2012年3月28日水曜日

【診療報酬】 時間内歩行試験

[告示] 診療報酬の算定方法

D211-3 時間内歩行試験 560点

注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する。

2 区分番号D007の30に掲げる血液ガス分析、区分番号D200に掲げるスパイログラフィー等検査及び区分番号D220からD223-2までに掲げる諸監視であって、時間内歩行試験と同一日に行われたものの費用は、所定点数に含まれるものとする。


時間内歩行試験に関する施設基準

(1) 当該検査の経験を有し、循環器内科又は呼吸器内科の経験を5年以上有する常勤医師が1名以上勤務していること。
(2) 急変時等の緊急事態に対応するための体制その他当該検査を行うための体制が整備されていること。
(3) 次に掲げる緊急の検査又は画像診断が当該保険医療機関内で実施できる体制にあること。
ア生化学的検査のうち、血液ガス分析
イ画像診断のうち、単純撮影(胸部)


時間内歩行試験に関する届出に関する事項

時間内歩行試験の施設基準に係る届出については、別添2の様式24の6を用いること。

時間内歩行試験の施設基準に係る届出書添付書類
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/shinsei/shido_kansa/shitei_kijun/h24/documents/toku/0015.pdf


算定要件
(1)時間内歩行試験は、在宅酸素療法の導入を検討している患者又は施行している患者に対し、医師が呼吸状態などの観察を行いながら6分間の歩行を行わせ、到達した距離及び血液ガス分析、呼吸・循環機能検査などの結果を記録し、患者の運動耐容能などの評価及び治療方針の決定を行った場合に、年に4回を限度として算定する。
(2)以下の事項を診療録に記録すること。
ア 当該検査結果の評価
イ 到達した距離、施行前後の血液ガス分析、呼吸・循環機能検査などの結果
(3)当該検査を算定する場合にあっては、以下の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること
ア 過去の実施日
イ 在宅酸素療法の実施の有無又は流量変更を含む患者の治療方針


Q&A

(問141)D211-3時間内歩行試験の実施に当たり、前後の血液ガス分析は必
須なのか。
(答) 時間内歩行試験の実施に当たっては、患者の状態等を勘案の上、医学的に必
要かつ妥当な検査を実施し、結果を診療録に記載すること。
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/gyomu/bu_ka/shido_kansa/kaisei/gigi01.pdf




文面通り読めば、“6分間歩行距離”ということであり、残念ながら、“シャトルウォーキング”試験には適用されないようだ。さらに、“医師”と明言されてるのが、普及にはほど遠いとみた。

Q&Aの「血液ガス分析」、役人言葉で、意味不明だが、医師判断でよいのだろうか?

COPD:末梢血ヒストン脱アセチル化酵素活性低下




Histone deacetylase activity is decreased in peripheral blood monocytes in patients with COPD
Yanwei Chen, et. al.
Journal of Inflammation 2012, 9:10 doi:10.1186/1476-9255-9-10 Published: 23 March 2012 


COPDは、末梢血ヒストン脱アセチル化酵素活性低下を示す

CD47-signal regulatory protein alpha (SIRPa) :すべての腫瘍治療薬の可能性

癌治療・ブレークスルーと報道されている


CD47細胞マーカー産生を遮断する抗体で、白血病・リンパ腫だけで無く、ヒトの原発性腫瘍すべてに試みられる方法

One Drug to Shrink All Tumors
by Sarah C. P. Williams on 26 March 2012

腫瘍細胞がヒトの健康細胞よりCD47を多く細胞表面で産生すること
特定の癌細胞により産生されるCD47の量は、患者の回復の予測要素として用いられている。
腫瘍細胞表面のmolelular flagの産生を遮断することで、身体防御的免疫細胞に検知されやすくなる。そういう仮説で、in vitro細胞培養し、マクロファージに暴露し、抗体の有無で比較。
抗CD47薬無い場合、癌細胞を外的として認識出来ず、抗体存在下では、どのタイプの腫瘍へも貪食が生じる。

The CD47-signal regulatory protein alpha (SIRPa) interaction is a therapeutic target for human solid tumors
Stephen B. Willinghama, et. al.

IMMEDIATE: 心筋虚血状況下GIK治療(EMS状況) ・・・ 梗塞進展防止しないが、生命予後改善の可能性

院外EMSにおいて、心臓虚血状況下で、迅速なGIK(glucose-insulin-potassium)治療で、ベネフィットが示されるかどうか?

Out-of-Hospital Administration of Intravenous Glucose-Insulin-Potassium in
Patients With Suspected Acute Coronary Syndromes: The IMMEDIATE Randomized
Controlled Trial
     Harry P. Selker; et. al.

