2012年3月17日土曜日

米国: 経口抗がん剤:相互作用のある薬剤処方比率2割から7割以上

Taking a pill to fight cancer? Avoid these dangerous drug interactions
http://www.boston.com/Boston/dailydose/2012/03/taking-pill-fight-cancer-avoid-these-dangerous-drug-interactions/n8FtQK1gEgFFhCV4KLRWCI/index.html


 nonprofit Medco Research Instituteの検討から、経口抗がん剤9つのうち一つでも服用している患者の23-74%に抗がん剤治療効果を減弱もしくは毒性増加の可能性薬剤を服用としているとのこと

 The cancer therapies studied are in a class known as oral kinase inhibitors which include the medications imatinib

イマチニブ(Gleevec®、グリベック) 、 エルロチニブ (Tarceva®、タルセバ).  などを含む経口キナーゼ阻害剤に分類されている薬剤

薬剤相互作用として、PPI、ステロイド、カルシウム拮抗剤、特定の抗生剤・抗真菌剤がある。


検討薬剤は、他に、dasatinib (Sprycel®、スプリセル)、everolimus (Afinitor®)、lapatinib (Tykerb®、タイケルブ)、nilotinib (Tasigna®、タシグナ)、 pazopanib (Votrient®)、 sorafenib (Nexavar®、ネクサバール)、 sunitinib (Sutent®、スーテント)


これらの薬剤は、臨床例が少ないため、認識が乏しい

 だが、この世代の抗がん剤は、既に米国では、年間10万ドルを超しており、今後もその利用は膨大化すると思われる。それだけでは無く、薬剤相互作用に関する知識も膨大になるだろう。




【相互作用】グリベックと併用禁忌、併用注意の薬剤は?
http://www.glivec.jp/faq/q_168.html
"グリベックと併用禁忌の薬剤はありません。"
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等 CYP3A4阻害剤
 ケトコナゾール
 イトラコナゾール
 クラリスロマイシン
 テリスロマイシン
 インジナビル
 ネルフィナビル
 リトナビル
 サキナビル
 等
グレープフルーツジュース
2. 薬剤名等 CYP3A4誘導剤
 リファンピシン
 フェニトイン
 カルバマゼピン
 フェノバルビタール
 セイヨウオトギリソウ
 (St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
 等
3. 薬剤名等塩酸シプロフロキサシン
4. 薬剤名等プロトンポンプ阻害剤
 オメプラゾール
5. 薬剤名等 H2受容体拮抗剤
 ラニチジン
 等
6. 薬剤名等抗凝血薬
 ワルファリン
7. 薬剤名等タバコ(喫煙)


タルセバ相互作用
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4291016F3023_1_03/
・禁忌記載無し
併用注意

(併用に注意すること)

1. 薬剤名等 CYP3A4阻害剤
 ケトコナゾール
 イトラコナゾール
 クラリスロマイシン
 テリスロマイシン
 インジナビル
 ネルフィナビル
 リトナビル
 サキナビル
 等

閉経後女性:物忘れの訴えは、うつ、身体症状、作業記憶低下の予測因子

閉経後女性で物忘れを訴えるひとは多い。 その意義について臨床家は認識しておくことが重要だろう。通常の言語記憶・語彙力検査だけで問題なしと終わらせてはいけない。



Reconciling subjective memory complaints with objective memory performance in the menopausal transition
Menopause: doi: 10.1097/gme.0b013e318241fd22

主観的物忘れと、客観的な認知パフォーマンス

1.主観的物忘れと、記憶試験の客観的パフォーマンスの関係
2.主観的物忘れと、他の認知機能特性の関係
3.他の非認知要素と主観的物忘れ、たとえば、うつ、不安、睡眠の質との関連

 75名の閉経女性で、包括的神経精神評価組み合わせ

 物忘れの訴えは、言語学習、言語記憶と相関せず
しかし、作業記憶 とcomplex attention/vigilance(注意維持機能)とは相関

物忘れの訴えは、うつ症状、不安、身体症状、睡眠障害と相関。

回帰解析にて、物忘れの訴えは、うつ、身体症状、作業記憶パフォーマンスに関する予測要素であることが分かった。

カドミウム食事摂取により乳がんリスク増加



この報告の怖いところは、住民を、カドミウム暴露レベルで3つに分けて、そのグループに対し、乳がん発生率に影響がみられるということ。


AACR Press Release
Dietary Cadmium may be Linked With Breast Cancer Risk
March 15, 2012
http://www.aacr.org/home/public--media/aacr-press-releases.aspx?d=2690

 カドミウムは環境中に広がっており、 食事性カドミウムが乳がんリスク増加と関連するという Cancer Research報告


 子宮体部癌に関する報告はあったようだが、今回は乳がんリスクとの関連報告




Åkesson

Dietary Cadmium Exposure and Risk of Postmenopausal Breast Cancer: A Population-Based Prospective Cohort Study
Cancer Res March 15, 2012 72; 1459 

