2019年1月29日火曜日

ARB不足を暫定基準で対応しようとする米国FDA

昨夜、CNNをたまたまみたらこの話題やってた

FDA warns of common blood pressure medicine shortage due to recalls
Kevin Flower, CNN
Updated 0449 GMT (1249 HKT) January 27, 2019
https://edition.cnn.com/2019/01/26/health/fda-warning-shortage-valsaratn-recalls/index.html

バルサルタン、ロサルタンおよびイルベサルタンを含む降圧剤の不足

聞いたことがある、中国産原材料の問題


FDAの調査アップデート情報を元にした報道のようだ
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm629796.htm


ARBのNDMA(N-Nitrosodimethylamine)、NDEA(N-Nitrosodiethylamine )を含むニトロソアミン不純物調査のupdate情報

標準的な検査室検査ではNDMA検出できないそうで、NDMA
NDEA試験法を新たに開発、(GC/MS) headspace method、combined headspace methodでウェブサイト上で提示している。

一応暫定許容摂取レベルを設定し、降圧剤不足をしのごうという・・・

切羽詰まった情報だが・・・日本では報道聞かないのだが・・・


厚労省はインチキ統計で忙しいだろうが、薬事ちゃんと仕事しろ!



喘息急性悪化入院・ステロイド使用では抗生剤追加投与にてアウトカム改善するか?


No!

ステロイド治療喘息急性増悪入院19,811名のコホート



Association of Antibiotic Treatment With Outcomes in Patients Hospitalized for an Asthma Exacerbation Treated With Systemic Corticosteroids
Mihaela S. Stefan,  et al.
JAMA Intern Med. Published online January 28, 2019. doi:10.1001/jamainternmed.2018.5394
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2721036

意義:喘息急性増悪治療で経験的に抗生剤使用は専門学会ガイドラインでは勧めてないが、抗生剤処方率が高いことが米国内外で記録されている

目的:喘息入院・ステロイド治療患者の抗生剤治療とアウトカムの関連性検討

デザイン、セッティング、被検者:後顧的コホート研究:喘息急性増悪・全身ステロイド投与19,811名成人患者 (542名の米国急性期病院、2015年1月1日〜2016年12月31)

暴露:入院当初2日間に最小2日間以上の抗生剤治療を早期抗生剤投与として暴露群とする

主要アウトカムと測定項目:プライマリアウトカム測定は入院期間、他の測定項目は30日内、治療失敗(人工呼吸開始、day2以降ICUへのtransfer、院内死亡率、喘息再入院)、入院コスト、抗生剤関連下痢。多変量補正、propensity scoreマッチング、propensity加重、インスツルメンツ変数解析で抗生剤治療とアウトカムの関連性検討




結果:19811名患者中、中央値[IQR]  46(34-59)歳、女性 14,389(72.6%)、白人 8771 (44.3%)、メディケア主保険 8788(44.4%)

抗生剤治療無し患者に比べ、抗生剤治療患者は、より高齢(中央値 [IQR]  48 [36-61] vs 45 [32-57] 歳)、白人に多く (48.6% vs 40.9%)、喫煙者に多く (6.6% vs 5.3%)、併存症の数多い (eg, うっ血性心不全, 6.2% vs 5.8%)ほど多い


抗生剤治療を受けた患者は、有意に入院期間長い(中央値[IQR], 4 [3-5] vs 3 [2-4] 日) 、治療失敗率は同等 (5.4% vs 5.8%)

propensity scoreマッチ化解析にて、抗生剤被治療者は、入院期間29%延長 (入院期間比 1.29; 95% CI, 1.27-1.31) 、入院コスト高い (中央値 [IQR] cost, $4776 [$3219-$7373] vs $3641 [$2346-$5942])が、治療失敗リスク差は無い (propensity score–matched OR, 0.95; 95% CI, 0.82-1.11)

多変量補正、propensityスコア加重、インスツルメンツ変数解析、いくつかの感度解析でも同様結果

結論と知見:抗生剤治療は入院期間を長期化し、入院コストを上げるが、(抗生剤治療しなくても)治療失敗リスクは同様。結果、喘息入院患者での不適切な抗生剤処方を減らすことに重点化必要


