2018年8月30日木曜日

糖尿病:n-3多価不飽和脂肪酸 心血管イベント抑制効果認めず

discussionから 「サプリメントでは心血管アウトカムへの効果認めないが、n-3脂肪酸サプリメントを冠動脈性心疾患二次予防に推奨したり、卒中予防・心臓突然死予防のため魚摂取週1−2回は摂取するようアドボケートを続けている臨床ガイドラインが存在する」
確かに以前のトライアルでは、魚摂食やn-3脂肪酸サプリメントを増加することで評価されていたが、単独の効果としては評価難しい研究デザインであった」


結論から言えば、観察研究に基づく推奨であるが、サプリメントとしてのランダムトライアルとしては心血管系ベネフィットあるとは言いがたい



15,480名の糖尿病患者で動脈硬化性心血管疾患のない症例

  • n-3脂肪酸 1gカプセル(脂肪酸群)
  • マッチングプラシーボ(オリーブオイル)



おそらく、オリーブオイルは一過不飽和脂肪酸が多いため、多価不飽和脂肪酸(n-3)比較のため対照として使用されたのだろう
オリーブ油の脂肪酸構成は、このオレイン酸が約75%を占め、約10%を飽和脂肪酸、残りをリノール酸、αリノレン酸などの多価不飽和脂肪酸が占める


Effects of n−3 Fatty Acid Supplements in Diabetes Mellitus
The ASCEND Study Collaborative Group
N Engl. J. Med. August 26, 2018
DOI: 10.1056/NEJMoa1804989

プライマリアウトカムは初回重症血管イベント(i.e. 非致死性心筋梗塞、卒中、一過性脳虚血、心血管死、除外:頭蓋内出血)
セカンダリアウトカムは初回重症血管イベント+何らかの血管再建

結果
フォローアップ7.4年間(adherence 率 76%)

脂肪酸群:重大血管イベント 689名(8.9%)
プラシーボ群: 712 名(9.2%)
発生比 0.97; 95% 信頼区間 , 0.87 to 1.08; P=0.55)

重大心血管イベント・血管再建複合組み合わせでは、それぞれ 882 名 (11.4%) 、 887 名 (11.5%)
発生比 0.95; 95% CI, 0.86 - 1.05)

全原因死亡は、各々 752 名 (9.7%)、788名 (10.2%)
発生比 0.95; 95% CI, 0.86-1.05

非致死性重大副事象イベントに関して群間差認めず







研修医の頃 この論文を抄読会で読んだ思い出がある

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM198505093121901




随分エポックメイキング名論文で、その後も色々見聞きしたので、この論文選択したセンスは褒められても良かったと思うのだが・・・

指導部長は、疫学研究軽視の人間で、つまらん研究報告だと一蹴された・・・まだ、根に持ってる・・・ 35年程前・・・ 懐かしい!
(研修医を指導する指導者たちよ、意外と根に持たれることを念頭に、抄読会の指導がんばって)

そのときの肯定的事象が、否定されたのも興味深い

一般住民:FEV1、FVC年次減少と心血管イベントの関連性

COPD患者群のコホートではなくコミュニティコホートのようだ

1秒量:FEV1、強制肺活量:FVCの年次減少と心血管イベントの関連性を認めた報告
従来の心血管疾患イベントリスク補正後確認された関連性で、4倍ものリスク増加に関わるという話



Declining Lung Function and Cardiovascular Risk: The ARIC Study
Journal of the American College of Cardiology
Volume 72, Issue 10, 4 September 2018, Pages 1109-1122
https://doi.org/10.1016/j.jacc.2018.06.049