55987名の閉経後女性のコホート12.2年平均フォローアップ

寄与要素補正後、 食事性カドミウム摂取は乳がん包括リスクと正の相関
最高三分位vs最低三分位 rate ratio 1.21;95%信頼区間(CI) 1.07-1.36  Ptrend = 0.02]

やせ・正常体重女性の場合、すべての腫瘍  (RR, 1.27; 95% CI, 1.07–1.50)、 ER+ 腫瘍 (RR, 1.25; 95% CI, 1.03–1.52) で増加するが、ERでは統計学的有意差認めず  (RR, 1.22; 95% CI, 0.76–1.93)



【閉経後子宮体部内膜癌との関連】
Long-term Dietary Cadmium Intake and Postmenopausal Endometrial Cancer Incidence: A Population-Based Prospective Cohort Study
Cancer Res August 1, 2008 68; 6435 

コーラ着色料発がん性?

コーラ着色剤発がん性のクレーム

Cola colourant carcinogenicity claims
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 16 March 2012 doi:10.1016/S1470-2045(12)70107-9



4メチルイミダゾール:コーラなどのカラメル着色料 発がん性可能性のためレシピ変更 http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/03/blog-post_6973.html

冠動脈性疾患:IL6受容体変異との関連 炎症性経路の役割

大規模遺伝子・バイオマーカーデータでは一貫してIL6R関連経路と冠動脈疾患のcausal associationみられる。

Interleukin-6 receptor pathways in coronary heart disease: a collaborative meta-analysis of 82 studies
 The Lancet, Early Online Publication, 14 March 2012
doi:10.1016/S0140-6736(11)61931-4



IL6シグナル化により、downstreamの炎症性カスケードを促進し、この経路が冠動脈疾患に関係することを、IL6Rシグナル化functional genetic variantを通して検討

 Asp358Ala のminor allele頻度は 39%

これは、脂質濃度、血圧、adiposity、血糖以上、喫煙と関連せず (p value for association per minor allele ≧ 0.04 )

一方、358Ala全コピー遺伝に対し、IL6Rの平均濃度は34.3%(95% CI、30.4-38.2)増加し、IL6は14.6%(10.7-18.4)%増加、平均CRP濃度は7.5%(5.9-9.1)減少し、フィブリノーゲンは1.0%(0.7-1.3)減少。

358Alaの全コピー遺伝に対し、冠動脈性疾患リスクは3.4%(1.8-5.0)減少

Asp358AlaはIL6R mRNA濃度、IL-6単球産生と関連せず

持続性炎症が心血管疾患の病態形成上の様々なステージに寄与しているという仮説が、観察研究・実験研究で支持されているが、causalityについては不明。たとえば、CRPやフィブリノーゲンなどは冠動脈性疾患との関連が示されている。しかし、特定のdownstrean inflammation biomarkerが直接の原因的な尤度として遺伝性のDNA変異と関連していることは示されてなかった。

可溶性IL6は肝細胞・白血球の膜結合型受容体を活性化し、downstream proinflammatory cascade開始と関連する。

Asp358Alaは膜結合IL6Rを減少させ、、classic IL6Rシグナル化障害が存在する。

この変異と、冠動脈疾患の関連を評価し、causalityについて検討した報告




もうひとつは、 IL6R SNP (rs7529229)を利用した、133449名を含む40研究での、いわゆるmendelian randomisation analysis

IL6R blockadeで、冠動脈疾患リスク減少効果

 関節リウマチ治療に用いられる、抗interleukin-6 receptor (IL6R) monoclonal antibody (tocilizumab)でIL6Rをブロックすることで、冠動脈性心疾患リスク減少するかは不明。
mendelian randomisation principleを利用、IL6RのSNPsで、一次予防として、IL6R抑制の有効性安全性を検討。リウマチ患者のランダム化トライアルを利用、tocilizumabの遺伝的所見と効果を比較。


The interleukin-6 receptor as a target for prevention of coronary heart disease: a mendelian randomisation analysis
The Interleukin-6 Receptor Mendelian Randomisation Analysis (IL6R MR) Consortium
The Lancet, Early Online Publication, 14 March 2012doi:10.1016/S0140-6736(12)60110


IL6R SNP (rs7529229)は non-synonymous IL6R  variant (rs8192284; p.Asp358Ala)のマーキングした場合、血中IL6濃度増加 (increase per allele 9·45%, 95% CI 8·34—10·57) 、CRP減少  (decrease per allele 8·35%, 95% CI 7·31—9·38) 、フィブリノーゲン濃度減少 (decrease per allele 0·85%, 95% CI 0·60—1·10).

リウマチ患者ランダム化トライアル研究で見られる、tocilizumab(4-8 mg/kg 4週毎)注入によるIL6R blockade効果と同様

25458名の冠動脈疾患、100740名の対照で、IL6R rs7529229 SNP は、冠動脈疾患イベント減少と関連  (per allele odds ratio 0·95, 95% CI 0·93—0·97, p=1·53×10−5).



noteへ実験的移行

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