成人喘息で悪化要素は感染症があるのが常識化しているので、喘息入院で抗生剤投与というのは暗黙のうちに行われそうな治療である。さらにはCOPD急性増悪対応でレスピラトリー・キノロンの有用性(. 2017; 17: 196.)示されており、
喘息急性増悪に関してアジスロマイシンの治験(. JohnstonSL,SzigetiM,CrossM,etal;AZALEATrial Team. Azithromycin for acute exacerbations of asthma: the AZALEA randomized clinical trial. JAMA Intern Med. 2016;176(11):1630-1637. doi:10.1001/ jamainternmed.2016.5664)などなされ結果的にはネガティブな結果に終わったが、頭にこびりついている話で、抗生剤処方しないというのも勇気が必要となっていた。



SPRINT:強化降圧治療は認知症予防に役立つか?

惜しい、実に惜しい


Effect of Intensive vs Standard Blood Pressure Control on Probable Dementia
A Randomized Clinical Trial
The SPRINT MIND Investigators for the SPRINT Research Group
JAMA. Published online January 28, 2019.
doi:10.1001/jama.2018.21442


意義:  軽度認知機能障害(MCI)と認知症リスクを軽減する現在明確な治療法はない

目的:認知症リスクに対する強化降圧治療の効果評価

デザイン・セッティング・被検者:RCT 米国とプエルトリコの102ヶ所、50歳以上高血圧、糖尿病・卒中既往無し。2010年11月8日ランダム化開始。トライアルはプライマリアウトカム(心血管イベント)と全死亡率のベネフィット判明のため2015年8月20日早期中断。フォローアップ最終データは2018年6月22日まで

介入:収縮期血圧< 120 mm Hg目標(強化治療群 n=4678)と < 140 mm Hg目標(標準治療群 n=4684)

主要アウトカムと測定項目:プライマリ認知アウトカム:認知症確定診断補正発生率、セカンダリアウトカム:MCI補正発生率とMCIと認知症確定診断組み合わせ発生率

結果 9361名(平均年齢 67.9歳、女性 3332名(35.6%)をランダム化、8563名(91.5%)1年以上のフォローアップ認知機能評価施行
介入中央期間 3.34年間
フォローアップ中央値 5.11年間で、認知症確定診断補正発生は 強化群 149、標準治療群 176( 1千人年あたり 7.2 vs 8.6例:ハザード比 [HR] 0.83; 95% CI, 0.67-1.04)




強化血圧コントロール群ではMCI、MCI+認知症確定例ともに有意に減少
 1千人年あたり 14.6 vs 18.3 ; HR, 0.81; 95% CI, 0.69-0.95、 20.2 vs 24.1 ; HR, 0.85; 95% CI, 0.74-0.97


結論・知見:高血圧外来成人では血圧目標値を収縮期血圧 <120 mmHgとした方が 、目標< 140 mmHgより認知症確定診断リスクを有意に減少するという結果ではなかった。早期中断研究故認知症発生確率が少ないため、このエンドポイントに対しては検出パワー不足という結論

Trial Registration  ClinicalTrials.gov Identifier: NCT01206062





プライマリアウトカムで有意差なしのため、サブグループ差異など無視する結論

なかなか潔い

しかし、心血管疾患既往無しの場合惜しい気がする、他起立性低血圧のある場合とか・・・


この話とリンク?

Association of peripheral blood pressure with gray matter volume in 19- to 40-year-old adults
H. Lina Schaare, et al.
Neurology, First published January 23, 2019,
DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000006947

血圧 120/80 mm Hg超は、灰白質脳量と関連する。ちょっとした血圧増加でも無症候性の脳血管疾患から有症状:MCIや認知症、卒中などの病態生理カスケードに関与する




SPRINT

Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years
A Randomized Clinical Trial
Jeff D. Williamson, et al. ; for the SPRINT Research Group
JAMA. 2016;315(24):2673-2682. doi:10.1001/jama.2016.7050


https://kaigyoi.blogspot.com/2015/11/sprint.html

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