2013年10月23日水曜日

関連学会は、うつ病など交通事故に影響しないと批判しているが・・・果たして?

日本精神神経学会、日本てんかん学会、日本うつ病学会など関連7学会が9月30日付けで衆議院法務委員長あて、要望書 https://www.jspn.or.jp/activity/opinion/car_crash_penalty/files/20131018.pdf

「一定の病気(6疾患注1)を取り上げる予定とされていますが(法第三条の2)、これらの疾患による事故率が他の要因と比較して高いという医学的根拠はありません」

注1:統合失調症、てんかん、再発性失神、無自覚性の低血糖症、躁うつ病(法令において「躁うつ病」はうつ病と双極性障害を含む)、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害

注2:平成23年度の全交通事故691937件のうち発作・急病による事故は266件で、うちわけはてんかん78件、心臓マヒ22件、脳血管障害61件、その他105件で、それ以外の病気による事故の統計はない。事故全体に対してごく一部である(平成23年度交通事故統計年報:交通事故総合分析センターより)。 

注3:道路交通法66条には、過労、病気、薬物の影響による運転の禁止が定められているにもかかわらず、過労運転だけが本法の対象から除外されている





注3は、八つ当たり的だなぁ と、思うし、交通事故事例でその原因を交通事故統計に頼らざる得ないところが基礎データとしてどうなのか。警察側・調査側で十分な背景調査がなされてるか、疑問が残る。

関連性を全否定するのは、学術団体としてはいかがなものか?

向精神薬と自動車事故との関連性は報告はされている
→Psychotropic drugs and risk of motor vehicle accidents: a population-based case-control study.

そして、医師のドライバー不適正判断により交通外傷リスク減少する可能性も報告されている。
Physicians' Warnings for Unfit Drivers and the Risk of Trauma from Road Crashes
Donald A. Redelmeier, M.D., M.S.H.S.R., Christopher J. Yarnell, A.B., Deva Thiruchelvam, M.Sc., and Robert J. Tibshirani, Ph.D.


私自身も、うつ病など全面的に運転免許交付・更新停止するのは誤りだと思うが、やはり、危険だと判断する主治医などの意見が反映できる体制はNEJMの論文からも必要と思う。それを無視するのは学術団体らしくない。

「グルテンフリー」食は・・・ペテン 金と時間の無駄遣い


グルテンフリーはその真偽ははっきりしない

いわゆる、「nonceliac gluten sensitivity 」という、定義実態不明のもの
マネージメントオプションもばらつき

Nonceliac Gluten Sensitivity: Sense or Sensibility?
Antonio Di Sabatino, MD; and Gino Roberto Corazza, MD
Ann Intern Med. 2012;156(4):309-311.


だが、日本でも、グルテンフリー食を、もっともらしく解説する輩が多くなってきた
→  http://goo.gl/ITh2Sj


解説記事:「グルテンフリーはペテン」と研究者ら

Researchers Say Gluten-Free Is A Scam; Here’s Why They’re Wrong
2 years ago by Briana Rognlin3 CommentsShare a Tip

Read more: http://www.blisstree.com/2012/02/22/food/nutrition/researchers-say-gluten-free-is-a-waste-of-money-heres-why-theyre-wrong-779/#ixzz2iWXfWbrL

グルテンフリー食は、健康に関心のある集団で急激に取り上げられ、多くの人々が「グルテン・過敏症」やら「グルテン不耐性」などというのを信じ込み、さらには、減量方法として有効などという明らかなうそが最近流行となっている。
米国内科学会系の権威誌Ann. Int. Med.に、このインチキに関して、 Dr. Antonio Di Sabatino と Dr. Gino Roberto Corazza が解説
なにひとつ「グルテン・過敏症」に関して確証はなく、お金の無駄遣いと断言している。


Celiac病を拡大解釈し、妄想を膨らましつづけた絵空事、次第に、彼ら自身がそれを信じ込み、その妄想が流布し続けて、いわゆる、セレブの流行ごととなり、ファッションとなり・・セレブへのあこがれとの混同で、こういう虚偽が広まる。


