2012年5月21日月曜日

悪性胸水:タルク懸濁による癒着と、胸腔カテーテル(IPC)の比較

滅菌調整タルクの悪性胸水での医師主導トライアル、平成23年度で終了見込みのはず(http://www.jmacct.med.or.jp/ct/files/progress_120427.pdf)・・・どうなったのだろう?

タルク懸濁による癒着と、胸腔カテーテル(IPC)の比較


結論から言えば、患者呼吸苦に関して有意差を認めなかった。


胸水対処必要数はタルク懸濁癒着の方が多く、合併症はカテーテルの方が多い。


IPCはこの場合、Rocket(R) IPC Pleural & Peritoneal Catheterを用いている
http://www.rocketmedical.com/Product_pages/Chest_Drain/Product_rocket_IPC_drainage_set.htm

 


Treatment Options for Malignant Pleural Effusions: Title and subTitle BreakPatient Preference Does MatterTreatment Options for Malignant Pleural Effusions
Nick A. Maskell, DM, FRCP
JAMA. Published online May 20, 2012. doi:10.1001/jama.2012.5543

胸腔カテーテル(IPCs)は、胸腔チューブ・タルク懸濁(talc)より呼吸苦緩和に役立つか?
無盲検化


呼吸苦は両群改善し、有意な差は認めない
42日後、平均VAS呼吸苦スコア:IPC群 24.7 (95% CI, 19.3-30.1 mm) vs talc群 24.4 mm (95% CI, 19.4-29.4 mm) 、差 0.16 mm (95% CI, −6.82 to 7.15; P = .96)
6ヶ月後、IPC群の呼吸苦改善は統計学的有意で、VASスコア平均差はIPC群とtalc群 -14.0  mm (95% CI, −25.2 to −2.8 mm; P = .01)


















初回入院期間はIPC群が有意に短い、IPC群 中央値0 (中間4分位 [IQR], 0-1 day) と、Talc群 4日間 (IQR, 2-6 days) で、差 −3.5 日 (95% CI, −4.8 to −1.5 days; P < .001)

QOLに有意差認めず

胸水処置必要:talc群 12名(22%)、IPC群 3 (6%) (odds ratio [OR], 0.21; 95% CI, 0.04-0.86; P = .03)
副事象イベント:カテーテル群 21/52 vs talc群 7/54(OR, 4.70; 95% CI, 1.75-12.60; P = .002)





主要4グループ推奨:低放射線量CT年次検診推奨 ;ただし、喫煙者・重度喫煙既往のみ

メディアによっては、 ”肺がん検診は高齢者、重度喫煙者に推奨されるが、他にはベネフィットない”と報道されている(e.g. ワシントンポスト


“低放射線量CT年次検診を推奨する肺がんガイドライン発表 ・・・ 但し、現行喫煙者・重度喫煙既往者のみ”という報道。



以下団体の共同作業
American Cancer Society(ACS)
American College of Chest Physicians(ACCP)
American Society of Clinical Oncology(ASCO)
National Comprehensive Cancer Network(NCCN)


肝心のガイドラインそのものは現時点では見つけられないのだが・・・ 


JAMA誌掲載されているのはシステマティック・レビュー
Review ONLINE FIRST
Benefits and Harms of CT Screening for Lung Cancer A Systematic Review
Peter B. Bach, et. al.
JAMA. 2012;():1-12. doi:10.1001/jama.2012.5521

3つのランダム化研究でLDCTの肺がん死への効果に関するエビデンス提供された

National Lung Screening Trialが最も情報量多く、53454名の登録者で、有意に肺がん死減少をたらした
(10万人年あたりの死亡 356 vs 443、肺がん特異的死274 vs 309  for LDCT and control groups, 相対リスク 0.80; 95% CI, 0.73-0.93; 絶対的リスク減少, 0.33%; P = .004). 

他の2つの小規模研究ではベネフィット提示出来ず

すべてのトライアル・コホート横断的に、LDCT検診の潜在的有害性要素は、以下のごとし
すなわち、検診毎に20%ほどフォローアップ必要性状況となるが、、そのうちの1%しか肺がんは存在しない
(異常検出のうちの20分の1しかホントのがんではないという状況である)

これらの所見ではheterogeneityがあり、フォローアップ検査の頻度、生検、良性病変患者へ施行された手術比率などに見られる。 

ただ、良性病変での重大合併症は稀。


LDCTトライアルのみに依存したガイドラインという結果になった。

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