     JAMA Published online March 27, 2012. doi:10.1001/jama.2012.426
     http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/jama.2012.426?etoc

13のUS都市で、2006年12月から2011年7月31日まで行われたランダム化プラシーボ対照化二重盲検有効性トライアル

GIK点滴(n=411)と5%ぶどう糖プラシーボ(n=460)

結論から言えば、院外GIK投与はぶどう糖プラシーボに比較して、心筋梗塞進展を予防出来ず、30日生存率改善と相関せず、しかし、複合的アウトカム指標(心停止・院内死亡率)に改善効果を認めた



スタチン治療中LDL:主たるCVD予測因子ではない!



スタチン治療中は非LDL-Cが最も重要な心血管イベント指標

Association of LDL Cholesterol, Non–HDL Cholesterol, and Apolipoprotein B Levels With Risk of Cardiovascular Events Among Patients Treated With Statins: A Meta-analysis
S. Matthijs Boekholdt, et. al.
Benoit J. Arsenault,
JAMA. 2012;307(12):1302-1309.doi:10.1001/jama.2012.366 
序文 スタチン治療患者での、LDL-C、非HDL、apoB値と心血管イベントの相関は信頼できるほど記載が十分ではない。

目的 スタチン治療患者の、LDL、非HDL-C、apoBの心血管リスクとの関連性の相対的strength評価
 
デザイン 通常の脂質・アポリポ蛋白をベースラインと1年フォローアップ時で、ランダム化スタチントライアルからの個別データによるメタアナリシス

データソース 2011年12月31日までのアップデートされたはっきりしたトライアル。62154名、8トライアル(1994-2008年出版)

データ抽出 LDL-C、非HDL-C、apoBに関し、1-SD増加毎の主たる心血管イベント確立リスク要素補正後のハザード比と95%信頼区間(CI)

結果 スタチン治療38153名のうち、致死的心筋梗塞 158 、 非致死的心筋梗塞 1678、他の冠動脈疾患イベント 615、 不安的狭心症入院 2806、致死的・非致死的卒中 1029

1-SD増加あたりの主要血管イベント補正HRは、LDL 1.13 (95% CI, 1.10-1.17) 、非HDL-C 1.16 (95% CI, 1.12-1.19)、 apoB  1.14 (95% CI, 1.11-1.18)

これらのHRsは、LDL-C、apoBに比べ、非HDL-Cの方が有意に高値  (P=.002、.02)

apoBとLDL-C に有意な差認めず  (P= .21). 


結論 スタチン治療患者において、治療中のLDL-C、非HDL、apoBは、それぞれ将来の主要心血管イベントと相関するが、その関連性は、HDL-C、apoBより、非HDL-Cがより強い。



私が、スタチン以外の脂質系薬剤の製薬会社プロモーション担当者なら、 このデータを利用して、プロモーションをかけるだろう。

だが、この報告の真意は、各種ガイドラインでは、一次予防・二次予防ともLDL-C値をターゲットにしているが、スタチン治療の有効性検討では、LDL-C値降下以外に、心血管イベント低下ベネフィットを示す要素が認められつつある。

LDL-C を主たる予測因子、あるいは間接的な主要治療ターゲットとするのは不適切であるという話になる。

非HDL中の何が?・・・ということになる。

7つの全原因・心血管死亡率寄与程度 PAF :喫煙・運動・血圧・血糖・脂質・BMI・食事

Yang らは7つの心血管健康メトリックス、則ち、たばこ、運動、血圧、血糖、コレステロール、BMI、食事内容と、 死亡率のトレンドを検討。

これらのメトリックスの、Population Attributable Fractionは、住民レベルでどの程度の役割なのか?

人口寄与割合(population attributable fraction, PAF)
The contribution of a risk factor to a disease or a death is quantified using the population attributable fraction (PAF). PAF is the proportional reduction in population disease or mortality that would occur if exposure to a risk factor were reduced to an alternative ideal exposure scenario (eg. no tobacco use). Many diseases are caused by multiple risk factors, and individual risk factors may interact in their impact on overall risk of disease. As a result, PAFs for individual risk factors often overlap and add up to more than 100 percent.:定義:http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/metrics_paf/en/index.html

PAFは、リスク要素に対する介入成功時の住民ベースのリスク減少比率ということになる。住民検診などの効用に関し重要な指標であろう。



下記ごとく、米国の住民検討だと、これらが、(全原因、冠動脈性心疾患、虚血性心疾患)死亡率の6割程度に関与していることになる。


National Health and Nutrition Examination Surveys (NHANES; 1988-2010) と、 subset (n = 13 312) from the NHANES III Linked Mortality Fileの44959名を検討


Trends in Cardiovascular Health Metrics and Associations With All-Cause and CVD Mortality Among US Adults
Quanhe Yang, et. al.
JAMA. 2012;307(12):1273-1283. Published online March 16, 2012. doi: 10.1001/jama.2012.339 

7つすべての心血管疾患メトリックスを有するのは少ない  (2.0% [95% CI, 1.5%-2.5%] in 1988-1994, 1.2% [95% CI, 0.8%-1.9%] in 2005-2010).