小麦より、高価なグルテンフリー米が望ましいという、流通業界利益にもつながり、特定団体の利益に化ける現状。より安価な食品でバランスよい食品摂取をお勧めしたい。

家庭医のためのアトピー性皮膚炎

旧藤沢製薬(現行、アステラス製薬)のMRから、TCI治療に関して、専門医以外使ってほしくないといわれたものだから、言いつけを守り、学習してなかったが、英国のガイダンス【家庭医のためのアトピー性皮膚炎】という、まとめたものがあったので・・・


Atopic Dermatitis for Family Physicians
Aly Khanbhai et. al.
Cite this article as: BJMP 2013;6(3):a626


家庭医のアトピー性皮膚炎診断は、視診と病歴聴取が基本

英国作業委員会診断基準
皮膚掻痒症状必須  (子供においては、掻爬やこすることを口頭で表現する場合) 、最低12ヶ月継続、以下の3項目以上を含むこと

    1. 皮膚皮線異常の既往 (肘前面、膝裏、足首前面、頚部周囲、目周囲)

    2. 喘息・花粉症の病歴 (4歳未満なら、1st 血縁者の病歴)

    3. 前年全身dry skin既往 
    4. 2歳未満発症 (4歳未満ではこれは用いず)

    5. 屈曲側皮膚炎観察 (4歳未満では頬部や前額部皮膚炎や四肢外側を含む)
・管理

・教育

・皮膚軟化剤:Emollient

・局所ステロイド:‘fingertip unit’ (FTU)を用いTCS量を決定する

・局所calcineurin阻害剤(TCIs):カルシウムによって活性化されるタンパク質脱リン酸化酵素「カルシニューリン」の阻害剤としてのシクロスポリン、タクロリムスなど。単剤、併用、継続維持療法としての使い方。第一選択として用いるべきではない。

・ドレッシング・ラップ治療:非感染例のみ適応、掻爬の物理的バリアにもなり、軟化剤の保持に役立つ

・抗生剤:90%の患者で皮膚病変あり、黄色ブドウ球菌・溶連菌感染も、ルーチン使用は推奨されず、非感染例の経口使用は適用外、感染例では適応ありPC・セフェム系1−2世代7−10日間使用効果通常あり、マクロライド有用でない。ウィルス感染関与ごく普通にあり、ヘルペス播種など。

・抗ヒスタミン剤:第一世代はsedative使用(昼間使用はさける)・非sedative抗ヒスタミンではその価値は限定的だが、アレルギートリガー回避に若干役立つ可能性のみ

・食事介入:必ずしも推奨されない

・他治療:ステロイド全身投与、UV治療など


 <hr>情報提供すら拒否したアステラス・・・うらみ忘れない

ポケットサイズ超音波検査:リモートリアルタイムガイダンス心エコー検査

ポケットサイズの超音波デバイス(pocket-sized ultrasound devices (PUDs))の普及は医療提供改善を全般的にもたらす船体的可能性があるが、適正な画像プロトコールがなされず、訓練がなされてないことが問題。

故に、心臓超音波限定だがワイヤレスガイダンスで超音波検査施行報告


Feasibility of remote real-time guidance of a cardiac examination performed by novices using a pocket-sized ultrasound device.
Emerg Med Int. 2013;2013:627230. doi: 10.1155/2013/627230. Epub 2013 Aug 20.

3名の被訓練者、27名の被験者

左室収縮機能低下 (LVSD)、左房拡大、ultrasound lung comets (ULC+)、中心静脈圧:CVP (eCVP)の項目

 iPhone4/iPodで、リアルタイム遠隔視聴ガイダンス、循環器科医師による解釈

被訓練者 vs 専門家で、適正な画像は、  122/135 (90%) versus 130/135 (96%) (P < 0.05)
 
CLUE( cardiac limited ultrasound exam (CLUE))複合SN、 SP、 ACC は 0.67、 0.96、 0.90

異常検出の適正度・正確性は、 LVSD (85%, 0.93, n = 5)、LAE (89%, 0.74, n = 16)、ULC+ (100%, 0.94, n = 5)、eCVP (78%, 0.91, n = 1 



