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2020年6月6日土曜日

特発性肺線維症:CT上牽引性気管支拡張進行の臨床的意義

強制肺活量(FVC)の低下が特発性肺線維症(IPF)患者の予後評価として用いられているが、明確でない、境界的、この場合はmarginalなという表現だが、そういう軽度なFVC低下の場合でも、連続CT解析上の牽引性気管支拡張所見が生命予後推定に重要な役割を果たすようだという分析



Serial CT analysis in idiopathic pulmonary fibrosis: comparison of visual features that determine patient outcome

Joseph Jacob ,et al.
Thorax (BMJ journals) http://orcid.org/0000-0002-8054-2293
https://thorax.bmj.com/content/early/2020/06/04/thoraxjnl-2019-213865


目的
特発性肺線維症(IPF)で抗線維化薬の投与を受けている患者および非IPF線維化肺疾患の患者では年次FVCの低下率は測定値の変動範囲内(5.0%~9.9%)であることが多い。視覚的CT変数の変化が、marginalなFVC減少が純粋な臨床的進行を意味し、測定上の雑音ではないことを確認したいという趣旨の報告


方法
 2つのIPFコホート(コホート1:n=103、コホート2:n=108)において、別々の放射線科医がペアのvolumetric CT(ベースラインから6ヵ月から24ヵ月の間に取得)施行
間質性肺疾患、蜂巣肺、網状陰影、すりガラス状陰影(GGO)、牽引性気管支拡張症の重症度の変化を5ポイントスケールを用いて評価し、死亡予測を単変量および多変量Cox回帰分析を用いて分析
2つのIPFコホート複合検討にて、CT変数変化がmarginal FVC減少を示す患者の予後推定となりえるかを分析

結果
単変量解析では、GGOを除くすべてのCT変数の変化が両コホートで死亡推定可能であった

一つの多変量解析(年齢、性別、抗線維化薬剤使用有無、ベースライン疾患重症度(DLCO)補正後)牽引性気管支拡張所見はFVC減少に独立した死亡予後因子であった


牽引性気管支拡張症の重症度の変化は、スコア測定者間で、良好な観察者間の一致を示した。

FVCのmarginalな低下のすべての患者において、牽引性気管支拡張症の重症度の変化は死亡率を独立して予測し、蜂巣肺変化の程度よりも、悪化患者が多く同定された

結論
牽引性気管支拡張症の重症度の変化は疾患の進行度を示す指標であり、FVC低下の臨床的重要性の解明に役立つ可能性がある。




特発性肺線維症患者における連続axial CT画像

  • 抗線維化薬を投与されておらず、年率10%以上のFVC低下を示した50歳男性患者では、6ヵ月間隔で撮影された画像(Ai,ii)は、放射線科医によって著しく悪化した(スコア=5)と分類された牽引性気管支拡張症の変化を示している。
  • 抗線維化薬を投与された62歳男性患者(Bi,ii)では、13ヶ月間隔で撮影された画像は年率FVC低下率が5.0%から9.9%の間であり、牽引性気管支拡張症の変化は軽度に悪化している(スコア=4)と分類された。 
  • 抗線維化薬(Ci,ii)を投与されておらず、15ヶ月間隔でCTを撮影した77歳の男性では、牽引性気管支拡張症の重症度の変化(Score=3)と年率FVC低下(-5.0%~4.9%)はともに安定していると考えられた。CT上に見られる実質細胞の変化は、疾患の進行ではなく、疾患の成熟を反映している可能性がある。


ベースラインCTスキャン時からのFVCの縦方向の変化を示すSpaghetti plot
患者を牽引性気管支拡張症の変化なし(赤)
牽引性気管支拡張症の変化あり(青)に分類した。
縦断的解析で考慮した開始および終了時のFVC測定は、それぞれのCTスキャン日から3ヵ月以内であった。

2020年5月30日土曜日

気管支拡張剤によりFVC反応性を示すCOPD phenotypeの存在?

“拡張剤後FEV1/FVC 0.7未満を満たし、FEV1 変化 120ml未満”の場合通常COPDと診断となるのだろうが、FVC改善著明でほんとにCOPD?って症例に多く遭遇する
また、LABA/LAMA等使用していると次第にFEV1までほぼ正常にまで改善し、FEV1/FVC 0.7未満を満たさなくなる症例にも多く遭遇し、ホントにCOPD?って症例もある。




Role of the Bronchodilator Test Defined by the Forced Vital Capacity in Chronic Obstructive Pulmonary Disease Phenotyping
 Zhang X, Wu Z,et al.
 International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease Volume 15
 Published 28 May 2020 Volume 2020:15 Pages 1199—1206
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S252902
https://www.dovepress.com/role-of-the-bronchodilator-test-defined-by-the-forced-vital-capacity-i-peer-reviewed-article-COPD
https://www.dovepress.com/front_end/cr_data/cache/pdf/download_1590799330_5ed1abe20fe59/copd-252902-role-of-the-bronchodilator-test-defined-by-the-forced-vital-.pdf
COPD管理において、拡張剤使用後FEV1/FVC 0.7未満で診断確定的なのが通常だが、中等度から重度のCOPD症例では、気流制限反応が悪いが肺容量としては反応を示す場合があり、これはおそらく過膨脹によるものの改善効果と思われる
重症ステージになるほどFVCの反応性が重要と思われる
気道過応答性は気道炎症、特にTh2細胞誘導性好酸球性炎症と関連している。最近の研究では、好酸球性炎症を支配するCOPDは重要なCOPDの表現型であることが証明されている。その臨床的特徴は、気道反応性(FEV1の変化)、好酸球数の増加、FeNO濃度の上昇である。