背景
肺機能障害による心血管疾患(CVD)イベント発症予測

目的
肺機能の長軸的減少が心不全(HF)、冠動脈疾患(CHD)、卒中発症と関連するか評価目的


方法
 ARIC (Atherosclerosis Risk In Communities) study、CVD無し対象者10,351名
 肺機能急激減少定義:FEV1もしくはFVC 減少最大 4分位 n=2,585(FEV1: 1年あたり1.9%超の減少、FVC :1年あたり2.1%超の減少)、2.9±0.2年間にわたり検討
FEV1もしくはFVCの急激減少とその後のHF、CHD、卒中、それら組み合わせ発症を多変量Cox回帰補正モデル(補正要素:ベースラインスパイロメトリ値、住民統計指標、身長、BMI、心拍、糖尿病、高血圧、LDL、脂質低下薬剤、NT-proBNP、喫煙)にて比較

結果
平均年齢  54 ± 6 歳、女性 56%、白人 81%
フォローアップ17±6年間時点で、HF 14%、CHD 11%、卒中 6%、イベント複合 24%
FEV1とFVC急激減少は、心不全発症リスク増加と相関 (各々、ハザード比[HR]: 1.17; 95% 信頼区間 [CI]: 1.04 to 1.33; p = 0.010;  HR: 1.27; 95% CI: 1.12 to 1.44; p < 0.001)
フォローアップ1年時点dのFEV1急激減少が最も予測相関高い (HR: 4.22; 95% CI: 1.34 to 13.26; p = 0.01)



同様に、FEV1の急激減少は、その後の卒中発症と相関  (HR: 1.25; 95% CI: 1.04 to 1.50; p = 0.015)



結論
連続スパイロメトリ評価による肺機能の急激減少はその後のCVD、特にHF発症頻度増加と関連する





まぁいいんだけど、stageによりFEV1減少速度随分違うはずだが・・・COPD診断に至らない群が対象だとすると、FEV1減少速度は緩徐であろう。
下図参考にすれば、年間2%程度の低下はstage 1に相当するのではないか?




結核:INH、RFPのMICによる再発予測

結核細菌側要素、特に薬剤感受性による再発予測可能となれば、より短期治療可能な症例の選別化が治療の早い段階で可能となるかもしれない


日本の結核診療に導入されるのはかなり後になるだろうが・・・


Bacterial Factors That Predict Relapse after Tuberculosis Therapy
Roberto Colangeli, et al., for the DMID 01-009/Tuberculosis Trials Consortium Study 22 Teams
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1715849

細菌側factorによる薬剤感受性結核患者の再発予測
INHとRFPの最小阻止濃度(MIC)から短期治療レジメン治療の安全な患者同定可能となる

薬剤感受性有りの場合短期治療4ヶ月後再発20%だが、1st ラインの治療6ヶ月患者では5
%だが、治療期間長ければ公衆衛生システムへの負担、毒性影響リスク、治療アドヒアランス不良、薬剤抵抗性出現などのリスクを生じる蓋然性が高くなる

MICによる治療層別化により治療短縮化メリットが生じればなぁ・・・と



  • 再発患者のINHのbreakpoint未満baseline MIC 値は 0.0334 ± 0.0085 μg/mL、治癒患者では 0.0286 ± 0.0092 μg/mL、多重比較調整後再発群倍率 1.17 (95% CI 1.03-1.33; P=0.02) 
  • 再発患者のRFPのbreakpoint未満baseline MIC 値は  0.0695 ± 0.0276 μg/mL 、治癒患者では 0.0453 ± 0.0223 μg/mL 、再発群倍率 1.53 (95% CI 1.27-1.86; adjusted P<0 .001="" li="">
  • 他の群間差を含む多変量解析にて、MIC高値はやはり再発と相関
  • INH、RFPへのMIC値のmodel scoreは、cross-validation analysisでの感度75%、development cohortで 予測特異度76.5%、validation cohortで感度70%、特異度 100%









GeneXpert MTB/RIF (Xpert; Cepheid)
http://www.cepheid.com/jp/cepheid-solutions-jp/clinical-tests-jp/critical-infectious-diseases/xpert-mtb-rif


drug-susceptibility testing using either TREK Sensititre 96-well plates (Trek Diag- nostic Systems), with customized quantities of lyophilized drugs, or Mycobacterial Growth Indi- cator Tubes (BD),




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