NHANES III 登録者中、全原因 2673、CVD 1085、IHD 576死亡

1つ以上のメトリックスのある登録者では、年齢・性別標準化絶対リスクは 全原因死亡   14.8 (95% CI, 13.2-16.5)/1000 人年、 CVD死亡率  6.5 (95% CI, 5.5-7.6)、 IHD死亡率 3.7 (95% CI, 2.8-4.5)

6つのメトリックス以上の登録者では、全原因死亡率 5.4 (95% CI, 3.6-7.3)、 CVD死亡率 1.5 (95% CI, 0.5-2.5) 、 IHD死亡率 1.1 (95% CI, 0.7-2.0)

1つ以下の心血管疾患メトリックスある登録者に比べ、6つ以上のメトリックス登録者の補正ハザード比は、全原因死亡率 0.49 (95% CI, 0.33-0.74)、 CVD死亡率 0.24 (95% CI, 0.13-0.47)、 IHD死亡率 0.30 (95% CI, 0.13-0.68)

補正化住民寄与分は、全原因死亡率   59% (95% CI, 33%-76%) 、 CVD死亡率 64% (95% CI, 28%-84%)、IHD死亡率分 63% (95% CI, 5%-89%)

Improving the Cardiovascular Health of the US Population
Donald M. Lloyd-Jones, et. al.
JAMA. 2012;307(12):1314-1316. Published online March 16, 2012. doi: 10.1001/jama.2012.361 



“腹囲”中心のメタボ検診なんてやめて、高血圧、喫煙、運動を含めた、意義ある指導に変えるべきなのに・・・

PAFを指標として、日本のインチキ住民検診洗い直した方が良い!

喘息児童:現金支払い多いと、喘息入院増加する

Karaca-Mandic らは、薬物と医療サービスのmedication cost-sharing(》(公私の医療保険における)費用共同負担)の関係を検討、

米国でも、日本と同様、患者向けにコストをシフトすることで、処方薬品を制限する医療施策が行われつつある。現状の政治の悲惨さと、民主・自民とも市場原理主義者たちがいま政治の舵取りをしている現状もあり、、小泉政権が美化されることが目立ってきた。

小泉以上に市場原理主義な行政刷新会議・・・2009年 11月 12日 http://intmed.exblog.jp/9233608/
後顧的に8834名のUS喘息児童を調査し、37雇用者間の喘息医薬品への固定費用外現金支払費用を変数として、喘息医薬品使用、喘息関連入院、ED受診を現金支払い分コスト、家族特性都と共に検討。
 

8834名の米国児童(1997-2007年の喘息コントロール治療)

医療費共同負担分増大にかかわらず、医薬品使用減少は少なく、5歳以上の子供の喘息関連入院増加。



エディトリアルでは、Ungarが喘息児童でのmedication cost-shareingと健康状況アウトカムの関連を議論。

Out-of-Pocket Medication Costs and Use of Medications and Health Care Services Among Children With Asthma
Pinar Karaca-Mandic, et. al.
JAMA. 2012;307(12):1284-1291. doi: 10.1001/jama.2012.340 

平均年間現金支払い額は  $154 (95% CI, $152-$156) (5 ~ 18 歳)、 $151 (95% CI, $148-$153) (5歳未満) 
5-18歳、5913名の子供で、喘息処方箋fillカバー率は 日数の40.9% (95% CI, 40.2%-41.5%) 
1年フォローアップ中、121(2.1%)が喘息関連入院、ED受診 220(3.7%) 
5歳未満2921名の子供において、平均薬剤使用率は、日数の 46.2%(95% CI, 45.2%-47.1%); 喘息関連入院 136 (4.7%) 、ED受診 231 (7.9%)
5-18歳の子供において、固定費用外現金支払いコスト 25パーセンタイルから75パーセンタイルへの増加は医薬品使用減少と相関 (薬剤fillカバー率 41.7% [95% CI, 40.7%-42.7%] vs 40.3% [95% CI, 39.4%-41.3%]日; P= .02)、だが、5歳未満では差認めず。 
補正喘息関連入院率は、5-18歳の現金支払いトップ4分位で多い (100名あたり、2.4 [95% CI, 1.9-2.8]  vs 最小4分位1.7 [95% CI, 1.3-2.1] ; P=.004) が、5歳未満では相ではない。 
補正年間ED受診率は、現金支払い4分位で、全年齢群とも変動認めず 


Editorial
Medication Cost Sharing and Health Outcomes in Children With Asthma
Wendy J. Ungar, et. al.
JAMA. 2012;307(12):1316-1318. doi: 10.1001/jama.2012.365

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