気管支拡張薬吸入後のFEV1値の変化の役割に注目した研究はあるが、COPDにおけるFVC値の変化の役割についての研究はほとんどなく、FeNOや好酸球との関係もよくわかっていない。以上のことから、本研究の目的は以下の通りである。1)気管支拡張剤試験中のFVC反応者と非反応者に分類されたCOPD患者の特徴を比較すること、2)COPD表現型におけるFVCの観点から気管支拡張剤試験の有用性を評価すること

【目的】臨床の現場においてCOPD患者の中には気管支拡張剤投与後FVC著増するのにFEV1があまり変わらない症例がある。これは気道炎症性タイプと関連してるかもしれない。
このタイプの臨床的特性を解析し、気管支拡張剤有効性、特にFVC変化の有用性を検討

【研究方法】気管支拡張薬検査,呼気一酸化窒素(FeNO)分画測定,血中好酸球数の解析を行った増悪性COPD患者346例を対象に,気管支拡張薬検査,呼気一酸化窒素(FeNO)分画測定,血中好酸球数の解析を行った.気管支拡張薬の反応性が有意に高い患者とそうでない患者との間で、特徴、FeNO値、血中好酸球数をFVCの観点から比較した。
346人のCOPD患者全員を、アルブテロール投与に対する反応性のFVCの変化に応じて、以下のような2つのグループに分けた。
 (I) positive FVC group (PFVC): Patients with ΔFVC≥200 mL and  ΔFVC%baseline≥12%;
(II) negative FVC group (NFVC): referring to the rest of the patients without significant responsiveness in terms of FVC.

次にΔFEV1≧200mL、ΔFEV1%baseline≧12%の患者を除外し、 残りの180名を同様に2群に分けた。
(I) pure positive FVC group (PPFVC):composed of patients with ΔFVC≥200 mL and ΔFVC% baseline≥12% without significant responsiveness with respect to FEV1;
(II) negative FVC-negative FEV1 group (NNFVC): comprised of patients without significant responsiveness neither in terms of FVC nor FEV1.
 (喘息要素のある患者すべて除外した上で、FVC変化量著明な症例と層で無い症例を区別)


【結果】FVC反応性が有意な患者では、FVC反応性が有意でない患者に比べて肺機能が低下し、FeNO値が高かった(Z=-5.042~-0.375、p=0.000~0.022)。


FeNOレベルと気管支拡張薬の使用に対するFVC応答性との間には、識別可能な線形関係がある(r=0.251、P=0.001)。


COPD患者の高FeNOレベルの検出にFVCの気管支拡張薬応答性を適用すると、比較的高い感度(61.8%)と特異度(86.7%)が得られた。

【結論】FVC 反応性が有意に高い COPD 患者では,非反応者に比べて FeNO 値が高いことを示し,高 FeNO 値を検出する簡便な方法を確立した.FVC反応性のある患者は,COPD患者とは別のグループとして同定される可能性がある。






拡張剤後FEV1/FVC 0.7に振り回されてしまってるCOPD臨床だが、拡張剤によりFVC反応するタイプの“COPD”があり、特性として、比較的肺機能低下し、NO呼気濃度が高いというphenotypeが存在するかもという主張だと思う

FeNO高値COPDにおいて、気管支拡張剤FVC反応性が良好というのは目からうろこかもしれない








2020年2月27日木曜日

BMI/体重変化と肺機能トラジェクトリー

以前の研究はすべて、比較的短い追跡期間(最大10年)があり、ほとんどがこのリンクを最大50歳までしか調査していません。これにより、成人期および高齢期の肺機能に対する体重変化の役割のより包括的な理解が妨げられ、成人期後期にまで及ぶより長い追跡期間を伴うさらなる研究の必要がある



Body mass index and weight change are associated
with adult lung function trajectories: the prospective
ECRHS study
Peralta GP, et al. Thorax 2020;0:1–8. doi:10.1136/thoraxjnl-2019-213880
https://thorax.bmj.com/content/thoraxjnl/early/2020/01/30/thoraxjnl-2019-213880.full.pdf


 European Community Respiratory Health Survey (ECRHS)ベースの肺機能trajectory (20年間の成人期)

ベースライン BMI 正常、過体重、肥満の場合 フォローアップ中体重増加中等度(0.25-1 kg/年)、高度(>1kg/年)の場合、FVC、FEV1減少加速と関連

ベースライン正常BMI、安定体重(± 0.25kg/年)比較で、フォローアップ中高度体重増加の肥満の場合 65歳時推定FVCより−1011mL (95% CI −1.259 to −763)


ベースライン肥満症例、体重減少(<-0.25 kg/年)症例では、FVC、FEV1減少の程度減衰する

体重変化特性と、FEV1/FVC減少には関連性認めず







個人的感想としては、「FEV1/FVC比と体重特性との関連性がない」というのは、肺機能解釈上助かる知見



ちなみに、よく引用Fletcherの図、これは8年間6ヶ月毎のロンドンの労働者での前向き検討でのモデル化したもので、数十年調べたものではない



https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1607732/pdf/brmedj00468-0039.pdf


LAMA使用開始された後の症例トラジェクトリーは興味深いモノがあるのだが・・・どこかで発表したい

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...