2012年5月1日火曜日

急性心筋梗塞入院死亡率減少に有益な病院戦略 5つ

急性心筋梗塞生存性は最近改善がみられるが、米国の病院での30日リスク標準化死亡率と、病院側戦略の関連を検討。
急性心筋梗塞死亡率改善のためには、"nurse champion"単独では足りず、やはり、常駐の専門医師が必要。問題解決的創造的評価システムが重要など納得する

 "Hospital strategies for reducing risk-standardized mortality rates in acute myocardial infarction"  
Bradley EH, et al
Ann Intern Med 2012; 156: 618-626. 


Hospital performance improvement strategies, characteristics, and 30-day RSMRs.


多変量解析にて、いくつかの病院戦略がRSMP低下と有意に関連し、集積的に、臨床的最小有意差をもたらす。

 搬送された病院での臨床医・スタッフ間のAMI症例のレビューを行い、月次集会、循環器専門医が常にon-siteかどうか、、問題解決をcreativeに行われるよう組織環境促進がなされているか、ICUと心カテラボのクロストレーニングナースがいないこと、nurse championだけでなく、nurse champion +医師が存在すること

これら5つのうち4つの戦略がある病院は10%未満。



・ 搬送された病院での臨床医・スタッフが月毎にミーティングすることは、標準化死亡率 0.70%減少と関連
・ 循環器専門医が常にon siteであることは、0.54%減少と関連。
・ 医師に問題解決的な方向性に積極的 0.84%減少と関連。
・ 看護師のICUから心臓カテーテルラボへのクロス・トレーニングをさけることで、0.44%
・ nurse champion単独より、医師・nurse championの方が0.88%低下


 
ICUと心カテ室ナースのcross-trainingがなぜ悪いのか・・・背景があるのだろうか、事情が分からない。
あと一つは、”nurse champion”のこと

【nurse champion】
引用 http://findarticles.com/p/articles/mi_m5PTW/is_3_18/ai_n31153660/



What is the role of a "nurse champion"?

The concept of "champions" or "change agents" is prevalent within change theory literature (Adler, Riley, Kwon, Signer, Lee, & Satrasala, 2003; Bellanca, 2007, Reinertsen, Gosfield, Rupp, & Whittington, 2007; Smith, 2003).
Six Sigma (2003), an improvement group within business communities, emphasizes that change agents must have the ability to state facts based on data even if it meets resistance from colleagues.
Within the Canadian ICU Collaborative the role of the safety champion pertains to any member of the health care team who is respected by his/her peers (social skills and clinically sound) and has a willingness and desire (courage) to move towards improving patient outcomes.
The Institute for Healthcare Improvement asserts that a strong champion need not be a structural leader in order to make a critical difference in many clinical projects (Reinertsen et al., 2007).
Nurse champions are primarily responsible for working with their unit's improvement group to support the unit's change initiative among their nursing and non-nursing colleagues. The nurse champion must be comfortable in formulating responses to naysayers that are respectful, but challenge the negativity often associated with a move towards change. The improvement team must be prepared to support their nurse champion(s) as they often bear the brunt of any resistance due to their positioning within the staff.
 ビジネスコミュニケーション上の同僚の意見集約のための存在から、医療チーム上の安全に関わる役割で、同僚を代表するメンバーであり、患者のアウトカム改善のための存在。
単なる構造体内のりーだーということでは無く、グループ内の質、看護師・非看護師同僚の質の改善に関わるイニシャチブをもつ代表としての役割。


子供へのテレビの影響: ファーストフード宣伝になじみがあるほど肥満増加




Tanski SE, et al "Alcohol marketing and underage drinking behavior" PAS 2012; Abstract 2740.6.


PAS:
http://www.pas-meeting.org/2012Boston/default.asp


ファーストフードとアルコールのテレビ宣伝が若年者・子供へ悪影響を与えているという実態の報告が、米国の小児科学会年次集会でなされた。

広告暴露に関する電話・ウェブ-ベース評価
15-23歳まで 2359名の回答者、トップ25の食品会社から、500以上のうち、20の広告をランダム・サブセット照会。

ブランド化除外のため 、デジタル処理した画像を示し、広告認識された場合 あるいは他の類似宣伝と認識した場合 1点、、ブランドを当てた場合を2点とする。

体重とfamiliarity scoreと相関(P=0.03)、正常体重 21.4%
過体重 22.3% vs 15.7%、 肥満 23.7% vs 13.6%



広告認識スコアが1点増加する毎、統計学的に、肥満リスクが増加する(年齢、人種、性別、教育、ソーダなどの糖甘味飲料使用量、運動、テレビ視聴中スナック食補正後)





アルコール宣伝に関する認識は、肥満と相関せず、故に、食品の宣伝に関して特異的な減少と結論。





ファーストフード店の宣伝だけで無く、子供向けお菓子の宣伝に関しても注意が必要だろう。

テレビ宣伝などに、おとなも無防備だが、子供は なおのこと無防備子供の心をつかむように作られたフレーズやキャラクターが子供の身体に悪影響を与えることがある。

コマーシャルなどの子供の健康への悪影響に関する配慮が、日本には足りない
・関係各学会、たとえは、小児科学会や精神科学会などはこういう話題を大きく取り上げない。
・消費者庁が本来こういう仕事をすべきなのになにも行ってる形跡がない。

自閉症と喫煙の関係 ・・・ 病型毎影響差あり?



