2018年7月10日火曜日

心房細動と閉塞性肺疾患(喘息、COPD)合併:β遮断剤心拍コントロールにて生命予後改善

この報告、閉塞性肺疾患の定義として "patients who had a primary diagnosis of either asthma or chronic obstructive pulmonary disease (COPD)”としていて、喘息まで含む報告

アーチストでさえ添付文書では禁忌になれているのに、非選択的β遮断剤を喘息に使うという報告・・・日本と違い韓国は、喘息へのβ遮断剤投与に鷹揚なのだろうか?

現実的には日本ではpure COPDではアーチストまで使用可能だろうが、実際はメインテート、ビソノテープ(とその後発)しか使用できないだろう


韓国のこの報告だと、非選択性だろうが、β遮断剤が心房細動・閉塞性肺疾患(COPD and/or 喘息)の生命予後改善という話


Rate control and clinical outcomes in patients with atrial fibrillation and obstructive lung disease,
Heart Rhythm (2018) doi: 10.1016/j.hrthm.2018.06.044.
https://www.heartrhythmjournal.com/article/S1547-5271(18)30670-2/fulltext


【背景】心拍コントロール(rate-control)治療が心房細動(AF)患者治療の第1選択と考えられているが、閉塞性肺疾患(OLD)では、AF病態の時、研究情報不足のため治療薬物使用困難となることがある

【目的】concomitant AFと閉塞性肺疾患(OLD): AF-OLD患者において、rate-control薬物治療の各クラスの投与後の臨床的アウトカムを検討。2002 〜 2015の 韓国National Health Insurance Service提供データベースによる解析
全原因死亡率をカルシウム拮抗剤(CCB)と他の薬剤クラスの使用で比較。


【結果】13,111名中、AF-OLD患者数は治療としてCCB、心選択性β遮断剤(BB)、非選択的β遮断剤 2482、 2379、 2255、 5995

死亡率リスクは、CCB比較で、選択的β遮断剤 (Hazard ratio (HR)=0.84, 95% CI=0.75–0.94, P=0.002)、非選択的β遮断剤 (HR=0.85, 95% CI=0.77–0.95, P=0.003)
ジゴキシン使用は生存率悪化と関連し、統計学的有意性境界 (HR=1.09, 95% CI=1.00–1.18, P=0.053)



【結論】心房細動-閉塞性肺疾患患者のうち、rate-control治療の選択的・非選択的β遮断剤使用は、カルシウム拮抗剤に比較して、有意に死亡率軽減効果あり。さらなる前向きランダムトライアルがこれらの所見確認のためには必要

NICE:COPD急性増悪であっても抗生剤厳しく使用制限?

Restrict use of antibiotics for COPD, NICE says

BMJ 2018; 362
doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3016 (Published 09 July 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k3016

NICEのガイドラインセンター長、Mark Bakerは、”COPD急性増悪における抗生剤使用ベネフィットは限定的で、抗生剤使用前に他の治療オプションを考慮すべき”と宣う
副作用、特に下痢、抗生剤抵抗性のリスク増加がコミュニティで使用する限り存在する
重症でない場合、症状の回数・重症度だけでなく、急性増悪既往、入院歴、合併症発症リスク、以前の細菌培養・感受性結果も考慮
抗生剤非使用を決意したら、急激悪化、どの時間でも、非常に状態が悪い場合は、患者にhelpを求めるよう助言しなければならない
対照的に、入院を要するような呼吸状態の急激な悪化など、重症患者では、抗生剤治療のベネフィット認められていると・・・
Chronic obstructive pulmonary disease (acute exacerbation): antimicrobial prescribing: Draft guidance consultation
https://www.nice.org.uk/guidance/indevelopment/gid-ng10115/consultation/html-content



一方、薬剤最適化、禁煙など行っても1年4回以上といった頻回の急性増悪時、喀痰増加、急性増悪頻回、入院必要急性増悪時は、抗生剤予防投与も考慮するという案もある
draft update to the clinical guideline on diagnosing and managing COPD
National Institute for Health and Care Excellence. Guideline. Chronic obstructive pulmonary disease in over 16s: diagnosis and management. Draft for consultation, July 2018.
www. nice.org.uk/guidance/indevelopment/gid-ng10026.



抗生剤使用制限の代わりに、外来でも厳しく監視するという・・・医療コスト上は削減にならない話・・・

”感染症状や臨床所見もないのに抗生剤投与を”急性増悪”ということだけで一律処方するような医療”を制限するという意味なら分かるが・・・

コーヒーの死亡率低下作用はカフェインによるものにあらず・・・ 脱カフェインコーヒー有効?



UK Biobank is a population-based study 

カフェイン代謝と関連するAHR、CYP1A2、CYP2A6、POR polymorphism genetic scoreとコーヒー5カップを超える大量飲用者での全原因死亡・各原因死亡率関連


 Association of Coffee Drinking With Mortality by Genetic Variation in Caffeine Metabolism Findings From the UK Biobank
JAMA Intern Med. Published online July 2, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.2425 https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2686145

920万名の住民ベース研究由来
平均年齢 57歳(range 38-73歳)、 女性 271,019名(54%)、コーヒー飲用 387,494(78.4%)

フォローアップ10年間において死亡 14,225

コーヒー飲用は全原因死亡と逆相関
参照として非飲用者を用い、1日1カップ未満、1カップ、2−3カップ、4−5カップ、6−7カップ、8カップ以上として  0.94 (95% CI, 0.88-1.01)、0.92 (95% CI, 0.87-0.97)、 0.88 (95% CI, 0.84-0.93)、 0.88 (95% CI, 0.83-0.93)、 0.84 (95% CI, 0.77-0.92)、  0.86 (95% CI, 0.77-0.95)





インスタント、豆をひいたコーヒー、脱カフェインコーヒーでも、主な死因横断的に同様の相関であり、遺伝的カフェイン代謝スコア関連無く相関あり
例えば、6カップ以上のハザード比は、  0.70 (95% CI, 0.53-0.94) 〜 0.92 (95% CI, 0.78-1.10)で、カフェイン代謝層別化横断的にeffect modificationのエビデンス認めず (P = .17 for heterogeneity)



でも、豆をひいたコーヒーでないとなぁ おいしくないもんなぁ

EMPA-REGサブ解析:冠動脈バイパス手術後症例での効果確認 腎症抑制効果も

冠動脈バイパス手術(CABG)後2型糖尿病患者で心血管死亡・全死亡・心不全入院・腎症発症・悪化に関するエンパグリフロジンの有用性明確に


EMPA-REG OUTCOME® trial のサブ解析

CABG病歴を有する患者は、このトライアルの内、エンパグリフロジン群 24%(1175/4687)、プラシーボ群(563/2333)に相当

Empagliflozin reduces cardiovascular events, mortality and renal events in participants with type 2 diabetes after coronary artery bypass graft surgery: subanalysis of the EMPA-REG OUTCOME® randomised trial
Diabetologia August 2018, Volume 61, Issue 8, pp 1712–1723


CABG病歴被検者中エンパグリフロジン群(vs プラシーボ)ハザード比
心血管死亡 0.52 (0.32, 0.84)
全原因死亡 0.57 (0.39, 0.83)
心不全入院 0.50 (0.32, 0.77)
腎症発生・悪化 0.65 (0.50, 0.84)

CABG手術病歴有無被検者間でも結果は一致  (p > 0.05 for treatment by subgroup interactions)









冠動脈バイパス手術後の2型糖尿病症例ではSGLT-2阻害剤主体の治療を念頭に置かねばならないだろう

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note