「一定の病気(6疾患注1)を取り上げる予定とされていますが(法第三条の2)、これらの疾患による事故率が他の要因と比較して高いという医学的根拠はありません」
注1:統合失調症、てんかん、再発性失神、無自覚性の低血糖症、躁うつ病(法令において「躁うつ病」はうつ病と双極性障害を含む)、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
注2:平成23年度の全交通事故691937件のうち発作・急病による事故は266件で、うちわけはてんかん78件、心臓マヒ22件、脳血管障害61件、その他105件で、それ以外の病気による事故の統計はない。事故全体に対してごく一部である(平成23年度交通事故統計年報:交通事故総合分析センターより)。
注3:道路交通法66条には、過労、病気、薬物の影響による運転の禁止が定められているにもかかわらず、過労運転だけが本法の対象から除外されている
注3は、八つ当たり的だなぁ と、思うし、交通事故事例でその原因を交通事故統計に頼らざる得ないところが基礎データとしてどうなのか。警察側・調査側で十分な背景調査がなされてるか、疑問が残る。
関連性を全否定するのは、学術団体としてはいかがなものか?
向精神薬と自動車事故との関連性は報告はされている
→Psychotropic drugs and risk of motor vehicle accidents: a population-based case-control study.
そして、医師のドライバー不適正判断により交通外傷リスク減少する可能性も報告されている。
Physicians' Warnings for Unfit Drivers and the Risk of Trauma from Road Crashes
Donald A. Redelmeier, M.D., M.S.H.S.R., Christopher J. Yarnell, A.B., Deva Thiruchelvam, M.Sc., and Robert J. Tibshirani, Ph.D.
私自身も、うつ病など全面的に運転免許交付・更新停止するのは誤りだと思うが、やはり、危険だと判断する主治医などの意見が反映できる体制はNEJMの論文からも必要と思う。それを無視するのは学術団体らしくない。