自閉症関連すべて妊娠中喫煙と関連あると考えていたが、全般的には有意差認めないらしい


母体から妊娠中の喫煙暴露で、
・ 自閉症スペクトラム障害 autism spectrum disorders (ASDs)、自閉症性障害 Autistic Disorderでは、関連性認めず
・  ASD Not Otherwise Specified (ASD-NOS)というサブグループでは、関連性ある可能性。


Maternal Smoking During Pregnancy and the Prevalence of Autism Spectrum Disorders Using Data from the Autism and Developmental Disabilities Monitoring Network
Kalkbrenner AE, Braun JM, Durkin MS, Maenner MJ, Cunniff C, Lee L-C, et al.
Environ Health Perspect :-. http://dx.doi.org/10.1289/ehp.1104556



乳がん検診:40代はリスクベースで・・・

乳房密度の高い場合・家族歴のある40歳での乳がん検診スタートがリスク・ベネフィットバランスで受容できるかもしれない

40歳代では、リスクベースの検診戦略が推奨される方向性となる報告




現時点では、50歳から70歳でのマンモグラフィー検診スタートがすべてのガイドラインでは推奨されているが、40代での推奨が課題である。 

その中で、40代開始検診のモダリティーや特性に基づく有害性・有益性検討。

"Tipping the balance of benefits and harms to favor screening mammography starting at age 40 years: a comparative modeling study of risk"
Ann Intern Med 2012; 156: 609-617.
Van Ravesteyn NT, et al
http://www.annals.org/content/156/9/609.abstract

40-49歳検診開始は、隔年検診マンモグラフィーの有害性/有益性比は、50-74歳の平均リスクの2倍。有害性/有益性比として望まれる閾値リスク比は検診方法、間隔、アウトカム測定にてばらつきがある。

Van Ravesteyn NT, et al "Tipping the balance of benefits and harms to favor screening mammography starting at age 40 years: a comparative modeling study of risk" Ann Intern Med 2012; 156: 609-617.
http://www.annals.org/content/156/9/609.abstract

モデリング比較研究
マンモグラフィーを40歳、50歳開始比較
フィルム・デジタル、検診間隔(毎年、隔年)

アウトカム比較:
・有益性 生存年数の延長(Life Years Gained)、乳がん回避数
・有害性 マンモグラフィー偽陽性所見
・harm–benefit 比: 偽陽性数/生存年数増加分、偽陽性/死亡回避

検診平均リスクは、50-74歳・隔年は、デジタルマンモグラフィー各園40歳開始と同様の偽陽性数/生存年数増加分だが、平均の2倍のリスクを示す (median threshold RR, 1.9 [range across models, 1.5 to 4.4])

偽陽性数/死亡回避数を、偽陽性/生存年数増加分のアウトカムと代替比較した場合、デジタルマンモグラフィー毎年検診の閾値RRは高い (median, 4.3 [range, 3.3 to 10]) 。
フィルムマンモグラフィーのharm-benefit比は、偽陽性率が低いため、デジタルマンモグラフィーより良好



50-70歳代、2年毎乳がん検診で、1000名あたり
・ 乳がん死亡回避 6.3
・ 生存年数増加 109年
・ 883の偽陽性検査
40歳で検診を行うと、偽陽性/生存年数延長比 8.3倍となり、乳がんリスク1.9倍

“毎年検診&デジタルマンモグラフィー”は、偽陽性数増加という意味で、有害性増加。
この戦略でのリスク/ベネフィットは50-74歳代の隔年検診と同様。

40代の閾値リスクは、平均と比較して、
・フィルムマンモグラフィー 隔年検診 1.6倍
・デジタルマンモグラフィー 隔年検診 1.9倍
・フィルムマンモグラフィー 毎年検診 3.3倍
・デジタルマンモグラフィー 毎年検診 4.3倍
相対リスクは以下で増加
・ 乳がん1st degree relativesあり 相対リスク 1人 2.14、 2人 3.84、3人以上 12.05
・ 若年乳がん 40歳未満 相対リスク 3.0
・ dense breast (BI-RADS カテゴリー (2との比較) 3 相対リスク 1.62、 4 相対リスク 2.04)
・ 生検の陰性結果既往 相対リスク 1.87

日本版BI-RADS とオリジナルBI-RADS の相違点と問題点
http://www.jabcs.jp/pages/b_number/no_15/no_15_02_02_07.html





米国予防医学専門委員会による乳がん検診推奨に対する日本乳がん検診学会の見解 http://www.jabcs.jp/pages/uspfts.html

 2009年11月、米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force, USPSTF)は、それまで「40歳以上の女性に対して、マンモグラフィを用いた乳がん検診の1~2年に1回の受診を推奨する」としていた推奨(グレード B)を、「40歳代の女性に対しては、マンモグラフィを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨しない」という推奨(グレードC)を発表しました。(そ の後、推奨の表現は「50歳未満の定期的なマンモグラフィ検診を行うにあたっては、対象者個人ごとの利益と不利益に関する価値判断を考慮すべき」と修正さ れていますが、推奨グレードCの判断自体は変わっていません。)

日本では、いまだに30歳代での乳がん検診が平然と行われている。

原発問題と同根のものを感じるが、検診実施団体や行政が混在して、それまでの行政の軌道修正が働かない日本の行政・・・

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