平均Ppa/COと平均Ppa/Wのスロープがよりsteepとなる。
運動によりCOPD患者の大多数で、異常な生理学的血行動態反応を示す。
COPD患者の運動時のPH定義は、将来、平均Ppaの絶対値よりというより、心拍出量やworkloadに対する平均Ppaのスロープでなされるべきだろう。


高血糖は、骨髄造血を促進し、動脈硬化改善を障害する




Hyperglycemia Promotes Myelopoiesis and Impairs the Resolution of Atherosclerosis
Cell Metabolism, Volume 17, Issue 5, 695-708, 7 May 2013


糖尿病は動脈硬化の主要リスク要素。動脈硬化はコレステロールrichリポ蛋白の動脈壁内の沈着で始まり、炎症性の白血球の病変への疾患進展への燃料注入となり、回復を障害する。糖尿病マウスは循環中好中球とLy6-Chi単球増加し、高血糖による誘発骨髄myeloid progenitorの増殖・拡大し、循環中への単核球への遊離を生じる。
好中球のS100A8/S100A9産生増加、それに続き、common myeloid progenitor cellの終末産生物のglycationが進む受容体との相互関連性を示し、myelopoiesis促進する
高血糖治療により単核球増多減少し、単核球へ動脈硬化病変への侵入減少し、改善をもたらす。
1型糖尿病患者では、血中S100A8/S100A9濃度は、白血球数と相関し、冠動脈疾患と相関する。このように高血糖は、myelopoiesisを誘発し、糖尿病の動脈硬化促進する。

特発性肺線維症:アンブリセンタン(エンドセリン受容体選択的アゴニスト)は無効どころか、悪化の可能性

 肺高血圧治療薬であるエンドセリン(ETA) receptor–selective antagonistである、 ambrisentan(アンブリセンタン)はIPFの進展を減少できるか?

答えはNo!、病状進展リスク、呼吸器系入院増加の可能性


Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis With Ambrisentan: A Parallel, Randomized Trial
Ganesh Raghu, et. al.
the ARTEMIS-IPF Investigators
Ann Intern Med. 2013;158(9):641-649.


【アルツハイマー病】バクスター液状・静注用人免疫グロブリントライアル エンドポイント到達できず

このトライアルの結果と思われる
アルツハイマー病治療を目的とした「GAMMAGARD LIQUID」(液状・静注用人免疫グロブリン)の2つ目の第III相試験を開始
https://digitalpr.jp/r/816
結果的には、事前分類サブグループ検討結果で含みを残したまま、プライマリアウトカム目標到達できず。


Baxter Announces Topline Results of Phase III Study of Immunoglobulin for Alzheimer's Disease
http://www.baxter.com/press_room/press_releases/2013/05_07_13_gap_study.html

免疫グロブリン 第3相臨床治験において、軽症中等症アルツハイマー病患者の認知機能低下減少・機能障害保存性の複合プライマリエンドポイント到達しなかったことを報告。
ランダム化二重盲験プラシーボ対照化多施設で、18ヶ月治療

Baxter IG治療 400mg/kg or 200mg/kgとも、プラシーボ比較と統計学的有意差至らず
( 400 mg/kg 群 7.4 、 200 mg/kg 群 8.9、 プラシーボ対照群 8.4 )
機能障害温存性はプラシーボ比較で、400mg/kg 群は平均 -11.4、200mg/kg 群では -11.4で統計学的有意差示せず

サブグループ検討では、検出パワー不足。中等症及びApoE4遺伝子マーカーキャリア群の400mg群で、正の数値的差異を、ADAS-Cog、3MSで認めた(16%〜29%)


Gammaglobulin Alzheimer's Partnership (GAP) studyは、Baxterと  Alzheimer's Disease Cooperative Study (ADCS)共同研究で、 United States National Institute on Aging in the National Institutes of Healthサポート。


H.ピロリ菌と関連する遺伝子座位

H.pyloriの GWASメタアナリシス

H. pyloriのコロニー化を示唆する抗原高レベル群はtoll-like receptor 遺伝子TLR1発現レベル上位25%であり、胃内細菌のseroprevalence(感染既往・現行感染示唆)と相関する。TLR1は、TLR2受容体のco-receptorとして知られ、heterodimerを形成し、グラム陰性細胞壁由来のlipopetptideの認識に関連するため、この抗原認識はとその後の免疫カスケードにより、抗炎症作用を導くこととなり、炎症性反応、感染持続性とも関連するだろう。



Identification of Genetic Loci Associated With Helicobacter pylori Serologic Status
Julia Mayerle,  et. al.
JAMA. 2013;309(18):1912-1920. doi:10.1001/jama.2013.4350.