検討数が少なすぎると思うのだが・・・


糞役人や業界団体やITにそまった馬鹿医者たちは、褒めそやすことだろう・・・

【糖尿病診療】差はわずかだが、女医の方が男医より優秀


糖尿病治療に関して女医の方が成績がよい 2008年 04月 09日


その差は、わずかだが、やはり、女医の方が、糖尿病に関して、診療の質は高いようだ
 http://www.medicalnewstoday.com/releases/267649.php
モントリオール大学の研究チームからの報告で、現時点での検討は糖尿病診療において限定的だが、女医の方が男性医師に比べ医療の質が高かった。

推奨されている薬品処方比率や、推奨されている医学検査の項目
具体的には、糖尿病ケアの質の評価として、
・65歳以上の糖尿病患者では、2年毎、眼科もしくはotometristによる測定
・スタチンを含む3つの薬剤処方
年次完全な医学的評価

中年医師
・必要性のある眼科検査:女性医師では3/4、男性医師70%
・完全な検査: 39% vs 33%

世代的研究ではその差が少なく、女医では男性医師に比べ診療にかける時間が長いという妄想があるが、それはなかったと述べている。




医師の性別とは関係ないはなしだが、糖尿病診療では確かに合併症を限りなく低下することが大事だが、 合併症が本格化したときに、その姿勢で専門医の真価が問われる。・・・いままで、無責任な対応を何度みてきたことか・・・

人工呼吸関連肺炎予防のためのスタチン介入エビデンス証明されず

スタチン使用により様々な感染症アウトカムか以前報告がある。

人工呼吸器関連肺炎:Ventilator-associated pneumonia (VAP)への適応に関するRCT:ランダム化プラシーボ対照二重盲験多施設(フランス 26のICU)


シンバスタチン 60mg vs プラシーボ


主要アウトカムは、28日目死亡率、14日目ICU、入院死亡率

結論から言えば、スタチンによるVAP予防介入正当化エビデンス無し
300名登録後初期計画内部解析にて早期終了で、スタチン治療ナイーブなプラシーボ群11%、シンバスタチン群7%にて ICU入室となった

28日目死亡率ではシンバスタチン群必ずしも減少せず (シンバスタチン群:21.2% [95% CI, 15.4% to 28.6% vs プラシーボ:15.2% [95% CI, 10.2% to 22.1%]; P = .10; ハザード比, 1.45 [95% CI, 0.83 to 2.51])

スタチン・ナイーブ群では、 28日目死亡率 スタチン21.5%  (95% CI, 15.4% to 29.1%) vs プラシーボ群 13.8%(95% CI, 8.8% to 21.0%)  (P = .054) (between-group difference, 7.7% [95%CI, −1.8% to 16.8%)

14日、ICU、入院死亡率、人工呼吸期間、SOFAスコアの変化 有意差無し


Effect of Statin Therapy on Mortality in Patients With Ventilator-Associated Pneumonia
A Randomized Clinical Trial
Laurent Papazian,  et. al.
for the STATIN-VAP Study Group
JAMA. 2013;310(16):1692-1700. doi:10.1001/jama.2013.280031.


ESCAPEトライアル:医者には、トレーニングセッションの上、高血圧診療させるべき

臨床ガイドラインと日常臨床目標のギャップがあり、ESCAPEトライアルは、一般医(GP)の多面的介入にフォーカスしたトライアル

1日トレーニングセッションを行い、エレクトリックな血圧測定と簡易推奨リーフレットを与え、高血圧コンサルテーションと、他の心血管疾患要素について6ヶ月ごと2年間フォーカスし、主要アウトカムは、患者の治療目標到達比率と個別治療目標・QOL

Effects of a multifaceted intervention on cardiovascular risk factors in high-risk hypertensive patients: the ESCAPE trial, a pragmatic cluster randomized trial in general practice
Denis Pouchain, et. al.
Trials 2013, 14:318 doi:10.1186/1745-6215-14-318

高リスク高血圧患者 1832名、2年後全治療目標達成比率は、両群で増加
しかし、介入群で有意にその比率高い;OR (odds-ratio) 1.89, (95% 信頼区間 (CI) 1.09 to 3.27, P = 0.02)

血圧目標達成比率でも、有意に介入群で高い : OR 2.03 (95% CI 1.44 to 2.88, P < 0.0001)

収縮期・拡張期血圧は介入群で減少(   4.8 mmHg、 1.9 mmHg,  (P < 0.0001 for both)

身体、メンタルQOlの有意差認めず

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