遺伝的感受性が、H. pylori感染に役割をはたし、 toll-like receptor遺伝子 TLR1は優位に胃内細菌のseroprevalenceと関連する。
2つの独立したGWASと後続メタアナリシス施行
H. pylori IgG serology
・Study of Health in Pomerania (SHIP) (recruitment, 1997-2001 [n  = 3830])
・Rotterdam Study (RS-I) (recruitment, 1990-1993)
・RS-II (recruitment, 2000-2001 [n = 7108])

Whole-blood RNA gene expression profile解析
・RS-III (recruitment, 2006-2008 [n = 762])
・SHIP-TREND (recruitment, 2008-2012 [n = 991])
fecal H pylori antigen
・SHIP-TREND (n = 961)
10938名のうち、  6160 (56.3%)で seropositive for H pylori
GWASにて、H pylori seroprevalence相関として、 toll-like receptor (TLR) locus 同定  (4p14; top-ranked single-nucleotide polymorphism (SNP), rs10004195; P = 1.4 × 10−18; オッズ比, 0.70 [95% CI, 0.65 〜 0.76])  FCGR2A locus (1q23.3; top-ranked SNP, rs368433; P = 2.1 × 10−8; オッズ比, 0.73 [95% CI, 0.65 〜 0.81])

3つのTLR gene 4p14 のうち、 TLR1のみ   minor rs10004195-A allele ()のコピー数あたりで発現多様 (β = −0.23 [95% CI, −0.34 to −0.11]; P = 2.1 × 10−4).
便中のH. pylori抗原抗体値(optical density > 1)では、TLR1発現レベルの最高位25%で多く認められる (P = .01 by χ2 test)
さらに、TLR1としては、rs10004195 SNPに強くリンクされた細胞外domainのAsn248Ser substitutionが示された。

親がこどものおしゃぶりをなめることで、喘息・湿疹減少 ・・・ 親から子供への細菌叢の伝播

親がおしゃぶりを"clean"するとは、こどものおしゃぶりを親が吸うことらしい。・・・このことがピンとこなかったので、ちょっとの間、意味不明だった。

このため、親の唾液の細菌が子供の細菌叢へ影響を与えることとなる。結果、18ヶ月齢では、喘息・湿疹有病率減少。湿疹においては3歳までその影響は続く。

口腔内微生物の子供への伝播が、アレルギーリスクを変容させてるのではないかという考察。両親の唾液が口腔咽頭微生物複合体の発展を促し、腸管微生物複合体を形成し、口腔・咽頭・リンパ節での抗原への免疫寛容にベネフィット的変化をもたらすのではないかというもの。

Pacifier Cleaning Practices and Risk of Allergy Development
Bill Hesselmar et. al.
Pediatrics 2013; DOI: 10.1542/peds.2012-3345.


片利共生微生物(commensal microbe)による免疫刺激によりアレルギー発症抑制の可能性。両親からの口腔内微生物がおしゃぶりを介して乳児に移行するかもしれない。
なら、そのために、アレルギー発症リスクが代わるのではないかという仮説。


おしゃぶりの使用と、おしゃぶりを洗うことを記録。

18ヶ月齢において、おしゃぶり毎おしゃぶりを"clean"する親の子供(n=65)は、そうでない両親の子供(n=58)より、喘息有病率低く(オッズ比 [OR], 95%信頼区間 [CI] 0.01-0.99)、湿疹有病率低い(OR 0.37, 95%CI 0.15−0.91)。感作比率低い傾向(OR 0.37, 95% CI 0.10-1.27)。
36ヶ月湿疹への防御的効果は継続  (ハザード比 0.51; P = .04)

経膣分娩・親でのおしゃぶりは、湿疹発症に対し、独立し、付加的防御効果を示した。
唾液腺細菌叢は、おしゃぶりを親が"clean"する子供と、そうでない場合で異なる。


いわゆる「衛生仮説」
e.g.)http://www.nch.go.jp/imal/Publication/0604SaitoHygiene_Kokyu.pdf

衛生仮説 AND 内科開業医のお勉強日記


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